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國務大臣(
木村小
左衞門君)
西郷委員の御
質問は誠に時宜に即應いたしましたる重大なる御
質問であると
考えまして、私共
誠意を以てお答えを申上げようと思
つております。
シヤウプ博士が來朝いたしましたその翌朝通達がありまして、一昨日でございます。
大藏大臣、
安本長官、
官房長官並びに私に
面会がいたしたい、但し今日の
面会はこれから度々折衝を重ねなければならんところの、諸君がポストであるから、ほんの顔を見知り合うところの、
日本でいえば、言わば
顔緊ぎだけのことである、三十分間を以て終了するようにお出でを願いたい、こういうことでありました。從いまして私共も相当この
会見につきましては準備いたしております陳情の
内容もありましたけれども、そういう
証拠書類というか、その
材料を携帶いたしませんで、ただ
挨拶のために行くことにいたしまして、
シヤウプ博士並びにその
從員五名であつたと思いますが、まだ
あとから三名未着の人があつたそうであります。これに一堂に会しまして
面会をいたしました。
最初そういう
心組で
面会いたしましたけれども、会
つて見ますると非常によいチヤンスでありまして、
世間話をして暇を告げるだけでは誠に無駄であると思いまして、私はこういう
機会を取上げて、先ず第一印象に
地方財政のことを深く
最初にいうて置かなければなりませんと思いましたから、概畧
只今申上げるようなことを許を得まして
シヤウプ博士に話して置きました。
その大体の要点は、「私の担当する
地方財政の問題は
民主的改革、
経済再建にも最も深い
関係を持つものであります。その解決にいろいろ努力して來たのでありますが、甚だ遺憾であるが十分なる
只今まで成果を得られないことは誠にお恥かしい次第であります。今回貴
使節團の御來朝を
機会に、こういうふうな私の力に及ばないところの問題を解決できるものであると私は期待いたしまして誠に衷心から喜んでおるような次第であります。
地方財政の
現状につきまして、
地方財政の問題は、一面において
國庫財政と共に
経済に関する重要問題でありますし、他面においては
地方問題の
基礎を解決するところの、いわゆる
國是の基本をなすべきところの問題でもあります。
從來明治以來の
日本のやり方というのは、御承知のように
國民すべての
指導精神というものは、
富國強兵というような
指導精神において引摺られて参りました。
從つて富國強兵を昂進させて行く上においては、
中央のいわゆる專制的な
中央集権で行われて來た、その
中央集権の來たるところは
政治経済すべてがこれに包含されておりまする
関係から、
只今のごとき誠に
冷嚴なる
敗戰の
日本が憂き目を見て地上に呻吟しておりまするのも、この
中央集権の結果に外ならんのであります。この
中央集権の結果そのために
地方財政に及ぼすところの深甚なるところの影響は、その
惰性が今でも滲透しておりまして、昨年來完全なる
地方公共團体の独立を
図つて地方自治の完璧を期待したつもりでありまするけれども、ただ法文の上においてこれが作成せられた作文のみでありまして、又一方では
地方財政、
地方税法というようなものも愼重な
審議の上でこういう
法律を確立しておりまするけれども、先刻申しました
通りこの
運営に至りましてはまだ
中央集権というような形が抜けない、國と
地方というものが、まるで
地方が國に隷属しておるというように形にな
つておるということを、
最初において
シャウプ博士の頭の中に深く入れておいて頂きたい、國の
地方というものは、これは
個々のものではない、二者不可分の
関係にあるところの
國家経済である、
從つて地方財政も国の
財政も均分的なものである、両々相俟
つて始めて完璧を來たすものであるということは、これは論を俟たない次第でありまするが、この点は長い間の
惰性によ
つてまだ
國民の頭にも十分理解されておらないが、列席の
閣僚諸公に向
つて口はばつたいことであるが、まだ
中央政府においても十分にこれが滲透しておらんように私は
考えます。よ
つて、今日はこういうことを申上げるつもりではなかつた、ただ御
挨拶に伺うということの御
趣旨でもあるし、そういう
機会ではないと思いまするが、私の
誠意の隘るるところをこのチャンスを捉えてフアスト・インプレッションに、
使節一行にこのことを頭に入れておいて頂くために敢て申上げる次第であります。詳細は、いずれ私共の方で準備いたしておりまする詳細な資料を提出いたすつもりでありますから、その提出によ
つて御
審議をお願いいたしたいと思います。尚お手許にもいろいろと
材料をお持ちのことと思いまするから、総合して我々の期待に副うように、勝手でありまするが、どうぞ十分なる御檢討をお願いいたしたいということを切望して止まんところであります。」
大要そういうようなことを申述べておきました。
シヤウプ博士も、「よく分りました、我々が参りますまでも、考慮しないではありません」というようなことでありまして、尚「
地方財政については、これからも机の上だけの
調査はいたしません。これから各
公共團体もずつと
廻つて、各
地方を
廻つて見て、十分な
調査をするつもりであります」と、こういう回答を得ました。それで私
共地財委におきまして、提出します
材料を今作
つておりますが、これは実は
閣議にも掛けませんような案であります。というのは、
閣議に掛けますというと、又いろいろ時間が掛かります。甲論乙駁し、これはどうも
地方財政のことを言うと、
從つて國の
財政の方に
大分関係が多いものでありますから、なかなか
閣議に掛けて決まつたものを持ち出すというようなことは、
地財委の方でも言いかねますし、又
大藏省の方でも
安本の方でもそういう態度をとりませんから、私も
地財委の
委員長としての
國務大臣木村小
左衞門の
意見としましてこれを提出するつもりでおります。
只今飜訳をいたしておりまするが、大体の
大網につきまして一應御説明いたします。一昨晩も
地財委の
委員は九時過ぎまで掛かりまして、いろいろ
推敲に
推敲を重ねまして、数十回の会合をいたして
成案を得ましたのであります。これは実は衆議院では内意を得ておることでありましたけれども、まだ
成案にな
つておりませんので、昨日
千葉委員から詳細に
質問の要求がありましたが申上げませんでありましたが、ここで一應御報告いたしますことがよかろうと思います。ここにプリントがありますから、これを
政府委員から
一つ内容だけずつと御説明申上げます。