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田村文吉君 これは議論すると相当に根本問題になるのでありますがね。我我実際家として考えておる問題は、一体失業保險なんか事業主によ
つては無暗に人を取らん代りに人も失業させない、それで経営がよくや
つておるから別にそういうトラブルは起さない。仮に起す場合には退職金等の制度によ
つてこの人達が救われる
方法をや
つておるのだ。ところが会社によ
つては大量に入を入れる、その代りに首切りだとい
つて二割でも三割でもどんどん首切る。そういうような人の費用を、眞面目にや
つておる事業家から
保險料を拂わせるということは実に馬鹿げたことだ。こういう考え方に出て、生命保險であるとか、火災保險であるとか、不可抗力にして起る災害であつた場合には、これは隣保扶助の
意味で
保險金を作
つて、民間の保險によ
つて保險しているということは分るのだが、一体そういうことでない。國家の一つの政策か、或いは又その事業主の不明か、不健全かによ
つてそういう不都合の出たものを、まともの事業を経営しておる人が負担して行かなければならん、又まともの労働者自体がそういうものを負担して行かなければならない。こういう点についてどうも保險の制度でないのじやないか、これならばむしろ
政府はあれで、一旦事業主が貰うものは貰
つて、退職金は退職金としてはつきりは決めて、それから支拂わせる。こういうふうにやつた方がいいじやないか。こういう考えが出て來るわけであります。そういう点で私は小さな事業主あたりを廻
つて見ると、失業保險というものを何のためにやるのだか、ただ税金を取られると、こういう感じを持
つておる人が多いということについては、何かもつと半々に持つとかということについてのしつかりした一つの論拠が欲しい。こういうふうに思うのでありますが、今欧米の例は伺いましたが、なぜそういうふうな事業主に責任がありと見るならば、そういう事業主の経営のやり方の惡い人は惡い人で責を負うべきもので、何もまともにや
つておる人はそういうのを背負う必要はないじやないかとこういう論拠なんでありますが、今までは失業
保險料というものも今のようにこのいわゆるインフレ時代には大したことではないからいいのでありますが、これから深刻な不景氣が参りますと、可なりこの問題は現に御提案に
なつておる表を見ましても、昨年の十二月から本年の二月にかけて段々失業者というものは殖えておる。恐らくは今度
大藏大臣が見えたら伺いたいのでありますが、二月、三月もつと殖えるのじやないかと思う。そういう点で根本的に
ちよつと疑念を持つものですから伺いたいのであります。
もう一つはこういう制度ならば一体この事業主なら事業主が、健康保險
組合を作るように。失業保險
組合を作るようなことについて
政府は考えておられるか、こういうことも考えて頂いていいのじやないか。