○專門員(福永與一郎君) 今
委員長から
お話の
説明は、刷り物に刷りまして皆樣のお手許に差上げる準備を進めておりましたところ、どうしても
只今までに間に合いませんので、一應口頭で御
説明申上げまして、直ぐ追つつけて刷り物にいたしまして御覧に入れたいと存じます。
先ず、憲法第四十八條は「何人も、同時に兩議院の議員たることはできない。」と規定しております。又
國会法第三十九條に、議員は、
内閣総理大臣その他の
國務大臣、その他は、「別に
法律で定めた場合を除いては、その任期中國又は
地方公共團体の公務員と兼ねることができない。但し、
國会の議決に基き、その任期中
内閣行政各部における各種の
委員、顧問、参與その他これに準ずる職務に就く場合は、この限りでない。」と規定しております、
國会法第三十九條の、別に
法律で定めたもの、即ち
國会議員との兼職を認められておる場合といたしましては、皇室
経済会議議員とい、彈劾裁判所裁判員、訴追
委員、それ他を挙げることができるのであります。
只今申上げました規定の中で、憲法第四十八條の規定は二院
制度の建前上当然であります。
國会法第三十九條の規定も三権分立の精神と、議員本來の活動を保障するという意味におきましてその妥当性が認められるのであります。而してこの兼職禁止の規定は参衆兩院議員に共通平等に適用されるのでありまして、その間に取扱上の差別はないのであります。即ちもう一度繰返しますと、議員の兼職禁止の規定につきましては、衆参兩院議員の間に差別がないということに相成
つております。然るに議員の立候補に対する制限規定におきましては、衆参兩院議員の間に差別があ
つて異
なつた規定が設けられておるのであります。以下これを区別して御
説明申上げます。
先ず
衆議院議員の立候補に対する制限規定として、一、
衆議院議員選挙法第六十七條第五項、
法律の定むるところにより
衆議院議員と相兼ぬることを得ざる國又は
地方公共團体の公務員に係る
衆議院議員の立候補の届出は、その者が公務員たることを辞したる後にあらざればこれをなすことを得ず。二、
國家公務員法第百
二條、第二項に、職員、と申しますのは一般職のことでありますが、「職員は、公選による公職の候補者となることができない。」という規定がございます。即ち
衆議院議員の場合は
内閣総理大臣、
國務大臣など僅かの例外を除きまして、廣く國又は
地方公共團体の公務員に対して、
衆議院議員に立候補するためには先ず公務員たることを辞することが
要求されておるのであります。その結果といたしまして
地方議会の議員、知事、市長等の公選による公務員や、場合によりましては前に掲げました
國会法第三十九條の但書によりまして、
國会の議決があれば
國会議員との兼職を特に認められております例えば学術
会議会員のようなものが
衆議院議員に立候補するためには、先ず公務員たることを辞さなければならないということに相成るのであります。尚、
國家公務員中の一般職のものは前記
國家公務員法第百
二條第二項の規定によ
つて、
衆議院を初め廣く公選による公職に立候補することができないという制限を受けておるのであります。最後に、参議院議員の立候補につきましては、前に申述べました公務員法第百
二條第二項は、
國家公務員中の一般職にある者は公選による公職の候補者となることができない旨を規定しておるのでありますから、この規定はもとより参議院議員の場合にも適用せられまして、一般職たる
國家公務員は、その在職のまま参議院議員に立候補することはできないということに相成るのであります。参議院議員の立候補につきましては、今申上げました制限があるだけでありまして、前に申上げました
衆議院議員選挙法第六十七條第五項のような制限規定はないのであります。
從つて一般職たる
國家公務員が、参議院議員に立候補するために予めその公職を辭すべきことが
要求される以外には、参議院議員の立候補は、特別職たる
國家公務員や
地方公共團体の公務員に対して広く門戸が解放されておるのであります。即ち一、
衆議院議員は在職のまま参議院議員に立候補することができるのであります。
反対に
衆議院議員選挙法六十七條第五項の規定によりまして、参議院議員は在職のまま
衆議院議員に立候補することはできない、こういうことに相成ります。次に、
國会議員との兼職を禁ぜられておる人事官とか、大使とか、
國家公安
委員会の
委員、公正取引
委員会の
委員長及びその
委員、その他ございます。そういう人々も在職のまま参議院議員に立候補することができるのであります。もう
一つ公選による
地方公共團体の公務員を初めといたしまして、広く
地方の公務員は、在職のまま参議院議員に立候補することができるのであります。以上申述べましたことによ
つて明らかなように、衆参兩院の議員の間に立候補の制限についてその規定に著しい差違のある点が問題になるのでございまして、今回選挙法改正の問題を御研究に相成ります場合に当
つて、これを題目の
一つとして取上げておるゆえんもそこにあるかと存ずる次第であります。