○
國務大臣(
殖田俊吉君)
罹災都市借地借家臨時処理法第二十
五條の二の
災害及び同條の
規定を適用する
地区を定める
法律案の
提案理由を御説明申上げます。
罹災都市借地借家臨時処理法は、或いは罹災建物の旧借主に優先的に借地権を所得させ、或いは罹災地の借地権で今後存続させる意思のないと認められるものを消滅させる等の途を開き、借地借家
関係を調整して、戰爭による罹災都市の急速な復興を図ることを目的として制定されたのでありますが、その後同法の
改正により、第二十
五條の二の
規定が追加せられた結果、戰災の場合のみならず、別に
法律で指定した火災、震災、風水害その他の
災害の場合にも、同法の
規定を適用して、かかる
災害地の復興の促進に資することとな
つたのであります。そして同法第二十七條第二項によりますと、その適用
地区も亦
災害ごとに別に
法律で定めることとな
つているのであります。
よ
つて去る二月二十日、秋田縣能代市に発生いたしました火災につきまして、地元の秋田縣及び市の意向をも参酌しまして、その被害
状況等を調査檢討いたしましたところ、右
災害につき、同
地区にも
罹災都市借地借家臨時処理法の
規定を適用することといたしますのが、同市の借地借家
関係を調整して、以て速かに復興させるゆえんと
考えられますので、ここに本
法律案を提出した次第でございます。
何とぞ
愼重御審議の上速かに可決せられんことをお願いいたします。
その次に、
訴訟費用等臨時措置法の一部を
改正する
法律案の
提案理由を御説明いたします。
執行吏の恩給については、御承知の通り執達吏規則により執行吏が手数料の不足額を國庫から補助を受ける場合の基準額たる六百円を俸給年額とみなして算定することにな
つておるのであります。然るに手数料不足額の國庫補助の基準額は、統戰後における諸物價の高騰に伴い、数次に亘
つて増額せられましたにも拘わらず、ひとり執行吏の恩給については從前通り六百円を基準として算定されているわけであります。又他方昭和二十三年
法律第百九十号、恩給法臨時特例の制定により、一般公務員の恩給については、その額の算定につき俸給額の増加部分を制限することを止めると共に、すでに給與事由の生じたものに対しても
相当程度の増額を認めることとなりました。從いまして執行吏の恩給についても、これに倣い、その臨時的
措置を取る必要があるのでありまして、これがこの
法律案を提出した
理由であります。以下
改正の要点を申上げます。
第一は、執行吏の受くべき恩給年額は、執行吏に対する國庫補助の基準額を定めた
政令の額を俸給額とみなして算定しようとするものであります。執行吏に対する國庫補助の基準額は、物價の変動に即應するための臨時的
措置として、
訴訟費用等臨時措置法第
五條により、その定めを
政令に委任しているのでありますが、執行吏の受くべき恩給額は從前の建前から申しましても、この
政令の定める額にスライドせしめることが最も合理的であると
考えられますので、この
措置を講ぜんとするものであります。第六條が即ちその
規定であります。そしてこの
措置は昭和二十三年七月一日以後に給與事由の生じたものに適用せんとするものであります。
第二は、同年六月三十日以前に給與事由の生じた執行吏の恩給については、一般官吏の例に倣い、同年九月分までは尚從前通りとし、同年十月分以後は一万五千八百四十円を俸給年額とみなして算出した額を恩給年額としようとするものであります。尚この一万五千八百四十円という額は、現在恩給額の算定上執行吏の俸給額とみなされている六百円という額を、前述の恩給法臨時特例の例に倣
つて増額したものであります。附則第二項及び第三項がその
規定であります。
何とぞ
愼重御審議の上速かに可決せられんことをお願いいたします。その次は、
公判前の
証人等に対する
旅費、日当、
宿泊料等支給法案の
提案理由の御説明をいたします。
本案は、
刑事訴訟法の実施に伴い、旧
刑事訴訟法の下において制定されていた大正十三年司法省令第十一号
証人、鑑定人、通事又は飜訳人に
旅費、日当、止宿料給與の件を
改正し、且つ國費支出の根拠を明確にするため、これを
法律にしようとするものであります。
この大正十三年の司法省令は、
刑事訴訟費用法に
規定している場合以外で、
刑事手続に関して
証人等に
旅費等を支給し得る場合を
規定し、その額について
刑事訴訟費用法の
相当規定を準用しているのでありまして、その場合としては、旧
刑事訴訟法第二百五十
五條の
規定により
檢事の
請求した強制の処分につき
裁判官の召喚した
証人、鑑定人、通訳人又は飜訳人に対して支給する場合、
犯罪捜査につき
檢事の呼出に應じて出頭した者に対して支給する場合等を
規定しているのであります。本案第一條は、いわば右の前者の場合に
相当するものであり、本案第二條は、方の後者の場合に
相当するものであります。
新
刑事訴訟法第百七十七條は、被告人、被疑者又は弁護人からの
請求により、証拠保全のため
裁判官が
証人尋問等の処分をする場合を
規定しており、同法第二百二十六條及び第二百二十七條は、
檢察官の
請求により、いわば証拠保全として
裁判官が
証人尋問をする場合を
規定しておりまして、いずれも旧
刑事訴訟法第二百五十
五條の場合に類比すべきものであります。ただこれらの場合には新
刑事訴訟法の解釈といたしましては、これらの
規定により喚問された
証人等は、
旅費等の
請求権はすでに
刑事訴訟法自体により認められており、ただその額が決定されていないものと解されるのであります。そこで本案第一條では、その額につき
刑事訴訟
費用及び
訴訟費用等臨時措置法の
相当規定に準用することにいたし、且つ必要な読替
規定を置くに止めた次第であります。
次に、新
刑事訴訟法第二百二十三條は、
檢察官、
檢察事務官又は司法警察職員は、
犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取調べ又はこれに鑑定通訳若しくは飜訳を嘱託することができる旨を
規定しておるのであります。本案第二條は、前述の司法省令の
規定している後者の場合を新
刑事訴訟法のこの新らしい條文に当嵌めて
規定したものであります。ただ新
刑事訴訟法では、
檢察官の外同じく
檢察廳の職員である
檢察事務官も廣く捜査
権限を認められておりますので、
檢察事務官の取調べ又は嘱託した者にも
旅費等を支給することができるものとすると共に、司法警察職員の取調べ又は嘱託した者については予算的
措置、その他尚研究すべき点がありまするので、本案としましては、從前通り別に
規定を置かぬことにしたのであります。そういたしまして
檢察官又は
檢察事務官の取調べ又は嘱託を受けた者は、
刑事訴訟法上に
旅費等の
請求権を認められておりませんから、本案第二條によ
つて檢察官の裁量により、且つその額については
刑事訴訟費用法及び
訴訟費用等臨時措置法の
規定するところに準じて、これを支給されることになるのでありまして、これらの点は從前と同様であります。
以上が
提案理由の説明でございます。何とぞ
愼重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
その次は、
刑事訴訟費用法の一部を
改正する
法律案の
提案理由を御説明いたします。
本案は、いわゆる在廷
証人に対しても
旅費、日当、宿泊料等を支給すると共にこれを訴訟
費用の一部を加えようとするものであります。職権主義を基調とし、且つ起訴と同時に一件捜査記録が
裁判所に引き継がれることにな
つておりました旧
刑事訴訟法の下におきましては、在廷
証人の利用は数えるに足りる程度で、殆んど問題になることがなか
つたのでありまするが、職権主義が後退し、多分に当事者主義が採り入れられ、且ついわゆる起訴状一本主義が
採用せられている新
刑事訴訟法になりましてからは、この在廷
証人の利用が從來に比し著しく活溌にな
つて來ておるのであります。これは証拠は先ず
檢察官なり、被告人又は弁護人なりの当事者側から提出することにした新
刑事訴訟法の当事者主義的構造にももとらず、且つ全体としての審理の促進を図る上からいたしましても当然の傾向と認められるのであります。而して、かかる在廷
証人は、当事者の求めにより、当該
公判期日に出頭して來ているものでありますから、
裁判所において
証人として
採用され、取調を受けた以上、当初から
裁判所が喚問した
証人とその取扱を同じにするのが
相当と認められるのであります。尚鑑定人等についてもこれに準じて
考えられるのであります。それでこれらの者に対しても
旅費、日当、宿泊料等を支給し、これを訴訟使用の一部に加えることにいたした次第であります。
以上で簡單ながら
提案理由の御説明を終りますが、何とぞ
愼重御審議の上、速かに御可決あらんことを願います。
その次は、司法警察職員等指定應急尊置法等の一部を
改正する
法律案の
提案理由を御説明いたします。
第一は、司法警察職員等指定應急
措置法の一部
改正でありますが、御承知の通り運輸
事務官、鉄道手等の國有鉄道の職員につきましては、從來大正十二年勅令第五百二十八号により司法警察官吏の職務を行う者として指定されており、
改正刑事訴訟法の下におきましても、司法警察職員等指定應急
措置法により從來と同様に司法警察職員として指定されているのでありますが、今回日本國有鉄道法の施行に伴いまして、これらの職員は公法人たる日本國有鉄道の役員又は職員となることと相成りましたので、これを新たに司法警察職員として指定する必要を生じ、これを司法警察職員等指定應急
措置法中に
規定することといたしたのであります。尚指定の
方法につきましては、先に申述べましたように日本國有鉄道が国家の手を離れた公法人であることに鑑みまして、從來のごとくその指名権者を当該役職員の所属する
事務所の長に一定する
方法によることなく、運輸大臣が適当と認める者を指名権者として選定することとし、指名について運輸大臣の
監督の道を残したのであります。
次は、海上保安廳法第三十一條の
改正でありますが、現在海上保安官につきましては、二級の海上保安官が司法警察員として、三級の海上保安官が司法巡査として職務を行うものとせられているのであります。ところが二級の海上保安官はその数が比較的少なく、そのために司法警察員として捜査
事件の処理をいたします際に少なからん不便を感じて來たのであります。そこで、本案におきまして、司法警察員と司法巡査の区別を海上保安廳長官の定めるところによるものといたしまして、その職務の遂行を円滑ならしめることにいたしたのであります。
以上御説明いたしましたように、本案は、特殊司法警察職員の機能を十分に発揮せしめるため是非とも必要な應急的
措置を
規定いたしましたものでありますから、何とぞ
愼重御審議の上速かに可決せられんことを望む次第であります。
その次は、
会社等臨時措置法等を廃止する
政令の一部を
改正する
法律案の提案の
理由を御説明申上げます。
会社等臨時
措置法は、昨年十二月三十一日同法施行令と共に、連合國最高司令官の覚書に基き、
政令第四百二号を以て廃止したのでありますが、その際、その附則において同法及び同法施行令中の若干の
規定について、本年四月三十日まで尚効力を有するものといたしました。元來同法は第一條の示すように戰時中の特例を定めた
立法でありますが、同法の
規定の大部分は戰時中の窮迫して社会
事情、例えば交通通信の不便、物資の不足、戰爭による
災害等に対処する
措置を定めたものでありまして、同法が廃止された当時におきましても、尚このような
事情が完全に解消するに至
つていないため、これらの
規定の効力を尚存続させる必要がありましたのと、他面その一部の
規定は、会社経営の実情に適するものとして、
経済界からその恒久化が要望されておりますので、これを恒久法とすることの可否を檢討し、必要があれば商法の中に取入れる等の
措置を構じなければならない
関係上、そのときまでこれらの
規定の効力を、失わしめないで置くのが
相当と
考えられたからであります。ところで今日尚前述の窮迫した社会
事情は尚完全に復旧しておらず、又恒久
立法とすることの可否についても尚檢討を要する
状況にありまして、現に効力を有するこれらの
規定につき、更に本年十二月三十一日までその効力を存続させる必要がありますので、この点について前述の
政令を
改正するため、この
法律案を提出いたしたのであります。ここに有効
期間を延長しようとする
規定は、先ず会社に関するものとしては、会社等臨時
措置法第二條から第三條に二まで及び第
五條並びにこれに関連する施行令の諸
規定であり、会社以外の法人に関するものとしては、第八條及びこれに関言する施行令の
規定であります。これらの
規定について関單に御説明をいたします。
会社等臨時
措置法第二條の
規定は、資本金二十万円未満の株式会社の公告の
方法について、商法第百六十六條第二項に定める公告
方法によることを要しない。訟ち官報又は時事に関する日刊
新聞紙に掲示して公告することを要しないとするのでありまして、用紙欠乏による官報及び
新聞紙の紙面不足に対処いたしまして、併せて会社の経費の負担を軽減させるものでありますが、今日尚
新聞紙の紙面不足等の
事情は解消しておりません
状況でありますので、この
規定の効力を存続させることとしたのであります。
第三條の
規定は、株主の数が千人を起える株式会社について、株主総会の招集法方を簡易化し、且つ商法第三百四十三條の特別決議をするための総会の定足数を緩和するものでありますが、この
規定を設ける根拠とされた戰時中における交通通信の不便という
事情は近時大いに改善されましたけれども、反面におきまして交通費、通信費の著しき増大と、株式民主化の趨勢に伴う株主数増加の傾向とによりまして、今後商法の
要求しているような総会招集の通知及び特別決議の定足数の出席がますます困難となることが予想されるのでありまして、この
規定を今直ちに失効させることは、会社経営に大きな
支障を與える虞れがあり、この点に関する商法の
規定を再檢討する必要ありと
考えられますので、本條も又その効力を存続させようとするものであります。
第三條の二の
規定は、戰災その他の
災害により、株式名簿を喪失し、記名株主の全部又は一部の氏名又は住所を確知することのできなくな
つて株式会社について、当該株主に対する総会招集の通知を省略し、その者を特別決議の定足数ため株主の数に算入しないこととし、戰災を受けた会社の運営に
支障なからしめようとするのでありますが、戰災により株主名簿を喪失した会社で、今日尚記名株式の株主の氏名又は住所を確知し得ないものが存在しますので、第三條と同様この
規定の効力を存続させることにいたしたのであります。
第
五條は、日本興業銀行、日本勧業銀行その他
法務総裁の指定する株式会社の社債の登記に関し簡易な手続を認めるものであり、これらの会社は多くは特別の法令を定によりその社債発行額の限度が商法所定の限度よりも高いため、社債発行の額及び数が非常に大きく、その登記が煩瑣に堪えないので、その手続を簡易化し、その手数及び
費用を節約しようとするのでありますが、その社債発行の頻度数は減少しておらず、又社債に関する登記事項について商法の
規定を檢討する必要もあるので、この
規定も亦その効力を存続しようとするのであります。
第八條の
規定は、会社以外の法人に関し、その発行する債券の登記について第
五條におけると同様な取扱をするものであり、第
五條と同様の
理由でこの
規定の効力を存続しようとするのであります。以上述べましたところが
政令附則第二條の
改正であります。
尚、敍上の
改正に伴い、
政令中の経過
規定に所要の
改正を加える必要がありますので、これを附加いたしました、附則第
五條の
改正がこれであります。何とぞ
愼重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
次に、
公証人法等の一部を然正する
法律案でございます。その
提案理由を御説明申上げます。
公
証人に対する
監督事務につきましては、一昨年五月、
裁判所の分離独立に伴い、これより切離して法務
行政の下に置かれることとな
つたのでありますが、当時止む得ない
事情から、一般的な應急
措置が施されたに止まり、
裁判所の分離に伴う公
証人法の
規定の整理は見送られて今日に至
つたのであります。ところがこの度再び
法務廳の機構の改組に伴い、公
証人法の
関係規定を整理することが必要とな
つたのであります。尚、同法が
規定する公証の手続等に関しては、從來徒らに煩瑣に過ぎ、時代に即さないものがありますので、この際これを是正すると共に、又公
証人の任用
資格等についても現状に即するよう
改正を加える必要があるのであります。これがこの
法律案を提出した
理由であります。以下
改正の要点を御説明申上げます。
第一は、
法務廳設置法の一部を
改正する
法律により、司法
事務局又はその出張所が法務局若しくは
地方法務局又はその支局若しくは出張所に改組されると共に、公
証人懲刑
委員会については、これを公
証人審査会として同法に
規定されることになりましたので、これらに伴い、公
証人法の
関係規定を整理しようとするものであります。公
証人法第七條乃至第十一條、第一四條、第一
五條、第一七條、第二十一條、第二十四條、第二十
五條、第六十二條ノ二、第六十二條ノ五、第六十三條、第六十四條、第六十六條乃至第六十八條、第七十一條、第七十三條乃至第七十六條、第七十八條、第八十一條乃至第八十三條及び第八十
五條の
改正規定がこれであります。
第二は、公証、認証等の手続を簡素化しようとするものであります。公
証人が公正証書を作成し、私署証書等に認証を與える
行爲は、私権に重要なる
関係を有するものでありますから、公証
制度の権威のためにも軽々にその手続を簡易化することは嚴に愼まなければならないことではありますが、併しながら現行法の
規定は余りにも嚴格に過ぎ、
却つて公
証人は勿論当事者に対しても徒らにその煩に堪えざらしめておるのでありまして、この度公証
制度の
趣旨に反しない
範囲内においてこれを適当に是正して、ますます公証
制度の機能を発揮せしめようとするものであります。尚、公
証人の調製する帳簿についてもこれを簡易化するよう若干の修正を試みました。公
証人法第二十八條、第三十二條、第三十四條、第三十六條乃至第四十二條、第四十四條乃至第四十七條、第五十一條、第五十
五條、第五十九條乃至第六十二條及び第六十二條ノ四の
改正規定がこれに当ります。
第三は、公
証人の任用
資格等につき、現行法では判事、
檢事又は
弁護士たる
資格を有する者に限
つて、所定の試驗及び実地修習を経ないで公
証人に任ぜられることができるのでありますが、これでは広く適材を求めるに適しない憾みがありますので、この度これを
改正して、多年法務に携わり、公
証人の職務に必要な学識経驗を有する者で、公
証人審査会の選考を経た者も亦試驗及び実施修習を経ることなくして公
証人に任ぜられることを得るものとしようとするものであります。尚、公
証人の住居、筆生の名称、身元保証金及び過料の額等についてもそれぞれ所要の
改正を試みました。公
証人法第十二條、第十八條、第十九條、第二十四條、第三十四條、第八十條及び民法第九百七十四條、
改正規定がこれに当ります。何とぞ
愼重御審議の上、速かに可決せられんことをお願いいたします。