○國務大臣(池田勇人君) 御
質問の第一点の煙草耕作面積の問題でございますが、御
承知の通り、戰前は五、六万町歩
程度の作付があ
つたのでございます。戰時中食糧
増産の点からそれが非常に減反いたしまして、二万五、六千町歩くらいに減
つて参りましたが、最近では五万町歩ばかりに回復いたしているのであります。葉煙草の
生産につきましてはいろいろな議論がございます。我々も子供のときから煙草の耕作面積の中に生れたのでありますが、間作で十分な点が
相当あるのであります。間作でいいということになりますと、やはり肥料の問題にな
つて來るのであります。どうしても今のところ財政收入を確保する点から申しましても、今年も二割
程度の煙草の増配を
計画いたしておるのでありまするが、今少しく煙草の耕作面積を殖やし、肥料があれば間作でや
つて行きたい、
日本の煙草は御
承知の通り
外國にも
相当需要があるのであります。在來種並びに米國種を両方や
つておりますが、
日本の在來種は嵩を殖やすのに非常に便利がいいので、戰前はドイツとか、或いはメキシコの方へ行
つてお
つたのであります。私としてはこれを殖やしまして、そうして
輸出に向け、そうして向うのいい煙草を入れて、贅沢品でありますけれども、國民
大衆の嗜好品でありまするから、成るべくうまい煙草を提供するように努力したいと思
つているのであります。
お話の通りに、煙草だけでなしに、外の雜草、藥草を混ぜたらどうかという
お話御尤もでございまして、只今でも北海道産の「いたどり」は
相当混ぜております。輸送
関係がございますので、鹿兒島の
專賣局まで送るわけに行きませんが、北海道近くの專売局では
相当「いたどり」を混ぜておりますので、同じ「光」にいたしましても九州と東京とでは味が違うという文句を食
つている
状態であります。できるだけ考案はいたしております。又煙草の莖なんかも
相当ニコチンを含んでおりますから、これも刻んで入れれば使えないことはない、こういうことをや
つておりますが、現状からいたしまして、できるだけ間作をいたしまして
増産し、
輸出したい、或いは
外貨獲得に努力したいという
考えを持
つているので、いい品物がありますればこれに入れまして、
増産に決して吝かではございません。
塩の問題が第二の御
質問でございましたが、塩の
研究費二千数百万円、これ又多いようにお
考えになるかも分りませんが、どうしてもやはり塩の塩産ということは或る
程度考えなければなりません。材料は御
承知の通り無盡藏でございまして、
研究の点は主として熱量の問題でございます。從來のような煎熬釜からこれを共同煎熬釜にし、或いは眞空管
製造等、いろいろに
研究をいたしているのでございます。
研究所も一、二ケ所ございますし、
お話のような温泉利用ということも前から
考えていることでございまして、適当なところがあればそういう
方面に手を延ばしてもいいと思うのでありまするが、いずれにいたしましても、今一トンの塩を作りますのに一トンを超える大事な
石炭を使う、これがネツクであるのであります。而して國外の状況を見ますと、アフリカとか、或いはペルシヤの方には
相当の塩が殆んど只のような
値段で入る、ただ問題は
運賃だけの問題であります。それから又先程
お話がありましたように、支那の長
蘆塩、
山東塩等は原價も非常に私は安いと
考えておりますが、いろいろな点から
相当今高くついているのであります。数百万トンの
食用塩を
日本だけでやるということになりますとなかなかむずかしい。それで私はできるだけ
増産は図るのは勿論でございまするが、やはり
外國塩に頼らざるを得んというふうな
考えを持
つております。併し決して
増産を蔑ろにしているわけではございません。