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志道説明員 長官にかわりまして、ただいまの爆弾使用によりますところの漁業違反の件につきまして、御
答弁申し上げたいと思うのであります。先ほど来本件についていろいろ御回答がありましたが、水産庁所管の
関係といたしまして御
答弁申し上げたいと思います。
本件は漁業法の中にも明らかにこうした爆発物を使用しての水産動植物の採捕は禁ぜられております。
法律で禁ぜられておるのであります。
従つてこれに対しまするところの違反の摘発ということにつきましては、今日の
立場から申しますれば、海上で行われます場合が非常におおいのであります。むろんこれは内地におきましても、陸岸において、河川あるいは湖沼におきましても、ややもいたしますると、こうしたところの爆弾漁業が行われておるのであります。ことに先ほど
お話がございましたように、戰後におきまするこうしたところの爆弾漁業、特に私たちはげんこつ漁業と称しておりまして、業界の通称に
なつておりますが、この漁業というものは、戰後対馬方面、長崎方面において多く行われておるのであります。昨年の二月、総司令部の天然資源局長の方からも、実はこれにつきまして御注意を受けたのであります。私
どももこうした方面の事実の有無を極力
調査いたしまするとともに、
関係府県につきましては、こうしたところの問題が波及いたしませんように、十分
関係方面に注意を促しておるのであります。特にこうした方面に起つておりまする問題は、
戰前から長崎方面、特に五島方面から対馬にかけてでありますがあの海域は非常に多く行われておるのであります。ことにまた復員によつて帰つて来られた人々が、
戰時中、工兵隊とか、こうした軍隊で常に使用されて、おりましたところの爆発によつての採捕ということが、ややもいたしますると各方面において行われた。その惰性というものが、今日なお引続いて行われておるのではないかというふうに感ぜられるのでありますが、どちらにいたしましても、この漁業の及ぼしまするところの影響というものに、きわめて大きな問題があるのであります。
従つてこの漁業は、ややもいたしますると、安んじてそうしたところの
方法によつて生産をあげ得るように
考えられるのでありまするけれ
ども、しかしながら、ほんとうにそれによつて漁獲をいたされるものは、ほんの一部分であります。大部分のものは弊死して海の中に沈んでしまつて、ほとんど手に入れられない。こういうふうな点から
考えて行きますると、資源的に見てまことに大きな損失になる。また、面から申しますると、海底の
状態がすつかりこわされるというふうなこともありまするし、ことに長崎方面のあの漁場と申しますれば、これは
日本海の門戸を扼しておるという点もありまするしさばのごときものは、きわめて廻遊性に富んでおるという点から見まして、この
意味から門戸を扼すということは非常に重大な問題である。私
どもといたしましては、この防止ということにつきましては、むろん府県はもとよりでありますが、いわゆる漁業資源を枯渇させるということは、漁民みずから首をくくるようなことになる。こうしたところの根本的問題を含めまして、漁民に反省させる機会をつくるように十分努めておるのであります。とともに海上保安庁その他の取締り官庁の方とも、十分連絡を密にいたしまして、今後ともこの問題をできるだけ早く取除きたい、こういうふうに思つておりまするので、一応水産庁
当局といたしましては、これだけの気持ちを持つておるということだけをひとつ御了承願いまして、御
承認願いたいと思います。