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1949-09-26 第5回国会 参議院 文部委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月二十六日(月曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育文化施設及び文化財保護に関す  る一般調査の件  (定員定額制の問題・シヤウプ勧告  が文教政策に及ぼす影響並びに法隆  寺五重塔の埋藏物に関する件)   —————————————
  2. 岩間正男

    理事岩間正男君) 只今から文部委員会開会いたします。今日はこの前の予定された案件、その他二、三の追加案件がございます。最初に定員定額制の問題につきまして地方自治廳通牒を出した。併しこの通牒については非常に問題があつて、当委員会でも両三度この問題について討議した筈である。この問題についてどのような具体策を持つかということについて先ずお諮りしたい思います。
  3. 河野正夫

    河野正夫君 この自治廳通牒の問題はしばしば議論になつて議論というよりも、我々の方から質問があり、関係当局の方からもいろいろと答弁もあつたのです。実は申しますと、只今我が党の宮崎縣選出議員の方とちよつと話をしたのですが、地方では非常に弱つている、あの通牒がなければ何とかまあ府縣だけでも、多少この定員定額によつて生じた、本年度予算によつて生じた困難を地方費で何とか賄うという意思を持つてつた。ところが自治廳通牒があつたので、すつかりその点で頓挫を來たしておる。何とかならないだろうかというような相談を今受けて、ここに來たばかりであります。一應文部当局のいろいろな意向を聞いて見ますと、実質的にはあの自治廳通牒の効力を発揮しないような、つまり第二十七條でしたか、二十六條でしたかの適用をしないような線が内定されておるようでありますけれども、問題はそうでなくして自治廳通牒効果というものは、むしろあの罰則を適用するということによつて地方財政を引締めていくというところにその効果があるのであります。財政を引締めるということは差支ないとしても、その故に教員の不足をどうしても補うことができないということになつて、結局教育の破壞ということにまで、自治廳が干渉するというその効果はあめわけです。事実上配付税交付金を減額するということはないとしても、地方隆治廳通牒によつて実質的には予算が組めないという効果はある。だからこの効果を何らかの形で打消さなければならない。そこで我々としてはこの委員会自治廳通牒は行き過ぎである、何らかの処置を講ぜらるべきものと思うというような申合せ自治廳にでも文部省にでもこれを突きつける。こういう方法を取つた如何かと私は思うのですが、皆さん方の御意見はどんなものでございましようか。
  4. 岩間正男

    理事岩間正男君) 只今河野委員提案について御意見がございましたら……。
  5. 高良とみ

    高良とみ君 この定員定額制のことについては再三再四文部省から文部の係がこの委員会でも絶対に減員は行わないし、馘首も行わないし、それから更に私共の接したところでは文部次官のごときは、若し地方長官地方自治財政方のことで以て馘首の人員を学校教員にまで割当てて來ようというのはこれは地方行政運営の逃げ道なんで以ての外で、文部としては徹底的にこれに交渉すべきであるというようなことを、又いろいろな内部の地方自治財政と本部の方針とのことについて話を聞いているのであります。つまりこの前地方長官会議のありました当時、定員定額について地方長官から再三再四文部省に向つて質問があつたのに対して、文部省は徹底に初めの方針と変りないということを説明して來ているのであります。私共議員に対しても説明しておるのに対して、地方自治廳通牒によりまして、その根本方針に違反するようなものを施行されているということは私共非常に遺憾に思うところでありまして、この点一つ徹底的に糾明いたしまして、文部大臣及び文部次官お話下さいまして、若しその人達が前言を覆えさないで、本年度予算を流して行くつもりなら、私は断乎これに対して委員会の決議を以て地方自治廳に行過ぎを修正することを内閣に要求すべきであるというふうに私は考えます。河野委員の御発言に賛成します。
  6. 大隈信幸

    大隈信幸君 私も河野委員の御発言に賛成でありまして、その法方でございますが、参議院だれでやるのか、衆議院と歩調を一にしてやるのかという問題、これは当然両院共同でやるべき性質のものだと思いますから、そのようにお取計いを頂きたいと思います。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 定員定額の問題はたびたび文部委員会で以て審議されておつたようでありますけれども、地方の居る我々といたしましては、今回初めて出ておるのでありまして、定員定額についてもう少し私としては審議を進めて貰いたいとこう考えておるのですが、如何でしようか。
  8. 岩間正男

    理事岩間正男君) それでは別に河野君の提案に対しまして、御異議がないようでありますから、地方自治廳の過日の通牒は非常に不当である、こういうような抗議を当委員会として決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 岩間正男

    理事岩間正男君) そのように決定いたして、早速その方法を採りたいと思います。尚この前の話合では抗議だけでなくて、これに対してもう一回我々の精神を入れたところの再通牒を出すべきではないか、こういう意見がありましたが、そういう点までこちらで意見を附しますか。
  10. 河野正夫

    河野正夫君 私の提案は、地方自治廳通牒は不当であるでも行過ぎであるので構いませんが、とにかく実質的に不当である、從つて何らかの適当なる措置を講ぜらめべきだというところまで含んでおるわけであります。そして更に今大隈委員から発言されましたように、これを衆参両院の共同的な、共通な申合せとして、一緒に行動するというようなことは、六三予算の面についてもそういう要点を持つているときだから至極結構だと思います。
  11. 岩間正男

    理事岩間正男君) それでは今の決定に更に追加しまして、大体今まで衆議院の傾向を見ますと、同じような意向を以てすでにそういう意思表示をされているように聞いております。この点尚打合せまして、両院共通の行動にまでこの問題を発展させることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 岩間正男

    理事岩間正男君) 御異議ございませんね。それではそのように決定いたしました。その問題はこれで打切ります。  次の大隈委員の方から質問事項がございますので……。ちよつと休憩いたします。    午前十一時八分休憩    ——————————    午前十一時二十四分開会
  13. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは委員会を再開いたします。文部当局が見えましたから、シヤウプ勧告文教政策に及ぼす影響、並びにこれに対して、文部省はどういう対策を持つておられるかということにつきまして、説明を聽取したいと存じます。先ず大隈委員からの御発言を……。
  14. 大隈信幸

    大隈信幸君 只今委員長がおつしやいました件につきまして、文部省から、シヤウプ・ミツシヨンが発表されまして、文教政策如何なる影響を及ぼすかという問題と、文部省はそれに対して如何なる対策を講ずる意思があるかという点について、この二つの点について文部省説明を聞きたいと思つておるのであります。
  15. 河野正夫

    河野正夫君 御答弁になる前に序でに一緒に答えて頂きたいと思います。この前大臣がお見えになつたときにも、この件伺つたのですけれども、まだ発表された当日の関係で、研究していないというお話でしたので、私の質問大隈委員と同じことなんですけれども、その一、二の内容について申しますと、平衡交付金が紐付になつていない。府縣標準收入に対して最低支出差額を埋めるのに使うということになつておるにも拘らず、一方においては義務教育費國庫負担法基ずい半額補助というものが、これはシヤウプ・ミツシヨン報告を見ると消される運命にある、然らばこの千二百億の平衡交付金からどういうふうにして出すかということになると、今言つたように全然文部委員会赤字救済という意味でしか出さないということになると、都道縣及び市町村財政の建て方によつては、非常に教育のアンバランスを生じる。この点をどう救済するか、こういう点についての文部省の対象、乃至は私の解釈は誤つておるかというような点について、併せて御説明願いたいと思います。
  16. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 只今河野委員お話でございますが……。
  17. 河野正夫

    河野正夫君 大隈委員の御質問です。
  18. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 大隈委員の御質問でございますが、先頃発表されましたシヤウプ・ミツシヨン税制改革に関しまする意見につきまして、地方教育津如何なる影響を受けるかという問題につきましては、文部省といたしましても多大な関心を持つて研究いたしておるのであります。ただ尚この発表されました勧告文附属文章が公表されておりませんので、詳細な点につきましては尚明らかでないのが遺憾であるのでありますが、御承知のごとく中央地方財政関係につきましては、全額補助將來に向つて廃止をする。今までありまする二百幾十の半額國庫補助につきましては、その恒久的な性質を持ちまする國と地方との負担区分というようなものは、將來平衡交付金というものに置き替えて、配付税と共に新たに平衡交付金を構成する。一時的な而も奬励的國庫補助はこれは継続して結構であろう。こういうふうな勧告が見えるわけであります。殊に廃止いたしまして平衡交付金に置き替えられるものの例示といたしまして、義務教育費國庫負担というものも上つておるのでありますから、從來定員定額によりまするこうした國庫補助というものが、將來に廃止せられ、そうしてこの平衡交付金によりまする運用についてシヤウプ・ミツシヨン考え方を推察いたしますると、大体各地方團体において教育その他いろいろな行政的経費を算出いたします必要とすべきこうして行政経費は、建前といたしまして市町村税收入を以て充てる。これが原則であるようであります。更に起債の枠も非常に緩くなりましたので、起債を許さるべき性質のものについてはこれを以て財源に当てる。併しながらその必要とする行政費市町村その他公共團体收入を以て賄い得ない部分につきましては、新たに地方自治廳に代つて設けられまする財政委員会において、平衡交付金交付について研究をして、平衡交付金を以て補うように考える。而もその平衡交付金は中間の都道府縣等を通ぜずに、直接所要の市町村中央から渡すというような考えであるようであります。この考えはもとより市町村行政が税を負担すべき住民によつて十分関心を持たれ、市町村自治を促進するというような点につきましては、非常に結構な案であるように考えられるのであります。教育についてもこの一般原則が同樣に考えられますことは、教育將來に明るさをもたらすものとは考えられますけれども、ただ今までのいろいろな問題からして考えますると、そこに相当大きな問題を投げ掛けておるように考えられるのであります。と申しますのは、十何年以前まではこれに以たような恰好でありまして、教育費市町村で支弁しておつた教育俸給市町村で持つてつたのであります。併しながら相当各地において教育俸給の不拂い、遅延等が行われ、又各地方における教育水準が非常に区々であり、全國的に統一が取れなかつた。そういうような欠陷から編み出されましたのが例の俸給費府縣で支弁する、而も府縣で支弁する俸給費半額は國で持つ、あとの半額は縣で出すことを法律で許容する。昨年まではこの順序が逆でありました。府縣が持ちます分の半額補助費として國で支出しておつた。それが本年においては定員定額になつて逆になつたのでありますけれども、ともかくも教育費のうち最も主要で、最も重要な部面であります俸給費につきましては、こうした法律によりまして國と府縣において補助しておりました。そういう関係でともかく地方教育委員会が独自の財政権を持たないといたしましても、こうした基本的の財政につきましては、先ず先ず一應その根幹は心配なしにやつて來られる。又教育のことにつきましては、地方教育水準を維持し、向上さすべき責務を持つております。文部省におきましてもみずからそうした補助金計画し、配付いたすことによつて、その責務を努めて参つたわけであります。將來におきましていわゆる平衡交付金制度になりました場合に、市町村におきましては教育に力を入れるか、或いは他の方面に力を入れるかというようなことは、一應その市町村独自の考えでいたすわけであります。この場合におきまして、從來ともすると問題を起しましたのは、何分にも教育費というものが非常に厖大なものであつたということであります。而も又教育効果というものが直ぐに増減が眼に見えて來ないものでありますので、財政上の必要から苦しくなりますと、とにかく先ず第一に教育費の削減が行われるというようなことがあつたのでありますけれども、將來におきまして、こうしたブレーキがなければ仕合せであると考えられるのであります。又地方において平衡交付金交付いたしまする機関は財政委員会でありまして、その職務といたしまするところは、地方財政の均衡を図るという点であるわけであります。從いましてこの交付金の配分というようなものも財政健全化という点を第一に考えられていたされることであろうと思うのであります。そういうような点で文部省もやはり地方教育委員会なり、教育のことについて心配されるものは教育財政に関しまする発言権を果して得られるかどうか、得られるといたしましても如何なる方法を以てされるかどうかというような点が疑問になつて参るわけであります。そこで我々といたしましては、いろいろ從來の長い歴史のあることでありまして、今日以後において從來のごとき欠陷なしに教育水準を高めて参りますためには、どういたしましても市町村或いは都道縣教育費に対しまする一つ基準というものを法律か何かで決める必要があるというように考えるのであります。先程申上げましたように、税を拂う者がこの市町村行政関心を持つて市町村行政がそうした人民の意思によつて円滑に運用されるという点は結構でありますけれども、義務教育初め教育の問題がこの日本の國内において市町村によつて、或いは府縣によつて非常に区々でありますということは、教育というような見地から見て如何であろうかと思います。或る程度の全國的最低基準というものが何かの方法を以て確保しなければならないというように考えられるのであります。それが第一であります。  その次にこの基準によつて地方財政運用されます場合、いろいろな交付金その他によつて操作せられます場合、教育のことについて責任を持ち、関心を持つ者の意見がその間に反映せられる何かの方法考える必要があるのじやなかろうか、更にこれは平衡交付金制度に副うて考えなければなりませんけれども、とにかく或る程度國が持ち、或る程度地方が持つということなりますれば、その間の負担法律によつて明かにすることができますれば、それも更にこの問題を確保する方法じやないかと思います。併しこの最後の問題につきましては、平衡交付金制度運用方法その他によりまして、尚まだ大きな疑問があろうと思います。とにかく何かの方法によつて全國的な教育水準を維持するよう財政面について考慮する必要があると考えております。
  19. 河野正夫

    河野正夫君 今の問題若し名前を附けて言えば、曾て文部省草案を練つておられて学校設置基準法というようなのは、あれは設置の場合のいろいろな最低基準を示すものらしいです。運営について最低基準を決めよう、我々言つて見れば、学校財政上の学校財政法といつたようなものの草案を拵えてみたらという御意見かとも思いますが、そう了承してよろいうございますか。
  20. 稻田清助

    説明員稻田清助君) まだお話のようにそう具体的な結論は出ていないのでありますが曾て文部省におきまして、学校財政法というようなものを考えておつたのであります。これは或いは内容について多少御承知かとも思いますけれども、補助金の形におきまして、國と地方負担区分を決めて、その前提といたしまして小学校、中学校高等学校最低基準経費というものを法律で決める、最低基準経費を決めました場合にそれぞれの総額ができる。その総額について國、地方負担区分法律を以て決める、こういう思想であるわけであります。先程申上げましたように、そのうちの基準を決めるというような点は、これは新らしい財政制度になりましても我々としては少くとも必要ではないかと考えておるわけであります。
  21. 河野正夫

    河野正夫君 二、三質問したいと思います。今のお答えの件については私も必要だと思うのでありまして、特にシヤウプ・ミツシヨンの第一回報告の第一巻の二十六項ではなかつたかと思いますが、平衡交付金交付する場合の條件が書いてありますが、その中には地方行政費ミニマム経費と、それから標準税收入との差額交付金で埋めるのだというようなことになつておる。そのミニマムをどう決めるかというところに一つ財政法と仮称するならば財政法存在理由があるのであり、又必要な点もあるのだろうと思うのであります。  それはそれといたしまして、次に伺いたいのは、あのシヤウプ・ミツシヨン報告全体と更に終戰後教育のいろいろな改革方向と、教育ばかりじやなくして、地方政治のいろいろな改革方向を見ますると、当然ここに再び教育委員会法そのものの大改革を要するのじやないかというふうに予想されるのです。例えば平衡交付金は、府縣の立場から地方市町村当局へ眞直ぐに飛んで行くといつたようなことで、都道縣教育委員会というものが可なりに、若し市町村教育委員会ができた場合にも可なりに仕事がなくなるというような点もあります。更に又このシヤウプ・ミツシヨン税制改革來年度なら來年度に直ちに行うということは或いは無理かも知れないけれども、相当程度行われるときに、この配付税を止め、補助金を打切るといつたよう方向に行き、而もこの交付金市町村に直ちに飛んで行くということになると、市町村教育委員会というものを早急に確立するということの必要というものが生まれて來るのじやないか。そういう点で、私個人の考では市町村教育委員会というようなものは財政の裏付けがないという意味でも今までは十分考えられたので、今後仮にそれは財源市町村に相当委讓するということがあつたとしても、尚いろいろな面から、例えばその一つ現実における都道府縣の試驗的に行われておる市町村教育委員会の実態というものが証明しておると思うのでありますが、どうもまだまだそういう教育委員会によつて教育運営するということは早い。少くも小さな市町村で行うのは早いという見解を持つておるのでありますけれども、とにかくシヤウプ・ミツシヨン報告を忠実に実現して行くとなると、直ちに市町村教育委員会の実現を図らなければならん。そうして都道縣教育委員会などの権能についても多少の修正を要するということになるのではなかろうかと思うのでありますが、その点についての見解を承りたい、それを一つ……。
  22. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 市町村教育委員会の問題につきまして、從來考えられておる一つ方法であるまする幾つかの市町村集つて、組合的に教育委員会を作るという問題は、仮にお話のごとく財政上の主たる比重が町村にかかつて参りましても支障なく行われるのじやないかというふうに考えられるのでございますが、尚この問題はお話のごとく教育委員会制度根本影響する問題でありまして、更に附属文書その他が明らかになりますと共に、我々といたしましても十分考えてしなければならん問題だと考えております。
  23. 河野正夫

    河野正夫君 もう一つ、これは極く細かな問題でございますけれども、シヤウプ・ミツシヨンのあの勧告書によりますると、地方財源を確保する、税源を確立する。從つて今まで地方寄付金が四百億になんなんとしておつた。これが減額される筈であると、こういうことでありますけれども、更に二十五年度のいろいろな財政計画の表などを見て見ますると、來年度においても尚百億の寄付金というものを残しておる。この寄付金が大体今までの例で行つて自治体警察学校教育の面が殆んど主要なものであつたことは御承知通りであります。從いまして、シヤウプ・ミツシヨンも亦來年度において学校教育を主として百億の寄付を予想しておるのかどうか。これは文部当局に聞いても分りますまいけれども、事実上この百億の経費がやはり教育の面に使われるということになると、それだけ普通の基本的な教育財政計画の上に百億を予想するならこれは幸いと言えるかも知れません。それを基本的な教育財政計画の面の百億を喰い込まれるということになるのだと、これは重要な問題だと思います。この点の御見解を伺いたいと思います。
  24. 稻田清助

    説明員稻田清助君) お話のように、この寄付金を以てやつておりましたものが、將來税收入変つて來るという点について、ミツシヨンの報告は三百億分は今度こういう財源で見られるから、その分については將來寄付金がなくて済むだろうといつたような予言をしております。從つて残りの百億は外の寄付金として継続するのみならず、まあ寄付金の点につきましては相当疑問を持つておられるじやないか。その辺につきましては、地方自治廳或い大藏省あたりで今後の財政計画をだんだん明らかに査定いたします際に、我々といたしましても十分関心を以て明らかにして参りたいと思つております。
  25. 河野正夫

    河野正夫君 最後にもう一つ質問がある。シヤウプ報告学校建築、我我が普通いう六・三建築公共事業費については殆んど否定的に見える。報告を丁寧に見ましても、はつきりしたことは出ておりませんけれども、そう思うのであります。平衡交付金の中にはもとより臨時的の六・三建築費は入つていないようです。來年度のいろいろな財政計画の表を見ましてもそれが入つていない。然るに文部当局では六・三日書等、我々がいう文部省教育報告書並びに來年度予算文部省における要求見積計画といつたものを我々聞かされておるのですが、その中に可なりに臨時的の公共事業費が入つておる。そこでシヤウプ・ミツシヨン報告は殆んど否定的に見えるこの問題をどう調和するか、どういうような具体策を取つておるかということについて当局の御意見を承りたい。
  26. 久保田藤麿

    説明員久保田藤磨君) 只今お話ですと、全く否定的であるかのような御説明ですけれども、私共必ずしも全く否定的というふうに思つておりません。殊に大藏省関係人等も、六・三については何とかございますから、寄付金の線を動かされたという点だけが、消極的のいわば痛みというふうに受取つておりまして、関係のもの一同、その点について特に調和を要するという程度には考えておりません。今一つはこの前も私皆さんに御説明し、又御協力をお願いし、先きざきこの六・三の問題を長く引延そうという態度がいかん。むしろ私がこの前申上げました本年度乃至來年度の本予算において一つの終止符を付けるように固めて呉れという線が強く出ておりますので、先きざきをむしろ考えて、シヤウプ勧告のうちに特に触れる必要もなかつたというふうに私共は了解しておるのでございますが、如何かでございますか。
  27. 河野正夫

    河野正夫君 二十五年度シヤウプ報告税制改革勧告を容れられたとして、大体の收支の表がございます。中央地方のあれを詳細に檢討して見ても、公共事業費の、例えばあなた方が仮に百億乃至六十億を要求したとして、それに入る余地が、私の研究によると殆んどないように見える。あなた方はそれをどう研究されたか承りたい。
  28. 久保田藤麿

    説明員久保田藤磨君) これから將來の分としての計算を申しますよりは、むしろ本年度の形でそのまま置替えた場合の数字ということにあれはあつたというふうに私記憶します。從つて予算関係がどう決められるかにおいて、こういう数字が出て來るのである。こういう見解であの表を私共は了解したように考えております。
  29. 河野正夫

    河野正夫君 その通りであります。その通りであるけれども、政治現実というものは一遍ああいうものが出ると、本年度通りのものではないのだと押しまくられる。特に安本なり、大藏当局はあの線が出たのだからというので押しまくられる虞れが十分ある。それ故に私が躍起になる以上に文部当局が躍起になつて貰わなければならんと思います。これに対する答え方はとにもかくにもといたしまして、非常に心配で、十分研究して置く必要があるだろうと思います。その点を警告して私の質問を打切ります。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 今の平衡資金の問題と連関するのでありますが、河野委員からもいろいろ発言がありましたが、尚この前高瀬文相がこの委員会に出席されたときに、特に警告して置いたのでありますが、現在教員給、その他の雑給などについて、大体半額國庫負担となつておるのであります。併しこれだれでさえも非常にいろいろなアンバランスが出て來て、地方で困難しており、地方財政を圧迫しておる。勿論シヤウプ案によると、地方財政の立直しということが前提となつており、それに対するいろいろな手段が取られておりますから、無論研究を要する問題でありますけれども、大体日本の教育の現状を考えるというと、さつきの稻田局長の説明にも、そういうことが多く出ておつたように、非常に地方差によつて教育の機会均等が破られるという虞れが非常にあるわけであります。一方國会に対しては、大衆の間から全額國庫負担の要求が起つておる。それにも拘わらず半額國庫負担さえ確立されないという線で、地方財政の方に委讓される面が非常に多くなつて來る。これがやはり今後の教育行政について、日本の現状から考えるときに非常に混乱が起るのではないかということが今から懸念されるのであります。從つてこの問題についてはもつともつと調査を進め、徹底的に討論する機会があると思いますけれども、大体國民の意思のありどころがどういうふうに動いておるか、又現状における半額國庫負担に対してさえも、あきたりない声があるのに、こういうものが全面的に建前としては外されて來るとすると、これは随分輿論から外れた方向に行く危險性が考えられるのですが、文部省はこの辺でやはり十分に肚を決めて、技術的に平衡資金をどうするかという問題とも運用して來ると思いますが、これは少くとも從來の線くらいのものははつきり守り拔くということを今から持つていなくてはならないのじやないか、ただそれとしても、これは委員会の全体としての意向ではありませんけれども、少くとも現状において國庫からのそういうような補助の面が弱まるというようなことは、日本の教育の現状において望ましくないというようなふうに考えられるのですから、いずれは又徹底的にこの問題を討論する機会があると思いますが、そういう意向もあることについては十分に反映させて、今後の折衝なり研究なりを進めて頂きたい、こういうふうに思います。この前に高瀬文相に要望したのでありますが、シヤウプ案が出たからといつて、その枠内で仕事をするというような方向でなくて、シヤウプ案そのものをもつと檢討することが必要であり、そういうことがシヤウプ案の覚書の中に大いに討論して欲しいということが言われてあるのでありますから、この教育の特殊的の立場、日本の現状、こういうことを深く考えて、本当に守り立てて行くという立場において、飽くまでその立場に立つて文部省は大きなはつきりした決意を以て進めて貰いたい。こういうことを要望したいのであります。
  31. 高良とみ

    高良とみ君 私は只今の岩間委員の御説も一應理があるのでありますが、違う方向から文部省に要望して置きたいし、我々の方としても研究して行くという方向を忘れたくないと思います。それは全額國庫負担という要望がありましたけれども、問題は、要するにこの教育財政如何にすべきかという根本的な哲学が確立してしないし、我々の委員会としてもしばしば議論が出て根本が動いておつたと思うのです。殊に教育地方委讓ということを文部、つまり教育委員会においてしまして、それに何らの財源を與えないで置いて、そうして最近のような教員資格、審査のような非常に金のかかる仕事を與えて、そうしてただ教育委員会というものは不況にあり、地方財政権を獲得する面においても発言権のないような状態に置いておきましたならば、これは教育地方委讓ということが中途半端になつてしまうということを非常に憂うるものであります。殊に各府縣に文教常任委員というものがあります。それが生殺與奪の権を持つようでありますし、学校の所有権さえも、知事その他によりまして、なかなか教育委員会の活躍ができないのでありますから、私の希望といたしましては、この際大いに我々も勉強して、教育地方へ委讓するつもりなのか、或いは中央に集権するつもりなのか、或いは行政だけは地方に委讓して、財政文部省が今後集中して折衝して行くかということは研究の余地があろうと思うのであります。同時に地方分権の文教常任委員の中の教育委員会財政権を持つておるということは、十分に今後地方自治の発達と共に考えて、この件を一つ教育委員会へ委讓されるよう持つて行きたいものだ、そうしませんと今度のシヤウプ勧告も本当に点睛を失うものであるというふうに私は考えており、これが又一つ地方教育委員会の要望であると信じておるのであります。  次に、一つ伺いたいことは、私立学校に対する寄付金の免税も、我々も、文部省からもシヤウプに意見を出したのでありますが、その結果、若しも私立学校に対して助成金が免除になるということでありますならば、今度の補正予算に出ておりますところの二十三億のバランスを立てるときの、私立学校救済費と言いますか、援助費の率はどういうふうになるかということを、緊急のことですから、ちよつとお聞きいたします。
  32. 久保田藤麿

    説明員久保田藤磨君) 寄附関係の免税の点は、只今私共承知しておりますところでは、明二十五年度からの扱いにして貰いたいといつたような状態でありまして、今年の現在の分は、現在法人に移行して行きます関係のもの、その程度に限りたいというような形で、私共も一應それで行こうというふうに考えておりますので、只今補正予算で要求しております関係の分には直接の影響はありません。私共はないと思つております。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の皆様方の御質問で、シヤウプ案に関して文部省のお考え將來どういうふうになるかということについての、いろいろな要望或いは警告というふうなものがあつたようでありますが、差当つて二十五年度予算というふうなものは、どういうふうな形において文部省はなされておるか、補正予算はどういうふうな構成を持つておられるか、若しその後においてそれが変更されるような場合には、二十五年度においてであるか、そういう点について……。
  34. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 或いは御質問の御趣旨を私誤解いたしておりましたら、又お尋ね願いたいのでありますけれども、こうしたシヤウプの税制改革によると、現在文部省が大藏省に提出いたしております來年度予算関係がどうなるかという御質問でございましたならば、現在大藏省に提出いたしておりますのは、從來中央地方財政区分財政上の取扱いというような線に沿うて、一應義務教育費國庫負担その他の経費を要求いたしております。大藏省がその観念において現に査定をしておりまして、恐らく近日査定の結果が明らかになると思うのでありますが、これを來年の税制改正に伴いまする中央地方財政改革に当嵌めます場合におきましては、先程申上げましたように、一部の補助金平衡交付金になるというような関係で、恐らくそのままの数字をこういうふうに計算したのだということで、平衡交付金構成の財源として、大藏省から地方自治廳の方に連絡があると思つております。
  35. 河野正夫

    河野正夫君 この機会に、前から文部当局が大藏省乃至安本と交渉中の補正予算並びに來年度予算の交渉経過内容お話し願えれば伺いたいと思います。例えば定員定額制ばかりではないのですが、義務教育費國庫負担金の補正予算、六三建築の補正予算等々の計画は伺つたのですけれども、それが事務折衝中大体減額されておるということを聞いておる。又文部省の弱氣で減額しておるという噂も聞いておる。それについてどの程度に折衝されておるかということを伺いたい。速記が困難であるならば止めてもよろしい。
  36. 稻田清助

    説明員稻田清助君) 補正予算につきましては、まだ大藏省において査定に著手していないのでございます。これは御承知のように、來年度予算の方を先に政府として決定してその後において補正予算を組む、こういうことでありますから、補正予算として大藏省に要求しております費用につきましては、まだ大藏当局意向が決まつていない。又示されていない状態であります。  それから明年度予算につきましては、恐らく今週中に大藏省全体の意向が纒まりまして、我々方にも内示があることだと思つております。その大藏省の査定の内容につきましては、まだ窺い知る内容になつていないのであります。
  37. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは、地方自治廳の所管大臣差支えのため政務次官の小野哲君が出席されましたので、御質問のあります方があると思いますから……。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 この前定員定額制につきまして、地方自治廳から通牒が出たのでありますが、この通牒の問題につきまして、当委員会で三回ほど関係者の出席を求めてこの問題を究明したのであります。その結果今日委員会が持たれまして、この通牒に対しては文部省が現在取つており、殊に高瀬文部大臣が第五國会に答弁した教員を本年度においては馘首しないというような線が、この通牒によつて非常に地方的に破られるところの点がある。從つてそういうような点から考えて、尚又それについては具体的な手段は大体了解的には取られておるというようなことでありますけれども、併しそういうような中央における了解だけは地方に徹底しないので、末端において、この問題で現在まだまだいろいろな問題が起つておる。從つてもつと中央的にはつきりした処置をしなければならないといつたことが話合いになりまして、更に地方自治廳の過般行いました通牒については、これは行き過ぎである。從つてこれに対して何らかの適当な手段を取つて地方行政面においていろいろな摩擦が起らないように処置されんことを切望するということが、さつき当委員会によつて申合せとして決定されたわけであります。從つてこのことを地方治廳にお傳えしまして、これについて当委員会の意のあるところを含んで適当な処置を取られんことを切望したいと思います。この点について次官の御意見を承わりたいと思います。
  39. 小野哲

    説明員(小野哲君) 只今質問がございましたのでありますが、尚本委員会定員定額制の実施に関しての地方自治廳からの通牒に関するいろいろと御審議がありましたことを承わつた次第でございます。この問題につきましては、先般來地方自治廳当局からも縷々御説明いたしたと存じますが、問題は地方財政のみの問題ではなくして、言換えれば、義務教育費國庫負担法に基いての措置に相成りますので、而もこの枠の範囲内において國庫負担と見合せた地方負担をやつて行くという建前になつております現状から考えまして、自治廳といたしましては、この國庫の支出の面が如何ように相成るかということと関連しての措置を講じなければならない。かように思うのでございます。特に全体の國の予算の枠の範囲内において、文部当局におかれましては、個々の都道府縣については具体的にいろいろと御調査に相成つておるものと思うのであります。中には多少のゆとりがあるというところもございましようし、尚定員定額制を実行するにつきましても、相当地方財政に困難であるというふうな府縣もあるかと考えるのでございます。從いましてこの國としての措置が、言換えれば枠ができるだけ是正されるということが根本的な前提に相成りますので、これに沿いまして、自治廳といたしましては地方負担につきまして所要の財源付與の措置を講じて参りたいという心組を持つておるような次第でございます。只今御指摘になりました通牒の問題でございますが、この通牒自体も、さような基本的な考え方から出ておることを御了承を願いたいと思うのでありまして、地方自治廳といたしましては、文部省から示されました定員定額制さえも取れないような貧弱な府縣に対しては、それを盛れるような財源付與の途を工夫して行かなければならん。こういうふうに考えておるのでございます。併し國庫予算で示されました枠の範囲でしか地方財源全体の措置ができない。こういうふうな状況でございますので、この辺の事情を篤と御理解、御了承を願いまして、地方財政のみに向つて、いろいろと御意見は十分に承わつて置くのでございますが、地方財政のみに向つていろいろと負担を加重するよすな御要望ということに相成りますと、國庫負担との関係もございますので、この辺のところを御了承を願つて置きたいと思うのでございます。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 次官の只今の御答弁は、大分我々の希望しておるところと食違つておるところがある。無論そういうような地方財政がどうにもならないというところを、これをどうしようということを我々は言つておるのではないのです。地方で自治的に折衝し、又教育の必要からも縣当局と折衝をして、そうして了解が付いた。それでこれはもう裸予算で出してもいいという了解が実際についておるのだけれども、通牒が邪魔になつて、そういうようなことのためにやれない。こういう実情が起つておる。そういうような点について、あの通牒そのものは非常に画一的であり、教育の実態に即さない画が発生しておるのである。而もあの通牒の出された根拠である法案の第二項を見ますというと、地方において自主的にそういう問題をいろいろやることについてはこれを妨げない。飽くまでもこれを助成するというような立場になつておる筈でありますから、これをやらなければならない。ところがそういうような第二項の面は全然切捨てになりまして、第一項の面だけを取上げまして、そうして上からそういうような通牒が出されたわけで、末端で混乱を起しておるので、この点について飽くまでも具体的な措置が取れるように、あの通牒そのものを今の実情に即した形において何とかこれはまあ再通牒でもいいのでありますが、具体的な運用ができるようにこれを切替えて貰いたい、こういう要望なのでありまして、まあ今のお話の、御答弁のようなところについては、今までもいろいろお願いし、又その点に問題はない、この点をはつきりお掴み願いたいと思うのであります。私達としましては、飽くまでこの要望は今まで三回にも亘りまして、討論した結論でございまして、これが決定したので、これをお傳えして、これについて是非自治廳の善処方を望みたい、こういう希望には聊かも変りはないのであります。
  41. 小野哲

    説明員(小野哲君) 私実は初めてこの問題の御質問を受けましたものでございますから、私の考え方を一應前以て申上げて置く方がよかろう、かように存じた次第でございますが、本委員会でさような申合せができました場合におきましては、文部当局ともよく連絡を取りまして、あの通牒の精神は、これはこの際すでに各地方に対して出しておるわけでございますので、又この点が先程申しましたような考え方から出ておることを御了承願いまして、できるだけ具体的の問題として檢討を始めるようにいたして参りたい、かように考えております。
  42. 河野正夫

    河野正夫君 もはや申上げる必要もないとは思いますけれども、速記録に残つておる関係上、一言だけ次官の今の御答弁の中に含まれておる重要な思想そのものが、我々は直ちに了承するのではないということだけを申添えて置きたいと思うんです。義務教育費國庫負担法に基いて、つまり地方教員の小学校、中学校教員俸給半額を國庫から支給する、当然残りの半額都道府縣が持つということになるのでありますが、あの場合に、その必要な教員数を國家で決めるということはないのであります。成る程定員定額ということはございますけれども、例えて見れば、百の教員がいると考えて、その五十をやるから、残りの五十は地方で持てと、五十以上持つちやならんというような意味法律じやないと我々は考えるのであります。勿論二百抱えておつて、その中の百名について半額の國庫負担を仰いでいいというような、そういう出たらめなものではないのには違いないでありましようけれども、事実上嚴格にあの義務教育費國庫負担法の精神から割出して、國庫が補助するものと全く同額だけのものを人件費として地方が出すのであつて、それ以上は出してはならんというような、そういうふうな法律ではないというところに、我々の出発点があつたのでありますが、とにもかくにもどして、その結論はそういう意味で、又いろいろと論爭さるべき点がある。而も現実において、行政整理を行わないのに拘わらず、幾多の全國の文部省の言うところによつても、二万三千人の超過人員がおる、而もそれを整理するという形において、いわば整理するだけの何らの準備がしていない。又教育そのものから言えば、その二万三千人だけでも足りないという現状である。國家経済、地方経済、いろいろの点から或る場合、相当の金は止むを得ないとしても、それを地方自治廳がわざわざ通達を出して、特段の処置を講じて、それによつて地方配付税を、交付金を減額するかも知れないというようなダンビラをちらちらさせながらやるということが果していいかどうか、そこに行き過ぎがあつたのじやないかというのが我々の意見であります。法律の論爭そのものはいずれにしましても、そういう疑義のある、而も現実教育が非常に困難に当面しておる場合に、一方的に出すのは行き過ぎがあるのじやないか、その場合の責任を自治廳が全部負えというのじやない。今、次官のお話のようにむしろ自治廳地方財政ばかりでなく、國庫からの支出を殖やすようにするのが本当で、その通りであります。その通りでありますが、そういう本筋がなかなか困難のようなときに、じや片方の方もやつちやいかんぞということで、そこに法律のいろいろの疑義のあるものを急に、簡單に言うと輿論を無視して出すことが適当であるかのところに我々行き過ぎがあると結論を持つた理由なんであります。それ故にその点を十分御考慮願いまして、何らかの緩和するような具体的な措置を講じて頂きたい、こういうのであります。
  43. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 次に大藏省主税局長平田敬一郎君が出席されましたが、岩間君、御質疑……。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 先程も問題になつたのでありますが、シヤウプ案がいよいよ出されましたので、これについて檢討されておつたわけでありますが、このシヤウプ案が教育の要請に対して今後どういう変化が持たれるか、これに対していろいろの問題が起ると思うのでありますが、殊にこの中で一番問題になりますのは、現在の半額國庫負担、この建前が平衡交付金に置換えられるというような方向になつて地方財政によつて教育運営されるのが本体という形になるような現状なんであります。これについて、そこからいろいろの問題が起つて來ると思いますが、主税局においては、教育行政との睨み合せにおいてどういうように考えておられるか、その点について伺いたいと思います。
  45. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) お尋ねの趣旨が非常に一般的でございまするので、少しお答えし難い点があることと思いますが、考え方の基本を、私共聞いたところによりますと、例えば教育等におきましても、國と府縣市町村、それぞれでき得る限り仕事の分担をはつきりして置いた方がいいのじやなかろうかということが一前提として考えられておるようであります。そうしましてそれぞれ國の分は國の全責任においてやりますし、府縣の受持つべき分は府縣においてやりますし、市町村が担当しておる分については、でき得る限りそこに責任を明らかにしてやるという行き方の方がいいのじやなかろうか、そういうような点からいたしまして、財源につきましても、税目によりましていろいろはつきり分けておりますが、仕事の上におきましても、できる限りはつきり分けた方がいいだろうということが勧告されておるのでございます。ただ具体的に、教育の場合に、どれ程強く、どの分はどうすべきかというところまでは我々は聞く機会がなかつたのであります。趣旨としては、そういうようにした方が一番結局におきまして行政の能率が上るのじやなかろうか、そう思いまして結局府縣なり市町村の一應の担当になつておる分につきましては、やはり一般平衡資金といつたような國から援助する必要があるとするならば、包括的の中で整理いたしまして、負担力の多い町村と、負担力の少い町村との間に適当な調節を図つてつて行く、從いまして課税力の上から行きまして、一定の仕事ができないというようなところは、標準的な経費を一應考えまして、そのレベルまではとにかく如何なる町村と雖もやつて行く、それ以上越えてやる場合におきましては、負担を非常に加重してやつて行くか、或いは余裕のある実力のあるところはやつて頂こう、こういうふうな考え方が基本になつているようであります。そういう意味からしまして、一應來年度としましては、恐らく從來基準で計算したものを包括補助金の率とせられるということになると思いますが、その後において配分がどうなるかという問題は今後の大きな研究問題として残されておるようであります。そのために特に仕事の分配なり経費の分配等につきましても行政審議会を設けまして研究したらどうか、それから現実の一千二百億円の平衡交付金につきましては、地方財政委員会というもので責任を持つて正しい配分標準を設けて配るようにしたらどうか、こういう点が勧告になつておりまして、非常に具体的な細目までは実は出ていない次第でありますが、今後の研究問題だと私共は考えております。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 これはさつきも問題になつて話合いが出たので簡單に申上げたのでありまするが、ただ現在の教育の能勢を見、それから又一般の輿論の反映を見ますというと、現在大体教員給においては半額國庫負担ということになつておる。併し日本のいろいろな財政の状態、特に地方財政の状況においては、これは地方委讓というような形に教育運営することは、一番教育改革の中心問題であるところの教育の機会均等を確立するという面において非常に困難があるのじやないか、從つてこれはむしろ現状においては全額國庫負担にすべきであるという要望が、ここ二三年來の國会に対しましては全面的に出されているのであります。從つて今のところは無論もつと徹底的に今後研究し、又討論しなければならないことでありますが、今のような方式に地方に全部委讓する、そうしてそういうようにものを建前として、尚足らないところは平衡資金から出すというようなことになるというと、これは根本的に教育行政が変革されなくちやならない。更にそういうことによつて教育の機会均等が破れるという点が非常に問題になるのじやないかと思うのですが、これについてどういうふうな意見を持つておられるか、ここで一つ……。
  47. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) これは恐らく教育に関する重大問題でございますので、私共意見を申上げるのは少しどうかと思いますが、ただ考え方の筋といたしましては、今後におきまして地方自治ということをどの程度我々としまして尊重してやつて行くかという点が大きな判断の別れ目になるのじやなかろうかと考えます。財政上の事情から行きますと、國の予算は最近までは非常に戰後の変態的の経費が多くなつておりまして、例えば本年の予算におきましても價格調整費といつたような非常に変態的経済政策費が約二千億円になつております。その他債務償還費が六百億、或いは終戰処理費といつたような非常に戰後の特別な経費が多額でございますが、こういう経費は今後除々に相当大幅に減ることになりはしないか、從いましてむしろ今後におきましては地方團体の全体として財源は相当伸びるような方向に進み得るのじやなかろうか、財政的に申上げますとそういうようなことになると思います。從いまして財政的な見地から行きますと、地方團体の側におきましても、それぞれ必要な支出はできて行く、こういうような方向に今後行けるのじやないか。ただ教育の政策におきまして果して國でやつた方がいいのか、市町村でやつた方がいいのか、府縣でやつた方がいいのかということは、これは必ずしもそういうようなことから直ぐ結論には相成らんと思いますので、よく一つ各方面の御意見を総合いたしまして適当にやられたらどうであろうか。私はかように考えております。それ以上申上げることは如何かと思いますので……。
  48. 河野正夫

    河野正夫君 極く細かいことを伺いたいと思いますが、シヤウプ・ミツシヨン報告によりますると、学校に対する寄附とか、或いはPTAなり学校なんかのようなものが興行的でなく行ういろいろな催し物の入場税などに対する免税は勧告されておつた大変いいと思いますが、ここに私立学校などの財團法人、この財團法人が学校経営のために或る事業を経営する、これの租税が一般事業法人と同じように考えられているのですが、この辺必ずしもシヤウプ・ミツシヨン勧告通りに行う必要がないのじやないかと思いますが、平田さんはどうお考えになつておりますか。
  49. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 恐らくミツシヨンの報告にあります点は、公益法人の面をしておつて実際は営利会社と同じような事業をして、それから相当の資金を稼いでそれを適当に、目的は公益事業にしておるかも知れんが、結局使つておる、こういう点に相当着目されたのじやなかろうかと思います。そういう見地に着目する限りにおきましては、やはり私共も從來ややともしますと公益法人の本來の仕事の外にそういう仕事をやりましてそれで收益を挙げておる、そういう場合には普通の営業者ですか、正規な業者から実は大分文句がありまして、自分達の方だけ重税を課して、一方公益法人という看板を掲げておるものが免税になるのはバランスがとれん、こういう声が大分あつたのであります。そういう見地を考えますと、やはりこの際或る程度そういうことを考えてやりますことが負担の公平という見地から申しますとよろしいのじやなかろうかと考えております。ただその範囲なり限界をどうするかという問題になりますと、これはおのずから問題がございますので、よく愼重に研究した上で具体案を作りたいと考えておりますが、趣旨はさようなことに出ておるようでありまして、私共賛成いたしておる次第なんであります。
  50. 河野正夫

    河野正夫君 先程岩間委員の質問の御答弁の中にもあつたのでありますが、平衡交付金交付する場合の地方行政ミニマム線を決める場合に何か標準に基いてということになります、この場合の標準の設定をどうするかということは、これは主税局長に伺つたのではいかんかも知れませんけれども、いろいろな法律を必要とすることになりましようけれども、標準の設定がないとすると、仮に局長が地方財政委員会の委員であつたとしましても、査定というようなことが非常に困難になりはしないか、その標準の設定には例えば私共の特に関心を持つておるのは、教育費の場合に何らかの最低標準を設定して置く必要があるという見解から伺つておるわけであります。その点についての局長の御意見を承わりたい。  もう一つ平衡交付金標準税收入とそれから最低行政費との差額に対して與えられるということなんでありますが、実は今地方自治廳の政務次官といろいろ話をしておつたわけでありますが、こういう問題がある。義務教育費國庫負担法に基く國家の半額補助費、それにコレスポンドするだけの半額だけを地方財政が出すべきだ、それをオーバーしたところの教育要員というものを府縣費などで抱えることは地方財政法第二條違反である。從つて配付税交付金を第五章でしたか何章でしたか、減らすことあるべしというような通牒を出しておる。だから、それは今の例でありますけれども、今後平衡交付金を支給するというような場合にそのミニマムを越えて地方行政でいろいろなことを計画することは差支ないわけでありますけれども、併しお前のところではミニマムを越えてやつておるのだから交付金は出さんというような最低と税收入との差というようなことにいろいろ技術的に問題がありましようけれどもそういう精神で持つて行かれてはやはり今地方自治廳通牒で起つたような問題が起るのじやないか、少くとも地方の自主性ということをつまり平衡交付金の面からコントロールしようという面が出て來やせんかと思うのですが、その点はどうなりますか。
  51. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 平衡交付金の公正な配分の方法というものは御指摘の通りなかなかむずかしい。又問題も出て來るところが多いじやないかと考えられます。一定の例えば教育については生徒一人当りどのくらいは、小くとも全國的のレベルとして出すべきだというようなことが、いろいろ審議された上でやはり出て來るのではないか。それは最初はいいものは出ないにしても、一年やり二年やり徐々にいいものを出したらいいじやないかというふうに思つております。そういう方法で極力標準的の経費を見出して、それと普通の課税力、その地方團体の力と比較しまして、その標準的の線まで行き得ないものには、平衡資金で補つてやろうという考え方でありまして、從つて半分を國庫負担にするという考え方も、これは私の私見に過ぎませんけれども將來はもう一段高い飛躍をしまして、單に教育費の半分という見地でなく、むしろ全國的のレベルにおいて教育するという見地から一つの物指が出る。それと実際の課税力と比較して補つて行く、こういうことになりますると現在のような方式よりももう少し更に理想的のものが出て來るのではないか、その作り方はなかなか簡單でございませんで、むずかしいと思いますが、これはそういう方向を狙つておるように見受けられる次第でございます。最初はなかなかうまく行かんだろうが、漸を追うて理想的なものにしたらということも附加えておるようであります。今後大いに研究すべき問題ではなかろうかと考えております。只今申上げました具体的のことは、これは私の思付きでありまして、それ以上のものでございません。よろしく御願いいたします。   —————————————
  52. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 次の行回の委員会の問題になりました文化財法隆寺五重塔の埋藏物に関しまして起りました問題について委員会意向を体して文部省の文化財保存課長深見君が出張されまして帰つて参りましたので、その交渉の顛末並びに結果について御異議ありませんければ報告を聽取したいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  54. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。
  55. 深見吉之助

    説明員(深見吉之助君) それじや御報告申上げます。法隆寺の五重塔の心礎埋藏物の調査につきまして、いろいろと新聞等で報ぜられておつたのでありますが、去る二十日に私が現地に参りましたついでに、文部省のかねて考えております一つの線を寺当局にも十分に説明いたし、又世論のございます正しい線も十分に説明いたし、特に当委員会において前回御発言になりました点を十分に御説明いたしたのでありますが、佐伯住職においても大体その線において御同意のように見えました。二十三日の午後信徒総代会があるから、その会に何分の決定をしようという線までお話ができました。当初私はそこまで、今回参つて結論にまで達することはできるかどうかということは非常に疑つており、そこまで行かないでもいいと考えておつたのでありますけれども、さような工合に進んで参りました。二十三日の午後法隆寺信徒総代会が開催せられ、そこにおきましてお手許に差上げましたような信徒総代会の決議がなされまして、寺側の自発的な態度といたしまして一先ず保存工事の必要上、埋藏宝器を外部に出すその機会にこれを学者の手によつて完全の清掃をいたしまして、然る後又元の通りに埋める。その際において埋藏物が発見せられたという意味において文部大臣に詳細な報告書を出すということが信徒総代によつて決定いたされましたので、これを持つて帰りまして文部大臣報告いたしましたところ、その線でいいだろうという同意をすることになりました。本日二十六日午前十一時を期して、法隆当局文部省と両方において共同発表をいたしたという次第になつております。この発表によりまして宝器の清掃を行い、右の学者に対して奉拜を許すということに発表されているのでありますけれども、佐伯住職のお氣持ではこの会において必要な調査はしてもよろしいということになつているのであります。尚その学者の入選方法等につきましてはまだ決定をいたしませんので、今後寺を中心にして考えられることと考えております。大体以上のようであります。
  56. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 深見課長の報告された点につきまして何か御質疑がございませんか。それではこの問題この程度にいたして置きます。外に御発言ございませんければ本日の委員会はこの程度で閉会にいたしたいと思います。    午後零時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            岩間 正男君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            大隈 信幸君            河野 正夫君            高良 とみ君            山本 勇造君   説明員    地方自治廳政務    次官      小野  哲君    大藏事務官    (主税局長)  平田敬一郎君    文部事務官    (初等中等教育    局長)     稻田 清助君    文部事務官    (管理局長)  久保田藤磨君    文部事務官    (文化財保存課    長)      深見吉之助君