○
木内政府委員 それでは私から
外国為替及び
外国貿易事管理法案について、概要を
説明させていただきます。
この
法律案は、
ごらんの
通り九章並びに
附則からな
つておりまして、
条文の数にして七十三でありますが、大体の
仕組みを申し上げますと、最初の
総則のところに全体的の
規定を設けまして、第二章に
外国為替管理の主たるつかみどころ、よりどころを
外国為替銀行に求めます
関係上、
外国為替銀行のことを第二章にあげました。第三章には、
外国為替管理を行うについて、それがこの
法律の特徴でありますが、
外国為替予算をあらかじめきめて、その
予算の
範囲内で
仕事をして行くという
体裁になりますので、これが
為替管理の
眼目になる
関係上、第三章に
外国為替予算のことを掲げております。次に第四章は、
為替管理をしますのは、申すまでもなくともすれば乏しいと思われる
日本の
外貨資金を最も
効率よく使うことであります。そのためには一応これを
政府のところに収める必要がありますので、それを
集中と名づけて、その
集中をどういうふうにしてやるかということを、第四章に書きました。次に第五章は、これを
集中する前に、
集中し得べき
外貨たるべきものが逃げて
しまつては困るので、逃げないように網を張るというのが第五章の
制限及び禁止であります。それによ
つて一応網を張
つて集中すべきものを
集中し、それを
外貨予算によ
つて配分し、
効率よく使う、こういう
建前にな
つております。次に第六章でありますが、
お金の方の面は大体今までのことでよいのでありますが、申すまでもなく
外国貿易の
管理と
為替管理とは
一つの
事うらはらとでも申しますか、
貿易の
法律と
為替の
法律が別にな
つておることは非常にまずいことでありますので、先ほどの
提案理由にもありました
通り、総合的に一括した
法律にしようというのが
眼目でありますので、
お金のことを
言つただけでは足りない
部分を、第六章に
外国貿易という題のもとに、一括して
規定してあります。それによりまして大体の
仕組みも、取締るべき、実体も尽きるのでありますが、
政府の役人のすること必ずしも
間違つたことをしないとも限らない。そこで第七章に不服を申し立てることを
国民の方に認め、その
不服申立に対して
決定があつた場合、さらにその
決定が不服である場合には、
訴訟を起すことも認めたのであります。それによ
つて一応は完結するのでありますが、さらに雑則によ
つて漏れたもの若干を
規定いたしました。次に罰則、これは当然なことであります。次に
附則、これには
実施に関することが書いてございます。
相当長い
法律になりましたので、逐条一々申し上げるよりは、一応おもな
規定だけについて、あらましのことだけを申し上げた方がいいかと思いますので、そのつもりで御
説明申し上げます。
第一章
総則でありますが、第一条に書きました
目的については、書いてありますこと以外に別に
説明を加える必要はないと思います。
第二条の再検討と名づけましたものは、先ほどの
提案理由にもありました
通り、
為替管理というのは
国民の
行為を
制限する
行為でありますから、なるべくない方がいいと
考えるのであります。しかしやむを得ずやるとすれば、一旦きめた
統制は始めるとますます大きくなるのが常でありますから、これをその
統制をなす必要の減少に
伴つて、逐次
緩和または廃止する
目的をも
つて再検討するのだということを
法律にうたいまして、逐次
緩和して行きたいという意図を明らかにしました。
第三条、
閣僚審議、これは先ほど申し上げました
外国為替予算というものを
決定する
組織であります。
次に第四条、
外国為替管理委員会、別に定めるところにより
設置すると書いてございますが、これは現に
為替管理委員会は成立しておるようでありますが、この
法律の施行に関して若干の
任務を担当いたしますので
——現在の私どもの
委員会の
設置法は、例の
ポツダム政令でできておるのでありますが、それは今の
占領下の
特殊事情のものでありますから、将来に備えて、これは普通の
法律でできておるのだということを
管理法にうたい込んでおく方が、この
法律を読むであろう
日本と
取引する
外国人から見まして、非常にはつきりするというので、
日本内部から見ればあえてうたわなくてもいいという気持がするのでありますが、その考慮からこの一条が設けられたのであります。
次に
適用範囲であります。これはその次の
定義のところで申しますように、
居住者、非
居住者という別があ
つて、
日本人、
外国人ということの区別なく
適用するという
建前をと
つておるのであります。ここに書いてあります
通り、「
本邦内に主たる
事務所を有する
法人の
代表者、代理人、
使用人その他の
従業者が、
外国においてその
法人の
財産又は
業務についてした
行為にも
適用する。」というので、
適用範囲、この
建前からいうとはずれるかもしれぬ、もしくはその疑いを持つような場合を防ぐために、第五条は設けられてあります。
次に第六条でありますが、これは
定義でありまして、
法律的に見ると非常に重要な意義を持つのであります。「
本邦」、「
外国」という
言葉が出ますので、その
定義をいたしました。「
本邦通貨」」
外国通貨」、これも
定義が書かれてあります。次の「
居住者」「非
居住者」というのは、これは
外国人であ
つても、
本邦に
住所または
居所を有するものというのを
居住者として簡単に言えば
為替管理法に関しては
日本人並の扱いをする、こういう
考えであります。次は「
支払手段」「
対外支払手段」「
内国支払手段」、こう三つを続けてお読み願いたいのですが、要するに
銀行券、
政府紙幣、
小額紙幣、硬貨というものは、いわゆる
お金であります。そのほか小切手、
為替手形、
郵便為替、
信用状その他の
支払い指図——為替手形は申すまでもなく
支払い指図でありますが、それらを一括して
支払い手段としたのであります。これは法文に一々断わらなくても、
便宜お
考えくだす
つていいと思います。「
対外支払手段」は、そのうちで
外貨をも
つて表示されておるか、あるいは
外国において使われるもの、「
内国」はその以外のもの、こういうわけであります。「
貴金属」は
説明を要しないと思います。「
証券」もあえて
説明を要しませんが、ただ「登録されていると否とを問わず」というようなことを断わ
つて、
範囲を明確にしたのであります。公債、株式といつたようなもの、それをただの「
証券」と「
外貨証券」とを区別しました。「
債権」とは、要するに今まで述べましたこと以外の原因によ
つて生ずる
金銭債権というものを拾うために、この
定義を、
あとの方の
条文ではこれらを使いわけて、漏れなく
所要の
目的を達するように仕組んであります。「
外貨債権」とは
外国において、もしくは
外貨をも
つて支払いを受けることができる
債権であります。「
貨物」、これは読んで字のごとしと思います。
あと漏れましたものが「
財産」、こうなるのであります。そこでこれらの
定義は、いわば
法律の
テクニツクを書く
便宜からのものでありますが、その中で、
日本人、
外国人という
言葉のかわりに、
居住者、非
居住者という
言葉を使いました
関係上、
外国人が
日本に来ており、どれくらいお
つたら居住者になるのかということに問題があるのであります。
住所もしくは
居所を有するといえば、それで明瞭なようなものの、
疑義が生する場合もあるかと思いまして、
疑義が明白でない場合は
大蔵大臣が定める、こうな
つております。これが
定義であります。
その次に「
外国為替相場」であります。これは
為替管理の中核をなすものでありますから
総則に掲げたのでありますが、
基準相場というものは、今の三百六十円で行
つておるものであります。それは単一であ
つて複数為替といこ
制度も世界にあるのでありますが、
複数為替制度はとらない。つまり
単一為替の
制度をとるのだという
考えをうたいました。それに付随して「正しい
裁定外国為替相場」と申しますのは、現在今度の
ポンドの
相場が立
つております一千八円、あれが
裁定相場で、正しいと申しますのは、一種の最近の世界的な術語になりつつあるのだそうでありますが、例の
国際通貨基金に登録してあるその国の
相場というものを使
つて算出したのが正しい
裁定相場、つまり
国際通貨基金に登録してあります
ポンドの
相場というものが、ニドル八十セントですか、そういうもので三百六十円というものを裁定しますと一千八円と出て、それが正しい
裁定相場で、それでなければならぬというわけであります。ところが
為替相場はそればかりでないので、通常の
商士に使うのがある。それを
売買相場とここでは言
つておりますが、それらのものは
為替管理委員会において、
大蔵大臣の
承認を得てきめる。つまりほんとうの
公定相場というものは
基準相場だけである。その地のものは、あるいは公定するかしないか、それらのものはこまかい
運用になりまして、
外国為替管理委員会にその
運用はまかされております。しかしそれは、次の五でありますが、「直物」においては、百分の一以上の
開きがあ
つてはいけないというのです。まかされた
部分というものが、あまり大きした
開きをつく
つていけないというのが、
為替相場に対す
規定の立て方に、な
つております。
次の第八条、「
通貨の指定」と申しますのは、現在
外国にわたる
取引は、
ポンドもくはドルでなければいかぬということにな
つておりますが、これはやはり当分の間、あまり安定していない
通貨をも
つて、
取引することは避くべきものと
考えますので、この
規定があります。
次は「
取引の
非常停止」と名づけたのでありますが、これはたとえばこの間の
ポンドの切下げといつたようなことがありました場合、何かこちらでしばらく相談しなければならぬということも
考えられます。各国ともやる例でありますが、たとえば三日間
為替取引を停止して、その間
所要の
政令を出す
準備を整えまして、また
取引を再開するという必要が
考えられますので、それが
総則の最後にうた
つてあります。
以上が
総則でありますが、大体これを
基礎として
為替管理は運営できるのではないかと思われます。
第二章「
外国為替銀行及び
両替商」でありますが、
為替銀行については、
大蔵大臣の
認可を受けなければならない。この
認可は
国際信用を傷つけないような実力のある
銀行だけに与える。これは当面非常に必要なことと
考えられるのでありますが、そのことをうたうのが第十条で、
あと十一条は、それほど
中心規定ではありません。
中心規定は十二条へ参りまして、そういうふうに
認可を受けた
為替銀行は、その
銀行が顧客と
取引をする。
輸入商なら
輸入商を相手に
取引をする場合に、
所要の
手続を
輸入商がふんでおるということを確認するという
義務を課した。大体すべての
取引は、
為替銀行を通じろという
規定にな
つておる。通ずることにすれば、
為替銀行が確認してくれる。確認してくれればそれだけが大体書面のふむべき
手続である。あまり一々官庁の方をまわらないでも済むようなことになり得るだろうという
建前が、ここから出て来ることになります。
従つて為替銀行には「制裁」を課す必要があるということになります。
「
両替商」というりのは、
為替銀行だけでも不便な場合につくろものでありますが、
説明を省略いたします。
次は「
外国為替予算」の章でありますが、この
中心規定は第二十条でありまして、
外国為替予算に計上された
資金の
使用を認める
権限を有する
政府機関、すなわち
輸入なら
輸入を許すのが
通産省で、あるならば、
通産省がつまりその
権限の
行使所において、
予算の
範囲を守らなければならないというのがこの
規定であります。第十六条、十七条、十八条、それらはこの
予算をつくるについての
注意規定と申しますか、そういう次第であります。
次に第四章でありますが、これはさつき申しました一応
政府の手に、
外貨と名づくものを
集中するというのが第二十一条であります。これはたいへんむずかしい文章にな
つておりますが、二十一条は「
居住者たると非
居住者たるとを問わず
本邦にある者」、それに対しては、
本邦にある
対外支払い手段だけが、
所要の
義務が課せられる。
第二十二条は
居住者——大体
日本人でありますが、
日本人はというので、
従つて、
所要の
支払い手段を得たならば、
政府売らなければならぬというようなことを命ぜられる
範囲が広くな
つておりまして、所在のいかんを問わず、
対外支払手段全部、
貴金属、
外貨債権、
外貨証券というものが加わ
つておるわけであります。
次の二十三条の非
居住者ですが、これは大分こまかいことを
考え、英国の例などを
考えて、
規定してある一切のものが漏れないようにというためであります。こまかい
テクニツクに入りますから、現在の
説明では省略いたします。
二十四条は、
銀行に関しては
——普通の人は
対外支払手段を取得したら、それを
政府に売らなければたらないというのでありますが、
銀行は
仕事をする必要上、若干
資金を持つということがありますので、
銀行については特例を定めなければならないということになるだろうと思います。それが二十四条にうた
つてあります。
二十五条は、二十二条が非常にきびしくできておりますので、その
緩和として、
本邦人以外の
居住者、すなわち
日本に長く住んでいるから、
外国人ではあるけれども、この
法律では
日本人並に扱われるという者が、たとえば
外貨債権を荷
つている、あるいは
外貨証券を持
つている、あるいはアメリカのどこかの株を持
つているという場合に、それを
政府に売らされては、あまりにきびし過ぎ、不適当でありますから、
日本人以外の者で、
居住者であるがために二十二条の
適用を受ける場合には、この
法律の
適用を受ける
取引、すなわち
外国貿易というようなものによ
つて新たに取得した
財産だけが、
支払い手段だけが
適用を受けるという
緩和規定であります。
第二十六条は、先の
定義で
ごらんになります
債権というものは、先に列挙したものならざる
金銭債権なのですが、それらのものが漏れないように、さらにこの
規定が従来のものにつけ加えてあるわけであります。これによ
つて政府は必要と思うならば、漏れなく
外貨手段を
集中し得るという
基礎が与えられております。
次に第五章に入りまして、第五章の
中心規定は二十七条でありますが、これはその列挙の一を
ごらんになれば一番はつきりしております。「
外国へ向けた
支払」というものは、
政令でも
つて定める場合を除いては、こういう
行為はしてはならないということで、つまりこれは逃げ出さないように網をここできちんときめてあるわけであります。必要なものは
政令できめるということになります。その網の立て方が、なお詳しくあの場合、この場合と
考えて行ますすといろいろありますので、二十八条、二十九条というものが、さらに完璧を期するために掲げてあります。第五章の中心は今の
支払いでありまして、その中心は二十七条でありますが、さらに
債権、
証券、不動産その他、その外は題に書いてあります役務であります。これらのものについても、
日本人は許可がなければ
外国にある不動産を持
つてはいけないというふうに一応しておきませんと、
外貨が逃げ出す心配がありますので、それらにわた
つて一応これも網が張られてあるわけであります。これをも
つて大体五章の
説明といたしまして第六章に入ります。
第六章は
貿易でありますから、
輸出と
輸入のことが
規定してございますが、
輸出に関しては第四十七条において、
最小限度の
制限のもとに、
輸出は大体原則としては自由と書いてもいいのであります。「最少限度の
制限」と
法律的に表現してあります。これが
輸出に対する心構えであります。しかし若干のものはやはり
政府が
承認しないと、うまく行かないということもあります。ことに最近は国際的には国際
貿易協定、
支払い協定の世の中になりまして、おのおのそれらの協定つを持
つておりますから、それらの協定にこちらが調子を合せるためにも、若干の
制限を課する必要があり、それらをするために
承認条項が掲げてあります。
四十九条はそれとはちよつと趣がかわりまして、
輸出に関しては
輸出は自由にしてもいいのですが、その代金が必ず取立てられる。それがもし
集中さるべきものならば
集中機構に入
つて来るということが非常に大事でありまして、代金の取立てがもしなされなかつたならば、いわゆる資本逃避というものが可能になりますので、四十九条を設けまして、代金の
支払いが
政令で定める方法によ
つて行われているという証明を、必ず求めることにな
つております。
五十条は、主として
日本がいわゆるダンピングと申しますか、不正な競争をしないということを、
日本側でも考慮しているという、対外向きの
規定であります。
五十一条の「船積の非常差止」と申しますのは、これは船積みだけであります。前に九条に
取引の
非常停止というのがありましたが、この
非常停止は
輸出に関して、さらに船積みに対してもうたう必要ありと
考えて、五十一条が設けられてあります。
第五十二条、これは
輸入でありますが、
輸入は大体において先ほども申し上げました
外国為替予算で
輸入品目が指定されて、金額が予定され、その
範囲で行われるのでありますが、それを確保するために
承認に乗せる必要がある。
輸入は許可と言
つてもいいと思いますが、許可もしくは
承認というものに乗るということが、これが
輸入の
中心規定であります。
五十三条、五十四条は飛ばしまして、五十五条でありますが、これはいささか珍しい
規定で、さらに
通産省の方から御
説明があると思いますが、今度の
輸入には、世間でローガン構想と唱えられているものを採用するために、この
規定の必要があるのでありますが、簡単に申しますと、
予算で、あるAという商品はたとえば百万ドル
輸入してもいいということが、三月なら三月の官に
外国為替予算できまりますと、
輸入権をだれに与えるかということが、許可制の
眼目であります。その許可制において、一々許可申請書を出して
審査して行くということが、非常に
手続のやかましいものになりまして、
取引を阻害するということで、ローガン氏の思いつきと思いますが、思い切
つて早い者勝ちで、早く申請した者にや
つてしまう構想が入つたのでおります。これはドイツで非常に成功を收めているという話でありますが、それをやるためには、何だか知らないが、ただ許可証だけをと
つておくという者が殺倒しては困りますので、確かに
輸入を実行するのだという保証を求めて、まじめなほんとうの
輸入者だけに、早い者勝ちで
輸入権を与えるということにしなければならないということであリますので、そのため
輸入の実行を保証するための一種の保証金の提供、これは従来の
為替関係の思想に全然なかつた思想でありますが、非常にけつこうな思いつきである。現にドイツで成功も收めておりますので、
日本でもこれも採用するとすれば、この
規定が必要でありますので、この
規定が設けて、あります。それが大体
輸出入であります。つまり
輸入に関してはわずか二箇条しかないのであります。これで
貿易の仕制
管理ということはやり得るようになると
考えられます。
次は「不服の
申立」でありますが、省略いたします。
次は雑則ですが、雑多のものが並べてありますが、公正
取引委員会の
権限というものは、この
法律によ
つて別に排除されるものではないという、これは解釈
規定であります。それが入
つております。
政府機関の
行為は、一々民間並の
手続きをふまなくてもいいということが、六十六条であります。
六十七条は報告、報告は相当いろいろ統計にも必要でありますので、必要な報告がとれるようにこの条項が入
つております。なお
銀行及び
両替商は、業者が正しく
手続をふんで来たということを、主として
銀行の確認
義務にゆだねております
関係上、
銀行に対しては立ち入
つてまで検査する必要があると
考えられますので、この条項があります。
従つて次の条項は、それらの
銀行もしくは
日本銀行に、
政府事務の部を委任する必要を認めまして、六十九条がございます。
あとは罰則でありますが、罰則は三箇条、これは事の重い、軽いに応じまして、三年以下の懲役もしくは三十万円、一年以下もしくは十万円、六箇月以下もしくは五万円の三段階にわけて
規定してございます。
七十三条は、これはいづれの
法律にもございます
法人の
代表者、
法人そのもの、個人も両方が罰則にかかるという
規定でざいます。
これで大体
説明を終りますが、次に
附則に、実はいささか私がまれではないかと
考えることがあります。「この
法律の施行期日は、各
規定につき、
政令で定める。」と書いてあるでございます。これはつまりこういうことが予想されておるのであります。この
規定は先ほどの
提案理由にもありました
通り、
輸出に関しては十二月一日をも
つて実施したいという強い念願を持
つておるのでありますが、これはマツカーサー元帥からも、
輸出は十二月一日にもつと自由なものにしろ、
輸入は一月一日をも
つて今の
政府貿易を
民間貿易に移せという命令が出ておりますので、ぜひともそれに間に合いたいと
考えるのであります。それで
輸出に関してはぜひとも必要な条項を
実施しなければならない。先ほども
説明いたしました
集中及び
制限禁止の条項は、この
法律が漏れなく、つまり完璧を期して非常にきびしいものにな
つております関系上、
実施に関してはなかなかデリケートな問題がもります。御承知の
通り今の
日本は、
為替管理の見地から見れば、きわめて特殊なものでございまして、占領軍の
占領下にありますから、
司令部の人間その他商売をしておる人たちも、みな
司令部の許可をも
つてしておるのであります。かつそれが
日本国内においてドルの
取引が相当たくさんございますので、それらのものは逐次彼らの納得を得つつ、それが将来の
日本の対外
経済の発展にぐあいよく移りかわ
つて行くようにしたい。彼らはもちろんいつかは
日本の
為替管理法に服さなければならないのでありますが、いきなりこの
管理法を
実施して、国内でドルの
取引をしておるものを
日本の
管理下に移すということは、
司令部のライセンスでしておるのですから、そのライセンスを直す必要もありますし、なかなか
手続的にもむずかしいことであり、実態的にも非常に慎重を期する必要があります。これは
司令部とともどもにしばらく研究をしようということであります。もつとも研究と申しましても、一月一日には
輸入をやりたいのでありますし、
輸入というものはほとんど
為替管理の大
部分でございますから、それまでにほとんど全部のものを
実施してしまう予定ではおります。とにかく十二月一日にはこれをいきなり
実施しては、かえ
つて混乱が起る。それは第四章及び第五章でございますが、それ関連して
総則の場合に
基準相場三百六十円、千八円という、あの
基準相場のほかに、
売買相場をきめるということを申しましたが、この
相場についても若干
手続上の問題があります。あるいはこの
規定をも四章、五章の中に含めて、第六章の
貿易に関しては、
輸入には五十二条と五十五条でしたか、二つあると申しましたが、その二つ、それらのものは十二月一日には
実施を少し待とう、
準備が整つた場合にそれらの
規定を
実施しよう、これが賢明なるやり方であると
考えますので、
附則の第一に「施行期日は、各
規定につき
政令で定める。」と
規定してあります。そうしますと施行されないものがありますので、従来の法令がそのまま生きて来ないと困ります。そこで第二項に殺すべき法令が掲げてありますが、それを第四項で打返しまして、「第二項に掲げる法令の廃止に関し必要な事項については、
政令で定める。」ということにいたしまして、そこの保障をなす項を持
つております。
たいへんずさんでありましたが、一応この
法律の大体の
建前、仕組というものを
説明させていただきました。