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三浦法制局参事 次は第六十七の
規定でございます。第六十七は、
衆議院案におきましては「投票の
効力は、開票立会人の
意見を聴き、開票管理者が
決定レなければならない。」こういうことにな
つておるわけでございますが、この下説に書いてありますような
事項をつけ加えたらどうかという
意見であります。その
内容は、「その
決定に当
つては、第六十
八條の
規定に反しない限りにおいて、その投票した
選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならない。」――第六十
八條の
規定は無効投票に関する
規定でありまして、成規の用紙を用いないものとか、その他いろいろの
事項が
規定してございます。その
規定に反しない限りにおいては、できるだけ
選挙人の意思をくんで、投票の
効力を
決定しようというようなことを六十七の後段に加えるわけでございます。この点は、こういう
事項がつけ加わるといたしますればなお明瞭になることになりますので、私といたしましてはこれをつけ加える方がよかろうかと、かように考えております。
次は第七十五から第八十五まででございまして、第七十五から八十五までの
規定は
選挙会及び
選挙分会に関する
規定でございます。この
衆議院案におきましては、
選挙長及び
選挙分会長の制度を従来
通りと
つておるわけでございますが、それを
廃止して、各
選挙に関する事務を管理する
選挙管理委員会の
委員長がこの
選挙会または
選挙分会の事務を行うようにしたらどうかという
意見でございます。これは確かに
一つの案であると思いますが、現在の
選挙管理委員会等は、
選挙の場合におきましては、いろいろな事務に忙殺されておりますし、
選挙管理委員会が責任を持
つて選挙長、
選挙分会長事務までをもやるということになりますと、
選挙全体の責任を持
つている管理
委員会といたしましても、相当の事務がふえることになりまして、実際問題として、いろいろな困難も伴うのではないかと考えておりますことが
一つと、なお
選挙長及び
選挙分会長の制度を廃しますと、この
法案の他の方向にも、いろいろ
関係條項がありまして、影響いたしますので、全体を直さなければならないというようなことにもなります。この点につきましては、
委員会において御
決定になることではありますが、この
衆議院案の
通りにしていただければいかがかと、かように考えております。
第八十九は公務員の立候補制限の問題でございますが、第八十九の第二項に、次のようなものを加えたらどうかという
意見でございます。
内容は「
都道府県知事及び市長は、自発的に離職したときは、その離職後六箇月間は、
参議院全国選出
議員又は当該
地方公共団体の区域をを含む
選挙区において
衆議院議員若しくは
参議院地方選出
議員の候補者となることができない。」とうことでありまして、特に
都道府県知事、市長につきまして、辞職後六箇月間国会
議員、地方等に立候補できないというような
規定であります。この点はいろいろな
意味を持ち、かつ影響の多い問題でありますので、
委員会において御
決定を願いたい
事項だと考えております。
第九十二でございますが、これは供託金の問題であります。それで第九十二の供託金の額でございますが、
衆議院議員、
参議院議員、
都道府県知事につきましては、この
衆議院案におきましては三万円の供託金にな
つておるわけでございますが、これを五万円とするという
参議院側の
意見であります。これはなお次の第九十四とも関連いたすわけでありますが、第九十四に公営に要する経費の分担に関する
規定がございまして、
衆議院案においては、公営分担金制度を認めておるわけでございますが、それを
廃止したたどうかということでございます。公営分担金を廃して、供託金の額を国会
議員について引上げろというような
意見のように想像するわけであります。
次は百十三でございますが、これは
参議院の地方選出
議員の
補欠選挙の問題であります。百十三第一項の第三号をご覧願いたいと思
つております。第一項第三号は、
参議院(地方選出)
議員の場合には、在任
期間を同じくするものなると異にするものなるとを問わず、同一
選挙区において通じて二人以上に達しましたときに、
補欠選挙を行うという
規定にな
つておるわけでございます。これを
参議院側の
意見によりますと「当該
選挙区の
議員の定数の四分の一を越えるに至
つたとき」と改めるようにという
意見でございます。この点は、最初この案が
審議になりました場合におきましては、
衆議院側におきましても、四分の一を越えるに至
つたとき、つまりこれを言葉をかえて申し上げますならば、一人の欠員にな
つた場合においても
補欠選挙を行うという、原稿
規定と同じことになるわけでございます。そういうことに
衆議院案も最初はな
つておりましたが、この
委員会における御
意見によりまして、
補欠選挙に相当多額の金を要することにこの前の兵庫県の地方選出
議員の
補欠選挙の場合においては、千四百万円もそれだけにかか
つたというような実態等もあわせ考えられまして、二人以上の場合に
参議院の地方選出
議員の
補欠選挙を行う。
衆議院議員におきましても、
選挙区における欠員が二人以上に達したときに
補欠選挙を行うのでありますから、それをあわせたらどうかという
意見から来たのであります。しかしこの点につきましては、
参議院側の
意見といたしましては、二人に達したときに
補欠選挙を行うことにすると、たとえば二人区の地方選出の
選挙区におきましては、在任
期間を同じくするものと異にするものと合せまして、二人全部欠けました場合に初めて
補欠選挙を行うことになる点がどうかという点と、それからそれではなくて、四人以上の区、四人、六人、八人区というような場合におきましても、二人ということになれば、そこで常に
参議院構成が欠けることになる、
参議院全体の地方選出
議員は百五十名でありますが、それが欠ける
期間長く左る、こういうような御
意見のようでございます。この点は
委員会においてしかるべく御
決定願いたいと思います。
それから第百三十一であります。これは
選挙事務所の数の
規定でございますが、この百三十一の第二項に「
参議院(全国選出)
議員の
選挙における
選挙事務所は、その公職の候補者一人につき、十五箇所まで設置することができる」ということに、
衆議院案ではな
つておるのであります。これは
参議院案も同様でございますが、そこに
但書を加えまして「一の
都道府県においては、五箇所を越えることができない。」というような
意味の
規定を加えたいというわけでございます。この点は
参議院側の
意見もごもつともだと思
つております。
第百三十七は、教育者の地位濫用の
選挙運動の禁止の
規定でございます。これはこの
委員会におきまして、いろいろな御
意見により、
衆議院案は、現行法とかえて
規定されることにな
つたわけでございます。そのかわりました点の要点を申し上げますと、現行法におきましては、何人も学校の児童、生徒及び学生で、年齢二十年未満のものに対する特殊の
関係ある地位を利用して
選挙運動をすることはできないということにな
つておるのでありまするが、この特殊の
関係ある地位を利用というような
意味が、はつきりわからない、ことにPTA等の会長をや
つている人たちも、これにひつかかるというようなことがあ
つては、
選挙運動の
取締りとしてはあまりに強過ぎるというような御
意見等が、
衆議院の
委員会において御展開になりまして、この点を教育者ということに限定いたしまして
規定を改めましたのが
一つと、それから年齢を二十年未満に限
つてございまするが、これは何も年齢の制限によらないのであ
つて、上の方の学校に在学する者等に対しまして、やはり
選挙運動を行う場合におきましても、そういう人たちに対する教育上の地位を利用して、教育者が
選挙運動をするということは、好ましくないというような見解から、かような百三十七のような
規定にな
つたのであります。なお百三十七の
規定は、検務当局の
意見等も聞きますと、現行はいろいろ
取締りの点において明瞭を欠いて、問題が多い
規定だから、この
衆議院案のような線において直していただきたいというような御
意見等もありまして、百三十七の案ができました経過を申し上げます。
次は第百四十四、二百六十三、二百六十四に関連しておる
規定でございます。これはポスターの問題でありまして、百四十四におきまして、
選挙運動のために使用いたしますところのポスターの枚数を、
衆議院案において
規定してあるわけでございます。三千枚、二万枚、五百枚、三百枚、百枚等、いろいろ
選挙の
立候補者の
内容によりまして違
つておるわけでございますが、大体こういう
規定は、
参議院案にも置かれてあるわけでございます。
参議院の
申出は、このポスターを
無料で交付することとして、つまり公営にしてもらいたい、こういう御
意見でありますが、これは相当費用の問題と関連いたす事柄であります。二百六十三、二百六十四において、費用の
規定をこの
衆議院案においては
規定しておるわけでございますが、そこをあわせて直してもらいたい。こういうような
意見のようでございます。この点は
委員会においてしかるべく御
決定を願いたいと思います。以上であります。