○龍野委員 私はあらゆる困難を排除せられまして、今回
特別鉱害復旧臨時措置法案を
政府が敢然として今議会に提出されましたことに対しましては、国民とともにわが吉田内閣の善政の
一つであると思
つて、非常な敬意を表する次第であります。すでに
大臣からの御説明にもありました通りに、この
特別鉱害は、單に
業者に対する
戰時補償という
意味を離れまして、社会問題あるいは政治問題という観点から、取扱うべき問題であると思うのであります。この実情等はすでに本
委員会におかれましても、あらゆる
資料を集められて御認識にな
つていると思うのであります。私はくどくどしく申し上げることは省畧いたしたいと思いますが、例の
公団の廃止によりまして、
公団に対する
負担金によ
つて今日まで続行しておりました工事を取止めなければならぬ。
従つて関係住民がこの問題の推移をいかに憂慮しているかを御想像していただきたいと思うのであります。この見地からながめまするならば、この
特別鉱害は、
先ほども御説明がありましたように、大体
国家において
負担すべきものであろうと存ずるのであります。御提出になりました
資料によりますれば、たとえば土木につきましては国庫
負担が六六%、公共
団体の
負担が一〇%、残り二四%は鉱業権者の
負担とな
つているようでありまするが、土木工事とか上水道、下水道のごとき公共事業は、その多くは国または地方公共
団体において、
負担すべき性質のものであろうと存するのであります。これに対しまして
大臣は、いかなる
見解を持
つておられるか承りたいと存じます。
次に
業者負担は
共助心をその立論の根拠とされていることは、敬意を表する次第であむます。従来のわが国における
炭鉱業というものが、諸外国、ことにアメリカと比べまして
違つておる点は、非常に中小
炭鉱の多いことである。
従つてその間
業者の団結によ
つて、常に相助け合い相補い合
つて、ここに今日の日本の
炭鉱業が発達したことは私の申し上げるまでもないところであります。この
意味におきまして、
共助と言うといかにも封建的な
考えのように思われる人があるかもしれませんが、しかしながら
業界の進展こそは
石炭の増産となり、
従つて産業の復興の
基礎になるものでありまするから、今後この
石炭業界の指導
方針として、私はあくまでも
共助というものを盛り立てて行くような方向に向
つて、行かなければならぬと存ずるのであります。この
特別鉱害の
復旧に関する
業者の
負担につきまして、いろいろの
議論があると存じます。全然
鉱害を与えていない
業者に対して
負担を命ずることは、あるいは
憲法違反でないかという説も、
先ほどあ
つたようでありまするが、しかしながらこの
業界進展のために
共助の
精神を盛り立てて行くという方向は、わが国における
石炭業界に関する限りは、どこまでも持続して行かなければならぬと存するのであります。従いまして
大臣におかれましても、この
鉱害に対しましては、
共助の
精神をどこまでも盛り立てて行くおつもりであるか、お伺いいたしたいと存ずるのであります。
それから二十
二條の第三項の
減免の
規定に関してでありまするが、これを巧みに運用することによ
つて、
業界に対する
負担の公平を期したいという
大臣の御説明があ
つたのでありまするが、この二十
二條の第三項につきまして、
政府としては何らか具体的な要望あるいは
命令、そういうものを準備されておるかどうか、その辺のことにつきましても、もしおわかりにな
つておれば、御説明願いたいと存ずるのであります。
最後に
委員長に対して御
質問申し上げたいと思いますが、本
法案は最も重要なる
法案でありまするから、あらゆる角度からこれを検討し、国民の納得の行く論争を重ねることは当然でありますが、しかしながらこの会期も余すところ少く、
委員会におきましてもよほど勉強しなければ、あるいは間に合いかねる点もあるのであります。従いまして当
委員会としては、時間の許す限り
論議を続けなければならぬと思うのであります。殊に
鉱害復旧におきましては、これが成否は実に最も重大な問題として、国民は非常なる関心を持
つておる。これをもしもいたずらに延はすごとになりまするならば、不測の事態も起きかねぬのじやないかという
心配を持
つておるのであります。願
わくば私は、この
法案の性質にかんがみまして、本議会においてすみやかに何らかの結論に達してもらいたいと存ずるのでありまするが、
委員長におかれましては、この
法案の取扱い方に関しまして、どういうふうなお
考えを持
つておられますか、お漏らしできるならばお尋ねいたしたいと思います。