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1949-11-30 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月三十日(水曜日)     午後四時十八分開議  出席委員    委員長代理理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君    理事 川上 貫一君 理事 永井 要造君       阿左美廣治君    岩川 輿助君       門脇勝太郎君    高木吉之助君       中村 幸八君    福田 篤泰君       福田  一君    前田 正男君       加藤 鐐造君    田代 文久君       圖司 安正君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         (通商振興局         長)              通商産業事務官 岡部 邦生君         資源庁長官  進藤武左衞門君         資源庁次長   始關 伊平君         (資源庁石炭生         産局長)         通商産業技官  田口 良明君  委員外出席者         法務府事務官  西村健次郎君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 大石 主計君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出信用保険法案内閣提出第五七号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引続き私が委員長の職務を行います。  まずお諮りいたしたいことがあります。去る二十八日村上勇君が委員を辞任せられたのでありますが、同君理事でありました。昨二十九日再び村上君が委員に復帰されたのでありますが、同君理事としての資格は失われておりますから、この際委員長の指名によりまして両君を改めて理事に選任いたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて村上勇君は理事に選任せられました。     —————————————
  4. 神田博

    神田委員長代理 ただいまより輸出信用保険法案議題として審査を進めます。質疑に入ります。門脇勝太郎君。
  5. 門脇勝太郎

    門脇委員 輸出信用保険法案につきまして、その内容について政府にいろいろ御質問申し上げたいと思います。これは大体最初の御計画では輸出補償法案といつたような相当範囲の広いもので、御計画になつておつたのでございまするが、いろいろな御事情があつて、大方全体のスケールが縮小されたような感じがいたします。従つて質問もこの限度内で非常に小さくなるわけですが、この案によりますると、第二条において、保険会社というのは外国保険会社に限る。現在の経済情勢なり、また国際情勢から考えて、おそらく日本保険会社がこういつたことの対象になるということは、実際的にあり得ないことだということは納得がいくわけでありますが、外国保険会社で現在内地事務所を有するものは、一体どういうような会社がどういうようなぐあいに内地事務所を持つているかといつたような現状下においても、はつきりわかつているとおもいますから、それを拝聴したいことと、それから私は非常にふしぎに感ずるのでありますが、括弧の中に「輸出貨物に係る保険業務につき連合国最高司令官許可を受けているもの」ということがあつて外国保険会社以外に「輸出用貨物に係る保険業務につき」といつたようなことは、どういつたような対象をさすものであるか、これが非常に漠然としておる。極端に露骨に言いますと、最高司令部の方の許可さえ受ければ、どういつたような形態、いわばもぐり式なものでもりつぱにその対象となるのかというような、非常な疑惑を持たれるわけであります。これはいわゆる今まで流の一つ政府抜け穴と言いまするか、大体政府というものはこういうような抜け穴をつくつておいて、そこに一つ緩衝地帯をつくつて、何かしらんよからぬことをするというのが、今まで長い政治の伝統になつておるように私は感じます。この場合はそういうことはないかも存じませんが、そういつたような朦朧たることを法律のうちに書いてあるところに、相当誤解が生ずると思う。その点につきまして、はつきりとひとつ政府見解をお話願いたいと思います。
  6. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの門脇委員の御質問でありますが、第二条の保険会社は私の方の聞き違いかもしれませんが、外国保険会社限つてというような御意見でございましたが、これは原則日本保険会社でありまして、例の大蔵省の方でやつております外国保険事業として日本法令で認めておりますのが、コンチネンタルほか二社あるのであります。そのほか輸出貨物にかかる保険業務においては、連合国最高司令官許可を受けなければならない。これはただいまのところ幾つあるかはつきりしませんが、そういう意味でありまして、原則日本保険会社との契約包括契約をいたす、こういう趣旨でございます。また警告的な御意見に対しましては、さようなことのないように、ぜびやつて行きたい、かように考えております。
  7. 門脇勝太郎

    門脇委員 私は条文を読んで、その保険会社ということが書いてあつて、その中に括弧がしてあつて保険会社定義というのが大体きめてあるように読んだのですが、法文の書き方が悪いのかもしれませんが、明らかに保険会社というところに、外国保険会社ということが書いてあるのですが、その方が常識的だと私は考えておりますが、一体今こういつたような世界的な一つ保険契約をするのに、外国に対して一つの支店も持つておらぬというような内地会社だけが、こういう広汎な対象になり得うるかということについては、実際的な疑問があると思う。その点をひとつはつきり、これは内地の方に使えるような状態になつておるとすれば非常にけつこうでありまするからして、それは私も喜ぶことなのでありますが、しかし気持だけ喜んでも、実態がそういつたような組織になつていないものをむりに使うことにむりがある。それから今司令官許可さえあれば形態はどういうようなことでもということも解釈できるように言われましたけれども、これに対してもう一つ明確なる御回答をお伺いしたい。
  8. 宮幡靖

    宮幡政府委員 第二条の括弧内でありますが、あるいはプリントが悪いのかもしれませんが、保険会社という字のもとに括弧から括弧までの間は括弧書きの中にあるものを含むという意味であります。それだけに限定するという保険会社定義をきめたものでないので、「含む」となつておりますのは、ただそれを含んでいるという意味なのであります。あとの方にただいま日本法律で認められております二会社のほかに外国保険会社がありまして、連合国最高司令官許可を受けるというのは、もちろんだれでもよいのではなくて、外国保険会社に限られることになつておりまして、そのあとのことが最も重要な御質問でありますが、日本も御承知のようにめくら貿易打開のために、非常に骨を折つております。次に通産省といたしましては、外務省と終始緊密な連絡をつけまして、一日も早く通商事務所あるいは貿易事務所というようなものを海外に置いてもらいたい。出先機関も早くつくつてもらいたい。一般の商人も、輸出業者も、あるいは学者も、あるいは技術家も、役人も、みな渡航のできるようにしまして、事情をよく知つて行きたい。これが貿易振興一つ考えであることは、しばしば申し上げておきましたが、特に保険業務につきましては、保険事故外地に発生いたしました場合には、この査定を要するわけであります。従いましてこの査定につきまして、直接外地日本駐在員等がない場合の不便がありますことは、お説の通りであります。これは運用の前において非常に困難な事態に立ち至るであろうと、当局自身としても御所見通り心配いたしておりますが、順次貿易事務所等の開設にまちまして、それぞれの事故発生日本人の側において、少なくとも日本政府の側において、査定等をいたすことができますような方法考えて参りたい。現在のところでは門脇委員のお説は、私どもが心配しておりますこととまつたく同様なものであることを、遺憾ながら申し上げねばならないと思うのであります。
  9. 門脇勝太郎

    門脇委員 それは戦前のように海外に対する連絡機関事務が自在でありましたならば、これは非常にけつこうでありまするが、現在のように海外に対する連絡が何らなし得ないといつたような窮状に追いつめられておる現状において、内地保険会社がそういつたような世界各国に対する貿易関係危険状態に対するところの、信用保険を取扱うということが、はたして実際的にできるかどうかということについては、私は非常に疑問を持つわけであります。またこれが将来打開されるということの見通しのために、つくつておくのだということであるならば、それはそれでよいのでありますが、なおこの括弧内の問題になりますが、最高司令部許可を受けるというものは、要するに保険会社であるならば、この括弧内の後半が不要だと思います。こういつたようなつけ足り文句があることが非常に将来疑惑を招くもとになると思います。これははつきりむしろ外国保険会社なら保険会社内地事務所を有して、しかも最高司令部許可を得たものということになれば、特にこういつたような疑惑はとれると思うのであります。こういう点につきまして、はつきりした御見解を承りたい。
  10. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまのお説ごもつともでありまして、日本法令で取締まることのできます外国保険会社は、二社に限定しておりました。これは第五国会でも非常にやかましく大蔵委員会等で審議せられた問題でありまして、日本保険会社とのいわゆる不平等なる競争の起きないようにという配慮からやつたのですが、この問題については「輸出貨物に係る保険業務につき」というような広範囲なものではたいへん困るじやないか、こういうことはまつたく同感でございます。しかしながらただいまのところは円建運賃円建保険というようなことが行われておりません関係で、どうしても輸出FOB価格あるいはOIFということがやかましくいわれておることは、門脇さんも御承知通りでありまして、そういう関係で、ただいまの状況では邦船円建運賃円建保険料というという制度が実現されないという御意見は、ごもつともでありますが、ここに書いてありまする方法以外に、直接日本で認めまする外国保険会社日本円建保険を扱う外国保険会社そのもののうち、最高司令官許可を受けたものというような書き方はできないような状況にあると思います。
  11. 門脇勝太郎

    門脇委員 そうしますと、こういつたぐあいに文字は書いてあるけれども政府の真意は円建保険契約を結ぶという意味なんですか。その辺をひとつはつきりと伺いたいと思います。
  12. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまそういうことができないので、現在の段階でできますのは、外国保険会社輸出貨物にかかる保険業務を行つておるもの、そのうち最高司令官許可を与えたもの、こういうことに限定して示してあるわけであります。
  13. 門脇勝太郎

    門脇委員 初めからそういうように親切におつしやつていただくと、むだな問答は必要がないのでありますけれども、やはりそこまで食い下がつて行かぬと、ほんとうのことをおつしやらないのでたいへん手数がかかる。そこで実体的にはやはり外国保険であつて円建保険契約の結べるものであるが、この場合現在としましては、日本会社海外連絡が不十分であるというようなことによつて、実際的にはなし得ないということが今大体考えられるわけでありますが、こういつた場合外国の大きな機構を有する、莫大な保険会社と一々日本輸出業者が直接相対して契約折衝をすることになるように、私今この法案を見て考えておるのでありまするが、そういう場合に、日本弱小輸出業者が直接そういつた大会社にぶつかつて行くということにおいて、これは一つの取扱い的な問題でありまるすが、その間にきわめて親切にスムースにやつてくれるか、非常に大きいがために昔流の官庁みたいな構えで応待されるということになると、せつかく制度十分業者が活用しかねるというようなこともありますので、その辺の親切な、実際的な現在の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先ほどの私のお答えで足りないところをまず補足さしていただきますが、この保険が以下括弧の中を含むとなつております。この保険本法に定める規定に関する限り、保険円建でございますからそれを御承知願いたいと思います。これは円建保険であります。それからただいまの保険会社との取扱いについて、従来のような大規模のものになれておつて、これからの中小のものに対してははなはだ不親切であろう、こういうことも実際問題として大いに考慮を要する問題でありますが、本法が施行されます段階となつて参りますならば、保険協会と緊密なる連絡をとりまして、さようなことにおいて業者を悩ませないような、最善と考えられます手配をいたすことにいたしたいと考えております。
  15. 門脇勝太郎

    門脇委員 この保険料は、政府保険会社に支払う保険金並びにこの施行に伴うて必要とするところの、事務取扱費を償うに足るものであるということが、規定されておりまして、さらに今政府においても、そういつたような保険会社においても、会社自体政府自体が直接的な損害をしない、要するに契約者が全面的に負担して行くということの計算に帰決するというように見えるのでありますが、そうしますと将来の損害というものを見越して、事前に保険料をきめるという計算は、どういうところに根拠を持つかということを伺いたい。それからそういつたようなことが非常に時期々々によつて平均しないということになると、保険料浮動性があるということも考えられるわけでありますが、そういう点の調整はどうなりますか。
  16. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ごもつともの御質問であると思います。ただいま考えております保険料は、第二条の第三項にあります輸出信用保険審議会に諮問いたしまして、政令で定めることになつておりますが、ただいま考えておりますところは、この保険目的は第一条にありますように、通常の保険保険できない事項、それを対象としております関係で、率につきましては大体定額的に考えておるわけであります。今の通産省としての考え方は千分の二・五を標準といたしたい、そうしてこの法律に定められました輸出信用保険審議会に諮問いたしまして、決定いたしまして、政令で公布するようにいたしたい、かようになつております。
  17. 門脇勝太郎

    門脇委員 大体今そういつたような一つの世界的な基準があるでしようから、とりあえずそういつた基準をはずれぬような範囲において、徐々に形態を見て行くということになると思いますが、ただいまおつしやつた保険審議会というものが形式的な存在になつて、よく官庁にあります何々審議会というような例に漏れぬものであつて、結局あつてもなくてもいいような存在であるという、弊害に随して、ほんとうの業界の意見が直接に深刻に受入れられぬといううらみは、従来しばしば見る例です。今回の輸出信用保険審議会は一体どういう内容をもつて構成されるか。この条文を見ますと、ほとんどが現役のお役人のような感じを与えるのでありますが、いわゆる業者側から、少なくともその過半数はほんとうの生きた意見を吐露する部面から採用されるかどうか、そういう仕組の内容につきまして承りたい。
  18. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまの審議会構成は、法案の第十三条にございまして、委員の数は九人以内で組織することになつております。通産大蔵為替管理委員会、安本、それに貿易業者及び保険業者学識経験者等をもつて組織いたしまして、大体構成は官民でわけますと、五対四かその程度になるつもりでございます。それらの点について御意見がございましたならば、十分国会の御意向を尊重して考慮いたしたいと思つております。
  19. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいまの御説明の五対四という比率は、これは大分官庁側が譲歩された比率のように感じまするが、官僚だけの機構にならぬように、広く民間業者の生きた意見が反映するような仕組みに、内容を組織されんことを切望しておくわけであります。なお包括保険契約総額は、これは会計年度ごと国会議決を経て決するということになるのでありまするが、この国会議決した総額と、その年度内におけるところの実際上の契約高というものに——それは国会議決が非常に大きな金額でありましたならば、別に不自由はないのでありまするが、もしその金額が少ない場合に、結局年度末間際になつた場合において、その金額に制限されて自然保険の方が実行でき得ないといつたようなうらみも起こるわけでありまするが、そういつた場合の調節はどうなりますか。
  20. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御説ごもつともでありまして、ただいまのところでは五億の予算が計上されております。それで法の精神は、国会議決していただきました予算を越えます部分については、かりに事故が起きても損失の補償ができないことになるのが当然であります。そこで二十五年度運用といたしましては、これをさらに拡大いたしまして、借入金等も含めまして十五億程度補償ができますような保険経営をいたして参りたい。かような考えでただいまおります。年度内におきましては五億でありますが、これを越えて補償しなければならないようなものについては、包括契約がその限度になつておりますので、包括契約限度を越えた保険事故については補償しない、かようなことになりまして、その結果は御意見の中にも含めてありますように、それでは何もならぬじやないかというようなことになると思いますが、さしあたつて本年は補正予算に載つておる通りの五億で出発する。かような状態であります。
  21. 門脇勝太郎

    門脇委員 日本貿易現状からいいまして、そういつたような要求された金額で、はたして十分であるかどうかということにつきましては、これは相当専門的な見解をもつて御調査になつた結果であろうと思いますから、むしろ私どもがかれこれ申し上げるよりか、その方が精巧だとは考えまするが、せつかくそういう制度がしかれる以上は、やはり業者側も十分に安心をして、恩恵にあずかり得るように、はやり相当の余裕を見越してやつていただきたいということを、切に私どもは希望するわけであります。従つて通産大臣が場合によつて輸出契約ごとに、保険契約金額限度を定めることができるというような規定もあるようでありまするが、自然そういつたような大きな総額ににらみ合して、一々これが政策的に削られるというようなことになりますると、せつかくできた法律が活用されぬといううらみが多々あります。今の総額と個々の契約限度を定めるということとにらみ合して、十分実際的に活用に支障がないように、そういつた点の調整を十分にできるようなことに仕組んでいただきたい。それに対する見解を伺いたい。
  22. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御意見もつともでありまして、この法案にも第十条その他におきまして、さような趣旨規定してあります。これで決して万全であるとは考えませんので、門脇委員のお考えのように、ぜひこれを巧みに運用して参るために、一層のくふうを凝らしたい、かように考えております。
  23. 門脇勝太郎

    門脇委員 本法案大分最初計画から消極的に転化しておるようでありまして、その点法案全般につきましは、私どもといたしましては消極性と言いますか、相当の不満を感ずるわけであります。将来あらゆる機会に、もつと全般的な補償を生かして行くように、最初積極性のある法案に復帰されるように、これを切望しまして私の発言を打切ります。
  24. 神田博

    神田委員長代理 次は小金義照君。
  25. 小金義照

    小金委員 ただいま議題になつておりまする輸出信用保険法案について、私は大きな点からひとつ政府所見を伺いたいのでありますが、この法律を一応読んで見ますると、何だか日本語としてずいぶんわかりかねるようなところがあるので、このごろの法律書き方はこういうようになるのかしれませんが、特にあまり手がけておらないような外国貿易関係の、日本自主性をとらんとする手段一つとしての立法であるためであるかしらぬが、どうもピンと来ないような箇所もあります。従つて逐条的にそれらの点もよく質問いたしまして、疑問を解くと同時に、根本問題として政府当局に伺つておきたいのは、提案理由説明の中に、本法日本輸出貿易確立振興をはかる。これは第一条に目的として掲げておりますが、一体この法律を施行してどの程度輸出貿易確立振興がはかれるのか、どのくらいのウエートを置かれますか、これをもつてやればどのくらいふえる見通しがあるのかというようなことは非常にむずかしいですが、しかしまずもつてアウゲン・マッセーといいますか、常識的な見通しというものは大事であります。これをもし宮幡政務次官において御回答をくださるならば一応伺つておきたい。
  26. 宮幡靖

    宮幡政府委員 小金委員の御質問はきわめて適切なお尋ねであろうと思つております。具体的にそれではこれによつて輸出確立振興ということが、どの程度可能であるかという御質問は、これまたしごく適切であるとともに、しごく答弁に苦しむ問題であります。これはもう委員会のことでありますので、はつきり申し上げればあるいはおしかりをこうむるかもしれませんが、輸出振興確立というようなことにつきましては、かようなことだけで足りるとは考えておらないのでありまして、この保険措置というものにつきましては、この法律がないよりよほど振興するであろう、こういう程度考え方しか持つていない法律案であります。
  27. 小金義照

    小金委員 これは宮幡政務次官お答えもつともで、そうだろうと思つておりますが、実はこの提案理由を見ましても、きわめて心細いような感じがいたしますのは、第一にわが国の経済の自立も遠からず実現するであろうと思われる。しかしその内容としては貿易振興が一番大事である。ところが今年下半期に入りまして、輸出上昇の速度はようやく鈍化し始めて来ております。そうしてこのような現象は、主として海外市場ドル資金不足海外市況悪化ポンド切下げ等貿易上の悪条件の累積に基くものと思われますが、また一方海外との取引は、国際情勢の変動に伴う経済上及び政治上の諸制約云々ということを言われておりますが、世俗の悪口をここに引用いたしますると、いつも政府自体海外市場ドル資金不足海外市況悪化ポンド切下げ云々とこれに籍口するように言われております。しかしながらこれは実際当局として行政事務を進められる上においてはこう言わざるを得ないし、またこれは実態でありましよう。しかしこの難局、この悪条件を切開する一つ手段としてこういうことを考えられて、何がしかの役に立つであろうということで法案をお出しなつた。これは一応ごもつともと私はその点は、了承するのであります。しかしながら何ぼたつても今あげました三つの海外市場ドル資金不足海外市況悪化ポンド切下げということを掲げるようでは、これは日本貿易ほんとうに伸びない。この字句をとるような、具体策として相当強いものを出していただきたかつたのが、私どもの本心であつて、おそらく宮幡政務次官初め政府当局はそういうつもりであつたでしよう。しかしながら先般経済安定委員会及び大蔵委員会との合同審査で、われわれが説明を聞きました、外国為替及び外国貿易管理法案の際も申し上げたし、あるいはまた議論になつたと思われますけれども、この外国為替及び外国貿易管理、この法律を施行するために、こういうものが必要だから急いで出したのだ、こういうことをこれにはつきり言われております。元来十二月一日と申しましても、明日から輸出の方は非常な自由な立場に置かれる。これを実実行するためにこれが必要だというので、急いでお出しなつたとことはよく了承いたしますけれども、まずよくこの法律案を一読いたしまして、適用の範囲が非常に狭きにすぎないか、こういう問題を感じます。こういう問題をわれわれは取上げたいのでありますが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか、御意見を承ります。
  28. 宮幡靖

    宮幡政府委員 小金委員の御質問は一々ごもつともでありまして、提案理由にさような字句を書かなければならないようなことは、非常に残念に思つております。ちよつと速記をとめて。
  29. 神田博

    神田委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  30. 神田博

    神田委員長代理 速記を初めて。
  31. 宮幡靖

    宮幡政府委員 さような状況でありますので、この際経過を申し上げまして、特に委員各位の御了承をいただく次第であります。
  32. 小金義照

    小金委員 当局のいろいろな苦心並びに客観情勢等はわれわれは十分了承できるのであります。通常の保険制度によりまして、救済することのできない輸出商品の船積み後の特殊の危険を担保するところの輸出信用保険事業を行わせる、こういうことでたしかにこれはいいことです。これもなきに万々まさることもちろんでありますが、われわれはもつと建設的に、そしてすみやかに輸出振興をはかるようよき法律をつくつて行きたい、こういうことを念願するものでありまして、これについては、たとえばどういう方法で救えるかは別といたしまして、今日日本の品物は、契約ができましても、また実際に輸出いたしましても、腑に落ちないようなクレームをつけられ、その契約をキャンセルされる、これのための損害が、相当大きくなつて来ていると私は推察するものであります。ところがこれに対しましても盲貿易であり、また外国の船に頼るものであるから、海外の支店問題等も許されておらないし、まことにやむを得ないということで、今日まで来ておつたのが実情ではないかと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  33. 岡部邦生

    ○岡部(邦)政府委員 小金委員の言われた通り状況でございまして、大体繰返して申すようでございますけれども、英国の制度を御参考までに申し上げますと、大体こういう船積み後の損害を填補する制度もございますし、それと同時に、コントラクト・ポリシーで、契約証券、生産資金の融通というものの保証をやつているわけであります。そういうこととの調整をぜひこのたびの法案でするということで考えておつた次第であります。
  34. 小金義照

    小金委員 輸出貿易振興をはかるためには、日本人の海外渡航、海外事務所の設置、協定貿易の促進、あるいは海外からの情報をキャッチするところのいろいろな情報網、これと並行して、わが国内の企業の合理化、コストの切下げとか、あるいは能率の増進とかいうようなことが常にうたわれます。これもまことにごもつともで、こういう複合的な、調合による施策、すなわち薬で言えば、いろいろなものを混ぜ合わせた薬を盛らなければ、なかなか効果がないものであるということは、これは一応わかりますが、これも、いつでも海外渡航ができれば、あるいは海外事務所を設置することができれば、貿易が増進するというお題目だけにとどまらせたくない。どうしても海外の渡航とか、あるいは事務所の設置というようなことが問題になり、これについては、あるいは外務委員会等で御説明になつておるかも知れませんが、一応今どういう見通しにあるかを承ることができれば、ひとつ御説明願います。
  35. 岡部邦生

    ○岡部(邦)政府委員 海外の渡航の点から御説明いたしますと、現在いわゆるリテンション制度によりまして、海外渡航の許可が得られるようになつております。これにつきましては、通産省側におきまして許可いたしましたのが、大体百八十件を越えております。それを司令部に出しまして、司令部の方で各国の入国バリデーション等をもらいまして、それによつて旅券を発行して行くということになるわけでございます。たとえば豪州とか香港とかマレーというような非常にバリデーションを得がたいような地区もございます。中南米のごとく利益代表がおらぬところもございまして、非常にこれが遅れておりますが、ただいままでに許可されたのは約十九名ぐらいでございます。大体普通に許可されるようなものは、どんどん出て行く傾向にあるようだと考えております。  それから代理店の問題及び事務所の問題につきまして、同じくリテンション制度によります代理店の送金事務が、原則としてできることになつておりますけれども、今そのときの代理店手数料は幾らにするかという点につきましてはまだ意見が一致しませんので、実行し得ないような状況でございます。  なお少し様子はかわるかも知れませんが、海外事情を把握するという点におきまして、展示会の考え方がございます。確実に行いますものは、来年三月、シャムにおいて米穀機会の展示会がございます。そこに出品したいというように考えております。  なおアメリカのニューヨークにおきまして司令部の事務所がございます。従来飛行機会社日本の商品を持つて参りまして展示しておりますが、それが非常に好評であつたということに着目いたしまして、これを積極的に拡充して行きたいという計画を持つております。ニューオルリアンスにおける展示会も計画しておりまして、これらはいずれも明年度行うように相なると考えております。  なお海外の市場の変化及び情勢を察知するために、英国のペトロ制度をぜひ布きたいというように考えておりまして、これも明年度あたりからそういう次第にいたしたいというわけで、ただいま研究をいたしておるわけであります。
  36. 小金義照

    小金委員 明年から輸出貿易については、相当な自由が認められるといたしましても、まだわが国は占領下にあるわけでありまして、独立をいたしておりません。そこでただちに英国の制度のいいところをとつて実行しようと思いましても、なかなか困難もありましよう。その間の御苦心は重々お察しするのでありますが、先般の提案理由説明の中に、輸出貿易振興策の一つとして、協定貿易の促進云々ということを言われておりますが、これは先般この席上で通商産業大臣から、日英貿易協定の説明がありましたが、それらを含んでおるものでありましようか。もしその日英貿易協定のほかに協定貿易の促進の方面について、何か承ることがありましたならば聞かしていただきたい。
  37. 宮幡靖

    宮幡政府委員 日英貿易協定を含んでの説明でありました。  なお申し上げてさしつかえない範囲におきますと、先般も申し上げました日韓の協定があります。それから日タイの貿易協定がただいま進行いたしております。それから日独の貿易協定も、これはもう成立いたしたと申してもいいのですが、司令部が間に入つてやる関係上、司令部の発表によつて皆さんにお知らせするということで、ご承知願いたいと思います。また南米方面についても協定が進んでおります。大体今そんなような状況であります。日韓につきましてはご承知のように、小瀧通商監がオブザーバーとして参加し、日タイの協定につきましても官吏の面としてただいま渡航しております。
  38. 岡野清豪

    ○岡野委員 日本の基礎産業の問題に関連して、中華民国における石炭だとか、鉄鉱石だとか、塩だとか、そういうようないろいろな重要物資について、私は承りたいのでありますが、これはなかなかデリケートな問題が国際的に包含せられておるようでありますので、ただいま説明がなかなかしにくいと思いますけれども、もしそれが御説明できることがありましたならば承ります。ただしいろいろ関連するところがデリケートでありますので、政府当局として言えなければよろしゆうございます。
  39. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ご承知のような国際情勢でありますので、ただいまのお尋ねは通産省としても特段の資料も情報も持つておらないような始末で、お話を申し上げる段階になつておらないということを御了承いただきたいと思います。
  40. 小金義照

    小金委員 この法案をめぐつての漠然たる問題にお答えを願つたのでありますが、先ほど申し上げましたようにどうもこれは逐条的に審議して参りますと、適用の範囲あるいはその手続等についてまだよほど研究しなければならぬところがあるようにも見受けられます。こういう法案を出すならばできるだけその効果を上げるということが、最も大切なねらいでありますので、私どもとしてさらに研究いたしたいのでありまして、その上でまた大臣、政務次官、事務当局にお尋ねいたします。本日は私の質問はこの程度で中止しておきます。
  41. 神田博

    神田委員長代理 お諮りいたします。本日はこの程度で散会し、明日午後一時より再開いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  42. 神田博

    神田委員長代理 御異議ないと認めます。本日はこれにて散会し、明日は午後一時より開会いたします。詳細は公報をもつてお知らせいたします。     午後五時八分散会