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深澤委員 私は
日本共産党を代表いたしまして本案に反対の意を表するものであります。この
法案は吉田
内閣が堅持しておりますところの
食糧の
外国依存
政策の現われであるという立場において、われわれは
承知できないのであります。わが党といたしましては、民族独立の
基礎である
食糧の自給自立体制はあくまで堅持すべきである。そういう
意味において
外国依存方針はやむべきであるということが、われわれの主張の第一点であります。
第二点といたしましては、この
食糧の
外国依存方針を隠蔽いたしまして、
食糧輸入が
日本の農業を圧迫しない、あるいは
食糧事情を安定するためである、あるいは
生産の復興のためであるというぐあいに
政府は主張しておるのでありますが、しかしもしそうであるとすれば、
食糧輸入のために努力するということよりも、まず
国内における自給自立体制の具体的な諸問題に対して
政府はなぜ努力しないか。これを全然放棄しておるのか。たとえて申しますれば、米価の問題にいたしましても、
生産費を償わない米価を農民に押しつけて、農民に非常な犠牲を強いておるのであります。しかもすでに二十四
年度の米の供出が行われておるにかかわらず、米価
審議会において決定された米価ですらまだ
政府は公式に決定していない。
従つて農民の現在供出する米の
価格がまだきま
つていないという
事情にあるのであります。さらに災害復旧の問題にいたしましても、二十四
年度の
予算におきましては災害復旧費が全面的に打切られました。全国的に二百万石ないし三百万石の
生産が可能であるところの耕地が、そのまま荒廃に帰しておるというのが今日の現状であります。また土地改良の問題にいたしましても、戰時中荒廃に荒廃を重ねました
日本の耕作地は、この際徹底的な土地改良をなさなければならない
段階に来ているのであります。しかるに
政府は土地改良
法案を第五
国会において制定はいたしましても、その裏づけとなるべきところの
予算措置が、ほとんど講じられておらないということで、土地改良も画餅に期しているというのが今日の現状であります。さらに肥料の増産の問題につきましても、肥料の
生産能力は百五十万トン
程度の施設が
日本にあるにかかわらず、これをフルに動かすことなしに百万トンに押えて、そうして不等価な
外国肥料を
輸入しているという状態であります。農地改革の問題におきましても、これは
食糧増産の上に重大な問題であるにかかわらず、吉田
内閣はこれを打切り、あるいは行き過ぎであるということで、末端の農地
委員会は不活動に陥
つております。特に
食糧増産に
関係の深い開拓計画のごときは、全面的に今両手をあげなければならないような状態に立至
つているのであります。また税金問題に関しましても、農民の金詰まりに際しまして、さらに中央税あるいは地方税ともに重加する傾向にあります。供出の問題におきましても、われわれが常に農民の自主的な納得の行く供出を要求しているにかかわらず、依然として天くだり的な一方的な供出が行われまして、災害補正のごときも実情に即して行われていないというのが今日の現状であります。こういうような幾つかの例をわれわれはあげまして、吉田
内閣が
日本における農業の復興に対しては全然熱意なく、かえ
つて日本の農業を破壊する方向に陥
つているということを、われわれは指摘しなければならないのであります。こうした
日本におけるところの農業の犠牲の上に、
外国の過剰
食糧を
日本に入れることによ
つて、
日本を
外国の過剰
食糧の市場と化するという結果になることを、なははだわれわれは遺憾に考えるのであります。こういうような
意味において、根本的な
食糧政策の上において吉田
内閣は誤
つている、その
一つの現われであるということを、われわれは指摘しなければならないのであります。さらに
小麦協定の問題につきましても、
小麦協定の成立の結果、
日本に最終
年度に入
つて来るという
小麦価格の希望
数量が、現在
政府が立案いたしたものを見ますると三百七十万トン、実に
日本の玄米に換算いたしますると、二千六百万石の
輸入を
政府は希望しているという案を持
つているのであります。ここにこそまつたく
日本の農業の復興を度外視して、
外国食糧に依存しようとする意図がはつきり現われているのであります。
価格がどうであろうとも、二千六百万石の主食が
外国から
輸入されるとするならば、それ自体が
日本の農業を圧迫しないと何人がこれを保証することができましよう。さらに
政府は
ガリオア資金を口実といたしまして、
輸入税免除等の問題を言
つているのでありますが、
ガリオア資金というものは将来においてはなはだ不安定なものであるということを、われわれは考えているのであります。すでに
アメリカにおきましても、このガリオアの縮小を盛んに主張している人々もあるようです。非常にこれは不安定なものであります。こういうようなものに依存してこれを恩惠的に考えまして、しかもなおこの
ガリオア資金は決してこれをわれわれはただもらうものでなしに、最後的にはこれは明らかに国民が税によ
つて負担すべきものであります。
従つてこれを恩惠的に考えて諸措置を講ずるということに対しては、われわれは賛成することができないのであります。こういうような
意味において、
食糧問題は
日本民俗の独立の
基礎でありまして、いかなる困難が伴いましようとも、まず自立態勢のために
政府は万全の努力をいたすべきであります。しかる後にやむを得ず足りない
部分のみ
外国から
輸入するのでありますが、その場合におきましては今後におけるところの国際
食糧事情に基きまして、当然われわれは自由に選択して、最も安く買い得る方面から買うという方針をとるべきでありまして、
一定の制約された
数量を
一定の制約された
価格において
輸入するということに対しては、われわれは賛成することはできないのであります。そういう一運の
外国依存
政策の現われとしてのこの
輸入食糧に対するところの
輸入税免除に対しましては、わが党としてはどうしても賛成することはできないということを主張するものであります。