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北山証人 少し長くなりますが、分解硬化用の油は全部大口でございまして、自由経済時代にも、
販売業者からそういう人たちが買
つたという実績がございませんでしたので、統制にな
つてかれこれ八、九年になりますが、統制に入りましたときからも、やはり統制会社が
販売業者を通せずに、直売の
方法でや
つております。いわば
一つの商慣習とでも申しましようか、そういうような慣習でや
つております。昨二十三年度になりまして、まあ終戰後例の企業許可令が解かれましてから、いろいろ分解硬化の
仕事にも、新規の
業者が非常にたくさん出て参りました、小口のものも従
つて出て来たわけであります。そういう小口のものに対して、二十三年度にたしか試験割当か何かで、一
トンとかニ
トンが割り当てられることにな
つた。そういう人たちに
公団が直売するということは―従前にけそういう小口の人は相手にならなか
つたわけでありますが、
公団が直売するということは、非能率でもございますし、それでまあそれに
販売業者を通じて販売するということにいたしたわけであります。そのとき大口の方をどうするかということが問題になりまして、大口につきましても、やはり私の当時の考えといたしましては、中小の
業者が
販売業者の
販売価格で
配給を受ける、それから大口
業者が従来の慣習に従
つて公団の
価格で受けるということになりますと、やはりそれは公平の見地からいたしまして思わしくない、これはやはり同列であるべきだという考え方から、大口
業者にも、やはり中小企業と同じ
価格で売
つてしかるべきものだというように考えました。しかしながら
販売業者は、そういう大口の何百
トン、何千
トンの油の受流しということにつきましては、タツチする面が非常に少うございますので、わざわざ
販売業者を通ずるということにいたしましては、これは結局
言葉は穏当でないかと思いますが、いわば不労所得に似たようなものを與えることにな
つて、これも思わしくないので、それで
公団が直売することにいたしまして、
価格の付記條項に、
公団が
販売業者の販売受渡し條件に準ずるところで需要者に直接売
つたときは、
販売業者の
価格で売るという條項があるものですから、それを適用することにいたしまして、そうして大口の
業者にも
公団は直売するが、
価格は
販売業者の
価格と同じだ、小口の方と同じ値段で売るということをきめて、そういうふうに申したわけであります。大口の
業者の方からは、それは困る、われわれはやはり
公団から、統制会社から統制会社の
販売価格で
受取つたのだから、従来通りや
つてもらわなければ困るという、かなり強い反対の申入れがあ
つたわけであります。まあそういう商慣習かもしれないけれ
ども、しかしそういうことをや
つたのでは、
公団が中小の方と大口の方と区別して、大口の方に有利なようなことをやるということは、
公団の性格から私は
承知できない。また
公団のやることには、販売條項の付記條項によ
つてそれだけの根拠があるのだから、やはり私はこういう
価格で出してもらいたいということで、その間いろいろありまして、大口の
業者からは、それはまあひとつ従来通り
公団から直売で、
公団の
価格で売
つてくれ、それの
販売業者の
マージンに相当する分は、われわれの方で任意に積み立てるなり何なりして、油脂界のためにその金を使うということも考えるから、そういうようにわれわれの方で責任をも
つてやるから、ひとつ従来通りや
つてくれというような申出もあ
つたわけであります。そうや
つてみたところが、これは法律で伝えられたわけではなし、約束は約束で、か
つてに積立てもせずにやられて
しまつた場合には、こちらの希望と相反するわけでございますので、そういうこともできない。どうしても私とすれば、大中小の
業者がやはり同じ
価格で
原料の油を取得していただくということが本旨であるから、あなたの方でそういう御希望があれば、そうや
つてもいいけれ
ども、それが確実にやれるという保障がわれわれにない。われわれは單に希望しただけであ
つて、積み立てなくても、それをどうすることもできないので、そんなこともできぬ。
公団がそれだけの
価格で売
つて、
公団が積み立てるということだ
つたら、確実な保障があるけれ
ども……。そういうようなことで、いろいろ紆余曲折がありましたあげく、結局われわれとしては、そういう人たちからの預り金だというような考え方で、一応別途に
処理しましよう。あとあとにつきましては、いろいろ役所の方の見解もあるだろうと思うけれ
ども、とに
かく公団のいうように、
公団から直接買
つてくれ、その
価格は
販売業者の
価格で買つくれ。しかし
販売業者の
マージンに相当するものは、一応
公団で別途にして、何が何だかわけのわからねようなことにならぬようにしましようということを
言つたわけです。