○
政府委員(
成田勝四郎君) 申しつけによりまして、
新聞出版用紙割当機構の改革問題、及び昨年度におきまする
用紙割当実績等につきまして御
説明申上げます。この
新聞出版用紙の
割当の
機構の
根幹をなすものは、お
手許に
ちよつと
資料をお配りして置きましたが、昨年の夏第二
國会を通過して八月に
公布になりました
新聞出版用紙割当事務廳設置法と申すものがございます。これが現在この
機構の
根幹とな
つている
法律であります。この
法律によりますると、
割当事務廳の権限は
新聞社及び
出版社から
用紙割当の
申請書を受付けまして、それに基いて
割当の
原案を作成する、そしてその案を
新聞出版用紙割当審議会に提出いたしまして、
審議会の決めたとこに
從つて割当切符を発行する、そうして又発行した
切符に基きまする
用紙の
適正消費を監督する。こういうことにな
つておるのでございます。又一方この
割当事務廳には
割当審議会というものが置かれまして、この
審議会は
用紙割当上の重要問題、方針でありますとか、基準でありますとか、そういうような根本問題を
審議決定いたしますと同時に、具体的の
用紙割当の案を
決定いたすのであります。即ちこの
割当事務廳は
臨時物資需給調整法に基きまする
事務、
新聞出版用紙の
割当の
主務官廳でありまするけれども、その
割当については、
割当の
具体案及び
割当に関する基本問題につきましては、必ず
審議会の
議決を経なければならない、そうして
審議会が決めた
通りに実行しなければならないということにな
つておるのであります。又一方この
割当審議会は
事務廳に置かれておるわけでございますけれども、單なる
調査或いは諮問の
機関ではありませんので、
決定権を持
つておる、こういう
関係にな
つておるのであります。そしてこの
事務廳と
審議会の上に、
國務大臣の中の一人が
総理大臣に指名されまして
割当主管の
大臣ということに必ずな
つておるのであります。
國務大臣が必ず一人
審議会と
事務廳の両方を監督するということにな
つております。併しこの
國務大臣の
監督権も
審議会の
議決に対して十分な
拒否権と申すべきものはないのでありまして、
審議会の
議決に対して
國務大臣が何か不服のときは再考を求むることはできますけれども、その場合も
審議会の
決定が最終的であると、こういうような
関係にな
つておるのであります。この
事務廳と、
審議会と、
國務大臣の三者の
関係というものは、
ちよつと普通によその
機構に見ない特殊なものにな
つておるのであります。この
機構につきまして、
從來しばしば論議の種となりました点は、要するに重要問題の
議決権が
審議会にある、
國務大臣と雖も、その
審議会の
決定を覆すことができない、それではその
審議会の
委員はどういうふうに選ばれるかと申しますると、これは毎年半年毎に三分の一ずつ改選されるのでありますけれども、そのときの
審議会の
委員長が自ら
候補者を選びまして、その
候補者について
審議会自身が選挙をするというような、全然部外の干渉を許さない
方法で選ばれるわけでございます。然らば、この
委員会の
委員の人選についても亦その
決定した事項についても、
政府は何ら
関與権がない、にも拘わらず、
割当の
業務につきましては、
政府が実際の
責任を持
つておるということになるのでありまして、その点が
從來しばしば問題とな
つております実際の運用におきまして、大した問題を起さずに今までや
つて参つたというような
実情であります。尚この
審議会と申しまするものは、
事務廳設置法によりますと、別に
審議会令という政令を作りまして、それによ
つて細目を決めて運用することにな
つておるのであります。
事務当局といたしましては、昨年の八月に
設置法が
公布になりまする前に、
審議会令の案を作りまして、
関係当局の
了解を求むべく提出したのであります。これが今日に至るまでまだその筋の
了解が得られません。從いまして
審議会令というものが施行にな
つていないわけであります。
審議会令ができませんために、
細目が決まりませんので、
審議会というものは今日までまだでき上
つていないということにな
つております。その空間の間は、旧規制に基きまする
割当委員会というものの
規定を準用して、そうしてこの
新聞出版用紙割当委員会というものが、現在も
審議会令に代
つて動いておるということにな
つておるのであります。実際問題といたしましては、この
審議会令ができましても、その
内容は、
從來の
割当委員会をそのまま移すという構想でできておるのでありまするから、実際上は大した
差支は生じていないわけなのでありまするけれども、何分にも
國会を
通りました
法律によ
つて、ちやんと定められておる
審議会令というものが、半年以上経まして、今日までできていないということは、甚だ申訳ないことでありまして、我々も非常に
責任を感じておるのであります。
当局に非常に督促しておるのでありますが、今年になりまして、やや進捗いたしまして、現在の
見通しでは遠からず、と申しましても、今月中か或いは
來月初めぐらいには、
制定まで漕ぎ付け得るのではないかという
見通しを持
つております。
又今回の
行政機構改革について、以上申上げましたような、
割当機構がどういうふうに変るかということを
簡單に申上げますると、
行政機構刷新委員会では、この
割当事務廳を
総理府の
管理とするような案を出されるような
模樣でありますけれども、これは
事務廳の
割当業務の
実情に甚だそぐわない案でありまして、初めから実現不可能であると我々も見てお
つたのであります。いろいろ研究いたしました結果、現在出ておりまする案は、
割当事務廳を
事務局と、局にいたしまして、
総理府の
内局とするということにな
つております。そうして
総理府の
内局として
新聞出版用紙割当局という
名前でこれを置きまして、そうして別に
総理府に
新聞出版用紙割当審議会を置くということにな
つております。それでこのばらばらに
総理府に二つのものが、
割当局と、
割当審議会が置かれるのでありまして、この両者の
関係をつけ、又その
業務の
内容を決めまするために、
新聞出版用紙割当に関する
法律というものを新たに
制定いたすことにな
つております。これは新たに
制定というよりも、從来の
設置法の中の組織に関しない
部分、
業務の実態に関する
部分をそのまま残しまして、即ち
設置法の
改正の形式で
割当に関する
法律というものを決めるということにな
つておると思います。
機構については大体そのくらいにいたしまして、次に
昭和二十三年度中の
用紙割当の
実績につきまして御
説明を申上げます。それはお
手許に配りました
資料について御
説明申上げます。我が國におきまして、
洋紙の
生産の最も高調でありました
昭和十五年度におきまする
洋紙の
生産量、そのうちの
新聞出版に用いられた量というものを、最近の
昭和二十二年度、二十三年度のそれと比較いたして見ますと、大体そこに出ております表の
通りでありまして、
昭和十五年度には
洋紙の総
生産量が二十一億二千百万ポンドでありましたものが、そしてその年に
新聞に用いられました紙が五億六千八百万ポンド、
出版に消費されました量が二億三百万ポンドに比較いたしまして、二十二年度におきましては
洋紙の
生産量の総額が四億九千四百万ポンド、そのうち
新聞に消費されましたものが一億八千九百万ポンド、
出版が二千八百万ポンド、昨年度におきましては、総
生産量が五億七千四百万ポンド、そのうち
新聞に用いられましたものが二億一千万ポンド、
出版が三千八百七十万ポンド、こういうことにな
つております。本年度に入りましてから
洋紙の
生産量は非常に
見通しがいいのでありまして、相当量殖える見込みでありまするが、いろいろ
新聞出版用紙以外にもこれを用いる向があるわけでありまして、輸出にも少し用いるということでありますし、又
從來相当過少であ
つた教科書、それから
学習用等へ振向けられるということでありますので、
洋紙の全体の
生産量が殖えても、それが直ちに
新聞出版の
用紙がそれだけ殖えるということにならない、
新聞出版の方から見ますと、まだまだ
希望量までは到達しないというような有樣であります。又
新聞用紙の
割当の昨年中の
実績を申上げますると、現在
用紙の
割当を受けておる
新聞社は、その数が全國で三百七十三ございまして、それに対する
割当量は
月平均一千九百四十万ポンドということにな
つております。この三百七十三社のうち
日刊新聞は百四十五社、そしてそれに対する
割当量が
月平均一千八百八十万ポンドでありますから、まあ大
部分を占めております。これを部数に直しますと、一日約二千万部の
新聞紙が出ておるわけであります。非
日刊新聞は二百二十八社で、
割当量は
月平均六十万ポンド、
日刊新聞の
割当量の最も多いのは一日三百数十万部、それは「朝日」と「毎日」であります。これは東京、大阪、西部即ち九州、この三ケ所合せて三百数十万部というのがあるのであります。最も少いものには一万部以下という小さなものもあるわけであります。
次にこの
新聞用紙の
新規の
割当は最近二年間全然行な
つておりません。これは紙が不足で行な
つておりませんので、非常に
申請書が溜
つておりまして、現在約
新規の
申請は七百社、
從來の
申請のうち増配を要求しておりますものが百七十社というような
状態にな
つております。
次に昨年度におきまして新らしい
割当をいたしました事例をこの(4)以下に並べてございまするが、昨年の夏に
一般日刊新聞に対しまして、現在の二頁だけの
新聞ではとても十分なニユースを盛切れないというので、一週間一回四頁
新聞を発行するのに可能な量を増配しまして、これが一月約二百二十万ポンドという量を新らしく
割当てたのであります。
又昨年の九月、大学及び
高等專門学校の
学生新聞に対して、そのうち
生徒数一千名以上の
学校と限定いたしまして、
学生新聞の
用紙を
割当てたのであります。実はこれは
從來割当を受けてお
つた若干の
学校の
用紙量をプールいたしまして、これに新たに五千ポンドを加えまして、それを
生徒数に比例して再配分したのであります。そのために非常に損害を受けた
学校もあるのであります、結局におきまして三十六の
申請校に対しまして
総量一万四千二百ポンドという紙を
割当てておるのであります。
それから昨年の十一月に
從來出ておりまする
一般日刊新聞の
割当を合理化する、その合理化する
方法といたしまして、
読者の
購読希望の多い
新聞には紙を多く
割当て、
購読希望の少い
新聞社にはその量を減らす、そうして全体として
一般日刊新聞に
割当てておる
総量は殖やすことなしに、今まで
割当てておる紙の量の中で融通し
合つて割当を調整しようという計画をいたしたのがいわゆる
新聞の
購読調整という企てであ
つたのであります。全國に
亘つて読者から現在読んでおる
新聞を何か外のものに替えたい場合にその
申込みを受付けたわけであります。六十五万に近い
申込みがあ
つたのでありますが、これにつきましては非常に猛烈な
競爭が行われまして、そのために随分不正な
行爲もあ
つたというので、嚴重に監査を行いまして、結局二十五万だけを
有効票として採り、それ以外は全部無効といたしまして、二十五万の
読者の
申込みに基きまして、
新聞の
用紙の
割当を適当に調整いたしたわけであります。
又昨年の十一月に
炭抗地に
新聞八社に対して炭抗夫の
増産意欲を増進するために炭抗版を発行するという
目的を以ちまして、約十万ポンドの
用紙を
割当てたのであります。又今年の二月に入りましてからは、
組合員数五百名以上の
労働組合に対しまして
組合機関紙の
用紙を配分しました。これも
從來割当を受けておりました
組合機関紙の
用紙をプールいたしまして、これに新たに紙十六万ポンドを加えまして、
総量二十二万五千ポンドという紙を
組合員の員数に應じて
割当てるという
方法を採
つたのであります。又本年の三月以降
政党用の
機関紙に若干の紙を
割当てる……、これは約二十万ポンドであります……ということになりまして、その
方法について目下研究しておるのであります。これは具体的に申しますると、
政党用の
機関紙が必要であるというので、
從來は共産党の「アカハタ」だけが
用紙の
割当を受けてお
つたのでありまして、その他の
政党からも随分
申請があ
つたのでありますけれども、先程申上げましたように紙がありませんために、その間、二年間全然
新規の
割当を行
つておりませんので、そのために外の
政党の
申請に対して
用紙の
割当を実行することができなか
つたわけでありまして、今年に入りまして若干余裕のある紙ができましたので、それを
政党機関紙に
割当てる、こういうようなG・H・Q方針も決まりまして、それによ
つて今研究しておるわけであります。これも
労働組合や
学校の
機関紙に対して
割当てましたと同じ方式で、
從來割当を受けておりますものを一應保留いたしまして、これに新たに若干の紙を加えて、そうして
総量を二十万ポンドといたしまして、これを総選挙における各党の得票数に比例して
割当てる、こういうようなのが実はGH・Qの覚書に書いてある案であります。これによりますると、共産党の「アカハタ」の
用紙のごときは非常に四分の一くらいに減
つてしまうということになるわけであります。そして新たに民自党、民主党その他の
政党の
用紙の
割当を受ける、こういうことになるわけでありますが、
事務廳及び
割当委員会におきましては、この方式についていろいろ今檢討を加えておるわけでありまして、まだ具体的には何ら決ま
つておらないのであります。近々これは急いで決めなければならない問題だということで折角急いでおるわけでございます。この
政党用紙の
割当につきまして、参議院と
関係ある問題は、参議院だけにある
政党、緑風会なんかにつきましてはどうするかという問題でございます。これは緑風会もいろいろ御
関係の方のお話を伺いました結果、やはり選挙についてはいろいろ選挙運動をなさるというような、又政策綱領を樹てて全國に向
つて宣傳啓蒙をなさるということでありまして、衆議院の
政党と同樣に、同じ基準というわけには参らないでありましようけれども、やはりこの紙の
割当の中に加えるというような大体の方針で進んでおります。次に
出版関係の
用紙の
割当の
実情を申上げます。昨年度中に
用紙を
割当てました書籍は、初版約二万点、重版約六千点でありまして、雜誌の数は千七百種くらいであります。でこれに用いました
用紙の量は書籍が二千二百八十万ポンド、雜誌が千五百九十万ポンド、合せて三千八百七十万ポンド、こういうことにな
つております。雜誌は最高は月八万部から、最低五百部くらいの間におきまして、いろいろ文化的價値でありますとか、社会的の需要、或いは特殊の需要があるかどうかということによ
つて拜断し、或いは
資料を集めて
割当量を
決定いたしておるのでありますが、御承知の
通り出版業界が最近非常に不振でありまして、雜誌の経営についても非常に困難が大きくな
つて來ておるようでありまして、休刊、廃刊というようなものが非常に沢山数えられております。そうして又折角印刷をして作りました雜誌が、配給会社の倉庫に山のように返品とな
つて返
つて來ており、これは紙の非常な浪費ではないかというような輿論が非常に強くな
つておりますので、この浪費のないように、
如何に
用紙を
割当るかという問題につきましては折角研究中であります。又書籍の方は初版と重版に分けております。初版の書籍は毎月
割当を実施しておるのであります。月々約二千点近い
申請がありまして、その殆んど初版につきましては全部
割当を行うのであります。普通三千部から五百部くらいのものの量の
割当を行うのであります。又重版の方は、三ケ月で
申請約七千種くらいあるうちから、いろいろ輿論の
調査、或いは各方面の意見等を聽きまして、約千五百種類くらいのものを拔きまして、重点的に
割当を実施しておるわけであります。
以上を以ちまして大体
説明を終るわけでありまするが、何か申し残しましたところがございますれば、御質問に應じてお答えいたします。