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羽仁五郎君
事務局に対して私は資料を希望しているんですが、オーストラリヤの
選挙法について資料を依然として委員にお配りにならない。これは是非委員各位に御
研究願いたいと思うのです。それでいわゆる民主々義先進國における
選挙法というものと、我々が今立案しようとしている
選挙法とは、どういう点が非常に違うかということを、是非お
考えを願いたい。さつき鈴本さんの欠席のとき、鈴木委員の
名前を挙げたんですが、是非お
考えを願いたいんだ。というのは、敗戰前の
選挙法と今日の
選挙法が、どこか違わなければならないということだと思う、やつ
ぱりこれはどうしても……。たびたび繰返すのは恐縮ですが簡單に申上げますが、
選挙の
取締りいいような
選挙法を作るのじやなくして、
國民が自由に
選挙ができて、そうして
弊害のないような
選挙法を作るということ、そういう
意味では、オーストラリヤの
選挙法なんかを見ても、重点を置いているのは買収です。飽くまで、
つまり利益によ
つて選挙民を欺く、或いは偽り導くということを防ぐという以外は、すべて自由にして行く。金の掛かる
意味において
選挙に立候補できないような妨げをなす事情は、
公営によ
つて貧しい人でも立候補できるようにして行きたいと、併してそこまでの……今
岡本さんが見えたからいいが、むしろ
ルールというのは、
ルールということにすべて
規定してしまうのではなくて、スタートしてゴールに入るまでの最小限の
ルールを決めて行くのであるから、その間で手の動かし方、水をどう掻いちやいけないということまで決めるんではない。だから貧しい人でも立候補できて正々堂々と言論で戰える。その場合に或いは金のある人がいろいろな
方法をやるかも知れない。そのために金のある人が勝
つて、金のない人は負けるかも知れない。併しそれはすでに
候補者と
選挙民の問題であ
つて法律の予見し得るところではない。そういう
意味においてはこの第十六の(二)は、先ずさつきの二つの点で私は削除を要求したのですが、第一はこれは非常に金の掛かる問題とは思わないし、且つ又これをしなければ立候補できないという問題でないということ、第二はこういう
規定を置かれることによ
つてさつきの
名刺の問題とか、或いは又腕章の問題というような点についてまで、官僚的な喜
取締が及ぶ恐れがある。人情に反し風俗習慣に反するようなことまで禁止され、その
取締を行おうとしてもつと高い
方針から、そうう
取締り方をする必要がないというふうな、非常に
検察当局を窮地に陷れるという恐れがある。その
意味から二つの理由、即ちこれは必ずしも正しい人が立候補できるかできないかという問題とは関係していないと思う。それは大体
回覧ですからね。それから第二にはこういうことまでやると、
名刺や腕章まで、そういうことまで問題が及んで来るという点から、是非この(二)は削除して頂きたいと思う。