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青柳委員 それでは、次に文部省の方に承ります。公葬についてであります。先般行われました第五
国会におきまして、衆議院で
全会一致で
遺族援護の
決議案がきま
つたのであります。その際われわれの
遺族援護の中心目標といたしまして、戰争においてなく
なつた人は、公のためになく
なつた人であるということを、
政府は再確認していただきたいと申し上げました。それに対して、
政府御
当局——副総理は、いかにも公務による死亡者であるということをはつきりと
お答え願
つたのであります。これは今までの
政府の御答弁にはなかつた点であります。今までの
政府におきましては、公務による死亡者であるということを確認した以上、それに対して処遇を行わなければならない。しかもその処遇たるや
関係方面との連絡などが非常にむずかしいので、なかなかはつきりした
お答えがなか
つたのでありますが、第五
国会におきましては、明らかに公務による死亡者であるという
お答えを得たのであります。しかして、文部省並びにその当時の内務省両次官の二十一年の十一月の
通牒をわれわれは持
つておるのでありますが、これは公葬についてという
通牒であります。これによりますと地方公共団体は、公葬その他の宗教的儀式、行事は行
つてはならぬという原則がありまして、ただ行い得るものとしては、文民としての殉職者に対しては、宗教的儀式を伴わない慰霊祭を行うのは市町村がや
つてもいい。また文民としての殉職者に対して哀悼の意を表するために、休業であるとか、弔旗の掲揚はいい。また文民としての殉職者に対しまして、弔慰金、花輪を公共団体が贈り、並びに官公吏が公の資格で列席し弔詞を読むことはいい。例外としてその三つの場合をうた
つておるのであります。しかもなお文民としての殉職者に対しては、他に適当の施設がない場合には、例外として、一般に貸す場合と同様の條件で、学校、公会堂等を葬儀その他宗教的儀式に使
つてもさしつかえない。こうあるのであります。文民としての殉職者に対しては、そういう処置がとられております。しかるに第三項におきまして、戰歿者に対する葬儀その他の儀式及び行事をやる場合には、この前に申し上げましたようなことをや
つてはならない、こう明確にあるのでありまして、これは文部
当局の御存じのことだと思うのでございます。
遺族の声といたしましては、肉親の葬儀を、この文民同様にいたしたい、すなわち公共団体で慰霊祭を行
つてもらいたい、また葬儀、慰霊祭、追悼会等に弔慰金、花輪を贈
つてもらいたい、また村長さんは村長さんの資格でも
つて列席して弔詞を読んでもらいたい、こういうのが
遺族の熱願であるのであります。しかるにこの
通牒におきまして、戰歿者に対してのみそういうことが禁止せられておるのであります。この根拠はどこであるかと聞きますと、一九四五年十二月のいわゆる神道指令に基くものであろうと承知しておるのであります。ところが神道指令を見ましてもそういうことはちつとも書いてない。戰歿者に対しては 一般文民の殉職者と同じような
措置をしてはならないということは、特別にどこにもないのであります。ここに軍国主義並びに超国家主義的観念の宣伝、弘布を禁止するという文句はあるのでありますが、国家の公務のためになく
なつた人のお葬式をやるのに、決してそれが軍国主義並びに超国家主義的観念の宣伝、弘布とは相ならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、私はこういう
通牒が出たということに疑念を持つのであります。ことにこの
通牒の方には、こうあるのであります。「戰歿者にはこれを適用しない。」とあ
つて、別に、「軍国主義者または極端な国家主義者に対する場合も同様である。」明らかにこの
通牒は、戰歿者と軍国主義者または極端な国家主義者とをわけて考えておるのであります。指令の方には、あとの軍国主義者または極端な国家主義者についてはいけないという解釈ができるとしても、戰歿者に対してはそういうことを指令から解釈することは、私はできないと思うのであります。これにつきまして、まず文部
当局の御
意見を承らしていただこうと存じます。