○
説明員(
内山徳次君) 私
経團連の内山でございます。先だ
つて私の方の
税制専門委員会が中心になりまして纏めました
税制改正の
基本方針に関する
意見というのを発表いたしまして、これは皆様のお手許にお送りしてあると存じますが、尚、六月二日に
シヤウプ調査團一行、それに
司令部のモスさんを加えまして六名お出でを頂きまして、そうして
経團連を構成とております
日本産業協議会は勿論でありますが、そり他
金融團体、それから
中小企業の
関係金融、それぞれの
意見も述べて頂きまして懇談をいたしました。それでそのときの極く大体の記録と、それから各
方面から提出されました資料の中の特に重要な点を拾いまして、それを纏めましたので、それを本日お配り申上げた次第であります。この
シヤウプ調査團との懇談のときに、他の
團体から出ました
意見は、
経團連として十分に
練つた結論というわけではございませんので、各
方面のそれぞれの御
意見がそのまま出ておる点もございますので、その方は一
應参考資料というふうに御解釈頂きまして、
経團連としての
意見は過日お送り申上げました
税制改正の
基本方針に関する
意見の中に盛られておるわけでございますから、本日この方につきまして特に私共
経團連として重きを置いております点を拾い出して、少し敷衍して御説明を申上げて見たいと思います。今度の
税制改革の一番大体の
基本方針でございますが、これにつきまして
税制の体系を
相当根本的に変える必要があるかどうかということも一應檢討して見たのでありますが、これにつきましては現在
日本の
税制を全面的に檢討する必要があるという一番大きな理由は、
インフレーシヨンの結果、すべての
方面に非常に大きな変化が起きて、又非常に変態的な現象が
インフレーシヨンの発展の上において起
つておる。そのために
税制関係のいろいろなことが非常な混乱に陷
つておりますので、その
意味で
税制全般に
亘つてこの際振返
つて檢討して見ることが必要であるのでありますが、併し現在一番強く必要を感じておるのはそういう点でありまして、何か
税制体系そのものに、
日本の
税制体系に非常に大きな欠陷があ
つて、これを根本的に改めなければならんというような強い理由は今のところ必ずしもないのではなかろうか。むしろ
インフレーシヨンによる混乱、変態的な状態というものにまだ十分には收ま
つておりませんので、そういう
意味から申しましても、
税制の体系を非常にいじくるということは、この際必ずしも適当ではなかろう。今はやはり
インフレーシヨンによ
つて起つた混乱に対する対應の
意味を一番強く出し、同時に
日本経済の安定のために障害になるような
税制を直し、
安定復興にできるだけ都合のいいように
税制を修正して行くということが大体の方針になるべきである。こういうような
考え方で今度の問題を取扱いましたのであります。
そこで第一の問題になりましたことは、一に
歳出を整理減少せしめることによ
つて、國民の
租税負担を漸次
適正化する方針を取られたい、こういう問題でございますが、どう見ても現在の
日本の
税率は高過ぎるものが非常に多い。高過ぎると申します
意味は、
税率が高いために
却つて税法通りの徴税ができなくな
つてお
つて、そのために非常な不公平な点が起
つて來るということが
一つ。それからもう
一つは、税が高いために
貯蓄心をむしろ阻害して、或る
意味で消費を奨励するような面がある。これは
法人税について申しますれば、折角苦心をして
利益を挙げましても、非常に高い
税率がかけられるという状況では、むしろそれを
使つて、そうして経営が楽に行くような
方法を取る方がいいという方にややもすれば
向い勝ちである。それから個人の
所得税の面から見ましても、これは
税制が悪いと言えば悪いのでありますが、
家族合算制が取られておりますために、主人が
相当のすでに收入を得ておりますということになりますと、その家族が勤めに出て若干の
收入を挙げますと、それに対して
累進課税で非常な高率な税がかけられる。それならばむしろ勤めに出ないで家でぶらぶらしておる方がいいというような氣分が起る点もある。或いは又そうでありませんでも、
一つの仕事だけでは余力がありますので、幾つかの会社に関係し、いろいろな
方面で働こうといたしますと、これが又
累進課税で非常な税を取られるものでありますから、むしろそういう場合には、給與の形で貰わないで、自動車だけ付けて貰えばいいとか、或いは
料理店の
勘定書を
拂つて貰つて、それで給料の代りにするといつたようなことで、一方で税金を脱がれると同時に、或る
意味で一方消費を奨励するような傾きがなくはない。又税のために、預金なぞに対しましても税を非常に追求されるために、銀行へ預けるよりも
箪笥預金にして置いて、税のかからない
方法をとつた方がいいというような傾向もあります。又これは小さい一例になりますけれども、養蚕の
共同飼育をいたしますと、
相当経費を
合理化されるのでありますが、
共同飼育に参加すれば
收入が非常にはつきりして來ますために、まあそういうものに加わらずに、個人々々で能率が悪くても各戸にや
つている方が税を余り拂わないで済むというようなことになる、そのために折角
合理化の
方法がはつきり分
つているにも拘わらず、税が障碍にな
つて合理化ができないといつたようなことがある、そんなようなことは、いろいろな
方面にその事例が考えられるのでありまして、とにかく戰爭に傷ついて、
敗戰後の
日本のことでありますから、できるだけの
税負担をしなければならんことは当然であるけれども、現在の実際を見ますると、どうしてもこれは
軽減するという言葉ではこの際必ずしも適当でないかも知れませんが、とにかく
適正化して行くという、軽くするという方向で
適正化することが是非必要だということを強く実際に皆さんが感じたわけであります。そこで然らば如何にしてそれを
適正化するかということでありますが、それについては結局二つの
方法しかないわけでありまして、その第一が、
歳出を減らすことを極力考えて頂きたい。それにようて
租税負担を適正な
程度まで
軽減する、適正な
程度まで
軽減することができると、
税收総額としては必ずしも減らないという一面もあるわけでありまして、その
意味においては、第二に掲げてございますが、秘の
捕捉率を高める。
税率をむしろ引下げて
補足率を高めるという
方法をとる、結局この二つが根本の問題にな
つて來たわけであります。それで第一の方の
歳出の
軽減ということにつきましては、まだ
経團連といたしましても十分の檢計を経ているわけではございませんが、先ず大体の方向といたしまして、
行政整理の徹底ということと、それから若干の
價格改訂が必要でありますが、
價格差補給金、それから
輸入補給金といつたようなものの
相当思い切
つた減額の
方法をとるべきではないか、この二つのことを掲げているわけであります。
補給金の減額につきましては、実際の業界としてはいろいろな悩みもあり、問題もあるのでありますが、併し
日本の経済をだんだん
正常化して行く、殊に國際的な採算を考えて
物價政策なり或いは
産業政策なりをと
つて行くということを考えます場合において、どうしても大きな方向としては
補給金を漸次減らして行くということが必要なわけでありますので、ただ現在その
補給金を切りつ放しにするということでなしに、必要な部面については價格の改訂も行い、又その他取引の
正常化を図る、統制を撤廃すべきものは撤廃するということによ
つて補給金を減らすことが大きな
方法として考えられていいであろう。そういたしますと、現在
安定帶物資の
補給金と
輸入物資の
補給金とを併せますと、二千億以上のものが予算に計上されておるのでありますから、これを仮に、まあいつまでという問題はありますが、半分減らすことができるとすれば、そこに一千億の財源が出て來るわけでありますから、まあこの方にいろいろな
方法を考えて
相当の努力を傾ける必要がある。それから
行政整理という言葉でここでは簡單に表現してございますが、先般來行われようとしておりまするいわゆる
行政面の
機構面の局課の数を減らすとか、或いは
人員整理をするというだけの狭い
意味でなしに、もう少しこれを廣い
意味にと
つて頂きまして、
來年度になりますと、復金に対する
復金債償還その他のための
政府出資というようなものも数百億のものが
やり方によ
つては必要がなくなるのではないか、その他公團その他に対する政府の国庫の
補給金というふうなものも、
やり方によ
つては減らして行く余地が
相当にあるであろう、一般の
人員整理の外に、そうした
意味においての政府の
歳出面を
相当考えて頂きますならば、これはまだ数字を十分檢討しておりませんけれども、
來年度においては少くも
相当多額の
歳出の縮減ということが可能であろうと思われるのであります。そこでその
歳出の縮減によ
つて出て
來ます分を……無論一方では又新らしく
歳出を殖さなければならない事柄もあると思いますが、併し先程申上げましたように、税の負担が重過ぎるために、いろいろな障碍やら不公平を生じておるということが歴然としておるのでありますから、税の
適正化、
軽減による
適正化という方向を是非強く取る必要がある、これがまあ
一つの根本の
考え方であります。
歳出の
整理縮小の方は、租税と直接関係のない別な大きな問題になりまするので、むつかしい問題ではありまするけれども、やはり今度の
税制改正についてはどうしてもこの点に触れなくては、もう解決しないというふうに考えられる次第であります。
それから第二に、
税率を
軽減して所得の
捕捉率を高めることによ
つて税負担の公平を図
つて貰いたい、これはまあよく言われておることと同じことを
経團連としても考えておるから、特に新らしいことがあるわけではございませんが、ただこの問題の具体的な実行の
方法といたしまして、然らばどうしたらそういうことができるかということになるのでありますが、今の
税率でも
國家予算のバランスを合せるのが
相当むつかしい状態にあるので、これを更に税の
軽減をするということでは一層赤字になる危險があるのじやないか、今の
税率で取れないところが非常にあるというなら、先ずそれを取
つて見たらどうか、取
つて余裕が出て來たならば、それから税を下げたらいいじやないかという
考え方が一方で強く行われておるわけでありまして、これに対して片方では先ず
税率を先に減らして貰えば
捕捉率が高まるというので、鶏と卵の議論のようなふうに一面ではな
つておるのでありますから、従いまして、どうしても税の
捕捉率が高まるような
方法を一方で
相当強く講じつつ、
税率を
軽減するということを考えなくてはならないと思うのであります。この税の
捕捉率を高めるためには、
徴税機構の強化ということも必要なのでありますが、最後の方に出て参ります第八のところに、「
申告納税制度を改善し、
所得標準の内規を公表されたいこと。」、この「
所得標準の内規を公表されたい」ということが
民間の
團体として特に強調したい一点であるわけであります。
申告制度につきましても、今の
申告制度は余りにむつかしくできてお
つて、実際上余程よく研究しておるものでないと正確な申告ができない、これをもつと簡素化して行く。この問題は要するに
日本といたしましては、まだ
申告制度に非常に慣れておりませんので、十分慣れて來た上は、これは正確にやるのが本当かも知れませんけれども、現在の
日本の実情から考えまして、できるだけ簡易なものにして貰いたいということを一方で要望しておるのでありますが、もつと実際に必要なことは
税務署が所得の査定をいたしますときの査定の大体の
標準があるわけでありますから、それを全部公表ということは無理かも知れませんが、公表して差支えがないと思うものも
相当あると考えられますので、そういうものを
一つ大体の
標準を定めて予め公表して貰いたい。そうすればその
標準に
從つて余り税務署の
考え方と大きな
食違いが生じないように、最初から
同業者の申告ができるであろうということであります。これには
税務当局の側においても、
課税標準というものを公表し得るような
相当客観的な根拠を持つた
標準を調査研究して頂く必要があると思うのでありますが、是非そういうものを研究して、
民間に納得の行くような形でこれを公表して頂きたい。そうすればそれに基いて申告するようにすれば、今のように申告による納税と査定によるものとの間の非常に大きな開きがあるというようなことをものとなくして、そうして実際に合理的な
申告制度ができるようになるだろう、こういうことであります。尚、今の点に関連いたしまして、
記帳方法の統一或いは
帳簿組織の普及というようなことが必要なことはこれは申すまでもないことでありますが、ただ大
企業につきましては、この点は殆んど問題にはならないのでありまして、中小の
企業において特に
帳簿組織によるものが問題になるわけであります。それにつきましては、先日お配りいたしました
シヤウプ会談のときの資料の中に、
中小企業の
方面から若干具体的に研究したものが出ておりますから、御覧頂きたいと思いますが、
中小工業の
方面では
相当研究もしておりまして、これはどうも強制的に税法と結び付けて、それに違反した場合は罰則を適用するというような形にまで行くことはやはり非常にむずかしい問題と思うのでありまして、
大蔵省もその点で躊躇しておちれるように推察いたしますが、
民間としてもそこまで行くことに対しては
相当問題があると思うのであります。併し一種の國民運動的な
意味において
帳簿組織の完備を十分に図ると同時に、そうういふうにして出て來ます優良な記帳の結果に対しましては、
税務署も査定の場合にこれを十分に尊重するという何らかの
方法を講じて頂きますならば、
相当に普及もいたしましようし、成果が上るであろうというふうに我々
民間人としては考えておるのでございます。それから尚もう
一つ、徴税とそれから査定の問題に関連して主張いたしておりますことは、第九に掲げております「徴税は公正且つ民主的に行われたいこと。」結局これにつきましては、
産業別又は
地域別に民主的な
諮問機関のようなものを設置して頂いて、そうして先程申上げました
課税標準の
調査檢討というようなことにもこれを利用して頂くと同時に、
査定そのものについても何か
民間でもつと本当に納得の行くような機構を
一つ作つて頂きたいというのが、ここで考えております要点であります。そういうような
方法をとりまして、税の
捕捉率を高める
方法を一方で極力講じつつ、
税率を適正な
程度まで
軽減する
方法を考えましたならば、歳入は総額は減らないで、而も
相当の不合理な税を
軽減するということが可能であろうというふうに考えておる次第であります。その
程度を非常に具体的に計算して見るということは困難でありますが、大体の財界の
経驗者の勘として、
相当にできるだろうという
考え方をしているわけであります。それから第三の問題といたしましては、「
税率の
軽減は特に直接税について速かに行われたい。」結局結論といたしまして、
間接税の方に
相当重点がかか
つて行くという点になるわけでありますが、どうも現在の
日本の実情から見ましては、そういう方向へ進む方が適当ではないかということであります。この点についてはすでにいろいろ論議されておるようでございまして、私共の
考え方といたしましては、同じ
考え方が
相当廣まつておると存じますので、特に御説明申上げる程のことはなかろうかと思うのであります。
大体以上申上げましたようなことが骨子にな
つておるわけでありますが、尚私共
経済團体といたしましては、
法人税について特別の関心がございまするので、その点を
意見書の四と五に述べておるわけであります。四は、「経済の安定に寄與し、且つ税源を涵養するため、特に
法人経理の
健全化に留意せられたい」、これは前に申述べました
一般法人の各論の
一つにも当ると考え得るわけであります。どうも現在のような
課税方法では、無論
課税方法だけではなしに、これは
経済統制その他のいろいろなものと関連して來るわけであります。とにかく
税率の上から見ましても現在のような
法人税を課せられておるのでは、
経営者の立場から見てできるだけ
利益を出して、そうしてこれを社内に蓄積する、蓄積するというと非常に積極的なように聞えますが、現在はむしろ食込をできるだけ防いで行くという、むしろ消極的な蓄積の方が強いのでありますが、とにかくそうした
意味においての資本の
企業内における蓄積をできるだけできるようにして、そうして
企業の基礎を培
つて行くことが現在は非常に必要なときである。それを先ず
相当に努力して頂きませんと、
法人税についての
税源そのものがもう枯渇する危險にさえ瀕しておるということであります。この点は事業の種類により、会社により非常にいろいろでございまするから、反対の事例を挙げれば幾らでも挙げられるところであると思いますが、大体基礎的な産業についての態勢として、そういうことが考えられますので、
十分余力のあるところを取るということは別途に十分考えるということにして頂きまして、その
方面の或る
程度甘くなる点がありましても、片方において税が重いためにむしろ消費を奨励するような結果になつたりして、資本の蓄積の意欲を非常に減殺するというようなことにならないようにして頂きたい。こういう
意味において
法人税の
軽減がある
程度必要である。又このことは外資の導入問題と関連してよく言われておるところでありますが、
外國資本が入
つて來ます場合においても、
日本の
法人税というものが余りに重いと、それが障碍にな
つて外國資本が入りにくいという点もありますから、そういう
意味において若干の
税率の
軽減をして頂きたいと思う。尤もこの点は外國と比較いたしますと、そう大きな開きがあるとは必ずしも考えられないのでありまして、非常に大きな率ではございませんが、まあ現在の
法人普通所得税の
税率三五%を一〇%ぐらい引下げて貰い、二五%見当にして頂きたいというのが大体
民間の希望であります。その
程度でまあ大体いいのではないかと思うのであります。五%という案も
官廳方面ではおありのようでありますが、五%でも勿論
軽減しないよりいいのでありますけれども、もう少し引下げて貰いたいというのが
民間の空氣であります。それから
法人税に関連して一番大きな問題は、何といたしましても
資産の再
評價の問題であります。これにつきましては
経團連は本年二月十二日付でありますか、一應
意見を出しておりますので、ここでは極く簡單に触れておるのでありまするが、大体の
考え方といたしましては、二月頃に
大藏省の
税制審議会で立案いたしました
資産再
評價の案の線で大体よろしい。つまり強制的に一律に行くのでなしに、
評價する側の選択によ
つてどの
程度に
評價するか、又いつ
評價換えするというようなことは、
企業の実体に即して
企業側に任して貰う。
ただ余り評價が目茶苦茶にな
つては困りますから、
最高限度を決めて頂く、そうしてその
評價換えによ
つて出て來る差益の
処分方法を十分合理的に決めて行くということになるのであります。大体
大蔵省の
考え方で、この際はやるのが適当であろう。單一爲替レートも決定したことでありますから、この問題はできるだけ早急に決定をして貰いたいというのが
民間側の意向であります。ただこれに関連して、
是非民間側として
大藏省の
税制審議会の案の中で、修正して貰いたいと言
つて要望しておりますのは
課税の点であります。この
課税につきましては、理論的に申しますと、これは再
評價によ
つて出て來る差益というのは、便宜上差益という言葉を使いますけれども、実際は
利益ではない。それで我々
團体の方におきましても、差益という言葉はわざわざ避けまして、
評價差増額という言葉で現わしておりますが、これはいずれにしましても本当の
利益ではないのであります。何人もそれによ
つて特に
利益を受けるということはないのでありますから、ただ
利益を受けるように見えるのは、その結果として
減價償却の承認される金額が多くなる、そのために
法人税の
賦課類が結局
減つて來る。
つまり課税が減るという点において会社が一般的な
利益を受ける。又その
意味において株式の價格も上る。それによ
つて株主が若干の
利益を受けるということになるのでありまして、それ以外には
評價換えをしたからとい
つて收益力が殖えるわけでもなければ、経営に非常に便宜が起るというわけでもないのであります。勿論経営上から見ますと、税の
軽減ということの外に、経理が非常に
合理化されて参りますし、いろいろの点で
利益を受けますが、それ以外にはない。尚、
減價償却を
公定價格に織り込んで貰うことができるようになれば、それはそれだけ
法人として
利益を受けるということが言い得るのでありますが、これも併し價格が自由である場合には、全くそれが問題にならないのでありますから、そういうふうに考えますと、
法人の税を
軽減する必要があ
つて、そのために
一つは再
評價を考える。然るにその
軽減の結果を
利益であると見て、これに又
課税して、その大部分を取上げてしまうということでは、
折角評價換えをすることの
意味がなくな
つてしまうのではないか。こういうのが大体
企業側の
考え方であります。理論的に申しますと、全くその線が正しいと言わざるを得ないのであります。ただ併しこの
資産再
評價による税の
軽減を、全部減らし放しでいいかどうかということになりますと、現在の財政の事情から考えまして、それでは困るという議論が
大藏省あたりからはどうしても出て來ると思う。今日にな
つて見ますと、
來年度ぐらいは先程申上げましたように、
相当歳出の縮減もできると思いますので、やや事情が
変つて來たと言えば、
変つて來たのでありますが、今年の一、二月頃はまだそこまではちよつと考えにくかつたものでありますから、それでまあ
財政事情から見て、幾分の
課税は止むを得ないということで、
民間でも各
方面でそういつた表現を用いておつたわけであります。それからもう
一つ、
課税の問題で非常に問題になりますのは、
企業再建整備法によ
つて國家補償打切りの結果生じた損失の穴埋めのために、
債権者の
債権を
切捨てたもの、又その前に
株式資本を
切捨てたというようなことがございまして、
株式資本の
切捨てに対しては、むしろ再
評價によ
つて或る
程度利益を與える方が正しいと言い得るのでありますが、
債権を
切捨てた部分に対しては、結局そういうふうに
債権を
切捨てなくちやならないようになつた理由は、あのときの
資産の
評價を
帳簿價額以上に
評價してはいかんという
標準を設けて、新勘定における
資産評價、或いは第二会社に出資する場合の
資産の
評價を、
帳簿價額でやろうということを強制された、実際には当時においては
帳簿價額より遥かに多くの價値のあるものを、わざわざ低い
帳簿價額で
評價した結果として、
債権者が
債権の
切捨てを受けて來ておると、その
評價を今度はそれを今までのやつが間違
つておるから、直して
評價換えをして
評價増しをするのである。それによ
つて差増額が出て來るのであるということであれば、これを
債権者に戻すのが至当ではないかという議論があるわけであります。これは
企業再建整備がまだ全部完了しておりません今日としましては、切捨を
食つた債権者としては、一應御尤もな要求になるわけでありまして、この点をどう調節するかということが
一つの大きな問題になる。それでまあそういつたことを含めまして、
企業再建整備が全部終らない間に、この
資産の再
評價を実行しなくてはならんという事情から考えますと、
企業としても、株主としても非常につらいところではあるけれども、まあ幾分かの
課税は甘受するより外ないであろうという氣持にな
つておるわけでございます。併れながらその場合におきましても、
税制審議会の案によりますと、
評價換によ
つて出て來た差増額、それは
資産の部にそれだけの増加が來るわけでありますが、バランス・シートの上におきましては、これを負債の側に、一應再
評價調整勘定として負債勘定を立てまして、そうしてその調整勘定を一定期間に恒久的な勘定に振替える。恒久的な勘定と申しますのは、資本金に振替えて増資をして、株式の形としてこれを一般に賣出すか、又は旧株主に交付するということが
一つと、もう
一つは積立金として社内に残す。この二つの途が考えられておるわけでございます。でこの
評價差増額に
課税をいたしました場合に、その税金をどこから納めるかということが非常に問題になるのであります。これについては結局資本金に振替えることが或る
程度可能でありますからして、その資本に振替えました株式を物納の形で國家に納める。國家がこれを賣り出して現金に換えるというのが一番筋道としては筋が通
つておる
やり方になるのではないかということは一應考えられたわけであります。ところがそうやりますと、非常に
大藏省が賣れるか賣れないか分らない株式を持たなくてはならないことになる悩みがありますが、どの道結局は
民間に賣り出すものであるから、それを会社が代
つてこれを
民間に賣り出して、それによ
つて得た資金で納税をして貰うのがいいのじやないかというので、これが一種の水増し増資でありますから、本來價格を付けて賣り出すのはおかしいと言えばおかしいのでありますが、それを幾らの價格で賣り出してもよろしい、額面よりも低い價格で旧株主に交付しても差支えない。又一般に賣り出す場合はプレミアム附で額面上りも高い價格で賣り出しても差支えない。ともかくそうや
つて株を賣り出せば現金が入
つて來るから、それで税を納める。こういう
考え方に立
つておるわけでございます。併し実際に当
つて見ますと、とても
評價換によ
つて出て來ました差増額を全部資本金に振替えるということは、これは到底できないのでありまして、大
企業の場合でも
相当の部分は積立金にして社内に残さなければならない。それでも税金を納める現金を取得する
程度のことには、大会社の場合は少しも困らないのでありますが、これが中小の会社になりますと、とても株式を現金に換えるということは非常にむつかしい。株主とい
つても大体範囲が限定されておる。それの拂込みの能力ということから考えて見ると非常にむつかしい場合が多いのじやないか。そうすると、特に中小の規模の会社においては積立金に
相当沢山振換えなければならん場合が出て來る。そうなると税金を納める現金をどこから得るかということが第一に問題になる。それから尚よく檢討して見ますと、この株式に振替えてこれを
民間に出した場合は、これを殊に旧株主に割当てますと、一種の現物配当の形になりますから、まあ配当したのですから、それに或る
程度課税をしても止むを得ないとい、う理論も成立ちますし、又株價の上にもそういう形をとつた場合は非常に敏感に反映されるわけでありますから、この分に対しては或る
程度税をかけても止むを得ないが、併し積立金として社内に残して置いた場合に、それを普通の
利益と同じように考えられては、これはとてもやりきれないし、理論的に考えても非常におかしい。社内に残して置くということになれば、
評價換えしなかつたことと、経理の理論から言えば少しも変らないのでありまして、ただ何故それにも拘わらず
評價換する必要があるかと言えば、それは減價消却を適正にし、又経理の
やり方を適正にするために必要なので、
評價換は必要であるけれども、併しその
評價換によ
つて出て來たものを積立金に振替えて置くということは、少しもこれは
利益が出たというふうに考えるべき性質のものではなく、そこで殊に又積立金にした場合に、これに
課税することになりますと、それは結局
企業が一種の財産税を納めるというような形にな
つて來ます。
企業の負担にな
つて來る。株主が負担するということであれば或る
程度止むを得ないが、
企業が負担するということは、何としてもこの際全体の
法人税も減らさなければならんとか、いろいろな問題があります際に、そういうことは妥当でない。従
つて株式に振替えた場合の二割
課税というものは、これは
評價換によ
つて起る税額の限度と睨み合わせて彈き出した一種の数字でありますから、まあ二割ということは或いは止むを得ないかも知れません。
民間の実際の希望としては、これももつと減らして貰いたいし、無税にして貰いたいのでありますけれども、併しまあ二割
程度は止むを得ないという氣持も内心には
相当あると私共は感ずるのであります。併し積立金にした部分に対しては、これはどうしても二割では何としても高過ぎる。税の
軽減する方を算盤を彈いて取
つて見ましても、一律に二割では、
相当会社の事情によ
つては
評價換をしない方が得だということになる場合も出て來る可能性があるのでありまして、でありますから、これは少くも一割以下に積立金の場合にはして貰いたい。本当言えばこれは税を無税にするのが一番正しいのであります。無論それを主張するのでありますが、
企業再建整健法の関係もありますし、財政上の関係もありますから、どうしても止むを得んというならば、その
程度というのが大体の
委員会の
考え方であります。
これで大体最も重要な点は以上申上げた通りでございますが、尚
所得税についてちよつと簡單に
考え方を申上げますが、この
所得税は
企業に取
つてはやや間接の問題でありますけれども、結局やはり会社の負担が増大する形になりますので、会社としても非常に関心を持つところでありますが、これはもう当然
インフレーシヨンの結果非常に重くな
つておるのでありますから、減らして貰いたいというのがその線でありますが、基本の
考え方でありますが、内容としましては家族控除をもつと多くして貰いたいとか、それから合算制を成るべく止めて貰いたい。
経團連として前から主張しておりますことは、年末調整というと、少くも勤労所得、或いは勤労所得の中でも全部というわけには行かないかも知れませんけれども、一定額以下の者等につきましては年末調整ということを止めて、そうして月間制にして貰いたいということを主張しております。
税率につきましては大体
一つの空氣でありますが、最高所得の三割乃至幾ら多くても五割を超えない
程度の率にして貰わないと、それ以上の率になりますと、所得を正直に申告して税を納めるという氣持が非常に薄らいで來る。だからそういつたところを大体の目安にして
軽減を図
つて貰いたいという氣分が
相当強いようであります。大体そういうことが
民間側としての
考え方のように考えられます。地方税につきましては、どうもこれは非常に複雑で、私よく分りませんのですが、要するにいろいろ沢山問題がございますので、これは調整を図
つて貰いたいということを主張しております。大分長くなりましたので、私の方から申上げますことは、一應この
程度にしまして……