○參事(下倉辰男君) 下倉衞視長は、二十三日の午後の、多分十時三十分頃と思いますが、警務課におりましたならば、丁度その当時、
議院運営委員会が開かれておりまして、そうして非常に混乱したという情報が入
つておりました。その前に予め
委員部の要請によりまして、或る
程度の衞視を配置してお
つたのでございます。それで段々
議長サロンが混乱にな
つたということで、私も
心配になりましたから、一應行
つて見ました。そうしたらば非常に混乱しておりました。そこで
委員部長さんから
議員以外の者は出せ、こういう指図でございました。警務部長はどうしたとおつしやられました。警務部長は丁度お部屋におりましたものですから、直ぐ使をや
つて、來て頂きました。そのときに
委員部長さんが、話は
ちよつとあとさきになりますが、警務部長を呼んで陣頭指揮をやらせろ、こういうお
言葉でございました。それから先程申上げましたように、早速警務部長のところに衞視をやりました。警務部長は直ぐ來て呉れました。私も入口まで入
つたのでございますけれども、何せごたごたしておりまして、自分の体がやつと入れるくらいだ
つた状態でございます。そこで
運営委員の方か、或いはその他の
議員の方か分りませんが、中でそれは
委員長の命令かと言うような方もありましたし、そこで
委員長の命令なるものが徹底してお
つたかおらんかということで、私共聊か躊躇いたしました。そこで中味のことは私共にはよく分らないのですが、非常に出す、出さないということからあつちでもこつちでも衛視の方に新聞社の方が何か抗議をされた方もあるように、これは後で聞いたのですが、そうい
つたような
状態でして、かくしている間に丁度時間は、はつきり記憶しておりませんが、十一時五十分には
ちよつと間があるかと思
つた時刻に記憶しておりますが、このときに本
会議のベルが鳴
つたのであります。それからもうそのベルが鳴
つた中にまだざわざわしておりましたけれども、一應私はもう本
会議の方が
心配でございましたから、廊下へ出ました。
議長サロンの前へ出たのであります。そこでやや暫らく経
つてから
議長さんが、どこからおいでになりましたか、それははつきり分りませんが、議場の裏でまあまごまごしてお
つたと申上げては申訳ないか知れませんが、
ちよつと見ると、まごまごしておられたような恰好でおられました。誰かが遠くの方で
議長を議場へ案内をしろ、遠くでどなたかがこう叫んだ声を記憶しております。それから私も、我々は
議院警察を守
つて、そうして國会の
運営を保ち、それから
議員さん方の身辺を保護するというのが任務でありますから、先ず我々は勝手にどこでも好きなことをやるというようなことはできませんと、殊に議場の中のことにつきましては、絶対
議長の命令がなくては私共は動けないことを認識しておりますから、先ず
議長をどうしても
議長席に着けなければ、議場の混乱も整理することができない、かように私は考えまして、誰かが
議長を案内しろとおつしやられた瞬間に自分の頭にぴんと参りまして、それから松平
議長のところへ行
つて、
議長さん私が御案内しますからと、こう申上げて、あそこは丁度
議長サロンの、あそこは私共は北廊下と申しておりますが、北廊下の
議長サロンの東口のところから沢山の人がなだれ出た。私はその前に出たのですが、私としては、
議長はなだれるのを突き抜いて來て頂きたか
つたのですが、そこで
議長が止ま
つてしまわれた。そこで大変時間的にはどのくらいか、私としては相当……何秒と言いますか、何分と言いますか、一分もあ
つたかどうかと判断されるのでございますが、
議長がそこへ止まつちやいまして、そうしてなだれも或る
程度なくな
つたときに、
議長は私の直ぐ後へおいでになりまして、いつも
議長のお入りになる北廊下の、私共は議場の西口と申しておりますが、そこから私の殆んど一歩もないくらいの後を私は
議長の前を導いて、そうして取敢えず
議長席まで着けますのが、衞視長の任務と考えまして、丁度あの
参事席とそれから大臣席のところを、極めて狹いのですが、あそこをスムースに取敢えず
議事部長の席の角まで私と
議長が参
つたのであります。丁度議場へ入
つた瞬間、私は
職務上傍聽席の方の
関係、議場の内部、出入口等も一應自分の責任がありますから、先ずその方を
ちよつと睨んで参りました。そうして
議長席の方も瞬間見たのですが、そのとき、遠くで見たのではつきりいたしておりませんが、中村先生、
板野先生、天田先生、それから
カニエ先生、原先生、こうい
つたように記憶しておりますが、こういう方が事務総長の席のところにおいでになりました。それから
議長が丁度
議事部長の席まで参りましたときに、その事務総長のところにおいでにな
つた方が
議長の方に方向を変えられて、そうして何事か言われてお
つたのですが、その言われたことは私は分りませんが、そのうちに段々沢山の人が壇上に、壇上と言
つても、
一般的に議場を壇下と申しまして、それから大臣席、
議長席と、それから
演壇を低めたところを私共は壇上と申しておりますが、先ず今申しました事務総長席の前におられた方々が、そこで先程申しましたように、丁度
議長の前に來られた。それから後段々沢山の方が次々に上
つて來られまして、そこで前から押されますものですから、私は角にお
つてここへ行
つたのですが、こつちは
議長の席、こつちは大臣席、こつちは議席になりますので、そこまで行
つたところが、どうしても前から押されて前に行くことはできないのです。
議長を見たから
議長さん早く早くと言
つて私が押しながらや
つていたのですが、そこへ衞視がずつと入
つて來て後ろにおる方を、手も足も出せないものですから、後ろから体を押しておる態勢にな
つております。併し向うが沢山の押し方でとうとう私が出られなくなりまして、そこに
カニエ議員がおりました。
カニエ議員がいきなり押されて來たのか入
つて來たのか分りませんが、私のところにぶつか
つて、そうして「何だ」とか何とか言われましたけれども、
議員さん方が何とおつしやられても、私は言われ放しでおるのですが、そこで先ず
議長を
心配していた。私の後ろにいた筈の
議長がずつと離れていたのですが、どうして
議長があそこに立
つてしま
つたのだろうと、こう思
つておりました。こちらを見たら
カニエ議員がさつきからいたけれども、その姿が見えなくなりました。そのうちに衞視も段々殖えて参り、それから
議長席を見ましたら、松嶋副
議長が
議長席に着かれ、近藤事務次長が総長席にお着きにな
つておられました。それで私としては一應法的のことは分りませんが、
議長なり副
議長なり、いずれにしても
議長席にお着になれば、これは議場整理ができるじやないか、こう思いまして、そうしてもう松平
議長には構わず、瞬間振向いただけではつきりしておりませんが、衞視の名前は分りませんが、大体幹部の土橋衞視長と、それから伴副長、小野副長、混乱の場合ですから班長はどういう班長がお
つたか分りませんが、もう一人山田副長、これが松平
議長の周囲におりましたから、これは一應
議長の身辺はいいと、こう解しまして、そうして私はああいう場合はとかく傍聽席も騒がしくなるものですから、その
心配もありましたものですから、一應傍聽席などの方を見まして、そうして近藤事務次長が事務総長席にお着きにな
つたその後ろに立
つて議場の
状態を見ておりました。大体
議長を導いた経路はそれだけでございます。