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説明員(
田邊勝正君) 第一におきまして、三月二日現在の
統計資料によりまして、
農地買收の経過に鑑みまして、尚
買收すべき
農地が残
つておるではないか。
買收は完了したと言うけれども完了したのではない、こういう面から
言つても完了したのでないという御
質問もあつたようでありますが、勿論
農地改革は現在完了しておりません。現在尚継続中であります。ただこの間に
面積のみからこれを申上げまするというと、初めに
農地改革をやる当時におきましては、百万戸の
地主から二百万
町歩の
小作地を
買收いたしまして、三百万戸の
小作人に賣渡すというのが一番初めの
計画であ
つたのでありますが、併しこの
資料は相当古い
資料を
使つたのでありまして、その後
敗戰後のいろいろの
状況によりまして、
農村の相貌が非常に変
つて参りまして、特にその間におきまして、
農地の
所有権の細分というもの、それからいろいろの
小作地が減少するというような
現状でありまして、実際の
農地の
小作地が幾らあるかということについての
数字を捉えるわけに行かないのであります。それ故に我々は
農地法に
規定してあるところの
規定を嚴格に行うということによりまして、
推進をして参
つたのであります。併しながら初めにおきまして、予め現在の
状況によ
つて一体どれくらい
小作地がこの
法律の
規定によ
つて買えるものであろうかということを
地方廳によ
つて我々は照会をして取
つたのでありますが、その間におきまして、控え目に
言つて來たのもあるし、或は相当過大に
言つて來たものもありますが、大体初めの予定以上に
買收をいたしまして、一〇六%であるとか、或いは一一〇%であるとかいうように予想以上に買つたようなものもあるのであります。そういうようなことで三月末日までの大体の合計が約百八十五万
町歩に達しておるのでありますから、後へ十万町残
つておるとか何とかいうことは、これはちよつと標準にならないのでありまして、今のところ統計が不完全でありますから、できるだけや
つてみたならばどれくらいできるかということより外に初めの
計画と実施結果との比較はちよつとできんような
状態にあるのであります。併しながら現在や
つておりまする中には、すでに
買收した後に、先程もお話がありましたように、
小作地の返還等につきまして、いろいろ脱法的な
行爲等もありますので、それは引続いてできるだけ嚴格にこういうものを探して現在やりつつあるのであります。それによりまして尚現在や
つておる都度に何万
町歩かの
土地が多少ずつできておるというような
状況にあるのであります。
これがいつまで経つたならば、かつきりと本当の
規定にはまつた通り全部が買い得るかどうかということはなかなか困難でありまして、或る
程度相当のところでけじめを付けなければならんのじやないかと実は考えておるのであります。併し現在のところは決して怠慢じやないのでありまして、できるだけ嚴格にやつた結果があの通りにな
つておるのでありますから、その点は
一つ御了承を願いたいと思うのであります。
その次に経理の
関係でありますが、経理の
関係につきましては今もおつしやられた通りに、これは
農地の
買收、賣渡を一生懸命にやりました
関係上、その後に処理しましたるものでありますから、多少手遅れの感があることは率直に言明したいと思うのであります。併しこれの金の方の
支拂につきましては、御承知の通り勧銀がこの中に入りまして委任状というものを勧銀へ出して、勧銀で纏めたものを上へ持
つて來て勧銀で金を出して
支拂うこと、こういうことにな
つておるのでありますが、なかなかこの
買收計画も初めに立てたものが段々後になりますると、間違いがありましたりして、
買收計画の変更ということが相当沢山ありまするので、その変更ということを直すために調整ということをや
つておりますが、それは各人からもう一度
買收したものを集めまして、その統計を、
不在地主等あつちこつち持
つておりますから一括をして、そうして改めて
支拂額を
支拂わなければならんという手数もありますし、それから又委任状をなかなか出して呉れない。これは非常に僅かばかりの金のが沢山ありまして、そうしてこれは面倒くさいという感じもあるのでありますが、なかなか委任状を出して呉れないというので、現在
支拂が非常に遅れておるというようなことにな
つておるのでありますが、これにつきましては、現在
委員会を督励いたしまして、直接行
つて委任状を貰
つて來るとか、特別の
処置を講じ、できるだけ早く委任状を取纏めて
支拂をやるべく
処置を今講じておるのであります。そうしてこの
支拂はいつできるかと申しまするというと、大体本年中にはとにかく全部
証券拂いのものと
現金拂のものと全部やる段取りに進んでおります。それから統計
事務でありますが、これはまあ一番後に來るのでありますが、先程申しましたように、
買收計画のやり直しでありますとか、いろいろの多少無理をして買
つておる、それから分筆ですが、一括して、買つたやつに、北海道辺が非常に多いのですが、
土地の分筆をしていないのも沢山あります。それから前提登記と申しまして、いろいろの前の保存登記その他が一切していないというやつを新たに登記をし直して、新たに
移轉登記をやるというようにや
つていますというと、現在の登記法におきましても、非常に面倒な手数が実はかかる、それを今一生懸命や
つておりますが、これは大体本年の末までにはこの登記を全部完了するつもりで鋭意今のところは一般の経理の
事務の一部のものを割きまして、その方へ振向けてや
つておるというような
関係にな
つております。
それからその次は、
交換分合でありますが、
交換分合で、今までやつた例によるというと、良田を一方の人間が集めて、或る人間に惡い
土地ばかりをやるという御意見でありましたが、これは現在まだ
交換分合の本当の指導はや
つておりませんので、これは熱意のある府縣、その他で進んで、農民組合でありますとか、或いは進んだ方々が相当や
つておるでありましようが、これについては別に指導はしておりません。おりませんが、今度できる
土地改良法によりましての
交換分合についての方針は如何ということについて聞かれまするというと、これは先程おつしやられたような、そういう不公平は決してないように、この法案の中には十分の
規定を設けまして、水利であるとか、或いは
土地の性質、或いは
土地の良否であるとか、いろいろの点から見て、同じものを同じに換えるということを原則にしておりまして、万止むを得ない場合でも、それはこの
土地の実際の値打の二割しかこれは認めない、二割以下しか認めない。その二割以下でどうにもならないものについては、これは金銭で差引きをする。勿論当時者の同意があれば別でありますが、そういうようにして、嚴格に同じように、良田と惡田と換えるようなことのないように操作する方針で進みたいと思
つております。
それから今後
不在地主が非常にできて來て、それが
不在地主ができるであろうし、それから在
村地主でも、一
町歩以上の
土地の所有者ができましようが、それに対しては
農地改革をやるつもりかというお話でありましたが、その中で
不在地主ということにつきましては、この
改正法律案の中で、
從來の
不在地主とは今度は定義を変えまして、
不在地主の範囲を縮小しました。これは臨時法が恒久法の
自作農特別法に変りまするので、余り不自由のないように、ゆとりを付けるようなふうの
内容にしたのであります。それから一
町歩以上の、超過した在
村地主の分につきましては、これは
自作農特別法が飽くまで現在継続してこれをやることにな
つておりまする以上は、これは毎年期日を決めまして、そうして一
町歩を余るものは、飽くまでもこれは
買收するということに、これは進んで行かねばならんと存じます。いろいろの点を想像できないようなふうに改正をや
つて参
つたのでありますが、結局それでも殖えるというので、これは御承知の通り、
昭和二十年の十一月二十三日現在に、これが
小作地であつたものは、現在
地主が耕作しており、又第三者に貸しておろうとも、当時の
小作地として
政府が
買收するという
規定を決めておりますので、その
規定によ
つて、今度その後取上げたものに対しては、飽くまでも、これは
買收の対象にならんことにな
つておりますが、その
規定によ
つてこれは救済せられることと思います。それからその中に返還地が相当あるじやないかということでありますが、これは現在は、市町村
農地委員会の承認を得たり、在いは地方長官の許可を受けなければならんことにな
つておりまするので、これは中には変なのがありましようが、万止むを得ないものがその返還を認められたものであろうと推察するのであります。
それから
共同経営に対する
処置如何ということでありますが、
共同経営に対しましては、これは
法律にも
規定してありまする通り、
共同経営が、実際において、いつも仮りの
共同経営であ
つて、
内容がこれが
一つの
小作関係にありと認められるものは、現在まで
小作として処理して來ておるのでありますから、今後もそういう脱法的
行爲に出るものは、飽くまでもこの法規に照して
処置する考えであります。
それからその次に
予算でありますが、
予算については非常に減
つて來て、そうしてどうもこれでは仕事ができるかというお話であるのでありますが、これは率直に申しまするというと、我々は本年において最低限度を
要求したのでありますが、併しながら國家財政上万止むを得ず、こういうように限定をされたのでありますから、私達はこの認められた
予算の範囲内において、できるだけの仕事を我々はや
つて行く、而も支障のないように、
農地改革を完遂するためにや
つて行くということで、この範囲内におきましてできるだけの操作を講じまして、
農地改革の完遂を、これから残
つておる残務を十分やるということに実はや
つておるのであります。書記は初め三人おりましたが、昨年これは一名減らされまして、これは大体作報の方へ移
つて貰いまして、作報で大体これを引受けて頂いたのでありますが、後は二名でありますが、二名の中一名又減らされるところを、二名を漸く確保したという
状況に現在立ち至
つておるのであります。併し書記諸君につきましては、これは例の労働
基準法によりまして、これが定額の俸給を全部差上げることにな
つておるのでありまして、ただ今までのところ、一般の旅費でありますとか、その他特別の費用につきましては、多少減少せねばならんような
状況に立ち至
つておりますが、併し仕事の分量から申しまするというと、今までのところ、
農地買收の大きな仕事の大部のものは、或る
程度まで片が付いておるのでありますので、今は登記とか、今の何ですね、経理の
事務と、そうしてこれからや
つて行くという、残
つておるところの
買收、賣
渡しの
計画が残
つておるのでありますが、これらのものをうまく睨み合せまして、そうしてこれだけ金が減
つて能率の下らないように実はや
つて行くつもりで現在進めておるような次第であります。