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愛知政府委員 最初の、
金融機関というもののあり方につきましては、私はただいまの御
意見にごもつともだと思う点が多々ございます。これは結局するところ、アメリカ的な
考え方と、それから日本の現実の実情との間に、相当の開きがあるというところに帰着するものだと、私は常々
考えておるのであります。と申しますのは、九原則以来特にこの傾向が顕著でございますが、アメリカの対日経済指導の
一つの根幹は、
金融機関を中心にして
考えられると思います。
従つて金融機関につきましては、一方においてたとえば
融資規制というようなことが非常に緩和されてお
つて、
政府の
金融機関の
融資に対する直接的な統制というようなことは、現在ではほとんど私は無力にな
つておると言わざるを得ない現況にあります。それから積極的な面におきましては、たとえば
見返り資金の使い方にいたしましても、
間接な投
融資ということが相当な比重を占めておりますから、自然
金融機関の立場は楽になる傾向にあります。しかしながら同時に、シヤウプ勧告の中でも明瞭でございますが、
金融機関の経営等につきましては、たとえば貸付金の利子が非常に高くて、
預金の利子が比較的安い。その間相当の開きがあるということが指摘されておるのでございますが、そういう点については、アメリカの
考え方も、
金融機関に対して相当批判的であり、指導的であるわけでございますが、大局的から申しますならば、たとえば今度のローガン構想にいたしましても、
銀行というものに対して、一種後見的な役割を持たしておられた。そして同時に、その経営は自主的でなければならないということが非常に強く示されておるわけであります。そして同時に、それに対する
政府と申しますか、行政権の関與は、ほとんど徹底的に後退しなければいけないという線が強く出ておるわけであります。ところが、私はその
考え方はけつこうだと思うのでありますが、日本の現在の実情から見て、それだけの大きな公共的な責任使命をになうに足りるような現状であるかどうかというところに、問題があるのだと思うのでありまして、これを抽象的に申しますならば、いわゆる
銀行の公共的使命の自覚ということになるのであろうと思いますが、遺憾ながらわれわれの
期待するような
状況にな
つておらないということが、一般的な金詰りということに関連する、場合によれば感情的な国民の問題とも結びつきまして、現在の
銀行のあり方ということは、非常に批判されなければならない立場にあると思うのであります。これに対しまして、私
どもの今後の態度といたしましては、たとえば
銀行の検査、監督の励行というようなことに
重点をおかざるを得ないと思
つておりますので、すでに八月の十三日と記憶いたしておりますが、大蔵省としても非常な覚悟でも
つて、
銀行の経営上につきまして、相当
程度の行政権を発動し、場合によれば警察権とも十分な連繋をとりまして、
銀行のあり方が、全体の政策において負荷されているだけの公共性が発揮できるようなふうに持
つて行きたいものと
考えまして、その第一歩として、八月からそういうふうな態度を表明し、また実現に移しているようなわけであります。ただしかしながら、それは公共
機関たる
金融機関のあり方ということについて、十分それだけでは効果をあげることはいまだできないと思うのでありますが、なおこの点については、いろいろと対策を考究いたしております。ただしかしながら、問題は
融資の問題でございますが、やはり個々の
融資につきまして、
政府側が関與するということだけは、どうしても客観的にも、あるいは現在の財政経済政策の根本的な問題から申しましても、そこにはどうしても行き切らないわけでありまして、と申しますのは、
政府がこれに対してある
程度命令
融資をするというようなことになれば、必ずその裏に補償ということを
考えなければ、
預金者の保護ができないということになります。この点もございますので、個々の
融資については、現在の経済
機構の中における
金融機関に対しましては、どうしても
政府としては、十分に行き切らない点があるのはやむを得ないと思うのであります。しかしその間隙を埋めまするために、
先ほども
お話が出たのでありますが、現在や
つております
方法は、まずも
つて安定本部を中心にいたしまする全体の産業
計画、これに照応いたします
資金計画というものを、大ざつぱではありまするが、できるだけ組み立てまして、これを
日本銀行の政策
委員会に示す、
日本銀行の政策
委員会は、それを一方に持
つておりまして、たとえば
日本銀行の
融資あつせんでありまするとか、あるいは
見返り資金による
国債の
償還でありまするとか、そういう具体的な問題が起りますたびに、
政府の産業及びそれに伴う
資金計画が、できるだけ大局的に充足できるようにということで、アメリカ流に申しますならば、リコメンデーシヨンあるいはネゴシエーシヨンまでできるようにや
つておるというような現状でございます。この点はたまたま私
ども銀行行政の当局におります者としては、ごもつともな御
意見を伺いまして、大いに私
どもも勇気づけられるわけでございますが、同時に私といたしましても、この点を現在最大の問題に
考えているようなわけであります。
それから水産貿易に関連いたしまする問題は、長官からお答えがあると思うのでありますが、貿易
金融ということになりますると、ローガン構想等から起
つて参りまする
金融問題というものも、非常にその比重が重くな
つて参るのでありますが、何と申しましても、全体としてのドツジさんの
考え方というものは、相当
程度やはり貿易ということに基礎を置いておられるようにも思いますし、また日本の現在及び将来生きる道は、そこに活路を発見するよりほかにないと思いますので、貿易
金融の問題につきましては、全体的にできるだけの
重点を置くつもりであります。たとえば貿易手形の問題、その他の問題につきましても、具体的に貿易
金融が円滑に参りますように、いろいろとくふうをこらしておるような
状態であります。