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1949-11-25 第6回国会 衆議院 人事委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十五日(金曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 小平 久雄君 理事 玉置  實君    理事 藤枝 泉介君 理事 吉武 惠市君    理事 赤松  勇君 理事 中曽根康弘君    理事 加藤  充君 理事 木村 俊夫君       高橋 權六君    橋本 龍伍君       藤井 平治君  出席国務大臣         内閣官房長官  増田甲子七君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人  事  官 山下 興家君         人事院事務官         (法制局長)  岡部 史郎君         人事院事務官         (給與局長)  瀧本 忠男君         人事院事務官         (給與局次長) 慶徳 庄意君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君         專  門  員 中御門經民君     ————————————— 十一月二十四日  給與ベース改訂に関する決議案野坂參三君外  三十五名提出決議第五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一号)  国家公務員職階制に関する法律案内閣提出  第二九号)  特別職職員給與に関する法律案内閣提出  第一八号)(予)  人事官彈劾訴追に関する法律案及び人事官彈  劾訴追手続規程案の両案文に関する件  国政調査承認要求に関する件     —————————————
  2. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。本日は委員長おさしつかえがありますので、しばらく私が委員長職務を行います。  まずお知らせいたしておくことがございます。昨二十四日給與ース改訂に関する決議案野坂參三君外三十五名提出決議第五号の審査を本委員会に付託されました。また国家公務員法第九條により、人事官彈劾訴追は、国会がこれを行うこととなつておりますが、過般来議院運営委員会におきましては、この場合に必要なる人事官彈劾訴追に関する法律案及び人事官彈劾訴追手続規程案の両案を起草中でありましたところ、昨日の議院運営委員会におきましてただいまお手元に配付いたしました通り案文を一応決定いたしたのでありますが、この両案は当人事委員会と密接な関係がありますので、当委員会意見を聞くことになり、送付して参つておるのであります。以上とりあえず御報告しておきます。  ただいまより政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、質疑を継続いたします。
  3. 赤松勇

    赤松委員 ただいま委員長の方から給與ース改訂に関する決議案野坂參三君外三十五名提出、こういうふうにおつしやいましたが、これは議院運営委員会におきましては、共産党と私の党とで協議した結果、社会党労農党それから共産党、三党共同提案ということになつておりまして、この配付の三十五名提出という数字は間違つておるのでありまして、三党協同提案でございますから適当に御修正願います。
  4. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 ただいまの赤松君の御意見につきましては、後刻調査の上、適当な処置をとります。加藤充君。
  5. 加藤充

    加藤(充)委員 政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案について、たまたま御出席いただきました増田さんに質疑をいたします。いろいろ聞きたいことはありますが、ごく簡單に要点だけ述べておきたいと思います。簡単に誠意のある答弁をやつて席を立つてただきたい。  第二條に附加された七号として、「この法律の完全な実施を確保し、その責に任ずること」ということがあります。そのことに関連いたしまして、先ごろ増田さんが赤松君の質疑にお答えになりましたのは公共企業体労働関係法に関連し、あわせて一般政府職員に対する歳末の手当の問題をどうする、金がなければ年が越せないではないかということで、昔からもち一つ暖かいものでも食つて子供お年玉でも買つて年を越すというのは、日本固来の淳風であるとまでおつしやらなかつたけれども、まあ親心としてそういうものを出してやりたいとおつしやつたことは、まことに私ども意義深く感ずるわけでありますが、そのことに関連いたしまして、御承知のように各政府職員の働いております職場において、いわゆる超勤手当の未拂い問題があるのであります。そのことにつきましては、別に超勤になつていないので、これは勤労奉仕的に任意自発的に残業したのだということで、政府はその責に任じなくても構わないというような考え方や、解釈の仕方もあるようでありますけれども、しかしその問題の実質職制を通じて首切り後に、非常に事務総量がふえまして、やはり残業しなければ残留職員としては事務処理ができない。事務処理ができなければ、やはりお覚えめでたからずというので、首をなでなで細い腕で残業しておる。超過勤務手当というようなものを半ばにはにらみながら、六千三百円のわずかな給與ースの穴埋め的な、ほんとうにせせこましい気持で超勤をやつておるわけであります。その起動手当が不拂いであるということ、大かた三〇%ぐらいしか拂われていない。七〇%の不拂いである。強制労働であるという声が職場から上つて来ておりますが、増田さんの前回の御答弁を聞きますと、暖かいもちお年玉一つ子供に買つてやる年末の手当につきまして、政府が今まで不拂いにしておつた起動手当を吐き出して、そうして親心を達成する。出さないよりはいいことですが、そういうやり方は人をばかにするにもほどがあると思う。これは増田さんの責任ではありませんけれども、四十八時間制の勤務についての人事院規則を敢行されまして、苛烈な時間制を強要する。そしてあとただ土曜日の勤務を三時間ほど短くするというようなことで、結局今度は四十五時間になつたのだから三時間の勤務が省けた。こういうようなことでごまかしておるのと軌を一にしておると思うのでありますが、この点で最後にお尋ねしたいことは、拂えば拂えるものを、そうして操作すればできるものを故意に操作を遅らして、そうして超勤手当の不拂いをやつてつたというようなそしりを免れない。何とか出せるんだつたら、それをあえて出さなかつた増田さん事は、新給與実施本部の最高の長官としての責任がおありになりはしないか。こういうことを新給與実施法の三十一條と関連して、あなたの責任を明確にされていただきたいと思うのであります。
  6. 増田甲子七

    増田国務大臣 きようやむを得ないさしつかえがございまして、私今お答えしただけで、あと失礼いたしますが、晝過ぎはいくらでも時間をさきまして、加藤さんの御質問にも、皆さんの御質問にもお答えいたしますから、どうか御了承願いたいと思います。  そこで簡單に申し上げますが、私がこの間、赤松君の御質問に対してお答えしたのは、率直に従来の事実を申し上げた次第でございまして、ああいう状況ではおもしろくないから、そこでひとつ適法な処置をとりたい、こういう意味で申し上げた次第でございます。結局官吏諸君の実際の勤務に即応して、超過勤務も支出するようにいたしたい。しかも会計年度内においていたしたい。すなわち合法行為をいたしたい。こういう意味で申し上げた次第でございますから、あえて法を破るということではありません。法は尊重せんければならぬ。こういう意味合いでございます。どこどこまでも吉田総理以下政府におきましては、官吏諸公実質賃金を高めて、そうして生活程度が高まり、生活の安定を得るように一生懸命心配をいたしております。予算の関係上、あるいは給與制度関係上、ボーナスということのできにくくなつたことは、非常に遺憾といたしますが、その他の方法で、法の活用によつて行い得ることは最大限度に行いたい。こう考えておる次第でございます。あとのことはひとつ晝過ぎに答弁させていただきまずから、どうぞ御了承願います。
  7. 赤松勇

    赤松委員 ただいま増田官房長官は、できる限りそれを支沸いたいということを言つたのであるというようなことをおつしやいましたが、この間の本委員会における公式な発言は、明らかにたとえば十時間の超過勤務の中で三時間ぐらいしか拂つていないのだということをおつしやつておるのでありまして、これは政府職員の新給與法の第三十一條、「この法律規定に違反して給與を支排い、若しくはその支拂いを拒み、又はこれらの行為故意に容認した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」ということになつておるのでありまして、従つてわれわれはただいまの給與実施本部長として、または官房長官としての増田さんの御答弁に承服できませんから、これに必要な手続をとるということを一言申し上げておきます。
  8. 加藤充

    加藤(充)委員 途中で質疑が発せられましたが、それは仕方がありませんからあとの機会に讓つて人事院の方に今申し上げた法律改正案について質疑を続けますが、文言的な解釈で恐れ入りますが、改正案の第二條の七のところに、「この法律の完全な実施を確保し、その責に任ずること。」というようなうたい方がしてあるのであります。この問題は、人事院は左の権限を有するということに関連した内容説明になつた箇所だと私は思いますが、権限を有するということと、その責に任ずるということとは、どういう関係を持つものか、御答弁を願いたいと思います。
  9. 岡部史郎

    岡部(史)政府委員 権限責任との関係いかんというお尋ねでございまするが、権限を行使する以上は、その権限を行使するに伴いまして、そのうらはらとして当然それに責任が伴うものである。すなわち権限責任とはこれを離すことができないものであることは当然のことでございますから、権限を有するとともにその責に任ずるものである。こういうような表現をしたわけであります。権限を行使するそのうらはらとしての責任を、明らかにしたものでございます。
  10. 加藤充

    加藤(充)委員 それではつきりしましたから、質問を続けますが、改正理由の中に、「人事院機構整備に伴い、」というような理由が付されておるのであります。それで権限を有することは責任を有することである。権限は同時に責任を果すという意味合いの関連で、「人事院機構整備に伴い、」ということが、ここに改正理由になつたのだと私は思います。人事院のスタッフがようやく揃つたとか、あるいは機構が文字通り整つたとかいうようなことは、今の人事院権限並びに責任というような問題から見まするならば、そのことで人事院機構整備ということはでき得ないものだと解釈しなければならないと思いますが、そのことについて、これは言い古された問題になつてたいへん恐れ入りますが、今年の三月ごろにあの六千三百円の給與ースの切りかえの問題が起きまして、そこには国鉄、全逓その他から、いわゆる給與ベース改訂に伴う非常な不合理、不公正、でこぼこが問題になりまして、その調整が非常にやかましい問題と相なつたのであります。その際に人事院は、職場の実情を聞くという意味合いで、国家公務員法規定されたその権限、同時に責任を全うするという意味合いから、いわゆる公開審理を数日にわたつてやられたのであります。しかしその公開審理についての結果につきましては、いまだに発表されておらないのであります。これは過ぐる国会の当委員会の席上におきましても、たしか五月だつたと思いますけれども、確かに出た問題でありますが、その公開審理の結果が発表されないのはどうしたわけか。と尋ねたら、いろいろ関係方面折衝中であるが、近いうちに発表いたす段取りに相なるというようなことが言われたのであります。それから数日たつて人事委員会が開かれまして、そうしてもう発表段取りになると思うが、どうなんだということになりましたら——これは速記を止められたかどうか、記録にあるかどうかわかりませんが、実はきよう淺井さんが欠席をしておるのは、ちようど今時分、そのことについて関係当局折衝中で、もう近いうちに発表になりますということが、事実上委員会——記録に載つたか載らないかは別問題として、そういう回答がとりかわされたことは事実であります。そういう事態になつておりますにかかわりませず、いまだに発表がない。こういうような状態は、「人事院機構整備に伴い、」ということと、並びに改正法律案に、「その責に任ずること。」というようなことがあつて、断じて権限の持ちぱなしではないんだという、今の岡部さんの御解答と関連して、その点を責任任ずる体の御答弁を願いたいと思います。
  11. 山下興家

    山下(興)政府委員 ただいま加藤さんの御質問でございますが、その問題につきましては、総裁から返答することになると思いますが、大体においてあの調査をいたしました結果、別に惡いところがなく、あれでよかろうというようなことであつたのであります。その点はあらためて総裁から発表があると思います。
  12. 加藤充

    加藤(充)委員 人事官は三位一体であつてただ総裁はその主宰の責任を持つ。適当な問題については総裁の名前で出されることはいいのですが、総裁が出て来なければ、三人の人事官のうちの一人のあなたが出席されておつて答弁ができない、答弁を留保されるということが、責任一体建前から了解できぬのですが、その点はどうですか。
  13. 山下興家

    山下(興)政府委員 当時その事柄を特に担当して研究しておりましたのが総裁であるから、責任のあるこまかな説明ができるだろうと思つたのであります。ただいま申し上げましたように、私の知つておる範囲内においては、あれを研究をして行きました結果、六千三百七円の基準も守られておりましたし、それから多少の調整額、たとえば税の年末調整において多少ぐあいの惡い点もあつたことは確かであります。けれども、あの当時の事情から考えまして、どうもやむを得ないだろうというような結論に達しておるのであります。
  14. 加藤充

    加藤(充)委員 そういう結論に達しているんだつたら、それを御発表になるのが当然なのであり、それが権限を有し、その責に任ずることの、具体的な職務執行に相なると私は思うのであります。そういうことが出されていないのは、ただ権限を持ちながら、その責に任じない一つの重大なる証明であると私は思います。そういう点につきましても、プリントにするだけでなく、その責に任ずることが権限意味するのであり、権限とはその責め任ずることであるというようなことがあり、「人事院機構整備に伴い、」ということが、改正理由になつておるのでありますならば、今後そういうごたごたしたことがないように、十分に人事院はこの法律案改正と同時に肝に銘じて、責めに任ぜられることを強く希望し、勧告せざるを得ない。  それから今の御答弁の中に、主として指導をしたのは淺井人事官であるというようなことを言われたのでありまするが、これはまことに事実はその通りだと思いますけれども責任の問題から言いますると、そういうふうな御答弁ではどうも満足が行かないのであります。もしそういうふうなことでありますならば、今後いろいろな問題があつたときに、人事院は、一体これはだれがやつたかわからないというようなことのないように、だれが主として責任をもつておやりになるのかというような事柄事ごとに明記して、人事院は、その責任を明らかにすると同時に、その職に当つた担当人事官は、その責任を明確にすることをやつてただかなければ、問題によつてはこれはだれそれがやつたんだから、おれは知らないということになり、しかも法制上は人事官全体が人事院として責任をおとりになるということになりますと、くわえて振りまわされるといいますか、すなわち責任の所在の明確さをぼやかすことになりますので、その点は今後責任明権にした取扱いなり、職務執行をやつてただきたいと思うのであります。これは付随的な希望的な意見になるのですが、今の問題に関連して新給與実施法におきましては、その十五條に教育職員特別俸給についての規定がございます。それからその他特別の職務に従事する職員俸給表の勧告のことがあるのであります。それから同法の十八條にある特殊勤務手当の問題、この点につきましては政令に漏れているものが多々あるのでありますからして、こういう点についても人事院機構整備に伴うということが、改正理由になつておりまする以上は、手遅れにならないように万全にして、しかも事態に即した妥当な方法で、法の命ずる職責を忠実に履行するようにしていただきたい。その際にたとえてみれば大阪国際無線通信士からは、あそこの職場勤務状態が特別な意味合いを持つておるということで、いわゆる特別の俸給表についての請願が出ております。また大阪造幣局冶金の現場などを、これは民自党の田淵君と、社会党の松澤君と、私とが実地調査に参りましたときに、あの冶金部におきましては一般印刷というようなところと違つて重労働のうちの重労働で、私どもが参りましたときには非常に暑いときでありまして、地金の溶けたものが、重い重量の物の運搬とともに職場に満ち満ちておりましたが、ああいうところについての手当、あるいはまたこれはこの関係じやないかもしれませんけれども印刷一般というような軽労働違つた意味合い重労働でありますので、ああいう点についていろいろな名目の手当その他の支給も、今の問題と関連して御考慮願いたいと思います。     〔藤枝委員長代理退席委員長着席〕  それからあと一点ですが、「第二條第六号を次のように改める。」というところの六の下に「第二十六條の規定による職員苦情申立を受理し、及びこれを審査すること。」となつておるのでありますが、確かに二十六條の規定によると、「異議申立」とあつて、それが「苦情申立」とかわつたのであります。それでこれは同じことだと言えば言われるかもしれませんけれども、この改正以前の現在の事態から申し上げますると、給與実施本部に対して異議申立てをいたし、そのことについてさらに人事院の方で最終の決定をするという二段構えの手続になつてつたと思うのであります。それがこのただ改正法によりまして、いろいろなことをやりますのも人事院、それに対して異議申立てということじやなくして、苦情申立てができるようになりまして、そのことについて決定をするのも結局人事院ということになり、いろいろなことをやるのも、また文句があつてそれを処理するのも人事院というように、苦情処理関係が一元化されて来ておるのであります。そういう問題についてお尋ねしたいのですが、異議申立てということが言われておりましたときには、先ほど申しましたように階梯が二階梯になつておる。今度苦情申立てということになりますれば、それが一元化され、一階梯になりますが、こういうことについて人事院の方のお考えをお尋ねしたいと思うのであります。
  15. 山下興家

    山下(興)政府委員 加藤さんの御質問の中で特別俸給表をつくる問題、それからまた特別な勤務に従事する者に対しての手当の問題というようなことがありましたが、私どもの方といたしましては、ただいまそういうことについて研究を続けております。ただ大体の方針といたしましては、給與はなるべく單純な形において現わしたい。それで職階制が確立いたしますと、それによつて今おつしやいましたような特別な勤務に従事しておる者に対しては、その職階制に基いてこしらえます給與準則によつて、一本で整理ができるわけであります。ただ職階制が確立しません現在においては、給與がすつきりいたしませんので、特別俸給表だとかいうような複雑なかつこうになるのであります。大体の方針といたしましては、これを減らすようにしたい。できるだけ早く職階制を確立して、給與準則を定めるという道をとつております。しかしただいま加藤さんがおつしやいましたような特別なものを、給與準則がまだできない間、放つて置くわけに行きませんので、それについてはただいま研究をして、遠からず発表しようというので、その手続中でございます。  それから異議申立て苦情申立ては、字は違いますけれども、私どもは同意義解釈しております。ただ給與実施本部というものが一段であつて、第二段として、人事院がこれを扱うというのであるか。一段になるとぐあいが惡いのであるかとおつしやるのでありますが、これは給與ばかりではありませんで、その他いろいろな問題、たとえば試験の問題にいたしましても、その他のいろいろな取扱いの問題にいたしましても、人事院がいたしましたことに対する苦情処理は、やはりみな人事院の内の公平局という所で扱つております。そして公平局はそういう問題について相当独立性を持つておりますからして、たとい人事院がやつた仕事に対しましても、公平局はこれを不法なりと断定することもできるようになつております。
  16. 加藤充

    加藤(充)委員 これでおしまいにしますが、新給與実施に関する法律の六條の第二項に、「いかなる給與も、法律又は人事院規則に基かずに職員に対して支拂い、又は支給してはならない。」というふうなことが書かれておるのでありまするが、これがただ下級官吏に対して、低いベースでいろいろ苦労してやり繰りしている者に対する圧迫だけに使われまして、高級官僚につきましては、私がここに手元に持つておりまする資料だけでもたくさんありますが、一例を申し上げますならば、海上保安庁の高級官僚の、幽霊定員による五百万円の横領というようなことは、言葉の表現はあるいは妥当を欠くものがあるかもしれませんが、大体間違いないと思うのでありまして、そういう内容事件があつたりいたしております。またその他いろいろとありますが、基準局の旅費のあれだとか、それから配炭公団云々だとか、肥料公団云々だとか、あるいは全逓の労組の四十三件にわたるいろいろな不正の事実、出張旅費俸給の問題なんかが、不当にごまかされておるなんということは、多分人事院の方にもいろいろ業務調査を求める手続がとられていると思うのでありますが、人事院は新給與実施権限が、人事院に一元化されることに相なりまする場合において、そういう問題についてはどうお考えになるのか、先ほどの整備が完備して、そうしてその責に任ずる建前から、やはり職場人たちの不平なり、あるいは悲痛な歎きがないようにすることも、私は責任の重大な内容を占めるものだと思うのでありますが、最後にこの一点だけ人事院にお尋ねいたしたいと思います。
  17. 山下興家

    山下(興)政府委員 ただいま加藤さんからの御質問でありますが、それにお答え申します。  最初人事院ができました時分に、給與の問題をすぐ扱うべきはずであつたのでありますが、新しい官庁であるがために、いろいろこれを整備するのに時間がかかります。それで結局新給與実施本部というものをつくつて人事院整備をするのに時間をつくつたわけでございますが、もうすでにこの一年間に相当な人員も整備いたしまして、給與局としても俸給課もこれを二つにわけまして、そして今は研究課実施課というものをつくり、その実施課において大体新給與実施本部仕事を引受けようということになつております。その定員も四十五名でありまして、そして大部分のものはもう充実して定員にほとんど接近しておるのであります。それで大体新給與実施本部がなくなつても、仕事にはさしつかえないと思います。  それからまた正しく給與が支拂われておるかどうかということにつきましては、たとえば先刻もお話がありましたような超勤手当はつきり拂われておるかどうかといつたようなことは、十分今研究を続けております。たとえば命令簿がはたして出ておるかどうか、そしてその通りに拂われておるかどうかというようなことも、今研究を続けております。そのことをお答え申し上げます。
  18. 加藤充

    加藤(充)委員 今の点ですが、命令簿が出ておるか出ていないかということを押えにかかつても、超勤手当不当拂いについては問題がはつきりしないのです。先ほど申し上げたように、職制を利用して、單位時間の事務総量が多くなつて、やるかやらないかというようなことに職制で押えつけられて、結局事実泣く泣くやる。給與ベースが少いので、もらえればまあ給料の足しにもなるというようなせめてもの淡い希望と、職制の圧迫に、泣きながらやつておるので、そんな超勤手当命令簿なんというものがありつこないのです。そういう実態の、いわゆる支拂うべきものも支拂つていない、まさに新給與実施法律の三十一條に違反するような問題が多々起ることは、これは調べるまでもなく、天下公知の事実なんでありまして、命令簿を押えてからかかるというような人事院のやり方では、私どもはかえつてその本質をごまかして行くために、人事院が加勢しておるという非難を受けざるを得ないことを、ここに調査の押え方の点について、御注意を申し上げておきたいと思うのであります。  私が発言を独占いたしましたので、最後に申し上げますが、要するに第二條人事院権限が書いてあるのでありますが、「権限を有する」というようなことに重点を置かずに、岡部君の御答弁通り人事院は、この法律の施行に関し、左に掲げる事項については職責を有するものであるのだというふうに、ひとつはつきりとお読みくださつて、そしていろいろ私が思いついたままに、散発的に御質問申し上げました事柄は、各国家政府職員職場なり、あるいは個人なりについて起きておるあまたの事案の大海の一滴にひとしい事例を、ただ御注意だけに申し上げたにとどまりまするから、そういう点については法律改正をきつかけにいたしまして、十分な反省と、そしてますますもつて職責と同時に権限に対する熱情と責任をかき立てられて、人事院がこれに当られんことを強く希望いたす次第であります。
  19. 星島二郎

    ○星島委員長 ほかに別に質問もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  この際お諮りいたしますが、本案に対する討論はこれを省略いたしまして、本案を議題として、ただちに採決を行いたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。  それでは政府職員の新給與実施に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。本案を原案の通り可決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條によりまする本案に関する委員会の報告書は、先例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長に御一任いただくことといたしました。     —————————————
  23. 星島二郎

    ○星島委員長 次に議院運営委員会より当委員会意見を求めるために送付されました人事官彈劾訴追に関する法律案及び人事官彈劾訴追手続規程案の両案についてお諮りいたします。  本委員会といたしましては、両案に対し、別に異論はない旨回答いたしたいと思いますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。よつて両案につきましては、当委員会といたしては別に異論はない旨回答するに決しました。なおその回答の方法につきましては、委員長に御一任願いたいと思います。     —————————————
  25. 星島二郎

    ○星島委員長 引続き特別職職員給與に関する法律案及び国家公務員職階制に関する法律案の二件を一括議題といたして、質疑を継続いたします。ちよつと速記をやめて……。     〔速記中止〕
  26. 星島二郎

    ○星島委員長 それでは速記を始めてください。
  27. 加藤充

    加藤(充)委員 先ほどの質疑あとを受けまして、ただ一点だけ淺井総裁がお見えになつてから答弁をするという留保の点が残つておりますので、その点だけ総裁がお見えになりましたので、御答弁をお願いしたいと思います。それは公開審理発表が五、六月ごろまでに発表になるという、今にも発表になるような前国会答弁であつたにかかわらず、今日まで発表しないのはどういうわけか、こういうことであります。
  28. 星島二郎

    ○星島委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  29. 星島二郎

    ○星島委員長 速記を始めてください。私より淺井総裁にちよつとお尋ねしてみたいと思うのですが、それは昨日理事会におきまして、いろいろ相談したのでありますが、先般御発表人事院規則の、これはもちろん委任でありまするけれども、これははなはだ広汎な重大な結果を持ち来しておるのでありまするし、また今回の職階制の法案にいたしましても、これを実施する場合においては非常な重要なる委任になるわけでありますが、これらについて運営上、当人事委員会に常に御相談をしつつ進まれるという御意思があるかないか。またそれがいけなければ人事院に審議会のごとき機関を設けられて、これによつて諮問されつつ進んで行かれる御意思があるかないか。これはただいま御答弁を求めません。われわれといたしましては、これを全部委任することに対しては、多大の危惧を持つておるわけでありますから、それらにつきまして、職階制を審議する上におきまして考えたいと思いますので、後ほど御答弁を得たいと思います。
  30. 藤枝泉介

    藤枝委員 ただいまの委員長の御質問につけ加えて、もう一点淺井総裁に御質問申し上げたいのであります。国家公務員法の第二十九條には、「職階制は、法律でこれを定める。」と明確に規定してあります。職階制というものは、われわれの解釈するところによりますれば、いわゆる碁盤の目まで入つたものが職階制だと考えるのでございまするけれども、先般岡部法制局長職階制に関する説明その他によりますると、今回提出されました国家公務員職階制に関する法律案が、この二十九條第一項の「職階制は、法律でこれを定める。」という、その法律だというふうな御解釈をとつておられるようであります。二十九條の第一項から第四項までを通読いたしまして、どうしてもわれわれそういう解釈は出て来ない。むしろ碁盤の目までを法律で定めらるべきではないというふうに、われわれは考えますが、その点の御所見を承りたい。
  31. 淺井清

    淺井政府委員 星島委員長からのお尋ねは、ちよつとここで即答いたしかねる筋がございまするから、いずれ他の機会に譲りたいと存じております。  それからただいま藤枝さんの御質問でございまするが、私ども考えといたしましては、この提案のとき申し上げましたごとく、この法律がすなわち職階制だという建前で進んでおるのでございます。これは決してお言葉を返すわけではございませんが、結局この職階制をどれだけ詳しく書くかという程度の問題に、帰着するだろうと思つております。これは決して国会の審議権を無視するわけではなくて、こういう技術的な問題に関しましては、人事院におまかせを願う方が適当ではなかろうか、こういう建前から来ておるのでございまして、私どもただいままでの考えといたしましては、二十九條第一項の職階制というのは、つまりこの法律だという建前で、提案をいたしておる次第でございます。
  32. 橋本龍伍

    ○橋本(龍)委員 今の藤枝委員質問に関連して、私人事院総裁にお尋ねをいたしたいと思います。ただいまの人事院総裁の御答弁を承つたのですが、まことに不満であります。この三十九條の第二項に「人事院は、職階制を立案し、官職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じて、分類整理しなければならない。」と書いてあります。そうするとこの分類整理したものが職階制であるとしかどうしても考えられない。そうするとその職階制法律で定めるというのですから、分類整理した結果を法律で定めなければいかぬというふうにしか読めないのですが、重ねて第二十九條の一項、二項をどういうふうに読まれて、今人事院総裁の言われたような結論が出るのか承りたい。
  33. 淺井清

    淺井政府委員 橋本さんにお答えをいたしまするが、私どもの方といたしましては、ここに提出されました法律案を、この第一項の「法律でこれを定める」と規定してある職階制だと思つております。そこで第二項は、その許されました法律の範囲の中におきまして、人事院職階制を立案いたしまして、官職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じて分類する。このように解釈しておるのでございます。従いまして、これはここに用いてございます職階制という言葉の、解釈の問題になつて来ると考えます。
  34. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 時間がありませんので、私はちよつと申し上げますが、淺井総裁ただいまの御見解は、国家公務員法違反であると私は考えております。国家公務員法制定に際して、私も審議をした一人でありますが、この審議の当時の解釈は、そういう解釈でなかつたということを、私はここではつきり申し上げておきます。この問題については、後日さらに論議する機会を留保いたしまして、一応私の見解だけを申し上げます。     —————————————
  35. 星島二郎

    ○星島委員長 先刻中曽根委員より、国家公務員法附則第九條による試験につきまして、参考人を呼び、意見を聽取いたしたい旨の提案がありましたが、これは当委員会に付託となつております議案とは関係がありませんので、もしその必要があれば、議長に対して、国政調査の承認を求めなければなりません。この際お諮りいたしますが、議長に対し国政調査の承認を求めることとし、それが承認され、なお時期的に余裕のあつた場合には、参考人を呼んで意見を聞きたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議」なしと呼ぶ者あり〕
  36. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。国政調査の承認を求める手続につきましては、委員長に御一任願つておきます。
  37. 高橋權六

    ○高橋(權)委員 毎日時間励行で、朝早くから参りまして、遊んでいる時間が長うございますから、でき得る限り委員にまじめに早く出て、質問簡單にして、早く済むように議事の進行をはかつてただきたいと思います。
  38. 星島二郎

    ○星島委員長 了承いたしました。さよう努めます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。それではこれで散会いたします。     午後零時四十三分散会