○今野
證人 それは一應私の方から説明さして頂きたいと思いますが、この最初の谷口ですか、「ヤグチ」と読むのですが、そこへ出て來るマル公の松崎というのは、これが情報の提供者なんです。これがマル公市場に勤めてお
つて内部の事情がよく分
つてお
つて、この者が非常に情報を持
つて來たわけなんです。その者と谷口で附合
つたことは確かなんですが、これは私実はこの旅館で税務署から特配を受けた酒を飲んで、谷口へ連れて行かれたとき、私は相当酩酊していまして、なんでも谷口へ
行つたときには私盃で二、三杯飲んだのですかね。その
程度でもう私大分酩酊しているものですから、なんでも時間にして十五分か二十分で帰
つたと思
つているのです。ですから饗應という
程度に
行つていないと思います。
それからその次はどこでございますかね。沢山あるので……恐れ入りますが。これは後で申上げたいと思うのですが、大体この問題になる
事件ではないので、これは平のいわゆる政争の軋轢から出たもので、私が目標でなく、市長を目標にしているものなのであります。後で御説明申上げたいと思いますが、これは後で私の告発した
関係人から聞いておりますが、この鈴木幸平というのは、これはマル公でなくマル共ですから、マル公と反対の立場にある組合なんです。この者もマル公から買
つた品物について我々の方ではこういう値段で賣
つているが、マル公の方では違う値段で書いてあるらしいという、いわゆる情報提供者の一人なんであります。この饗應というのは今申上げたような
程度のものであります。第二の大貞の料亭でありますか、これは宿屋において私と両事務官とが何でも夜の九時半頃と思いますが、もう寝ようかと思
つて寝仕度をしておるところへ矢吹とこの鈴木正男という市長の息子が参りまして、酔つばら
つて参りまして、何か「すし」の折詰かなんか抱えて持
つて來て、馬鹿に君達不景氣じやないか、実は今日建前のお祝で飲んで來たのだが、どうですか私の家へでも行きませんかということで、矢吹が言うものですから、もうつい引つ張り出されて
行つたので、この大貞の料亭でも精々私三十分くらい附合
つただけと記憶します。これも要するに申上げたいのは、当事者というと、饗應するとい
つても、この鈴木正男という人は市長の息子で、これは
事件に全然
関係ありませんし、矢吹というのは公安委員で、このマル公市場の情報を私の方へ持
つて來た人間であります。松崎というのはこれもマル公市場の人間ではありますが、情報を、証拠を持出した人間でありまして、まあ被疑者ではございません。
それから第三の小名濱漁業会、江名町漁業会の方の大森屋旅館、これは日曜日と思いますが、何でも祭日なんで仕事が丁度そのとき暇であ
つたものですからお祭りを見に行こうと杉田から誘われて
行つたのでありますが、これは杉田というものは全然
事件に
関係のない人間であります。
それからその次の小名濱町の松葉料亭の比佐政種ですか、これは比佐政種は確かに出ております。併しこの日は小名濱の方の捜査を了えまして帰る前の日と思います。あそこの署長が鈴木龍之助という警部ですが、鈴木龍之助から実に御苦労であ
つた。私の家で
ちよつと用意してあるから來ないかというので、署長の家で御馳走にな
つたのであります。そうすると署長があそこに何とか病院がありますが、その院長の安田という人を呼びまして、安田院長と私と事務官を連れて松葉に
行つたわけであります。松葉に行きましたところ、比佐政種という者が参
つたのでありますが、これは署長が呼んだらしいので、私は初めてそこで会
つたのです。私は勿論署長が招待して私に御馳走しておるものだと
考えて御馳走になりましたのですが、後で聞きますと酒は比佐が持
つて行つたというわけであります。ところが比佐政種という者が後にも先にも
事件に
関係ないのです。小名濱とか江名町は住んでおる者が漁業者ばかりの剛でありますから、有力者というものは要するに漁業
関係でありますから、比佐政種というのは全然
事件に
関係ありませんし、これは署長の招待と
考えておるのであります。これは鈴木龍之助署長をお調べ下さればよく分るのですが、高檢からお調べに
行つた際、署長は出張をして留守だ
つたそうで、実は残念に思
つております。
次は「のんき」であります。金成徳治というのは江名町漁業会の
理事でありますが、実は故郷が
福島縣の隻葉郡、石城郡の北になりますが、私の親戚なども平におりまして、かねがね
知合いの人でありますし、全然この人は
事件に
関係ございません。
それから最後の田毎における桑原徹という者が、これは私の泊
つておる旅館の紅葉館に電話を掛けて参りまして、おいでにな
つておるそうだ。暫くだから御飯を一緒に食べたいと思いますが御都合如何ですかと電話があ
つたわけであります。この桑原というのは私の親友でありまして、私は桑原と飯を食うのは差支ないと思
つていたのですが、ところがそこに御代亀太郎という人間がお
つた。御代亀太郎は小名濱漁業会長をしておりますので、只今も申上げたように、小名濱、江名町は全然漁業会が出荷
関係にな
つておりませんし、
事件関係のない人であります。これはどういうわけで一緒にお
つたかそのとき事情は聞きませんでしたが、何しろ
事件に
関係ない者ですから桑原の招待で誰がお
つても差支ないじやないかと
考えて御馳走にな
つたわけであります。杉田松太郎というのは私の家内の故郷の人間でありまして、そういう
関係でまあ特に親しくな
つたわけなんであります。以上まあ
事件関係のないというのはこれは職業が濱でありまして、いずれも漁業
関係でありますから、如何なる
事件にも
関係ありません。
どういうことで私を告発したかと申しますと、その後に告発者の鈴木博明に、外の人が中に入りまして、今野
檢事がかわいそうだから取下げたらどうかと勧告したのだそうであります。その人が漏らしたところによると実は今野
檢事は実に氣の毒に思
つておる。我々平の鈴木市長は実に暗黒政治をや
つたから、それを是非やつつけなければならない。我々平政治革新同志会が起
つておるのだ、その前に今野
檢事を何とか問題にして、市長の責任まで持
つて行こうという
考えでいるのだ、市長のリコールまで持
つて行くという
考えでや
つておるのであ
つて、実に氣の毒である、だからその後の調べによ
つて事情が判明したから、告発を取下げようということを
言つておるそうであります。