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1949-11-24 第6回国会 衆議院 経済安定委員会大蔵委員会通商産業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十一月二十四日(木曜日)     午後三時十二分開議  出席委員   経済安定委員会    委員長 小野瀬忠兵衞君    理事 志田 義信君 理事 成田 知巳君    理事 笹山茂太郎君 理事 米原  昶君    理事 高倉 定助君       福井  勇君    細田 榮藏君       田中不破三君    羽田野次郎君       岡田 春夫君    浦口 鉄男君   大蔵委員会    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 荒木萬壽夫君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       高間 松吉君    田中 啓一君       塚田十一郎君    西村 直己君       三宅 則義君    田中織之進君       宮腰 喜助君    深澤 義守君       中野 四郎君   通商産業委員会    理事 有田 二郎君 理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君    理事 川上 貫一君 理事 永井 要造君    理事 山手 滿男君       阿左美廣治君    岩川 與助君       關内 正一君    高木吉之助君       中村 幸八君    福田  一君       前田 正男君    加藤 鐐造君       坂本 泰良君    高橋清治郎君       田代 文久君    圖司 安正君       河野 金昇君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木 孝義君  出席政府委員         外国為替管理委         員会委員長   木内 信胤君         外国為替管理委         員       奥村竹之助君         (法制意見第二         局長)         法務府事務官  林  修三君         (主計局長)         大蔵事務官   河野 一之君         (理財局長)         大蔵事務官   伊原  隆君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         (通商振興局長)         通商産業事務官 岡部 邦生君         経済安定政務次         官       西村 久之君         経済安定本部副         長官      山本 米治君         物価政務次官  坂田 英一君  委員外出席者         外国為替管理委         員      大久保太三郎君         通商産業事務官 武内 瀧次君         経済安定事務官 小島 慶三君         経済安定委員会         専門員     圓地與四松君         経済安定委員会         専門員     菅田清治郎君         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         通商産業委員会         専門員     大石 主計君         通商産業委員会         専門員     越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  外国為替及び外国貿易管理法案内閣提出第四  三号)  外国為替管理委員会設置法案内閣提出第四四  号)     —————————————
  2. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 これより経済安定委員会大蔵委員会通商産業委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案の付託を受けておる委員会委員長職務を行つておりますから、僣越でありますが、本連合審査会委員長職務を行います。  ではただいまから経済安定委員会に付託されておりまする内閣提出百第四三号、外国為替及び外国貿易管理法案内閣提出第四四号、外国為替管理委員会設置法案の両法案一括議題として審査を行います。  まず外国為替及び外国貿易管理法案について、国務大臣青木孝義君より提案理由説明を聴取することにいたします。
  3. 青木孝義

    青木国務大臣 ただいま上程になりました外国為替及び外国貿易管理法案提案理由につきまして、御説明申し上げます。  わが国経済は、外国貿易を初め、対外取引に依存するところが大きいのでありますが、最近の国内経済の安定及び国際経済の動向よりしまして、国際経済との接触面がますます深まり、わが国国際経済への参加体をすみやかに確立することが、必要になつて参つたのであります。従つてこの際、従来各部門にわかれておつた対外取引に関する諸法規を整備統合して、一つ基本法をつくり、これによつて輸出貿易を原則として自由とし、また輸入民間貿易に切りかえる等、貿易の伸張をはかるとともに、国際慣行に合致した外国為替管理制度を確立することが必要となつたのであります。これがこの法案を提案する趣旨であります。  この法案要旨について申しますと、一、内閣閣僚審議会設置し、外国為替予算の作成に当るとともに、外貨資金使用はこの外国為替予算に基いて許されるものとし、すべての対外取引は、大蔵大臣の指定する基準外国為替相場及び通貨によるものとすること。二、外国為替銀行等は、大蔵大臣認可制とし、また為替銀行外国にある銀行業務上の契約をするには、外国為替管理委員会承認を受けなければならないこと。三、政府は必面に応じて外国為替貴金属等所有者に対し、それらを外国為替特別会計日本銀行外国為替銀行等売却等、その集中を命じ、または対外債権の回収を命ずることができること。四、外国に対する支払い外貨債権外貨証券等取得処分通貨貴金属証券等輸出入につき、必要に応じ政府の許可を受ける義務を課することができること。五、貨物輸出については、統制最小限度にとどめ、特別の必要ある場合に限り、範囲をきめて通商産業大臣承認を受けることを要すること。六、貨物輸入については、承認を受けることを要する旨を定め、また輸入しようとする者に対し、担保の提供義務を課することができること。七、関係業者権利保護の見地から、政府処分に対し、不服の申立及び訴訟の道を開いていること。このようにこの法律適用となる対象は、外国為替及び外国貿易に関する国際取引一般でありまして、その範囲はすこぶる広汎かつ包括的なものでありますが、国際収支の改善につれて、これら制限規定も逐次緩和して行く方針で、その旨明記してありますし、また国際経済情勢の変化に適宜即応せしめるため、具体的な手続等については政令に委譲し、その弾力性のある効果的な運用をはかるつもりであります。  以上外国為替及び外国貿易管理法案提案理由要旨につきまして御説明申し上げましたのでありますが、この法律実施運用により外国貿易を初め、国際取引が大いに促進され、わが国経済の発展に寄与するところ大なるものと期待しております。この法案について御賛成を得ましたならば、輸出に関する新手続は十二月一日より、輸入に関する新手続は来年一月一日より実施したい考えであります。何とぞ御賛成をお願いする次第であります。     —————————————
  4. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 引続き外国為替管理委員会設置法案について、青木国務大臣から提案理由説明を聴取することにいたします。
  5. 青木孝義

    青木国務大臣 ただいま上程になりました外国為替管理委員会設置法について御説明いたします。  外国為替管理委員会は、本年二月二日総司令部覚書第一九六八号をもつて設置を指令いたされましたので、早急に準備を整えまして、三月十六日政令第五十三号、外国為替管理委員会令をもちまして設置いたしました。その主たる任務は、外国為替及び貿易取引手続総合的調整外国為替及び貿易に関し、関係行政機関権限を明確化すること、及び政府の支配する為替資金管理運営すること等でありましたが、第一に外国為替及び外国貿易管理法第四条の規定によりまして、委員会根拠法規法律による必要が生じました。第二に、今次国会に上程いたされておりまする外国為替及び外国貿易管理法規定しております為替管理の構想に沿うように、この機会に所要訂正を加える必要があります。第三に、委員会は十一月一日より総司令部商業勘定記帳事務を開始いたしておりますが、将来商業勘定が総司令部から移管される場合も予想いたされますので、これに備えて所要訂正をする必要を生じました。  本設置法は二十二箇条及び附則よりなつておりますが、その大要を申し上げますと、第一に体裁につきましては、各省共通設置法にならいました。第二に、所掌事務権限をそれぞれ第三条と第四条にわけまして各号の規定を一層具体的かつ明瞭にいたしました。第三に、委員会組織、議事、委員長及び委員の任命、任期等につきましては、第五条から第十一条まで、委員の数を一名追加いたしましたほか、ほぼ政令規定に変更を加えずに規定いたしました。第四に、外国為替管理委員会規則を制定し得るようにしたこと、事務局管理部関西事務所を附置しましたこと、及び立入り検査の規定外国為替及び外国貿易管理法に譲りましたこと等が、現行の政令第五十三号と相違しております主要な点であります。  以上が提案理由大要であります。何とぞ慎重御審議の上御採択あらんことをお願いいたします。
  6. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 この際お諮りいたします。委員各位審査の便に資するために、政府委員から両法案内容について補足的な説明を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 御異議なしと認めましてさようとりはからいます。それでは政府委員から両法案内容について御説明願います。
  8. 木内信胤

    木内政府委員 それでは私から外国為替及び外国貿易事管理法案について、概要を説明させていただきます。  この法律案は、ごらん通り九章並びに附則からなつておりまして、条文の数にして七十三でありますが、大体の仕組みを申し上げますと、最初の総則のところに全体的の規定を設けまして、第二章に外国為替管理の主たるつかみどころ、よりどころを外国為替銀行に求めます関係上、外国為替銀行のことを第二章にあげました。第三章には、外国為替管理を行うについて、それがこの法律の特徴でありますが、外国為替予算をあらかじめきめて、その予算範囲内で仕事をして行くという体裁になりますので、これが為替管理眼目になる関係上、第三章に外国為替予算のことを掲げております。次に第四章は、為替管理をしますのは、申すまでもなくともすれば乏しいと思われる日本外貨資金を最も効率よく使うことであります。そのためには一応これを政府のところに収める必要がありますので、それを集中と名づけて、その集中をどういうふうにしてやるかということを、第四章に書きました。次に第五章は、これを集中する前に、集中し得べき外貨たるべきものが逃げてしまつては困るので、逃げないように網を張るというのが第五章の制限及び禁止であります。それによつて一応網を張つて集中すべきものを集中し、それを外貨予算によつて配分し、効率よく使う、こういう建前になつております。次に第六章でありますが、お金の方の面は大体今までのことでよいのでありますが、申すまでもなく外国貿易管理為替管理とは一つ事うらはらとでも申しますか、貿易法律為替法律が別になつておることは非常にまずいことでありますので、先ほどの提案理由にもありました通り、総合的に一括した法律にしようというのが眼目でありますので、お金のことを言つただけでは足りない部分を、第六章に外国貿易という題のもとに、一括して規定してあります。それによりまして大体の仕組みも、取締るべき、実体も尽きるのでありますが、政府の役人のすること必ずしも間違つたことをしないとも限らない。そこで第七章に不服を申し立てることを国民の方に認め、その不服申立に対して決定があつた場合、さらにその決定が不服である場合には、訴訟を起すことも認めたのであります。それによつて一応は完結するのでありますが、さらに雑則によつて漏れたもの若干を規定いたしました。次に罰則、これは当然なことであります。次に附則、これには実施に関することが書いてございます。  相当長い法律になりましたので、逐条一々申し上げるよりは、一応おもな規定だけについて、あらましのことだけを申し上げた方がいいかと思いますので、そのつもりで御説明申し上げます。  第一章総則でありますが、第一条に書きました目的については、書いてありますこと以外に別に説明を加える必要はないと思います。  第二条の再検討と名づけましたものは、先ほどの提案理由にもありました通り為替管理というのは国民行為制限する行為でありますから、なるべくない方がいいと考えるのであります。しかしやむを得ずやるとすれば、一旦きめた統制は始めるとますます大きくなるのが常でありますから、これをその統制をなす必要の減少に伴つて、逐次緩和または廃止する目的をもつて再検討するのだということを法律にうたいまして、逐次緩和して行きたいという意図を明らかにしました。  第三条、閣僚審議、これは先ほど申し上げました外国為替予算というものを決定する組織であります。  次に第四条、外国為替管理委員会、別に定めるところにより設置すると書いてございますが、これは現に為替管理委員会は成立しておるようでありますが、この法律の施行に関して若干の任務を担当いたしますので——現在の私どもの委員会設置法は、例のポツダム政令でできておるのでありますが、それは今の占領下特殊事情のものでありますから、将来に備えて、これは普通の法律でできておるのだということを管理法にうたい込んでおく方が、この法律を読むであろう日本取引する外国人から見まして、非常にはつきりするというので、日本内部から見ればあえてうたわなくてもいいという気持がするのでありますが、その考慮からこの一条が設けられたのであります。  次に適用範囲であります。これはその次の定義のところで申しますように、居住者、非居住者という別があつて日本人外国人ということの区別なく適用するという建前をとつておるのであります。ここに書いてあります通り、「本邦内に主たる事務所を有する法人代表者、代理人、使用人その他の従業者が、外国においてその法人財産又は業務についてした行為にも適用する。」というので、適用範囲、この建前からいうとはずれるかもしれぬ、もしくはその疑いを持つような場合を防ぐために、第五条は設けられてあります。  次に第六条でありますが、これは定義でありまして、法律的に見ると非常に重要な意義を持つのであります。「本邦」、「外国」という言葉が出ますので、その定義をいたしました。「本邦通貨」」外国通貨」、これも定義が書かれてあります。次の「居住者」「非居住者」というのは、これは外国人であつても、本邦住所または居所を有するものというのを居住者として簡単に言えば為替管理法に関しては日本人並の扱いをする、こういう考えであります。次は「支払手段」「対外支払手段」「内国支払手段」、こう三つを続けてお読み願いたいのですが、要するに銀行券政府紙幣小額紙幣、硬貨というものは、いわゆるお金であります。そのほか小切手、為替手形郵便為替信用状その他の支払い指図——為替手形は申すまでもなく支払い指図でありますが、それらを一括して支払い手段としたのであります。これは法文に一々断わらなくても、便宜考えくだすつていいと思います。「対外支払手段」は、そのうちで外貨をもつて表示されておるか、あるいは外国において使われるもの、「内国」はその以外のもの、こういうわけであります。「貴金属」は説明を要しないと思います。「証券」もあえて説明を要しませんが、ただ「登録されていると否とを問わず」というようなことを断わつて範囲を明確にしたのであります。公債、株式といつたようなもの、それをただの「証券」と「外貨証券」とを区別しました。「債権」とは、要するに今まで述べましたこと以外の原因によつて生ずる金銭債権というものを拾うために、この定義を、あとの方の条文ではこれらを使いわけて、漏れなく所要目的を達するように仕組んであります。「外貨債権」とは外国において、もしくは外貨をもつて支払いを受けることができる債権であります。「貨物」、これは読んで字のごとしと思います。あと漏れましたものが「財産」、こうなるのであります。そこでこれらの定義は、いわば法律テクニツクを書く便宜からのものでありますが、その中で、日本人外国人という言葉のかわりに、居住者、非居住者という言葉を使いました関係上、外国人日本に来ており、どれくらいおつたら居住者になるのかということに問題があるのであります。住所もしくは居所を有するといえば、それで明瞭なようなものの、疑義が生する場合もあるかと思いまして、疑義が明白でない場合は大蔵大臣が定める、こうなつております。これが定義であります。  その次に「外国為替相場」であります。これは為替管理の中核をなすものでありますから総則に掲げたのでありますが、基準相場というものは、今の三百六十円で行つておるものであります。それは単一であつて複数為替といこ制度も世界にあるのでありますが、複数為替制度はとらない。つまり単一為替制度をとるのだという考えをうたいました。それに付随して「正しい裁定外国為替相場」と申しますのは、現在今度のポンド相場が立つております一千八円、あれが裁定相場で、正しいと申しますのは、一種の最近の世界的な術語になりつつあるのだそうでありますが、例の国際通貨基金に登録してあるその国の相場というものを使つて算出したのが正しい裁定相場、つまり国際通貨基金に登録してありますポンド相場というものが、ニドル八十セントですか、そういうもので三百六十円というものを裁定しますと一千八円と出て、それが正しい裁定相場で、それでなければならぬというわけであります。ところが為替相場はそればかりでないので、通常の商士に使うのがある。それを売買相場とここでは言つておりますが、それらのものは為替管理委員会において、大蔵大臣承認を得てきめる。つまりほんとうの公定相場というものは基準相場だけである。その地のものは、あるいは公定するかしないか、それらのものはこまかい運用になりまして、外国為替管理委員会にその運用はまかされております。しかしそれは、次の五でありますが、「直物」においては、百分の一以上の開きがあつてはいけないというのです。まかされた部分というものが、あまり大きした開きをつくつていけないというのが、為替相場に対す規定の立て方に、なつております。  次の第八条、「通貨の指定」と申しますのは、現在外国にわたる取引は、ポンドもくはドルでなければいかぬということになつておりますが、これはやはり当分の間、あまり安定していない通貨をもつて取引することは避くべきものと考えますので、この規定があります。  次は「取引非常停止」と名づけたのでありますが、これはたとえばこの間のポンドの切下げといつたようなことがありました場合、何かこちらでしばらく相談しなければならぬということも考えられます。各国ともやる例でありますが、たとえば三日間為替取引を停止して、その間所要政令を出す準備を整えまして、また取引を再開するという必要が考えられますので、それが総則の最後にうたつてあります。  以上が総則でありますが、大体これを基礎として為替管理は運営できるのではないかと思われます。  第二章「外国為替銀行及び両替商」でありますが、為替銀行については、大蔵大臣認可を受けなければならない。この認可国際信用を傷つけないような実力のある銀行だけに与える。これは当面非常に必要なことと考えられるのでありますが、そのことをうたうのが第十条で、あと十一条は、それほど中心規定ではありません。  中心規定は十二条へ参りまして、そういうふうに認可を受けた為替銀行は、その銀行が顧客と取引をする。輸入商なら輸入商を相手に取引をする場合に、所要手続輸入商がふんでおるということを確認するという義務を課した。大体すべての取引は、為替銀行を通じろという規定になつておる。通ずることにすれば、為替銀行が確認してくれる。確認してくれればそれだけが大体書面のふむべき手続である。あまり一々官庁の方をまわらないでも済むようなことになり得るだろうという建前が、ここから出て来ることになります。  従つて為替銀行には「制裁」を課す必要があるということになります。  「両替商」というりのは、為替銀行だけでも不便な場合につくろものでありますが、説明を省略いたします。  次は「外国為替予算」の章でありますが、この中心規定は第二十条でありまして、外国為替予算に計上された資金使用を認める権限を有する政府機関、すなわち輸入なら輸入を許すのが通産省で、あるならば、通産省がつまりその権限行使所において、予算範囲を守らなければならないというのがこの規定であります。第十六条、十七条、十八条、それらはこの予算をつくるについての注意規定と申しますか、そういう次第であります。  次に第四章でありますが、これはさつき申しました一応政府の手に、外貨と名づくものを集中するというのが第二十一条であります。これはたいへんむずかしい文章になつておりますが、二十一条は「居住者たると非居住者たるとを問わず本邦にある者」、それに対しては、本邦にある対外支払い手段だけが、所要義務が課せられる。  第二十二条は居住者——大体日本人でありますが、日本人はというので、従つて所要支払い手段を得たならば、政府売らなければならぬというようなことを命ぜられる範囲が広くなつておりまして、所在のいかんを問わず、対外支払手段全部、貴金属外貨債権外貨証券というものが加わつておるわけであります。  次の二十三条の非居住者ですが、これは大分こまかいことを考え、英国の例などを考えて、規定してある一切のものが漏れないようにというためであります。こまかいテクニツクに入りますから、現在の説明では省略いたします。  二十四条は、銀行に関しては——普通の人は対外支払手段を取得したら、それを政府に売らなければたらないというのでありますが、銀行仕事をする必要上、若干資金を持つということがありますので、銀行については特例を定めなければならないということになるだろうと思います。それが二十四条にうたつてあります。  二十五条は、二十二条が非常にきびしくできておりますので、その緩和として、本邦人以外の居住者、すなわち日本に長く住んでいるから、外国人ではあるけれども、この法律では日本人並に扱われるという者が、たとえば外貨債権を荷つている、あるいは外貨証券を持つている、あるいはアメリカのどこかの株を持つているという場合に、それを政府に売らされては、あまりにきびし過ぎ、不適当でありますから、日本人以外の者で、居住者であるがために二十二条の適用を受ける場合には、この法律適用を受ける取引、すなわち外国貿易というようなものによつて新たに取得した財産だけが、支払い手段だけが適用を受けるという緩和規定であります。  第二十六条は、先の定義ごらんになります債権というものは、先に列挙したものならざる金銭債権なのですが、それらのものが漏れないように、さらにこの規定が従来のものにつけ加えてあるわけであります。これによつて政府は必要と思うならば、漏れなく外貨手段集中し得るという基礎が与えられております。  次に第五章に入りまして、第五章の中心規定は二十七条でありますが、これはその列挙の一をごらんになれば一番はつきりしております。「外国へ向けた支払」というものは、政令でもつて定める場合を除いては、こういう行為はしてはならないということで、つまりこれは逃げ出さないように網をここできちんときめてあるわけであります。必要なものは政令できめるということになります。その網の立て方が、なお詳しくあの場合、この場合と考えて行ますすといろいろありますので、二十八条、二十九条というものが、さらに完璧を期するために掲げてあります。第五章の中心は今の支払いでありまして、その中心は二十七条でありますが、さらに債権証券、不動産その他、その外は題に書いてあります役務であります。これらのものについても、日本人は許可がなければ外国にある不動産を持つてはいけないというふうに一応しておきませんと、外貨が逃げ出す心配がありますので、それらにわたつて一応これも網が張られてあるわけであります。これをもつて大体五章の説明といたしまして第六章に入ります。  第六章は貿易でありますから、輸出輸入のことが規定してございますが、輸出に関しては第四十七条において、最小限度制限のもとに、輸出は大体原則としては自由と書いてもいいのであります。「最少限度の制限」と法律的に表現してあります。これが輸出に対する心構えであります。しかし若干のものはやはり政府承認しないと、うまく行かないということもあります。ことに最近は国際的には国際貿易協定、支払い協定の世の中になりまして、おのおのそれらの協定つを持つておりますから、それらの協定にこちらが調子を合せるためにも、若干の制限を課する必要があり、それらをするために承認条項が掲げてあります。  四十九条はそれとはちよつと趣がかわりまして、輸出に関しては輸出は自由にしてもいいのですが、その代金が必ず取立てられる。それがもし集中さるべきものならば集中機構に入つて来るということが非常に大事でありまして、代金の取立てがもしなされなかつたならば、いわゆる資本逃避というものが可能になりますので、四十九条を設けまして、代金の支払い政令で定める方法によつて行われているという証明を、必ず求めることになつております。  五十条は、主として日本がいわゆるダンピングと申しますか、不正な競争をしないということを、日本側でも考慮しているという、対外向きの規定であります。  五十一条の「船積の非常差止」と申しますのは、これは船積みだけであります。前に九条に取引非常停止というのがありましたが、この非常停止輸出に関して、さらに船積みに対してもうたう必要ありと考えて、五十一条が設けられてあります。  第五十二条、これは輸入でありますが、輸入は大体において先ほども申し上げました外国為替予算輸入品目が指定されて、金額が予定され、その範囲で行われるのでありますが、それを確保するために承認に乗せる必要がある。輸入は許可と言つてもいいと思いますが、許可もしくは承認というものに乗るということが、これが輸入中心規定であります。  五十三条、五十四条は飛ばしまして、五十五条でありますが、これはいささか珍しい規定で、さらに通産省の方から御説明があると思いますが、今度の輸入には、世間でローガン構想と唱えられているものを採用するために、この規定の必要があるのでありますが、簡単に申しますと、予算で、あるAという商品はたとえば百万ドル輸入してもいいということが、三月なら三月の官に外国為替予算できまりますと、輸入権をだれに与えるかということが、許可制の眼目であります。その許可制において、一々許可申請書を出して審査して行くということが、非常に手続のやかましいものになりまして、取引を阻害するということで、ローガン氏の思いつきと思いますが、思い切つて早い者勝ちで、早く申請した者にやつてしまう構想が入つたのでおります。これはドイツで非常に成功を收めているという話でありますが、それをやるためには、何だか知らないが、ただ許可証だけをとつておくという者が殺倒しては困りますので、確かに輸入を実行するのだという保証を求めて、まじめなほんとうの輸入者だけに、早い者勝ちで輸入権を与えるということにしなければならないということであリますので、そのため輸入の実行を保証するための一種の保証金の提供、これは従来の為替関係の思想に全然なかつた思想でありますが、非常にけつこうな思いつきである。現にドイツで成功も收めておりますので、日本でもこれも採用するとすれば、この規定が必要でありますので、この規定が設けて、あります。それが大体輸出入であります。つまり輸入に関してはわずか二箇条しかないのであります。これで貿易の仕制管理ということはやり得るようになると考えられます。  次は「不服の申立」でありますが、省略いたします。  次は雑則ですが、雑多のものが並べてありますが、公正取引委員会権限というものは、この法律によつて別に排除されるものではないという、これは解釈規定であります。それが入つております。政府機関行為は、一々民間並の手続きをふまなくてもいいということが、六十六条であります。  六十七条は報告、報告は相当いろいろ統計にも必要でありますので、必要な報告がとれるようにこの条項が入つております。なお銀行及び両替商は、業者が正しく手続をふんで来たということを、主として銀行の確認義務にゆだねております関係上、銀行に対しては立ち入つてまで検査する必要があると考えられますので、この条項があります。従つて次の条項は、それらの銀行もしくは日本銀行に、政府事務の部を委任する必要を認めまして、六十九条がございます。  あとは罰則でありますが、罰則は三箇条、これは事の重い、軽いに応じまして、三年以下の懲役もしくは三十万円、一年以下もしくは十万円、六箇月以下もしくは五万円の三段階にわけて規定してございます。  七十三条は、これはいづれの法律にもございます法人代表者法人そのもの、個人も両方が罰則にかかるという規定でざいます。  これで大体説明を終りますが、次に附則に、実はいささか私がまれではないかと考えることがあります。「この法律の施行期日は、各規定につき、政令で定める。」と書いてあるでございます。これはつまりこういうことが予想されておるのであります。この規定は先ほどの提案理由にもありました通り輸出に関しては十二月一日をもつて実施したいという強い念願を持つておるのでありますが、これはマツカーサー元帥からも、輸出は十二月一日にもつと自由なものにしろ、輸入は一月一日をもつて今の政府貿易民間貿易に移せという命令が出ておりますので、ぜひともそれに間に合いたいと考えるのであります。それで輸出に関してはぜひとも必要な条項を実施しなければならない。先ほども説明いたしました集中及び制限禁止の条項は、この法律が漏れなく、つまり完璧を期して非常にきびしいものになつております関系上、実施に関してはなかなかデリケートな問題がもります。御承知の通り今の日本は、為替管理の見地から見れば、きわめて特殊なものでございまして、占領軍の占領下にありますから、司令部の人間その他商売をしておる人たちも、みな司令部の許可をもつてしておるのであります。かつそれが日本国内においてドルの取引が相当たくさんございますので、それらのものは逐次彼らの納得を得つつ、それが将来の日本の対外経済の発展にぐあいよく移りかわつて行くようにしたい。彼らはもちろんいつかは日本為替管理法に服さなければならないのでありますが、いきなりこの管理法実施して、国内でドルの取引をしておるものを日本管理下に移すということは、司令部のライセンスでしておるのですから、そのライセンスを直す必要もありますし、なかなか手続的にもむずかしいことであり、実態的にも非常に慎重を期する必要があります。これは司令部とともどもにしばらく研究をしようということであります。もつとも研究と申しましても、一月一日には輸入をやりたいのでありますし、輸入というものはほとんど為替管理の大部分でございますから、それまでにほとんど全部のものを実施してしまう予定ではおります。とにかく十二月一日にはこれをいきなり実施しては、かえつて混乱が起る。それは第四章及び第五章でございますが、それ関連して総則の場合に基準相場三百六十円、千八円という、あの基準相場のほかに、売買相場をきめるということを申しましたが、この相場についても若干手続上の問題があります。あるいはこの規定をも四章、五章の中に含めて、第六章の貿易に関しては、輸入には五十二条と五十五条でしたか、二つあると申しましたが、その二つ、それらのものは十二月一日には実施を少し待とう、準備が整つた場合にそれらの規定実施しよう、これが賢明なるやり方であると考えますので、附則の第一に「施行期日は、各規定につき政令で定める。」と規定してあります。そうしますと施行されないものがありますので、従来の法令がそのまま生きて来ないと困ります。そこで第二項に殺すべき法令が掲げてありますが、それを第四項で打返しまして、「第二項に掲げる法令の廃止に関し必要な事項については、政令で定める。」ということにいたしまして、そこの保障をなす項を持つております。  たいへんずさんでありましたが、一応この法律の大体の建前、仕組というものを説明させていただきました。
  9. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 続いて外国為替管理委員会設置法について御説明願います。
  10. 大久保太三郎

    ○大久保説明員 このたび国家行政組織第三条第二項の規定に基きまして、新たに外国為替管理委員会設置法を制定いたしまして、その委員会所掌事務範囲権限組織等につきまして、規定をいたすことになりましたので、その法案につきまして逐条的に御説明申し上げます。  第一条におきましては、外国為替管理委員会設置いたします目的規定しまして、第二条におきましては、国家行政組織に基いて外国為替管理委員会設置する旨を規定しております。総理府の外局であります点は、現在と同様でございます。  第三条において、本邦外国為替資金の適切かつ正当な使用を確保いたしますために、外国為替管理委員会がつかさどります事務を列挙いたしました。すなわち第一号は、外国為替管理委員会外国為替特別会計の運営を主管する行政機関であるということを規定したのであります。この臨時国会に提案されております外国為替特別会計法の第二条では、この特別会計は内閣総理大臣が主管しまして、その運営はこれを外国為替管理委員会に行わしめるということが規定されております。次に二号では、外国為替管理委員会外国為替予算にきめられました支出の限度及び条件に従いまして、運用されるようにする任務を定めてございます。外国為替予算とは、先ほど説明のございました外国為替及び外国貿易管理法案の第三条におきまして、内閣設置されます閣僚審議会が作成することになつておりまして、その詳細は同法案の第三章に規定されれております。本法案の第三条第三号は、外国為替管理委員会外国為替銀行等から提出されます外国為替取引に関する報告等を記録として保存し、関係行政機関の用に供するとい趣旨をきめたものでざいます。次に第四号は、外国為替管理委員会が定期的に、少くとも四半期ごとに、前号によりまして保持しております。完全な記録を整理集計いたしまして、そうして貿易及び貿易外を含めての為替取引の数量及び内容、それからこれらの国民経済の復興に及ぼす効果、こういう点を内容とする報告書を作成いたしまして、総理大臣に提出する任務を定めたものでございます。次に第五号では外国為替政策について、委員会は勧告をすることができるということを定めております。この勧告は為替政策に関するものでございますが、為替政策と貿易政策とは表裏一体の関係にございますので、その限りでは貿易政策にも触れることができると思うのでございます。申すまでもなくこれを採択されますかどうかは、内閣総理大臣あるいは行政機関の決せられるところでございます。  法案の第四条には、第三条に申し述べました任務を遂行するのに必要な、外国為替管理委員会令権限につきまして詳細規定してございます。管理委員会任務権限は、現行の外国為替管理委員会令の第二条に規定にされておりまするが、本法の第三条及び第四条におきまして、より具体的にかつ明瞭に規定いたしました次第であります。  以下第四条の各号につきまして御説明申し上げます。一号から七号までは、各省設置法に共通な官房事務についての規定でございます。  八号は、外国為替管理委員会外国為替取引手続を定めますほか、外国貿易取引手続につきましても、同委員会所掌事務に関しまする限り、これは具体的には決済の手続でございますが、他の行政機関がきめる際には協議を受けまして、これに同意を与えることをきめたのでございます。  第四条の九号は、外貨資金外国為替特別会計集中いたします手続をきめまして、集中制度運用し、かつ集中された外貨資金運用をはかるということを規定したものでありまして、先に説明のありました外国為替及び外国貿易管理法案の第四章に規定されております外国為替集中、これに呼応するものでございます。  次に十号は、第三条第二号の指定を受けまして、外国為替予算運用に伴いまして、外国為替銀行がこの予算できめられました制限及び条件の範囲内で、外貨資金を取得しておるか、あるいは使用しておるか、これにつきまして銀行を監督いたす旨をきめたものでございます。  第十一号は、貿易及び貿易取引を含めますすべての対外取引につきまして委員会がその決済条件をきめます権限規定したものでありますが、これによりまして対外債権が回収不能に陥るというふうな憂いのないように運用すべきもりと考えております。  第十二号は、他の法律によりまして、外国為替管理委員会に与えられました権限に関する当然の規定であります。  第五条から第二十一条までは、委員長委員事務局法律顧問、事務局の職員、事務所委員会の規則の制定等、主して委員会組織に関する規定でありますが、第五条第一項に、委員の数をただいまより一名増加いたしましたことと、同条第三項及び第四項の国会両院の同意を得ることが不可能なときに、委員長及び委員の任命に関する規定、十二条の委員会規則の制定に関する規定、それから十四条の管理部規定、及び新たに関西事務所設置する規定、こういう点を除きますれば、ただいま実施されております政令第五十三号とほぼ同様でございます。  それで本法案の第五条は、外国為替管理委員会の構成は、委員長一名、委員四名をもつてするということを定めまして、その任命は内閣総理大臣が、国会両院の同意を得て行うことを定めております。同条の第三項及び第四項では、国会が閉会中等のために、両院の同意が得られない場合の応急措置をきめまして、任命後最初の国会で両院の事後の承認「を必要とする。もし承認」が得られない場合には罷免するということを規定いたしております。  法案の第六条は、委員長及び委員の任期を定めておりますが、現にあります委員長及び委員の任期は、同条の例外といたしまして、附則の第四項によることにいたしております。  第七条は、第一号から第五号までに掲げました場合を除きまして、委員長及び委員の身分を保障する規定でございます。  法案の第八条は委員長、第九条は委員会の議事、第十条は委員長及び委員の給与、第十一条は委員長及び委員に禁止されております行為に関する規定でありまして、これらは現行の政令第五十三号と同様でございます。  法案の第十二条は、国家行政組織法第十三条の規定に対応いたしまして、為替管理委員会規則を制定し得るということを定めております。  第十三条は、為替管理委員会に置かれる事務局が、処理いたします事務について取りきめをいたしております。  第十四条は、事務局管理部を置きまして、新たに委員会任務となりました外国為替特別会計の運営に関する事務をつかさどる旨を規定しております。  第十五条は、事務局にこの際関西事務所設置いたしまして、貿易の中心であります関西との連絡事務を、これにやらせるということにいたして、おりますが、十七条の規定によりまして、日本銀行の大阪支店に少数の職員を配置する予定であります。  次に第十六条は、法律顧問を置く規定であり、第十七条は為替管理委員会が行いま記帳あるいは記録の事務を、十八条の規定によりまして、日本銀行に委託する。その関係を考慮いたしまして、委員会事務所はこれを日本銀行に置くということを明らかにしたものでございます。  第十八条は、日本銀行に対し委員会の事務を委任いたします規定でございまして、現行の政令とまつたく同様であります。  第十九条は、委員会の事務に携わります者が、職務上知り得ました秘密を守らねばならぬ旨を規定してございます。なお事務局の職員は、この十九条の規定を受けませず、国家公務員法の適用を受けることに相なつております。  第二十条は、第一項をもちまして、委員会事務局の職員の人事管理につきましては、ただいま申しました国家公務員法によるということをきめまして、第二項をもつて事務局の必要とする会計及び統計に関する専門家を置くことができるということをきめたものでありますが、専任では、この専門的知識のある適任者を得ることが困難な場合も予測されますので、特に非常勤の事務局局員とすることができるということを規定いたしました。  第二十一条は、事務局職員の定員は別の法律、すなわち行政機関職員定員法によつてきめるということを規定いたしております。  次に第二十二条は、第十九条の違反者に対する罰則規定でざまして、これも現行政令1と同様の規定でございます。  最後に附則といたしまして、この法律の施行期日、経過規定、この法律の制定に伴いまして廃止すべき法令等を規定しております。  以上、本法案の各条の趣旨につき御説明申し上げました。
  11. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 木内外国為替管理委員長から、先ほどの説明中、訂正したい点があるという申出がありましたので、これを許します。
  12. 木内信胤

    木内政府委員 先ほど附則の施行の一部を延ばすものがあると申しました中に、延ばすとは言い条、なるべく早くやりたいが、大部分のものは十二月中と申したつもりでしたが、おそくとも全部一月一日までと申したとしますれば、間違いでありまして、なろうことなら大部分のものという意味でありまして、大事をとりまして、全部のものは三月三十一日までということを予想しております。これはたいへん大事をとつた考え方でございます。その点ちよつと誤解があるといけませんので、申し上げておきます。
  13. 小野瀬忠兵衞

    小野瀬委員長 これをもちまして、両法案に対する説明聴取を終了いたします。なお質疑は明日午前十時より本委員室において行いたいと存じます。  ではこれで本日の連合審査会を散会いたします。     午後四時十五分散会