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佐藤説明員 せつかくお尋ねがございましたので、これも率直に申し上げたいと存じますので、お聞きを願いたいと存じます。
食料品配給公団の
取扱い品目につきましては、先ほど来いろいろ御
説明もございましたように、
みそ、
しようゆ、
アミノ酸、それから
乳製品、これらの
品目につきましては、二十三
年度におきましてまことに飛躍的な生産増強が行われたのであります。同時に
公団が
設立せられまして、
配給面におきましてもとにかく非常に円滑に参つたと申し上げることができるだろうと思うのでございます。それに加えまして
原料面におきまする問題も、各方面の御盡力によりまして二十三
年度は戦後におきまして最も円滑に供給を受け得たのでございます。かたがた現在の
状況から申しますと、一応
数字的に見まして需給のバランスがまずまずとれたのではないかというような見方ができると思うのであります。その上に
みそ、
しようゆ等につきましては、実は輸入
原料の
関係で
原料が一時に非常に多量に割当てられまして、各生産
業者の手元に潤沢に
原料がまわ
つたのでございます。その
関係で生産能力はもとより非常に大きいのでございますが、現在の
状況を見ますると、毎月の
配給量に対しまして
手持が非常に大きく
なつたということがはつきりと出ておるのでございます。そういう
状況におきまして、まず需給の
関係は今後心配ない。もう国民が
みそ、
しようゆの面で不自由することはないだろうというふうに、一応考えられるのでございます。
乳製品につきましても先ほどお話がございましたように、二十三
年度の生産量というものは、わが国におきましてはむしろ前古未曽有の記録を出すというような生産増強が行われたのであります。従いまして先ほど来申し上げましたように、今のところはむしろ貯蔵がだんだんふえるというような心配さえあるという
状況でございますので、これまた
需給関係からもう心配がない、こういうふうに
なつて参
つております。この
状態ならもはや
統制する必要はないではないかという議論が、非常に強く相
なつておるのでございます。私どもといたしましても、まず需給のバランスがとれたということにつきましては、
配給の責めに任じておるものといたしまして、まことに慶賀にたえなく存じておるわけでございます。
ただ
みそ、
しようゆについて申し上げますと、これは御承知のように国民の基礎的
食料品でございまして、わが国の食糧政策上特にべーシック・レーシヨンといたしまして、主食とともに重要視せられておるものでございます。しかもこれらをつくります
原料に、その八〇%まで輸入に仰がなければならないという
関係に
なつておりまして、主食とともに、
みそ、
しようゆ及び油脂、
砂糖、この五
品目によりまして国民に大体千二百四十カロリーを確保するということが、わが国食糧政策の基本をなしているように記憶いたしているのであります。外国からの輸入
計画等も、これを基礎にその
計画が立てられるというような次第でございます。従いましてこれらの
品目の扱いにつきましては、特に慎重な考慮を要すると存ずるのであります。さような意味合いにおきまして、今後の
統制問題につきましては願わくは十分なる御検討を願いまして、将来に対する十分なる見通しを持たれた上で決定していただきたいということが、われわれの第一の念願でございます。と申しますのは、もつぱら輸入
関係の問題でございまして、最近いわゆるローガン方式等のことが、輸入の上にも非常な影響があるということを伺
つているのであります。その意味から将来もはや
みそ、
しようゆの
原料についての心配はないというような話も伺うのでありますが、さて現実にただいまの実情を見ますと、はたしてその懸念がないのであろうかという、また一面不安もいまだ除かれないような傾向もあるやに拝承するのであります。それらの点を特に御考慮願いたいと存ずるのであります。
乳製品につきましても、現在の
配給対象をも
つていたしますれば、すでに生産過剰ということでございますが、しかしただいまの
配給対象はいわゆる
乳製品を必要とする全般の問題から見ますと、ごく一部の者にしかまだ
配給をしていないという実情でございまして、国民全体を
対象としての必要を勘案いたしますれば、まだはたしてこれをも
つて需給上満足すべきかどうかという点に、問題があるのではないかというふうに感じているのでございます。これらの点につきましても、農林省の御当局も慎重に御研究に
なつておられるようでございますので、それらの見通しをつけられました上で、ひ
とつよくお考えを願いたいと存ずるのであります。
そこで、今後
統制を必要とするという見地に立ちまして、われわれ
公団を経営いたして参
つている者の立場から見ますと、
統制を維持しながら
公団を撤廃した場合に、一体どういう転換策があるだろうかということでございますが、ただいま主として考えられておりますことは、
みそ、
しようゆにつきましてはフリー・クーポン制を採用しようということが、最も有力にとなえられているようでございます。むろんフリー・クーポン制によりましても、ある
程度の消費規正は可能であろうかとも存ぜられるのでありますが、しかしこれをも
つて公平なる
統制を維持して行くということは、いささか不安があるのではないかというふうに私どもは考えているものでございます。かりにフリー・クーポン制を採用いたしましても、やはりその運行には何らかの
機構をも
つてこれを確保しておくことが、必要ではないかというような考え方をいたしているものでございます。その意味におきまして、たとい従来の
公団機能はこれを停止いたしましても、従来の
公団制度と、これにフリー・クーポン制を加味したような形におきまして、一応今までの
統制から自由に移ります段階におきまして、何らかの
機構を考える必要はないかということを実は考えているのでございます。と申しますのは、ただいまは全国にわたりまして
公団が一本のもとに需給の調節をはか
つて、すなわち生産と消費とを結びつけておるわけでございますが、この
統制を一時に撤廃いたします場合におきましては、
生産者と
販売業者との間で、少くも自由にその取引を行わなければならないのでありまして、自由経済の立場からこれを見ますならば、これはきわめて望ましいことでありまして、これによ
つて初めて自然の調節ができるというように考えられるのであります。しかし今までとにかく戦争中から
相当長い間
統制を継続して参りましたのが、一時に自由にかわるということはあまりに急激なる変化でありまして、その間に何らか過渡的な処置をする方が、むしろ国民全体の経済から見まして、少くも親切ではないかというようなことが考えられるのであります。ただいまの
状態で、もし一度に
統制を撤廃するということに相なりますと、実は先ほど御
説明申し上げましたように、
生産者は非常にたくさんの
原料を抱き、すでに製品も
相当多量に抱いておるのでありまして、一時に自由になる場合は、
生産者の間に無用の競争が起るのではないか。その結果全国にわたりまして非常に多数の
生産者があるのでございますが、ある
生産者、おそらく三分の一かあるいは半分くらいの
生産者はこの競争に耐えられなく
なつて、まつたく
業務を停止しなければならぬというような結果になるのではないかという心配があるのであります。むろん弱小の、ある水準以下の
生産者が自由競争において破れて行くということは、やむを得ない次第でありますし、また国民経済の合理化という面から見まして、かえ
つて望ましいことであるというような考え方もあろうかとも存じます。しかし今まで長い
統制を続けて参りまして、一時に自由になる過渡的の混乱に巻き込まれまして、そのために正常な
状態であるならば経営が続けて行ける
生産者までも、まきぞえを食わなければならぬというような結果につきましては、やはり何とか考えなければならぬのではないかというように考えられるのであります。また
販売業者の立場あるいは
消費者の立場から考えましても、戦前の経済
状態における自由取引というものが、今後さらに再現するであろうということにつきましては、
相当にこれは疑問があるのではないかというように考えられます。従いまして今後自由に移ります場合には、これに対して何らかの準備が必要ではないか。たとい中小
業者の経済資金というような面につきましても、特に考える必要はないかと存ずるのであります。かような見地から過渡期におきまして、その移りかわりの段階を特に何らかお考え願いたいというような考え方があるのでございます。そのほか
公団方式につきましていろいろな御批判があるのでございますが、少くも私ども過去一箇年有余の経験に徴しまして、いろいろの観点から考えますと、やはり
公団方式はある時期の制度といたしましては、
相当な効果を果して来たということは申し上げ得ると存ずるのであります。なおまた今後の経営におきましては、
公団方式というもの自体は別にきまつた方式はないわけでありまして、いかようにも改革の余地がある。従
つてあまり急激な変化をいたしますよりも、せつかくできました制度を新しい時代に適応するように改革いたしまして、お役に立つようなことができれば、これに越したことはないというふうに考えている次第でございます。あまり長くなりますので、きわめて
概略なことだけを申し上げた次第であります。