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1949-12-03 第6回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月三日(土曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長代理 理事 川端 佳夫君    理事 田中 角榮君 理事 永田  節君    理事 藤枝 泉介君 理事 八百板 正君    理事 井之口政雄君 理事 金子與重郎君       高塩 三郎君    中馬 辰猪君       福田 喜東君    前田榮之助君  委員外出席者         建設事務官   高田 賢造君         経済安定事務官 鈴木 敬人君         会計検査院事務         官       池田  直君         会計検査院事務         官       小林 義男君         專  門  員 大久保忠文君         專  門  員 岡林 清英君 十二月二日  委員中川俊思君辞任につき、その補欠として西  村久之君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十二年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十二年度特別会計歳入歳出決算     —————————————
  2. 川端佳夫

    川端委員長代理 これより会議を開きます。  本日は前会残りとなりました昭和二十二年度決算内閣所管中、物価庁並びに元内務省建設院の分に対する会計検査院批難事項について、それぞれその概略を御説明願い、審議を進めたいと存じます。  ここでちよつと申し上げておきますが、概略説明は、検査院批難報告と、その後に変化を来したというような点を重点的に御説明願いたいと思うのであります。大体報告書に書いてある程度のものは割愛していただいて、その後かわつた点あたりを中心にして御説明を願いたいと思います。
  3. 鈴木敬人

    鈴木説明員 価格差益処理につきまして、徴収漏れの事実があるということで、ここに旭化成工業の人件費価格差益ほかを初めといたしまして、十九件、六百二十七万二千円の徴収漏れの事実の御指摘がありましたが、まことに私どもといたしましても遺憾に存ずる次第であります。この点につきましては、二十三年の九月、十月の候におきまして、それぞれここに徴収不足指摘せられました金額追徴決定いたしまして、是正いたした次第でございます。価格差益処理につきましては、価格改訂のとき以後一箇月以内に報告書徴収するということになつておりまして、その報告書についてそれぞれの参考資料を求め、書類審査を行いまして、とりあえず価格差益決定をいたすわけでございます。さようにいたしましてから爾後実地調査を行いまして、それぞれ報告が適正であつたかどうかということの調査を行いまして、これに基いてあるいは追徴なり、あるいは更生減額なりを行つている次第でございますが、これらの諸件につきましては、実地調査がまだ行われておりません。その間に検査院のお調べがございまして、ここに徴収不足の御指摘を受けたのでございます。われわれといたしましては、人員とか経費の点でいろいろ制約がございますが、できるだけの努力をいたしまして、こういつた徴収不足のないように努力しておる次第でございます。ただ今申しましたように、当初が書面調査でございまして、その次に実地調査を行うというその間においてかような事実ができましたことは、私どもできるだけこういうことがないように努力しておる次第でございますが、間々かような事例がございまして、二十一年度におきましてもやはり同じように徴収不足の御指摘を受けたのでございます。かように毎年度こういう事実が出て参りますることはまことに遺憾に存じますので、できる限りこういうことがないように努力している次第でございます。簡単でございますが、一応概略の御説明を申し上げました。
  4. 川端佳夫

    川端委員長代理 それでは続いて建設院関係の御説明を願います。
  5. 高田賢造

    高田説明員 検査報告の四十五ページの四九ないし八四までの部分につきまして、概略を御説明申し上げます。説明書の方で申しますと、二十五ページ以下にそれぞれの案件について御説明を申し上げておりますが、その後この説明を書きました後にかわつた部分について申し上げたいと思います。ここに掲げております件数のうちの、相当件数に上るのでございますが、その中には連合国から返還を受けました物件のほかに、終戦当時におきまして軍が直接民間等に拂い下げましたものも相当に入つております。検査院の御指摘を受けましたものの大部分が、むしろこれらのものでございまして、いわゆるここに書いてあります放出物件でございます。放出物件につきましては、前回の委員会等でも随時御説明を申し上げておると存じますが、終戦直後に連合国がこちらへ参ります前に、政府方針といたしまして、軍の放出物資を直接民間に拂い下げたというものの量が相当量ございます。その後になり、相当時間がたちましてから方針がかわりまして、代金収納をするとか、あるいは配分方法をかえるとかいうようなことをいたしましたので、その間に爾後の補正ということを行いました関係で、どうしても扱い上の是正が十分でない点が多々あつたわけでございます。従いまして、ここにありますように相当件数に上つておるのでございますが、さような事情で、扱いをいたしております者が十分なれておらぬというようなことからいたしまして、相当誤りがあるのでございます。その中で、六五から八四までの案件につきましては、いずれも検査院の御指摘通りでございまして、それぞれその通り納付なりあるいは是正なりをいたさせております。いずれも是正の済んだ分でございます。これまた先ほど申しました通り、大部分放出物件が主になつております。  前にもどりまして、四九から六四での分について申し上げますと、それぞれ説明書に書いた通りでございますが、その後検査院の御指摘を受けました後に、県当局あるいはその扱い者等十分注意をいたしまして、それぞれ完納したものがございます。それをかいつまんで申し上げますと、五〇の青森県の放出物件でございますが、これは一部徴収済みでございまして、また残り部分だけを今なお促進手続をいたしているのでございます。五一はもうすでに全額納入いたしました。五二も、これまた本年の六月に全部残額収納いたしております。五三も一部だけまだ残つておりますが、いずれも促進をいたしております。五四も同様でございます。五五の千葉県の学校等に無償譲渡いたしましたものについては、ごくわずかを残して全部済んでおります。現在未納は一万五百円でございますが、ほかは金部済んでおります。残額も近く決済の見込みでございます。五七の部分につきましても、これも本年の三月に収納済みなつております。五九の奈良県も、同様に二十四年の四月に収納済みなつております。六二の熊本県の石油配給会社関係のものでございますが、これは閉鎖機関から支拂いがございまして、全部収納が済んでおります。六三の宮城県のものも二十四年の五月に収納を済しております。  説明書に載せましたその後の変更は今申し上げた通りでございますが、冒頭に申し上げましたように、特殊物件連合国から返還を受けました物件につきましては、当時軍が直接拂い出したものについて、相当いろいろな事務的な手続上の誤りがありまして、あるものは国の方に納入すべきものを、間違えて県の方に納入をいたしましたり、あるいは処理方針がわからないままに、関係者が現地に保管しておつたようなものもございます。また有償で譲渡すベきものを無償で譲渡したというようなものが出て参りまして、検査院の非常なお手数を煩わしたわけでございますが、幸いにいたしまして、いずれも検査院の御指摘によりまして、是正をいたされまして、逐次事務整理をはかつております。二十二年度決算におきまして非常に件数が多かつたのでございますが、たまたまこの時期が代金収納の最も時間的に件数の多いときでございましたので、自然かような件数に上つております。現在逐次事務整理をはかつておりまして、遺憾のないようにいたしているのでございます。
  6. 川端佳夫

    川端委員長代理 以上の御説明に対して、ただいま会計検査院の方から池田検査第一局長小林検査第二局長がお見えになつているようですが、何か検査院当局の御意見はございませんか。
  7. 池田直

    池田説明員 物価庁価格差益金徴収事務を検討いたしました結果について、検査報告に記述いたしておりません事項で、御審議の御参考になるために簡単に御説明申し上げたいと思います。  二十二年度における価格差益納付金徴収状況は、徴収決定済もの百二十八億余万円に対しまして、収納未済額は六十八億余万円という巨額に上つておるわけでございますが、その後現在では相当収納済みなつておるようでございます。このように徴収状況が良好でなかつたということは、二十二年度徴収決定済み額の約半分に相当します七十六億余万円というのが、二十二年度年度末三月に、一挙に徴収決定をされた。こうしたために年度内に収納が困難になりまして、このような収納未済額が多かつたような状況でございます。これは主として先ほども物価庁鈴木課長から御説明がありましたように、物価本庁並びに、各地方物価事務局を通じまして、差益事務担当職員の数が比較的少く、従つて実態調査がうまく行かなかつた実態調査のための旅費等も比較的少なかつた。こうしたことに基因するものと大体認められる次第でございます。全国価格差益金徴収事務の大部分を管掌いたしております本庁職員の数でありますが、二十二年度末、二十三年の三月現在におきまして、二十数名という状況でございました。各地方物価事務局を合せましても、総数はようやく百数十名程度という次第でございまして、しかも各地方物価事務局におきましては、二十二年度中には価格差益徴収事務の専従の職員は、ほとんど置いていなかつたというような状況でございます。従いまして価格差益徴収決定の基礎となります差益納付義務者からの在庫報告の適正を期するためには、実態調査が一番緊要でありますが、この実態調査が十分にできていなかつた次第であります。私ども調査いたしました結果に致しましても、これは二十二年度、二十三年度に大体わたるわけでございますが、調査いたしました件数二百二十五件のうち六十三件、約千五百万円程度追徴を要する報告漏れが発見されたような次第でございまして、物価本庁におきまする実態調査状況を見てみますと、差益報告件数約一万件のうちに物価庁におきまして大体お調べなつたところが三百六十件程度ではなかつたか。こういうふうに考えるわけでございます。従いまして私ども物価庁に対しまして、ただいま申し上げました点につきまして、価格差益徴収事務につきましては、大いに改善の要があり、適切な措置を講ずる必要があるということを御注意申し上げて来た次第であります。  なお価格差益徴収に関しましては、これは二十二年度、二十三年度、これから二十四年度のことに関しますが、先ほど申し上げましたように二十二年度価格差益納付金収納未済もまだ幾らか残つておる。二十三年度納付金につきましては、大体予算額徴収はできましたが、収納未済相当金額に上つておるような次第でございます。今度御承知通り価格差益納付金の制度が改正になりまして、十二月以降の価格改訂の分につきましては、徴収しないことに相なつたように存じておりますが、ただ価格差益納付義務がすでに生じております分につきましてには、これはどうして取立てますことが適切と考えますので、この点につきまして、今後政府においても十分の御注意が必要ではないか、こう考えておるような次第でございます。  御参考までに、簡単に申し上げました。
  8. 川端佳夫

    川端委員長代理 それでは質疑をお願いいたします。
  9. 井之口政雄

    井之口委員 価格差益問題につきましてお聞きいたします。今会計検査院からの御報告を承りますと、全国で約一万件くらいのうちから三百六十件調査されたというような御説明でありましたが、そのうち不正としてここに指摘されております分は、四十ページの物価庁関係二五、二六、二七、二八、それからあと四三までこれくらいのものが上つておるのであります。三百六十件の調査物件のうちに直接会計検査院でこれが徴収不足と御認定なすつたものは、これだけの計数でありましようか。それともあとは三百六十件のうち小さいものだからといつてお省きになつたのですか。報告書の中の点でございますが、それをお伺いいたします。
  10. 池田直

    池田説明員 ただいま三百六十件という数を御指摘になりましたが、三百六十件は、物価本庁におかれまして差益報告件数約一万件のうちに実態調査をなされたものがありまして、その件数が約三百六十件くらいではなかつたか、こういうふうに私ども見ておる次第でございます。私ども調査いたしましたのは、そのうち二百二十五件くらい大体一年間に見たわけでございます。その二百二十五件のうち六十三件くらいにつきまして、千数百万円の追徴をやるべき報告漏れがあるとして、大体今調査しておるわけでございます。そのうち二十二年度の分で御審議願うのがここに書いてあるのでございまして、あとの分は二十三年度検査報告は目下審議いたしておる次第でございます。
  11. 井之口政雄

    井之口委員 政府の方においては、審査できないものが一万件からあるということは御承知なのでございましようか。どうでございますか。
  12. 鈴木敬人

    鈴木説明員 われわれといたしましても建前から申しますれば、やはり全部実地調査をいたさねばならないのでございますが、人員関係もございまして、大きいものから調査するということになつておりまして、実地調査件数が少くなつておりますのは遺憾でございますが、できるだけのことをやつております。私ども職員調査のために旅費を使つて派遣いたします場合には、調査会社、それから先ほどの報告金額というものを一応提出させまして、これこれの会社について十日間なら十日間の予定に出張するということで出しまして、それぞれの会社についてはどれだけの追徴かあるいは減額——主としては追徴の問題でございますが、その調査実態実績報告を徴しまして、それによつてその次の調査に派遣するときの参考にするというようなことで、出張いたしましたときには、その日程の日時を極力活用して追徴を上げるというふうに努力いたしております。ただいま井之口委員から御指摘になりましたように、われわれといたしましては、すベてについて実地調査を行わなければならないのでございますが、それが十分に至つていない。しかし調査を行わなければならぬということは考えておりますが、実際の問題としてそこまで行つていない。かような状況にあるわけでございます。
  13. 井之口政雄

    井之口委員 この価格差益金の問題は、当時議会においても非常に重大な問題でございましたし、かつ社会全般においても、あまりにインフレによつて不当な利益資本家方々が得られる。拂下げ物資受取つたり、または公団等政府からの配給受取つたりして、それを下に分配している人たちの間に不当な利益として、社会でも指弾されていた問題であります。その問題について、一万件のうち三百六十件を調査したとおつしやられますと、あとの九千六百四十件というものは、まつたく大きな数量でございます。この九千六百四十件というものに対しては、人手が足りなかつたというだけの理由でこれを全部放擲されて、そのまま黙認されておいでなつたわけでありますか。その当時これに対して、政府はもつとまじめに何らかの予算的措置をとるなり、またそのほかのいろいろな処置をとるなりして、これを調査するということをやらなかつたのでありますか。
  14. 鈴木敬人

    鈴木説明員 物価庁といたしましては、決してこれを放擲しているわけではございませんので、債権の時効といたしまして、五箇年間の時効があります。それがあります以上は、どこまでも追求しなければならぬと考えておりまして、既往のものにつきましても、機会あるごとに、ただいま申し上げましたような方法で、調査を続けているわけでございます。
  15. 井之口政雄

    井之口委員 ちよつと常識で考えましても、その当時でさえも、たつた三百六十件しか調査できなかつた。しかるに今ごろになつてからあとの九千六百四十件というものを調査されようとおつしやるのですが、はたしてこの調査に対して自信をお持ちでありますか。
  16. 鈴木敬人

    鈴木説明員 これは先ほど申しましたように、一応は全部当らなければならないのでありますが、全体の生産量なり、配給数量なり、その点からにらみ合せまして、特に不正の報告というように考えられないようなものにつきましては、一応これを省きまして、大口のものを当つて行くということを主眼にしております。全部当り得る自信があるかと申されますと、私としてはちよつと自信があるとまではつきり申し上げることはできませんが、できる限りのところでもつておつかけると申し上げるよりほかないわけであります。
  17. 井之口政雄

    井之口委員 価格差益というものは、当時のそうい利益を得ていられた方々の、まつたく不当な所得であります。一晩寝ていると、翌日公定価格が上げられて、その間に在庫品が全部値上りしていくというので、まつたく不当にもうけている利益であります。そういうものは全額を徴収しても、社会的な立場からいたしましては当然なものである。それは法律によつて何割ということになつておりますが、その何割でさえもとらない。そして人手が足りなかつたと言つておる。今ごろからはとる自信がないということになつたならば、国民全体ははたしていかなる感を持つでありましようか。政府は過重な所得税徴収に対しても、ほとんど強権を発動しているような状態ですし、さらに二、三日前には、農民の超過供出に対しては強権を発動させると言つておる。こういう場合に、人手が足りないから強権を発動させないということはあり得ない話です。政府としては絶対に価格差益は査定いたしまして、法律通りのことだけは少くともやらなければならない性質のものである。ところが二十一年度においても、これはとつておらない。また二十二年度においてもとつていない。もうそうこうするうちに、価格差益ということは社会で問題にならないような時期がやつて来ておるし、十二月からはほとんどゼロに近くまで縮小されて来ると思う。これは従来の問題の総決算をするという意味においてでも、徹底的に政府はこれを遂行するところの準備と、またそれのいろいろな機構上の設備を整えて行かなければならぬものと思うのでありますが、この点に対しては何か責任ある施設が考えられておいでになるでしようか。
  18. 鈴木敬人

    鈴木説明員 ただいま御指摘になりました点につきましては私どもとしましても、あくまでこれは追求しなければならぬと考えておるわけでございまして、人手がなければふやしたらいいということになるわけでございますが、なかなか適任者も得られませんし、われわれといたしましても、毎年度毎年度予算におきまして人員の増加を請求しておるわけでございますが、なかなかそれが思うように行つておりません。しかしわれわれとしては、これがただいま御指摘になりましたように、いよいよ最後の段階に入つて来ておるということでございますので、現在の人員できわめて手薄ではございますが、ふんどしを締めてぶつかつて行くということでやつておるわけでございます。それでその成績の向上のためには、いろいろと手を講じておるわけでございますが、なかなかそこまで現在のところ成績が上つておりませんので、まことに申訳ないと感ずる次第でございます。
  19. 井之口政雄

    井之口委員 調査なさつた分に対してでも、一千億見当ですか、一千億見当徴収になるのだそうですが、これはいつころまでに完了するのでございましようか。
  20. 鈴木敬人

    鈴木説明員 ただいま申し上げました調査をいたしましたものは、すでに収納済みなつておるものでございます。それからなお今日におきましても、今後ともその追徴の点について、係の大部分をあげてやらしておりますので、なお実地調査件数もさらにふえて参ると考えております。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 会計検査院におきましては、日本全国から厳重に当時のものにさかのぼつて徴収するといたしましたならばどれくらいの額に達すると、ほぼ概算なさいますでしようか。
  22. 池田直

    池田説明員 ただいまの御質問でございますが、どの程度厳密に調査したら価格差益納付金追徴できるかということにつきましては、今ちよつと簡単にお答えいたしかねる次第でございます。
  23. 井之口政雄

    井之口委員 それを査定するような何らかの資料はございませんでしようか。
  24. 池田直

    池田説明員 これを査定する資料と申しますのは、結局各納付義務者から報告が参りまして、その報告書類につきまして、報告が正しいかどうか。各納付義務者の店なりあるいは工場等につきまして、丹念にこれを実地調査しなければなりませんので、簡単にはなかなか行くまいと考えております。
  25. 井之口政雄

    井之口委員 向うの納付者申告によるものとして、もしその申告誤りがある場合に訂正するとか何らかの手段が、これは物価庁の権限内にあるだろうと思うのですが、そういうことをするだけの事実上可能性がありますか。徴収申告が誤つている場合にこれに対して何ら訂正することも、あるいは懲罰することも不可能なのではないでしようか。もしそういう単に申告によつてこれを否定するという方法をとつておりましたならば、これは脱税申告があることは当然なのでありまして、これを支拂わなければならぬ。旭化成だとか、ここにあがつておりまするものだけでも東洋綿花だとか、東京都の農業会だとか、鈴木化学だとか、参松工場だとか、岡本だとかたくさんあがつておりますが、こういう多くの会社並び資本家の団体の申告に、何らかの適正なる申告をさせるような手段もなくして、ただ単にその申告を受ける、待つているというのでありましたならば、徴税が不可能だということは初めからわかり切つておるのであります。そういう点に対し会計検査院の方では、はたしてこれができるかどうか。どうお考えになるか。私たちの目から見ると、これはまつたく欺瞞的なものである。法律では制定されておつても、決して実行できないような法律の制定になつておるというよりに思われますが、いかがでありますか。
  26. 池田直

    池田説明員 価格差益金納付金徴収に関しましては、制度的には、納付義務者の方の報告間違つておりますときには、物価本庁におきまして、これを是正するなり、その他の措置ができることになつております。それからかりに不当、不正の報告等につきましては、今規定を持ち合せませんが、それぞれ処罪の既定があるように承知いたしておりますから、制度的には一応、今御質問のような趣旨に合致するようにできておるものと考えられます。
  27. 井之口政雄

    井之口委員 それでは政府の方にお聞きいたします。この不正なる申告並びにまた不当なる申告と申してもよろしゆうございましよう。不正な申告、あるいはまた申告をしなかつたというために、法規に照らされて罰則を受けた人が何人くらいいらつしやいますか。一万件からあるものの中で何人くらいこういう方がいらつしやいますか。
  28. 鈴木敬人

    鈴木説明員 申し上げます。この報告過小報告であるとか、あるいは報告を行わなかつた場合の措置といたしまして、今までに実行して参りましたのは、先ほど申しましたように、まだ十分とは申せませんが、実地調査をいたしまして追徴をする。これが二十二年度におきましては二億円くらい、二十三年度では五億円でございました。二十四年度ではただいままで十二億円の追徴決定しております。それでなお全然報告を出さない。しかし生産量配給量というところから考えまして、やはり在庫相当つたはずだ、かように認定できますものは、いくら慫慂しても全然報告を出して来ないというものにつきましては、こちらのそういつた他の資料による認定で、当方から一方的な価格差益金決定しております。それで今申しましたようなところで措置をいたしておりますが、まだ罰則の発動まで行つた事例は一件もございません。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 罰則を受けた人は一人もいないくらいで、しかも調査する手はない。申告をそのまま受入れた分に対しても、まだなかなか手がまわりかねるというふうでありましたならば、ほとんどこの問題は政府自身が見のがして脱税を奨励しておるような形になつていると思うのでありますが、われわれは国民の前に立ちまして、こうした法律上の法規でさえも政府が実行しない。いわんやこの法律の点の価格差益金に対する租税というものも、非常に低率なものであるという点も考えて参りますと、国民大衆が今日この納税問題に対して、非常な不満を持つているということが、なかなかこういう方面の一事一点から見ましてもうなずけるのであります。この点は十分考慮してこの価格差益金の完全なる徴収をなされんこと希望いたします。  次に特殊物件の処分に関しての処置でございます。特殊物件の処置に対しましては、前の国会において大体総括的に報告していただく。調査資料を出していただくように要求したのであります。まず数量の点は全国的に大ざつぱに報告を得ましたけれど、これを拂い下げた単価について十分の報告を得ておりません。まだこれがひつかかつております。これはもう前の国会から時間も長くかかつておることでありますから、至急に放出物資のいろいろな数量と、出荷当時のマル公というようなものの調査項目を出しておりますから、その調査項目に従つて至急お調べなつたところを出していただきとうございます。第一自動車などが約三千円見当、二千円、三千円、四千円くらいの見当で拂い下げられております。そのこと自体でも、すでに二十二年ごろに自動車の拂下げが三千円といいますと、あまりに安過ぎます。しかもこの安過ぎる自動車代さえも納付していない。四九を見て参りますると、全国農業会に売り拂つた放出物件の松根原油でございますが、これは一リットル当り百九十円として評価して、その百九十円のうちから引取経費百四十九円五十九銭を差引いて、たつた四十円四十一銭の代金で拂い下げている。これは会計検査院指摘しているところであります。第一この引取経費などというものが百四十九円も出て、ほとんど差引きますとなくなつてしまうような厖大なる引取経費が算定されておりますが、こういう引取経費を算定する基準となつているのは、どういうものが基準となつておりまするか。会計検査院の方でちよつとおわかりになりませんでしようか。
  30. 小林義男

    小林説明員 本件の今の引取経費の百四十九円三十九銭の内訳というのでございますが、今ちよつとこまかい計算した資料を出しますが、大体におきましてこの品物は公定価格で言うと、当時の公定価格で二千七円、その中にはまだ精製しないもの、これを取込み原油と言つておりますが、そういう分は千五百七十八円という値段であるのであります。それを一キロあたり百九十円と評価されたということは、当時この品物を漁業用の油に使う重油と同じだ、こういうことで重油の値段に引き直しまして、百九十円ということにいたしたわけであります。ところが実際はどうであるかというと、拂下げを受けました農業会におきましては、これを水産会社に実際売渡したものが少くありまして、それをさらに精製しまして、テレピン油の非常に高価なものをつくりまして、それによつて農業会利益を上げている。その利益相当なつておりまして、これは当時の農業会の赤字の補填に充当している。こういう案件でありまして、ここに書いてありますように、われわれの方としても公定価格一ぱい一ぱいで売るということはむりだから、その引取経費をどの程度にまで——これは当時の事情から申しまして、われわれとしては引取経費が幾らだということまでは申し上げられないので、とにかく大体において引取経費を引いたもので売るのが至当じやないか。実際またそれによつて農業会が大体八百五十円くらい、この拂下げによつて利益を得ている。こういうことになつております。
  31. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、引取経費は何ですか。運搬費ですか。製造費ということですか。
  32. 小林義男

    小林説明員 運搬費でございます。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 こういう運搬費も政府持ちでございますか。これは引取つて行く農業会の負担になるのではないでしようか。
  34. 小林義男

    小林説明員 この松根原油というのは、当時飛行機の油のために、松の根をとつたのでありまして、その油のあるところが非常に山奥であるというような関係で、われわれとしましては、引取経費そのものは、これは官が見てもいいだろうという見解であります。この引取経費の中には、そういう運搬費と、それから、これは山奥で松の根からとつた品物てありますので、これを精製する必要がある。普通並の重油にいたしますためには、そういう精製費も入つておりまして、これを正確に申し上げますと、大体松根原油を千円そしてその歩どまりは〇・三五、千円のものの原料から三割五分の歩どまりがあつて、それからさらにこの精製費を百五十円要する。それからもう一つは、松根原油を千二百円と見る。つまり値段の高いものと安いものとあるわけですが、千二百円と見まして、同じようにしますと、そういう経費が二百二十円ということにしまして、そのちようど平均し経費を百九十円、引取経費はそういう計算で一応できているわけであります。
  35. 井之口政雄

    井之口委員 私の質問は、引取経費それ自体を政府が負担することが、適法なりや否やということを会計検査院にお尋ねしているわけですが、会計検査院では、引取経費を拂うことを承認しているようにこの報告には出ておりますので、こういうようなことの適法なりや否やということを、まず第一に御質問しているわけです。
  36. 小林義男

    小林説明員 ちよつと私の説明が足りなかつたかも存じませんが、ただいまの点は当局者の計算を申し上げたのであります。そこで会計検査院の方は、これは時価の二千七円なりあるいは取込原油ならば千五百七十八円で売れ、その場合に引取経費というものを——先ほど申しましたように、幾らということは申しませんが、若干引取経費というものを見て、そして適正な値段で売れ、こういうのが結論でありますので、引取経費が幾らであるかということまでは、具体的に考えておりません。
  37. 井之口政雄

    井之口委員 政府から受けた価格の上に、引取経費を入れて一般の消費者にこれを渡していいという解釈と、今の御返事は聞かれますが、そうすると、その経費を政府が負担する理由はないと思うが、これはどうでしよか。
  38. 小林義男

    小林説明員 この二千七円なり千五百七十八円という値段は、これは店頭渡しの値段であります。そこでこの品物が山奥にあるのでありますから、農業会が市場に持つて来て売拂う場合には、その必要な経費、これをこの場合引取経費と言つておりますが、その引取経費は若干政府において負担するほかはないように存ずるわけであります。
  39. 井之口政雄

    井之口委員 わざわざ政府が費用をかけて持つて来てやつて、そして費用は政府で拂つて、そしてその農業会にこういう安い値段で、百九十円よりももつと安い四十円四十一銭の値段で渡しているというのが事実であります。こういうふうなことがはたして商法でしようか。われわれはどう考えましても、この引取経費というものは、これはやはり消費者に渡す場合に、それだけの費用がかかつたならな、農業会においてそれだけのものはとつてもいいというなら、これは商法に考えられますけれども政府がそれほどの金をかけて、そしてちやんと農業会の倉庫なり何なり届けてやつて、そしてこれを渡すというふうな義務はないと思う。なぜこれをやかまし申すかと申しますと、従来の廃兵器類につきましても、その他政府から出ている多くの放出物資等につきましても、みな直接費、間接費というふうなものが厖大に計算されている。ほとんど政府の拂下げた物資は、ただみたようになつております。こういうのは一つの明らかな取扱い業者と、あるいはこれに当られたところの政府の当局者と、この間に行われた不正が介在すると一般の国民にとりましては考えられているような状態であつて、こういうことをなお会計検査院においても適法なりと思つておられるのかどうか。私は明らかにこうしたものは商法でないのである。こう考えられますが、どうでしよう。
  40. 小林義男

    小林説明員 当時特殊物件処理全般につきましては、大体におきまして公定価格のあるものは公定価格で売拂う。公定価格のないものはこれに準じた値段で売拂う。その場合においては県外にある部分については、価格査定委員会で価格を査定いたしまして、その値段で売拂う。そこでそういう場合に最終の消費者価格がきまります。しかしながら現物の配給の経費なり、あるいは今の精製の経費なりといつたようなものは、業者が現実に経費を負担いたすわけでありまして、今般のこの松根油につきましても、市場へ持つて参りますまでの経費は業者が出すのであります。そういう経費を見て、それを差引いた値段で政府が商人に卸売りする。こういつたかつこうになるのでありますから、そういう意味の引取経費というものは、説明が足りなかつたかも知れませんが、合法であると思います。
  41. 金子與重郎

    ○金子委員 この松根油の問題は、今会計検査院大分答弁に苦しんでおるようですけれども、どんなに経費がかかつても、こんなに元値がなくなるような運搬費があろうはずがないのです。そうして一応その当時の事情を申し上げますと、この松根油というものは、一体業者がこれだけつくれば利益になるというふうな形でつくつたものではなかつた。戦争だ戦争だということに押しつけて、そうして松根油をとることには不適当な土地の松山に対してまで、山主の供出した木の根つこをただ掘つて、しかもこれに対しては農村の人たちが労力奉仕をしなければ、あの代金ではとうてい松根油をつくつては合わなかつたのです。そういうふうな過程で、約二年にわたつて松根油の製造をやりましたから、農村が非常な負担をしたのです。農業会も非常に損をしたのです。たまたま終戦なつて、その損の赤字をどうするかということになつた。これは戦争のためにしたのだ。しかも農業会が損をした上に、農山村の人たち義務で人夫を出した。女たちであつて松の根を掘れないような——松の根を掘るということは容易なことではないのです。こんな大きな根を掘るのです。そういうふうな女たちであつて松の根の掘れないものが、義務人足がわりに金を出してまでしてかわりのものを出す。だから農業会では損をしておるのです。これが終戦なつたときにただくれると言つたのです。だから終戦なつてただくれるのだということを言わなかつたら、こんな問題は起らなかつた。これを拂下げたり何かして、しやくし定規的なお役所的な決算をするから、井之口委員から申し上げたようにこういう誤解を受ける。これはうそなんです。実際は農民が損をして、しかも農業会が非常に損をしたのです。だからそれをただくれようというのだけれども、そのセクションにとらわれて決算をするから、こんな形になるのだ。こんなに運賃がかかるわけがないのです。なるほど山ではありますけれども、こんなに運賃がかかるとは知らなかつたのです。また実際にこんなに運賃がかかるのなら、農業会は買いはしません。そうして松根油の原油と、あの施設のかまをほとんど無償に近く農業会にやつて、帳消しにしようというのが当時の有様でありまして、これを役所的に会計検査院決算の数字を出しますと、こういうふうになる。ただここで申し上げたいのは、その問題は当時私はそれに参頭しておりましたから、その内容をどんなことでも知つておりますが、こういうふうな戦争中に下部組織の国民が非常に犠牲を拂つて戦争に協力して、その結果戦争に負けて、そういうために無償に近く拂下げたような放出物資もありましようし、あるいはそうでなしに、戦争中に戦争を利用してもうけていながら、しかも放出物資を手に入れて、一時成金の立場にあつた国民が一方にたくさんある。こういうものを混同して一律にこういうふうな報告事項にしますと——その点ははつきりしていただいた方がいいのです。その点はどうですか。私の言うことは違うと思いますか。
  42. 小林義男

    小林説明員 ただいまのお話でございますが、なるほどこの問題を計数的にと申しますか、特殊物件の売拂いの原則に従いまして、その通りの方式に当てはめて、当時の公定価格で売れと、こういうことを言つておるのでありまして、と申しますのは実際にこの品物を売拂つたことによつて農業会はとにかく利益を得ておる。その赤字が何であつたかということまで、この売拂い処分によつて補填させるということは適当でない。こういう考え方なのでありまして、もしお説のようになりますと、売拂いの単価は何が適当であるかという、われわれのものさしがなくなるわけでありますので、そのものさしに照らして、また結果から考えましてもこの処分によつて利益を得ておる。こういうわけであります。
  43. 金子與重郎

    ○金子委員 私の今申し上げておるのは、そういうことを申し上げておるのではないのです。松根油に関する限りは義務的につくらして、そうしていなかの百姓、農業会などに非常に犠牲を負わした。だから戦争が終つてそれがいらなくなつたから、その損は国家が補填してもいいものなんだ、それを要求したのです。ところが補填できないというので、松根油をやるからそれであとの始末をしろというのが、はなどしての解決方法なんです。それをこういうふうな物件とか、売拂つたとか、それによつて利益を得たとかいうふうなしやくし定規をやるから、結局そういうふうに誤解を受けるような形になるのです。だからこれは公定価格で、会計検査院指摘するような形に売つて、その金を犠牲を負わした人たちに補償してやれば、問題はなくなるはずなのです。そのからくりを文書に出すからこういうものが出て来る。こういうことなのであります。ところが実際においてそういうふうな実情にあるものと、そうでない実際に戦争中に何ら犠牲を負わずに、ただ放出物資でからもうけをしておるというのも、この中には同じように、同じ書類の中に同じ形式で含まれておることが、会計検査院としてはもう一ぺん考え直さなくちやならぬことじやないかと思います。県農業会はもうけておると言つておりますが、実際において私どもはよく知つております。これは地元のものは損をして、かまを皆くれてやつてしまつたのです。そうするよりほかなかつたのです。全国の山村民は非常に損をしておつたのです。それでまあこれをやるからかんべんしてくれ。こういう形のものだ。それと、それからただほかのブローカーが放出物資でたんまりもうけたのと同じように列をならべて書くと、こういうふうな矛盾ができると、こういうことを申し上げたのであります。
  44. 井之口政雄

    井之口委員 議題が本質に入つて参りましたので、非常に明瞭になりて参りましたが、私はやはり会計検査院が、これを不当なるものとして指摘されたことが正しいと思うのであります。よくなれ合いで、こうした法律にないことがいろいろと便宜主義的に片づけられたために、終戦後の多くの放出物資などが非常に不当なことになつて来る。農民が出した場合の損害というふうなものを補償するのでありましたならば、またそういう特別の方法を講じなければならない。それを今言うような引取経費という形で出しているのを会計検査院指摘されることは、これはまた正しいと思うのであります。とりわけ農業会と申しまするものは、御承知通り追放になつて、今日解散になつて、農業協同組合にみんな切り改めて、これを民主化しなければならぬというような立場になつております。でありまするから、たとえこれが引取経費が百四十九円五十九銭出されて、その場合に松根油を供出するところの農民の負担に充るというような話合いがあつたにいたしましても、事実これが多くの農民に的確に渡つているか、非常に疑わしいのであります。これは農業会の建前からいたしまして、金子さんのお話になりましたようないい農業会においては、そういうことが行われたでありましようが、多くの農業会においては、これが農民に渡されないで、引取経費では国家に負担をかけながら、不当に一部の農業会のボスのふところに入つたというような所がたくさんございます。今日は農業会の資産が協同組合へ移管がえになつておりますが、そういう中でも利益のあるようなところでは、いろいろな名目でこれを分配して行こうとするようなことがあるのでありまして、この農業会の赤字問題は赤字問題として、また別個の問題を構成するものだと思われます。  次に二千七円五十銭のものを百九十円で売つた、これを当時のマル公二千七円五銭で売れという法律があるにかかわらす、これを百九十円で渡しているということについては、会計検査院指摘もつともだと思う次第でありますが、当時のやみ値は一体幾らぐらいしていたものでありしようか。
  45. 高田賢造

    高田説明員 建設省の方からこの問題につきまして御説明申し上げることにいたします。この問題は二つの点があるのでございます、問題になつておりますところは、井之口委員のお話でございますと、公定価格によらなければ法律に反しておるというようなお話でございますが、それは先ほどお配りいたしました書類にも書いてございますが、必ずしもそういう法律なつておるわけではございません。詳しくはその経理のところに書いてございますが、ことにこの松根油につきましては、最高公定価格でございますから、必ずしもその最高価格によらなければならなということではないわけでございます。なおその引取費の計算等の問題もございましたが、なお金子さんあたりの御意見もありましたように、当時の事情もあるわけでございます。本件につきましては、問題が二点ございまして、第一点を申し上げますと、物件処理いたしましたのは二十年の八月でございます。代金をとりましたのは、検査院の御指摘通り二十二年の期になつておりまするが、この物件処理並びに価格につきましては、本来二十年の当時に処理ベきものであつたのでございます。それが詳細はここには書いてございませんが、いろいろな事情で代金収納のみが遅延をいたしたのでございます。これが手続上のいろいろな点がございまして、書類を出しましたけれども、当時の内務省なりあるいは建設省の方へまわらずに、ほかの方にぐるぐるまわつてつたというような点からいたしまして、二十二年のときに処理をいたしたのでございます。二十二年の九月当時になりまして、この価格で適当かどうかということになりますと、まさに一般論からいたしますれば、検査院の御指摘通りの点も考えられるのでございます。いろいろな考え方があろうかと思うのでありますが、少くともこの価格では適当でないという意見も、一応の御意見であろうと思います。もつともこれに対しましては、先ほど金子委員説明もございました通りのいろいろな見解があるわけでございまして、この見解については一方的にのみ意見があるわけでございませんので、あらゆる事柄に関連するわけでございますが、少くとも二十二年の当時としては、いろいろな意見があつたと思うのであります。しかしながら二十二年の九月に収納いたしました案件そのものは、二十年の八月に処理いたしました放出物資で、その価格は二十年の十二月に決定いたしておるわけであります。そこで二十年の十二月に決定の価格に基いて決済いたしました事柄自体は、これは処理方法からいたしますと、特殊物件扱いといたしましては、一応当然の扱いなつておるような次第であります。  問題の第二点は、しからば二十年の十二月当時において、この価格が適当であつたかどうかという二十年当時の問題になりますと、これは私どもの見解といたしましては、説明書にも書いてございます通りでありまして、その範囲の決定の動機となりましたような一つの参考資料となるのではないかと思うのでございます。先ほど金子委員のお話にもあつたように存ずるのでありますが、それらのほかに、当時といたしましては、放出物件なり特殊物件が、ともに食糧が非常にきゆうくつであつたというようなことからいたしまして、農村によつては無償で出した物もございます。それらの事情からいたしまして、二十年当時の関係当局者といたしましては、関係省にいろいろ協議をいたしまして、これらの当時の事情に基きまして、説明書に書きましたような価格をきめたのでございます。一応説明書に書いてあるのでございますが、ほんの一、二重点的に敷衍して説明申し上げたわけでございます。説明書の見解のように、今日といたしましてこれを扱いますのは、とうてい困難でございますので、私ども説明書通りのことで御承認をいただきたいと存じております。
  46. 井之口政雄

    井之口委員 今の御説明でますます混乱してしまいましたが、会計検査院は、その当時放出物件を二千七円のマル公のものを百九十円で受けておる、こういうことを指摘されております。こうした拂下げ当時のマル公でなさるべきものをなしていないという批難事項は、二十一年度の分にもたくさんあつたのでございます。それでその時分にもこれを妥当なりとして私拝聴いたしました。ところが今の御説明を聞いておりますると、これはやはり二十年十二月に拂下げたんだから、これははたしてそのときに拂下げたかどうか、手続だけそうされたかどうか、その辺あいまいでございますが、現物を渡したのが一体いつなのか。これは現物渡しのときのマル公で算定すべき性質のものでなかろうかと私は感じられます。それを現物でただ届出が二十年になつており、しかも金が入つたのがまたずつと遅れたのだ、こういうふうになりますると、会計検査院批難事項というものが当らないということに結局論理上なつて参ります。しかしそれはやはり会計検査院指摘されている方が正しいのではなかろうか。この二千七円五十銭というマル公は、終戦当時の公定価格一キロリットル当りとなつております。でございますから、そうすればよしかりに二十年十二月であつても、やはりこのマル公ではなかつたろうかと考えますが、今の政府委員の御答弁に対して、会計検査院はどうお考えになりますか。
  47. 小林義男

    小林説明員 ここに掲げてありまするマル公は、二十年七月十一日当時のマル公でございます。その後マル公は上りまして、二十一年の五月には二千七円のものが四千六百二十円、二十二年の十月には一万四千六百三十円ということになつております。実際農業会でこれを幾らに売り拂つたかということは、われわれの方は直接農業会を検査するわけではないのでありまするが、これは建設省なりを通して伺つたところによると、平均いたしまして大体二千円くらいで売り拂つております。
  48. 金子與重郎

    ○金子委員 松根油の問題を大分私が弁護するようで、変でありますが、実情を明らかにしておいた方がいいと思いますから申し上げますが、私は別に井之口委員会計検査院と見解が違つておるわけでもない。その点だけははつきりしておきます。これははつきり放出物資である以上は、正しい価格で正しい経理をして、国民に負担を負わせてむりだと思う点は、国家がそれを補償すべきものは補償するということが正しいので、その通り処理してあれば、こういう問題はないと思う。ただその当時の事情を見ますと、ここに何貫とか量を書いておりますが、この量は私はわからぬと思う。なぜならば、八月十五日終戦なつたときに、松根油を隠せというので、みな松根油をばらばらにしてしまつたのですから、現物の取引が帳簿上でただこれだけあつたというだけの問題です。私はその当時は農業会関係しておりませんでしたが、地方の世話をしておりましたから、そのような事情はよくわかります。終戦後間もなく、松根油をみなどこかへ入れてしまえという一部の者の命令でめちやくちやになつてしまつた。そうであるが、それをただそのまま放つて置けない。莫大な金をかけてかまをついた。人夫をただ使つて油をとつた。国のためだ、これがなければ飛行機は飛ばぬということで増産した。労力供出をやつた。そうして終戦当時問題になりまして、かまの施設費をどうする、何をどうするということで、あちらの省、こちらの省と長い間かかつて、結局それをやつて帳消しにするよりほかないというような結論になつた。それで特殊なところではもうかつたところもあるかもしれませんが、全国的に私どもの知る範囲においては、大部分がもうかるどころか、この松根油の問題では、農民は非常な犠牲を拂つておる。また協同組合等においては、あのかまの施設費は相当かかつておりますから、この程度の金ではその施設費を補うだけにはならなかつたと思います。それだけには私は当時の事情を知つておりますゆえに、誤解されない意味におきまして、はつきりその点を申し上げておきたいと思います。
  49. 川端佳夫

    川端委員長代理 この際ちよつと申し上げますが、物価庁関係の御質疑はもうほかにございませんか。——それでは井之口君。
  50. 井之口政雄

    井之口委員 終戦政府が持つていた数量が、あちらこちらに隠されたことは事実われわれ知つております。この点に対しては間違いのないことであります。日本にそういうものがあつたことも事実であり、それをどこかへ持つてつたことも事実なのであります。ですから二万キロリットルとしてここに松根油があげられておりますが、もしこれだけなかつたとすれば、これは戦時中の軍閥政治のもとにおいて、不正があつて現物と合わなかつたということになるわけですが、その点は問わないといたしまして、とりわけ終戦直後のマル公で、いろいろなものを拂下げなければならなかつたという大きな法律上の事実。そういうことが規定になつておるにもかかわらず、そうした二千円という終戦後のマル公よりも、もつと低い百九十円で拂下げておられることは、戦時中農業会がこれをつくる場合の負担のいかんにかかわらず、これは明らかに政府方針として違法的なものであると断定できるのであります。しかもさつきの政府委員のお話によりますと、二十二年度にこれを計算しているんだからとおつしやつたが、二十二年度つたら一万四千円以上のマル公になつておるわけでありますから、それで計算されなければならないという法律なつておる。でありますからさつきの政府委員の答弁は、どうもふに落ちかねます。この問題は松根油だけではございません。五十一項の宮城県の場合をとつてみましても、公共団体たる県において放出物件の売物に代金として九百六十七万円を受入れたが、そのうち直接費及び間接費等百八十万円を差引いたということがここにも出ております。この直接費、間接費の問題は、さつきの松根油関係のものだけでなくして、宮城県の一切の団体のものに関係しております。この場合この放出物件がはたしてどういう放出物件であつたろうか、農民が出したようなものだろうか、あるいはまた陸海軍が持つていたところの、厖大なる皮革だとか、被服だとか、あるいは鉄鋼類、鉛類、銅類というふうな金属類のようなものであつたろうか。それによつては、直接費、間接費というものが、かなり重要な意義を持つて来て、これの支出方面は不正だと断定せざるを得なくなつて来るのでありますが、この辺どうでございましようか。この放出物資の内容のいかんから、直接費、間接費の関係に立ち至つて、五十一項目のところを御説明願います。
  51. 高田賢造

    高田説明員 先ほどの点についてもう一度申し上げます。価格の点で、松根油の当不当の問題が一応あるわけでございますが、公定価格より高く売つておる場合は違法になるのでございますが、場合によりまして公定価格より安く販売いたしましても、物価統制の方から言いますと、別に問題はなかろうと思うのであります。ただ最高公定価格があるから、それは一つの基準である。一つの参考とする価格であるという点におきましては、これは答弁の余地はないと思います。ただ最高公定価格によらなかつた理由は、先ほど来いろいろ議論の出ましたような点にあつたのでございます。この点は一応御説明申し上げたのでございますが、事情をおくみとり願いまして、よろしく御承認くださらんことをお願いいたします。  また物件の引取りにつきましては、説明書にも書いてございますが、二十年八月の終戦時において、その処理は終つておるわけであります。あとから計算いたしたのでございますが、この二つが二十年の十二月に一応決定いたしております。その決定によつてあとからとつたわけでございますから、その点は重ねて御説明申し上げるようでございますが、説明書の四十九の冒頭の部分にも書いておるわけでございます。  それから五十一の、宮城県の分でございますが、この内容は検査院の御指摘にもございませんし、私どもの方は、内容のいろいろな内訳等を今手元に持つておらぬのでございますが、いろいろなものがあつたろうと思うのであります。ただ直接費並びに間接費と申しますものは、放出物件、つまり連合国が参りましてから、日本政府返還されました物件でない、その前に軍等で一応処理いたしましたものについてでございまして、これにつきましては、いろいろ調査とか、善後処置とかに経費がかかりますし、それらに必ずしも一律に一般の原則を当てはめるわけに参らぬのでありますけれども、一応総額のある限度におきまして、かかつたいろいろな経費というものを見込みまして、その事務扱いました府県の収入として認めたわけでございます。それが直接費なり、あるいは間接費の内容となつておるのでございます。お尋ねの五十一の内容そのものにつきましては、これは今手元に資料がございませんが、額等からいたしまして、いろいろなものがあつたろうと思うのでございます。この五十一の案件のものにつきましては、御説明申し上げますと、その後二十三年の十二月に全部国庫に納入いたしております。
  52. 井之口政雄

    井之口委員 そうすると、直截に申しまして、四十九の会計検査院の御指摘をお認めにならないわけでございますか。そうしてこれを追徴するという意思もないわけでざいますか。これは最高価格をきめたものであるから、最低でいかほどで売ろうとさしつかえないものだというふうな御意見と聞くのでありますが、なるほどそうでございましよう。放出物資の中には無償でくれる部分もあるのでございます。そうしてみると、三銭でも、五銭でもとれば、金をとつた、最高価格は決定されているのだから、最低幾らで拂い渡してもさしつかえない、こういうふうな議論になつて来る。しかし今度は、そういう場合に、個々の農業会がはたして百九十円見当で処分したかどうか。それを差引いて、四十一銭に幾らかの手数料をとつてこれを処分したかどうか。またそれから、先ほど会計検査院の言う通りに、二千円見当で処分しておるといたしますならば、ここに六百万円からの不当な利益全国で得ている。これに対しては、税法の関係がどう作用されて来て、はたしてこういうふうなものを農業会がとつていても、政府はそれを知らぬふりをしていなければならない法律上の建前になつておるのか、この点が一つ。  それからもう一つの、五十一の宮城県の放出物資でありますが、なるほど放出物資を取扱うには、いろいろな経費がいりますでしよう。しかし、これは政府の経費である。この政府の経費を、直接費、間接費として、拂い下げた相手方がこれを差引いてもらわなければならぬということは、これはいわれはないと思う。むしろ政府がそれだけの費用をかけたならば、かえつてその費用は加算して、拂い下げた相手方に支拂わせなければならぬという性質のものである。それを引いてもらつて、直接費と間接費が九百万円のうち、約二百万円近くを政府が支弁してやつておる。この点を私は聞いておるのであります。
  53. 高田賢造

    高田説明員 お答え申し上げます。私の御説明申し上げました四九の点について重ねて申し上げますと、法律に反しておるという点、つまり物価統制令に違反しておるかどうかという点につきましては、違反はしていないという点を申し上げたのであります。ただこの価格が適当であるかどうかという点が問題でありまして、その点で検査院の方の御指摘を受けておるわけであります。そこでつまり法律に反していない場合におきましても、当時の行政処理が妥当であつたか、妥当でなかつたという点の御批判をいただいておるわけでございます。この点につきまして、検査院の御見解と、私どもの方の弁明とが、多少そこに違いがあるわけでございます。問題はそこなのでございまして、確かに今日からいたしますと、いろいろ議論も出るわけでございまして、検査院の御指摘の筋も、一応の筋であろうと思うのでございます。これは当然一般論からいたしますと、かような妥当でないという一つの議論が出ることも、一応ごもつともだと思うのでございますが、ただその案件につきましては、先ほど来御説明申し上げましたし、また金子委員等からも種種実情等の御開陳もございましたが、今日これをこの通りに、かりに一歩を譲りまして、妥当でないといたしましても、いろいろな背後の技術上の理由がございまして、これをもう一度取立てるということは、ほとんど不可能ではなかろうかと思うのでございます。かりに筋といたしまして、当時の処置が不当であつたといたしましても、なかなかむずかしい問題がございますし、また別な見地から事情を申し上げますと、今公定価格の話がございましたが、その公定価格自体が、すでにその当時の意見といたしましては、終戦時に生産増強ということから、むりやりに高くつくり上げた値段であるというような意見もあつたようなわけであります。その点は、ここには書かれてございませんが、この公定価格自体といたしましても、当時大体初めから、松根油を航空機に用いるということからいたしまして、実情から離れた高い値段をきめたというような意見もあつたのでございます。それが終戦になりまして、まつたく経済その他の事情が変動いたしまして、食糧増産というようなことからいたしまして、強くその方面の需要を起りますし、これらの物資も連合国方針からいたしますと、当然これは食糧の増産に向けなければならないわけであります。これらを高く拂下げますと、やはり食糧も自然に高くなるといつたような観点からも、この価格の決定については、おそらく農林省等でこれをきめる際にそういう点も考えられたのだろうと思うのであります。さような見地からいたしまして、かりにそれが妥当でないといたしましても、そういうような事情がございますし、また実情等から申しますと、るる申し上げましたような事情がございますので、弁明といたしましては、そういう点も御考慮を願いたいという趣旨で、御説明を申し上げたのでございます。この点は、ひとつよろしく御承認をいただきたいと思うのでございます。私どもといたしましては四十九の説明通りでありまして、御承認をいただきたいと存じております。  それから五十一の宮城県の例でございますが、間接費なり直接費は、別に政府の方で公共団体にあらためて現金を支給したわけではないのであります。放出物件処理につきましては、政府から一文も公共団体に取扱い事務費が出ておらぬのであります。その関係からいたしまして、扱つた事務費をみてやる。財務的に国と地方との負担を区分いたしまして、国の仕事を扱つたのでありますので、そういうかかつた経費は幾分カバーするということで、この費用を認めたわけでございます。説明が足らん点はよろしく御了承願いたいと思います。
  54. 井之口政雄

    井之口委員 この農業会の場合は追徴が非常に困難だ、困難であることは認めます。しかし一般的にそういう建前をとりまして、困難であるから追徴しないということになつたならば、そのほかの特殊物件一切に通用する原則になつて来ると思うのであります。こういうことを全般的に押し広めて、もうとるのに困難であるから追徴はしないとか、こうした終戦直後のマル公がインフレでつり上げてあつたのだから、それ以下で売つたのはインフレ政策に反対しておつた、きわめてよろしい行政処理であつたのだからというような建前をとられます意思でありますか。
  55. 高田賢造

    高田説明員 私の申し上げましたのは、徴収困難なものについてはこれを免除するという趣旨ではございません。やはり徴収困難といたしましても、とるべきものは、悪質なものにつきましては場合によつては強制執行なり何なりしなければならぬと思うのでありまして、そういう事務的な手続につきましても、遺憾なきを期したいと思つておりますが、この案件自体につきましては、普通の一応の処理方針があるわけでありますが、一応の処理方針につきましては、個々の特殊な場合に例外措置を認めております。その例外措置の一つの例ではなかろりかと思うのであります。私どもといたしましては、一応御批難はいただいておるわけでございまして、御批難の点も一応は御趣旨がわかるのでありますが、本件の特殊事情はいろいろな事情もあるということを特に説明させていただいております。この点につきましては一応さように考えております。ただ全般の問題につきましては、御説明申し上げるまでもなく、徴収困難なものといたしましても、とるべきものは別の見地からとるということで現在努力いたしております。
  56. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば五四の群馬県の製靴統制組合に放出されておる皮革額でありますが、これを見ますと、小売業者からその代金はすでに回収済みであるのに、なお残高が九十万円からの不足になつております。こういうものを調べて行きますと、いろいろ情状酌量すべきものはありましよう。それはどんなものにでも、情状酌量すべき点はあるのであります。それであれも特殊例、これも特殊例ということになつて来ますと、全体の放出物資整理ということが結局ルーズになつて、整理できないという結果に立至るから、とるべきものはきちんととる。そして支拂い能力がないものはないように、法律で免除するなり何なり特別の方法をとるべきであつて、こうした便宜的の手段によつて、当時のマル公はあまりに高過ぎたのだから、マル公以下で売つたことはさしつかえないものだというふうな妥当づけや、合理化されるということには反対いたします。正しく特殊物作を査定いたし、場合によつてはいろいろな労働団体やいろんな市民の団体、引揚者の団体等に配付された無償のものありまするし、それが真にその人に渡つておるのかどうかが問題です。無償でさえも渡しておるのでありますから、いわんや有償で渡した適当なものも、安い値で拂下げて適当なものもございますでしようし、自動車のようなものを買受ける人たちがこれを三千円、四千円で買受けておるということは、言語道断な話であります。五十項目の、南部貨物自動車株式会社外十九名に譲渡した放出物件の中の貨物自動車四十一台でございますが、これなんか単価が約三千円になつておる。こんなのはどうです。やはり不当とお認めになりませんか、どうでございましよう。
  57. 高田賢造

    高田説明員 特殊物件の価格一般につきましては、方針につきましては先ほど申し上げましたように、経理関係のところで参考書に書いてございます。この五十番の青森県につきましては、これはただいまの御指摘では価格の点につきましてはどういう御意見でございますか必ずしもはつきり出ていないように存じますが、一般特殊物件の価格そのものといたしましては、当時こういう事情があつたろうと思うのでございます。終戦の直後におきましては、当然その後にわれわれが経験いたしましたような物価の騰貴が、必ずしも予想されなかつたのじやないかと思うのでございます。当然政府といたしましても、大蔵省等を通じて省令とかいろいろな点から、物価を押えることにつきまして努力しておつたようなこともございます。そこで当時の五十番の値段等につきましては、今日から見ますと非常におかしいように思われるのでございますが、当時の事情からいたしますと、やむを得なかつたというふうに考えられるのじやなかろうかと思うのであります。今日から見ますと物価が非常に開いておりますし、はなはだ不当に思われるのでございますが、当時の処置といたしましては一応了解できるように思います。
  58. 井之口政雄

    井之口委員 五十六番、これは愛知県で行われたことでありますが、被服額を愛知県の繊維製品株式会社に約一千万円売り渡しております。そこでこの一千万円の価格も、先ほどから会計検査院で査定されておりますいろいろな事情を参酌して考えてみますと、これはいつころのマル公であつたか、あるいはそのマル公の値段でさへも政府で査定してなかつたものではなかろうか、またそういうものの代金徴収でさえも非常に遅らして、とうとうこの会社閉鎖機関なつてしまうというときまでほつたらかしてあるというようなことが、ここに指摘されております。この繊維製品株式会社はだいぶもうけまして、政府は取扱手数料を平均二〇%の見込みで査定しておるのに、会社の売却代金の方から見ると四一%にもなつておるということが指摘されております。この辺も政府にやはりこれを厳重に追徴されるような意思はないですか。どうなつておりますか。
  59. 高田賢造

    高田説明員 五十六番の愛知県の例につきましては、検査院の御指摘通り、はなはだ私どもといたしましても遺憾に存じておるのでございます。しかしながらその代金の取立てにつきましては、閉鎖機関の清算事務の進捗に伴いまして、逐次これを収納してもらいつつでございます。
  60. 井之口政雄

    井之口委員 そういう場合に、この拂下げた単価の点ももう少し徹底的に調べまして、そうしてたとい法に触れないにいたしましても会計検査院から指摘されているような、こういうあまりに低きに過ぎたと思われるような価格を是正する意思はありませんか。
  61. 高田賢造

    高田説明員 本件につきましては調べてみますと、公定価格もなかつたように存じますが、ただ値段の点につきましては、具体的には検査院の御指摘では幾らか適当であるというようなことはありませんが、やや低きに過ぎたのではなかろうかというふうに書いておるのであります。本件は債権が全部閉鎖機関の清算事務の方に入りました関係で、取立て自体も必ずしも楽でなかろうと思うのであります。団体の、会の性質が、純然たる民間団体と申しますよりは、一面の統制機関でございまして、従つて閉鎖機関にも入りますし、今日におきましては代金を十分収納するということによつて、この案件を処置したいと思つております。
  62. 川端佳夫

    川端委員長代理 他に御質疑はありませんか。——それではこの程度で本日は散会いたしたいと思いますが、この第六国会最後の決算委員会を本日催したわけでございます。委員長にかわりまして、連日委員各位の御精励を感謝申し上げます。  本日はこれでもつて散会いたします。     午後零時五十三分散会