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説明員(
久保田藤麿君) 「六・三
制校舎不足の
実態と
校舎建設の
緊急性」、この
資料に基いて一
應御説明をいたしたいと思います。
目次を省略しまして第一から先般の
議会で六・三制を速急に完全に実施できるように予算的な
措置をやれとい
つたような
両院の
決議がございますのと、又
刷新委員会の方からも同様の
決議を受けておりまして、私共はこの
決議に副い又
國民の輿望に應える
意味で、
関係方面の人々に特別な
理解を持たせ又その責任を感じて貰い、あらゆる機会を利用してその
地方の
財源関係を
纏めて行こうという
努力をして來た一方、この六・三制を完全に実施するための
校舎の
不足の
実態を今一段嚴格な
意味で精査する必要を
考えましてので、取敢ずそうした
財源関係の始末をいたしますと同時に、
地方に大変御迷惑をかけたわけでございますが、この六・三
校舎の
実態を
嚴密に
調査いたしましてその結果一應取
纏め得た
部分につきまして、
只今お手許に配布しましたこの
資料を作り上げた次第でごでいます。
そこで第一の点は、本年の四月三十日現在で以て全國の
小中学校、
高等学校が幾つあ
つて、その
生徒がどういうふうに
收容されておるかというのを
纏めたわけでございます。
ところがこの全部の
学校が殆んど悲惨な
関係にありますことは、次の頁の「
校舎狹隘な
学校における不
正常授業の
状況の一例」というのでお示ししたわけでございますが、これはたまたま分散的に或る
程度のものを拾い上げたというだけでありまして、全部の
学校においてこれは同じ
資料を持
つておるわけでありますが、先ず御
参考の
意味で十例程それへ挙げて置きました。第一番の
茨城縣東茨城郡渡里村、ここの
学校の
関係を一應洗
つて見ますと、
生徒及び兒童は二千二百六十人、
学級が五十一ございます。それには一應
生徒一人
当りの
坪数を仮に〇・七坪とすれば千五百八十二坪の
教室が要るわけなんでありますが、現在のところでは六百二十四坪しかなくて、
差引九百五十八坪というものが
不足しておる。これをそれではその
学校はどんなふうにしてその
不足を補
つておるかと申しますと、東部三十八部隊の
兵舎跡を千十坪使いましてここに三十八の
教室を
造つてその
不足を補
つておる。この
状態はたまたまその
生徒の
利用率を
考えますと七六%に及んでおる。その
学校での現在の
校舎の
子供の受けておる
利用率は、一人について〇・二八坪しかないとうい
状態であります。
その次の
島根縣仁多郡馬木村の
個々の
学校の
関係を洗
つてみますと、六百八十八人の
生徒が四百六十八坪の
校舎に
收容されてお
つてその
利用率は〇・三二坪しかならん。そのために
不足の二百五十三坪を蚕の
飼育場を借りましてそこに三
教室を建てましてその
不足を補
つており、その
状況は大体四一%で、以下はそうしたような
共同の
作業場とか或いは
酒藏を使
つておるとか、村役場の一部を借りておるとか、
お寺を借りておるとか、たばこの
收納場を借りておるとか、或いは民家を借りたり、
青年会館を借りたり、公会堂を借りたりしておる。こうした実情を
個々の
市町村、
個々の
学校について洗い渫い
調査をしたわけでございます。
次の頁に入りましてそうした
不足の
関係を一應
面積の
関係で表わしてみますと、この
斜線の
部分が一應
臨時の
借用校舎、そういう不正常な形の
校舎関係で充たされておる、こういうわけであります。
次の頁に入りまして以上のような不正常な
授業を
行つておる
学校の
関係が全國的に見てどういうふうにな
つておるかという表をそこへ表わしました。二部
教授なり三部
教授で
不足を補
つておる
学級数が一万七千四百二十六ありまして、
講堂なり
雨天体操場なりの模様替えをしまして使
つているのが六千七百八十七、その他
廊下なり
昇降口なり
物置とい
つたものを
教室として使
つておるものが八千二百五十四、
お寺なり工場とか
避難病とか馬小屋とい
つたような
臨時仮
校舎を
使つて不足を補
つておるものが一万九千九百七十
学級数ある。こういう
状態でありまして、これが
授業の上にどんな
影響を與え
教育的にどんな弊害が來たしておるかとい
つたようなことを、三百六十四の
報告だけでありますが、それから拾い上げて御
参考までに一通りの
纏めをや
つたわけでありますが、予定の
建築ができないので、止むを得ず
学校店はその分をどういうふうにしてカバーしておるかというのが第一でありますが、それは
授業課目を圧縮して、或る特定のものは
廃めておるか或る
程度のものは非常に時間を減らしておるというようなことで、土曜日の半休を
廃めて二部
授業に廻しておるとか、日曜日も
子供も
先生も出て來て
不足分を補
つておるとかいうのであります。第二は二部
授業の仮
教室授業のために、
学校としてはやらなければならんことも断念しておるとい
つたような
行事が、或いは
全校自治会とか
学藝会とかい
つたような
子供達の
樂しみの
行事の
関係が中断されておるとい
つたような
状態でございます。第三は、新
教育の申します
指導の
関係から
生徒の
指導をこうとた
意味でやらなければならんというにも拘わらず、それらの
生徒指導が一應中止されておるとい
つたような例、例えばクラブの
指導とか朝礼が
一緒にできないとい
つたような
関係を
纏めたのでございます。その次は
学習指導への
影響がどうであるか、百六十九校のうち大変遅れたという
報告のものが四十四、やや遅れたとい
つたものが百十五、遅れておらんのが十校こうい
つた形にな
つております。次に行きまして、又そのために
生徒の
遊びがどんなふうに
変つて來たか、長時間に
亘つて地方に
遊びに出かけるとか、今までは余り遠くに行かなか
つた者が非常に遠くまで
遊びに行くとい
つたようなこと、盛り場をうろつくとい
つたことで
生活が不規則になる、不良性を
帶びて來るとい
つてような現象が出て來ておる。次には
生徒の素行がどんな変化を受けておるだろうか、
遊び過ぎの点が見えるとか、学業を怠る、
ずる休みをする、買い喰いをするとい
つたものが
相当数そこに出て來ておるわけでございます。それから又健康の上から見まして、
生活が不規則になり、買い喰いをやり夜
遊びをするために
胃腸病が殖えたりトラホームが殖えたり
傳染病が殖えたり、
欠席率が非常に増して來ておるということが指摘されております。そのために
先生の方の迷惑はどうかということでありますが、
先生の方から言いますと、そのために特別な
指導をしなければならん、そのために御苦労を願
つておる
状態でございます。この特殊な苦しい
状態に対して、二部
授業や仮
教室などでや
つておることについて父兄はどんな態度でおられるかという点でありますが、非常にこういうことは氣の毒だとい
つた意味から非常な
理解があ
つて、その
対策に協力して貰
つておるというのが百二十校、余り関心を持
つて貰えないのが三十五校、非難ばかりして
対策に協力していないというのが二十一校とい
つた樣子でございます。ところでこのみじめな
状態、この
不足の
教室の
状態はどの
程度の
校舎面積を補充して行けば
最低限度の
教育が確保されて行くかという算定をや
つてみたのでありますが、例えば実驗室とか
衞生室とか
職員室とい
つたような類のものを一
應止めて
しまつて、取敢ず
教室だけとい
つたような
計算だけを
考えてみまして、ここに書きました
應急最低基準、これを
小学校の場合も
中学校の場合も
一般教室、便所、
昇降口、用人の
部屋、
物置、
給食部屋、それに当然
廊下、
段階等を
計算に入れまして、
子供一人について〇・七坪の
面積を確保しなければならん。この〇・七と申しますのは、少くとも
終戰後補助対象としてや
つて参りました
建築関係については、一應この
基準で
取扱つて來ておりますこととが
一つと、たまたま次のところに出してありますが、アメカのカリフォルニアだけの集計の例でありますが、たまたま
小学校では一・四、
中学校では一・九とい
つた形にな
つておるそうでありますが、これらに対しては
小学校で約半分、
中学校では勿論半分には及ばん、こうい
つた現状でありまして、取敢ず
最低の
教室面積を確保する。それが一應終
つたら
講堂なり
屋内体操場なりとい
つたものを附加して頂きまして、第二の
基準である
最低基準の〇・八に
引上げたい。そうしてそれが一應終了できますようであれば、次の一人一坪の線まではぜひ
引上げるような
措置をお願いしたい、こういう
考え方をしたわけでございます。
次の三の一とあります
基準三百人で六クラスの例という
図表に出して見たのでありますが、たまたま三百人の
收容で六クラスの
学校を
考えまして
斜線で表わしました分だけをとりましたものが
生徒一人について〇・七坪の形でございます。それを
一つ上げてや
つて頂いて、その次の
最小標準面積に上げてや
つて頂く場合には
特別教室を見てや
つて頂く、その次にそれを含めて
雨天体操場をつけてやる、そうすれば大体一人が一坪を使用するとい
つたような形のものになし得る、こういう
図表をお目にかけたわけであります。こうした
基準を以て現在の全國の
市町村について一通り、その
学校の〇・七に満つるや否やという線を洗い出しました結果、全國の
市町村が一万四百五十六ありますに対しまして〇・七坪にも及ばん、
應急の
最低基準にも及ばないもの、それが全國で千九百七十二
市町村あるわけでございます。その次に〇・七坪よりは多いけれども〇・八五坪にも及ばないというのが四千八百七十九、〇・八五坪には達しておるけれども一應理想型と
考えられます一人一坪
当りの
基準に達しないものが二千二百九十四ある。こういう
状態でございまして、〇・七坪にも及ばないとい
つたような
状態におかれておる
生徒が四百七十九万八千五百二十二、これだけの
生徒が〇・七坪を確保しないがために、その次の表に上
つておりますような惨めな
授業状態におかれておるというわけでございます。それを申しますと千九百七十二の
市町村では一万三千六百八十三の
中小学校が二部
授業或いは三部
授業をや
つている。その次の過剩
收容の分はまだ計数が纏まりませんので
調査中としてありますが、その次の
講堂なり
屋内運動場なりを
教室として使
つておるものが、これは
坪数で出しております。五万五百七十六坪。
校舎の
廊下なり
昇降口なり
物置などを
使つて教室に
臨時に使
つておりますものが三万九百九十五坪。
教室がありませんので寺なり
作業場なり、
避病院なり
倉庫なり
畜舎なり
住宅なりとい
つたようなものを借りて使
つておりますものが十三万一千八百六十九坪、こういう
状態にあるわけでございます。
この姿を各
府縣別に一應並べて見ますと、
北海道で申しますと二部
授業の
学級数が千二百七
学級、過剩
收容いたしておりますものが三百六十九、
講堂、
屋内運動場であ
つたものを
教室として使用しておるクラスが千八百二十坪、
校舎の
廊下、
昇降口、
物置等を
教室として使用しているもの二千五百七十二坪、
寺院作業場、
避病院、
倉庫畜舎、
住宅などを使用しておるものが四千二百五十四坪、以下それぞれの
府縣の分が同じ形で洗い上げて調べ上げた
数字でございます。これを更に千九百七十二の〇・七坪にも及ばない
市町村の
関係が、都道
府縣別にどういうふうな形であるというのを表わしましたのが八の表でございまして、
北海道で申しますと全部で二百七十七單位の
市町村がありますのに市の方で七つ、町で二十三、村で四十四、合計七十四の
單位市町村が〇・七坪に満たない、
最低基準に満たない
学校を抱えておるという
状態でございます。以下はいずれも同樣の
纏めでございます。
そこでこんなふうにここに洗いざらい
纏めましたものを一應救済しますためにどれだけの
面積をこの際保有しなければならんかということになるわけでありますが、七の然らばこれらの千九百七十二の
市町村を救うためにどのくらい
應急的に
建設したらよいのであろうか、この算出をや
つたわけでありますが、これは現在の
小中学校の
生徒の数に
基準面積としておきました〇・七坪倍したもの、それが一應の
最低基準の
面積になるわけでありまして、このものを要求するわけでありますが、現在持
つております
現有面積はその中で要求を満たしておるわけでありますから、まずそれを
差引いて、更に
昭和二十四年度の
公共事業であ
つて、
戰災にあ
つて、或いは
戰災の復旧のものであ
つても、それらのものによ
つて本年度補われるものはその予算を満たして行くわけでありますから、それを
差引く。それから現在の
高等学校が持
つております
面積に対しまして
高等学校の場合も
小学校と同じように
最低基準を一應
考えて、その
最低基準の
面積を
差引いた
現有面積からそれだけの
床面積を作り出しまして、その
余裕面積をトータルの中から
差引く、こういう
嚴密な
計算をいたしまして
建設に必要な
面積というものを探し出して來たわけであります。それをその次の
数字的な分に当て嵌めて見ますと、
生徒一人
当り〇・七倍でありますから、三百四十三万一千五百十九坪、これが一應の
最低基準面積になるわけであります。それに対して現在の
現有面積が二百八十三万二千四百五十五坪、これだけでございますから、これらを
計算いたしまして四十八万三千三百三十八坪、これが
只今私共の
最低の
應急基準面積、
應急にこれだけのものを追加補充して増築してやらなければならんという
計算に持
つて來た
数字でございます。ところがこの
面積は純粹に算術的に出した
面積であります。
その次の(三)のロというところにA、B、Cと三つの
理由を挙げてありますが、同じ
市区町村内でも
通学距離の
関係で必ずしも流用ができないとい
つたような場合、第二は田舎の
学校などで一
学級に
收容する
生徒数がたとい五十人に満たない場合でも、そこに一
学級の
教室を作らなければならんとい
つたような場合、それから
應急最低基準面積以上であ
つても、たまたまその
設計上の
関係なり建物の
模樣なりで、必ずしも額面通り利用できないとい
つたような
理由のものが
考えられますので、これらの点については今ここに確かな
数字を出しておりますので、いずれこの点はこれ以上に明確になるわけでありますが、取敢ずこれらのものを約一〇%増すものと予定いたしまして、先程の四十八万三千三百三十八坪に加算しまして、その結果が五十三万一千六百七十二坪ということに
なつたわけであります。この五十三万一千六百七十二坪の
建築が〇・七坪の
最低基準を確保さすために絶対必要な
坪数にな
つて來たわけであります。この全部の
面積を更に〇・八五に上げ、次にそれを一人について一坪の線に上げて行きます
計画を出してみますと、それが一の五ケ年
計画の表にな
つている分でありますが、全体
計画としまして四百万四千三百十四坪、これだけのものが必要になるわけであります。このうちで
只今申上げました本年度の
應急建設計画という面で、五十三万一千六百七十二坪の
建築を完了するとしまして、それの
差引になります三百四十七万二千六百四十二坪、これがこれから二十五年度以降五ケ年
計画だと仮に決めて頂いて、それを一應平均按分いたしましたものが、二十五年度から六十九万四千五百二十八坪、こういう形になるわけでございます。
然らばこれを金の面でこれだけの
建築をするのにどれぐらいの資金が要るのかということを次の表に出したわけでございます。全体
計画の四百万坪を金で表わしましたものが、補助と起債を從來のように一應折半いたしまして
考えましたものが三百九十三億九千百十八万四千円、起債の方もその同額でございます。ところでそのうちの二十四年度の
應急措置の分が四十七億一千八百五十八万九千円、起債額がそれと又同額、
昭和二十五年度以降の平均額が六十九億三千四百五十一万五千円、こういう
計算になるのでございます。ところで一應御注意頂きたいことは、この
計算の出し方が全部木造というわけでございませんで、一方段々増築がされながら或いは火災のために、或いは腐朽のために
片方ではどんどん悪くな
つて行くとい
つたようなことも
考えなければなりませんので、全
建築量の五%だけを本年度から鉄筋コンクリート建にすることが許されないかということを
考えて、〇・五%分が鉄筋コンクリートということで
計算されておりますのと、
昭和二十五年度以降の木造
建築は本年度の分よりも多少の單價増を見まして、一万八千円という
計算で出して來ているのでございます。
以上のような計数を取
纏めましたので、取敢えずこれを一應早急に予算化し、それぞれの方面に御
理解を頂き、格別の御援助を受けてこれを実現しなければならんと
考えておりますので、昨日から引続き今日に亘
つて衆議院の文部
委員会にお願いもし説明もして参
つてような次第でありまして、今日は又こちらの方にお願いし、ここで取
纏めた
関係を御
報告して、格別な御援助を仰ぎたい、こう
考える次第であります。