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山本政府委員 外国の
銀行がこの
貿易金融をやるという場合に、今日は御
承知の
通りスキャップによ
つて許された業務だけをや
つているのであります。まだ
貿易業務をや
つておりません。今後
貿易業務を
外国銀行がやる場合に、円をいかにして調達するかということが問題になるわけであります。
外国銀行が
国内で預金を取扱う。
日本側銀行と同じように預金を扱うということも、
外国銀行が円を調達する一つの道であります。また
日本銀行その他の
金融機関から借り入れるということも、一つの道でありましようが、今大体
考えられている
方法は、
外国の
銀行は預金をとるにいたしても、店舗をほとんど持たない。東京、大阪ぐらいに持
つているくらいでありますから、預金は問題にならない。
従つて外貨を持
つて来て、これを元手に円を調達するいうことが普通であり、かつ現在そう
考えられているのであります。その場合に
外国銀行が
外貨を持
つて来るとすると、その
外貨に対する金利は、たとえばニューヨークなら一分半ぐらい、あるいはロンドンなら一%以下というような安い金であります。これを
日本へ持
つて来て、一ドル三百六十円でかえると、
外国銀行は円ができるわけでありますが、これを三箇月後、あるいは二箇月後にドルを買いもどすという場合に、さきに
外貨を
日本側へ売つた場合と同じレート、すなわち三百六十円でやる場合は、つまり
外国銀行はニューヨークの金利を使い、ロンドンの金利を使う。つまり、ニューヨーク、ロンドン金利で
日本の円が調達できるということになるわけでありますが、そうしますと、
日本側の
銀行と対等にならない。
日本側銀行が円をどうして調達するかといえば、申すまでもなく預金が第一でありますし、その他足りない場合は
日本銀行から借り入れているわけであります。でありますから、
外国銀行が
外貨を元手にして円を調達する場合に、いわゆるチェンジ・オーバー、直売り先買いという
方法でやることが
考えられるのでありますが、この直売り先買い、すなわち今たとえば一万ドル持
つて来て、三百六十円で仕切れば、三百六十万円の資金かできます。これを三箇月後にまた
外国銀行は買いもどすわけでありますが、そのときには三百六十万円の円を渡しても、前の一万ドルを返さないで、もつと高いレートで売りもどす。その中に金利を織り込むことにな
つているわけであります。すなわち
外国銀行は、一ドルを單位として見ますと、今一ドル持
つて来て三百六十円の金を得る。三箇月後にはたとえば三百六十三円、
外国銀行が
日本側へ納めなければ、一ドルを取返せない。その中には金利というものを織り込むわけであります。そこで
日本側の金利が何であるかということは、いろいろな金利がありまして、むずかしい問題であります。
銀行の貸付金利もあれば、あるいは
銀行が預金をとる金利もあります。また
日本銀行から借り入れる場合もあります。いろいろな金利がありまして、
日本側の金利の基準は一体何ぞやということが非常にむずかしい問題でありますが、今日内外の金利があまりにも開いておりますので、
日本側の貸付金利、すなわち一割近いような金利をそこに盛り込むということは妥当ではない。かつまた
日本が国際情勢に
参加して行く上には、物価の点、あらゆる点で、なるべく国際的
さや寄せしなくてはならぬということが問題になりますので、その場合にもなるべく低い金利ということを
考え、そうしてひいては
日本の金利一般をそういうふうに誘導して行くというようにしなくてはならぬと思うのであります。すなわちこれを簡單に要約しますと、
外国銀行はニューヨーク、ロンドンの金利では仕事をしないのであります。先ほど申しました直売り先買いという操作の中に、
日本側の金利か織り込まれるわけであります。
日本側の金利と
外国の金利との差額を、その直売りのときの
相場と先買いのときの
相場に織り込むことになりますから、
外国の
銀行がニューヨークあるいはロンドンの金利で仕事をする。ないしは外商に対して
日本の
銀行が貸す場合は、特別飛び離れた安い金利で貸すということはないようにして行く方針でありまして、これはもう当然であります。でありますから金利の問題につきましては、先ほど
お尋ねのような
外国側
銀行が、ロンドン、ニューヨークの金利で仕事をする。
日本側銀行は全然これと競争できないというようなことはないものと
考えております。