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1949-10-31 第6回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月三十一日(月曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 荒木萬壽夫君 理事 林  百郎君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       苫米地英俊君    中野 武雄君       西村 直己君    三宅 則義君       田中織之進君    松尾トシ子君       河田 賢治君    深澤 義守君       坪川 信三君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         (日本專売公社         監理官)         大蔵事務官   冠木 四郎君         (主計局法規課         長)         大蔵事務官   佐藤 一郎君         農林政務次官  坂本  實君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         大蔵事務官   伊藤 八郎君         農林事務官   清井  正君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第六号)(参議院送付)  日本專売公社法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)  旧軍関係債権処理に関する法律案内閣提出  第一七号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議開きます。  去る二十八日本委員会に付託されました日本專売公社法の一部を改正する法律案、及び旧軍関係債権処理に関する法律案の両案を一括議題として、まず政府説明を求めます。水田政務次官
  3. 水田三喜男

    水田政府委員 ただいま議題となりました日本專売公社法の一部を改正する法律案について、提案の理由説明いたします。  現行日本專売公社法におきましては、日本專売公社会計に関し、專売局から日本專売公社への移行が急速に行われなければならなかつた関係上、原則として日本專売公社を国の行政機関とみなしまして、従前の專売局事業会計に関し、適用されました法令規定の例によることに規定してありますので、公法人である日本專売公社がその事業の能率的な運営をはかる上から、いろいろの支障があつたわけであります。従つて企業の能率的な運営をはかりますためには、財政法及び会計法等、国の会計に関する法令規定関係なく、日本專売公社の実態に即しました合理的な、能率的な会計制度に改める必要がございますので、日本專売公社法のうち、会計に関する規定全面的改正を行うことといたした次第であります。  次に改正の要点について御説明いたしますと、まず現行法におきましては、日本專売公社会計に関しましては、国の会計に関する法令規定の例によることになつておりますのを改めまして、その会計は本法案により運営されることといたしました。  第二に日本專売公社資本金につきまして、その増加または減少につき明確に規定いたしました。  第三は日本專売公社予算につきまして、その執行につき企業予算としての性格上、ある程度の彈力性を與えることといたしました。  第四にタバコ、塩及びしようのうの三專売事業独立採算制の趣旨を明らかにするため、日本專売公社損益計算は、この三勘定に区分して、その損益を明らかにすることといたしました。  第五に日本專売公社の決算におきまして、その年度において固定資産、無形資産及びたなおろし資産の額の合計額が増加しましたときは、その額は積立金として留保することとしまして、その経理取扱いを合理化することといたしました。  第六は日本專売公社はその業務にかかる現金は、これを国庫に預託しなければならないのでありますが、ただ例外的に現金を安全に取扱うため、日本銀行を簡便に利用できないときは、郵便局または市中銀行に預金することができることといたしました。  第七に日本專売公社は、その重要な財産を譲渡または交換しようとするときは、国会議決を要することといたしました。  第八に日本專売公社は、その役員及び職員に対して支給する給與についての、給與準則を定めることを要することといたしまして、その給與準則は、これに基く一事業年度の支出が、国会議決を経ました当該年度予算の中で、給與の額として定められました額を越えてはならない旨、規定することといたしたのであります。  以上が本法案提出いたしました理由並びに本法案の大要であります。何とぞ御審議のほどをお願いいたします。  次に旧軍関係債券処理に関する法律案提出理由を御説明申し上げます。  旧陸軍省海軍省及び軍需省にかかる未徴收債権を迅速に徴收、整理いたす必要がありますので、本法律を制定しようとするものであります。  この債権を発生の原因により分類いたしますと、まず第一は、戰争中の物品の製造等契約について、終戰による契約解除のため生じた前金拂い及び概算拙い金額返還請求権に基く債権、第二は、戰争中及び戰争後拂い下げた軍需品代金請求に基く債権、第三は、以上各号の契約に基く誤拂いによる返還請求権に基く債権、この三つに分類できますが、以上の原因に基いて生じました債権金額は、政府計算におきまして現在約十六億四千万円、件数にいたしまして約八千八百件あるのであります。これらの未徴收債権中には、債務者特別経理会社または閉鎖機関に指定され、債務の弁済が制限または禁止されているものが多額に上り、またその他の債務についても終戰後の変動により債務者住所居所不明等種々の障害があり、極力徴收につとめているにもかかわらず、思うように処理が進行しない次第であります。  閉鎖機関または特別経理会社に指定中のものなどは、それぞれ当該法令により処理するほかないのでありますが、かかる制限のない場合につきましては、債務者の資力の状況によつてただちに納付させることが著しく困難であるものについては、その納付期限を延期し、または適宜分割して納付させること。裁判所の和解または調停により特別の譲歩をなし得るということ。債務者住所または居所が不明のため徴收不可能の場合には、その債務を免除し得ること。債務者が書面による債務の承認をしたもの、または催告書により確定した債権については督促をし、なお督促期限内に完納しないときは、国税徴收法規定する手続に準じて徴收の処分をなし得ること。但し国税のごとき優先権は認めず、かつ異議の申立て、異議の訴えを提起し得ることとする等の道を開きまして、もつて迅速な徴收と整理の進捗をはかることといたしたいのであります。  以上の理由によりましてこの法律案提出した次第でございますが、何とぞ御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 川野芳滿

    川野委員長 それでは食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案議題として、質疑を続行いたします。ただいまお見えになつております政府説明員は、農林省食糧庁総務部長清井正君と、農林省食糧庁企画課長安田善一郎君であります。
  5. 田中織之進

    田中(織)委員 この機会に今後この法律改正によりまして、一年間延期する間における輸入税免税を行いまする総額について伺いたいのでありますが、それは同時にこうした米、麦、雑穀、澱粉、カン詰類等主要食糧輸入が、大体どのくらい予想せられておるか、こういう見地から伺いたいのでありまして、その二点について大体二十三年度の分につきましては、ここに免税額調べをいただいておりますが、一年間延期することによつてどの程度のものが免税される予定になるか。その基礎となる主要食糧輸入計画がどの程度になつておるかということを、まず伺いたいと思います。
  6. 清井正

    清井説明員 ただいまの御質問でございますが、御承知通りただいまの需給計画等につきましてはいろいろ問題がございますし、その他輸入食糧につきましては国際関係等関係もございまして、ただいまただちにどの程度数字を予想されるかということを、御説明申し上げるまでの段階に至つておりませんことは、はなはだ残念に存ずる次第でございます。昨年から始まりまして今年の十月に終りますところの本二十四米穀年度におきましては、大体当初百九十万トンないし二百万トン近い数字を予想いたしておつたのでございますが、実績は大体それに沿うて輸入が進んでおる、こういうような状況でございます。明年度の二十五年度につきましては、これまたいろいろ需要上の問題がございまして、食糧需要数量をどの程度に勘案するかというような問題が第一でございます。また国内産食糧につきましても、米、麦等どの程度数字を勘案すべきであるか等、いろいろこの間につきまして生産消費の両部門にわたりまして、勘案すべき項が相当多うございますので、大体におけるその不足数量輸入に仰ぐといたしましても、どの程度数量を勘案すべきかということは、きわめてむずかしい問題だろうと思うのでございます。ただ、ただいま申し上げました通り約二百万トン程度数字をもつて、大体本年度需給バランスがとれつつあるということをもつていたしますれば、明年度におきましても大体特段の事情がなければ、やはりそれに近い数字を見合うべきじやないかというふうにも考えられるのでありまするが、何しろただいま申し上げました通り、いろいろ需要供給あるいはその他食糧政策全般にわたりまする問題がございますので、そういつた問題が解決がつくに従つて補填数量すなわち輸入に仰ぐべき数量も定めなければならぬ、こういうふうに考える次第でございます。はなはだ抽象的なお話を申し上げるのですけれども、こういつたような事情でございますので、その程度で御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  7. 田中織之進

    田中(織)委員 ことに対外的な関係があるから、確たる数字をつかむことは困難だという事情は、了承できないこともないのでありますが、二十五米穀年度におけるものにつきましては、たとえばイロア資金ガリオア資金関係にいたしましても、アメリカ国会で大体本年度中に四億五千万ドルというわくが一応決定されておる関係から、その中に含まれる食糧に予定される部分がどうかというような点は、大体つかめるのではないかと思うのですが、その数量は大体二百万トン程度と押えておる、こういう意味に理解していいのかどうか。アメリカの議会のいわゆる四億五千万ドルという対日援助わく関係から、一応推定せられる数字はおわかりだろうと思いまするので、その点でもお伺いできればと思います。
  8. 清井正

    清井説明員 ただいま重ねての御質問があつたのでございますが、ただいま二百万トンと申しましたのは、二十四年度のいろいろの状況からかんがみましての数字を申し上げたのでございまして、明年度におきましては、どういうふうになりまするか、想像がある程度つきかねる点もございまするし、いろいろ数学的には二百万トンを越した輸入数量も考えておりますけれども、この際はつきりどの程度ということを申し上げることはできない段階にございますので、その点を御了承願いたいと思うのであります。なおガリオア資金等の問題につきましても、その金額も年々減少して参つて行くような状況でございますので、それとの見合いでいろいろ輸入数量等も勘案しなければならないかと思うのでございますけれども、今言つたようなことでございまして、その数量についてはどの程度と申し上げることは、ただいまのところまだ時期尚早ではないかと思いますので、この点御了承願いたいと思います。
  9. 田中織之進

    田中(織)委員 これは当然国内食糧生産量とにらみ合せまして、新しい米穀年度における需給計画を、食糧庁当局としては当然お立てになつておることと思うのであります。そういうような点から国内生産量をどの程度に抑えて、結局全体としての需給バランスをとるために、どの程度輸入食糧を仰がなければならぬか、こういうような数字は出て来なければならないはすだと思うのでありますが、その点がまだ明確なものを持つておらぬということであれば、また別の機会もあろうから、その点は深く追究しません。  次にお伺いしたいのは最近の輸入食糧の、ことに小麦等についての輸入価格の問題について、ひとつ御説明を願いたいのであります。それから同時にこのことは食管のいわゆる特別会計輸入食糧との関係が、どうなつておるかという問題にも関連をいたしますので、まず輸入価格が各主要食糧についてどういうようになつておるかという現状を、ひとつお知らせ願いたいと思いまする。
  10. 清井正

    清井説明員 お答えいたします。ただいま御質問のございました輸入食糧についての価格の問題でございますが、ただいま大体食管特別会計におきましては、内地において生産されまする主要食糧価格と同様の価格を、私どもは貿易特別会計に支拂つておるわけでございまして、それと輸入される輸入穀類との価格との差額が、補給金として別途特別会計の方に支拂われる。そういうような仕組みになつておるかと思うのでございます。そこで種類別に單価を申し上げてみますと、特別会計に織り込んでおりますところのそれぞれの価格は、まず小麦でございますが、一トン当り価格が二万一千八十三円というふうになつております。ところが、アメリカから入つて参りますところの外国産の価格が、三万七千百七十円ということになつておりますので、その三万七千百七十円と二万一千八十三円との差が、結局補給金として支拂われるということになるだろうと思うのであります。もつとも、この際いわゆるチヤージをいろいろ計算をしておるのでございますが、その差額が補給されることになろうかと思うのでございます。ただいまのは小麦でございまして、小麦粉は一トン当り内地特別会計における価格が二万四千六百三十九円でありますが、それに対する輸入価格が四万九千六百八十円、従いましてその差額補給金として計算されることになるのでございます。それから米につきましては、八千十四円が六万六百六十円ということになつておるのでございます。大体以上の点であります。
  11. 田中織之進

    田中(織)委員 そういたしますと、食管特別会計としては、内地主要食糧価格と同じ額で貿易会計から受入れておる、こういうように理解していいわけですか。従つて今たとえば小麦で出て参ります約一万六千円の差額というものは、当然これは価格補給金の中で、二十四年度においてたしか四百六億の補給金があると思うのですが、そういうようなものは貿易特別会計でまかなつて食管特別会計で買入れをする場合におきましては、小麦は二万一千八十三円、米の点はちよつと数字が聞きとれなかつたが、結局八千十四円で受入れるという形になつておるのですか。六万幾らというのは一トン当り価格になるのですか。
  12. 清井正

    清井説明員 失礼いたしました。ただいまの米の価格は八千十四円と申し上げましたが、それは二万八千十四円ということでございます。たいへん失礼しました。  それから受入れの方は、ただいま申しました六万六百六十円でございます。ただ当然のことでございますが、この価格特別会計一定の当初の価格を推算いたしまして、その推算が基礎になつているわけでございますから、その点を御承知願いたい。
  13. 田中織之進

    田中(織)委員 前段に私が質問いたしましたように、特別会計としては小麥は二万一千八十三円、米は二万八千十四円で受入れるので、輸入価格との間の差額補給金で出すというような関係は、貿易特別会計でやるので、食管特別会計としては関係がない、こういうわけになるのですか。その点はいかがですか。
  14. 清井正

    清井説明員 ただいま御説明申し上げた次第でございますが、御質問の点につきましては、内地のいわゆる買入れ価格と同程度価格を、貿易特別会計の方に食管特別会計から支拂つておるわけでありまして、その差額補給金は別途貿易庁特別会計の方にまわすということになつておりますので、その中間の差額支拂いについては、食糧特別会計関係はないということに相なつておる次第でございます。
  15. 田中織之進

    田中(織)委員 われわれは俗に世間では内地買上げ価格というものが、前の二十四米穀年度におきましては、俵代を入れて一石当り三千六百八十五円、そのものが消費者に配給されるときには五千八百三十五円になりまして、石当りでそこに二千二百円からの開きが出ている。こういうようなことはもちろん食糧管理関係のいろいろの経費、公団の配給経費等が加算されて来るわけでありますし、一部この中にはいわゆる農業災害に関する消費者負担部分も、従来は織り込んで来たというような関係がありますけれども、一つにはやはり輸入食糧のプール計算的な内容のものが、非常に内地生産者価格消費者価格との間の大きな開きを持つて来ているのだというように、一般には理解されて来ておつたのであります。しかしただいまの説明を伺いますと、そうした関係補給金関係として、貿易庁特別会計処理されたものだということになりますと、食管特別会計における生産者買上げ価格と、消費者価格との間の二千何百円という大きな開きは、まつたく国内食糧配給過程において出て来る経費というような関係に相なつて来るのでありますが、その点は私の理解している通りでいいわけですか。
  16. 清井正

    清井説明員 ただいま重ねて御質問がございました点でありますが、私が御説明申しました通り外国から参りまする食糧価格は、内地食糧特別会計計算いたしますところの平均価格に基いて、貿易の方の特別会計に支拂つておるというようなことになつておりますので、特別会計自体から申し上げますと、輸入食糧の面についての問題は関係はないということに相なる次第でございます。
  17. 田中織之進

    田中(織)委員 その点はその説明で了解できます。  次に、今度の輸入税免税につきましては、お茶は省かれたようでありますから、その点について従来輸入しておつた—またお茶というものは、多分紅茶じやないかと思うのですが、そういうことを伺いたいと思つたのですが、その点はもう必要はないのであります。カン詰類につきましては、これはやはり向うから入つて来るカン詰相当の量になることは、二十三年度免税額調べの中からも出て来るのでありますが、この点はやはり日本輸出産業としてのカン詰関係との関連において考えなければならないと私は思うのであります。当然やはり第二十五米穀年度におきましても、カン詰類輸入というものがどの程度の量に上るかということの予測はつかないでしようか。私はこのことは今のような非常に変態的な貿易関係のもとではありますが、やはりカン詰というものは日本輸出産業の中で重要な部門を占めると思うので、やはりその輸出産業としてのカン詰との関連において、この輸入カン詰というものについても何らかの対策を考えて行かなければならぬのではないかと思うのですが、その点はどうなつておるでしようか。
  18. 伊藤八郎

    伊藤説明員 これはちよつとかわつておる点ですから、私からかわつてお答え申し上げます。ただいま御指摘の通りカン詰わが国重要輸出品でございます。ただ食糧免税で取扱いますカン詰は、一定輸入計画に基いて入れるものではございませんので、特殊の事情に基いて放出その他の関係上、実はわが方から申しますと、比較的非計画的に受入れをするようなものでございまして、従つて二十三年中は相当輸入がございましたけれども、今年上半期の経過を見ますと、実は相当に減つておるのであります。従つてわが方のカン詰生産とは、直接的にさほど濃厚なる関係を持たないものと、かように私は思います。
  19. 田中織之進

    田中(織)委員 伊藤さんの答弁せられる意味はよくわかるのでありますが、実際に二十三年度関係を見ましても、カン詰として蔬菜とか果実とか—これは日本人としてカン詰にした形において蔬菜果実をこれだけ輸入しなければならぬかというような根本的な問題があるわけですが、結局放出という形で、計画的ではない立場において受入れるのだということでありますから、それ以上を追究しないことにいたします。  最後に先ほどお伺いいたしました小麦価格の三万七千百七十五円という輸入価格でございますが、これは大体いつの価格でしようか。その点を一つ確かめておいて、私のこの問題に対する質疑を打切りたいと思います。それからできますれば、そのときの、たとえば九月の末なら末におけるシカゴの小麦相場がわかりますれば、お知らせ願いたい。どの程度、たとえば船腹その他の関係で、輸入価格というものが三万七千百七十五円になるか。この輸入価格内容と申しますか、そういうようなものをお知らせ願えればけつこうだと思います。
  20. 清井正

    清井説明員 ただいま御質問でございましたが、このときの三万七千円は、予算編成当時におきまして、当時のアメリカ小麦相場を推定いたしまして計算いたしたものでございます。従つて計算基礎は、ただいま詳細にお聞きいたしておりませんが、いずれまた詳細に調べておきたいと思いまする
  21. 川野芳滿

  22. 深澤義守

    深澤委員 農林当局に対して御質問申し上げます。本来外国から輸入される場合におきましては、輸入税をとることは普通なんでありますが、何ゆえこの米麦等、その他に対する輸入税をとらないことになつたのか。その根拠をひとつお伺いしたいのであります。それは国際的ないろいろな交渉関係に基いてそういうことになつているのか。あるいは国内的な事情に基いてそういうことになつているのか。その根拠をお伺いしたいと思います。
  23. 清井正

    清井説明員 ただいま御質問がございました点でございますが、先ほど来御説明申し上げました点ですでに御承知通り外国食糧日本国内産食糧に比較いたしまして相当高値である。従つてそのために補給金を今出しているわけでありますが、そういつたふうに、外国産の食糧内地産の食糧に比べて、相当高値を見ているというような具体的な事実をとらえました点が一つ。それから御承知通りガリオア資金によりまして、ただいま主要食糧がまかなわれておるというような点がありますので、そういつた外国産が高値であるという点と、ガリオア資金においてまかなわれているというような特殊な点、大体この二つの点から見まして、輸入税免税措置をとるべきではなかろうかというように考えるに至つた次第であります。
  24. 深澤義守

    深澤委員 本法案提出をして参りました理由の中に、「わが国現下食糧事情にかんがみ」ということで、現在の日本の具体的な食糧事情に基いて、こういうことをするのだということが意味されているのでありますが、さかのぼつて考えますれば、本法案昭和二十二年に制定されているのであります。従つて農林省当局としては、この二十二年の食糧事情と現在の食糧事情との間に、どういう変化があるかということについて、一応御認識を持つておられると思うのでありますが、われわれといたしましても、昭和二十二年当時の食糧事情と、本年度食糧事情とは相当かわつていると考えるのであります。ところが、依然として二十二年度と同じような状態の上に食糧事情を見ているというぐあいに、われわれはこの法案提出理由から申しますると考えられるのであります。具体的に申しますれば、現在の日本食糧庁の中にはいも類の統制を緩和する、あるいは撤廃するというような問題すら出ている。さらに供出後の余剰食糧米券制度によつて自由に販売するというような政策も、具体的に論議されているのであります。こういうような事情から申しまして、二十二年当時と現在とでは非常に食糧事情がかわつておるという、この事情を認めざるを得ないと思うのであります。こういうような点についてどういうぐあいに根本的にお考えになつておるか。食糧事情相当かわつて来ておるということをお認めになるかどうか。この点をひとつお伺いいたしたい。
  25. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 中途からお聞きいたしましたので、多少食い違いもあるかと思います。二十二年当時の食糧事情と、現在の食糧情と相当違いがあるかどうかというような点と承つたのでありますが、大体そういう点をお答え申し上げたいと思います。  二十二年当時は終戰後でありまして相当生産も落ちておりましたこと、あるいは外国食糧が計画的にあまり入らなかつたという事情もございまして、御承知のように非常に窮迫した状態にあつたのであります。ただいまから思い出しましても、相当未利用資源等ひどいものを使つて参らなければ需供の操作ができない。場合によりますと、相当餓死者も出るであろうということも当時言われておつたのであります。そうした苦しい状況であつたのであります。その後順次農業生産力も復活いたし、肥料事情等も好転をいたして来ておりますので、作況は順次軌道に乗つてつておると思うのであります。この国内食糧の供給力が向上して参りましたことのほかに、外国食糧が大量に、しかも計画的に入つて来ておる状況になつて参りましたので、需供のバランスは当時に比しますと相当好転して来ておると考えております。しかしこれは決して手放しで楽観をしていい性質のものではございませんので、入つておりまする食糧も申し上げるまでもなくガリオアで入つておりますので、今後この見通しというものも必ずしも楽観を許さないのであります。結論的に申し上げまするならば、二十二年当時よりは需供の状況はよほど軌道に乗つて来ておりまするけれども、将来必ずしも手放しでこのまま楽観をしていいという事態ではない、かように私どもは考えておる次第であります。
  26. 深澤義守

    深澤委員 二十四年度の農業計画を見ますると、米において六千七百万石、麦において一千六百万石ということになつておりまして、大体両方で玄米換算の八千三百六十六万石というものが、日本におけるところの生産の予定になつております。さらにかんしよ、あるいはばれいしよ等においても、二十億万貫以上のものが生産されるのであります。日本の戰後における各産業のうちにおいて、最も復興率は高いのであります。ところが今日日本の農村には政府価格政策が不十分なために、まだこれ以上の余剰の米が存在しておるということも間違いない事実であります。従つてわれわれとして一番重大な問題は、食糧国内において自給自足できるような方向に、政府は全力を注いで盡すべきである。食糧の自給自足ができるかできないかということが、今後日本が国際的に自立するかしないかという大問題にかかつているのであります。ところがどうも政府の行き方というものは、外国食糧に依存する方向が強くて、内地におけるところの農業の生産のために、あらゆる努力と経費を支出することを非常に惜しんでいる。こういうようなところにわれわれは政府がもつと日本内地において、食糧の自給自足ができるような方向に努力しなければならないということを考えております。農林当局として現在の農業計画にもう少し馬力をかけて行くならば、国内自給自足ができるという見通しをわれわれは持つているのでありますが、この点について農林当局はどういうぐあいにお考えになつておりますか。われわれとしては外岡依存の方向を排して、国内における自給自足の方向に努力すべきではないかということを考えておるのでありますが、この点に対してそういう決意を持つておられるかどうか。その点を一つお伺いしたい。
  27. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 農業生産力を十分発揮させるならば、日本といたしまして食糧の自給が可能ではなかろうか。その辺についての見解をお尋ねでございますが、私どもといたしましても、できるだけ国内食糧の自給度を高めることについて、努力をいたして参らなければならぬと思つております。御承知のようにただいまの輸入食糧の占めておりまする割合は、生産の面におきまして約一割、配給食糧の点から申しますと二五%が、輸入食糧によつてまかなわれておるわけでございますが、これだけのものを日本の農業生産力の発展によつて入れすに済むかどうか。この点は私ども非常に困難であろうかと思つております。ずつと前から考えましても、日本内地において食糧の自給が最近においてできたことはなかなかないのであります。朝鮮米あるいは台湾米等の補給によりまして、日本としての食糧の自給ができておつたのであります。できるだけわれわれといたしましては、全般の情勢から国内食糧の自給度を高めて行くことに、最善の努力を盡す必要はあろうと存じます。しかし現在の状況におきまして、完全に近き将来において自給ができるという段階には、なかなか到達し得ないのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  28. 深澤義守

    深澤委員 自給ができるかできないかという問題を抽象的に論議するよりも、ひとつ私は数字的にこの点をお聞きしたいと思います。二十四年度の農業計画において、米麦合せて玄米換算の八千三百六十六万石が日本の農業計画になつているわけであります。その他にかんしよが十四億九千万貫、ばれいしよが六億七千八百万貫、そういたしますと従来一人の一年の食糧は大体一石ということが常識でございます。従つて現在八千万人といたしましても八千万石、そういたしますと、どうやらこの農業計画に出ております数字が具体的にルートに乗りますれば、これは食糧自給ができるわけであります。その他の副食物関係あるいは工業関係にまわします部分が足りないという結果になるわけであります。しかしこの農業計画以外に、農民は現在の米価が生産費を償わない、再生産を保障し得ないというような状況のもとに、供出を非常にきらつておるのであります。従つてそこにいわゆるやみ米のあることも間違いない事実であります。価格政策よろしきを得るならば、こういう米が出て参るのであります。われわれはこのルートに乗らないところの米が、おそらく一割近くあるのではないかという予想を持つております。この点は価格政策さえよろしきを得れば、正常のルートに乗つて来るという可能性があります。政府は現在そういう問題については努力していないのであります。  さらに二十二年度以来の災害復旧費の打切りのために、二百万石ないし三百万石生産のできる耕地が、荒廃に帰しておるというのが今日の現状であります。さらに土地改良を行いますれば—つまり戰時中日本の耕地は老朽しております。従つてこれを若返りさせなければならぬ段階に来ておるのであります。そのためにこそ第五国会においても、土地改良法案というものが通過しておるのであります。ところが政府自体がこの土地改良法案を十分に生かすところの予算をもつていないために、これがほとんどできていないというのが今日の現状であります。これをやるならばわれわれは日本国内における食糧の増産は、五分あるいは一割可能という見解を持つております。  さらに肥料の増産の問題といたしましても、現に日本においても百五十万トンの肥料が生産できるところの施設があるのであります。ところがこれを政府は百万トンに抑えておる。むしろ外国から補給金を出して輸入することに努力しているのであります。この輸入補給金内地の肥料生産に振り向けるならば、現在よりも相当生産ができる。この肥料の問題が解決いたしますれば、日本における食糧増産も急激な発展ができるのであります。さらに農地改革にからみまして、吉田内閣は農地改革の打切りの方向に努力しております。しかしこれ以上農地改革を促進する方向に努力いたしまするならば、開拓地の問題にいたしましても、今までやつて参りました失業救済的なものでなしに、国家が努力をいたしまして開拓をやるようになれば、相当日本における食糧増産の根拠がつくり得ると思うのであります。その他税金の問題にいたしましても、供出の問題にいたしましても、農民の生産意欲を助長する方向でなしに、むしろ減退させる方向にのみ、政府がその政策を行つておるというところにこそ、日本における農業生産が飛躍的に発展しないという根本原因があるとわれわれ考えます。こういう問題一切を除去いたしますならば、食糧自給は不可能ではない。何ゆえ政府はこの方向に努力せずに、外国依存の方向へ持つて行くのか。こういう点について農林当局はどういうお考えと方針を持つておられるか。ひとつお伺いをしたいと思います。
  29. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 最初に現在の国内食糧生産量から見まして、自給が可能ではないかという御指摘がございましたが、いかにも米、麦、かんしよ、ばれいしよ等を総合いたしますと、八千万石を上まわる数字になろうかと思います。また一人当り消費量を大体年に一石と抑えまするならば、八千万石というようなことで、大体自給の数字上のバランスはとれるわけでありまして、この御議論は常に、また前々から各方面において実は承つておるのであります。計数的にはさようになりますけれども、実際問題といたしまして、この多数の生産者から完全に、ただいまお話のございましたような数字に基く供出量を期待することは、非常に複雑な農村の事情もありまして、なかなか困難なことであろうと思います。また消費者の方の立場から申しましても、一時にいもが殺到するというようなことについての非難もございますし、これを年間を通じて月別平均的にいたしますることは、現在の施設その他の関係からいたしましても、なかなか困難な事情もあります。また各般の実情を総合いたしますると、計算上はただいまお話のような数字も出ると思うのでありまするが、実際の操作の面におきまして、現実的にはなかなか自給することはできないというのが現状であろうと思います。なお今後の食糧生産の確保につきまして、土地改良についてのお話があつたのでございまするが、私どもも今後国内食糧の自給度をますます高めて行くということが、これがやはりどうしても必要なことだと思いますので、その最も有効な手段といたしまして、土地改良は私どうしてもやらなければならぬ問題だと思つております。日本の農業技術の向上にも一定の限界がありまして、たとえば品種改良というものも相当進んで来てはいるのであります。もちろんこれ以上に改良の余地は十分あろうかと思います。しかしながらおのずからそこに限界がありまして、ただちに食糧の自給を確保するに十分な改良というものも、そうここ一、二年で期待はできなかろうかと思います。その場合に最も有効な手段でありますのは、やはり土地の改良であろうと思います。これには政府といたしまして、全幅の努力を傾けて参らなければならぬというふうに私どもは考えております。肥料増産の点についても、やはりできるだけこれが増産について、努力をして参らなければならぬと考えております。結論といたしまして、あらゆる農業生産の向上をはかる各手段につきまして、われわれといたしましては努力をして国内の自給度を高めて行く、実際上に時給度が高まるように、生産を上げて行くということに努力をいたさなければならぬと、私どもは考えている次第であります。
  30. 深澤義守

    深澤委員 食糧庁長官の御意図はよくわかるのでありますが、土地改良にしても、肥料問題にしても、あるいは農地改革、税金あるいは供出等の問題その他いろいろな食糧庁長官の所管外の問題もございますが、直接に食糧庁の所管として当面増産に役立つ問題は、私は米価の問題であると考えます。ところがすでに供出は日本の農村にどんどん始まつている。しかしその供出を幾らで買つてくれるかという米価がいまだに決定されていない。これは米価審議会等において、生産者団体あるいは農業団体、学識経験者あるいは国会の代表等が参加いたしまして、いろいろな議論をいたしました結果、四千七百円の結論が出ているのであります。ところがこの四千七百円を、さらに最近においては四千四百何円かにきめようというような議論も、政府にはあるようであります。こういうことではいかに当局が国内における自給度を高めようというお考えを持つてつても、実際の農民の受ける憾じ、農民の生産に対する熱意というものは、だんだん失われて行くわけでありまして、常に後手々々を打つているのであります。われわれといたしましては、もしも生産費を償う米価でもつて買い入れるということになりますれば、現在の状況におきましては相当生産は上るし、あるいはルートへ相当つて来ると考えるのであります。現在のような状態では、これはもう非常に食糧問題は困難を来すはかりであると考えるのであります。こういうような見地から米価をいつ御決定になるか。そうして米価をどの程度に御決定になり、米価審議会の決定をどうするか。この点について農林省の明確な御答弁を願いたいと思います。
  31. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 米価につきましては、米価審議会においてただいまお話のございましたような御決定がございまして、その後政府におきましても、いろいろ検討いたしおるのでありまするが、大体米価審議会の御意見を尊重いたしまして、ただいま関係方面と折衝をいたしておる最中でございます。しかしなかなか最後的結論を出すまでに至つておりませんで、この点はわれわれ供出の方面を直接担当いたしております者から見ますと、非常に生産者に対して済まないことであると考えておるのでありまするが、米価の決定につきましては、でぎるたけ早急にきめたいということで、実はいろいろ物価庁とともに毎日のように督促もし、折衝をいたしておるわけでありまして、ただいまのところまだ最後的な結論に到達しておりませんので、できるだけ委員会の御趣意に沿うて努力をしておるということしか、申し上げられないわけであります。
  32. 深澤義守

    深澤委員 その次にお伺いいたしたいのは国際小麦協定の問題でございますが、先般衆議院において緊急質問がありました場合における外務政務次官の答弁は、大体において国際小麦協定に入れば非常に得をするのだ、こういう御答弁のようにわれわれは承つておのであります。ところが事実はわれわれは反対ではないかというように考えるのであります。国際小麦協定自体が、実は国際的な食糧過剰生産の状態を、またそれから出て来るところの必然的な価格の低下ということを、お互いの協定によつて維持しようとする、そこに国際小麦協定の目的があるのであります。そうしてこの国際小麦協定に入つた以上、四箇年間にわたりわれわれは一定数量をきめられた値段によつて、義務的に買わなければならぬということになりまして、もちろん今日の問題としては、多少ながらこれは日本における採算上は得になるかもしれませんが、過剰するところの国際食糧というものは、毎年々々のように生産が過剰して参りますので、下落の傾向にあることは間違いない事実であります。ひとつごの国際小麦協定と今後の日本の米価というものの関係について、農林当局はどういうお考えを持つておられるか。この点を御説明願いたい。
  33. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 国際小麦協定に参加することについては、いろいろ私どもといたしましても研究もし、将来にわたつて見通しも立ててみたわけであります。また加入するということにはなつておりませんけれども、まあ加入するということでただいま進めておるのであります。もし加入ができるということになりますと、大体百二十万トン程度のものはこれで入れたいというふうに考えております。これは日本の現在におきまする不足数量から見ますると、本年度におきましても約半分以下の数字でございます。今後たとえば増配をいたすというようなことになりまするならば、所要量は現在よりもつとふえるわけであります。この日本の不足量から見まするならば、この数字はまず半分あるいは半分以下という数字になろうと思つておるのであります。従つてこれが入るからと申しまして、国内生産力の発展に非常に大きな支障を来すということは、われわれとしてはここ当分の間はないではなかろうかという前提のもとに、実はこの問題を考えて参つた次第であります。いろいろこの点についは見解もあろうかと存じまするけれども、大体論といたしまして日本の農業生産力が、いろいろ現在の財政状況その他から判断いたしましても、急激に自給が可能であるというところまで、ここ三、四年中に到達し得るものとは、率直に申し上げまして、なかなか期待できないのではなかろうか。そういたしますとやはり相当量の輸入をしなければならぬ。この輸入所要量のまず半分程度は、国際小麦協定による小麦輸入によつてまかないますことは、日本食糧事情を安定させる意味からもいいことであり、また国内生産力を上げる意味におきましても、支障はないというような大体の見通しを持ちまして、この協定に参加することがよかろうじやなかろうか、というような考えをいたしておる次第であります。
  34. 深澤義守

    深澤委員 先ほど長官がおいでになる前に現在の小麥、小麥粉、米の輸入価格についてお伺いしたのでありますが、もしかりに国際小麥協定に参加できた場合におきまして、この輸入価格の問題がどういうぐあいになるのか。その点おわかりになつておりましたら御説明願いたい。
  35. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 現在日本輸入しておりますアメリカの小麥の日本の到差価格は、一トン九十六ドルでございますが、この協定に入りますと最高価格でも一トンが八十一ドル見当であります。そういたしますとトン当り十五ドルの節約に相なるわけであります。それからただいま申しましたように、現在日本の希望しております量は百二十万トンでありますから、もしこれが承認されることになりますれば、今年の価格について申すと、百二十万トンの一トン当り十五ドルの節約で、約千七百万ドル程度の節約になろうかと思います。
  36. 深澤義守

    深澤委員 そうなりました場合において、輸入補給金との関係はどうなりますか。
  37. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 下りましただけ輸入補給金が減るという結果になりまする。
  38. 深澤義守

    深澤委員 もう一つお伺いしたいことは小麥の値段でありますが、結局四年間この値段がずつと決定されまして、かわりなくこの値段で輸入されるのか。それと日本内地における小麥の生産価格との関係はどうなるか。その点を御説明願いたい。
  39. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 この価格は毎年下ることになつておると思います。その数字ちよつと今手持をしておりませんから、また別の機会にでも申し上げられるだろうと思いますが、最高の一ブツシエル当り一ドル八十セントですえ置きであります。最低価格の方は現在一ブツシエル一ドル五十セントでありますが、逐次下げまして、四年後においては一ドル二十セントということに大体なつておるのであります。その場合に国内小麦価格にどういう影響を持つかという点についてでございますが、それは今後の日本小麦価格の問題もございますけれども、この一ブツシエル最低価格の一ドル二十セントという数字になりましても、現在の日本小麦価格の方が高いという大体の見通しになつております。従つて日本価格面からする小麦の増産の奨励には、そう影響がないというふうに考えます。
  40. 深澤義守

    深澤委員 もう一点お伺いいたします。この国際小麦協定によつて四年間は百二十万トンを、価格が漸次安くなるという形において輸入されるのであります。ところがこの国際小麦価格が、協定価格以下にどんどん下落して行くというような傾向があるのであります。ブエノスアイレスからの十月七日のAP通信によりますと、アルゼンチンの小麦は三百十ペソないし三百六十ペソという価格を維持しておつたけれども、最近は二百七十ペソになつたというふうに報告されております。それからとうもろこしも二百十ペソから百七十ペソに下つたというような報告がされております。アルゼンチンは価格関係において、この国際小麦協定に最初は参加しておつたのでありますが、中途から脱退したようであります。そういたしますと、この協定に入つておるところはその価格で維持されるけれども、入つていないところは、過剰した食糧をどんどん安くダンピングするという傾向になつて来るのであります。従つて協定に入つておると協定値段でどうしても買わなくちやならぬ。ほかのダンピング的な非常に下落した食糧を買うことができない。むしろ入つていないなら、そういうダンピング食糧によつて、安くものが買えるという結果になりますので、結局先ほど申しましたように入つておることによつて、非常に得をするのだという考え方は固定的な考え方でありまして、将来の世界の食糧過剰の傾向を考えますと、入ることによつてかえつて非常な損をするのじやないかというぐあいに考えるのでありますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  41. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 日本がフリー・ハンドでもつて世界各国の市場を見まして、自由に買付ができるという状況において、安いところから買つた方が、結局日本としては得ではなかろうかというお尋ねでございますが、その点もわれわれといたしまして相当検討を加えてみたのであります。今後生産力の回復によつて、世界の食糧の供給力は増して来るとは存じまするが、申し上げるまでもなく、いろいろ天候等に支配されることも多いのでありまして、たとえばきようの新聞にも出ておりますように、米の生産は落ちておるというようなことも一部報道いたされておりましたが、やはり天候に支配される部分が多いので、今後相当長きにわたつて常に世界的な豊作が続くということも、実は言い切れない部分があろうと思うのであります。従つてその辺の事情もかみ合せて、しかも小麦協定によつて示されておる価格の面も考慮に入れまして、総合的に加入いたした方が、経済的にもまた日本食糧事情を安定させる意味からも、有利であろうというような判断で実は進めておつたのであります。ただいまアルゼンチンのお話がございましたが、昨今アメリカ等におきましては小麦価格が若干高騰をしておる事情もございます。この国際的な価格のことはいろいろな要素で動きまするので、一つの国の一時的な現象のみによつて将来を想定することも、いろいろ困難な点があると思いますので、全体の観察といたしましては、ただいま申し上げたような気持に立ちまして研究を続けて、実は加入する方が有利であるというような結論が出たわけでございます。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 ちようど小麦協定の質問が出ておりますが、大体日本政府の二十五年度から二十八年度にわたる輸入希望量と、それから保証された量は大体どうなつておりますか。
  43. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 小麦協定に拘束されておる期間保証される数量は、百二十万トンということでございます。その前提となります要輸入量は、これは実ははつきりきまつた数字ではございませんが、私どもが一応腹に置いて考えました数字を概略申し上げますと、一九五〇年におきましてはどうしても二百三十万トン程度の、外国からの食糧輸入が必要であろうと考えます。また一九五一年になりますと二百六十万トン程度が必要でなかろうか。一九五二年におきましては三百五十万トン、一九五三年も同様であります。大体そういうふうな想定をいたしております。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 農林省のお考えによりますと、だんだん輸入食糧がふえておりますが、先ほど私たちが心配して質問したのも、日本の農業を復興することによつて、米価の問題あるいは土地改良によつてむしろ日本食糧の増産を考えて、逐次輸入食糧を節減するという方向に日本政府としては進むべきではないか、そのために全力を盡すべきではないかという私の方の質問があつたのでありますが、それに対してむしろ輸入食糧が顕著に増額することを日本政府が希望しておる。ことに二十七年度、二十八年度に行きますと、二百万トンとしまして五割増の輸入希望量がふえておるということですが、日本政府としてはどういう考えから、こういう数字が出ておるかということを聞かしていただきたい。
  45. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 概要を申し上げますと、人口増がどうしても消費の増加の原因になります。それから将来においてやはりいつまでも二合七勺でいいというわけのものでもありませんので、單位当りの配給量の増もやはり念頭に置いておるわけであります。なお生産者の方から申しましても、現在の農家保有は御承知のように大体四合保有ということで保有を認めておる。なおまた一部保有農家につきましては、三合一勺五才というような非常に切詰めた保有しか、実は認めておらぬのであります。この方面についても御承知のようにいろいろ問題を惹起しておりますので、今後適当な機会においては、農家の保有の増というものもどうしても考えてもらわなければならぬ。かれこれ正常な状態を考えますると、需要の増というものが相当あるわけであります。一面生産力の増強ということに、われわれといたしましてもできるだけの努力をいたしまするけれども、需要面におきます増加をカバーして、しかもなおかつ自給ができるという段階まで、なかなか私どもとしては腹をきめかねております。また現実の問題としてなかなか困難で、なかろうか。こういうような点から一応の想定といたしまして、ただいまのような協定をいたしておるわけでございます。今後農業生産力の発展に対する各方面の御理解によつて、これが急速に発展をして参りまするならば、これは日本のためにはなはだけつこうなことだと思いまするけれども、現実の問題といたしますと、私どもとしては相当かたく踏んで参らなければならない、かような考えを持つております。
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 日本政府輸入希望量はわかりましたが、そうすると協定によつて保障される量は百二十万トンと解釈していいのですね。  それからもう一つは、ただいま社会党の田中委員からの質問がありましたが、一トン当り輸入価格が三万七千百七十円、これが現行の指示価格ですと、三万四千二百三十六円になつておると思いますが、現行指示価格より上るのかどうか、それを御質問したいと思います。
  47. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 アメリカの指示価格よりも下ることになります。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 アメリカ現行指示価格は三万四千二百三十六円というように了解しておりますが、先ほどの長官のお話ですと、三万七千幾らで輸入するということになつております。原料が三万七千百七十円ですから、これは指示価格より少し高いのですが、このさやはどうなりますか。
  49. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 その差額は現在の状況におきましては、結局アメリカ予算と申しますか、ガリオア・フアンドによつてまかなわれることになるのではないかと思います。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 だから指示価格より少し高いのですが、これはどうかということです。
  51. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 私が申し上げましたのは、こちらのオフイシヤルの値段を申し上げたのであります。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つですが、この小麦協定に入ります場合に、輸出国というのは特定されるのか。協定各国、たとえば輸出国として四つあると思いますが、この四つの国の適当なところからやるのか、プールにされるのかという点が一つ。それから将来日本政府としては、たとえば主要な輸出国としてただいま申し上げましたアルゼンチンとか、ウルグアイとかソ連とかいつたような国もありますが、こういうようなところとの貿易は一体考えておるかどうかということです。
  53. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 実はこの協定の今後のとりきめについて、ただいまお話のございました点まで深く私どもも考えておりませんが、協定の内容によりましては、ほかの国からも入れるということになろうかと思います。この点は実はまだはつきり申し上げるまで行つておりません。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 関税の伊藤さんが見えておりますからちよつとお尋ねしたいのですが、輸入食糧のうち、二週間苦労なさつて茶及び重炭酸ソーダだけは、課税をすることになつたそうでありますが、その課税額はどのくらいですか。
  55. 伊藤八郎

    伊藤説明員 重炭酸ソーダは従来ともほとんど輸入はございませんが、お茶の方は原価で約二百万円かそこらの輸入があつたかと思います。但しこれは従量税品でございまして、さほどの税額に上つておりません。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方へ配られました資料によりますと昨年度五千円ということになつております。重炭酸ソーダはほとんど過去の実績なしということになりますと、ここでせつかくあなた方が苦労なさつて課税することになつたのは、わずか五千円にとどまるという結論になりますが、あまり情ない話だからちよつと質問するのです。
  57. 伊藤八郎

    伊藤説明員 急ぎました関係で昨年度の実績だけ差上げたのでありますが、昭和二十四年一月から六月までの実績におきまして、茶の輸入額は二百八十五万八千円、免税額が十五万円となつております。非常にさびしいですが逐次増額されるのではないかと思います。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 重炭酸ソーダの方は……。
  59. 伊藤八郎

    伊藤説明員 重炭酸ソーダの輸入はございません。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると十五万円ということですね。
  61. 伊藤八郎

    伊藤説明員 さようでございます。
  62. 川野芳滿

    川野委員長 次は北澤直吉君。
  63. 北澤直吉

    ○北澤委員 各委員からの質問に対する御当局の御答弁で大体わかつたのでありますが、一、二点お伺いいたします。先ほど食糧庁長官の御答弁では、免税をする理由一つガリオア資金で入つて来ることと、もう一点は外国食糧の値段が高いというわけで免税をするというのでありますが、もし将来日本への輸入食糧輸入先を切りかえて、南方方面から食糧輸入するということになりますと、ガリオア資金によらないわけでありますが、そういう場合でも免税をする必要があるかどうか、その点を一つお伺いします。
  64. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 南方の米につきましては、実は現在の価格相当高い価格になつておることは御承知通りであります。そんな点からも国内米価についても批判を受けておりますが、当分の状況としましては非常に安い南方米が入つて、関税をかけねばならぬというような態は、おそらくここしばらくはないたろうという見通しであります。
  65. 北澤直吉

    ○北澤委員 そうするとここ当分輸入食糧は、主として米国から買うということでございますか。
  66. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 日本人の食生活なり食習慣の関係もあります。それから見返り物資と申しますか、輸出関係等と関連して考えますと、やはり南方の米もある程度入れなければならぬと考えております。今後南方の米は輸入がふえる傾向になると私は思つております。
  67. 北澤直吉

    ○北澤委員 先ほどの長官の御答弁では、日本が国際小麦協定に参加しますと、百二十万トンの小麦輸入を保障することになつておりますが、そうしますともし将来南方の米なんかの値段が下つて、南方から輸入した方が日本として有利であるという場合にでも、百二十万トンの輸入を保障しなければならぬということから申しますと、百二十万トン以上輸入することはもちろんできましようが、南方の食糧の値段が安くなつたときも、この百二十万トンに縛られて、輸入が十分できないというようなことがあり得るかと思いますが、この点に関する御意見を伺いたい。
  68. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 先ほど申しましたように今後の国内生産力の問題もありますが、概要二百万トン程度輸入と抑えますれば、百二十万トンが小麦でありましても、あと八十万トンが南方の米、大体そういう数になるのでありますが、現在の南方米の輸出力が非常に減退いたしておるのは御承知通りだと思います。仏印はほとんど大したこともないし、ラングーンと申しますか、ビルマ米も最近多少入つて来ておりまするが、いろいろ政情の不安その他の関係で、今後ちよつと輸出はあまり期待できないのじやないかと思つております。残りまするのはタイでありまするが、これは昨年度でも一年間を通じまして八十万トン程度の輸出しかいたしておらないのであります。従いましてお尋ねのように南方の米が相当安くなつて、その残りを小麦と置きかえざるを得ないというようなことは、ここしばらくの見通しとしては、私どもは期待できないのではなかろうかと考えます。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの安孫子食糧庁長官のお話ですと、日本政府の将来の希望が最高三百四十五万トンとなつておりますが、これは日本食糧事情を改善したいという気持から出ているというお話です。要するに二合八勺程度ではいかぬ。もう少しこれを改善する余地があるならば改善したいというような気持からも、輸入希望量が漸次増加しているという御答弁だつたと思います。そこで日本政府としては一体何合配給ぐらいの程度を理想的と考えているのか。また将来はこういう希望量が入るときには、国家で統制する配給方法というのは解くつもりなのか。その辺は将来の見通しとしてはどう考えておりますか。
  70. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 今後の食糧事情の見通しと言いますか、日本食糧の長期計画につきましては、経済安定本部におきまして長期の五箇年の復興計画というようなものを、実はやつてつたのであります。これが最後的にどうなつたか実は私は今はつきりいたさないのでありますが、大体の考え方といたしましては、やはりほんとうに食生活を安定させるには、三合の線までは持つて行かなければいかぬのじやないかというような大体の意見でございます。それからその内容につきましても、やはりいもとか何とかいうものでなく、種類についてもある程度考えて、それで三合の線ぐらいまではやはり持つて行かなくちやならんのではないかというのが、大体の構想であつたと私は思つております。それが具体的に私が申し上げました数字にどう織り込まれているかということははつきりしませんが、大体そういう考えで……。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 それから配給という方法はいつまで続けるのであるか……。
  72. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 配給の方法は簡單に実は結論を出し得ないと思つておるのですが、私どもはやはり主食でありますし、非常に欠除すると申しますか、不足分が外国から入つて来て、それで国内需給バランスがとれるという状態におきましては、やはり配給制度は継続せざるを得ないのではなかろうかと思つております。
  73. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。—ほかに御質疑もないようですから、本案に対する質疑はこれにて打切ることにいたします。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 それに対して異議があるのですが、実は昨日農林委員会の理会で、この輸入食糧免税の問題につきましては、これが日本の農業に及ぼす影響が非常に甚大だ。ことにでき得るならば日本の農業を復興の方向へもたらして行き、日本食糧問題は日本の農民の生産するところによつて、解決して行きたいということが基本的な方針であります。ところがこの法案によりますと、なお政府委員説明によりますと、むしろ輸入希望量というものは、日本政府としては将来とも増加して行くという希望を持つておる。しかも小麦協定に参画することによつて、将来の輸入量と価格が押えられて来る。こういうことの日本の農業に及ぼす影響が非常に甚大であるということから、ぜひ農林委員会と大蔵委員会が一度合同審査をして、農林委員会の意見も参酌し、また農林委員会を通じての日本の農民の声も聞いたらどうかというようなところから、たしか農林委員会は先日合同審査を理事会として決定しているはずであります。私たちといたしましても、この法案についての審議の万全の責任果す意味で、ぜひ農林委員会の理事会で決定した大蔵委員会と農林委員会の合同審査という方法を一度とつていただいてから、この問題についての審議を終結していただくという希望がありますから、本日この程度をもつてただちにこの法案審議を打切ることについては、反対の意思を表明いたします。
  75. 川野芳滿

    川野委員長 ただいま林君のお述べになりましたようなお話を承りましたので、委員長といたしまして、実は農林委員会においてただいまのような決議が行われたか、どうかということを、検討いたしたわけであります。昨日の理事会におきまして、なるほど林君が申されましたような話は実は出たそうであります。しかし話だけであつて、何らの決定に至らなかつた。かつもし昨日そういうような重大な決議が行われたとするならば、当委員会に合同審査の申込みがあるものと考えておりますが、かような申込みも現在行われていない実情であることを、御報告申し上げます。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 ちよつとその点釈明しますが、実は農林委員会は昨日をもつて打切つて、あと八日の日にやるのだそうです。ですからいずれ八日に正式に農林委員会を開いて、そこで昨日の理事会の申出を諮つて、こちらに申込んで来ると解釈できまする、昨日は正式に申込みをするという段階に至らなかつたけれども、農林委員会の理事会の方向はそういう方向をたどるものと思います。  もう一つ委員長に申し上げるのは、この輸入税の問題については日が限られていない。十一月三十日までかとわれわれ聞いておりますが、ここで今日ただちにやる必要もないと思つておりますし、せつかくの農林委員会の理事会の申入れでありますから、農林委員会で、必要ない、あるいは必要であるという意思がはつきり決定するまでは、こちらは待機の姿勢をとつておいても、この法案審議にそう遅滯を来すことでもないし、政府政策に影響を来すわけでもないということで、私は提案しておる次第であります。
  77. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま農林委員会との合同審査の提案がありましたが、本法案はなるほど食糧には関係があるのでありますが、それを言い出しますと、大蔵委員会はあらゆる問題が他の委員会と競合することは当然であります。従つて食糧問題との関係がいかに重大であるかどうかということによつて、決定さるべき問題でありまして、この法案は先ほども政府説明にありましたように、高い輸入食糧を、しかもガリオアの放出によつて得ておる。それを免税するがいいかどうかということにかかつておるわけであります。決して合同審査の必要なしと私は思うのであります。またその基礎となる問題につきましては、ただいま論議も盡されておることではありますし、そういうような点から考えまして、むしろこれを打切りまして、採決にお入り願つた方がいい、かように考える次第であります。従いまして質疑打切りの動議を提出いたしたいと思います。
  78. 川野芳滿

    川野委員長 本案に対しましては質疑打切りに賛成の動議と反対の動議が出ておりますので、これより採決することにいたします。     〔林(百)委員「定足数はあります   か」と呼ぶ。〕
  79. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  80. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めてください。  暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後零時三十九分開議
  81. 川野芳滿

    川野委員長 再開いたします。  午前中はこの程度にいたしまして、午後二時から再開することにいたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     午後二時十五分開議
  82. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議開きます。  先ほど質問打切り等の動議が出ておつたのでありますが、この動議に先だちまして、深澤義守君に二、三点の質問を許可いたします。
  83. 深澤義守

    深澤委員 午前中大体御質問申し上げたのでありますが、まだ二、三の点につきまして、政府の責任ある御回答を願いたいので、御質問申し上げます。  今まで質問いたしました中で、今回の食糧その他のものに対して輸入税を免除する根拠について、御質問申し上げたのでありますが、伊藤関税局長の方では、このたびの輸入税免除の原因は、食糧管理法に基く国内的な措置であるというぐあいに、説明をされておるのであります。しかるに農林省の食糧管理局長官の方では、この輸入税免除の根拠外国産の米価が非常に高いから、それで輸入税を免除するのであるということが一つと、それからガリオア資金によつて輸入するのであるから、これは恩惠的な輸入であるから、これに対して輸入税はとれない。全然大蔵省の伊藤関税局長の御答弁と、食糧管理局長官の御答弁とでは食い違つているのであります。この点をわれわれは統一していただかなければならないのであります。一体政府はこの輸入税免除の根拠国内的な事情に基いて考えられておるのか。あるいは対外折衝の関係においてこの輸入税を免除されるのか。この点を明確にお聞きしたいのであります。
  84. 伊藤八郎

    伊藤説明員 お答え申し上げます。その点は一昨日私がお答え申し上げました際に、交渉的な意義があるかということに対しましては、本件の措置は交渉的な関係ではなしに、国内的、と申しますのは、高いものであれば関税をとらない方が、価格操作その他の面からの問題であるとお答え申し上げましたので、その点御了承願いたいと思います。
  85. 深澤義守

    深澤委員 それではこの輸入税免除については、外国等の要請に基いてでなしに、自発的にこれは日本政府としてやるのだというぐあいに解釈してよろしいのですか。
  86. 伊藤八郎

    伊藤説明員 さようでございます。
  87. 深澤義守

    深澤委員 その次にお伺いしたいことは、国際小麦協定に参加いたしました場合において、日本政府としては輸入希望数量は二十五年度において二百三十万トン、二十六年度において二百八十万トン、二十七年度において三百五十万トン、二十八年度において三百七十万トンという厖大な希望数量を準備せられている。こういうことを申されておつたのであります。しかるに、日本におけるところの現実の食糧事情の中からは、いわゆる今まで主食として非常に大きな役割を果して参りましたところのいも類の統制緩和、あるいは統制撤廃等の問題が起つている。さらに供出後の自由販売に裏づけられるところの米券制度の問題等が起つているのであります。日本食糧事情が困難をしているから、逐年増加がしたところの輸入を希望しているにかかわらず、一方国内においてはこうした統制緩和の政策が考えられているということは、矛盾もはなはだしいのであります。この点について政府はどういうぐあいにお考えになつているか。農林政務次官の責任ある御答弁をお伺いしたいと思う。
  88. 坂本實

    ○坂本政府委員 食糧事情が漸次好転して来ているということは一般的な見方でありますが、これは一つ国内における生産がだんだんふえて参つて来た。これはもちろん肥料の問題あるいはその他諸般の情勢が、非常によくなつて来たということもあると思いまするが、農家の方々の非常なる協力にまつものであります。しかしながらそれをもつてしましても、なお二百万トンばかりのものが足りないのでありまして、輸入食糧に一部を仰いでおるということは、御指摘の通りなのであります。しかしながら私たちが今いもの問題につきましていろいろ対策を考えておりますることも、最近の配給事情等から考えててみまして、配給の拒否なりあるいは配給の辞退があり、あるいはまたいもをもつて充当し得る量もおのずから限りがあると思うのでありまして、大体政府が所要といたしまするもの、すなわち四百万トン、いわゆる総合配給に充当いたしておりまする四億万貫程度のものが確保できますならば、あとはいいのではないかというのが今の考え方であります。従つてそれがゆえに輸入の必要がないというようなことは考えられないのでありまして、また今お話がありました国際小麦協定に参加するということによりまして、われわれの考え方からいたしますならば、むしろ非常に有利になつて来るということが考えられるのであります。年間百二十万トンのものが定期的に入つて来るということになりますならば、おのずから食糧の上にも一応の安定をはかり得る、こういうような考え方もいたしておるのであります。私たちの今考えておりますたとえばいも類の統制廃除ということの問題と、何も今お話がありまするような矛盾があるとは考えておらないのであります。
  89. 深澤義守

    深澤委員 今政務次官の御答弁によりますと、逐年食糧事情の好転を是認されておりますし、なおいも等の統制撤廃が輸入食糧の増加の傾向とは矛盾しないということを言われているのでありますが、われわれは明らかに矛盾しておると考えるわけであります。そこでお伺いいたしたいことは、たといそれはいも類等の生産が非常に過剰になりましたにいたしましても、これを撤廃することでなしに、もしも政府が真に食糧国内において自給自足するという態勢をおとりになるならば、国内におけるいも統制撤廃等の問題は、まだ考える余地はないと思うのであります。そしてさらに今まですら食糧生産は非常に上昇して参つたのであります。それは政府政策によるところでなしに、ひたすらに農民の血と汗の努力が、今日この生産の実績を確保しているのであります。もしも政府が真に日本における食糧問題を、自給自足する意味において土地改良の問題に、あるいは災害復旧の問題に、あるいは肥料の増産の問題に、農地改革の問題あるいは税金、供出等の問題、さらに米価の問題等についてもう少し誠意ある態度をとるといたしますならば、日本における食糧自給の問題の解決は、決して困難でないという考えをわれわれは持つておるのであります。それにもかかわらず、政府は一方においていもの統制撤廃を行い、米券制度を問題にしておりながら、なお逐年食糧の増加をはかるということ自体の中に、国内において食糧の自給自立態勢をとるということを放棄いたしまして、もつぱら外国食糧に依存するという方向をはつきり出していることは明らかであります。なぜわれわれがこれを強調するかと言いますならば、食糧問題の解決こそ、将来における日本民族の独立の基本的な問題でございます。この問題を、自立態勢をとらずに、いつ日本が国際的な立場において自立態勢をとられるかという意味において、政府国内における自給態勢を根拠として食糧政策を立てられておるのか。あるいは外国依存の方針をもととして食糧政策を立てられておるのか。この点を明確にお伺いいたしたいのであります。
  90. 坂本實

    ○坂本政府委員 ただいま深澤委員の御指摘になりました通りわが国食糧問題を解決します上に、自給自足の態勢を一日も早くとるべきである。それについて農林省としてあらゆる対策を講じなければならないというお話でありますが、われわれといたしましても、土地改良あるいは災害復旧その他諸般の政策におきまして、農民の利益のために予算的な措置も講じまして、極力国内生産の増強をはかりたいということはまつたく同感な点であります。今お話のありましたように、輸入食糧に対しまするわれわれの考え方といたしましても、必要以上のものを輸入するという考え方はないのでありまして、国内食糧の自給度を極力向上させるということにつきましては、今後といえども一層の努力を拂いまして、少くとも輸入食糧につきましては必要にしてかつ十分な程度、いわゆる最小限度に食いとめる方向には、今後とも一層努力して参る所存でございます。決して多くの食糧輸入いたしますことによつて、農村の恐慌を早めるということのないように、この点は愼重なる考慮を拂いたいと考えておる次第であります。
  91. 深澤義守

    深澤委員 もう一点お伺いいたしたいことがあるのであります。現在外国食糧が毎月三十万トン程度ずつ輸入されておるようでありますが、実際にそれが消化されて行く部分は、二十万トン程度であるということが言われているのであります。従つて十万トンは現在ストツクされて行くということをわれわれは聞いておるのであります。その一点をお伺いしたいことが一つ。  もう一つは、現在公団におきまして、一般の購買力減退のために配給を受ける者が相当困難をしているというような事情のために、公団におけるストツクが非常に増加しているということを、われわれは聞いているのであります。この点はいかようになつているか。農林省当局の御答弁を願います。
  92. 坂本實

    ○坂本政府委員 ただいまお話のありました輸入食糧の配給の状況でありますとか、あるいはまた公団の在庫等につきましては資料を持ち合せませんので、いずれまた次に御報告する機会もあるかと存じますので、この点御了承願つておきたいと存じます。
  93. 深澤義守

    深澤委員 午前中に食糧庁長官等との質問並びに答弁の中から、まだ相当お聞きしたいのでありますが、遺憾ながら食糧庁長官のおいでは願えず、政務次官もこの間の事情をよく御存じでないようでありまして、十分満足な答弁は得られないのであります。従つて遺憾ながらこの辺で質問は打切つておきます。
  94. 川野芳滿

    川野委員長 先刻林委員より食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案について、質疑打切りの委員長の宣告に対し、農林委員会と連合審査会を開くべしとの動議が提出されましたが、これより右動議を議題として採決いたします。右動議に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  95. 川野芳滿

    川野委員長 起立少数。よつて林君の質疑打切り反対の動議は否決せられました。  これより食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。前尾繁三郎君。
  96. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま議題となりました食糧輸入税を免除する法律の一部を改正する法律案につきましては、従来から行われて来た法律でありまして、しかも政府説明いたしておりますように、外国の高い食糧がガリオアの放出物資として入つて参ります次第でありまして、従来と何ら事情がかわつておりません。従つて一年間この法律の施行を延期いたしますことは、当然であると考える次第であります。ただ従来免除いたしておりましたものを課税することにした品目が、茶及び重炭酸ソーダという二品目に限られておるのであります。その点はわれわれとしても不満足には思うのでありますが、現在の客観情勢から考えますと、これまたやむを得ないものと考える次第であります。従いまして私は民主自由党を代表いたしまして、本法律案に賛成をいたすものでございます。
  97. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  98. 田中織之進

    田中(織)委員 私は社会党を代表いたしまして、ただいま議題になつておる法案に対しましては、強い希望意見を付して賛成するものであります。と申しますのは、午前中の質疑において明らかになつておりますように、最近の輸入食糧価格というものは、日本貿易全体を通じて見られるように、やはり不等価貿易の域を脱しておらないのであります。そのために輸入食糧に対しましては相当多額の補給金が国民の負担において出ておる。こういう関係を考慮しなければならないのであります。しかしながら一方において、国民の食糧の自給計画を達成いたしまするためには、相当程度輸入を仰がなければならないことも事実でございます。従つて今後この不等価貿易の是正の問題、並びに食糧自給計画を推進する見地において、国内食糧生産を確保する方向に向つて政府が強力なる施策を講ずべきことは当然でありまして、その意味から、ただいま深澤委員から指摘せられましたように、政府国内生産する食糧によつて食糧を自給するという線に向つての努力と逆行するような施策を考えておることには、われわれ遺憾ながら賛成することはできないのでありますが、そうした面を今後一層強化して行くことによりまして、日本民族の自立の基盤でありまする食糧自給を達成することを強力に推進すること、並びに経済再建の全般的な推進と、国際的な正常な経済関係への復帰のための努力を、一日もすみやかに達成するということに全力を注ぐことを條件といたしまして、最小限度の輸入食糧に対しましては、現在の輸入価格を若干でも引下げるという意味において、輸入税を免除することはやむを得ない処置として、社会党としてこの法案には賛成をするものであります。
  99. 川野芳滿

  100. 深澤義守

    深澤委員 私は日本共産党を代表いたしまして本案に反対の意を表するものであります。この法案は吉田内閣が堅持しておりますところの食糧外国依存政策の現われであるという立場において、われわれは承知できないのであります。わが党といたしましては、民族独立の基礎である食糧の自給自立体制はあくまで堅持すべきである。そういう意味において外国依存方針はやむべきであるということが、われわれの主張の第一点であります。  第二点といたしましては、この食糧外国依存方針を隠蔽いたしまして、食糧輸入日本の農業を圧迫しない、あるいは食糧事情を安定するためである、あるいは生産の復興のためであるというぐあいに政府は主張しておるのでありますが、しかしもしそうであるとすれば、食糧輸入のために努力するということよりも、まず国内における自給自立体制の具体的な諸問題に対して政府はなぜ努力しないか。これを全然放棄しておるのか。たとえて申しますれば、米価の問題にいたしましても、生産費を償わない米価を農民に押しつけて、農民に非常な犠牲を強いておるのであります。しかもすでに二十四年度の米の供出が行われておるにかかわらず、米価審議会において決定された米価ですらまだ政府は公式に決定していない。従つて農民の現在供出する米の価格がまだきまつていないという事情にあるのであります。さらに災害復旧の問題にいたしましても、二十四年度予算におきましては災害復旧費が全面的に打切られました。全国的に二百万石ないし三百万石の生産が可能であるところの耕地が、そのまま荒廃に帰しておるというのが今日の現状であります。また土地改良の問題にいたしましても、戰時中荒廃に荒廃を重ねました日本の耕作地は、この際徹底的な土地改良をなさなければならない段階に来ているのであります。しかるに政府は土地改良法案を第五国会において制定はいたしましても、その裏づけとなるべきところの予算措置が、ほとんど講じられておらないということで、土地改良も画餅に期しているというのが今日の現状であります。さらに肥料の増産の問題につきましても、肥料の生産能力は百五十万トン程度の施設が日本にあるにかかわらず、これをフルに動かすことなしに百万トンに押えて、そうして不等価な外国肥料を輸入しているという状態であります。農地改革の問題におきましても、これは食糧増産の上に重大な問題であるにかかわらず、吉田内閣はこれを打切り、あるいは行き過ぎであるということで、末端の農地委員会は不活動に陥つております。特に食糧増産に関係の深い開拓計画のごときは、全面的に今両手をあげなければならないような状態に立至つているのであります。また税金問題に関しましても、農民の金詰まりに際しまして、さらに中央税あるいは地方税ともに重加する傾向にあります。供出の問題におきましても、われわれが常に農民の自主的な納得の行く供出を要求しているにかかわらず、依然として天くだり的な一方的な供出が行われまして、災害補正のごときも実情に即して行われていないというのが今日の現状であります。こういうような幾つかの例をわれわれはあげまして、吉田内閣日本における農業の復興に対しては全然熱意なく、かえつて日本の農業を破壊する方向に陥つているということを、われわれは指摘しなければならないのであります。こうした日本におけるところの農業の犠牲の上に、外国の過剰食糧日本に入れることによつて日本外国の過剰食糧の市場と化するという結果になることを、なははだわれわれは遺憾に考えるのであります。こういうような意味において、根本的な食糧政策の上において吉田内閣は誤つている、その一つの現われであるということを、われわれは指摘しなければならないのであります。さらに小麦協定の問題につきましても、小麦協定の成立の結果、日本に最終年度に入つて来るという小麦価格の希望数量が、現在政府が立案いたしたものを見ますると三百七十万トン、実に日本の玄米に換算いたしますると、二千六百万石の輸入政府は希望しているという案を持つているのであります。ここにこそまつたく日本の農業の復興を度外視して、外国食糧に依存しようとする意図がはつきり現われているのであります。価格がどうであろうとも、二千六百万石の主食が外国から輸入されるとするならば、それ自体が日本の農業を圧迫しないと何人がこれを保証することができましよう。さらに政府ガリオア資金を口実といたしまして、輸入税免除等の問題を言つているのでありますが、ガリオア資金というものは将来においてはなはだ不安定なものであるということを、われわれは考えているのであります。すでにアメリカにおきましても、このガリオアの縮小を盛んに主張している人々もあるようです。非常にこれは不安定なものであります。こういうようなものに依存してこれを恩惠的に考えまして、しかもなおこのガリオア資金は決してこれをわれわれはただもらうものでなしに、最後的にはこれは明らかに国民が税によつて負担すべきものであります。従つてこれを恩惠的に考えて諸措置を講ずるということに対しては、われわれは賛成することができないのであります。こういうような意味において、食糧問題は日本民俗の独立の基礎でありまして、いかなる困難が伴いましようとも、まず自立態勢のために政府は万全の努力をいたすべきであります。しかる後にやむを得ず足りない部分のみ外国から輸入するのでありますが、その場合におきましては今後におけるところの国際食糧事情に基きまして、当然われわれは自由に選択して、最も安く買い得る方面から買うという方針をとるべきでありまして、一定の制約された数量一定の制約された価格において輸入するということに対しては、われわれは賛成することはできないのであります。そういう一運の外国依存政策の現われとしてのこの輸入食糧に対するところの輸入税免除に対しましては、わが党としてはどうしても賛成することはできないということを主張するものであります。
  101. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  102. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 民主党を代表しまして本案に賛成するものであります。本案は国際小麦協定とは別箇のものでありますが、関連する問題でありますので、特に日本の農村の自給態勢を政府において十分考慮することを要望しまして、本案に賛成するものであります。
  103. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。これより本案を議題として採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお報告書の作成その他の件は委員長に御一任願います。  次会は公報をもつて通知することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十二分散会