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1949-11-26 第6回国会 衆議院 通商産業委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十一月二十六日(土曜日) 午後二時四十一分
開議
出席委員
委員長代理理事
神田
博君
理事
有田
二郎君
理事
小金 義照君
理事
今澄
勇君
理事
有田
喜一君
理事
永井 要造君
理事
山手
滿男
君
阿左美廣治
君 岩川
與助
君
門脇勝太郎
君 關内
正一
君 多
武良哲三
君 中村 幸八君
福田
篤泰君
福田
一君
淵上房太郎
君 前田 正男君
加藤
鐐造君
山口シヅエ
君
高橋清治郎
君 田代 文久君
田中伊
三次君 河野
金昇
君
出席政府委員
通商産業政務次
官
宮幡
靖君
資源庁次長
始関
伊平君
通商産業技官
(
資源庁石炭生
産局長
)
田口
良明君
委員外
の
出席者
專 門 員 谷崎 明君 專 門 員 大石 主計君 專 門 員 越田 清七君 十一月二十五日
委員關内正
一君及び
龍野喜一郎
君
辞任
につき、 その
補欠
として
尾崎末吉
君及び
福田篤泰
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 同月二十六日
委員尾崎末吉
君
辞任
につき、その
補欠
として關 内
正一
君が議長の
指名
で
委員
に選任された。 ————————————— 本日の会議に付した事件
特別鉱害復旧臨時措置法案
(
内閣提出
第四二 号) —————————————
神田博
1
○
神田委員長代理
これより
通商産業委員会
を開きます。 前会に引続き私が
委員長
の職務を行います。まず
委員
の異動についてお知らせいたします。昨二十五日
龍野喜一郎
君が
委員
を
辞任
せられ、新たに
福田篤泰
君が
委員
となられました。以上念の
ため
にお知らせいたしておきます。 —————————————
神田博
2
○
神田委員長代理
次に
特別鉱害復旧臨時措置法案
を議題として質疑を継続いたします。
淵上房太郎
君。
淵上房太郎
3
○
淵上委員
特別鉱害
につきまして
委員各位
の
愼重
なる御
検討
を
願つて
おるのでありますが、この問題につきましては、
石炭
というものが
国民
にと
つて
必要な
重要資材
でありますので、
従つて石炭
が
国家
の
要請
に応じて出されておるという点からいたしまして、今日非常に大きな
鉱害
を
関係方面
に与えておるのでありますが、これは当然
国家
が
賠償
すべきものであるという
考え
方を持
つて
おるのであります。
国民
全部が
石炭
を使うとい
つて
、しかもこの春までずいぶんその筋の督励を受けて
増産増産
とい
つて
や
つて
来られた
ため
に、実に悲惨なる
状態
にな
つて
おるのでありまして、
委員各位
も適当なる時期に、なるべくすみやかな
機会
に
現地
をお視察願いたいのであります。
先祖伝来
の美田は沈下陥没いたしまして、まるで海のようにな
つて
おる。ひどい所は五メートル、八メートルの深さにな
つて
おる。あるいは住宅のごときも倒壞傾斜いたして実にひどい
状態
であります。かりに
福岡
県のみについて見ましても、すでに一万一千町歩の
耕地
が
荒廃地
になり、あるいは池にな
つて
おり、二万数千戸の
家屋
が今や倒壊あるいは傾斜して住むにたえないような
実情
にな
つて
おるのでありまして、
耕地
、
家屋
のみならず道路、橋梁、堤防、
港湾等
、
公共施設
につきましてもその損害まことに甚大なるものがあるのであります。とうていそのままにできないので、すでに
昭和
八年以来
国庫
の
補助
をいただいて
福岡
県のごときはその
復旧工事
をいたしております。たまたま
昭和
二十年、二十一年の二箇年だけ中断したのでありますが、二十二年度以降につきましても、あらゆる
方法
をも
つて
その
復旧工事
に苦労しておるのでありまして、
国庫
の
補助
もいただくべく努力しておるのであります。また
企業者
の
立場
から行きましても、すでに御案内のように
配炭公団
のありました
期間
は
プール資金
によ
つて
十何億円ずつの
負担金
を全国的に受けておるのでありますが、
九州
各県の
大手筋炭鉱
四十何鉱につきましては、その
配炭公団
の
プール資金
のほかに
トン当り
三十六円いくらの
負担金
を出してもら
つて
おるのであります。そうして
復旧工事
を継続いたしておるような
実情
にあります。もし
炭鉱業者
に経済的な
余力
がありますならば、当然できるだけの
負担
をしなければならないのでありますが、御
承知
のような
産業界
の
実情
でありますので、とうてい
業者
の
負担
は大きく課せられないような
状態
で、いつまでた
つて
も
復旧
ができないのであります。地元の府県なり、
市町村
はあらゆる
負担能力
に応じて
負担
をいたしておるのでありますが、これまた現在の
県内市町村
の
財政
の
立場
からい
つて
も、とうていその
負担余力
がないのであります。冒頭申し上げましたように
国民
全部が必要な
ため
に掘られた
石炭
であり、ことに近年数年にわた
つて
強行
採掘され、この
鉱害
が特にひどくな
つて
おるような
実情
からいたして、これは
国民
全体の
負担
であり、
国家
が
負担
すべきものであると思うのであります。この点に立ちまして
通産省当局
の御
意見
を伺いたいと思います。
宮幡靖
4
○
宮幡政府委員
淵上委員
の御体験から、また現場の
実情
をよく御
承知
の
立場
から、御
意見
につきましてつつしんで傾聽いたすわけであります。これを国の
負担
において全部
復旧
したらどうかという御
意見
は、一応ごもつともだと存じます。御
承知
のようにこの
特別鉱害
の
発生
は、すでに私より
淵上委員
の方が詳しいわけでありまして、これは戰時におきまする
濫掘——通常
の
鉱害
とは趣を異にした、名前の
通り特別鉱害
でありまして、これは残念ながらただいまの観点から見ますると、
一般
の
鉱害
のように
金銭補償
をも
つて
償うべき範囲を超えておるのでありまして、
公共事業費
としてこれを支弁いたしますことは現在の
状況
においては不可能であります。この問題につきましてもしばしば
委員会
においても申しました
通り
、何とかして国の
負担
においてできないものであろうか、かようなことで最初は
特別鉱害復旧
の
ため
の
政府
の出資と申しまするか、
負担金
の支出をいたしまして、
復旧金庫
のようなものをつくりまして操作いたしたい、かようなことも
考え
ましたが、国内の情勢及び現在の
財政措置等
とにらみ合せましても幾多の矛盾があります。また
関係方面
の御了解も得にくいような
状態
で、残念ながら結論におきましては、
国家
の
負担
において施工いたすことができないような段階にな
つて
おります。どうぞこの点は御了承いただきたいと思います。
淵上房太郎
5
○
淵上委員
ただいま申しますように、
昭和
八年以来
国庫
の
補助
をいただいて
復旧工事
をいたしておるのであります。今次官から
お話
のごとく、近年非常に
強行
された
ため
に、その
鉱害
がきわめて深刻なものにな
つて
、現在なおその
鉱害
の深度を深めつつ進行中であるのであります。私は特に
政府当局
の
愼重
なる御
検討
を願いたいと思いますのは、
昭和
二十三年の四月十日、当時
芦田内閣
であ
つた
かと思うのですが、
九州
、
山口地方
における
鉱害
の
対策
に対する
閣議決定
があ
つたの
であります。この
閣議決定
は私が申し上げるまでもなく、とうていそのままに放任することができないという
実情
にあるが
ため
に、
国費多端
の
折柄
、あるいは
業者
の採算が非常に不利の
折柄
にもかかわらず、特別の
措置
を講じてもら
つて
おるのであります。現
内閣
が本来の御
方針
といたしまして、
公団
をできるだけ廃止する。
統制
をできるだけ撤廃する、この御
方針
であることはいろいろ論議もありましようが、まあやむを得ません。しかし
公団
を廃止されまするならば、この
公団廃止
による跡始末だけは、とにかくや
つて
いただかなければならぬ。すでに昨年の四月から一年半にわた
つて
、今日まで
復旧工事
を継続中であるのであります。実にいろんな悲惨な
実情
がある。ひつくり返
つて
とうてい住むにたえない危險な家が
相当
ありましても、やがて
鉱害復旧
の
プール資金
にかわるべき
鉱害
の
対策
が確立されるからとい
つて
、一応みんなを待たしております。各
市町村長
は実につらい
立場
におります。もしもこれが不幸にして
鉱害復旧工事
のできないようなはめに立ち至りますならば、
復旧割当
が一応きま
つて
おります
地方
といたしましては、きわめて重大なる問題が起ることを、われわれ国会としては十分認識しなければならぬと思うのであります。單に
農耕地
がだめになるということも大問題でありますが、それのみならず
国土保全
及び治安の上からきわめて重大なる問題が起る恐れがあるということを、
委員各位
にも十分御認識を
願つて
おきたいのであります。本会期は日数も少いのでありますが、できますならば、一日も早く御
審議
を
願つて
、あるいは
政府
の方もその御
方針
でお急ぎをいただきまして、九月十六日以降の
プール資金
のなくな
つたの
にかわるべき
措置
を急速に講じていただきたい。
鉱害地
の
実情
を認識いたしておる私
ども
といたしましては、切に
政府当局
並びに
委員会
の
皆様方
にお願い申し上げる次第であります。 もう
一つ
私がここにお伺いしたいと思いますことは、これが今月なり、来月なりに本
法案
が成立しまして、そうして
鉱害復旧
の
財源
が、
プール資金
にかわるべきものからとることができるといたしまするならば、九月十六日以降三、四箇月にわたる間の
財源
のギヤツプがここにできるのであります。それに対しては
政府
はどういうお
考え
をお持ちでありますか、その点も一応御
説明
願いたいと思います。
宮幡靖
6
○
宮幡政府委員
前段
の
淵上委員
の切切たる現在の
特別鉱害
に対する
復旧
の要を説かれておりますお説に対しましては、ま
つた
く悲壮なお
考え
でありまして、
政府当局
としましても、ま
つた
く同感でございます。
最後
のお尋ねの
配炭公団廃止
後、この
法律がかり
に施行せられるとして、その問の
空間
をどうして埋めるかという問題でありますが、これはただいまのところ
国家
の費用をもちましてこの
空間
を補填することは、すでにしばしば申し述べるような
状況
で、これは不可能でありますが、この法第二十二條の中に定めましたいわゆる
納付金
の
減免
の
規定
があります中に、この九月十六日以後なお
特別鉱害
の
復旧
に、
鉱業権者
が従来
プール資金
から支拂われました
負担
を越えて、御
負担
をなさるような場合には、ぜひとも
減免
の
規定
を適用いたしまして、若干なりともその犠牲を緩和して参りたい、かように
考え
ております。それ以外にはまことに遺憾でありますが、現状から申しまして、特に
政府
からつなぎ的な
資金
、あるいはつなぎ的な援助ということを、いたすことのできないような
実情
にな
つて
おります。この点御了承を願いたいと思います。従いましてこい願わくはこの提案した
法案
それ自体も、現在の
事情
に押されまして、まずも
つて
これ以上のものはないという
考え
で、御
審議
に訴えておるわけでありますが、かりにこの
法律
にまだ不十分の点がありましたならば、次の
機会
におきまして十分御
審議
の上御修正を決していとうものではありません。しかし
事情
が御説のように差迫
つて
おりますので、本
委員会
に対して押しつけがましいことでありますが、この際一日も早く、この
法律
を施行して中断されておりますところの
特別鉱害復旧
を続けて行きたい。これがただいま
政府当局
の
考え
ておりまするところのねらいでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
淵上房太郎
7
○
淵上委員
私もこれ以上申し上げる必要はないかと思うのでありますが、なお他の
委員
の方々の御
質問
に関連しまして、
質問
させていただきたいと思うのであります。一応これで私の
質問
は打切りたいと思います。
神田博
8
○
神田委員長代理
この
機会
に、
政府側
に
資料
の御
提出
をあら
ため
てお願いしたいと思います。先般来要求してありまする本
法案審議
に必要とする、すなわちこの
被害地
及び
加害炭鉱名
及びその
被害額
、また
加害額等
をできるだけすみやかに詳細に御
提出
願いたいと思います。なお
政府
は戰時中の
強行出炭
の
ため
生じた
被害
であるということを、しばしば言われておりますので、これらについてはさような
指示
をされた
書類
があるだろうと思うのであります。
命令書
というか、
指示書
というかさようなものも、あるいは焼けてないものもあるかもしれませんが、できるだけ詳細に整えられまして、本
委員会
に配付していただくように願いたいと思いますが、いつごろまでにさような
書類
がいただけるか、御返事が伺えるものなら、この席で御返答願いたいと思います。
淵上房太郎
9
○
淵上委員
資料
の
提出
を今要求されましたので、関連して申しますが、
先ほど
来申しますように、
昭和
八年から
鉱害耕地
だけだと思いますが、
耕地復旧
の
国庫
の
補助金
が出ております。
昭和
八年以降の
耕地復旧
の
補助金
の調べも、あわせて御
提出
願いたいということを要求いたします。
宮幡靖
10
○
宮幡政府委員
ただいま
委員長
から仰せの
前段
の
資料
及び当時の
命令書
、これは大体
軍需省
から発した
命令
でありまして、二、三これを立証いたしますものが保管されております。月曜日の午後までに全
資料
をとりそろえて、提供いたしたいと存じます。
神田博
11
○
神田委員長代理
重ねて伺いますが、
加害炭鉱名
の分、
被害町村名
の分は、大体わかりますけれ
ども
、
加害炭鉱別
に集計されたもの、これはどこの山、だれが持
つて
いるか、言いかえるならば三井とか、三菱とか、何々のどこの
炭鉱
がい
くつ
あ
つて
、合計してどこを加害しておるかという意味ですが、九十八億という
資料
が出ているから、ある程度わかると思いますが、これがわからないと、
ちよ
つと
審議
上困りますから、これもお願いいたしたいと思います。 ほかに何か
資料
を御要求なさるなら、一括して……
加藤鐐造
12
○
加藤
(鐐)
委員
私が要求したい
資料
は、今
委員長
が請求せられました
加害炭鉱別
の数字は、必ず調査しておられるかと思いますから、これを出していただきたい。それから
濫掘命令
の出たあとの毎月の
出炭量
、これは
簡單
ですから、できると思います。それからこれは
簡單
で、この場合でもお答え願えると思う問題でありますが、
加害炭鉱
の全
出炭
におけるパーセンテージ、これだけを
資料
として出していただきたいと思います。
宮幡靖
13
○
宮幡政府委員
承知
いたしました。
神田博
14
○
神田委員長代理
それでは次は
今澄
勇君。
今澄勇
15
○
今澄委員
簡單
に本
法案
の
内容
にわた
つて
、重複しない点をお聞きしたいと思います。私は本
法案
は至急これを実施しなければならぬと思いますが、この
内容
にわた
つて
みるときに、
トン当り幾ら
というようなものを徴収するという点については、非常に
財産権
にも
影響
のある問題であ
つて
、
ちよ
つと
簡單
にやるわけには行かない部面も多多あると思うのであります。そこでまず第一点は、
本法
とこれまで行われておる
鉱業法
との
関係
、特に
賠償
の項について、
事務当局
の方から、詳細な
お話
が承れれば仕合せであります。
田口良明
16
○
田口政府委員
従来の
鉱害賠償
につきましては、
鉱業法
に
規定
してありますように、
金銭賠償
によ
つて
補償してお
つたの
であります。これは
炭鉱
が仕事をして参ります場合に、
鉱業法
で
相当採掘個所
あるいは
採掘方法
というような点に制限をつけまして、できる限り
被害
が及ばないような
措置
をと
つて
おるわけであります。これは
鉱業法
の趣旨から申しましても、また一方
鉱業権者
の
経済的負担
の面から見ましても、両方から申せるのであります。こういうできる限り
被害
を
最小限度
にとどめたいという
やり方
をも
つて
しておりましても、なお
被害
の及んだ面につきましては、これを
原状回復
の責任でなく、
金銭
をも
つて
賠償
することにいたしておるわけであります。具体的に申しますと、たとえば
田畑
が
鉱害
をこうむ
つた
という場合には、この
田畑
からとれます
収穫高
を計算いたしまして、その減産の額に応じまして
負担
を
炭鉱側
で持つという
やり方
をいたしております。これが従来からまた将来に及ぶ
一般
の
鉱害
に関する
金銭賠償
の
方法
であります。ところが本
法案
に
規定
してあります
鉱害
は、これを特に
特別鉱害
というふうに限定しておりますのは、その点でありまして、
一般鉱害
は時期的にも遠い過去から遠い将来にまで及ぶ連続的の
鉱害
であります。
特別鉱害
は、この案で
規定
しておりますのは、時間的には、
昭和
十六年の十二月から
終戰
までという、約三箇年半の
期間
を、ここに限定しておるわけであります。もちろんこの
期間
は以上の
通り
でありますけれ
ども
、さらにこの第三條第一項の二号には、掘採
個所
、あるいは掘採
方法
、あるいはその他の
方法
によ
つて
、いわば国の
要請
によ
つて
はたしてこれが
原因
されたのかどうかという点を、十分に認定するような
措置
が講ぜられておるのであります。さらに第三点におきましては、これがはたして
復旧
に適するかどうかという
適格性
を
考え
、さらに
緊急性
を審査するということ、この特別の
鉱害
につきましては、第一の時間的問題、第二の
採掘個所
の問題、もしくはさらにこまかく申しますと、
方法
その他の
措置
、そういう点を十分認定する。第三番には、ただいま申しましたように、これが
復旧
の
適格性
があるかどうか、これが
緊急性
があるかどうかという点を十分に審査いたしまして、そしてこれを
特別鉱害
というように認定しようというのが、
本法
第三條に
規定
してあるところであります。この
特別鉱害
は
一般鉱害
と異なりまして、ただ單に
金銭賠償
ということで終りといたしません。あくまでもこれを
復旧
して、元の効用にまで回復するというのが、これまた
一般鉱害
と異
なつ
た点であります。 以上の点がごくかいつまんで申しますと、
一般鉱害
と
特別鉱害
の特に違
つて
おる点であると申せるかと思います。
今澄勇
17
○
今澄委員
今の御
説明
で、第三條、一項、二項の点に触れていただきましたが、第三條第一項中の第一号、二号のいま少し具体的な
説明
と、もしこれらの
特別認定
に不服があ
つた
場合には、一体、どういうふうな処置をと
つて
、これに対抗できるかという点について、御
説明
願いたいと思います。
田口良明
18
○
田口政府委員
第三條第一項におきましては、
先ほど
も申しましたように、時間的な
期間
をここに区切
つて
ございますが、この点につきましては、
先ほど
委員長
から
資料
の
提出
を求められましたので、追
つて資料
を
提出
いたしたいと思います。ただここで概括的に申しますと、この
期間
につきましては、もとより
昭和
十六年の暮から
終戰
までの間には、戰局が刻々と苛烈にな
つて
来たという現象に従いまして、
増産命令
なり、あるいはその他の
措置
におきましても、かなり後ほど著しくな
つて参つた
ことは当然でありますが、私
ども
の
考え
ておりますのは、第一には
生産割当
、すなわち
増産命令
に基く
強行出炭
が行われたということについて、いついかなる
命令
なり
措置
が講ぜられたかという点でございます。まず第一に
生産割当
、
増産命令
に基く
強行出炭
といたしましては、
昭和
十七年二月二十一日に、
石炭統制会社
の
統制規則
に基く
生産割当
というものが決定されまして、非常に強硬な
生産割当
を
生産業者
に課した。これに違反したような場合には、
相当
の
過怠金
をとるというような
條文
もありまして、
相当
石炭統制会
の
統制規定
というものが
強行
であ
つた
ということは、また後ほど
資料
を
提出
いたしたいと思います。 それから第二には、
昭和
十八年十月三十一日に、例の
軍需会社法
というものが制定されまして、この
軍需会社法
に基く
生産命令
は、
相当
強硬なものであ
つた
ということは、ただいまにおきましても想像されるところでありまして、この
軍需会社法
に基く
生産命令
は
相当
強硬な
命令
を出しておるわけであります。また
昭和
十七年の四月二十七日に当時
閣議決定
として
資料
が残
つて
おりますが、例の鉄、
石炭
、アルミニウムの三大
資源
の
増産確保
に関する
閣議決定
がなされておりまして、この
決定文
の後半には
相当
この実施によ
つて国民生活
に
影響
を及ぼすかもしれぬがやむを得ないという
條文
がございます。以上が第一の
生産割当
、
増産命令
に基く
強行出炭
の一例でございます。 第二には掘採
方法
の
強制
による
強行出炭
ということが
考え
られると思うのであります。その問題につきましては、一応
考え
られますのが、
中央
からひんぴんとして
現地
に発せられました
通牒
、
命令
、
指示
というような
方法
によりまして、
相当
な
措置
が講ぜられております。そうしておおむねこれは
国家総動員法
に基き、あるいは
重要鉱物増産法
に基いてなされた臨時的な
措置
であ
つた
わけであります。また
中央
の
措置
に引続きまして
地方
において、具体的に申しますと当時
九州地方鉱山局
あるいは
中国地方鉱山局
から
相当
な、また具体的な
命令
、
通牒
が出されておるわけであります。またこの中で特にここで具体的に申し上げられると思うのでありますが十六年の六月一日に
鉱業法
の一部の改正によりまして、従来
隣接鉱区
はお互いに
間隔地
を設定してお
つたの
であります。またそれが
法律
によ
つて
規定
されてお
つたの
でありますが、この十間の
間隔
をと
つて
もよろしいという
措置
が講ぜられたのが
昭和
十六年六月の一日であ
つたの
であります。これもやはり一連の掘採
方法
の
強制
による
強行出炭
であ
つた
と
考え
られるわけであります。 第三は
行政査察使
による
強制的措置
、指導、例の
昭和
十八年の三月十七日に
行政査察使
の制度が設けられまして非常に強大な、しかも広汎なる権限を
行政査察使
にゆだねまして、この
査察使
が主として
九州地方
、その他の
主要炭田
に
査察
に参りまして、
業者
をしていかにして
石炭
が出ないか、これはいかにして出させるかということについて、これはむしろ公式な
通牒
その他によ
つて
ではなくて、口頭によ
つて
なされたのが、
行政査察使
による
強制
的な
措置
であ
つた
わけであります。 第四番目には
一般的増産運動
ということが、
昭和
十六年十二月の例の
日栄戰争開始
から始まりまして、あるときは
挙国石炭増産運動
といい、あるいは
非常採炭増産期間
といい、ありとあらゆる
増産運動
が夜を日に次いで連続
強行
されたのでありますが、このときには
先ほど
来申しましたようないろいろな
措置
によ
つて
、すでに従来通常行わるべき
採炭方式
がくずれてお
つた
ということはいえるのであります。そういうような
措置
によ
つて
の
一般的増産運動
ということが、
相当
この
国家
の
要請
による特別の
鉱害
の
発生
の
原因
をなしてお
つた
ということがいえるのであります。
最後
に第五番目として、
採掘跡
の充填とかということについての、特別な
鉱害
が
発生
しておりますが、これは当時
資材
、
労力
その他が極度に逼迫して参りまして、それが
ため
に、普通なら通常講じ得るような
措置
が講ぜられなか
つた
。ということは、当時
半島労務者
を大量に
炭鉱
に入れたのが、
昭和
十六年から十七年にかけてであ
つた
ということがいえるのであります。また
資材
についても、
鉄鋼材
、火薬、坑木その他あらゆる
資材
がきゆう
くつ
にな
つて参つた
ということが言えるのであります。ここに試みに一例を申しますと、
昭和
十六年までは一トンを採掘するのに投入する
鉄鋼材
が一
トン当り
二キロ三分ほどだ
つたの
でありますが、十七年からそれが一挙半分に減りまして、二トン三分何厘というように
投入資材
の激減をしなければならぬということに
なつ
た。当時
選炭機
を備えつけるより巡洋艦をつく
つた
方が戰力の増強になるというようなことから、
炭鉱
に対する鉄の
投入量
がきわめて逼迫して参
つたの
であります。これが
ため
に
炭鉱
は通常講すべき
措置
ができなか
つた
。
労務
の面において、
資材
の面において、そういうことをしたのは、やはり
国家
が強硬な
増産命令
を出し、非常に適当な
増産割当
をいたす一方、それに使う
資材
、
労務
の点をきゆう
くつ
にして、これが
ため
に講ずべき
措置
が講ぜられなか
つた
ということで、これは結局
国家
の強硬な
措置
によ
つて
、こういう
鉱害
を引起したということが言えると思うのであります。以上、第三條第一項の
期間
の問題について、ごく
概畧
でございますが、お答えいたしておきます。 次は第二項の問題でありますが、この問題についてもう少し具体的な点を申し上げますと、通常
考え
られます
鉱害
の起きた
原因
につきましては、まず第一に
採掘箇所
の問題が、
一つ
の問題であると思うのであります。その
採掘箇所
の問題は、
先ほど
も
期間
的な問題について触れましたので、さらに申し上げる必要はないかと思いますが、たとえばここの
箇所
は
保存炭坑
であるということで通常掘らない。ところが
強行出炭
で、
最少
の
資材
と
最少
の
労力
と、
最少
の
期間
をも
つて
増産
するが
ため
には、ここの
炭壁
を拂うことが最も
増産
に寄与するということが
考え
られまして、そういう
炭壁
の掘採、
濫掘
をや
つたの
であります。さらに
採掘方法
でありますが、普通の場合には長壁式の採炭をやるのが、最も合理的でありますが、
被害
を
最小限度
に及ぼす
ため
に、柱房式の採炭
方法
をとるということが通常
考え
られているにかかわらず、これを柱房式をやめて長壁式の総拂いにかえるというような
一つ
の特殊な
方法
をここにとらざるを得なか
つた
ということが言えるわけであります。またボタの積上げにつきましても、炭坑の排水の放流につきましても、
先ほど
来申し上げましたように、
資材
労力
の面からこれをはしよりまして、そういうような普通の
方法
を、ここにとらなか
つた
というようなことも
考え
られるわけであります。 それからまた
特別鉱害
が起きていろいろ不服のある場合には、これをどうする。何かできるかというような御
質問
と承りましたが、これは裁判にかけることはできないことにな
つて
おります。
今澄勇
19
○
今澄委員
第三條の問題については、今非常に詳細な御
説明
で御苦労様でしたが、これの認定に不服のある者が、裁判にもかけられないということになれば、まことにどうも一方的な話で、そういうことはあり得べからざることだと思うのであります。 それからもう一点申し上げますが、今るる
説明
された話によ
つて
わかるように、戰時中から日本の戰争遂行の
ため
の強硬な圧力は、やはり
鉱害
のみならず、中小
炭鉱
の上にも全部これらは
強制
されて働いておるにもかかわらず、今日通産大臣は見えませんが、
配炭公団廃止
に伴う
措置
においてとられたまことに血も涙もなき
措置
と、計画のない、ほんとうにその場
当り
の
石炭
行政というものについては、
事務当局
の方々は胸に手を当てて、この際今の言を翻
つて
みると、まことに忸怩たるものがあるであろうということを反省を求めたいのであります。 それからもう一点、裁判にかけられないというだけでは、われわれも非常に不審でございますので、打合せを
願つて
もう一ぺんその点を御答弁願いたい。 それから
特別鉱害
の
復旧
団というものの性格と仕事の
内容
について、
簡單
でよろしゆうございますが、御答弁を願います。
宮幡靖
20
○
宮幡政府委員
ただいま
政府
委員
から御
説明
申し上げまして、裁判はできないであろうというお答えをいたしましたが、これは一応裁判はできないであろうとお答えしたことに間違いはないのでありますが、これは運用の面ににおいて、裁判必ずしもできないと申し上げかねる面もあるのであります。つまり御
承知
のように
審議
会がありまして、認定権は通商産業大臣にあるわけでありまして、認定の申請をするわけであります。それでこれが認定にならなか
つた
場合には
加害炭鉱
の方々、つまり申請人というものは、何回でも、これは行政処分でありますから、認定を要求することができるのであります。ただ一回認定にならなか
つた
ということによ
つて
、ただちに裁判をしていただくということはできないわけであります。そこで初めて
審議
会の運用というものが重要にな
つて参
ります。そこでもし最終的にこれは不認定だというような通知をいたしたと仮定いたしまして、それの行政処分に瑕疵がありました場合は、
一般
法規に基くもので御出訴くだす
つて
も、一向さしつかえない、かように
考え
ております。
今澄勇
21
○
今澄委員
認定をされて、その認定に入らなか
つた
人が認定してくれと言う人もある。しかしそれがのけられたら不服であると言
つて
訴えて来る場合もある。
宮幡靖
22
○
宮幡政府委員
ですから、拔かされたものは、何回でも認定の御申請を引続きや
つて
いただく。不認定だ、これはそうでないという決定がありました場合に、もしその行政処分に欠陥があ
つた
といたしますならば、これは裁判で通常法規の適用の
通り
だと、かように解釈しております。しかしながら認定ですから、申請者は認定してくれと、何回でも申請してくださ
つて
よい。
今澄勇
23
○
今澄委員
認定がいやだというような場合はありませんか。
宮幡靖
24
○
宮幡政府委員
認定の解除というような場合は、ただいま予想しておりません。工事の
復旧
することを最終の目的といたしております。これは
相当
議論のありましたところで、そういう運用をして参りたいと存じております。
田口良明
25
○
田口政府委員
復旧
国の仕事についてごく
簡單
にお答え申し上げたいのでありますが、
復旧
団と申しますと、一応妙な名前でございますが、この業務は、
特別鉱害
の工事費は、この
法案
では一応国と公共団体、
鉱業権者
から集めました金によ
つて
、
復旧
することにいたしております。その中で
鉱業権者
の方の
負担
分につきまして、従来
配炭公団
がプール制度によ
つて
や
つて
お
つたの
でありますが、
配炭公団廃止
後これにかわるべき適当な機関を
考え
たのが
復旧
団でありまして、要するに
鉱業権者
の方から
納付金
を取立てまして、そうしてそれを工事ごとに、
復旧工事
の計画に従いまして支出して行くという、要するに
金銭
の出納をなすのが主たる業務となるわけでございます。この
復旧
団というような名前は、
ちよ
つと妙な名前のように
考え
られますが、当初はいろいろな名前を
考え
たのであります。たとえば
復旧金庫
とか、あるいは
復旧
資金
とか、あるいは
復旧
基金とか、あるいは
復旧
協会とか、名前についてもいろいろと
考え
たのでありますが、
復旧金庫
というような名前にいたしますと、何か金融の機関であるというようなことに混同されやすいというようなことも
考え
られまして、基金と
資金
というような名前も
考え
たのでありますが、これでは單なる基金、
資金
のような感じもいたしますので、ここに団という名前をつけたわけであります。また何ら
復旧
協会というような団体ではございませんので、
一つ
の特殊法人といたしまして、ここに
復旧
団という名前をつけた次第であります。
今澄勇
26
○
今澄委員
今の第三條の認定において不服の問題や、
復旧
団の問題等については、
資料
その他をいただき、なお不審の点がありますので、これは後刻に
質問
を留保いたします。 次に
宮幡
政務次官並びに
始関
政府
委員
に聞きますが、
本法
の実施による責任の所在というものは、一体どこにあるわけでありますか。
宮幡靖
27
○
宮幡政府委員
本法
施行上の責任は、通商産業大臣にあるものと
考え
ております。
今澄勇
28
○
今澄委員
そこで
本法
の責任が通産相にあるとするならば、これは
宮幡政府委員
もしばしば言
つて
おられますが、戰時補償打切りによ
つて
、
政府
にはその責任はないということを申しておられたのでありますが、これはこの前の
委員会
でもしきりに議論がありましたので、私は
簡單
に
政府
は戰時補償を打切
つた
から、これに責任がないという
ため
の理由として二、三申し述べられましたけれ
ども
私
ども
はその理由をどうしても承認することはできません。もし通商産業省がこれらの全責任者であるとするならば、まず第一
鉱害
の問題は経理問題でなくて、これは社会問題でするということが第一点、それからその
被害
はあらかじめ予測しないうちに
被害
が起る場合が多く、またいかに戰時補償とは言え、そこに
炭鉱
というものが介在しておるだけに、
炭鉱
は
国家
の
強制
によ
つて
掘
つた
にもかかわらず、
被害
者は
炭鉱
にその窮状を訴えるようにな
つて
来る。だから
炭鉱
は何とかしなければ、その
立場
はどうしてもないわけであります。これらの
炭鉱
の窮状をながめて見て、
政府
は全然責任がないということは
先ほど
来るる述べられた、あの一切の処置の責任を通産省にありとするならば、これまたどうしても責任がないというわけには行かない。それからもしそのまま放任しておいても、その
被害
はそれでとま
つて
おるというならば、これは非常によろしいのでございますが、放任するならば、その
被害
はますます増大するというような傾向にあるとするならば、これはどうもほう
つて
おくわけには行かないという、以上の三点の理由からして、どのような
状況
にあろうとも、
政府
に責任がないということは言えないのであるが、それらの問題についてはどういう観点から、
政府
は責任がないということを主張されるか、その理論的な根拠をひ
とつ
明らかにしてもらいたい。 それからもう一点は、全額
国家
補償にするということは、この際の国際情勢、日本の現実の産業政策として困難であるということであ
つた
が、これは私
ども
は当然
国家
が全面的補償をすべきものであると思うのであるが、そういうふうな理論的の根拠の上に立
つて
も、かつこれを行い得ないとするならば、それにかわる次善の
対策
として、しかるべき適当な
考え
をお持ちであるかどうか、以上の点についてひ
とつ
御答弁を願いたいと思います。
宮幡靖
29
○
宮幡政府委員
国家
の責任論に対しますることについて、まずお答えをいたしますが、これは
今澄委員
と論議の進め方が裏、表をなしておるのであります。
一般
法規の限界内におきまして、この責任がいずこにありやと申せば、理論に傾きますけれ
ども
、一応戰時補償が打切りにな
つて
おる建前から
考え
れば、
国家
の責任はないということを申し上げてさしつかえない。しかしこれは無情冷酷な言葉であります。従いましてそれに対しまする特別法として、これを設けました場合には、その法の施行においては、通商産業大臣が当然その責任に任ずべきものであるということを申し上げて参
つた
わけであります。またそういう
方針
であります。もし
本法
を実施するとせば、また無情冷酷な言葉であるけれ
ども
、これは
国家
に責任がないということを一応申さねばならないような現在の法制下にある、これを御了承いただきたいのであります。それでこれは
今澄委員
のお説のように
国家
が全部やるべきものである、こういうことも理論としては十分
考え
られることでありますけれ
ども
、すでにしばしば述べましたような
状況
で、これを行うことは困難とされる。しかしながらこれを物質的な責任論でなくて、いわゆる宗教的に
考え
てもらいたい。いろいろな方面から行くと、りつぱな社会問題として取上げなければならぬと思う。あえてはなはだ不行届きな微温的な行為でありましても、許される限度におきまして、この
法案
を提案いたしまして、御
審議
に訴えたような次第であります。すなわち
国家
が補償ができないということにかわる次善の
措置
として、
本法
が提案されておるものであることを御了解をいただきたいと思うのであります。
今澄勇
30
○
今澄委員
本法
が
特別鉱害
の
復旧
に対する一番いい
法律
でないということを認められたことについては、私ももつともであると思います。私はこの
法律
の中において第二十二條に「その業務を行うのに要する費用に充てる
ため
、一定の金額を
復旧
団に納付しなければならない。」こういう文句がありますが、これなどは
先ほど
の私が申し上げた
政府
の責任論は、これは社会論であり、道徳論であり、政治史の上に立
つた
論理でありますが、この第二十二條中のものについては、今度は法的な
法律
論が、われわれは今問題にしておるのであります。このいわゆる第二十二條中にある一定の金額を納付することについては、いろいろ論議されましたが、そういうことを
法律
できめるについての、何か法的な根拠を
政府
はお持ちでございますか。
宮幡靖
31
○
宮幡政府委員
精神といたしましては、
配炭公団廃止
に伴います
配炭公団
の行
つて参
りましたプール計算に基く災害
復旧
対策
を、そのまま継承いたしたものであります。これが何か法的根拠によ
つて
納付金
を徴収できるのかという御
質問
でありますが、これもやはり観念が前後しておるので、この法ができて初めて納付していただくことができるのでありまして、現にこの法制なかりせば納付を
強制
するところの法制はないと
考え
ております。
今澄勇
32
○
今澄委員
この
法律
案の最大の欠陥は、すなわち
国家
がその責任をとらなければならないような、社会的な、道徳的な、政治的な問題については
国家
は何らの責任なしということを、
通産省当局
が言い切るにもかかわらず、このような
納付金
的なものを
強制
的に寄付行為によ
つて
とろうというようなことは、憲法上の日本
国民
に与えられた
一つ
の大きな権限を侵すものではないかと思うような重大な点については、
政府
に最も便宜のいいようにこれをとるべきであるというようなことで、
法案
を国会にかけるという、この
考え
方の中に今日の通産省の行政の上において最も大きな欠陥を持
つて
おると言わなければならぬのであります。われわれはこういう点については今与えられておるところの中小
炭鉱
に対する融資の問題、またあらゆる問題については
政府
は便宜的なことを常常申しておるのであ
つて
、自分たちにぐあいのいいような問題ばかりが、こういうふうに出ておる。この点について私
ども
は十二分な反省を願うとともに、このようなこの
法案
の中における矛盾については、さらに
質問
を後日に留保するものであります。
最後
に第二十二條第三項の
規定
は、この
法律
案運用の上において、これは
政府
の特殊的な配慮であろうと存じますが、私
ども
は中小低品位
炭鉱
が今日臨んでいるところの崩壞寸前の姿からして、その低品位
炭鉱
からこれをとるということは、さらにこれの崩壞を早めるところの方策であ
つて
、
政府
も一律にそれらのものからは、とり得ないであろうということは、私も了承いたしますが、それらの低品位
炭鉱
に対する方策で、これまでの政策のねらいというような、そうして冷酷な穴埋めにこの二十二條の三項というものができたものであろうと私は思う。しからば
政府
はこの低品位
炭鉱
と書いてある基準をこの
法律
においては、どの程度を基準として低品位
炭鉱
と言われますか、具体的にはつきりしたものがあれば、お示しを願いたいと思います。
宮幡靖
33
○
宮幡政府委員
本法
に対しまする
今澄委員
の痛烈なる御批判に対しましては、個人としては少からず同感のところがあるわけであります。しかしながらこの
法案
を提案いたしまして、衆参両院の
委員
の方からの御
質問
の中に、しばしば
石炭
の山だけにこういんことを心配して、他の鉱山の鉱毒病などには何ら配慮をしないでおるではないかというくらいしかられているのであります。従いましてこの
法案
自体が個人的に
考え
、若干行き詰りのような形は持
つて
おりますが、特に
石炭
だけに対してこれだけの方策を
考え
よう、しかも畸形的な
法律
だとまで非難されておりますが、かような
措置
まで講じているということは、
石炭
業に対しましていかに通商産業省が特別な配慮を拂
つて
おるかということの立証でありまして、むしろ
今澄委員
の仰せらるることが、はるかに当らないのではないかと
考え
ておるのであります。第二十二條の運用については御
承知
のように、これによ
つて
運用の妙をはかりたいと思
つて
おります。これは
実情
に照らしまして、通商産業大臣がそれぞれの
意見
等も聽取いたしまして、また
審議
会の
意見
も諮問いたしまして、運用して参ることでありまして、ただいまの段階でどれを低品位炭というかというようなことは、ここで軽卒にきめたくないと思
つて
おります。しかしおおむねの線はか
つて
配炭公団
におきまして、宇部は何カロリー、常磐は何カロリー、北海道は何カロリーというようなことの運用をや
つて
お
つた
ことは、
今澄委員
の方が十分御
承知
であります。そこいらの線が近いではないかとお
考え
くだされば、当らずといえ
ども
遠からずと
考え
ます。しかし残念ながら現段階は、この運用についてみだりに一方的な
意見
を申し上げる段階でないことをお知りいただきたいのであります。
今澄勇
34
○
今澄委員
今の低品位炭の認定の基準についても、やはり
本法
を
審議
する上においては、これは
簡單
なようでありますが、今の
炭鉱
の
実情
から見れば重大な問題であるので、この点も後日に留保いたします。それから今の
炭鉱
の災害とその他のあるいは鉱毒あるいはトンネル掘鑿による
被害
等、いろいろ数えれば切りがないけれ
ども
、
石炭
産業に対する
政府
の熱意とその他のものについては、まことに了承するのでありますが、しかしながら
本法
が持
つて
おるところのそれらの矛盾というものについて、やはり個人的に認められたように、われわれはあくまでも理論の上に立
つて
、この
法律
の中にある二つの大きな矛盾を解決して、
本法
を
審議
するという方向に進みたいものであることを、付言いたして
質問
を打切ります。
神田博
35
○
神田委員長代理
ちよ
つと関連して、私から一言お尋ねいたしたいのですが、
先ほど
、
今澄委員
の御
質問
は、
政府
が
増産
強行
をされた。そこで国がその
鉱害
の
原因
をつく
つて
おる。どういうような
方法
で
命令
をや
つた
かという意味のお尋ねであ
つた
ようでありますが、それについて
一般
的の
政府
としての
石炭
行政に対する戰争中の処置をお述べに
なつ
たようでありますが、さようであるとすればこれは必ずしも
九州
、あるいは山口県にかかわらず、常磐方面においても、あるいは北海道方面においても、これと同じような問題がからんでおらなければならないと思います。しかるにその方面については、
一つ
も論議されておらない。特に
九州
地区及び宇部等のみに起
つた
ということになると、われわれはこれを
審議
しておりますのに、何かどうも割切れないものが出て来るのでありますが、これらの点につきまして御
説明
願いたいと思います。
宮幡靖
36
○
宮幡政府委員
委員長
として格段の御配慮からのお尋ねでありまして、当局といたしまして少からず敬意を表するものであります。 実はこの問題は言いたくもあり、言いたくもなしという問題なのであります。
一般
的お尋ねに対しまして、あるいは参議院の方あたりでは御
説明
申し上げたと思いますが、これはなぜ、かような
九州
と山口の地区の一部に限られておるものに、こういう
一般
的な
負担
を押し切
つて
までやるのかということがただいまの御
質問
の中にひそんでおるように思うわけでありますが、戰時中の
強行出炭
命令
というものは、あえて
九州
地区、宇部地区のみを指定すべきものではなか
つた
。できるならば北海道も常磐も一齊にやるべきであ
つた
。ところが北海道は御
承知
のように、輸送の上におきまして宗谷海峡という隘路があります。しかも潜水艦の脅威にさらされ、御
承知
のように戰時中八十万トンの炭が北海道にありながら、これを運送することができなか
つた
。こういう意味で北海道には
命令
を差控えざるを得なか
つた
。また常磐は洪水が多いので、この
強行出炭
の作業に不適当である。かようなことで今から逆に
考え
ますと、こういう條件で幸いにして北海道と常磐地区は、
特別鉱害
を逃れたのであります。こういうことから
考え
れば、あえて戰争の
ため
とい
つて
、指定されました
九州
地区、宇部地区には深い同情を拂わなければなりません。これを宗教的に
考え
れば、北海造や常磐の皆さんにも御
負担
を
願つて
も決して矛盾でないだろうということをそこに含んでの
法案
なのでありまして、これは言いたくもあり、言いたくもないことなのであります。
神田博
37
○
神田委員長代理
ただいまの御答弁でやや了とする点がありますが、少し結論が飛躍しておるようにも
考え
られるのであります。ということは
特別鉱害
の
規定
に、この
法案
に盛られております
昭和
十六年十二月八日から
昭和
二十年八月十五日というと、
終戰
の当日までということになります。そこでただいま潜水艦が出没して、北海道に
石炭
が八十万トン残
つて
いながら送れなか
つた
ということでありましたが、それはいつの時期であ
つた
か。おそらくその時期までは平等に扱われただろうと思います。そういうところから
考え
ると、
特別鉱害
の計算の指定の時期が、非常にさかのぼ
つて
いやしないかというような懸念を持つのです。少くも潜水艦の出没するまでは、
一般
命令
として
九州
地区においても、北海道、常磐地区においてもこのような
命令
が出たと思います。そういう意味でお伺いしたわけでありますが、これらの点についてはどういうふうにお
考え
にな
つて
おるか。
宮幡靖
38
○
宮幡政府委員
ただいまの御指摘はまことにごもつともであります。いつ幾日から潜水艦が出没をしたか、私はよく存じておりません。しかし八十万トンの炭は現実滯貨とな
つて
運べなか
つた
ことは事実なのでありまして、従いまして十六年十二月八日ということにその時期を求めたことが、もし不適当であるというような事実がございましたならば、その点については
委員会
の御意向等を拝聽いたしまして、善処する用意がございます。
神田博
39
○
神田委員長代理
この際お諮りいたします。本
法案
の
審議
は、本日は一応この程度にいたしまして、観光特別
委員会
との連合
審議
の
関係
がございますので、さように扱いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
神田博
40
○
神田委員長代理
それでは本日はこれにて散会いたします。 なお次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 午後三時四十七分散会