○
政府委員(
齋藤三郎君) その二十
五條の
事務官の中から命ずる。」という
規定を抜きましただけで、これもやはり
職員の
任用に関する分でございまして、
人事院規則で七月一日までにこの委員会の局長は
事務官の中から
任命するという
趣旨の規則をお出しになる
予定にな
つております。從
つて抜いた次第でありまして、要するに特別の
任用に関する分は人事院が統轄しておるから、人事院の規則でや
つて、いろいろの規則を各方面にばらばらに散在させることはよくないと、こういう
関係方面の意向もありましたしいたしましたので、この二十四條、二十
五條、二十六條というのは同じ
趣旨でございます。それで三十三條の一項の四号でありまするが、この
規定は刑法の
改正、
刑事訴訟法の
改正を前提としての
規定であります。相並行しての
規定でございまして、刑法二十
五條の二で、
裁判所が特に必要があると認められるときは、執行猶予をする際に観察に付するという言渡しができる。こういう
規定が刑法
改正案の二十
五條の二にな
つておつたんであります。それに並行いたしましてさようなふうにして、執行猶予中特に
裁判所が必要ありと認めて保護観察に付した者は、この三十三條の
規定によりまして、この委員会が保護観察をやるんだ、こういう
規定であります。提案いたしました立案の考えでは、執行猶予について殊に思慮分別の十分にある大人について執行猶予に付する際に、更に保護観察を付するということは、却
つて述効果、反対のいろいろな刺戟をして工合が悪いということは、重々
承知いたしておつたんでありまするが、ただ特に
裁判所が必要があ
つて、無
條件では執行猶予になしにくい。併し或る種の
條件を付してそれを保護観察して呉れるものがあるならば、執行猶予もでき得るというふうにして、執行猶予の運用の幅を広めることも可能ではないか、そのような考えでこの三十三條の四項を入れたのでありまするが、
衆議院の
法務委員会の御審議の際は、さようなことも理論としては十分考えられる。併し
從來の経驗に徴して見ると、法務廳が立案の際、さようなことを考えておつたにしろ、現在は別個の機関である
裁判所がなされるのでありまして、これを運用の際、
從來無
條件で執行猶予にしておつた者について、遵守事項を決めて、それを保護観察に付するということは甚だ運用上不当の結果を生ずる虞れがありはしないかという点を非常に御心配になりまして、更にかような
制度について今まで全然なか
つたのでありますが、会期の押し迫つた今日、さような大きな変革をすることはなかなか思い切
つてやることができないので、これは十分は研究をして、或いは又保護観察の若干の実行をやつた結果、その実績を見て後に考慮すべきではないか、かようなお考えからこの案を
修正されまして、満十八歳未満の者について執行猶予の言渡しを受けた場合には、勿論禁錮以上のものでありまするが、禁錮以上の刑について執行猶予の者は、執行猶予の期間中当然に保護観察に付するような
改正がなされた次第であります。これは満十八歳は現在の
制度の
通りであります。現在の
制度は、満十八歳未満の者が執行猶予になりますと、言渡しをした
裁判所に対應する檢察廳から、少年審判所に通知がございまして、そうしてそれについて少年審判所が観察をいたしておるのであります。その
根拠になりまするものは、昨年末の
國会において御
修正相なりました
少年法の六十九條という一番おしまいの
條文でありまするが、それによりまして、旧
少年法が犯罪者予防更生法ができるまで保護観察に関する必要なる
規定が有効であるなら効力を有するというふうに
改正に相成りまして、そうして旧
少年法の第六條において「少年ニシテ刑ノ執行猶予ノ言渡ヲ受ケ又ハ假出獄ヲ許サレタル者ハ猶予又ハ假出獄ノ期間内
少年保護司ノ観察ニ付ス」こういう
規定がありまするが、この
規定によりまして、現在犯罪者予防更生法が
施行されるまで、満十八歳に満たないで禁錮又は懲役の刑について執行猶予の言渡がありますると、保護観察に付しておりますので、この現行法の
程度において本
法案が受継いでやるようにな
つたのであります。それで三十三條がさように
改正に相成りましたに從いまして、又の項の三十四條の第二項で、「又は刑法第二十
五條ノ二の
規定により、
裁判所が定めた遵守事項」ということはある得ないことになりますので、これを当然に削除すること、それから四十六條におきまして、地方少年委員会又は地方成人委員会が、執行猶予の言渡を受け保護観察中の者について、「遵守すべき事項を遵守しなかつたことを理由として、」この「又は地方成人委員会」と、「遵守すべき事項を遵守しなかつたことを理由として、」、これだけは要らないことになりますので、これを削除した次第だあります。結局運用におきましては、十八歳未満で執行猶予になりますと、その期間中この保護観察に付せられますので、執行猶予が御
承知のように、一年以上五年の期間を定めて執行猶予をしておりますから、二十三歳未満の
うちは場合によ
つては保護観察に付するということなのでございます。それでかような
修正についての法務廳としての考え方でございまするが、これは私共の最初の考えでは、先程申上げましたように、執行猶予の幅を廣くして、保護観察
制度を強化すると同時に、執行猶予の幅を廣めよう、こういう
趣旨でございまするが、運用の上で御心配になるということも、これ又無理からん点もあると思うのであります。と申上げますのは、本年度の
予算が、この
法案についての
予算が、全体で二億円程でございまするが、この二億円という
予算は今日まで、現在もさようでありますが、今日まで少年審判所及び司法保護委員会、さような方面に割当てられておつた
予算でありまして、結局現有勢力を結集いたしまして、それを切替えてこの
法案の運用に当る、かようなことにな
つておりますので、余りに低く対象者の数が殖えると十分の実績を挙げ得ないという解釈もあるのでありまして、さような点から言いまして、私共としては当初はさように考えておりましたが、
衆議院でさような御心配ならば必ずしもそれに対して反対すべきものでもない、こういう
関係で、將來はこの
法案の運用について、十分勉強いたしまして、日本において初めての
制度でありまするので、十分研究もし、又十分勉強もして実績が上りまするならば、相当の
予算も頂戴して、そうして執行猶予の幅を廣くするなり、或いは又更に一歩を進めまして、宣告猶予
制度と、この保護観察の
制度を並びとるというところまで進めたいものだと考えておりまして、
衆議院の
修正の理由としてお述べになりましたのも、この原案が必ずしも悪いというのではないが、刑法の
改正という大きな事項を、早急に是非を決定するのには時間もないから、当座のところ現行
制度でやつたならばどうかという点でありまして、將來については十分研究をして、或いは宣告猶予の
制度を考える必要もあるのではないか、こういうことも理由にお述べにな
つておつたような次第でございまして、私共もさような理由であれば、これ又十分理由のあるものと考えまして、かような
修正に相成つたような次第であります。