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谷口委員 共産党は本案に反対であります。
反対の
理由の第一は、もし私どもが本案に賛成し、これを通しますならば、第五国会での
地方配付税の
特例に関する
法律案を通したときの約束を、国民に対して破ることになるのであります。あのときには
政府当局も、またわれわれの
考え方も、あのときに半額に
減額されました
配付税を、
補正予算において
地方の要求に沿うようにかえるということが、以心伝心の間に、
一つの
條件に
なつてお
つたところであります。
大蔵当局もその後価格調整費などの節約によ
つて剰余金が出れば、国民
負担の軽減と
地方予算の
交付金に限りこれを出すということを、しばしば明言してお
つたのでありますが、それがま
つたくそういう方向に向かない。むしろ
地方団体が自然にその出費を増加せしめたその穴埋めさえできないような額が、計上されるということにつきましては、最初にこの
特例を通したときの私どもの
考え方とは、ま
つたく違うのであります。そういう点で第一に私どもは賛成できないのであります。
第二は、実際この九十億の
増額がありましても、
地方財政の逼迫の
状況は、とうていこれでも
つてはや
つて行けないのであります。これは
政府当局も認めていられるのでありますし、本
委員会のすべての者が、声を大きくしてこれを叫んでおるところであります。
政府当局の御説明によりますと、との九十億の中で、すでに三十数億のものがもう拂わなければならないところがきま
つている費目である。また
大蔵当局は、例の
地方の公務員の臨時手当として出しました十八億——これは
配付税では差引くとは言
つておりませんし、差引かないことを私どもは希望しておるわけでありますが、しかし決してこの十八億は当分返す必要はないと言
つてはいないのでありまして、この
大蔵当局のやり方は、私どもは必ず何らかの形で、
地方を圧迫する結果になると思うのであります。つまり十八億を取上げることが予想されるのであります。そうしますと、この
増額されました
配付税の九十億の中で、実際において
地方団体が自由に使える金額は、三十億ないし四十億にすぎないのでありまして、他方非常にたくさんな出費を来しております現状にそぐわない。つまり一言で言いますと、この
配付税九十億をふやしましても、
地方財政は何らのたしにはならない。
地方財政の窮迫が打開されない。
地方財政がますます混乱に陷ると思うのでありまして、その実際の面から申しましても、これではとうてい間に合わぬのであります。こういうことが指摘できるのであります。これが反対する第二の点であります。
第三の点は、この九十億を決定されるに至りました
政府部内での
状況でありますが、これは今聞きますところによりましても、御
承知の
通り大蔵当局は決して
地方の実情がこういう実情にあるから、
従つてこれだけ
配付税を
増額しなければならない。あるいはこれだけでいいという見地からなされたのではなくて、ま
つたく国の
財政の都合だけで、そういう一方的な立場から、
地方の
状況を何ら十分に知ることなく、その実情に沿うことなく、か
つてにきめられた。このやり方につきましては、私どもは今後は、先ほども申し上げました
通り、
地方財政全体について国の
財政との
関係を調整し、新しい
制度を
確立しなければならないような情勢の中におるわれわれとしましては、こういう
政府当局のやり方に対しまして、これを認めておくならば、これを俗な言葉で言えば、くせになる。私どもはシヤウプ勧告案によりまして、
地方自治体に
地方自治を
確立するためには、もつと有力な
財源を與えなければならないということを、あの勧告によ
つて私どもは知
つているわけであります。あの勧告がありました後に感じたのですが、今
政府当局でも
地方財政に対して
相当の認識を深めているということを、木村国務
大臣がおつしや
つているのでありますが、あれはま
つたく現在の
政府に対する
一つの順門の一針だ
つたと私は思います。
地方の自治を促進するために、
地方財政をゆたかにしなければならないということは、本
委員会ですべての
委員が声を大きくして叫んで来たのでありますが、常にそれからそつぽを向いておる。それに対してゆたかにしなければならないという
一つの勧告が出たことは、現在の
政府に対する頂門の一針であ
つたと私は思うのであります。そういう勧告ではありますが、あの勧告の中に示されておりまする
地方財政交付金の
一つの目安、方針、あるいはその内容という点につきましては、日本の実情に沿わない、まことにうのみができないようなものがたくさんあります。
従つて地方財政をゆたかにするというその点では私どもは一致するのでありますが、いかにしてやるかという点につきましては、今後非常に大きな問題があるので、このときに今までのような
政府のやり方をうのみにしているというような態度でおりましては、実際に
地方財政をゆたかにする、ほんとうに実行のできるそういう道を発見することはとうていできない。
従つて今
政府当局の
地方団体に対するこういうやり方を、私どもがうのみにしておれば、今後この改革案を実際に解決して行く上において、とうていたんたんたる道が開けない。そういう点で今の
政府の
地方団体の
財政に対するやり方に
一つの警告を発するという意味で、これをうのみにしないという態度が必要であろうかと思うのであります。
簡單でありますが、以上の
理由から、私どもは本案に反対いたします。