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愛知政府委員 ただいままで
建設省の方からいろいろ御
説明があ
つたことと思いますので、あるいは重複するかと思うのでありますが、
大蔵省の
銀行局として
考えておりましたこと、並びにその後の
関係方面との
折衝の
経過につきまして、最初に御
説明いたしたいと思います。
まず
住宅金融の当面の問題でございますが、
住宅金融につきまして御
承知の
財政支出五十億ということは、
確定いたしておるのでございまして、その
使用方法をどうするかということにつきましては、
大蔵省といたしましても、従来いろいろと
具体案を
練つてお
つたわけでございます。ところがこれとは
別個の問題といたしまして、御
承知のごとく
長期中期の一般的の
設備資金、この中には場合によれば
財団抵当のものもございましようし、
船舶関係のものもございましようし、その他いろいろの種類の
長期の物的な
設備を新設したり、補修したりいたしますための
資金の
調達機関が、
興業銀行だけではとうてい十分な活動ができないというので、農林中金の
拡大強化、商工中金の改組ということを
考えておりまして、具体的に着々
計画は進んでおるわけでございます。しかしそれでもまだ不十分でありますので、現在の
日本経済の実態に即しまして、
不動産が
担保になる
金融の道が、現在ではほとんど杜絶いたしておるわけでございます。これは主として
勧業銀行が普通の
銀行に変貌いたしたところから基因するものでございますが、さらにさかのぼれば、
農工銀行というものが
勧銀に合体され、しかもその
勧銀がなくな
つたという沿革にも基くものでございまして、
大蔵省といたしましては、何とかして
不動産を
担保にする長、
中期の
設備資金の
供給機関をぜひとも
考えたいということで、鋭意案を
練つてお
つたわけでございます。ところがその案を
考えるにつきましては、従来たとえば
勧業銀行の場合でも、
農工銀行の場合でも、何らかの
意味でそういう
機関には
財政上の庇護があ
つて初めて
考えられたわけでございまして、いわゆる
特殊銀行として発達した経緯も、そういうところにあ
つたわけでございます。ところが
財政と
金融の分離といういわゆるドつ
ジ方式によりますと、さような
機関をつくる場合に、
財政上の
援助ということがなかなか得にくいということで、この案が
相当な行き詰まりをみておるようなわけでございます。ところがそこに五十億の
住宅金融のための
資金ができたというところで、この五十億の金と
不動産金融機関とを結びつけた
考え方を
考えようじやないかという案が、一部に有力に台頭して参りました。たとえば
不動産銀行をつくりまして、日本
銀行が、
債券を発行するその
債券を、
住宅金融のための
資金で引受けをする。そして
不動産銀行から
住宅建築のための金を供給すればいいではないか、一口に申しますればこういう
意見が一時非常に有力に出て参
つたわけでございます。そのことは当時
新聞記事頭にも若干出てお
つたような次第でございます。ところがこの案はある
意味では利益があるようでございますし、また大局的にそういう
考え方ができないわけではございませんが、
せつかく住宅資金のために五十億を
政府が
支出をするのに、それを
不動産銀行という
別個の問題のために、
目的は多少通ずるところがあるにいたしましても、利用されて、世俗の言葉で申しますれば、とんびに油揚をさらわれるような感じをこの
住宅資金の方に抱かせるということは、本意ではないことは当然でございますので、そういう観点からいろいろと今日まで
折衝を続けて参
つたわけでございます。ところが
ちようど一昨日二十九日に
関係方面の
財政金融関係の
連合会議に、
大蔵省側も招集されまして、そこで次のような結論が一応中間的に出て参
つておるのでございます。私
どもの途中の
経過において心配しておりましたことが、大体拂拭されまして、
建設省の
当局におかれましても、また私
どもが当初に
大蔵省で
考えた線から申しましても、大体こういう線ならばのみ込み得るのではなかろうかという結果に、中間的にな
つたわけでございます。
その要旨をかいつまんで申し上げますと、
一つは五十億円の
資金は
政府の
資金であるという
性格を明瞭にすること、
従つてその
資金の
運用は、
政府自体が責任を持
つてコントロールすべきである、
従つて住宅金融のために他の
金融機関が
債券を発行するような場合に、それをこの
資金で引受けるという方式はとれないということがはつきり確認されたわけでございます。
それから二番目は、そういうことになりましたので、
従つて政府が今度は実際問題として直接に一件ずつの
貸付までも直接貸しにするか、あるいは代理
機関、経由
機関として
金融機関その他を使うかどうかという
方法は
政府がきめるべきである。そしてまた、かりに
金融機関その他を使う場合でありましても、それらの
機関は單にその
事務を
政府にかわ
つて代行するのであ
つて、決して最終的な帰属点になるのではない。また
融資をするにあた
つて、
銀行は
政府に対して事実を
調査したり、資料を提供することは
政府の要請によ
つてやるべきであるけれ
ども、一件ずつの
融資の可否について
意見を述べたり、これを
決定する
権限もなければ、そうさせてはいけない。それは
政府みずからがこれを
決定すべきである。こういうことが第二点として確認されたわけでございます。従いまして先ほど
経過で申し上げましたように
銀行の手を経て
銀行の恣意によ
つて融資が行われたり行われなか
つたりすることをやる。あるいは
銀行の
資金繰りの
関係で、
政府が意図するようなところに金が出ないという心配は、これによ
つて拂拭されたわけでございます。この点は私
どもとしても、結果として非常によか
つたと思
つておる点でございます。
次に申し上げますことはやや
事務的なことになるのでございますが、第三の問題として
融資を受けようとするものは、
融資申込みの窓口が、たとえば
銀行が指定される場合には、そこに
政府の定める
調査手数料を支拂う。その手数料はしかしながらきわめて合理的なものでなければならない。それから一方
政府に直接に
融資の申込みが参
つた場合には、適当の
機関に
政府が
調査を委託することは
考えていいのではなかろうか。こういう
意見でございました。その
調査等を委託する場所をどういうところにするかということについては、先ほ
ども申し上げましたように、これは
政府の責任でやるべきことであるから、ある種の
機関だけを特定いたしまして、そこに
調査を委託するということでなくして、同種のものがあ
つた場合には、一様に機会均等にそういう
機関を使うべきである、こういうのでございます。それからこの
調査手数料は何ほどにするかということは、これは話がまだきま
つておりませんけれ
ども、私
どもの希望としては、これはできるだけ少額で、いくら多くとも
融資額の一%を越えない
程度のものにいたすべきであると
考えております。もしそれ以上に実際の手数料が必要であるならば、それはこの
政府資金の方が見るべきであ
つて、
融資を受けるものの方の
負担にしない方が、
融資上便宜であろうかと
考えております。
それから第四には、
貸付の利率は年五分五厘とするこれは
政府において
融資すべきものであると
決定された場合には、一律に
貸付の利率は年五分五厘にするのが適当であろうということでございます。これにはその他期限等の細目をいろいろと検討しなければならぬ点はまだ残
つておりますが、一番の問題は利率であろうと
考えます。
貸付の利率は年五分五厘、これに先ほど若干の
調査手数料というものを徴収されるかもしれませんが、これはいくら高くても一部ということにいたしますれば、六分五厘以内で借入れができることになるだろうと思うのであります。それから
融資をいたした後の管理回収の
事務は、
政府が直接にやるべき性質のものであるが、なかなかそれだけの手足がなく、また役人がこれをやることはかえ
つて経費倒れになるというようなおそれもあるけれ
ども、これまた
融資に際して、経由
機関を使いました場合には、その経由
機関に別勘定をはつきり設けまして、固有の業務のほかに明瞭に区分いたしまして扱わさせる。それに対して費用がかかれば
政府から管理手数料、回収手数料というものを支拂う、こういう次第でございます。
最後に、
政府の機構、
住宅公社とい
つたようなものも、どの
程度の規模にするか。その人員をどのぐらいの人数が適当であるか。また支社をどの
程度に設ける必要があるかというようなことにつきましては、別途
建設省と
大蔵省の主計局との間の相談に移そう。これが大体一昨日の午後の
連合会議に私
どもが最後的に招集され、そうしてそれ以前にいろいろ
折衝しておりました私
どもの
意見も
相当取入れられまして、中間的にこういう結論ができたわけであります。これを元にいたしまして、
住宅金融の方の具体的な問題をどんどん処理して参りたい、こういうふうに
考えております。
従つて本案がこういうことになりますれば、伝えられておりまするような
不動産銀行というようなものとは
別個に、独立の線で発足できることになると思うのでありまして、将来
不動産銀行というようなものができました場合に、それをこの経由
機関に使うかどうかということは、そのときに
考えられることはあるかと思うのであります。くどいようでございますが、先ほど申し上げましたような
不動産銀行を
住宅金融と
二つ一体のものとして
考えるという
考え方は、これによ
つて終束がつけられた、こういうふうに
考えておるわけでございます。
大体従来の経緯、一昨日のところは以上申し上げたとおりでございます。