○衆議院議員(古島義英君)
法務廳の
意見でなく、
政府委員の
意見か知れませんが、いずれにしても
法務廳を代表してあなたが
意見を述べたのであるから、
法務廳の
意見として私は受取る。実際これが必要がないというようなことも
考えておるようでありますが、訴を起す場合において、訴が起し得なか
つたというようなことでない。戰地にあ
つて生死不明である場合においては、訴を起すことはなかなか困難である。そこで戰死したという通知が來たのであるが、ところが今通知が來た、実際は十八年に死亡しておる場合においては、どうしても訴を起すことはできないのであります。もうすでに死亡のときより計算してある以上は、死亡したときから計算……死亡を知
つたときからと
法律に書いてあれば何でもない。死亡したときからという以上は、今通知があ
つて死亡とたことを知
つた、こういう場合もできない。このときには私もこの
法律を拵える
考えは、本人が場きている場合、本人が訴を起し得られる場合は、これは殆んど
法務廳の
お話の
通りでありますが、ところがそうでなくて今頃通知があり、若しくはこれは戰死した場合、死亡した場合を予想しておる。死亡した場合でも公報が後で來るような場合においては如何ともいたし方がない。又公報の來ないような、軍属でも何でもないような者があ
つて、外地で死亡したという場合、これはどうしても認知の訴を起す
方法がない。即ち
檢事を相手として訴を起すことを予想して、この
法律を
考えたのです。然らば訴を起せたか、起せないかという問題よりは、今日起そうとして起せないということを救済しようというのが狙いである。殊にこれは請願も大分出ておるのでありますが、現在通知を受けた、通知を受けたがこれが出せんで困
つておるという請願が衆議院の方には出てお
つた。殊にそうでなくて、こういうことも予想せんければならん。戰爭の始まりましたときに應召されました人、嫁さんを貰
つたばかりである。そうすると、若し万一嫁さんが妊娠でもしているというようなとき。妊娠していないでも籍を入れるというようなことをすると、その扶助料が嫁さん、若しくはその胎兒の方に來てしまう。これはいけないというので、慾の深い親があ
つて、それが殊更に嫁さんの籍を入れずにおいた。そのうち出征したが、その出征先で戰死した。こういうふうな場合においては今度は得たり賢しになるのであります。即ち嫁さんの籍を入れずに置いたがために、子供も摘出でない子供がそこへできてしまう。そのときには通知があ
つても尚このことを容易に里方に知らせずに置くから、通知があ
つた場合においても尚訴が起せない。そういうふうなときにはいたし方がない。もう泣き寢入りするより外ない。併しながら実際は式を挙げ、そうして
相当な盛典を挙げた上に嫁入りしたのであるから、その子供というものは実質上の摘出子でなければならなのであるが、不幸にして籍を入れずに、そういう慾の深い父母のために遂にその子供までも摘出でない子供に
なつてしまうのは氣の毒である。このときにはやはり
檢事を相手にして訴えればいいというのが、あの十七年の
改正であります。それ程の
改正をして子供を救済しようというだけの心持があるならば、戰爭で死んだ、公報が後で來る、又公報の來ないような場合があ
つても、それとやや事情を同じうするような場合に死亡した者の子供はこれを救済せねばならん、こう
考えているのでありますから、あなたのお
考えとは全く違うと思うのであります。それから四十四條でありますが、そういうふうな解釈にはならん。四十四條は勿論届出を怠
つた場合にできるものであ
つて、催告をしてそうして届出をさせるように
なつている。ところが二十四條の方に行くと、誤謬のあ
つた場合でも、若しくは届出をしないというような誤謬を直さん場合でも、そういうときには、この
司法事務局の長の許可を得てやるということに
なつている。二十四條の戸籍の記載を
法律が許さない場合、若しくはその記載に錯誤のある場合、若しくは遺漏がある場合、市町村長はその届出の通知をする。今度はそれを直すだろうと思うが、而も通知を受けたに拘わらずこれを直さずにお
つた場合においては前項の通知をすることができない。又は通知しても戸籍の訂正の申請をする者がないときは、市町村長は監督
司法事務局の長の許可を得てこれの訂正をすることができる。こう
なつているのであります。この四十四條の準用による戸籍の訂正による死亡であ
つても、実際はそこに死亡の主が間違
つているとか、或いは何かそこに誤謬があるというような場合には、この條項を入れて置かないとこの部分だけが拔けてしまう。そこで一切を包含しまうというのならば、やはり四十四條の規定の準用による二十四條のこの部分までも含ませないと片輪に
なつてしまうから、特に含ませたが、これは字句の問題じやない。四十四條の通知、四十四條を戸籍に持
つて参りましたのは四十四條だけでなく、四十四條にこれを準用しているのが二十四條であるから、これを含ませようという自分の方の含みから入れたのであります。字句の問題であれば四十四條の、戸籍の訂正による死亡の記載、こうあるが、この
意味を指しているのであります。何かの誤解があるだろうと思います。