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政府委員(伊藤佐君) それではお手許にお配りしてございます
土地改良法案要綱につきまして主なる点を御
説明申上げたいと思います。改良法案の方が非常に大部でございますので、要約をしてございますから、それに基きまして、御
説明申上げます。
それでは御
説明申上げます。第一は
土地改良法の目的でございますが、この目的は
農業経営を
合理化して
農業生産力を発展させることを目的といたしております。その手段といたしまして、
農地の改良開発、或いは保全及び集團化を行うのであります。この集團化と申しますのは、交換分合のことであります。それをそういうふうな手段によりまして、
食糧その他の農産物の
生産の維持、或いは増進に寄與することを目的といたしておるのであります。次の第二項に書いてございますのは、この
土地改良
事業を行うに当りましては、
土地の総合的利用という観点からいたしまして、國土資源の利用を総合的な見地から見まして、
土地改良をやるところをや
つて参る、こういうような
考え方であります。從いまして、單なる
土地改良さえやるならばよろしいというものではなくして、森林
関係でありますとか、その他國土資源の開発の他の面と十分調和を取り、尚且つこれをやつた方がよろしいという地域につきまして
土地改良
事業を行うように考えてるのであります。
次は
土地改良
関係の
法律におきまする諸般の定義でありますが、この
法律におきまして
農地と申しまするのは、耕作の目的に供せられておる
土地を言うのであります。
次にこの
法律で
土地改良
事業と申しまするのは、以下一乃至七に掲げてある事項でございまして、第一には
灌漑排水施設又は
農業用道路その他
農地の保全又は利用上必要な施設を新設したり、我いは維持管理したり、場合によりますると、廃止をしたり変更をしたりということであります。第二といたしまして、区劃整理であります。田畑の区劃整理の問題、第三は開田又は開畑、四は埋立て又は干拓、五といたしまして
農地又はその保全又は利用上必要な施設の
災害復旧、要するに
農地の
災害復旧又は
農地の保全上、或いは
農地の利用上、必要な諸般の施設の
災害復旧であります。水利とか、或いは農道といつたようなものであります。第六は
農地に関しまする権利これはいわゆる交換分合でございまして、
農地に関する権利並びに
農地の利用上必要な利地に関する権利、
農業用施設に関する権利及び水の使用に関する権利の交換分合であります。
農地だけの交換分合の場合もございますが、それに付随して必要な諸般の施設、或いは水の権利
関係といつたようなものを交換分合する必要がある場合には、これらのものを併せて交換分合することができるようにいたしたのであります。第七といたしましてその他
土地の
農業上の利用を増進するために必要な
事業であります。
次は
土地改良
事業の参加資格でございまするが、この
土地改良、
只今申上げました
土地改良
事業に参加し得る人の資格といたしまして、第一には
農地につきましては、耕作者であります。但し耕作でない、いわゆる地主、小作に出しておるところの地主でありますが、地主が市町村
農地委員会に申出をしまして、そうして参加をしたいという希望を申し出ました場合に、市町村
農地委員会がこれを適当と認めた場合には、その所有者といたしておるのであります。原則といたしましては、耕作者を本位にいたしたのでございますが、現在の実際の状態、並びに
法律の
関係からいたしまして、所有権者の所有権というものも、これも尊重しなくてはいけませんので、これらのことを併せて考えまして、
農地の所有者が
自分で組合員にこの
土地改良
事業に参加したいという場合には、以上申上げましたような手続の下に参加することを認めておるのであります。
次に
農地以外の
土地につきましては、所有者、これは例えて申しますと、宅地であります。その地区内におきます宅地のようなものでございます。但し使用収益権者が所有者の同意を得て申し出たときには、その使用収益権者、宅地を人から借りておるといつたような場合であります。
次は
土地改良
事業でありまするが、この
土地改良
事業には、先程の
提案理由の中にもございましたように、
土地改良区の行いまするものと、
農業協同組合その他のものが行いまする場合とあるのでありまするが、第一は
土地改良区の行う
土地改良
事業であります。その中で先ず
土地改良区の設定につきまして申上げますが、これは
從來の耕地整理組合等の設定にあたるものでございすが、
從來の
土地整理組合は
土地の所有者を單位といたしておりまして、
土地所有者の地区内にありまする
土地所有者の三分の二以上の同意、或いは全体の面積の三分の二以上の同意というものを必要といたした次第でございますが、今回の
考え方は、先ず区請を定めまして、その区域内に耕地を所有し、或いは耕作をいたしておりまする人達の三分の二の同意を得て
土地改良区を設定することができるというふうにいたしたのでありまして、この点はアメリカの例に倣つたのであります。で、手続といたしまして、前に述べました参加資格を有する人達十五人以上ありました場合に、それらの人々は一定地域につきまして、
土地改良区を設定するために、
土地改良
事業計画の概要と、定款作製の基本となるべき事項等を定めまして、その地区内で資格を有する者の三分の二以上の同意を得まして、先ず
都道府縣知事に予備審査を申請するのであります。それで今回の法案におきましては、予備審査と本審査と二回の審査の手続を採
つておりますが、
從來の耕地整理組合におきましては、一回の申請で足りたのでございます、手続を愼重にいたしております。で先ず予備審査を申請いたしますると、
都道府縣知事は、その予備審査の申請に対しまして、專門的な知識を有しておりまする技術者の報告を求めまして、その報告と申請の内容を一般の縦覧に供するのであります。その場合利害
関係人は、これに対しまして意見を提出することができるのであります。
都道府縣知事は、この技術者の報告に基いてその意見を参酌いたしまして、
土地改良の設立を許すかどうかということの適否を
決定いたしまして、よろしい場合にはその旨を申請人に通知する。適否を申請人に通知するのであります。で申請人は知事から適当であるという通知に接しました場合には、今度は
土地改良
事業計画定款等を作製しまして、
都道府縣知事に
土地改良区設立の本申請をいたすのであります。この申請を受けました
都道府縣知事は、更に專門的な知識を有しまする技術者の報告に基きまして、この本申請を審査した上で
土地改良
事業計画書及び定款をもう一遍利害
関係人の縦覧に付しまして、異議の申立の期間を與えまして、後に
土地改良区の設立に認可をいたすのであります。かくして設立されました
土地改良区は法人といたしております。これは公法人的の性格を持
つておるものであります。それから
土地改良区はその地区内の
土地改良
事業及びそれに附帶して生ずる
事業を行うことを目的といたしております。附帶
事業は例えば材木、この
事業に必要な
簡單な製材所を作るとか、或いは場合によりますると瓦を焼いたといつたそういつた程度のものでございます。
次は
土地改良区の監理の問題でございまするが、
土地改良区の役員といたしましては、理事及び監事がございます。理事は、これは全員組合員の中から選挙いたすのでありまするが、監事は半数は組合員中から選挙をいたしまして、残りの半数は都部
府縣知事が任命することにな
つております。この半数の任命というのが
從來と変
つておるのでありますが、これはアメリカにおきましては、こういつたような公共
事業的な、公共
事業をやる團体の監事は、これは公共
事業本位に自己監査をいたすのでありますから、全員任命によるものだそうであります。併し日本におきましては、まだそこまで一足飛びに行くことは適当でないと考えられますので、半数は組合員中から、半数ば知事が任命をすることにいたしたのであります。
次は
土地改良区の総合でありますが、これは総組合員を以て組織をいたします。普通定時総会を毎年一回、その外に一定の員数の組合員の請求がありました場合には臨時総会も開けることにな
つております。それから
土地収良区は非常に
廣汎な範囲に亘る場合がございますので、これらの場合に総会を開くことは容易でございませんから、そういうふうな場合におきましては、組合員の数が五百人以上の場合におきましては、総会の代りに総代会を設けることができるようにいたしております。でこの総代会の総組合員に対する比率も、組合員の数に從いまして変えておりますが、これは
法律の方に詳しく規定しております。尚総組合員の三分の一以上の請求があつた場合におきましては、これを投票に付して総代を変えることができるようにいたしておるのであります。組合員の表決権、議決権及び選擧権は各々一個にいたしております。
それから
土地改良区は組合員に対しまして
事業の経費に充てるために、必要な金銭、夫役、現品を、賦課したり徴収したり、又は過怠金、加入金を課することができることにいたしております。尚これらのものの賦課徴収等に当りましては、場合によりまして市町村に委任して、それら滯納処分によ
つて徴収することができるようにいたしております。これは現在の耕地整理組合と同樣であります。その外
土地改良区は区債借入金の借入をすることができることにいたしております。これも現在の
法律と同樣であります。
それから組合員の権利の得喪でありますが、組合員が資格を喪失しましたときは、新たにその資格を獲得した者が前者の組合員に対する権利義務を承継することにいたしております。これも現在の
法律と同樣であります。
それから
土地改良区の
事業でございます。