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1949-11-24 第6回国会 衆議院 運輸委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十四年十一月二十四日(木曜日) 午後二時三十二分
開議
出席委員
委員長
稻田 直道君
理事
大澤嘉平治
君
理事
岡村利右衞門
君
理事
關谷 勝利君
理事
前田 郁君
理事
松本 一郎君
理事
佐伯
宗義
君
理事
田中 堯平君
理事
大西 禎夫君
片岡伊三郎
君
黒澤富次郎
君 高橋 定一君 土倉
宗明
君 坪内 八郎君 畠山 鶴吉君 松井 政吉君 河本 敏夫君 清藤 唯七君
柄澤登志子
君 山崎 岩男君 飯田 義茂君 石野 久男君
出席国務大臣
運 輸 大 臣
大屋
晋三君
出席政府委員
(
運輸大臣官房
長)
運輸事務官
荒木茂久
二君 (
自動車局長
)
運輸事務官
牛島
辰彌君 (
自動車局業務
部長)
運輸事務官
中村 豐君
委員外
の
出席者
専 門 員 岩村 勝君 専 門 員 堤 正威君
—————————————
十一月二十三日
日本通運株式会社法
を廃止する
法律案
(
内閣提
出第四五号)
通運事業法案
(
内閣提出
第四六号)
日本国有鉄道
の
所有地
内にある
日本通運株式会
社の
施設
の
処理等
に関する
法律案
(
内閣提出
第 四七号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の会議に付した事件
道路運送法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第三二号)
日本通運株式会社法
を廃止する
法律案
(
内閣提
出第四五号)
通運事業法案
(
内閣提出
第四六号)
日本国有鉄道
の
所有地
内にある
日本通運株式会
社の
施設
の
処理等
に関する
法律案
(
内閣提出
第 四七号)
—————————————
稻田直道
1
○
稻田委員長
これより
運輸委員会
を開きます。 本日の日程に入ります前に、これからの
議事順序
について申し上げます。本日はまず昨
日本委員会
に付託になりました三
法律案
につきまして、
政府
より
趣旨
の
説明
を聽取いたしまして、次いで
道路運送法
の一部を改正する
法律案
に対する質疑を続行いたしたいど思
つて
おります。なお時間があれば請願の
審査
に入る予定でありますから、御了承願います。 それではこれより
日本通運株式会社法
を廃止する
法律案
及び
通運事業法案
を
一括議題
といたし、
審査
を進めます。まず
政府
より右二案に対する
趣旨
の
説明
を求めます。
運輸大臣大屋晋
三君。
大屋晋三
2
○
大屋国務大臣
ただいまより
通運事業法案
並びに
日本通運株式会社法
を廃止する
法律案
の
提案理由
について御
説明
申し上げます。 まず
通運事業法案
について申し上げたいと思います。
法案
の
説明
に入ります前に、まず小
運送制度
の沿革の
概略
を申し上げ、御了承を得ておきたいと存じます。
小運送業法
が
昭和
十二年に施行されますまでは、小
運送事業
は
自由営業
であ
つたの
であります。これがため
業者濫立
ははなはだしく、
業者相互
の
競争
は激甚をきわめ、
経営
上の破綻を来すものも数多く、
荷主公衆
に不測の損害を及ぼすものまた少くなか
つたの
で、
政府
としては微温的ながらも、
利用者
の
利益
の擁護と、
鉄道
の
能率増進
のため、
公認制度
をとり、次いで
指定制度
を採用して参
つたの
でありますが、これらの
制度
は反面、
指定店
と非
指定店
との対立を招く等、幾多の
弊害
を伴う結果となりました。そこで
昭和
十二年に
小運送業法
を制定して小
運送業
を
免許制度
として、
免許業者
に対し適切なる
監督取締り
をすることといたすとともに、
日本通運株式会社法
を制定して、小
運送業者
間の
取引
より生ずる
債権債務
の
決済
、
貨物引換証
の
整理保証
、
小通塗業
の
経済的助成
、及び小
運送業
を行うため数箇の
会社
を統合して、
日本通運株式会社
を設立したのであります。その後時代の要請により
漸次集約経営
により、
業界
の強化をはかろうとする機運が濃厚となり、今日のいわゆる一駅一店
制度
の実現を見たのであります。 以上述べて参りましたごとき
経過
により、小
運送業
の
総合的運営
が行われ、かつ
業界
は従来の家内商業的な
規模
より
近代的経営
に移行し、種々困難な状況のもとによくその
公共的使命
を達成して参
つたの
でありますが、その反面において漸次独占的な
弊害
も見受けられるようになり、
荷主公衆
に対してもとかく
サービス
に欠くる
傾向
が生じて参
つたの
でありまして、ここにおいてすみやかにその弊を除き、小
運送事業
を公正な
競争
のもとに健全に発達させ、
サービス
の
向上
及び小
運送
の増強をはかることが強く要請せられたのであります。
政府
はこれがため
過渡的方策
として客年十一月「駅における小
運送業者数
の
複数化実施
の件」に関する
閣議決定
を行い、これにより
既存業者
のほかに
新規業者
をさしあたり一
業者
を
免許
する
方針
をとり、本年三月十九日第一次として、
主要地域
三十三駅を
指定
し、
新規
小
運送業免許
を行うことを明らかにし、さらに引続いて二十八駅を
指定
することにより、着々と自由公正な
競争
をなし得る道を開いて、現在に至
つて
おる次第であります。 これらの
情勢
に対応するためには、
現行
小運送業法
では必ずしも十分とは申せませんので、新たなる構想のもとに今回本
法案
を提出した次第であります。 以下
簡單
に本
法案
の骨子について申し上げます。 第一に申し上げたいことは、
本法
においては
現行
の「小
運送
」の
名称
を「
通運
」という
名称
にかえ、
通運行為
を明細に
定義
づけ、その対象を明らかにいたしたことであります。
現行法
におきましては小
運送
の
定義
については何ら言及していなか
つたの
でありますが、
本法
において明確に
定義
づけ、その業態を
五つ
に分類いたしました。 第二に申し上げたいことは、
通運事業
の
免許
、
許可
、
認可
の
基準
を定め、その
基準
に適合するものは
免許
する
建前
を
とつ
たことであります。
通運事業
は
道路運送事業
、ないし
鉄道
、
軌道
、
バス事業
と同様、
国民生活
に直接重大なる
関係
を持ち、その
社会公共
えの影響は大きいので、
主務大臣
が
免許
、
認可等
の
行政監督
の
措置
をとることにな
つて
いる点は、
現行法
とかわらないのでありますが、
本法
においては
免許
の
基準
を設け、すべてこの
基準
に
従つて免許
、
許可
、
認可等
の
行政措置
をとるようにしたのであります。この
基準
はいたずらに
免許
、
許可
、
認可
を抑制するものではなく、
公衆
の
利便
の
増進
をはかるとともに、
一般
の
需要
及び
鉄道
の
運営効率
を考慮し、公正な
競争
が行われることに重点が置かれておるのであります。 第三に、
本法
は
通運事業
の
公共性
にかんがみ、
荷主公衆
の保護と
利便
のため、
事業
の公正なる
運営
を期し、
業務取扱い
の面で
通運約款
、
荷主
に対する責任に関する
事項等
に関し
規定
を設け、
通運行為
の
法律関係
を明確にしております。 第四に申し上げたいことは、
通運計算事業
についてであります。
通運計算事業
は過去におきましては、
全国
的には
相当数
の
濫立
を示し、種々
弊害
が認められましたので、
日本通運株式会社法
を制定し、
日本通運株式会社
にこれらの
計算会社
を統合し、
全国
的に統轄された組織をも
つて
計算事業
を
行つて参つた
たことは、前に述べた通りであります。元来
通運取引
から生ずる
債権債務
は、
通運業者
みずからの手でこれらの
処理
を行うより、
第三者
の立場にある
通運計算事業者
にこれらを集合相殺させる方が、費用、時間の点からも、また
事務能率
の上からも有利であります。
政府
としては、
通運事業
における秩序の確立、健全なる発達及び
荷主公衆
の
利益
を保護することに役立つ、健全なる
計算事業者
の出現を望むものでありまして、これらの点を総合検討いたしました結果、
計算事業
を
認可制度
とするとともに、特に一章を設け、
通運計算事業
の
運営
に関する
規定
、
料金
、
計算規程
の
認可制
、
計算契約引受け義務
及び
契約強制
の
禁止等
を
規定
いたしました。 第五に申し上げたいことは、本
法案
と
道路運送法
の両法の適用を受ける
事項
について、適当な
調整
をはか
つた
ことであります。すなわち
道路運送法
に
規定
する
貨物自動車運送事業
の
免許
を持
つて
おりますものは、
主務大臣
が
取扱い
駅を
指定
いたしましたときは、本
法律案
にある
集貨配達
の
事業
について
免許
を受けたものとみなすこととし、また新たに
通運事業
の
免許
を受け、または
自動車
を使用していない
通運事業者
が、
通運事業
のために新たに
自動車
を使用することにつき
認可
を受けたときは、
貨物自動車運送事業
の
免許
を受けたものとみなすこととし、両法による
手続
の重複を省略することといたしております。 最後に申し上げたいことは、
運輸大臣
が
法律
に基く
権限
により
免許
、
認可等
の
行政措置
を講じます際は、すべて
運輸審議会
に諮り、その意見を尊重して行うこととし、
通運行政
の適正な運用と
免許
、
認可等
の公平を期しておる次第でございます。 なお現在施行されております
小運送業法
は、本
法律案
が成立いたしますれば、廃止されることになります。 以上、
通運事業法案
につきまして、ごく
概略
を御
説明
申し上げましたが、次に
日本通運株式会社法
を廃止する
法律案
について、御
説明
申し上げたいと思います。
日本通運株式会社法
による
日本通運株式会社
は、前にも申し述べましたが、小
運送業
の改善のためにその
使命
を果して参
つたの
でありましたが、小
運送業
の公正なる
自由競争体制
を整備せんとする現段階においては、現在の
特殊会社
としての
日本通運株式会社
の
性格
は適当でないので、
現行日本通運株式会社法
を廃止するために、本
法律案
を
通運事業法案
と同時に、本国会に
提案
いたしたわけであります。なお本
法案
においては、
日本通運株式会社法
がいまだ効力を有するうちに、通常の
商事会社
に
性格
を変更した場合は、同法を適用しないこととし、
経過措置
を用意いたしました。 以上で二
法案
の
提案
につきましての御
説明
を終りたいと存じますが、
通運事業
の健全な
自由競争体制
を確立し、
公共
の
福祉
を
増進
し、その民主的な
運営
を期するためには、ぜひとも本
法律
の
実施
を必要とするものと考えますから、何とぞ十分御審議くださるようお願いする次第であります。
稻田直道
3
○
稻田委員長
次に引続きまして、
日本国有鉄道
の
所有地
内にある
日本通運株式会社
の
施設
の
処理等
に関する
法律案
を
議題
といたし、
政府
より本案に対する
趣旨
の
説明
を求めます。
運輸大臣大屋晋
三君。
大屋晋三
4
○
大屋国務大臣
ただいまより
日本国有鉄道
の
所有地
内にある
日本通運株式会社
の
施設
の
処理等
に関する
法律案
の
提案理由
について御
説明
申し上げます。
日本通運株式会社
は、
さき
に
過度
の
経済力集中排除法
の
規定
により
指定
を受けておりまして、近く
持株会社整理委員会
より
指令
を受けることにな
つて
おります。またさらに同社は
会社経理応急措置法
の
規定
により、
特別経理会社
とな
つて
おり、
従つて企業再建整備法
により
整備計画
を立て、
主務大臣
の
認可
を受けなければならないのであります。これらの
整備計画
及び
認可
は、
過度
の
経済力集中排除法
の施行に伴う
企業再建整備法
の特例に関する
法律
により、
過度
の
経済力集中排除法
の
決定指令
の
内容
に従わねばならないこととなるのであります。ところがこの
集中排除
の
決定指令
は、
日本通運株式会社
のみに対する一方
的措置
でありまして、この
指令
を的確かつ迅速に
実施
するためには、さらに必要な
法律
上の
措置
をとる必要がありますので、本
法律案
を
提案
いたしました次第であります。 以下
簡單
に本
法案
の
内容
について御
説明
申し上げます。 第一に申し上げたいことは、
日本国有鉄道
に対し、その
所有地
内にある
日本通運株式会社
の一定の
施設
を譲り受けるべき
義務
を課したことであります。譲り受けるべき
施設
の
範囲
は、
日本国有鉄道
がその
事業
の
運営
上、
荷主
または
通運事業者
に対して有効な
利用
を保証し、共通の
利便
を與えるために必要なものであります。さらにこれらの物件については、
日本国有鉄道
が
指定
することといたしました。譲り受け
価格
その他に関しましては、公平かつ適正を期するため、当事者のほかに、
両者
が
協議
して定める
候補者
のうちから、
第三者
を
運輸大臣
が選定し、これら三者の
協議
によ
つて
決定することにな
つて
おります。次に譲り受けの方法といたしましては、
日本国有鉄道
が所有する
日本通運株式会社
の
株式
と
対等額
の
範囲
内で交換し、なお不足の場合には
予算
のうち、
工事勘定
で定められた額の
範囲
内で譲り受けることにいたしております。 第二に申し上げたいことは、
日本国有鉄道
はその所有する
日本通運株式会社
の
株式
を、他に譲渡しなければならないことであります。
日本国有鉄道
は前に述べましたごとく、
日本通運株式会社
の
施設
と
対等額
の
範囲
内で交換するほか、
株式
の価額の方が高いときには、その額の
株式
については
有価証券
の処分の
調整等
に関する
法律
により、他に譲渡しなければなりません。 第三に申し上げたいことは、
日本国有鉄道
は
日本通運株式会社
以外の
通運事業者
より、その
所有地
内にある
施設
を
予算
の
範囲
内で譲り受け、または賃借りしなければならないことであります。
日本通運株式会社
の場合と異なる点は、賃借りし得る
余地
が残されておることであります。これに伴い
通運事業者
は、これらの
施設
を
日本国有鉄道
に譲渡し、または賃貸しする
義務
を負うこととな
つて
おります。 第四に、
地方鉄道業者
あるいは
軌道経営者
の場合についてであります。この場合においては、
日本通運株式会社
がこれらの
地方鉄道業者
、及び
軌道経営者
の要求により譲渡し、あるいは賃貸ししなければならない
施設
の
価格
その他の
事項
は、
両者
の
協議
によ
つて
定めることといたしました。 以上で本
法案
の
提案
につきまして御
説明
を終りたいと存じますが、
通運事業
の健全な
自由競争態勢
を確立し、
公共
の
福祉
を
増進
し、その民主的な
運営
を期するためには、ぜひともこれらの
法律
の
実施
を必要とするものと考えますから、何とぞ十分御審議くださるようお願いする次第であります。
稻田直道
5
○
稻田委員長
ただいま
運輸大臣
より一応の
法案
に対する
説明
がありましたが、なお
自動車局長
より、これらの点につきまして逐條的に
簡單
に
説明
をしてもら
つた
方がいいと思いますから、これを許します。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
稻田直道
6
○
稻田委員長
では
牛島自動車局長
。
牛島辰彌
7
○
牛島政府委員
ただいま
運輸大臣
から御
説明
のありました
通運事業法案
、
日本通運株式会社法
を廃止する
法律案
、並びに
日本国有鉄道
の
所有地
内にある
日本通運株式会社
の
施設
の
処理等
に関する
法律案
につきまして、簡単にその
要点
を申し上げたいと思います。 この
三つ
の
法律案
は、ただいま御
説明
がありましたように、小
運送業
の公正なる
自由競争態勢
をとります上においては、関連しておる
法律案
でありますので、本日同時にここに御
説明
申し上げることに相な
つたの
であります。 御承知のように小
運送業
は、
昭和
十二年
小運送業法
ができますときにおいては、四千数百軒の
業者
がお
つた
わけでございますが、これが本年の三月になりますと、
一般
の
免許
を受けておるものが、
日本通運
を入れまして二百二十七軒のものが
免許
を受けております。
限定免許
のものが百三十二軒、合計いたしまして三百五十九
業者
に相な
つて
おるのでありまして、小
運送業
といたしましては、その当時の
経済事情
のもとにおきまして、非常に家内商業的な業種から、近代的な
企業
にずつと進んで参る上において、十分その
目的
を達したかと思うのでございますが、最近の
経済情勢
から考えてみますと、独占の
傾向
が強くな
つて
、これがために
サービス
の面、あるいは公正な
取扱い
の上において、ややもすると
公共
の
福祉
を
増進
する上に疑問があるという
観点
からいたしまして、ここに小
運送
の公正な
自由競争態勢
をつくる必要があると考えておるのであります。この点に対しまして運輸省といたしましては昨年十一月に、小
運送業
の
複数制
の
実施
に関する件を
閣議
において決定いたしまして、
さき
に御
説明
がありましたように、すでに
全国
の主要な駅三十三につきましてこれを
実施
いたしました。すでに十九箇所の新たなる
免許者
を出しております。こういう
状態
でございまして、実は
通運事業法
もここ両三年計画いたしておりましたのが、やつと本日ここに
提案
できるという
状態
に相
なつ
たわけでございます。 まず第一に、この
通運事業法
におきまして、従来のごとき小
運送業者
を一駅一店というような
方針
ではなしに、もつと多数の
業者
にな
つて
いただいて、そうして自由な
競争態勢
をつく
つて
行くということが
目的
でございます。それと同時に、
日本通運
という非常に
規模
の大きな
業者
がございますので、これに対抗する上からいたしましても、お互いに新たな
業者
の方々を、
商取引
の上においても便利になるように、
一つ
の小
運送業者
として保護育成して行くという上からいたしましても、これの中核となるところの、小
運送
によ
つて
生じますところの
債権債務
の
決済
であるとか、あるいは
債権
の
取立て
をするというような
事業
を行うところの
通運計算事業
を、この
法律
において新たに認める。そうして
日本通運
と全然別個に、
一つ
の小
運送網
を
全国
にしき得るような形態にいたしたい。こういう
観点
で
通運事業法
を制定いたしているのであります。 さらに
日本通運株式会社
は、従来
政府
あるいは
国有鉄道
と密接な
関係
に
法律
の上でな
つて
おりますので、これらの特殊な
会社
としての
政府
あるいは
国有鉄道
との
関係
を、この際この
法律
を廃止して断ち切りまして、全然
日本通運株式会社
を普通の
商法
上の
会社
に改めようとすると同時に、第三に
法律
によりまして、
日本通運株式会社
が現在
国有鉄道
の
所有地
の上に、
荷役機械
であるとか、上屋であるとか、
労務員
の詰所であるとか、そういうような
相当
の
施設
を持
つて
おりますので、これらの
施設
を
国有鉄道
に買わせて、
国有鉄道
はその譲り受けました
施設
を、新たに
免許
され、
業者
となりますところの新しい
通運事業者
に対しましてこれを公平に使用させる機会を與える、こういうような
意味合い
において
三つ
の
法律
はつ
なが
つて
おるのであります。 まず第一に、
通運事業
の点につきまして、従来と異
なつ
た
法律
の
要点
について、きわめて簡単に申し上げたいと思います。第一章の総則におきまして、第一條はこの
法律
の
目的
を書いておるのでありまして、これにつきましては別段申し上げることもないと思いますが、第
二條
におきまして
通運
の
定義
を下しております。従来の
小運送業法
によりますと、
はつ
きり学問的なと申しますか、
定義
が定められておりませんので、今回は第
二條
におきまして、まず
通運
というものはどういうものであるかという
定義
を下しました。第一に「自己の名をも
つて
する
鉄道
」、この
鉄道
というのは、今後も
軌道
及び
日本国有鉄道
の
経営
する
航路
、すなわち青森、函館間、あるいは高松、
宇野間等
の
航路
を名指しておしますがそういうものを含めての
鉄道
によるところの「
物品運送
の取次又は
運送物品
の
鉄道
からの
受取
」、いわゆる
運送取扱業
に属するものでございます。第二は「
鉄道
により
運送
される
物品
の他人の名をも
つて
する
鉄道
への
託送文
は
鉄道
からの
受取
」
運送代便業
と称するものであります。第三は「
鉄道
により
運送
される
物品
の
集貨
は
配達
(
海上
におけるものを除く。)」これは
鉄道
の大
運送
にかかります前に荷物を
集貨
し、あるいはまた到着いたしたものを
配達
するという
仕事
でございまして、これは従来は
付随運送
と申しておるものであります。それから四としまして、「
鉄道
により
運送
される
物品
の
鉄道
の
車両
(
日本国有鉄道
の
経営
する
航路
の船舶を含む。)への
積込
又は取御」これは従来の
小運送業法
におきましては、この
意味合い
が
はつ
きり出ておりませんでしたから、今回は四号といたしまして、「
鉄道
の
車両
への
積込
又は取卸」を
はつ
きり
通運
というところに
規定
いたしたわけでございます。五は「
鉄道
を
利用
してする
物品
の
運送
」でございまして、これは
利用運送
と申しておるものでございまして、東京から大阪まで
鉄道
を
利用
して送るという
契約
をなす場合でございます。一と二と五とは
法律行為
としての
定義
を書き、三、四におきましては事実
行為
としての
定義
を書いております。もちろんこの
通運
につきましては、陸上の
通運
を指しておるのでありまして、
集貨配達等
におきましては、
商法
上の
海上
にかかるところのものは除かれておるわけであります。それで
通運
の
定義
を下しまして、その第二項におきまして「
通運事業
」とは、営利を
目的
とするとしないとを問わず、
通運
を行う
事業
をいう。」と
規定
しておるのであります。ただ郵政省において
郵便物
を
運送
するものは、
通運事業
ではないということに
規定
いたしております。 次に第三條でございますが、これは新たに
通運計算
、先ほど申し上げました小
運送業者
の
相互
の
債権債務
の
決済
あるいは
債務
の
取立て等
の
仕事
をやります際の
相互計算
でございますが、この
通運計算
というものの
定義
を書きまして、それの
事業
をこの
法律
に表わしたわけであります。 次に申し上げたいことは、
大臣
の御
説明
にもございましたが、
通運事業
に関する
免許
であるとか、
許可
であるとか、あるいは
認可
とかいう言葉がたくさん出て参ります。この第二章以外におきましても、また第三章おいても出て参りますが、これらの
事項
に対しましてはすべてその
條項
の中に
基準
を定めまして、その
基準
にのつと
つて免許
をする、あるいは
認可
をする
建前
をと
つて
いるのであります。従来の小
運送業法等
におきましては、
法律自体
にこれらの
基準
を書いておりませんが、今回はこれらの
基準
を
法律
に書きまして、
大臣そのもの
の
権限
に対するところの
自由裁量
の
余地
が少く
なつ
たとも言い得ることと思うのであります。この
法律
の四條、六
條等
におきまして、自
業経営
の
免許
のことが
規定
してございますので、最初に
経営免許
につきまして御
説明
申し上げたいと思います。 第四條に「
通運事業
を
経営
しようとする者は、
運輸大臣
の
免許
を受けなければならない。」とな
つて
おります。この
免許
を受けること
自体
につきましては、従来の
小運送業法
と同様でございます。そして第
五條
におきまして
免許申請
の
手続
を書いて、第六條におきまして
免許
の
基準
をうた
つて
おります。この第六條の第一項におきまして、一号から四号まで
免許基準
を掲げております。第一号には「
当該事業
の
開始
が
一般
の
需要
に適合するものであること。」第二号は「
当該事業
の
開始
が
公衆
の
利便
を
増進
するものであること。」第三号「
当該申請
に係る
事業
を
適確
に遂行するに足る能力を有するものであること。」第四号「
当該事業
の
開始
が
鉄道
による
物品運送
の
効率
の
向上
に資するものであること。」これらの
免許基準
を掲げまして、これによ
つて申請
を
審査
する。そういたしまして六條の第二項におきましては「
運輸大臣
は、前項の
規定
により
審査
した結果、その
申請
が、同項の
基準
に適合していると認めたときは、左の場合を除いて、
通運事業
の
免許
をしなければならない。」こういうふうに書きまして、
免許
をする
建前
をと
つて
いるのであります。ただその場合におきまして第二項の一、二、三と
三つ
の場合を書きまして、
免許
を受ける
欠格條項
を定めているわけであります。従いまして第六條の
免許基準
一号から四号までに該当するものであ
つて
、第二項の
欠格條項
を持
つて
いないものは、
免許
される、こういう
建前
であります。そこで第
七條
において
事業
の譲渡を受け、あるいは譲り渡しをする。あるいは十條におきまして
事業
の管理の場合、あるいは十
二條
の
事業計画
の変更の場合、十三條の
事業
のために新たに
自動車
を使用する場合、二十條におきまして運賃、
料金
の
認可
を受ける場合、そういう場合におきましてはすべて、ただいま六條に掲げましたような
基準
を掲げまして、それに対して
免許可
をいたす
方針
を明らかにいたしておるのであります。 次に申し上げますことは、
通運免許事業者
の
権利義務
の
関係
を、従来の小
運送業
においては
はつ
きり例示いたしておりませんものですから、こういう点について
通運事業
の公正な
運営
をはかるため、十
七條
から二十
五條
までの間に
規定
を設けております。十
七條
におきましては、「
通運事業者
は、左の場合を除いては、
通運
の
引受
を拒絶してはならない。」として、
五つ
の場合を掲げております。
通運事業者
は
通運
の
申込み
を受けましたならば、こに掲げてある
五つ
の場合を除いては、
引受
けなければならない、こういう
引受義務
を課しておるのであります。さらに十八條におきましては、
通運
の順序を定めております。
引受
けました
物品
を、
申込み
を受けた順番によ
つて
鉄道
に託送をする。人によ
つて
差別をしたりしてはいけない。こういうふうに
通運
順序のことを定めております。それから十九條におきましては、
通運
の
申込み
があ
つた
ところの
物品
の種類、あるいは性質を確認するところの、
通運事業者
に対しまして権利を與え、また
荷主
に対してはそれに応ずる
義務
を與えておるわけであります。二十一條におきまして、
通運約款
に書くべき
事項
を定めておりますが、この
通運約款
によりまして、実際に
荷主
は託送ができるというように、
一般
の正常な
利益
を擁護するという
意味合い
から、
通運約款
を定めることを命じておるのであります。それから運賃、
料金
は、
認可
を受けなければなりませんけれども、
認可
を受けた運賃、
料金
または
通運約款
等は、
荷主
、
公衆
の実際に見やすいところに掲示する
義務
を負わしております。それから二十三條におきまして、引渡し不能の
物品
の寄託のことを書いております。二十四條におきましては、引渡し不能の
物品
の競売のことを書いておりまして、これらの
権利義務
関係
を明確にいたしまして、
通運事業
の公正な
運営
をはかろう、こういう
趣旨
をもちまして、十
七條
ないし二十
五條
の
規定
を設けたわけでございます。 その次に先ほど申し上げました
通運計算事業
のことでございますが、
通運計算事業
は
日本通運
ができました
昭和
十二年ごろにおきましては、
全国
的なものを持
つて
おりましたものが
三つ
、北海道だけのむのが二つ、九州地方の地域的のものが二つございまして、この七つを統合いたしまして、
日本通運
の
計算事業
といたしておるのでございますが、今後小
運送事業
の
複数制
が
実施
されて参りますと、やはり
通運計算事業
というものは、当然必要でありますし、そういうものが
通運
の性質上からも、また私どもが考えておりまする公正な
競争態勢
の上からいたしましても、必要であろうと思うのであります。こういうものに対しては
認可
事業
といたしまして、新たにここに第三章として
規定
いたしておるのでありますが、この
認可
することによりまして、
通運事業
の公正な
競争
に、また
通運事業
の新しい態勢に即応するような、りつぱな
計算事業
態勢を望む上からいたしまして、これらの
規定
によりまして、よい
計算事業者
の出ることを望んでおるのでおります。しかし過去の例からいたしましても、ややもしますとこれが経済力を中心にいたしまして、非常な閥をつくることもございますし、あるいは
商取引
の障害をなすようなことも考えられますので、第三章におきましては、民間
事業
といたしますと同時に、
通運事業
に対する
條項
を二十八條、二十九
條等
におきましてこれを準用いたし、さらに三十條におきましては、
通運計算
規程というものをつくるように
義務
づけておるのでありまして、この三十條の第二項におきましては、
通運計算
規程の
内容
となすべきものを一号から三号まで掲げておるのであります。その二号によりましても「少くとも
通運計算
に関する
契約
の締結及び解除、
通運計算
の方式、
通運計算
の停止、計算料の收受並びに
通運計算事業者
の責任に関する
事項
」というようなことを、明確に記載することを要求しておるわけであります。さらにこの
通運計算
に関するところの
契約
の締結でございますが、これは加入いたしますことも、また、脱退いたしますことも、すべてを自由にいたすということにいたしておるのでありまして、決して強制をしたり何かしないように、ここに三十一條、三十二
條等
の
規定
を掲げておるのであります。 次に申し上げますことは、十三條、十
五條
並びに附則の六、七に関することでございまして、これは
道路運送法
と
通運事業法
との間におきまして、従来は二重の
手続
をいたしませんと、
自動車
を使用して小
運送
が営めなか
つた
というような点がございますので、その点の
調整
をはかりまして、
手続
の簡素化と輸送力の
効率
化をはか
つた
ものであります。すなわちこの十三條におきましては、小
運送業者
が
自動車
の使用をまだしてない小
運送事業
者であります場合に、小
運送事業
のために新たに
自動車
を使用しようというような場合には、この
法律
によりまして
自動車
の使用の
認可
を受けることにいたします。それと同時にこの
認可
を受けますと、附則の七におきまして
道路運送法
を改正いたして、それが同時に
道路運送法
の
規定
によりまして、「
通運事業
のためにする貨物
自動車
事業
の
免許
を受けた者とみなす。」ということにしまして、
手続
上簡略化しておるのであります。それとちようど反対の場合が第十
五條
の場合でございまして、第十
五條
の場合は、
道路運送法
によ
つて免許
を受けておる者が、どこどこの駅と
取扱い
駅を
指定
されますと、今度はこの
法律
によ
つて
、積みおろし等の
通運事業
の
免許
を受けた者とみなすということにしております。いわゆる地場
運送
の者が駅を
指定
されますと、その駅については
集貨配達
の小
運送
の
免許
を受けておるということにみなしまして、その
意味合い
においては、この
通運事業者
になるわけでありまして、別段にその他の
手続
による必要なしに、
一つ
の
手続
で両方をやるという
意味合い
で、この
道路運送法
と
通運事業法
との
手続
の簡素化をはか
つて
おるのであります。 その他三十三條におきましては、この
法律
に基いて
免許可
あるいは
認可等
の処分をなす場合には、
運輸審議会
に諮りまして、その決定を尊重して処分をなすということにしておるのであります。ただ
運輸審議会
が軽微な
事項
と認めたものは、
運輸審議会
に諮らないでやるりもりでございますが、これは
運輸審議会
との今後の問題として残
つて
おるわけであります。 なお、この
法律
に
規定
する
運輸大臣
の職権の一部は、政令で定めたものは陸運局長が行うことにな
つて
おりますが、この陸運局長に委譲をするについては、
運輸審議会
等の意見を十分に尊重しなければならないことと思
つて
おります。 第五章の罰則でございますが、従来の
小運送業法
の罰則は、最高が千円でございましたが、この
法律
によ
つて
は、最高十万円、次が五万円、三万円というふうに、三十八條、三十九條、四十條とわけてきめております。
通運事業法
についての
要点
は、大体以上の通りでございます。 次に、
日本通運株式会社法
を廃止する
法律案
でございますが、この
法律
は至
つて
簡單
で、御
説明
するまでもないのでございますが、ただこの
日本通運株式会社法
を廃止する
法律
が公布されて、実際に
会社
法を廃止する日までの問において、
日本通運株式会社
が、
商法
上の普通の
会社
になる。すなわち
商法
の
規定
によ
つて
、株主総会を開いて特別の決議をいたしますと、その前においても普通の
商事会社
になり得る。従
つて
その廃止の日が参りましたときは、円滑に移譲し得るように、定款その他を変更する必要がございますので、こういう
規定
を設けます。同時に「経済
関係
罰則ノ整備ニ関スル
法律
」の適用についても、その決議があ
つた
場合においは、実際に廃止の日前においても、この適用を廃止するということを
規定
しておるわけであります。 次御
説明
申し上げますのは、
日本国有鉄道
の
所有地
内にある
日本通運株式会社
の
施設
の
処理等
に関する
法律案
でございますが、これは至
つて
短いものでございますから、條を追
つて
御
説明
申し上げます。 第一條におきましては、
目的
を書いております。この
目的
は、
日本国有鉄道
の
所有地
内にあります
日本通運
並びにそのほかの
通運事業者
が所有いたしておりますところの、
荷役機械
等の
施設
を
国有鉄道
が譲り受けまして、その
施設
を
一般
に
荷主
、
通運事業者
に公開をいたしまして、公正かつ有効な
利用
と、
通運事業
における公正な
競争
を確保することに資するということを
目的
にいたしておるのであります。 第
二條
におきまして、買い受ける
国有鉄道
が、
日本通運
から譲り受けるところの物件の
範囲
を
規定
いたしております。その物件の
範囲
はそこに書いてございます一号から四号までございまして、
荷役機械
、貨車の入れ換えに使用する動力車、三号が倉庫、上屋、
労務員
詰所、荷扱所その他作業用の建物、四号が貨物の積みおろし、保管に要する構築物、この四号に該当する
施設
の中におきまして、
国有鉄道
が実際に見まして、
国有鉄道
を
運営
して行く上において、この
施設
はどうしても
荷主
あるいは
通運事業者
に
利用
させ、共通に
利便
を與える必要があると考えたものになるわけであります。従いまして
国有鉄道
の駅構内その他におきますこれらの
施設
の上におきまして、
国有鉄道
が
荷主
、
公衆
に開放しなければならぬと思
つて
指定
したところの
施設
になるわけであります。そうして
国有鉄道
は次に出て参ります第四條によりまして、
日本通運
の株を九十九万株持
つて
おりますが、この九十九万株を処分しなければなりませんが、この株とその
施設
とを交換をする。もしも交換をいたす場合に、株の値段が
施設
の物件の評価額より低い場合におきましては、
国有鉄道
の二十五年度の
予算
のうち、
工事勘定
にそういう
施設
の額を上げておきまして、その額の間で買うというように第
二條
は言
つて
おるのであります。 第三條は、第一項におきましてただいま申し上げました第
二條
によりますところの、これらの
施設
を譲り受ける場合には、
国有鉄道
が駅の
施設
、この
施設
ということを
指定
するということを第一項に書いております。そうしてこれらの
施設
の
価格
、あるいは
国有鉄道
が持
つて
おります日通の
株式
の
価格
、その他護り受け、譲り渡しに関する必要な
事項
は、
日本通運
と
日本国有鉄道
、それから
第三者
の三人でこれをきめる。譲り受け物件並びに
株式
の評価額は、
日本通運
と
日本国有鉄道
、
第三者
できめる。こういうことでありますが、その
第三者
を選びますには、
日本国有鉄道
と
日本通運
とが
協議
をして、若干人の
候補者
を選んで参ります。その選んで参りましたものを
運輸大臣
が選定をすることにいたします。なおこの選定をいたします場合には、国庫
大臣
としての大蔵
大臣
に
運輸大臣
は
協議
をいたすことにいたします。そうしてこの三人によ
つて
協議
した結果、物件並びに
株式
の評価額というものが出ますが、この
価格
につきましては
運輸大臣
の
認可
を受ける必要がございます。この
運輸大臣
が
認可
いたします場合もやはり大蔵
大臣
に
協議
してきめることにいたしております。それがこの條の第二項でございますが、第三項におきましては、三人で
協議
をいたしましての
協議
が整わない、あるいは
協議
ができないと認めた場合には、
運輸大臣
が裁定をいたします。この裁定をいたします場合はやはり大蔵
大臣
に
協議
をいたします。第四項はただいま申しました前項の裁定があ
つた
とき、その裁定の定めるところによりまして、第二項前段の
協議
が整い、かつ同項後段の承認があ
つた
ものとみなすという
規定
を入れております。 それから第四條でございますが、
国有鉄道
は、先ほど申し上げましたように、
日本通運株式会社
の
株式
を九十九万株所有しておりますから、これを他に譲渡するように
義務
づけているわけでございます。第二項におきまして、先ほど申し上げましたように、
日本国有鉄道
と
日本通運株式会社
は、この譲り渡すところの物件と
株式
とを、対等の価額の
範囲
内において交換をするということをきめております。交換をいたしますと、
予算
上これを計上する必要がないものでございますから、交換によりまして大部分のものは
実施
ができるものと思
つて
おります。交換する場合に、
施設
と
株式
が全然一致することはございませんから、
施設
の方が
株式
の価額よりも高い場合には、
国有鉄道
は金銭でその差額を支拂い、また
株式
の方が
施設
よりも高い場合には、
国有鉄道
は遅滞なくその越えた額の
株式
を、他に譲渡しなければならないということにいたしております。この
株式
の処分のことにつきまして、交換する場合、交換によ
つて
株式
を処分いたす場合には、
有価証券
の処分の
調整等
に関する
法律
の適用をいたしません。従いまして証券
処理
調整
協議
会にこれをかけずにやります。しかしただいま申し上げましたように、
株式
の価額が
施設
の価額よりも高くて、他に譲渡するというような場合には、証券
処理
調整
協議
会にかけまして、これを処分することにいたしております。 第
五條
は、
日本国有鉄道
の
所有地
内には、若干
日本通運株式会社
以外の
通運事業者
が
施設
を持
つて
おります。これらの
施設
も
国有鉄道
といたしましては、
予算
の
範囲
内におきまして譲り受け、または賃借りしまして、これを
一般
に公開しなければならぬのであります。ただこの場合におきましては、
日本通運
の
施設
を譲り受ける場合と異りまして、賃借りを認めておる点であります。第二項は、
日本国有鉄道
の
所有地
内に
施設
を持
つて
おる
通運事業者
は、その
施設
を
日本国有鉄道
に譲り渡し、または賃貸ししなければならない
義務
を定めておるのでありまして、この場合におけるところの評価等につきましては、第三條の
規定
を準用いたすことにいたしております。 第六條は、地方
鉄道
、
軌道
等に、
日本通運株式会社
いろいろの
施設
を持
つて
おりますが、これらの
施設
につきましては、むしも
施設
の
経営
者から要求がありますれば、
日本通運株式会社
はこれを譲り渡し、または賃貸しをしなければならないのでありますが、この場合におけるところの譲渡、あるいは賃貸しをするところの
価格
等につきましては、
日本通運株式会社
と、その当該私鉄の
経営
者との
協議
によ
つて
その額をきめる、こういうことにいたしておるのであります。 以上をもちまして三
法案
の
要点
を申し上げた次第でございます。
—————————————
大澤嘉平治
8
○大澤
委員長
代理 ただいまの三案につきましては、質議は暫時留保いたしまして、これより
道路運送法
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたし、前会に引続き質議を行います。石野君。
石野久男
9
○石野委員 私は
大臣
にごく
簡單
に二つの点についてお尋ねしたいと思います。すでに各党の委員諸君からそれぞれ質疑されたのでありますが、特に
道路運送法
の一部を改正する
法律案
をここに
提案
されるに至りました経緯といたしまして、
政府
がその
実施
方を選考して、陸運分室廃止等のことをなされておりまして、そのことについて特に社会党の米窪氏あたりからも意見を述べられておる点について、
大臣
の所見をお伺いしたいと思うのであります。本件は休会中における本
委員会
におきまして、こうした
行為
に対する意思表示が決議文としてつくられたということは、すでに米窪氏から論ぜられたところでありますが、私はこの際
大臣
はこうした意思表示がはりきりしているときに、それと相反するようなことを、特に
法律
の改正を行われる前になされることについては、その
法律案
の改正が行われるという見通しを持たれてなされたと思うのでありまして、この点について
大臣
はどのようにお考えにな
つて
、このような
実施
方をなされたのであるか。このことは行政の術に当られる
大臣
といたしまして、立法府の意思をどのように見ておるかということの尺度にもなりますので、私はあえてこの点について
大臣
の所見をお伺いしたいと思うのであります。特に民自党の關谷委員から、もしこの
法律案
が議会において
政府
の意図通りに通過しなか
つた
場合には、どのような責任が出て来るかというようなことの御質問もあ
つたの
でございまして、この点については、別に
大臣
から
はつ
きりと御返事もなか
つたの
でございますので、私はこの際あらためて、
大臣
のこの点に対する所見をまずお伺いしたいと思います。
大屋晋三
10
○
大屋国務大臣
その点は
運輸大臣
も、運輸行政を運輸省の所管系統に置いておく方がよろしいという考え方で、その理由はしばしば申上げました通り、ガソリンとか、あるいはタイヤ、チユーブとかいうような物資の配給というような事柄は、どうしても運輸省直属の行政系統に保有しておきたいということを強く考えておりまして、そのために、この道路監
理事
務所は廃止いたしますが、そのかわりに分室をつくる
制度
を国会において承認をいただいたのであります。ところがその分室が、在来の道路監
理事
務所とひとしい数で、各府県に一箇所ずつ設置されれば、何らめんどうはないのでありますが、行政の簡素化というような事柄の思想に強く支配をいたされまして、分室を置くにいたしましても、
全国
都道府県に
一つ
ずつは置けない。おそらく在来の都道府県の数の三分の一の数、たとえば十七箇所ぐらいしか置けないという事柄にな
つて
売
つたの
でございます。そこで、国会が終了いたしまして、国会は休会に入
つたの
でありますが、休会に入りましてからも、この問題につきまして種々検討をいたしました末に、やはりこの種の行政といたしましては、都道府県にこれを扱う箇所が少くとも一箇所ずつなくてはいけない。三県の事務がある一県の某地において取扱われるということになりますと、遠路はるばるそこへや
つて
参らなければならぬというようなことでは、たとい運輸省
自体
に行政権が保有されるにいたしましても、非常に不便であるという事柄を、
運輸大臣
といたしまして考えましたが、ちようどたまたま実は国会の休会中でございまして、夏分にかか
つて
おりまして、委員諸君も御在京の方が非常に少くて、みな国に帰
つて
おられ、あるいは旅行されておるというようなあんばいで、
運輸大臣
がこの分室を十七箇所ぐらい置くよりも、いつそのことこれを地方の都道府県に委譲して、都道府県が一箇所ずつこの
仕事
を扱う場所を持
つて
いる方が実際的であるというふうに、検討の結果考えまして、その事柄を、たまたま時を同じくして国会が閉会中でありまして、委員諸君に十分御
協議
をするひまがなか
つたの
であります。その点ははなはだ残念でございますが、
運輸大臣
はさような経路におきまして、むしろこれは地方に委譲して、各地方が一箇所ずつの事跡所でこの
仕事
を
処理
した方がよろしいということに考えをかえまして、実は
閣議
でこれを決定いたしまして、引続いてこれが
処理
に必要なものは、省令、あるいは政令で行けるものは政令で
規定
いたしまして、それぞれこの事務を都道府県に委譲いたしまして、どうしても
法律
によらなければならないものを、今議会に提出をいたした次第でありまして、考え方によりますと、全部何もかも国会が開けてからそれを提出した方がいいのではないかという考え方があるのでありますが、私はやはり小口から、できるものは
運輸大臣
の一個の
権限
で、あるいは政令の形式で、小口から地方に委譲した方が、より効果的であるという考えのもとに、実はやりましたわけでございます。
石野久男
11
○石野委員
大臣
のただいまの御答弁は、すでに何べんも聞いておりまして、こういうふうな処置をとらなければならなか
つた
行政当局のいろいろな事情等については、よくわか
つて
おるのであります。問題は、そのことよりも、むしろこうした事情を十分に察知しておられて、なおかつ九月十二日の決議文に対しまして、
大臣
の所信の開陳があり、その後信念の変更が
大臣
の心境の中にあ
つた
ということを伺
つた
わけでありますけれども、問題になる点は、小口から地方に委議することが効果的であるということよりも、むしろ今日ここに出ております道路通途法の一部を改正する
法律案
そのものが、もし国会の意思において、これが
政府
の意図通りには通過しなか
つた
ときに、先行いたしました、たとえば政令なり省令等によ
つて
処置しましたものと、そういう
法律
が国会をもし通過しなか
つた
ときとの関連性の問題が重要であろうと思うのでおります。特に行政の面からいたしましてこれらのものは、
法律
があとから改正されるといかんにかかわらず、常に関連性のあるものと思いまするし、また今日ここで
法律案
が上程されておりまするこの
事項
を省いて、先行したものだけを、ただ單に小口から地方に委譲したというだけでは、かえ
つて
能率化が非能率化になる危険性があるとも、私たちは考えるわけであります。このような点から、私は
法律案
があとから続くということに対しての、
政府
の、特に当路
大臣
としての
運輸大臣
の御心境が、
法律案
が上程されたならば、必ず議会は通過するものだという御信念に基いて、すでにこうした政令なり、あるいは省令等をなすことの決断をなされ、
閣議
等においてそういう意思表示をなされたのでありましようかどうか。この点を
はつ
きりお伺いしたい。
大屋晋三
12
○
大屋国務大臣
国会の決議においては、
運輸大臣
のとりました
措置
は反対の方向をとることは承知いたしておりましたが、ただいま申し上げました通り、途中において
運輸大臣
の信念に変更が参
つたの
でありまして、その変更された信念に基いて、小口からやりましても、別に不便はない。かえ
つて
その方が効果的である。しかしながらその
措置
をとりまするためには、この
法律案
が議会に提出されたならば、最終的には必ず御審議を願
つて
通過できるであろうと考えてやりましたわけですが、しかしながら私の考え通りに行かずに、もしもただいま御審議を願
つて
おる
法案
の成立ができないということになりますと、非常にここに齟齬を来して、この行政上にたいへん支障を来すことは間違いないのであります。ただ
運輸大臣
の
権限
で、省令あるいは政令においてやりますことを、先に分離してこれを委譲いたしましても、今回提出しました
法案
が通過いたしますれば、前にやりましたことがかえ
つて
効果的であるということについては、かわりはないと考えておる次第であります。
石野久男
13
○石野委員 私は、
大臣
が心境の変化を来した、その理由等についてはよくわかりますし、その他ただいま
大臣
が、はずしておいて、もしあとから来るこの
法律案
が通過すれば、前にや
つた
行為
は非常に効果的になるのだということもまた認めるのであります。問題は、あとから続くところのこの
法律案
が、どのような形態で続くのかということについての認識でございます。
大臣
は少くとも九月十二日におけるところの
委員会
の決議文というものは、十分御承知のはずでございますし、それが国会の意思表示の形態であるということも御存じのはずだと思います。私は当時この
委員会
には所属していなか
つたの
でございますけれども、
委員会
の議事録を見ますると、全会一致でああいう決議文が出されておるのでございます。與党も野党もどちらも含めて、あのような決議文が出ておることは、これは国会の意思である、私はこのように考えるのでございます。このような意思表示が
はつ
きりと
大臣
の胸元にはわか
つて
おる。わか
つて
おるにもかかわらず、しかもそれが長い時日を要したのではなくて、近々わずか一箇月そこそこの間に、このような重大な
行為
を決断力をも
つて
なされる。その決断力は実に偉大であると思います。しかしそれはあまりにも議会を軽視する
大臣
の心境の一端が現われておるものではなかろうか。さように私は思うのでございます。これについては、ただいま非常に楽観的に、この
法律案
があとで国会を通過すれば、非常に効果的だ
つた
というその仮説は、その通りと私は受けまするけれども、しかし
大臣
はそういう仮定が、当時の
委員会
の実情から、はたして生み出されるであろうというふうにお考えに
なつ
たかどうかということを、ここで私はあらためてお尋ねいたしたい。
大屋晋三
14
○
大屋国務大臣
それは議会の決議は、当時も十分に尊重いたしておりましたし、ただいまもその気分にかわりはないのでありますが、この行政の方式を私がとりました通りやるということが、より効果的であるという信念に基きまして、議会に出ました場合には、必ずこれを慎重に検討して御通過を願えるものと考えて、実はや
つた
ような次第であります。
大澤嘉平治
15
○大澤
委員長
代理 ただいまの
大臣
の答弁に対して、なお石野君の質問に対しての
委員会
の処置は、明日
理事
会を開いて
委員長
の裁決を仰ぐということにな
つて
おりますから、御了承願います。
石野久男
16
○石野委員 ただいまの問題につきましては、一昨日米窪氏が
委員長
に対して心境のお尋ねをいたしましたときに、
委員長
は非常に明快な御答弁をなさ
つて
おりまして、あとで
理事
会等でそういう問題に対する処置をされるということは、もちろん承
つて
おります。私はこの点については、
大臣
の心境の変化と時に、與党席の方でも心境の変化があ
つた
ということも聞いておりますので、これ以上私は追究しない方がかえ
つて
いいかと思いますので、その点は押えます。 なおいま
一つ
お尋ねいたしたいのでございますが、特に人事の問題でございます。出先機関を地方に委譲いたしました後におけるととろの人事の問題について、特に地方事務官等にな
つて
しまいまする諸君の、いわゆる所管の問題等についてのことでございますが、これによりますと、地方事務官として
大臣
の所管内に置かれるということにな
つて
おるわけでございますが、そういうときの事務の能率化の点については、かえ
つて
いろいろの点で不自由が来ないかどうかということについての御意見をひ
とつ
承りたいと思います。
大屋晋三
17
○
大屋国務大臣
事務の
内容
は、陸運局長からさらに都道府県知事に委任いたしましたが、お設の通り人事は
運輸大臣
が掌握いたしておりますので、別にこの点に対しまして、執務上に、あるいは人事行政の上に、さしたる支障はないと考えております。
石野久男
18
○石野委員 出先機関が地方に委譲されまして、特に知事が
大臣
に代行していろいろな
仕事
をされるのでありまして、それを
大臣
はやはり所管
大臣
として持
つて
おるから、別段その点については支障はないのだ、こういうふうに言われるのでありますけれども、事実上いろいろの問題をそういうふうに知事に委讓いたしましたときに、
大臣
がその職員の所管をずつと押えておるということによ
つて
、逆にかえ
つて
知事の
仕事
がしにくくなるということはあり得ないのでありましようか。その点について特に当局にお尋ねいたします。
牛島辰彌
19
○
牛島政府委員
身分上の任免権は、
運輸大臣
が全部持
つて
おります。また実際に補職をしたり、賞罰をするという場合には、実際問題としまして県知事の意見を徴してやるということであります。もつとも身分によりまして、下の方の者につきましては、そこの陸運事務所長限りで行いますから、知事までうかがわないということもありますが、補職であるとか、賞罰という点につきましては、
権限
を持
つて
おる者は
運輸大臣
あるいは陸運局長でありますが、実際にやります場合は知事の意見を徴してや
つて
参りますので、その辺は地方自治庁とも十分連絡しておりますから、まず支障はないと考えております。
石野久男
20
○石野委員 業務を
実施
する上において、身分上の問題とか、人事の問題等については、格段支障は来さないと言われるわけでありまして、われわれとしてもこういうことになりますと、逆に人事の干渉が多元化する
傾向
が出まして、従来よりも一層複雑なものにな
つて
来る。かりに賞罰をするについても、知事の意見を聞くということだけでも、そのことが屋上屋を架するようなかつこうになるので、私どもとしてはかえ
つて
逆に煩瑣なものになるだろうと思いますが、ただいま
自動車局長
のお話では、煩瑣にならないと言われるのでありますから、私はそれでおきます。 最後に、地方の吏員の行政整理とは無
関係
だと、こういうふうに言われるが、これは
閣議
了解としての点でそういうことが言われておるのでありまして、今後の問題について、地方吏員の整理との
関係
は
はつ
きりとすでに終
つた
ものとして、これを特別にまた本省
関係
とか、あるいは
国有鉄道
関係
に所属する諸君らと別な
取扱い
をしないということについては、この
閣議
了解の通り今後
実施
される御意向でありますか。
牛島辰彌
21
○
牛島政府委員
その点はこの
閣議
了解をつくりましたときに、地方自治庁とよく打合せをいたしまして、身分は全部こちらにあり、任免権はこちらに持
つて
おります。しかもこちらから分室に勤務を命じた者は、すでに本年度におきまして行政整理を
実施
した後のものであるから、地方庁が新聞紙等において、まだ行政整理が足らないから、さらに
実施
をするというようなことが出ておりますけれども、そういうものとは全然別個のものとして坂扱
つて
もらうということに話合いがついております。
閣議決定
も了解ができております。ただ問題は国の
予算
におきまして、二十五年度
予算
におきまして、物資の統制が緩和されますと、その面で
指定
生産資材その他の事務を取扱
つて
いた者は、
予算
が減りますから、地方庁の人員整理とは全然別個に考えられるわけであります。ただ実際にやめるか、他に転任するかという問題は残
つて
おりますけれども、そういう面の
予算
上の減ということはございます。ございますけれども、地方庁の行政整理によ
つて
、また二度行政整理ということはないと思います。
石野久男
22
○石野委員 よくわかりました。そこでもう
一つ
、二十五年度
予算
におきまして、もしもそういう行整機構の縮小等により、あるいは統制
関係
に新たな
情勢
が出ましたために、整理が行われる。
予算
の面から整理が行われるというような場合における整理については、この委任されておりますところの知事の、それに対するいわゆる発言権といいまするか、そういうようなものとはどういうふうになるのでありましようか。これは全然
運輸大臣
としては考慮することなくして、
大臣
の
権限
内でやれるのか。
牛島辰彌
23
○
牛島政府委員
今度陸運事務所五十二箇所に配置されました人員は、千八十四人であります。このうちには
自動車
の検査であるとか、あるいは登録の事務の人員もおりますし、また実際
指定
生産資材の
仕事
をや
つて
おる者もございます。その物資の割当と申しましても、
自動車
関係
の事務所ですから、主としてガソリン、タイヤ等でありまして、分室の人員からすればきわめて少い人員になりはしないかと思います。しかも五十箇所にわけますと、主たるところの生産資材は全部残りますから、
自動車
関係
としましては、きわめて少いものであると思いますし、それにつきましては、もちろんそういう人員減がございますれば、他に消化するという方法をとりたいと考えております。
石野久男
24
○石野委員 よくわかりましたが、それで問題はその場合における
権限
を委讓されておりまする知事等の、そういうことに対する発言力というものは、どういうことになるのかということです。
牛島辰彌
25
○
牛島政府委員
実際に知事に
権限
をやりましたりは、
仕事
の
権限
を與えておるのでありまして、その
仕事
がなくな
つて
来るのですから、人がそれだけいらなくなる。その場合におきまして、知事と
運輸大臣
と申しますか、陸運局長と
協議
いたしまして、その人の転勤、あるいは転勤する場所がなければやめていただくことになるかもしれませんけれども、人数はきわめて少いのですから、問題はないものと私どもは思
つて
おります。
石野久男
26
○石野委員 そうしますと人事権につきましては、ただ
大臣
だけではなくして、知事等も
相当
にやはり關與するというふうに了解してよろしゆうございますか。
牛島辰彌
27
○
牛島政府委員
人事権の
権限
があるのは、もちろん
大臣
あるいは陸運局長にありますから、その方面から知事に相談をするということになると思います。
大澤嘉平治
28
○大澤
委員長
代理 次は田中堯平君。
田中堯平
29
○田中(堯)委員
運輸大臣
の心境の変化、国会軽視という点については、滿尾委員や石野委員などの意見とほぼ同じでありまするが、しかし時間の
関係
もあ
つて
、ここでは私は繰返しません。この点についての質問は、ここではさしひかえますが、地方へ委讓するという問題について御質問したい。一体委譲をするのはどういう
目的
でやるのか。財政上の何ぼかの儉約になるとか、あるいは行政整理のためとかあるでしようが、しかし行政整理の面でも、さしてこれというものはない。財政上それほど儉約にもならない。にもかかわらず、非常に重要な運輸行政の一貫性というものは、大いに阻害され、寸断されるというわけで、失うところは非常に大きい。得るところはほとんど問題にならぬというわけで、どうも私どもはこの
法案
が理解ができないのですが、その辺のところを納得の行くように御
説明
を願いたい。
大屋晋三
30
○
大屋国務大臣
御質問の点は、これは非常に広汎な
一般
的の問題でありまして、私察するのに、この地方自治行政の完遂を期する。強化を目ざすという
意味合い
から、地方において日々生起いたしまするとこの凡百の行政事務はやはり、どうしても国でなければできないもの以外を除いては、地方庁の手においてこれを
処理
するということが、すなわち地方民の
福祉
を
増進
し、地方の自治体の整備、強化をいたすゆえであるというような
意味合い
で、あらゆる問題に対しまして、地方に行政の委譲ということが叫ばれておるものと思うのであります。従いまして私がこの
自動車
行政を考えまするときには、最初は、しばしば申し上げました通り、どうしても国でやらなければ相ならぬと考えた面は、あくまで国の機関、すなわち運輸省においてこれを保持いたしたいと考えたのでありまするが、やはり地方でや
つて
もさしつかえないという点にかんがみる場合には、地方に移した方がいい、こういうふうに考えましてや
つたの
であります。
田中堯平
31
○田中(堯)委員 今の
大臣
の御答弁によると、地方自治の強化ということに眼目があるような御答弁と
受取
りましたが、そうであるとすれば、一体人事権だけは
運輸大臣
が握る。実務だけは府県自治にまかせるということであ
つて
は、非常に中ぶらりんのものであ
つて
、これでは地方もたいへん迷惑する面も出て来ると思うのであります。もし地方自治の強化ということが眼目であるならば、これは思い切
つて
、一切合財を讓るということの方が、とるべき
措置
であると思うのであります。そこでお尋ねしたいのは、こういうような中途半端な態度、この前も十七ほど分室をつくるというような中途半端な態度、さらにまた一歩進めて、今度は人事権だけはこつちで握
つて
おるが、実務だけは向うにまかせるというような、これまた中途半端な、朝に一城夕に一城というふうに、一歩々々城を落して行
つて
、しまいにはほとんど全部まかせるという御
方針
であるのか。すなわち言いかえるならば、この
措置
が暫定的の
措置
であれは、あるいはこれでよろしいとされる御
方針
であるのか、その点をひ
とつ
伺いたい。
大屋晋三
32
○
大屋国務大臣
この結末を見ました径路は、田中君御承知の通りでありますが、これが暫定的の処置とか、あるいは恒久的の処置とかいうことは考えておらぬのでありまして、要するに地方に委譲をしてもさしつかえない国務であると考えまして、
仕事
を委譲したのでありますが、やはり人事権の方は
運輸大臣
が掌握しておいた方が、ベターであるというふうに考えておりますので、これが必ずしも中途半端な、ぬえ的な
制度
であるとは考えておらぬのであります。もしそれ時間の
経過
、執務の径路を見まして、これが悪い
制度
であるというならば、またいかようにも改正いたすということは、もちろんさしつかえないと思
つて
おります。
田中堯平
33
○田中(堯)委員 しつこいようですが、今の点についてもう一度御質問しますが、人事権は
運輸大臣
、すなわち中央
政府
、それから実務は地方長官というような形は、これは別に例がないわけではありませんが、非常に混乱を来すわけであります。もうすでに私どもは、これは困
つた
ことになるということを予想しておるのですが、もちろん
政府
当局もそういうことを考慮されておると思います。どうも了解に苦しむのは、やるなら一緒にすぽつとやる。やらなければやらないで元に返ればいいという、そこがどうも中ぶらりんな態度で行かれると、またぞろ次の国会で、どうもぐあいが悪いから、全部委讓ということになりかねない。それでは国会の威信にも関するし、
政府
の威信にも関すると思いますが、その辺はもう一度重ねて御尋ねします。
大屋晋三
34
○
大屋国務大臣
この
自動車
業務に従事しております職員は、非常に熟練、経験を要する、いわゆるエキスパートを必要とする面が多いというような事柄もありますし、また最初に考えましたところでは、これはどうしても本省が握
つて
おるべき国務であると考えた面が非常に強いのを、押し切
つて
地方に委譲した
関係
もございますので、全面的に人事権までも地方に委譲するよりも、かえ
つて
これが正しいという考え方でや
つて
おるような次第であります。
田中堯平
35
○田中(堯)委員 この地方委讓については、民間の輿論、ことに
業者
までも加えたところの民間の輿論が、ほとんど私どもの見るところでは、全面的に反対をしておりまするが、こういうふうな国民の輿論というような点については、どういうふうな考慮をされておりましようか。
大屋晋三
36
○
大屋国務大臣
自動車
の
業者
は全部こぞ
つて
、地方委讓に反対であるという輿論もよく承知をいたしております。また各都道府県の自治体の長ないし
関係
者は、全部これを自治体に委譲してくれという熾烈なる輿論のあることもよく存じておりますが、当該の
大臣
としては、
両者
を勘案して適当に考慮いたしたつもりでおります。
柄澤登志子
37
○柄澤委員 向うの観光
委員会
におりましたものですから、あるいは重複するかもしれません。このことは何べんも谷委員から
運輸大臣
に御質問があつ先と思いますけれども、当時本多国務
大臣
と
大屋
運輸大臣
との間に、
相当
意見の食い違いがありまして、私どもふ
大屋国務大臣
の意見に対しましては非常に心強く思
つて
いたわけでありますが、あのころにあのくらい強硬に主張されておりました
大屋国務大臣
の御意見というものが、またこの
運輸委員会
の全体の決議とな
つて
おりましたものが、
閣議
でぐつがえされるという点について、国会の権威が失墜されるように思いますが、
運輸委員会
の全体の決議に対して、
運輸大臣
はどういうようにお考えにな
つて
いらつしやいますか。
大澤嘉平治
38
○大澤
委員長
代理 柄澤委員に申し上げますが、昨日も米窪委員からその点についての質問がありましたし、なお本日石野委員からの質問もありましたので、それについては明日
理事
会を開いて、この
委員会
に対しての
理事
会としての決議をして、
委員長
から
大臣
に対して適当の処置を講ずるということにな
つて
おります。御了承を願います。
柄澤登志子
39
○柄澤委員 この前米窪委員に対する
大臣
の御答弁を承りましたが、実に抽象的で、ただ心境の変化というような御答弁であ
つた
ように思いまする私ども当時地方庁へ委讓することに反対いたしました最も大きな根本的な原因は、運輸行政の
全国
的な一元化というものが、地方へ委譲されることによ
つて
そこなわれるという点でございます。また
運輸大臣
はその点については同じ御意見であ
つた
と思います。心境の変化というのは、そういう具体的な問題に対する御見解が、時間がたちましたことによ
つて
どうおかわりに
なつ
たかということでございます。地方自治体の強化ということが、今度の
法案
の中心にな
つて
いるように考えられるのでございますし、地方自治体の強化ということを名目にしておりますけれども、実際に地方へ行
つて
参りますと、各省における省の達というような形でも
つて
、いろいろのものが中央から参りまして、中央の命令に従わなければならぬというような形で、地方自治体の官僚は自主性を持
つて
おらないのでございます。あらゆる行政機構のフアッシヨ的な、独裁的な全体のこう、う
方針
と、言葉だけの自主化、民主化が、具体的にどう行われるかということが問題になると思います。あの当時あれほど強硬に運輸行政の一元化を主張されておりました
運輸大臣
の心境の変化ということが、そういう点でどういうふうにおかわりになうたかということでございます。
大澤嘉平治
40
○大澤
委員長
代理
大臣
はそれに対しては答弁がないそうであります。ますから、本日はこれにて散会いたします。なお次会は公報をも
つて
お知らせいたします。 午後四時十五分散会