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佐藤(一)
政府委員 この
法律の
体裁上ただいまのような
感じをお持ちになる点は、あるいはもつともかと存じますが、実はこの
法律の一番の
眼目はどこにあるかと申しますと、一番
最後にありますところのいわゆる
国税滯納処分と同じやり方で、この国の私法上の
債権を
取立てることができるということが、実はこの
法律としての一番の主たるねらいであります。従いまして私
どもといたしましては、むしろこの
法律は、
債権の
処理とありますが、
取立てを促進するということを
眼目に
考えております。ただ
復員局で現在扱
つております現場の経験に徴しますと、その
滯納処分を必要するということのほかに、いろいろこまかい
案件につきまして、現在いわゆる
処理に困
つておるものがございます。それらのものをどう解決するかというので、実は第
一條、第
二條以下の
緩和規定が先に入
つた形にな
つておるわけでありますが、第
一條につきましても、その
條文をごらん願うとおわかりになると思うのでありますが、これは
收納上国が有利であると認められたときに限
つております。それで
終戰直後の
各種の経済的な
條件の変化によ
つて一時打撃をこうむ
つておる。しかしながらもう少しかすに時間をも
つてするならば、
相当その
企業というものは有利にな
つて行く見込みがある。そういうようなものにつきましては、これはむしろ
延納を認めた方がいいじやないかということも
考えられるので、この
條文を置いたわけであります。従いまして私
どもの
気持といたしましては、もちろんただむやみに
延納をはかるという
気持で、これを運用する
考えはございません。ごく限られた場合に
延納を認める、こういうふうにしたいと思
つております。
それから第
二條につきましても、実はこれはこの
法律の
対象になるところの
債権のうち、
相当部分のものはいわゆる
特別経理会社、あるいは
閉鎖機関に指定を受けておるわけであります。それらのものにつきましてはそれぞれの
法律、
応急措置令でありますとか、あるいは
閉鎖機関令によりまして
処理せられておりますが、それらの場合にはいわゆる
企業再建整備の
計画の認可によりまして、旧
債権というものを適当な形で、場合によ
つては
免除ということ、切り捨てということを
考えておるわけであります。ところがそれらの
法律の
適用を受けないものについては、しからば全然
和解調停というか、場合によれば
任務免除をする場合を
考える必要がないかといいますと、やはりその後のいろいろな
條件で、
終戰前の各
企業というものは
状況が大分かわ
つております。
従つてどうしても
和解調停によ
つて事を運ぶほかに、円滑に行かないと思われる
案件が
相当たま
つておるのであります。しかしながら何分にも現在までは、それらのよりどころとなるような基本的な
規定というものが欠けてお
つたわけであります。それで
和解調停をいたせば、みすみす
相当早いうちにある程度のものがとれるというものを目の前に控えながら、
復員局としてはそれをみんな
案件として今日までためて来ておるものが
相当あるのであります。そういうものを頭に置きましてこの
規定を置いたわけであります。
それから第三條の
債務の
免除につきましては、昨日も御
質問が
相当にあ
つたわけでありますが、私がそのときに申し上げましたごとく、これについては広く
適用する
考えは全然ない。兵隊の
家族渡しの
給与等で
過誤拂いのものが
相当にあります。そういうもので現在の住所、居所の不明なもの、こういいうものはいつまでほう
つておいても、ただ
処理を遅らせるだけであるというものがありますので、そういうものに
限つて免除をするようにしたいという
考え方で、この
規定を置いたわけであります。しかしながら先ほ
ども申しましたように、この
法律の一番の
眼目は
最後の
滯納処分の
規定を
適用できるという点に、中心を置いているわけでありますから、
條文の
順序体裁等からただいまのような
感じをお持ちに
なつたことと思ますが、
政府といたしまして提案いたしました
根本の
気持はそういうことでありますので、御了承を願いたいと思います。