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1949-06-15 第5回国会 参議院 法務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月十五日(水曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件檢察及び裁判運営等に関する調査  の件  (小田原事件米子事件勝間事  件、奈良事件京都地檢事件)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。  本日は檢察及び裁判運営等に関する調査事件といたしまして、小田原事件米子事件勝間事件奈良事件京都地檢事件、これらに対し法務廳の御報告の範囲内において、御説明を伺います。
  3. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 会議に付せられておりまする事件につきましては、前々から法務廳に対して報告がございまするので、その報告限度において、現在当方に分つております状況を御説明申上げたいと思います。特にこの調査目的報告を取つておりませんので十分御満足の行くような事情が判明しない点もあろうかと存じまするが、予め御了承を願いたいと思います。  先ず第一に、この日本シルク附随事件としての小田原事件でありまするが、これに対しましては、法務廳に対して現在までのところ詳細な事件内容報告がございません。ただ昨日東京高等檢察廳檢事長から、現在同檢事長手許におきまして、横浜地方檢察廳小田原支部長檢事宮崎保興及び同廳檢察事務官柏木平吉の両名の行動について、やや遺憾の事実がありましたので、現在調査中であるという報告に接しておりまするが、法務廳といたしましてはまだその内容承知いたしておりませんので、この程度で御了承願いたいと思います。  第二に米子檢察廳事件でございまするが、これは当時新聞紙等においてもいろいろに論議された事件でございまするので、大体の外貌は各委員におかれても御承知のことと思いまするが、一應の経過を御説明申上げますると、本年の三月三日に日本共産党鳥取縣委員会委員長龜井文二という者から、國家地方警察島根縣本部島根縣警察隊長宛に、鳥取地方警察廳檢事楢原義男、同廳副檢事船越金太郎、同廳事務局長西丸保吉、同廳檢察事務官仲田一二、同徳永武雄、同武田藤四郎の六名に対しまして、公務員職権濫用特別公務員職権濫用及び住居侵入告発が提起されまして、この事件を三月二十二日から廣島高等檢察廳次席檢事岡吾市鳥取地方檢察廳檢事正代理といたしまして、主任檢事なつ捜査を遂げました結果、犯罪を構成しないという結論に達しまして、本年五月十二日不起訴処分に付した案件でございます。極くこの事件内容を掻い摘んで申上げますると、当時の鳥取地方檢察廳檢事正外五名が、鳥取地方檢察廳米子支部において証拠金盗難事件が発生いたしました際に、その証拠地盗難事件捜査をいたします際に、第一に所定の令状によらないで職権を濫用いたしまして、昨年の十二月二十九日米子支部構内官舎内の廷吏石原與三郎方外六ケ所、岡解三十日再び右六ケ所のうち米子支部の雇の吉野実方に故なく侵入いたしました上に家宅捜査をいたしまして、その際に石原方においては銀行通帳外三点、渡邊方においては強制処分用の古用紙一册、吉野方においては廳用の封筒一枚、正木方においては旧十円紙幣二枚、それぞれ家人から提出させと領置をしたという事実。第二には、昨年十二月二十九日右証拠金盗難事件捜査に際しまして、米子支部一室職権を濫用して、同廳職員角田正太郎外十数名を取調べのために同日午後三時判頃から十時頃まで帰宅を禁じて義務なきことを行わしめたという事実。第三には、同日前記米子支部雇吉野實を同廳の一室に数時間監禁したというこの三つ告発事実であります。この事実について詳細に最前申上げましたように、岡本檢事主任檢事となりまして捜査をいたしました結果、第一の令状によらずして住居に侵入し家宅捜索をなしたという容疑事実につきましては、予め愼重にその捜査開始前、被捜索者でありまする同廳職員に対して家宅捜索をするということの承諾を得た上に、更にその被捜索者の居宅に參りました際にも、捜索著手前にそれぞれ在宅しておりまする家事担当者の完全な承諾を得た上に、任意捜索をいたしておる事実が判明いたしましてので、このような状況にありまする以上、承諾を得ないで強制的に職権を濫用して住居に侵入し家宅捜索をしたという犯罪事実を構成しないという結論に達したのであります。  第二の、同日午後三時半頃から午後十時頃まで帰宅を禁じて、米子支部に居残らせて義務なきことを行なわしめたという被疑事実につきましては、一應外形的にはそういう事実があるのでありまするが、これも同廳職員了解を得た上に、これらの者を廳内に居残らせまして捜査を継続したのでありまして、捜査の都合上午後十時頃までの長きに及んだ者もございまして、遺憾な点はございますが、強制的に居残りをさせたという事実は認められないのであります。  第三の同廳雇吉野實一室に数時間監禁したという事実につきましては、この吉野雇証拠金盗難事件発生等宿直員でありまして、当然宿直していなければならなかつたのにも拘わらず、不謹愼にも当夜遅くまで外出いたしまして飲酒をしておつた事実がありましたために、特に同人から当時の状況を詳細に聽取する必要がございまして、たまたま取調べのために他の疑いの薄い廳員取調べの方を急いでおりました関係上、又他の廳員とこの吉野雇との連絡等も遠慮して貰いたいという趣旨から、吉野雇了解を得て他の同僚から引離して別室の調停室に待たせておつた事情にございまして、これを以て直ちに不法監禁罪を構成するものと認めることもできないという結論に達しまして、この事件を最前申上げましたように、本年五月十二日附を以て不起訴処分に付した次第でございます。  次に第三の、奈良地檢井上某代議士に関連する数件不当に処理されておる被疑事件について御報告申上げます。特にこの目的のために調査いたしました報告事ではございませんので、意を盡していない点があろうかと思いまするが、法務廳といたしましては、会議に付せられておりまする事件井上信男に対する経済事件と考えまして、この井上信貴男に対しまする経済事件捜査及び起訴経過の概況を御報告申上げたいと思います。  先ず第一にこの事件捜査経過を申上げ、次に現在井上信貴男起訴いたしておりまするが、この起訴事実の概要を申上げたいと思います。  第一の捜査経過の一といたしましては、昨年の九月十七日奈良縣北葛城郡河合村附近に亞麻糸をトラックで運搬した者があるという申告に基いて、同村の寺下宇三郎方倉庫捜索いたしましたところが、同月十四日頃から十六日ごろまでに同縣生駒郡安堵村、井上工業所経営者井上信貴男であります、この井上工業所から製靴用亞麻糸千六百八十八貫、公定價格にいたしまして約四百万円程度のものでありまするが、この亞麻糸輸送証明書なしに輸送したこと及び右は井上信貴男弟井上嘉男の犯行であることが判明いたしたのであります。  二といたしまして昨年九月二十一日に奈良浜本製靴工業所奈良縣生駒郡郡山町井上工業所、同郡安堵井上工業所、同縣北葛城王寺被服工所、その他井上一族の邸宅及び倉庫捜索をいたしまして、亞麻糸、革、フェルト等を押收いたしたのであります。  三といたしまして、昨年九月二十四日に井上嘉男を逮捕いたしまして、強制処分によつて勾留し、十月一日一旦釈放いたしました後に、十一月六日令状請求公判請求をいたしまして、第三回目の公判が済みました後に、十二月十日に現在井上嘉男保釈出所なつております。  四といたしまして、昨年十月十五日に奈良市警察署から井上信貴男に対する公務執行妨害被疑事件が受理されております。  五といたしまして、昨年十一月四日井上信貴男を逮捕いたしまして強制処分によつて勾留し、十一月十三日に起訴いたし、十二月十日に保釈出所なつております。  六といたしまして、井上信貴男井上嘉男事件捜査中に、大阪陸軍被服支廠櫻井出張所長陸軍主計大尉徳永道治外二名にかかりまする業務横領被疑事件が発覚いたしまして、この事件も昨年十一月十五日に起訴されておるのであります。  第二にこの井上信貴男犯罪事実の概要を御報告申上げますと、一として重要物資在庫緊急調査令違反の事実でありまするが、被告人井上信貴男井上工業所代表者として、機械靴製造業を営んでおる者でありまするが、昨年三月三十一日現在において、業務に関する亞麻糸等約一万九千六百ポンド、革六十二トン余、獸毛フェルト等約二十四万ポンド、紐約二千六百五十ポンドを所有いたしておりましたに拘わらず、同年の四月十日までに所管村長報告するに際しまして、その数量を減らして虚僞報告をいたしたのであります。二には、物價統制令違反の事実でありまするが、被告人井上信貴男は、井上工業所代表者として業務を取つておるものでありまするが、同人の弟の井上一男が、井上工業所業務に関しまして昭和二十二年十二月十日頃馬口善治郎を介し中村喜代一等に対し牛革スミット一等約二千坪を、統制價格より三十四万七千余円を超過した対價四十四万円で販賣したという、この二つの事実について井上信貴男公判請求いたし、尚井上信貴男弟井上嘉男に対しましても、重要物資輸送証明規則違反起訴をいたし、井上信貴男弟井上一男に対しましても物價統制令違反を以て起訴したしておる案件でございます。当委員会におきましては、この事件が不当に処理されておるという疑いを持つておられるようでございまするが、私共の方に対しまする報告限度におきましては、まだその間の事情が判明いたしておらない状況でございます。  次に京都地檢涜職事件概要を極く掻いつまんで申上げたいと思います。京都地檢檢察事務遂行状況につきまして、昨年末関係方面疑惑がございまして、関係方面示唆要求もございました関係上、昨年十一月十二日から、主として大阪高等檢察廳檢事團を、特にこの目的のための捜査要員として編成いたしまして、疑惑を持つて見られておりまする京都地方檢察廳処理した事件を再調査いたしておるのであります。この調査は尚続いておりまして、而も各方面から再調査の要望のございました事件も非常に多数の事件に上つておりまする関係上、檢察廳といたしましては、非常に捜査に困難を極めておりまする事件でありまするが、現在までのこの再調査の結果によりますると、大阪高等檢察廳からの報告によりますれば、今日までに調査の対象として取上げました主要な問題は、司法保護委員会寄附に関する問題、マキノ株式会社関係問題、前堀檢事收賄容疑に関する事件情実又は感情による不当偏頗な事件処理問題、部外者との交際の問題、前檢事正中村昇在職中における不正容疑問題、前檢事加藤正郎在職中における不正容疑問題、檢察事務官の非行の八項目に亘つておるのでありまするが、今日までの詳細な調査の結果、現地檢察廳において得ておりまする結論を申上げますと、第一が、京都地檢における檢事事件処理には当初疑惑を抱いたような不公正、即ち故意に基く不当な不起訴不当な量刑の受理事件と、犯罪事件簿不登載、情実又は感情による不当偏頗な捜査等の事実は全然無限である。二といたしまして、各檢事には事件関係者との間に涜職罪を構成するような疑いはない。第三には却つて檢事と対立しておつた一部檢察事務官の中に相当多数不良行爲をしておつた者があつたのであります。第四に司法保護委員会における寄附の受入が、基金の獲得をあせつた結果、寄附申込者の選別に遺憾の点があつた。五といたしまして、檢事部外者との交際がやや程度を越えまして、これが一部檢察事務官の腐敗の一つの誘因になつておつた。以上の五点を現在の、一應の調査結論として、現地檢察廳においてはこのような意見を持つておるのであります。  次に大阪勝間勝己刑事事件関係について申上げますが、この事件につきましては昨年十一月二十二日に参議院議長から法務総裁に対しまして調査報告書提出要求がございまして、法務廳といたしましては、当時調査の結果を参議院宛報告いたしてあるのでありまするが、只今私が申上げまするのも、その当時報告いたしました調査書内容を出でないのであります。この勝間勝己事件は、不法監禁傷害銃砲等所持禁止令違反事件でございまして、被告人といたしましては勝間勝己の外に、勝己が社長をいたしておりまする勝間産業の番頭、菊川治男、同勝間産業雇人針本嘉夫、以上三名がこの事件のために起訴されております。捜査の端緒と申しますると、昨年の八月二十八日に、大阪市西区京町通一丁目の被害者日本貿易通信株式会社長中野七郎当四十四年が、大阪府佐野市鶴原勝間産業において六日間不法監禁を受けた上、治療二週間を要する傷害を蒙つたために、所轄警察署に告訴をいたしましたが、何らの措置を取らない。尚その外に仙台方面の商人が、二、三名引続き監禁されているということが当時大阪地方檢察廳に届出がございましたので、大阪地方檢察廳におきましては、即時大阪市警察局捜査を命じまして、大阪市警察局においては直ちに國家地方警察の應援を得まして、被害者救出、及び犯人檢挙に乘出しまして、特別機動隊二個分隊と、私服の警察隊を編成いたしまして、被監禁者救出犯人檢挙班と、勝間勝己自宅捜査班の二組を分けまして、勝間の工場及び自宅に乘込んで勝間外二名檢挙すると共に、被監禁者を保護いたしました。当時この勝間自宅の押入からブローニング型拳銃一挺、実包百三十発及び日本刀七振を押收して引揚げたのであります。この結果捜査を遂げまして、昨年の九月八日勝間勝己外二名に対し、不法監禁傷害並びに銃砲等所持禁止令公訴を提起いたしてあるのであります。  以上で現在まで法務府で判明いたしておりまする状況の御報告をいたしたわけでございます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお尋ねでもありますか。勝間勝己事件につきまして國家警察を使用して檢挙したのでしようが、自治体警察が使用できなかつた理由はお分りになつておりませんですか。
  5. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 只今申上げましたように、大阪地方檢察廳におきましては、最初自治体警察でありまする大阪市警察局捜査を命じたのでありまするが、この間の事情は詳細判明いたしませんが、想像いたすところによりますると、当時大阪市警察局においては自治体警察のみでは手不足と考えた結果ではないかと思いまするが、自治体警察の方から國家地方警察應援要求をいたしまして、両者一体なつてこ事件捜査したものと考えております。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か自治体警察においてはその勝間といろいろの立場関係があつて摘発不可能であつた從つて勝間はまあ公然とそういうような監禁とか、いろいろなことをやつてつたというような関係にあつたのじやないのでしようか。
  7. 宮下明義

    説明員宮下明義君) その点まだその状況法務府の方に判明いたしておらなかつたのであります。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この米子事件眞犯人は分つたのですか、その結果は……。いわゆる証拠品窃盗いたしました眞犯人は分つたのですか。
  9. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 米子地方檢察廳におきましては、その後もこの事件捜査を引続き続けておりまして、眞犯人を発見して鳥取地方裁判所米子支部に現在窃盗事件として公訴提起をいたしてございます。
  10. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう……
  11. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 米子支部勤務檢察事務官の一人、廳員であつたのであります。
  12. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 廳員はその証拠品保管係ですか。どういう関係の職務にあつたのですか。
  13. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 庶務課会計係をいたしておりました。米子支部向務檢察事務官正木熊雄窃盗事件について現在起訴いたしておるのであります。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現金証拠品なつていたのですか。
  15. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 今起訴しておる事件ですか。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええその盗難事件のですね。
  17. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 現在正木熊雄に対しまする窃盗及び横領事件について証拠品として現金はなかつたと考えております。すでに自証済みであつたという報告であつたと思つております。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に何かお尋ねがありませんか……。何か小田原事件についてあつたら御報告を願います。
  19. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 承知いたしました。檢事長のお手許の方から尚詳細な御報告があろうかと思います。判明次第……
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 書面一つお願いいたします。それじやこの事件の取扱につきましては先回のように理事会に御一任願いますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではさよう取計らうことにいたします。  法務廳にお願いいたします。少年犯罪一般的状況の書類について調査いたしたいと存じまするからそれに関する資料の御提出を願いたいと思います。提出願うべき項目につきましては書面で差上げますから……
  22. 宮下明義

    説明員宮下明義君) 分りました。
  23. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじやここで休憩いたします。午後は十二時半から開きます。    午前十一時四十三分休憩    ——————————    午前一時四十三分開会
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは午前に引続きまして委員会を開きます。当委員会におきまして、今朝法務廳の御意見を伺いましたのですが、米子事件について、人権擁護局のお立場から御意見をお伺いいたしたいと思います。
  25. 大室亮一

    説明員大室亮一君) 事務官を派遣いたしまして調査いたしたのでありますが、いろいろその報告によりますというと、部内のことでありますし、余り表沙汰にするのもどうかというような考慮からやつたというふうにも見えます。又それについて同意があつたようにも見えまするので、人権擁護局といたしましては、現在のところではこれを取上げるというふうには考えていないのであります。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今朝の御説明も、いわゆる同意があつたから家宅捜索をした、同意があつたから一室に止まつて貰つたのだ、いわゆる監禁したのではない、その他の廳員に対しましても同意を得て取調べに應じて貰つた、こう言つておりますが、いわゆる一つの権力を持つた人がその同意を求めれば否應なしにそれに服從するという形になつて参りますが、若しこれが部内のことであるからよいけれども、一般國民の対して同意があつたならば家宅捜索もできる、同意があつたならばそういう強制尋問もできるということになりますと、結局令状主議というものが、そういう面から崩れて行くのではないか。從つて基本人権擁護するという立場からいつても好ましいことじやないのじやないかというふうに考えられるのです。地方においては相当大きく取扱つておるようでありますが、人権擁護局において、果していろいろそういう面において人権擁護が全うされたかどうかという点について、進んで取調べをされる御意思があるかどうか。
  27. 大室亮一

    説明員大室亮一君) その点は一つ考慮することにいたします。
  28. 岡部常

    岡部常君 今、即答は得られない模樣でありますけれども、私は聊か言葉尻を捉えるようになりますが、部内のことであればあるだけ、これは外に出ないうちはいいですけれども、外に出た以上は、部内のことであればあるだけにはつきりさせなければ、これは司法部のためによろしくないと思う。部内のことでもこういうことがあればこれを正しくするというところに、本当に人権擁護ということが私はできると思うのです。この点は私は、部内のことであるが故に、これは或いは話合いがついたからというようなことは、もうすでに段階を越えておりまして、この際はつきりさせないと、あとに悔いを残すようなことになりはしないか。私はこれは徹底的に明らかにされる必要があると考えております。
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは御意見の程を後刻願います。それではよろしゆうございますか。別に他にありませんか……  先程理事会を開きまして、今朝お聽きしました事案につきましては、尚保留しておきまして、調査員において十分調査して、その上に進んで調査することにしたいということを決定いたしました。  次に休会中におけるところの大体の調査の目標といたしまして、プリントでお手許に差上げました通り三つ事項についてこれを調査を進めたいと、かように考えておる次第であります。  第一に少年犯罪一般的状況とその処理について。終戰後道徳観念の低下、思想の混乱、物資不足等社会情勢の悪化に伴い、少年犯罪激増を來たし、剰えその手段方法が頗る兇悪となり、誠に寒心すべき現状である。当局はこれに対処するため少年法少年院法の改正、家庭裁判所新設等諸種の新しい制度を採用しその対策に腐心している。当委員会においても少年犯罪の分野における檢察及び裁判運営に関し、これら新法律運用の実績を檢討し、これを調査する必要があると思う次第であります。  先ず終戰後におけるところの青少年犯罪につきまして非常な激増を見ておる、これに対して何とか立法的措置を講ずる必要があるかどうか。又運営につき遺憾の点ありや否やという点を調査いたしたいと存ずる次第であります。  次に御承知通り、後戰後著しく増加して参つたいわゆる街の顔役及び暴力團体実態及びこれらの犯罪檢挙状況封建思想の温床若しくは暴力手段による事態解決を常套とするものと目される街の顔役及び暴力團体即ち博徒、テキヤ等繩張りを持ち恐喝、暴行、脅迫等犯罪常習とする者、露店業土木建築請負業人夫請負業興行師を標榜しているが、その業務実態その他の状況から観察して暴力團体的色彩が濃く、不法若しくは不当行爲常習とする者、いわゆるゴロツキ新聞の一味、石炭増産を阻害する炭鉱暴力團会社ゴロ政府ゴロ繩張り又は組織を持つ不良青年等集團、極石團体等に関し調査をいたしたいと思います。これは御承知通り昨年來調査員として全國的に調査をいたしておりますが、この際各委員が御出張になる場合において、これらの事項についても御調査を併せてお願いいたしたいと存じます。  第三といたしましては、賣春取締状況、賣春取締に関して、若干の府縣においてはすでに條例等によつてその取締又は禁止を実施しておるのであるが、これを全國的規模において禁止するための賣春等処罰法案が來るべき國会提出せられる形勢にあるので、廣く各地の取締当局及び法者並びに從業婦の意見を聞くと共に、その実情を視察調査したいと思います。  この三つにつきまして現下の國情からいたしまして、これらの点を明らかにして、適当な立法措置を講ずることは、再建日本明朗化という意味におきましても緊急な仕事と存じます。この際この三つにつきまして、特に御出張の際御調査を願いたいと存じます。理事会におきましてさような意見に決定いたしました。委員会におきましてこれを調査することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではさように決定いたします。  それでは明日は午前十時より開会いたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後一時五十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            齋  武雄君            遠山 丙市君            深川タマヱ君            來馬 琢道君            松村眞一郎君   説明員    法務事務官    (檢務局刑事課    長)      宮下 明義君    法務事務官    (人権擁護局    長)      大室 亮一