○楠見
参議院農林委員長 ただいま
議題にな
つておりまする
食糧確保臨時措置法の一部を
改正する
法律案につきましては、前
国会において
参議院は慎重に審議いたしました結果、ただいまもお話がございましたように一部修正をいたしたのであります。修正の條文はお手元に参
つておると思いますが、非常に複雑と申しますか、原案が現行法を
改正するのに対して、その一部をまた修正いたしまして、非常にややこしい規定にな
つておりますので、むしろこれはこの際その修正の要点を御
説明申し上げた方が御理解に便宜かと思いますので、要点を申しあげたいと存じます。
修正の要点は四点ございますが、まず第一の修正の点は、いわゆる転落
農家、一部保有
農家に対しまして、市町村長が
農業計画を指示いたします場合においては、その
農業計画の中で
供出数量を定めるようなことをしてはならない。すなわち修正文にございますように、その
生産者にかかる
農業計画において、
供出数量を定めないようにしなければならない。こういう点を修正いたしたのであります。この点は供用問題に関しましては、末端の問題が常にやかましい、また大きな問題にな
つておりますが、一般の紛擾は、こういうような一部保有
農家に対する割当問題が常に問題にな
つておりまするし、このことは配給の合理化強化の問題とも
関連いたしまして、また真に
供出計画を合理的にいたします場合においては、この問題はぜひ取上げなければならない問題だと存じまして、こういうふうに修正をいたしたのでございます。
それから第二の点は、
政府提案の
改正法案の第六條におきましては、割当
計画を受けました
生産農家が、異議の申立てをいたします場合に、その異議申立て期間を、ただいまも御
説明がありましたように、知事の定める期間内においてやるようにな
つておるのでございます。現行法は、その指示を受けてから十日という期限がございます。今回の
改正案の趣旨を
政府の方から伺いますと、ただいまも御
説明がありましたように、
地方々々によ
つてばらばらに異議の申立て期間が定められておると、結局
補正をしたりあるいは
計画を立てたりする場合において非常に困る。従
つて最後の締めくくりをするために、期日を統一するために、
都道府県知事の定める期間内において異議の申立てをさせる、こういうような御
説明でございました。その要旨も現在の十日の期限を短縮するような意図はなか
つたのでございますけれ
ども、しかし法文の上から見ますと、それは保障されておりませんので、ところによ
つては現在の十日の期間が短縮されるおそれも感ぜられましたので、
参議院の農林
委員会といたしましては、そういうようなおそれをなくするために、そしてまた
政府ができるだけ期日を整えることを期待しておるとすれば、それはむしろ農民に対してではなくて、割当をする市町村長のところで統一した方がよくはないかというようなことで、第五條のところで、四項に、市町村長が
農業計画を定める場合には、
都道府県知事の定める期間内においてこれを定めなければならぬ、こういうふうにいたしまして、従来の
生産農家が有しておりました異議の申立て期間が不当に短縮されることのないように保障することにいたしたのであります。
それから修正の第三点は、第八条でございますが、
政府提案によりますと、従来御承知のように、天災その他真にやむを得ざる事情によ
つて減収をした場合に、
生産農家から
減額補正の請求権を有してお
つたのでありますが、今般の
改正案におきましては、これまた
政府の
提案理由の
説明によりますと、下からそういう請求権があることをまつよりも、むしろ上からそういような
減額補正の
措置を講じた方が実情に沿う、こういうような
意味の御
説明があ
つたのでありますが、しかし少くとも上からそういうような
措置が講ぜられるとともに、下からもやはり従来通り
減額補正の請求権があ
つてしかるべきではないか。今回の
改正案では、下からの
減額補正請求権を抹殺しておることになりまして、これは
生産農家が有しておりました従来の権利を著しく侵害するものと認められましたので、下からの
減額補正請求権に関する従来の第八條の規定をそのままにいたしまして、それとあわせて上からの
減額補正その他の
供出数量変更の
措置もとられるようにする。追加割当の調整の
措置もまた上から来るのでありますが、そういう上からの
措置は別の條文でいたす。そうして現在の八條の規定はそのまま存置する、こういうような
意味の趣旨の修正をいたしたのであります。
最後に修正の第四点でありますが、市町村農業調整
委員会が有しておりまする指示権の中で、今回の
改正案におきましては、険樹の伐採指示権が存することを法文上明らかにいたしておるのでありますが、この陰樹の伐採につきましては、御承知のように、もしこの伐採指示権が濫に流れますと、
地方においてはいろいろ困難な、また収拾すべからざるような弊害の生ずることも
予想せられまするし、一方
政府におきましても、そういうような事態の生ずることは夢にも想像しておらぬとのことでありますので、その指示権が濫に流れ、そうして弊害の生ずるおそれがあると認められるもの、たとえば保安林のようなものを伐採するとかあるいはこれに類似したものが伐採されるようなことのないように、あらかじめこれらの点について、但書において制限的の規定を設くるようにした方が、むしろ、指示権が正常にスムースに動くゆえんであると
考えまして、その点を修正いたしたのであります。
そのほかの点はそういうような修正に伴いましての整理でございまして、別段補足的に御
説明申し上げることもないと存じます。大体以上のような点が修正の要点でございます。
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