運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-10-15 第5回国会 参議院 文部委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十月十五日(土曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育文化施設及び文化財保護に関す  る一般調査の件  (六・三制補正予算及び大学教員の  政治活動に関する件)   —————————————
  2. 松野喜内

    理事松野喜内君) それではこれから文部委員会を開催いたします。本日は二つ議題を主としていたしたいと思います。第一は、六・三制補正予算に関する件、第二は、大学教員政治活動に関する件、この二つを議したいと考えます。その前に本日は委員長が見えませんから、代理として申上げたいのは、昨日関東地区一都九縣の教育委員会代表者が來られまして、本日の議題関係のある陳情書を出されましたからそれを御披露に及びます。読んで見ます。  六・三制予算の問題については昨年來たびたび陳情いたしまして、御当局としても十分その必要性を御理解頂いたことを確信いたしておる次第であります。  然るに巷間傳うるところによると、政府においては本年度補正予算として十五億円、二十五年度予算として三十億円、計四十五億円を内定せられたとのことで、私共教育委員としては事の重大さに驚いておる次第であります。  御承知のこととは存じますが、今回文部省が提案せられた総額七十九億円の六・三予算は同省が全國の教育委員会協力して実情調査の結果、その最低要求として生れたものでありまして、この予算が認められて、初めて青空教育や、物置小屋教室から可憐な兒童達が救われるとのことであります。決して特別教室やその他の贅沢なる要求をいたしておるのではありません。このことをよく御理解頂いて、六・三予算についてはいま一段の御盡力を切望する次第であります。  昭和二十四年十月十四日       関東地区一都九縣教育委員会協議会  この報告について、先程申しました議題第一の六・三制補正予算に関する件でありますが、この前も若干伺いましたが、重ねて本日は文部大臣官房会計課長寺中作雄君の御出席を求めて、これが説明をお願いする次第であります。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 今月の十日に兵庫縣のP・T・A、教育委員会、それから教員組合、こういう人達の代表、縣民の代表が五十人ぐらい見えまして、やはり同樣趣旨の請願に参つたわけであります。それでそのとき兵庫縣ではすでに百万円の六・三予算増額請願の署名を完了しております。そうしてそのような意向を強力に國会並びに現政府に傳えたい、こういうわけで大挙押し寄せられたわけであります。そのとき委員長が見えておりませんので、委員会代表しまして、私の方にそういう趣旨を受理いたしておりますので、そのことも報告いたして置きたいと思います。
  4. 松野喜内

    理事松野喜内君) 今のことに関連して外に御報告はありませんでしようか。私ももう一言関連して附加えた置きます。今岩間委員から兵庫縣方面陳情を御披露して下さつたのですが、先頃全國の教育委員会代表なる方々文部省へ集まられて、こういつた教育予算その他をめぐつて協議されました。その折衆参両院文部委員会代表方々にお会いしたいということでありましたので、田中委員長岩間理事、それに私も加わつて文部專門委員室でお会いしたことがあつたことをここに御報告申上げます。尚昨日は昨日で大阪におきまして全國の教育委員会連絡協議会が開かれ、やがてはこの連絡協議会、全國の教育委員諸君中央國会連絡を密にして今後の教育予算を始め、教育について連繋を図つて行きたいという申出がありました。かく國民の世論がいよいよますます或いは教育委員会を通し、或いはP・T・Aの代表者を通して強く動かされつつあることを思い、ここに我々眞劍教育六・三予算その他万般の文政について一段の努力をせねばならんことを痛感いたしますのでここに御報告申上げて置きます。  それでは教育予算に関する件について文部当局説明を求めます。補正予算、二十五年度予算両方お願いいたします。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 この前一應概略聽いたのだからその後の発展状況を承われば……つまり努力中というのは大臣のこの前の答弁もあつたのだからその努力がどういうふうに展開されておるか、問題はどこにあるかという点について伺つたらどうかと思います。
  6. 松野喜内

    理事松野喜内君) ちよつと速記を止めて下さい。    午前十一時十三分速記中止    ——————————    午前十一時三十六分速記開始
  7. 松野喜内

    理事松野喜内君) 速記を始めて下さい。
  8. 岩間正男

    岩間正男君 今一番問題になつておるのは、この前も文相が見えられたとき、現在起りつつあるところの小中学校の教員の首切問題との関連ですが、その中でできるだけこの前の第五回國会で首切はしない、こういうような声明に対して地方自治廳への通牒との連関努力したい。そうして今地方教育委員会定数條例なんかでやられているものをできるだけ國会声明を尊重して努力したい、こう言われたのですが、そうするとそこのところ、その点がどうも今の説明では非常に不明瞭です。少しも前進の跡が見えないと思うわけなんですが、ここのところは指定統計とか、最初に三万足らないと文部省が発表したその数字指定統計によつて一万人とこの前稻田局長が話されたと思いますが、そこをもう少し細かく話して貰いたいと思います。そこのところがまだ不明瞭なんですが、そこが今一番問題の焦点なのですが、三万がなぜそういうふうに指定統計でそういうふうになつたか。それからそれに対して文部省努力している点は一体予算面においてどういうふうにこれを実施しようとしているのか。ここが非常に重要だと思う。この前の大臣の言明と連関してここをもつと明らかにして貰いたい。その経過を一つ話して見て下さい。
  9. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 教員数計算につきましていろいろの方法があるのでありますが、指定統計というものが一番基礎になつて來るわけであります。その他に教育委員会の方から報告を受ける数字というものもございますが、教育委員会の方の数字はどうしても指定統計よりも上廻るように関係にあるのでありますが、政府として予算関係を取扱う場合に指定統計というものを基礎にせざるを得ない。指定統計というものは縣におきましては知事の関係で扱つておる事務でありますが、予算というようなものと関係なしに、最も正確な数字統計に表わすというような立場からやつておりますので、どういうわけか教育委員会数字相当狂いがあるのであります。で大藏省あたりでも指定統計というものを基礎にいたしまして、一方教育増加率というふうなものにつきましては、人口問題研究所増加率基準というものを基礎にして計算をして來るわけであります。そういう関係から見ますと、只今お話がありましたように、大体一万人くらいのオーヴアーなつたというような形になつておると思うのであります。今度の補正予算で認められた数字は決して滿足ではございませんが、まあなきに許るというくらいのものかも知れませんが、とにかくいろいろ重大な問題を起しました。この問題について我々として最善の努力拂つた結果、その不足分の手当ということを認めて貰つたような形になつているのでありまして、尚決して滿足をいたしているわけではございませんけれども、何とかこれでやりくりをいたしまして、一方自然退職というふうな身の振り方でやつて行けるのではないかというような見込を付けている次第でございます。
  10. 岩間正男

    岩間正男君 甚だ不滿足でそういう答弁じや無論了承できない。というのはそういう曖昧なことから非常に重要な教員を首切るということが起る原因が多くはそこにあると思うのであります。指定統計というのはどこでやつているのですか。
  11. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 府縣統計課でございます。中央統計委員会でございます。
  12. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると教育委員会報告にはそこに食い違いがあるのですね。文部省はそこのところの食い違いをどういうふうに是正しようと考えているか。これは絶対是正しなければ日本の教育行政は科学的にやれないと思う。これはどうなんですか。これの報告は、一体そういう統計上の一つの取引の問題、ごまかしの問題じやなくて現実教員がどれだけいるか、これを押えることが一番実態なんですが、文部省はつきり努力されているのかどうか。その上に立たなければ今のいろいろの問題を徹底的に解決するというわけには行かないと思う。どうも文部省自身として甚だ無責任である。指定統計というものに頼る、或いは教育委員会に頼る、文部省自身がその二つ食い違いの面をどのようにしてはつきり実数を押えるために努力しているか、これは文部行政の非常に重要な問題になつて來ると思うのですが、この点はどうですか。
  13. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) この指定統計で問題にしておりますものは兒童数でございます。教員現実にありますものの数というものは、これは各府縣の事情でいろいろ違つて來ますし、又異動もあることと思うのでありますが、建前兒童数に対する一・三五というような関係でありまして、兒童数実態というものはこれはやはり指定統計というものが結局基礎になるのでありまして、教育委員会でやります調査というものの方法統計課でやります正規のルートから行きますものに比べればどうしてもこれはルーズなものであるというふうに一應は進定せざるを得ないのであります。そういう意味ですべてこういうふうな問題について指定統計基礎にしている次第でございます。
  14. 岩間正男

    岩間正男君 この指定統計が今現状で何人余つているかということを比べるときに、指定統計というもので一万人余つているというふうに出されたものだと思うのですね。そういうふうな兒童数によつて机上計算をしたというようなものを以て実態を計るということにはならんと思う。そこのところ非常に曖昧である。教育委員会報告というものでやつて行くと、教育委員会地方実情を見ますと教育委員会に所属している職員の数というものも教員の数から出しているというようなところも出て来るので、そういうふうに食い違いがあると思う。いずれにしろ実態を押えなければ、今の起つている教員の首切問題もどのくらい、それに対してどう対処するかということが出て來ないと思う。どうも今の御答弁は非常に曖昧であります。こう思うのです。そうすると、今そういうことになりますと、文部省にもつまり指定統計というものは一應架空なもの、或いは机上計算によつたものとして、そこから一万人剰つているということを出して來られたのですか、その点をはつきりして貰いたいと思います。現実にいるのです。そうして現実に非常に動揺して大きな問題を起している人がいるのです。そういう曖昧な根拠じや非常に困る。
  15. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 打割つたところを申上げますと、この問題のいわゆる定員定額制の問題ということは、教員が実際幾らおるからその者に合わせたた國庫負担金を計上するという建前でなくして、むしろ教員兒童数に対してどれだけ確保することが必要である、その基礎はこういうところにあるというような意味で一・三五という比率が一應決められまして、そうしてそれだけの教員だけは最小限度國庫負担金として見て行こう。定員を決めるというわけではないと思いますけれども、一應その國から見る教員の数はこれだけで十分であるというところを見て行こうというところから出ていると思うのであります。
  16. 岩間正男

    岩間正男君 問題はそこにあるのではなくて、この前も問題になつたのだが、文相は首切はしないということを言われた。そうしてその声明をどうするか。これがこの前の國会委員会のとき我々が質問した一番要点になるわけです。それに対して努力する、こう言われておつた。つまり定員がどうだというのでなくて、今の現実に何人かを整理しなければならないということが起つている。それに対してどういうふうな努力をされているかということが一番重要な問題になつて來る。だから文相答弁された連関においてつまり定員定額ではどうだかということの問題じや今実際ないと思う。それを自然退職の問題で解決するということに依然として文部省は言つておられるが、すでに四月國会から半年も経ているのに自然退職最初の四万の予定すら問題にならぬ程辞めない、そこに問題が起つて來ているわけです。それに対してどうするか、どういうような努力をするか、それを今話を聞きますと、小、中学校で約六千人くらいの人の分は、而も結核とかその他の産前産後、そういうような枠で補正予算を殖やすということを言われている。現実にどれだけの一体首切が起らざるを得ないか、その点です。そうしてそれに対して文部省はどういう努力をしているか。文相答弁したのであるから当然です。これは文部省の或る係においては文相答弁の線に從つて努力されるのが、当然皆さんの任務だと私は考える。そういうものはどのように実現され、どのように努力されているかということが一番今日当面しているところの問題だと私は確信しております、その点如何ですか。
  17. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) そういつた問題につきましては、尚責任局長が今直ぐ來ることになつておりますので、その方から申上げると思いますが、只今お話のありましたところでちよつとお考え違いがあるのではないかと思う点を申上げて見ますと、補正予算で認められました六千人というのは、結核産前産後ということとは関係ないのであります。これは一・三五の率で飽くまでもいつたいわば最初見込違いを是正した関係でこれだけの人間が出て來る。
  18. 岩間正男

    岩間正男君 見込違いだけで約六千人……。
  19. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) そういうことになるわけであります。それでは局長の方から一つ……。
  20. 河野正夫

    河野正夫君 今の岩間委員質問を補足的に二三伺いたいと思います。この補正予算における算定の根拠ですが、指定統計が一万、いわゆる予算定員よりもオーヴアーしているというので、こういう更正予算措置がとられるということですけれども、只今の御説明では指定統計兒童数から算出して一万人オーヴアーと、こう言われますが、指定統計には教員数統計はないのでありますか。その点を先に伺いたい。ある筈だと私は思いますが……。
  21. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) それはあるのはあると思います。指定統計としては……。
  22. 河野正夫

    河野正夫君 そこでその実人員とここの算定されたる人員との割合というものを明確にして置かなければ、大藏当局との折衝はとにもかくにも、文部省として予算要求する根拠がないと思います。そこでその数字を明確にすることを要求します……それはお調べの上でお答え願いたいのですが、更に二十五年度分の予算について、義務教育費増額が些少ながらあつたわけであります。御説明によると欠格教員がいわゆる予算定員内に今まであつたのを、実働教員の数からはみ出させるための処置、及び助教を正教員に引上げるための処置を含んでおるということは説明で分りました。併し一般義務教育人口増加に伴つて膨張する筈であります。その教室数なり教員数をどのくらいに見ておるか、その点を承わりたいと思います。
  23. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) ちよつと今ここに計数を持つていないのですが、調べてお答えしたいと思います。
  24. 河野正夫

    河野正夫君 実は我々に説明をされる場合には、会計課長ですから御無理もないと思いますけれども、そういう基礎からどういう予算措置が講ぜられておるか。そこで文部省はこの大藏省の査定に滿足すると、最低限度だけれど滿足せざるを得ないという若し御説明がされるとすれば、我々とすればこういう基礎からこういうふうになつて要求したものを、これで削られて、それで文部省責任を負えるかという問題を提起せざるを得ないと思います。そういう意味で正確に、さつき私補正予算についてと、本予算についての計数基礎をお伺いしたのですが、こういうことが一番本委員会では重要だと思います。  次に然らば、ちよつとこれは速記を止めて下さい。
  25. 松野喜内

    理事松野喜内君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  26. 松野喜内

    理事松野喜内君) 速記を始めて。この際私個人の意見としても、又大方熱心なるこの文部委員会の各委員意向をも、日頃このことに関連しての私の強い要望を文部当局にお願いし、御協力をお願いを申上げたいのは、第一新國会は我々議員によつていろいろ文教政策を講じたいというので、各委員調査研究努力を続けておる次第なのに、然るに今日いろいろ議論があつたごとく、どうも科学的に実態を把握すべき根拠を我々議員としてとかく掴み得ない。各縣は縣廳で調査したものを文部省に送り、文部省はその平均した数字を我々に見せて、又一方熱心に教員組合諸君はいろいろ実態調査されて、これが本部に報告されて、なかなかこの方面には我々は見なくちやならない実態を見ておる次第なのです。然るにその方面を直接我々委員方面に直通しておるのではない。そこにおいて我々は文部省にいろいろ御心配を願わなければならんのは、わけても我々國会文政に関しては調査專門委員室があるわけなんです。こういう方面にいろいろ今日御論じになつたように、やはり指定統計が直ちに教育委員会報告食い違いがあつて、我々は科学的にこれをいずれが正しいやら見分ける資料がなく、又納得の行くような論拠に立つて論じたいが今までは意のごとくなつていません。併し強く要望したいのは、我々が起案立案するに必要なる頭を作るためには実態を把握したい、例えば定員の問題でも地方に行けばお小言百出なんで、我々議会の方面には文部省方面平均統計等を聞いただけの頭であつたことがいけなかつたことかも知れんと私みずから反省しておるのである。お願い申上げることは是非國会におけるところの專門員室の方にあらゆるデーター、あらゆる実際の情報が集まるようにして貰いたい。そこで我々は行つて見たい。文部の方も御苦労ですが、文部の方のみではなく、或いはそういう指定統計というようなことだけのみに頼つていいかどうかということも檢討して見たいという希望に燃えておることを申上げ、又御協力を要望する次第であります。
  27. 河野正夫

    河野正夫君 稲田局長がまだ見えませんので、皆さんがよろしかつたら先程の質問の点は後に留保して劔木さんの方から何かいろいろ質問の問題がありましたらお答え願いたいと思います。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 その前にちよつと……今問題になつておることでこういうことを聞いたんですが、今度の平衡交付金の問題ですが、その平衡交付金に持ち込むときに、地方で今後教育費を決めるときに、それが地方財政に繰込まれてそこへ一定の枠をかける方法と、それから最初にこれは平衡交付金決定をするときに、そこで教育費はこれだけというような枠をかけるのと二つの方式が非常に問題になつておるということを聞いたんですが、これはどうですか。文部省はどういう考えを持つかこの点を伺いたい。
  29. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 平衡資金地方に対する配付につきましては、まだその方針が決定していないというのが実状でありまして、まあいろいろ考え方があるのであります。で現在この義務教育國庫負担金などの数字などを計算しておりますが、これは一應從來やつて來負担金でどれくらい地方で必要かという目安を付けるだけであつて、それだけが確かに教育費に使われるのかどうか、どういうふうに地方で処理されるのかどうかということは分らないのだというようなことを言う人もあるのですが、その分け方も例えば教育費教育費として與え、警察費警察費として與える。でその剩余の分をまあ財政的に見て配分するという考え方一つ。それから千二百億なら千二百億の平衡資金を半分に割つて、半分については実際の事業需要から來たものによつてパーセンテージで分ける。半分についてはそういうことでなしに、地方財源として財政上から分けるというような考え方もあると思います。それから全然事業需要というものを見ないで、財政的條件だけから分けるということも考えられる。まあ三つ四つの分け方があるそうですが、それについて大藏省中心に、或いは地方自治廳中心考えておりますものと、又関係方面においてもシヤウプ勧告書中心研究しておるらしいのですが、いろいろの情報を総合しますと、現在のところ相当有望な線が現われて來ておるように思います。と申しますのは、関係方面における重要な会議におきまして、各需要について基準経費計算は、その担当の省において、教育費については文部省厚生事業については厚生省というふうなところで経費計算をいたしまして、そうしてそれを基礎にして地方に流すというふうな考え方で行く方が適当であるというような方向に現在進みつつあるように聞くのでありますが、これもまあ一つ意見に過ぎないと言えば意見ですけれども、私共としましても、できるだけ地方において教育費が必要な額だけ確保されるという方向に向いますように、まあいろいろな会議においてそれを主張して來ておるのであります。結論としましては、まだ何も決まつていないという実情でありますが、我々の考えから行きます主張の幾分かは達せられつつある方向に向いつつあるということにお考え願いたいと思います。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 文部省としては結局交付金最初決定するときに、その中で教育費の枠を定めたいとこういうふうに考えておるのですね。これはどうでしよう。そうでしよう。
  31. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 新たに平衡交付金を交付いたします場合には、シヤウプ使範團勧告書及び附属書の線によつて考えますと、市町村その他地方團体財政需要費に対しましては一定基準考えて定める。その財政需要費に対します基準と、一方において財源税收入その他の收入に対する標準を決めると、こういうことになつております。恐らくこうした基準の問題は法律で定められると考えられますが、その法律教育関係とその他のものと一緒に合せるか合せないかというような点については、尚いろいろ研究の余地があろうと思われます。いずれにいたしましても、そうした基準法律根拠によつて定めなければならんということだけは申上げることができると思います。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 だからそういうふうに決定されて來るのに対して、文部省としてはやはり一つの見解を持ち、これを積極的に推進して行くことが必要であると思う。事柄が決められてしまつて、後でこれは拙いというのでは駄目なんだから、殊にこの委員会などもそういう点でその意見も持ち、その決定に至るまでの意見を反映させるということは重要なことであると思います。そういう点から文部省意見はどういうふうにあるかということを聞いておるわけですけれども、それはどうですか。
  33. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 速記をできれば止めて頂いて御説明申上げた方が樂ですが……。
  34. 松野喜内

    理事松野喜内君) 速記を止めて。    〔速記中止
  35. 松野喜内

    理事松野喜内君) 速記を始めて。
  36. 寺中作雄

    説明員寺中作雄君) 只今申上げました兒童数基礎にして教員数を割出したという答弁をいたしましたのは間違いでございまして、現在の教員の実員というものを見て、その半数を見たというのがこの補正予算の数になつております。訂正いたします。指定統計によりまして、自然増計算の上で來年度の教員数が割出されておる次第でございます。定時制につきましては、昨年一万二千人を基礎にして計数が出ておつたのでありますが、それを二割増と見まして、一万四千四百人を基礎にして教員数が割出されておるのであります。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 どうもまだはつきりしないのですが、最初に三万人という、文部省超過人員を三万人と見た根拠、これと、今の指定統計との食い違いについてもつと具体的に説明して貰いたい。
  38. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 文部省は、二万三千程であるということを申上げたかと思います。これは縣教育委員会の方からその資料が出て参つたわけでございます。それと指定統計の一万の食い違い数字がどこから出たかという点につきましては、統計基礎になりまする記述がほぼ同様でありますので、違つた数字は出ない筈でございますが、まあその辺についての原因が私共として正確に捕捉しかねておるわけであります。ともあれ指定統計の数というものによらざるを得ない現状であるということを御了承願いたいと思います。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 さつきも出たんだけれども、それじや困るというんですね。ここのところをどういうふうに今度解決し得るか、このままで行つたら拙いので、どのような捕捉の仕方で行つたらいいか。
  40. 松野喜内

    理事松野喜内君) この際局長もいますから申上げますが、今岩間委員が言われた通りで、いろいろデーターを根拠にして我々も考える必要があると思いまするから、そういう科学的な基礎となる統計基礎國会の方の文部專門員室の方へ廻つて來るようなふうに御心配願えんかと思うが、どんなものでしようか。文部省に集まるだろうが、我々委員には直通でない、專門員も恐らく直通的に來てないと思うが、そういうデーターなり情報國会に皆集まつて呉れるようなふうに常にあらしめたいと私は念願しておるが、いろいろ食い違いがあるとか、法定された指定の統計によらんならんというお氣持も分るが、よく実体を把握して、是正する必要があればこれは誰に責任があるか、我々議員責任があると考えますからその参考のデーターなり資料なり基礎なりが我々のところに來るように要望したい。
  41. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 誠に御尤もの話でございまして、当委員会におきまして御審議の材料となりますような各種数字等は、時に應じてできる限り速かに御提供申上げるように、各方面とも十分連絡をいたしまして今後取計らいたいと存じております。予算等に使いまする数字はその期間におきまする最も接着した正確と思われる数字を使つて参りますので、指定統計数字が間に合わない場合におきましては、一定の推算の下に或る数字を使わなければならない。そうして又指定統計はつきりした正確な数字が出ました場合に、ことによりますればそれによりまして修正を免がれないということは止むを得ないことかと御了承を願いたいと思います。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると仮に現実的に指定統計を使つたとして、それで地方自治廳のあの通達があのままで活かされると、仮にですよ、そういうことになると、どのくらいの整理人員が起つて來るか。それから指定統計を使わないで、文部省で先に立てた方式によるとどのくらい整理が起らざるを得ないか。この点のデーターはありますね、この点について伺いたい。
  43. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 結局、一括して申上げますと、七月に地方廳に通達しました数字に対しまする余剩人員は、年間を通じて自然退職その他の方法によつて整理してしまう。ただそれの整理期間において尚一ヶ月か、二ヶ月か、三ヶ月か人が留まるわけでありますから、それに対しまする俸給費、その他の諸要費に充てる意味において、その超過分の約半分くらいは國の方で手当をすればいいと考えて参つたわけであります。從いまして整理すべき人員は余剩人員の全員となる。ただその緩急が地方財政或いは國庫補助の如何によつて左右せられる、こういうような形になるものと考えております。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると今のなんですか、さつきの説明では二億八千万円というのは結局整理する期間に食い違いがある。そういうものに充てるということですな。
  45. 稻田清助

    説明員稻田清助君) その通りでございます。退職の円滿ならしめるための財源費用でございます。
  46. 河野正夫

    河野正夫君 もう時間も経過いたしましたので、もう一つ議題に移つたらどうかと思います。
  47. 松野喜内

    理事松野喜内君) 河野委員の言われる通り第二の問題に入りたいと思います。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これは結論的に言つて置かなくちやならないのですが、この前のときも文相はこの問題については努力をすると、第五國会における声明連関して、現実的に地方で首切の問題が起つており、これに対してできるだけ努力をする。もう一つ地方自治廳の通牒そのものについては、これは地方でその運用については実体に即應して自主的に解決する。これは稻田局長もそういうようなものはどのように判断されておるか。その点に対する責任はどうか、先に伺つて置きたい。
  49. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 先般大臣が御答枠になりましたように、前國会の当初におきましては年々の退職歩合と教員の超過歩合とを比較いたしました場合には、全体的に見て本年に限つて格別の方法を以て整理しないでも自然退職その他の方法ということを考えれば落ち着き得るという見解の下に答弁せられたことであろうと思う。この見解に対しては私共今日変つていないのでありますが、要するに任免権者であります教育委員会財政権者でありまする知事と十分交渉して、教育の問題について檢討せられ、一定の方針を立てられて処置をせられるのに任せる外はない性質のものと考えております。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことでは非常にこれは無責任なことと思うので、文相がどういう内容でどういう数字だからそういう答弁をされたかは問題ではない。首切整理をしない、そういうことを建前として、そうしてやつたところが、実際はこの四万くらい毎年辞めておつたのが辞めないので、そこで切らなくてはならないという現状が起つて來る。そうすると答弁とそこに食い違いがあるので、文相答弁がどのような内容であつたかどうかはここではそれ程問題ではないと思う。そのことをこの前の委員会で追及されたので、文相は尚今後努力すると、こういうふうに言われた。そうするとなんですか、今の答弁によるというと、そういうことは文相答弁したそのときの状況と変つてつたのだからしてその答弁の内容については責任を持たないというふうに聞えるのでありますが、そう取つていいですか。
  51. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 文相答弁は先程私が申上げましたように推算の基礎においての結果を表明せられたものだと考えております。從いましてそういう意味以外の責任はその答弁について付いて廻らん性質のものと考えております。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 それから地方自治廳との問題ね、そのとき局長答弁されたと思うのですが、そういうのをもつとどういうふうに追及……質されようとするか、今後。
  53. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 地方自治廳の通牒は法規的の見解から申上げますれば、これを誤りだということはできないということは前に申上げたと存じます。地方自治廳はあの通牒によりまして地方財政確立のために一つの警告を発せられたものである。從いましてこの警告を受けた地方廳としては十分それらの状況を考えて自己の責任を以て処理せられることになると思います。又地方自治廳に対しましては、各地方地方教育の状況を考えて頂いて、実際の措置については十分御考慮を願いたい。その点につきましては地方自治廳としてもそういうような実際の適用については十分地方財政状況、教育状況を勘案する。こういうことでありますので、一應この前の問題につきましての両官廳の話合はそこででき上つておるのものと考えます。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 それじや非常に曖昧な逃げ言葉でしかないと思う。我々があの地方廳の通牒そのものに対しては不当であると当委員会でも決定しておる。これに対して再通牒を発すべきだ、こういうことを規定しておるのは……あの第一項しか活かされないで、第二項の精神が没却されておる。そういうところで追及が更に文部省としては大臣答弁との連関において、どうしても事前にあのような通牒を出すときに徹底的にこの問題を解決しなければならないといこうとを我々は主張し警告を発しておる。そうして而もその点についてはできるだけ努力するというようなことを考えて、曖昧にやつて置いてその実体は何ら見えないのに、それを以て飽くまでもそれじや地方委員会に任せなければならないというふうに逃げてしまうというように我々は判断せざるを得ない。甚だ不誠意な答弁だというように思うのですが、この点はどうですか。
  55. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 要するに前國会におきまして予算を御決定になりましたその基礎が五十分の一・三五であり、一・七でありますれば、諸般のその後における情勢はその線に関しては執行し取纒めて行く外はないと思います。その場合私共といたしましてはできる限り教育の尊重が地方において期せられるように念願する。それ以外の場合は考え得られないのだと存じております。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 どうもそこのところが水掛論になるかも知らんけれども、実に答弁そのものが曖昧だ。これはやはりどうしたつて我々は問題として残して置かなければならんと思います。これは無論稲田局長をここで追及して見ても話が分らないし、結論は出ないと思いますが、実に曖昧極まるものだと思う。我々は非常に不滿だ。こういうような答弁で官僚的に、一方的に進むような事務的な話合いでこの問題が解決されるなんていうことは考えていない。若しこんなふうなやり方で文部行政が今後進められるとするなら、これは重大な決意を持たなければならないと思う。これは甚だ不滿だ、今のような答弁では。実に官僚的な一方的な形式的な解釈に過ぎない。又その間に起つた微妙な問題については何ら触れていないし、責任回避をしていると思われるのです。   —————————————
  57. 松野喜内

    理事松野喜内君) 段々時間が來たが、折角劍木局長が來ておるし、河野委員岩間委員も御要望であるから簡單にでもこのことを一つ……。
  58. 河野正夫

    河野正夫君 簡單に……。
  59. 松野喜内

    理事松野喜内君) それでは大学教授政治活動に関する件についてどなたかに御質問願います。
  60. 河野正夫

    河野正夫君 この件につきましては、発足したのはその問題が起つたのは、人事院規則の発表があつたからであります。その後淺井人事院総裁の言明乃至は本日のマツコイ准將の新聞記者談というようなことで段々と人事院規則の内容が明らかになつて來ておるようでありますけれども、我々としてはまあ仮にあの規則そのままに容認するとしても、実際にはいろいろな説明が聞かされてもまだ分らない点が多々あるので、やや後退的な、後ろに下つたような質問を先にいたしますけれども、一体あの人事院規則によつて大学教授が総合雜誌などに政治的な論文を掲載することが可能であると考えられるかどうか、この点を先ず文部当局に承つて置きたいと思います。それは政治学者が職責を遂行するという上において政治評論の著書を書きこれを学生に読ませるということは、それは教授計画として考えれば或る意味では分るのであります。今までの解釈から見ても差支ないように見えるのでありますけれども、これを総合雜誌に時事評論を書くということになると、人事院規則乃至は公務員法で規定する職責遂行の必要のためであるとみなされない危險があるわけであります。況んや他の例えば自然科学の教授が政治評論を書くという場合には以ての外であると極めつけられる憂いさえいる。私共の見解を申上げれば單に大学教授に限らないのでありますけれども、先ず大体の新聞論調などで指示しておるのが大学教授ですから、大学教授に限定して言いましても、大学教授が、政治学の教授が政治論文を書くのはよろしいけれども、他の自然科学の教授がそれを書いてはいかんという意味のものではならんと思うのであります。今まで従來の例で見ましても大学の教授諸君というものは或る意味の世論の指導者であり、乃至は時の権勢に屈せず正しい批判をして行つておるのであります。成る程その中には例えば私個人から見て見解が反対の者がありましても、それは眞理の追究という面からなされている以上はお互いに尊重し合わなければならん意見が相当発表されるのであります。こういうことさえも禁止するということは、事は人事院総裁の責任であるかも知れませんけれども、学問と言論の自由を守るということは民主教育の上で最も中心的な事柄である、從つて文部当局としても重大な関心を持たれるに違いないと思います。その点について御説明を求めます。
  61. 剱木亨弘

    説明員(剱木亨弘君) 人事院規則の点で特に今御質問になりました点につきましても、実は私共といたしましても一番明確にして置かなければならん点でございまして、これは実は新聞その他に多少その点に対する意向等も掲載されておりますけれども、文部省といたしましてはこれはやはり正式に相当の解釈をして置く必要があると思いまして、この点は私共局内で十分研究したものについて、質疑について、人事課長を通じまして只今人事院とその解釈についてはつきりしたところを調査して貰つておるのでございまして、その結論を得ましてからこのことに対しては私共としては一つの解釈を得るという形になると思うのであります。只今その人事院との話合を続けて行つて頂いておりますので、その結論をまだ只今得ておりませんが、私共としても早急にその結論を得たいと思います。
  62. 河野正夫

    河野正夫君 私もう一つだけ簡單な質問をいたしたいと思いますが、今日文部当局は関知しないということを言わけるかも知れませんけれども、現実において全國の國立大学において教授諸君がいろいろな理由によつて辞職を強要せられておるので、これがいわゆる公務員法乃至人事院規則に基いて、正面から正しい合法的な立場からなされるというのであるならばこれは止むを得ないことであり、又それについては訴願の途もあれば、救済の方法法律の上で講じられておる筈であります。けれどもそうでなくして隱密のうちに自発的退職を強要するという形で行われているのであります。而もこれは文部省が関知しないと言わめるのでありまするけれども、事が全國一齊に生じておる。我々の聞くところによると可なりの文部省との連絡があつてのことであると承知しているのであります。実際に憲法なり、國法に反する現実の行動があつた者はそれぞれの法律によつて、或いは又行政処分も可能でありましよう。それを我々は否定するものじやありません。けれども單に或る種の党員であるとか、或る思想を持つておるとかということが恰かも行政処分に値するかのような風潮を今見つつある。これは甚だ遺憾であると思うのであります。この点について文部当局はやはり今日大学管理委員会なり、地方教育委員会に対する指令権はないといたしましても、國立大学に関してはとにかく法律上の責任者であり、最高の責任者であり、地方教育委員会に対しても適当な助言を與える権利を持つているのでありまするからして、そして又こういうふうな権利を持つているということは、実はやはり一國の教育の行政の中心として指導することが文部省としての責任があるということを意味するのだろうと思うのであります。その上にこれは大学教授に限らず、地方教官のやはり辞職強要的な問題につきましても重大な関心を持ち、何らかの法的な措置を講ぜられる必要があるのじやなかろうかと私は思うのであります。必ずしも個々の出來事に対して不当であると私は申上げるのじやないけれども、全般的に言つてやはり言論圧迫、思想の彈圧ということ、或いは更にもう一歩進めれば法規無視というような社会風潮をそのままに默認しておるということになるので、これは文部当局が何とも手を打たないとすれば結局その方向に消極的に助力しておるということになると我々は考えるのですが、その点について当局の見解を承つて置きたいと思います。
  63. 剱木亨弘

    説明員(剱木亨弘君) この問題は実は大学学術局といたしましての立場と文部省の立場と多少違う点があるのでありますが、私の方の局の建前といたしましては今度の法案の規定でもはつきり文部省の設置法でも分りますように、大学学術局としましては全くこの行政的ないわゆる指導監督といいますかその面は全くなくなつて参りまして、助言機関としての面だけと思いますので、この点は我々としても実はこのような信念を持つて注意してやつておるつもりであります。それから只今の思想の方面につきましても、これは私共局といたしまして情報を集める方法もございませんし、事実学校から情報を提供して貰つていないのでございます。ただ新聞その他によりまして、私共も共にやはり大学のために心配をいたしておるのであります。併しこれは私共の立場といたしましては、これは仮に大学が間違つておるということがはつきりするにいたしましても、私の方の立場としては、大学に対して監督的な立場ということは到底取るべきではなく、又取ることはできないのじやないかと思い、そういうふうに考えております。やはり大学の進歩発達、学問の向上等を念願しております者といたしましては、その大学の内のいろいろの問題については相当常に心配はしておりますけれども、これは行政的な問題といたしましては私共現在その権限を持つていないし、又そういうことをしてはいけないのじやないかと考えております。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 併しその点はこの前から異論があつたところです。それでどんな問題が起つてもそれに直接干渉しないと言いますが、併し実際は通牒を出されたり、例えば第八條の解釈に対する意見が出たり、今度は学校教育法施行規則の十三條でしたかの四号を挿入するという問題が起つておる。そうして今では何といいますか今の段階ではむしろ進歩的な動きに対しまして何か一つの楔を打つというようなことは相当やつておる。逆に今までの古いものを打破つて日本を新らしい方向に進めようとする民主的な動きに対しては、文部省はこれにタツチしたがらない、ここに問題があると思う。而も今日やはり思想的な追放とか、政治的な追放とかいうことは非常に大きく起つておる、問題が発生しておる。併し今の答弁だとその情報を集めようとしないで、新聞からの情報だけで間に合わせようということは、非常に監督官廳としての性格をなくした文部省としましても指導助言というような性格を持ち、尚文部省の從來持つておる官廳としての性格から考えてまだまだ文部省の権威は地を拂つておるのではない。この点に対してこの前も大臣に対していろいろ不当な大学教授の追放の問題が起つておるから、これに対して行き過ぎのないような政治的な思想的なそういう追放ということは文部省の取らないところである、こういうような点に対して適当なる措置をとらるるべきであるとそういうことを要請したのでありますが、併しそれはまだその時でないということで、そのとき大臣は回避された。併し只今も河野君が申しますように、その情勢は依然として止まないで、非常に大きな波瀾を孕んでおります。文部省の今までの方法連関してお考え下されば分ると思います。その必要が非常に生れておると考えますがどうですか。
  65. 剱木亨弘

    説明員(剱木亨弘君) 私先にも申しましたように、私大学学術局長としての立場と文部省の立場は多少違いがあるかも知れんということを申上げましたのですが、大学学術局長といたしまして今私共の任務としてやつておりますのは、やはり大学に対する指導助言ということはございますが、それは指導助言の範囲は主として大学の運営なり、教育活動の問題でございまして、例えば一般教育をどうするかとか、或いはガイダンスのガイド・ブツクを作るとか、そういつたような面につきましては、一般的な指導助言としては大いにやつて行くべきだと思いますが、この人事の関係につきましては特に具体的な人事につきましては、これは現在の状況は大学自体に任せられておりまして私共何らのそれに対する容喙の権限がないのでありまして、人事に対する指導なり助言の立場というものは私共にはないと考えております。それから今お話がございましたように、全般的な指導をこの際文部省はとるべきかどうかということは、それは全く大臣の御判斷によるべきことでございまして、私共局のいわゆる補佐的な立場にある者といたしましては、その面についていろいろなことを申上げる筋合でないと私は考えております。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 一應今のお話は成立つのでありますが、今言つた教育の内容の指導、助言しかできない、そういうことでないと思います。こういう点について、大臣の肚構えの内容をなすもの、こういうものについてやはり責任の任にあるところの大学学術局長において十分に献言されて、これが正しい、そうして本当に大臣を補佐する、これが局長の任務だと考えております。もう少しそういうことを何といいますか、自分の立場でないから、成るだけ首をすつ込めておるということでなくしてやつて貰いたい。これだけ要望して置きたいと思います。その点は何ぼ追及しても、法規の上からどうしたつてこれは駄目だと言われれば、これは取り止めないということになりますから打切りますが、そういうふうに要望したいと思います。それから大学学術局の中に情報を集めるということはおやりになつていないのですか。
  67. 剱木亨弘

    説明員(剱木亨弘君) そうです。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 これは頗る問題だと思います。実際大変なことになると思います。今のお話の通りだとすれば、今これだけの現実に問題が起つております。教育の内容とかいうことを言われるけれども、教育の一番内容である教員の首切問題が起つておるのに対して何らの情報を持たない。これに対する判断を持たないで、一体どのような教育の内容をなすか。その点私は非常な疑問に思つておる。これ以上の問題はあり得ない。この点そういうことでなくしてやはり殻の中に潜らないで、一つ集めて貰いたい。なければ外から出て來るでしよう。そういうことを責任問題というふうなことだけでなくして、もつと日本の教育をどうするかというような点でもつと考えて頂きたいと思いますが、どうでしようか。
  69. 剱木亨弘

    説明員(剱木亨弘君) 情報を集めるところがないということにつきましては、それは文部省としてよくないという考え方は、私は全く同感でございます。何とかそういうコントロールするということでなしに、文部行政をやつて行く上にいろいろな動きというものについての情報は確実なデーターを持つておるべきではないかということは、私も省内においてしばしば主張して來たところであります。併し現実の面におきましては、例えば大学学術局におきましては、若し情報を集めるといたしますば、どこでやるかという現実の問題がございますが、大学については大学側、又技術教育については技術局側、教員養成については教員養成課がございますが、それは何らその方にタツチするようなスタツフも……実際仕事もなし得ないような状況であります。学術局を通じまして、現実の問題としては局自体には力もありませんし、又知ることを規定上も許されていないということでございまして、この点は國会等の御要望に対して、私は新らしい設置法も改正していいのじやないかと私は考えておるのであります。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると機能の、文部省の機能の中にそういう弱体があるということが出ておるのでありますが、こういう問題は別の問題として又お考えつてもいいと思います。ついでに稻田局長にお伺いいたしますが、やはり小、中学校の方には情報は集めていませんか。
  71. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 普通教育に関しましては、曾ては文部省はその人事に関しまする権限の相当部分をみずから把握いたしておりました。又よかれ惡しかれいろいろ監督指導をいたして参つたのでありますけれども、新しい機構になり、殊に教育委員会発足以來、こうした中央の人事に関するコントロールを排除して、よかれ惡しかれ中央においてそういう左右をなすことを排除するという点が教育委員会法、或いは又新らしい文部省の設置法の精神であると考えております。從いまして只今大学局長の言われた対大学の問題とは多少性質が異なり、殊に地方公務員に関しましては全く文部省といたしましては、そうしたよかれ惡しかれ人事に関しましては実際のコントロールをしない。然らば地方の人事が如何にして行われるか、新らしい機構を私共考えますればスタンダードを國家公務員法及び地方公務員法、そういうものによつて明確にスタンダードを決めて、そこでそのスタンダードによつてそこにおいて人事管理権者が全く他からの制約を受けないで独自の見識と権限とを持つてするということ、これについて又新らしい人事が円満に健全に発達する、又それに非違があれば、そこに非違に対して匡正方法地方公務員法によりまして十分考えまして、その精神に副いまして注意をするとか、情報を集めるとか、いわゆる恰かも中央の統制めいたことは、私共は控えることが、そうした機構に対しては我々としては忠純であると考えております。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 現在もないですね、情報は……。
  73. 稻田清助

    説明員稻田清助君) ありません。
  74. 松野喜内

    理事松野喜内君) 大変時間が遅れました。本日はこれを以て閉じることにいたします。    午後零時五十四分散会  出席者は左の通り。    理事            松野 喜内君            岩間 正男君            木内キヤウ君    委員            大隈 信幸君            河野 正夫君            高良 とみ君            三島 通陽君            山本 勇造君            鈴木 憲一君   説明員    文部事務官    (大臣官房会計    課長)     寺中 作雄君    文部事務官    (大学学術局    長)      剱木 亨弘君    文部事務官    (初等中等教育    局長)     稻田 清助君