○山本
政府委員 対日援助見返資金は、その用途といたしまして第一番が国債償還でありまして、
あとは長期設備資金ということにな
つております。従
つて貿易振興のための設備資金ならば、若干産業資金の設備資金の一部として入ることがあると思いますが、運転資金にまわることに絶対ないと
考えております。
なお先ほど金融の一般的な御
質問がありましたが、
輸出につきましては、今度
輸出が許可制でなくなりますから、そうしますと今までと手続において若干違
つて来ることになりますけれ
ども、貿手方式に関しましては大体従来の方式で行く。契約書を証明書として、従来
通りの貿手方式をやるというつもりでありまして、
日本銀行のポリシー・ボードでも大体そういうふうにきめたように連絡を受けております。それから
輸出手形の買取り資金というのは、今度新しく起こる問題であります。というのは今まで
日本側の
銀行は
業者から
輸出手形、貿手を買いましても、これをただちに外銀に取次ぐだけをしてお
つたのでありまして外銀にこれを取次ぎまして
貿易資金からすぐに
支拂いを受けておつた。二、三日間に
支拂いを受けてお
つたのでありますが、今後にほんとうの意味の
外貨資金の
輸出手形を買いまして、これを
外国に送りまして取立てることになるのであります。その取立てられるまでの金融が新たに問題となるのであります。この場合
銀行に対してどういう金融方式をするか。この点はつきりきま
つておりませんが、
銀行に対して
日本銀行から
輸出手形を
外国に送らなければなりませんから、その本物はないわけであります。
輸出手形をたとえば十本なら十本まとめまして、これを見返りの
担保として日銀から金融をつけるようになるだろうと思います。その金がいつ返済になるかというと、
外国で取立てをいたしまして、
外国でその金がほんとうに入つた場合に、
外貨集中制によりまして、
銀行はその
外貨代金を
為替管理委員会に売らなければならない。そのときに
為替管理委員会から
円資金をもらいまして、日銀から借りた金を返す、こういうことになります。
輸入の方は御
承知の
通り従来全部
政府がや
つておりました。従
つて貿易資金によ
つて輸入金融はまかなわれてお
つたのでありますが、今度はこの方が新たに起
つて来る金融問題であります。
輸入を先ほどのような方式によりまして
銀行へ申し出る人があるという場合に、
銀行が保証金をとることがあると思いますが、これはもちろんその
輸入業者の信用次第でありまして非常に信用があれば
銀行は
信用状開設のために別に保証金をとらないかもしれません。信用のない
業者からはよけいとるかもしれません。こういう問題がありますけれ
ども、これは
輸入業者の
輸入に対する信用のためでありますから、その
輸入業者が自分の金でこの保証金を積んでもらう。むろん自分の金と申しましても、ほかの
銀行から借りて保証金をつくるという場合もあると思いますが、こういうものに元来保証金として出すべきものでありますので、新たに金融措置を
考えなくてもよろしいと思うのであります。もう一つの問題は、その
輸入を取扱いました
銀行が、
外国の
銀行に対して
外貨で保証金を積まされるということがあるわけであります。まだ
日本の
銀行は
外国に参りましても、あまり信用がないかもしれません。場合によれば百パーセントただちに
信用状に対する金を積まされるかもしれませんが、まずそういうことはないだろうと思
つております。あるいは五〇%か何パーセントかわかりませんが、とにかく
輸入信用状を発行する。この
信用状の発行のアクセプトに対して、たとえば五〇%の
外貨を積めということを、ニユーヨークならニユーヨークで要求されるかもしれないのであります。しかしその場合に
銀行が金をたとえば
日本銀行から借りて、そうして
外国為替委員会から、つまり
政府から
外貨を買
つてこれを積むといたしますと、ここに内外
銀行の不平等が起るわけであります。と申しますのは、たとえばここに出ておりますナシナル・シテイーの支店とか、そのほかチエーズ・ナシヨナルの支店とか、そういう
外国の
銀行は
日本支店の
関係になりますので、
輸入信用状発行に対する保証金を
外国において積まされないだろうと思います。
日本の
銀行は
外貨の保証金を積まなければならない。
外国の
銀行は積まないでいいということになりますと、
日本の
銀行が非常に苦しい立場になりますので、そういう場合にはどういう処置をとるかということは、今のところまだ決定されておりませんが、
日本の
為替銀行がそのために日銀から金を借りて、
為替委員会から
外貨を買
つて積むということになりますと、金利の二重拂いをしなければならないというかつこうになりますので、その場合には
政府の持
つておる
外貨資金をただで拜借するというような処置によ
つて、内外
銀行の不平等を取除くというような方向を
考えておるような次第であります。なお
輸入品が着きまして、手形の決済をしなければならないという場合に、
輸入業者に対する金融問題、これが今度新たに起
つて来る問題のおそらく一番大きな問題だろうと思います。これに関しては他の
委員会でも御
説明いたしましたが、これは
輸出貿手の場合と同じように、スタンプ制によ
つて日本銀行で何らかの優遇措置を講じよう、こう
考えておるわけであります。また
輸入は来年一月一日から始まりますので、方式は最終的には決定しておりませんが、大体そういう方向に行くのではないか。むろん
輸入が始まりますと、
相当輸入金融の額も大きいと思います。また
輸出にいたしましても、今後この
法律成立によ
つて貿易の線を太くしようというのでありますから、
輸出資金の所要量も従来よりもふえて来ると思います。それに
輸入が加わりますので
相当金額は厖大になると思いますが、これらに関しましては
日本銀行初め
政府等において、おさおさ怠りない用意をしておるわけであります。