○近藤説明員 先日の新聞紙上に出ておりました記事によりますと、非常に楽観的な記事が載
つておるのでございますが、実際は現在
計画いたされております濠州からの羊毛の
輸入量、総計来
年度におきまして、大体十二万俵でございまして、そのうち約五万俵ないし六万俵のものは輸出に向けましてその残りが
国内に消費されるということになるのでございます。それでこの羊毛の数量は、本
年度の羊毛の
国内向けの供給量に比べまして、大体二倍半の数字に当るのでございます。この羊毛の供給量が増加いたしますことに対応いたしまして、現在羊毛
製品につきまして、粗毛の糸につきましては、新毛を二割、ステープルフアイバーを八割まぜるという非常に羊毛の混入率の少い糸を現在ひいておるのでありますが、それを新毛を四割にいたしまして、ステープル・フアイバーを六割という混紡率にかえまして、
品質を向上させて、同時に数量的にもこれが
相当ふえて来る、こういつた
方向に持
つて行く予定に
なつております。また濠毛の糸の方で申しますと、現在は新毛がわずかに一割でございます。残りはステープル・フアイバーと、くずから反毛いたしました毛によりまして、紡績をいたしておりますが、それを今後は新毛を二割入れまして、その他の残りをステープル・フアイバーと反毛の毛によりまして、糸を紡績いたして参る、こういう予定に
なつておるのでございます。従いまして、新聞紙にございますように、純毛の
製品が来
年度相当多量に出まわりまして、一入当り何着分かになるというようなことは、実際の事実と違
つておるのでございまして、そるということは予想されないのであります。同時に仕立て上り六千何百円という数字がございましたが、現在表生地を除きました裏及びしん等の附属を入れまして、加工賃は、最近東京におきましてきめましたものでも、それだけで六千五百円くらいに
なつております。それに表生地が入りますれば、やはり現在の
価格から見まして、それが急速に下るということは、あまり
考えられないのであります。ただ問題は先般のポンドのデヴァリュエーションによりまして、大体三割の切下げをいたしました結果、羊毛の
輸入価格が一割五分ないし二割の値下りをしておるということが申せますので、羊毛
価格につきましては、その
程度の値下りがあるということでございますが、その他のスフなり、あるいは紡績工賃なり、あるいは附属その他のものにつきましては、急速に
価格が下るということも
考えられませんので、そう安い洋服が潤沢に来
年度供給されるということは、私
どもとしては
考えておらないのであります。それで逐次そういつた原料の増加に伴いまして、
品質をだんだん段階的にいいものにいたして参りまして、現在ございます品物も適当にさばきながら、逐次いい品物を供給して行くというような
方向で、現在進めておるのであります。現に毛
製品につきまして、衣料切符をはずしましたので、生産者あるいは問屋にございますストックのようなものも、最近におきましては、かなりさばかれつつあるような
状況にあるわけでございます。また織物消費税等が撤廃になりますと、その点においても
相当有効
需要が起
つて参るというように
考えられるのであります。実際にいい品物、
品質のよく
なつた物が出まわりますのは、来年の四月以降六月ごろになる予定でございます。それまでに従来の、どつちかと申すと
品質の粗悪なものにつきましては、できるだけこれをさばいて行きたい、かようなことを
考えておるのであります。なお羊毛の
輸入量が急速にふえましたのは、結局日英協定等によりまして、こちらから品物を出しますかわりには、向うのものを買わなければならぬ、特に濠州につきましては、向うから買
つて参りますものは、あまりたくさん品物はございません。結局羊毛をある
程度買ざるを得ない、しかしながらその買います数量が新聞にございますような楽観的な、非常にふえた数字では決してないのでございまして、この
程度の数字の増加では、まあかろうじて国民の
需要をまかない得るかどうかという
程度になると思うのであります。羊毛が
相当入りましても、なおステープル・ファイバーなり、その他の繊維によりまして、補われる部分が非常に多いというように私
どもは
考えております。