○
稻垣国務大臣 御
承知のように、銅は
日本においては戰前は
輸入いたしておりましたことは御
承知の
通りであります。しかもその当時におけるところの
日本の銅の産額は七万トン以上、八万トンくらいを出しておりましたが実際の
輸入が二、三万トンに及んでおつたことは御
承知の
通りであります。従
つて日本は銅の
輸入国であり、
輸出国ではありません。しかしながら今日なお
日本の産業全体が回復いたしておりませんような
関係で、また同時に貯銅があるという
関係から、銅は今日においては毎月の
生産のうち、かりに五千トン出ておりますと、千五百トンくらいは貯銅になるという形に
なつております。そこで御
承知のように補給金を打切りました
関係で、貯銅を何らかの形で、とにかく始末をしませんと市場を圧迫する。こういう問題から、御
承知のように一万トンだけの融資をするということで、この融資の話も進行いたしておりまして、すでに融資を受けておるところの
会社も二、三にとどま
つていないのであります。そういう観点でありますが、さて来
年度は一体どうだ。こういう
お話でありますが、ただいままでに大体一万五千五百トンの銅の
輸出の契約が行われたわけであります。それで実は今後も銅の
輸出は行われるという形勢にあるのですが、御
承知のように途中その銅が欧州に行く、欧州に行
つて欧州の買手先からまたちよつと困る方価へ行きやしないかという問題もありましたので、銅の
輸出をさしとめられたというような問題も、実は
一つの笑い話的にあるわけでありますが、しかしながら来
年度といたしましても、かりに月に千五百トン余るかどうかは別として、かりに千トンずつ余るとしても、年に一万二千トンずつの
輸出をしなければならぬ。なおかつ貯銅は
輸出に振向けたい、かように考えておりますので、相当の
輸出をわれわれは考えなければならぬ。少くとも二万トン以上くらいの
輸出は考えなければならぬのじやないか、かように考えておるわけであります。しかしながら来
年度におきましては、いろいろな観点か見まして、たとえば主として銅の需要先として予定されておりますところの電線であるとか、ケーブルであるとか、そういうような
方面が今
年度の需要よりもよけい期待し得る。私はかように考えておりますので、従
つて五千トンの
生産のうちから、今
年度のようにたくさんの貯銅ができるということは、私は考えていないのであります。私は来
年度大体二万トンくらいの
輸出をすればおつつくのじやないか、これは貯銅も込めての話であります。そういうふうに考えております。