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水田政府委員 この点に関しましては、私たちの
考えを率直に申しますと、今までの
日本の国の育ちから
一つの性格が出て来まして、世界の資本主義の中で遅れて急に発達いたしました
日本でありましたために、早く世界並になるという必要から、産業助成ということを明治
政府以来強くや
つて来ましたがそういう金がどこから出たかと申しますと、それを当時
地方の地租を中心としたいわば税金で、
日本の産業を助成して今日まで持
つてきたわけであります。この今までの性格から見まして、頭でつかちで、
地方が極度に弱いという国家構造が
日本に生まれて来ておる。今日こそそういう体制を直して、むしろ頭を小さくして足の太い国家構造というものを、われわれはこれからこしらえなければいかぬと思います。それにはやはり
地方自治充実ということが一番大事だということになるのですが、それでは
地方自治をどう充実させるかということになると、今までのように国家に全部経費をおんぶするというような態度を、これから
日本の
地方自治はやめていかなければならぬのじやないか、こう
考えております。今までは、
地方民はみんな税金を集められて、中央は強い国家と作るために経費を多く使い、
地方へはおこぼれを少しまわしてやるというような、行き方だ
つたわけであります。
地方としては、そのおこぼれを
政府からいかにしてもらうかということに汲々として、今日まで来たわけでありますが、これはもう一変してしま
つて地方は自治を充実するかわりに、国家のせわにほとんどならぬというところまで、持
つて行くのでなか
つたならば、
ほんとうの
地方自治の充実ということは言えないのではないか。そう
考えますと、私たちのやる
仕事としては、できるだけ中央の経費を切
つてしま
つて、中央の大減税をやる。そうして
地方へ
財政的な余力をつけて行くという行き方が本筋だと思うのであります。現在その線に沿
つて、
地方税はだんだん上に上
つて行
つても、国民の負担にならぬように中央でそれ以上の減税をや
つて行く、こういう方向へ持
つて行くのが正しい行き方でははいかと思います。これから
考えますと、小さい
地方の公共
事業とかいうようなものは、
政府のせわにならないで、どんどん
自分自身でや
つて行けるという財力を
地方へつけてやるのが本筋であります。農業災害の復旧にしろ何にしろ、
地方が
自分で持つように指導したいというのが、私たちの
考えであります。従いまして、これらから中央でどんどん減税をやるかわりに、
地方で活発にいろいろなものをや
つて行く余裕を得てもらいたい。但しせつかく
地方でいろいろな公共
事業を
自分の負担でや
つても、災害というものが起
つて一朝にして破壊されたというときには、これは
地方に対して非常に気の毒だということから、ほかの経済的ないろいろなものは、
地方でどんどんや
つてもらうかわりに、災害とい
つたようなものは、できるだけ国費の力でこれを見て行きたい、こういう
考えでおりますので、大きいことだけは国家で見てや
つても、小さいのは一切見ないという行き方ではなくて、ほかの部面の補助はどんどん減らしても、天災というようなことで、
地方の手の出ないようなことはできるだけ国費で
出して行く、こういうような方向に行きたいと努力しております。