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1949-09-16 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会参議院議員選挙法改正要綱立案に関する小委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月十六日(金曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参議院議員選挙法改正要綱仮案に関  する件   —————————————
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは只今から委員会を開きます。第八は留保にいたしまして、今日は第九から始めます。
  3. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 第九、立会演説会は全國選出については、開かないこととし、地方選出についてのみ行うこと。 (一)代理者については演説の同数を総回数の三分の一とすること。  立会演説会において演説をする者は、議員候補者でなければならない。  議員候補者はその代理人をして自己の加わるべき立会演説会において演説を行わせることができる。但し、その演説回数当該候補者が行い得べき演説の総回数の三分の一を超えてはならない。  前項但書回数の計算については、端数はこれを一回とみなす。(臨、三) (二)開催地臨時特例法通りとすること。  市及び人口概ね七千以上の町村都道府縣選挙管理委員会の指定するものは議員候補者の政見を選挙人に周知させるため、立会演説会を開催しなければならない。  前項の市は人口概ね五万ごとを一單位として立会演説会を開催するようにしなければならない。  第一項の町村以外の町村人口、交通の状況等を参酌の上都道府縣選挙管理委員会の指定したものは、立会演説会を開催しなければならない。(臨、二) (三)選挙管理委員会手続臨時特例法通りとすること。  都道府縣選挙管理委員会は、あらかじめ立会演説会を開催すべき予定の日時及び会場並びに一回の立会演説会において演説をすることのできる議員候補者の数及び演説の時間を決定し、選挙期日公示又は告示の日から三日以内に、これを告示しなければならない。  前項の場合において必要があると認めるときは、都道府縣選挙管理委員会は、議員候補者を班に分けて、立会演説会を実施する方法を講じなければならない。  第一項の規定による決定をなすに当つては、都道府縣選挙管理委員会は、都道府縣区域内に主たる事務所を有する政党その他の政治團体又はその支部で最近に行われた選挙において所属國会議員を有し若しくは有したものの代表者一人の参集を求めてその意見をきかなければならない。  前項参集に加わろうとする政党又はその支部は、都道府縣選挙管理委員会にその指定する期日までにその旨を届出なければならない。(臨、四) (四)演説順序等手続臨時特例法通りとすること。  立会演説会に加わろうとする議員候補者は、都道府縣選挙管理委員会にその指定する期日までにその旨を届出なければならない。  前項届出のあつた議員候補者について最初に行われる立会演説会における演説順序及び(三)第二項の規定により班を分けて実施する場合における所属の班は、都道府縣選挙管理委員会がくじでこれを決定する。この場合においては、併せて議員候補者演説をすることのできる立会演説会日時及び会場決定しなければならない。  第二回以後の立会演説会における議員候補者演説順序は、原則として前回の第一順位の者を最後の順位とし、第二位以下の者を順次一順位づつ繰り上げたものによる。  都道府縣選挙管理委員会は、第二項の決定をしたときは、直ちに当該候補者及び関係市町村選挙管理委員会に、これを通知しなければならない。(臨、五) (五)期日後立候補した者の手続臨時特例法通りとすること。  (四)第一項の規定による期日後立候補の届出をした者で立会演説会に加わろうとする者は、都道府縣選挙管理委員会の定めるところにより、その主旨を届け出なければならない。  前項届出のあつた議員候補者演説をすることのできる立会演説会日時会場及び最初に加わることを得べき立会演説会における演説順序並びに(三)第二項の規定により班を分けて実施する場合におけるその所属の班は、都道府縣選挙管理委員会がこれを決定する。  (四)第三項及び第四項の規定は、前項の場合にこれを準用する(臨、六) (六)立会演説会掲示については、臨時特例法通りとし、掲示数を三十箇所以上とすること。  市町村選挙管理委員会は、前(四)、(五)の規定により通知があつたときは、立会演説会を開催すべき期日前二日までに公衆の見易い場所に、立会演説会を開催すべき日時及び会場並びに演説を行うべき議員候補者氏名及び党派別掲示しなければならない。この場合における掲示場所は、立会演説会を開催すべき一市町村又は一單位につき三十箇所以上でなければならない。  市町村選挙管理委員会は、立会演説会開催の当日の演説会場表示並びに演説会場における議員候補者氏名及び党派別掲示をしなければならない。  前二項に規定するものの外、会場の施設その他立会演説会の実施に関する事務は市町村選挙管理委員会がこれを行う。(臨、七) (七)(一)から(六)までに定めるものを除く外、立会演説会に関し必要な事項は、都道府縣選挙管理委員会がこれを定める。(臨、八) (八)立会演説会秩序維持について選挙管理委員会に権限をもたせること。  市町村選挙管理委員会は、立会演説会において喧騒にわたり又は演説妨害しその他立会演説会秩序紊す者があるときは、当該選挙管理委員会はこれを制止し、命に從わないときは、場外に退出させることができる。
  4. 小串清一

    小串清一君 これは大分皆さん意見も大体これでいいと思いますから。
  5. 木内四郎

    木内四郎君 三分の一でいいのですか。
  6. 北條秀一

    北條秀一君 この第九の(一)について先の委員会においてほぼこの内容で決定したわけでありますが、本日我々は緑風会におきまして、この点について論議しました結果、代理演説会回数を総回数の三分の一を二分の一までに拡大したらどうかという、こういう強い意見が出たのでありますが、この際他の会派皆さんの御意見を聞きたいと考えるのであります。尚その原則が認められなければ立候補者病氣の際に限つて二分の一までに代理演説をさせることができるという、特例を認めて貰いたいという私共の要求であります。
  7. 木内四郎

    木内四郎君 私は立会演説会は成るべく本人が出るべきものであると思うのです。それですから、この代理を認める回数というものは與う限り少いものにして置くべきである。ただ併し本人病氣であるというような場合には只今北條委員お話があつたように、何らかの措置を講じて頂きたいと、本人が一方において演説をしながら立会演説代理人をしてするということは、私は全然認めない方がいいと思う。全然認めないというと、ラジオ放送のために立会演説会に出れば放送の方は出られないという、いろいろな障害が起つて來るから、或る程度五分の一、六分の一は認めて、病氣その他のときは相当の代理者を出すということを認めた方が至当ではないかと思います。
  8. 北條秀一

    北條秀一君 只今木内委員お話にありましたが、原案にあります通りに五分の一を三分の一まで認めようというので、今日まで話を進めて來たわけであります。その三分の一をもう一歩代理回数を多く認めて二分の一にできないものだろうか、こういうことで各会派の御了解を得られないものか、それはどうしても木内委員お話通り本人がやるのが原則だから從來通りの考えで三分の一にしようという場合には病氣のときだけ、そういう場合には二分の一まで御了解願えないか、こういう私の要求なんです。
  9. 木内四郎

    木内四郎君 これはちよつと速記を止めて貰いたい。
  10. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記止めて。    〔速記中止
  11. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記始めて。
  12. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は大体木内君がさつきからお言いになることに賛成なんですが。現行法が五分の一であれば私達はむしろ五分の一に代理者演説回数を減らさすようにすべきではないかと思うのです。この間の選挙の例から言いますと、私も代理演説に出たことは数回あるのですが、木内君が言われるように聽く人からは非常に失望を以て迎えられているようであります。それから私が代理に出たのはやはり今お話がありましたラジオ放送関係でありますが、先般來地方に廻つたときに、地方放送局の人なんかの話を総合しますと、この次くらいには大体レコードによつて録音放送であるので、候補者が必ずしもそのときに來なくちやならないというようなことがなくなるのじやないかというような大体のお話でありましたが、病氣の場合ということも想像されますが、病氣の場合はむしろこれは仕方がないので、私は病氣であるならば代理者が全然出られなくなつても、それ程大した支障はないのじやないかと思われるのでありますが、ともかく現行法通りに、むしろ総回数の五分の一くらいにやはり止めて置くという考え方ですね。況んや北條君が言われるような半分は代理者が出てもいいということは、やつぱり木内君が言われる通り非常によくないことだと思います。
  13. 伊東隆治

    伊東隆治君 ちよつとお伺いしたいのですが、立会演説会回数というものは選挙規定に何回となつておりますか。
  14. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 法律の面では何回という最高限はないわけですが、実際選挙管理委員会で実施している予算上からの制約がどうしても伴うので、その点ではそういう制約がありまして、おのずから二十回とか三十回とかいうようになつて來ると思います。
  15. 伊東隆治

    伊東隆治君 仮に十回を一番少い数と記憶いたしますが、十回といたしましても、三十日の内に三日に一遍の立会演説会をやるということは、私共立会演説会経験がないのですが、この前の衆議院選挙によりますというと、非常にそのために煩わしいと言つちやどうか知りませんが、すつかりプログラムが乱されているような次第ですから、立会演説会の数はできる限り少くして、それに出るのはやはり代理者を認めると言つたようなこれらの原則をやはり適用して、できるだけ代理演説は少くするという木内君の御意見賛成しますが、その代り立会演説会の数も成るべく少くするというのがいいのじやないかと考える。立会演説というのはみんなの人氣を煽つていい点もありますと同時に、私の参りましたところでは非常にみんて候補者が却つて迷惑しているところもあるのですが、併しこれは立会演説会をなくしよう、数を減じろうという意味じやないが、十回程度以内にして、その代り演説会に出る者は本人が必ず出るという原則をとるということにしたらどうか。
  16. 小串清一

    小串清一君 私は別に皆さんの御意見に強い反対を持つものじやありませんが、私は立会演説会というものは代理者を認めて、代理者を予め届出をさせて、一應一人なら一人というものを代理者にしたいというのが主張だつたのですが、それではやはり差支えがあるから先般皆さんが三分の一までに止めたらよかろうというのでこれに賛成したのです。それで立会演説を嚴格に言うと、民主的に本人が有権者に会つて挨拶するのだからこれは非常に必要なことだと言うのですけれども、実際問題としては立会演説会の時間の都合の惡い人は三人か四人しかいないところで演説をするというので、随分迷惑している者もあるのです。それで私は変なことを言いますが、年を取つた人とか、病氣でなくても随分そういうところに出て來るのに困る人もあるし、又一番後にやると時間的に不利であるというようないろいろな事情がありますから、立会演説会だけで選挙の雌雄を決するのじやないから、立会演説会は大体現行で何する、三分の一までは代理を認めるのがいいのじやないか、又但書を置いて、但し病氣その他重大な支障があつて出られない場合には代理人でもいいという先刻北條君の言われるような但書を入れてもいいじやないか、要する立会演説本人でなければならないということにするというのは理窟から言えばとそうだが、私はそれ程に窮屈にしなくてもいいじやないか、かように考えております。
  17. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 代理を認めるということは元來立会演説本旨に反するわけであつて、仮に代理者を認めた場合に本人がどこでも演説することができないという規定を置くならともかくも、どんどん代理者を認めるということになると、本人も出る、代理者も出るということになりまして、結局演説会は二ヶ所或いは四ヶ所でも六ヶ所でもできる、こういう結果になつて結論から言うと金のないものは頼めないということになつて來る。又立会演説本旨にも反しますから、成るべく私達は少くする、こういう趣旨賛成であります。
  18. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今井東さんから立会演説会回数を少くした方がいいというお話がありましたが、私は経験上からはそれと反対なんです。立会演説会はやりは一番演説会中において有効なものであつたと思われるのです。又先般來地方を廻つて聞きましたところでも、立会演説会には非常に來会者が多いけれども、外の演説会はそれに比較するならば、非常に集つて來る人が少いということが共通的であつたと思われるのです。ただ伊東さんがおつしやいました弊害というのはどういうのかはつきり分りませんが、私の経験からすると、意識的に、計画的に演説妨害しようとする人間が非常に余計入つて來るということなんです。それでわざと騒ぎ立てて演説ができないようにしようというようなことで、それはむしろ立会演説会は外の演説会よりも非常に効果的であるということから、妨害戰術にしてもそこに集中されて來ると思うのです。だから若し伊東さんが意味しておられることが私の言つているような妨害であつて十分意思表示ができんということからお言いになるのであれば、それはそれで又それを牽制するところの方法を後のところにもありましたが、そういう退場を命ずるとか、或いは罰則規定を設けるとかいうことによつてそうした惡意の妨害を牽制するところの方法を講ずればいいので、立会演説会はやはり一番効果的であるという見地からむしろ減らしちやいけないと私は思う。
  19. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 立会演説会回数を減らすという議論は私は賛成しません。基本方針を決めましたときにも、選挙公営を拡張してその徹底を図るというので、今度は個人演説会はこの案によりましても、公営でなくなるのでありまして、立会演説会公営でありますから、立会演説会回数は殖やしこそすれ減らしてはいけないと私は思つております。つまりそういたしますと、選挙区によりましては、なかなか今の五分の一ぐらいの代理者では、全立会演説会自分、並びに自分が行かなければその代理者を是非とも出したいのですが、その代理者も出せないというような場合が起ることを惧れますから、私共の主張しておりますように、又この前の委員会におきまして大体皆さんが、社会党の方は別ですけれども、五分の一或いは三分の一と木内君も言つておられるのですが、そういうことで三分の一ということが出て來ておるのでありますから、三分の一程度代理が認められるということにして頂きたいと思うのです。先程北條君が言われました病氣の場合に二分の一というのは、それじや私の方は撤回いたします。それで三分の一程度代理を認められるということで皆さんの御同意を得たい、こういうように思います。
  20. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 原案通りですね。
  21. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 原案通りです。
  22. 城義臣

    城義臣君 我々の方では原案通りで結構です。
  23. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 僕の方はやはり五分の一ですね。それは私の経験を申しますと、曾て地方選挙ですけれども、或る候補者を私達立てたのですが、実際を言いますと余り素質、能力のようなものにおいても十分でない人なのです。それから意思表示も実は完全にできないのです。それで私が代つて演説をやつたことがあるのですが、そういう人が私は相当あると思うのです。そういう人が代理を立ててそうしたことをやるということは、やはり公正な見地からはできるだけ出さないようにするということが必要なことじやないかと思うのです。
  24. 城義臣

    城義臣君 私は先程岡本委員が言われる立会演説会というものの趣旨を素直に解釈して選挙公営の拡充という精神からしてもその回数は減らすべきじやないという御意見に承つたのですが、実際立会演説会模様を私の認識する範囲では、当初公営ではなくて一昨年あたりの立会演説会までは実際よかつた、効果があつた、実はこう考えております。ところがこの春の衆議院選挙などの模様を見ますと、これについては随分私は疑問を持つ。第一は成るべく選挙民多数に挨拶をしたい。そうしていわゆる作戰を立てまして努力しようと思つてつても、立会演説会があるためになかなかその日程を作るのに苦労するということがあつて、いわゆる選挙の自由の行動をそれによつて阻害されるというような点があつて、相当候補者には困つているように私は見受けて來たのであります。  それからもう一点は吉川委員も今申されましたが、この演説会状況が少くとも私の方の縣などでは相当組織的に妨害をされておるのです。その妨害についてはこれは適当に又いわゆる秩序を乱されないような方法を講ずる旨を規定してやればいい、こういうようなお話でありますから、議論として私も賛成でありますが、実際その場内の空氣と申しますか、非常に喧騒に亘つている、まあ闘争的と言いますか、それがためにいわゆる闘争演説などに非常に慣れた者はよろしくやるのですが、諄々と自分の政策を述べるというような態度の候補者は非常に不利で、精神的にも何と言いますか非常な威圧を感じて、そういう会場に行くのが嫌だというようなことが事実あつたようであります。そういうわけで吉川さんのおつしやるような意味で本当に演説会場候補者が非常に自由に自分意見が述べられるような空氣になれば私もいいと思いますけれども、その点は実際問題として多少私は危惧を持つておるのです。それで先程申上げた理由によつて選挙を非常に濶達にやらしめるためには、余り立会演説会回数を殖やすということはどうだろうか、そういう意味回数を殖やさない方がいいのじやないかという方の意見に私は同調したいのです。そこで結論としては私は原案程度でいいのじやないだろうか、こういうふうに考えられるわけです。
  25. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 たびたび発言するようですが、城さんのお話がありましたが、勿論妨害する者に対しては私はこの春の例からして相当にこれを取締るような方法をやはりこの際講ずることが必要だと思われるのです。それから岡本さんがおつしやつたように、我々が基本原則として選挙公営ということを言つておるのですから、そういう建前からすると、やはり演説会というものを重視しなくちやいかん、そうしてその演説会においては公営立会演説会というものをやはり最も重要なる演説会として考えるならば、やはりその回数をできるだけ増加し、又演説会開催趣旨からして大畠君の言われたように、代理者原則的には認めないというような立場を取らなければならないので、城さんがおつしやるようにその立会演説会をやるために外のいろいろな作戰を練るようなこと、その他の運動方法を十分にこれをやることができないようになるからとおつしやるのは、我々が前提とした基本原則においての公営主義或いはフェアな堂々たる選挙運動を展開させるようにしなくちやいかんというような建前からして、一番重視すべき立会演説会というような運動方法以外のものになるから、そういう考え方はいけないのじやないかと思います。
  26. 城義臣

    城義臣君 私の申上げた作戰という言葉につきまして説明が多少不十分だつたのじやないかと思いますから、もう少し述べたいのですけれども、私の言いたいのは、やはり民衆と共に語るという意味で私は選挙街頭にみずから出て、そうして民衆と共に語るような、弁論戰ですね、それを主眼にして考える、重点を置くべきである、こういう意味であつて、それ以外に何か非常な選挙運動を附加えるという意味じや全然ありません。そうすると日程を立てるは立てたが、街頭演説があるために、今日は何郡の何村に行つてどうするというような具体的な演説会をやりたいと思いましても、途中で引返して來なければならんということのために、結果が非常に惡いので、選挙区域の非常に廣いということに制約されて立会演説会代理を出さなければならん、こういう素直な氣持で申上げておるのですから、その点誤解のないように……
  27. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) では私の方から一つ運営の御参考に申上げて置きたいのですが、私の方で選挙管理委員会で実際立会演説会運営して行きますについて一番困りますのは、欠席をされることなのです。無断で欠席をされて、その結果一人か二人空いて、その時間退屈だものだから聴衆が帰つてしまう、こういうことが一番困るのです。統計で見ますと、大体全体の三割九分は一人以上の欠席があります。そういう場合の措置なのですが、非常にこれはむずかしい問題ですが、我々の希望としてはその場合次の者を繰上げてやれるような便宜の措置市町村選挙管理委員会が図れるような措置を講じて頂けばいいと思いますが、その際府縣においては休んだ者を罰して呉れとかいような希望もあります。実際の立会演説会運営において非常に困る問題で、こうやつたらいいという的確な解決方法は我々も持ちませんが、繰上げたところであとの方が又困つて來るので、必ず繰上げなければならんというわけにも行かないので、ちよつと案は持つておりませんが、そういう適宜な措置が講じられるというような規定をいたせば我々としては助かる事柄です。
  28. 木内四郎

    木内四郎君 これは立会演説回数とも重大な関係があるのですが、この案によつてやると、一体衆議院選挙法と同じ案じやないかと思います。「市及び人口概ね七千以上」ということですね。するとその回数は何回くらいになりますか。そこをやはり考慮に入れなくちやならん。
  29. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これははつきりいたしませんが、町村については衆議院の方では人口五千以上となつておりますが、從前の委員会で五千より多くした方がいいじやないかというような御意見もありまして、七千程度にしたらどうかというところで抑えたわけであります。
  30. 木内四郎

    木内四郎君 市及び人口七千以上の町村ということにすれば、各縣何回ぐらいになるということがなければ、我々はちよつと回数の問題についての判断がきない。これが同時に今の問題にも関係して來ると思う。これが百回にもなつたらとてもできません。
  31. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今の問題で御参考までに申上げて置きますが、今年の春の衆議院選挙のとき、立会演説をやる期間は十六、七日見込んでおつたのであります。一日二回見当ということで大体三十回を目途としてやつた。ところが実際は三十回はやつておりません。二十三、四回じやないかと思います。全國平均をとつて見ますと、そういう状況でございますから、今度は運動期間が多少違つております、今衆議院の方は大体二十五日、参議院の方は三十日、参議院の方が五日長いのですから、その点は多少……
  32. 北條秀一

    北條秀一君 これは先程木内委員が言われたように、七千以上の町村は必ず立会演説会を開かなければならないという規定になりますと、衆議院の場合のようにはいかないと思います。一縣一縣ですから、例えば例をとりますと、兵庫縣の場合は九市二十三郡ということになりますから、立会演説会の数は恐らく六十回以上になると思います。
  33. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 今の点ですが、七千以上の町村選挙管理委員会で指定するという点がありますから、その点そう殖えないと思うのですが。
  34. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記止めて。    〔速記中止
  35. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは速記始めて。  第九は留保にいたします。数と繰上げの問題を留保いたします。
  36. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君(三)ですが、(三)の「告示の日から三日以内に、これを告示しなければならない。」と書いてありますが、三日以内というと一時間以内でも三日以内になるので、これは大体常識上三日以内と書いた場合には……これが多いとすれば二日以上と、こういうふうにした方がよいが、どうですか。
  37. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは選挙期日公示したり或いは告示したりした日から三日以内に告示しろという趣旨なので、公示又は告示の日に接近してこれを告示しろと、こういうまあ趣旨なんですが、これが三日以上というようになりますと、ちよつと趣旨がおかしくなるのじやないかと思いますが……
  38. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 これは選挙期日告示ですから、なるたけ早くやはりこういうものは、立会演説日程なんかは決めてしまつた方がよいと思う。だから最小限度三日というようにして成るたけ早く、さつきの意見もあつたが、早い時期に立会演説を終つてしまうというには期日が決まつたら成るたけ早くやるべきだが、まあ選挙管理委員会としては、やはり三日ぐらいの期間がないというと、組合せなりいろいろできないと思います。だからそれぐらいがよいのではないか。
  39. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは今の(四)、(五)、(六)、(七)、(八)、別に……
  40. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 (八)についてちよつと、「秩序維持について選挙管理委員会に権限をもたせること。」としてあるのですが、選挙委員会というのはどういうときに構成するのですか、一人でも構成するのですか。
  41. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは選挙管理委員会立会演説会場の秩序維持について何らかの権限がないと、公営建前から支障があるのじやないかと、こういつた点からこの案を考えたわけなんですが、選挙管理委員会はこの場合におきましては市町村選挙管理委員会になるのですが、選挙管理委員会のこれは職員と申しますか、係員と申しますか、具体的に法文にする際にはそういう表現をしなければならないと考えております。
  42. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 そうすると、立会選挙管理委員というわけですね。
  43. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 都道府縣選挙管理委員会地方選挙管理委員会があるから、ただ上をとつたのですよ。
  44. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 そうじやなくて、立会演説会場の秩序維持ですよ。だからその場合には選挙立会管理委員に権限を持たせるわけでしよう。
  45. 北條秀一

    北條秀一君 そうでなく、選挙管理委員会というのはあるわけです。常に整備しておるわけですから……
  46. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 立会委員に権限を持たせるのでしよう。委員会じやなくて、文字の使い方がおかしい。
  47. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 今質問の点確かにその通りなんで、委員会というものは会議体ですから、会議体が常に立会演説会場のそこにおるということはおかしいほけなんで、この点は表現がちよつとまずいと思われます。併し具体的に法文化する場合には、選挙管理委員会の当該職員とかいうような表現になるだろうと思います。
  48. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 分りました。
  49. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) それからここで一言決めておいて頂きたいのは、警察官の処分を要求するかどうか、ここの規定は大体投票所の秩序維持に関する規定に似ておりますが、きかない場合には警察官の処分を請求できるかということは、これははつきり書いておかないといろいろ問題を起しますから、処分を要求しないで管理委員会だけで済ますということであれば、それも亦一つの考え方であると思います。一つその点も決めておいて頂きたいと思います。
  50. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 (六)の「三十箇所以上」というのは何か根拠があるのですか、多いほどよいのじやないですか。この三十箇所以上に決めた事情を説明して下さい。
  51. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは現行衆議院の臨時特例では、二十箇所以上とこういうことになつておるのですが、地方の要望は、非常にこれが少ないために立会演説会会場というものがはつきりしないというような声もありますので、その際に、それではどれくらいにしたらよいのかと、こういう意見をいろいろ聞きますと、大体三十ヶ所ぐらいならよいのじやないか、少なくとも三十ヶ所というような御意見が多かつたように考えておりますので、これのようにしたわけであります。
  52. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) これは御参考までに申上げて置きますが、衆議院のときには、今お話のあつたように、二十ヶ所以上ということに法令がなつております。併し予算問題に関係するものですから、予算では四十ヶ所以上のビラを貼る予算をとつたのです。
  53. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 平均ね。
  54. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 大体それくらいやつたと思います。
  55. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) ちよつとこの点に触れる問題なんですが、後にポスターの問題が出て参りますが、ポスターの掲示なり使用ということが仮に自由だという建前になりますと、ポスターで各候補者がこのような掲示を兼ねたポスターを貼ることも或いは又できるのじやないかというようにも考えるわけですが……
  56. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 (八)の立会演説会場の秩序維持に関する点でありますが、先般來いろいろ御説が出たようでありますが、その節城さんがおつしやつたように、立会演説会を非常に勝手に自由に候補者が意思を述べることができるようにするということは非常に必要なことでありますが、お話にもありましたように、この春の立会演説会には随分惡意な、計画的な妨害が盛に行われたので、これは何とかして有効な秩序維持に関する取締方法を講じなければいかんと思うのですが、今の吉岡君がサゼスシヨンを與えました警察官に引渡すことができるかどうかということの問題を一つ眞劍にお考えを願いたいと思うのですが、昔のように私達がよくやられた演壇の上に警察官がおつてサーベルの音をがちやつかせて威嚇するというなことは、勿論これは絶対によろしくないと思う。又警察官が非常に多数演説会場に入つて取締つておるということも好ましからざることでありますが、成るべくそうした者がいないことが私はよいと思いますが、仮に法律規定において、選挙管理委員会の職員がこれを制止したり、又命に從わないときには場外に退出せしめようとしても、尚喧騒を極めたり、その命に從わないというときには、これはどうですか、公務執行妨害になるのではないですか。なるとすれば、当然に警察官に引渡すことは、そのところで直ぐにでなくても連れて行くとか何とかということはできるわけですね。
  57. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) それはできます。
  58. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それぐらいのことはしてもよいが、やらなければいかんと思うが、中に警察官を入れることは成るべく私はしない方がよいと思う。
  59. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 この問題については、実はこの前の研究のときに制止権を與えるべきであるという主張をしたわけですが、吉岡君はそのときには、そんなことをしたところで実際にはそれが実行できないようなことになると却つて困るというようなことであつて、それを裏付けるために、この喧騒の状態を鎭圧するという意味において警察官に対する権限発動の要求といいますか、丁度議事堂において要求するようなものだろうと思うのですが、そういう権利を與えるということは非常によいことだと思うのですが、あの投票管理者の権限の場合にはどんなふうに規定してありましたかね。投票所を撹乱をするという場合に、投票管理者が何かそういうふうな権限でも持つような規定がありましたかどうでしたかな。
  60. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 衆議院議員の選挙法ですか、四十條には、「投票管理者ハ投票所ノ秩序ヲ保持シ必要ナル場合ニ於テハ当該警察官又ハ警察吏員ノ処分ヲ請求スルコトヲ得」という一條があるのです。もう一つ四十二條に、「投票所ニ於テ演説討論ヲ爲シ若ハ喧騒ニ渉リ又ハ投票ニ関シ協議若ハ勧誘ヲ爲シ其ノ他投票所ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ投票管理者ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ投票所外ニ退出セシムヘシ」、こういう規定がございます。
  61. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 第二の場合は、この規定と同じようになりますね。退出すること。それから第一に読み上げられたものは、警察官に対する要請権も認めるということになるわけですが、第一のような規定をここに挿入することは、今吉川委員が言つたような憂えは私はないだろうと思うので、第一のようなものをここに挿入するようなことにしたらどうでしよう。
  62. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 その点について同様の規定があればよいでしような。
  63. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の問題は、京都、大阪、神戸なんかでいわゆる公聽会に準ずる会合を持つていろいろ皆さんの御意見を伺つたときに、結論としては、やはり各地の選挙管理委員会の御意見では、どうもやはり選挙は依然として官僚選挙だという非難を受ける。そういう意味では、選挙管理委員会の実権というものができるだけ成長して行くという方向に自分達も努力しているけれども、成るべく警察官等の干渉がないような方向に進んで行くことが望ましいのじやないかという御意見が一般に多かつた。そういう意味で、現在の状態としては選挙はやはりまだまだ選挙管理委員会がやるのだという認識が一般に徹底しないで、それでその官僚選挙になりやすいという弊害が非常に強いものですから、京都、大阪、神戸いずれもそういう意見が相当あつた。だから、さつき吉川委員が言われた程度でよいのじやないかと私は思うのです。
  64. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 こういうことがあるだろうという想像の下に仮定して、そうしてそれを止めるために法律を作つて行くということはよくありがちなことで、そのためにどうなつた、どうなつたというのが沢山出て來るというのが從來の例でもあつたのでありますが、從つてこれもそういうことを想像をして、こういうことがあつた場合に警察官に退出の要求をすることができるということを少数の場合のために規定するということが、全体の空氣を非常にいわゆる官僚的だといいますか、そういうふうに感じさせる憂えはあるわけでありますけれども、それはいわゆる選挙管理委員会がどうしてもそうせざれば場内の秩序が保たれないという場合に初めて発動されるのだからして、いつでもそれがそういうふうになるというものではないので、選挙管理委員会の立場を非常によくこの前も主張しておられたのですが、その立場も考えて、そうして柔かいような意味規定を作つて、併しながらいざというときにはその発動ができるようなふうにしておいた方がよいのじやないかということも私は考えておるわけです。併しながら、これは絶対の確信を持つて主張しておるものではないのでありますが、邪魔にはならんのじやないかということを考えておるわけです。
  65. 城義臣

    城義臣君 私も鈴木君の言われる趣旨に全く同感でありまして、この春の選挙の状態を見て、何らかのこれにははつきりとしたそういう対策を講じておかなければ、正しい選挙が行えないのじやないかという私は深い体驗を持つておりますので、そういう理由によつて私は只今の鈴木君の趣旨に全く同感であります。
  66. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私もこの選挙管理委員が喧騒に亘り妨害をする人を制止する、命に從わないときは場外に退出をさせる、退出をして呉れと言う。ところがどうしても退出しないという場合には警察官に請求してそれに退出をして貰う、処分をするということは当然だと思うのです。でそういう規定がないために、どうしてもそういうものを退出せしめることができないということでは困るのでありますから、この第二項として、「前項の場合において尚場外に退出しないときは、選挙管理委員会は警察官又は警察員の処分を請求することができる。」という規定をやはり置いていいと私は思います。始めから場内にいるのではなくて、退出して呉れというのに拘わらず退出しないで喧騒に亘つて選挙演説会ができないというときには警察官を呼んで來るよりしようがないから、それはその通り規定していいと思います。
  67. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私も岡本君のような説と、それから岡本君が今読上げた文章これは非常にいいと思うので賛成します。
  68. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは岡本君が今読上げました文章をこの下に附け加えるということについて御意見ありませんか。
  69. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 さつき吉川委員から言われたことなんですけれども、選挙の自由にとつて非常に恐るべきものは果して何であろうか、勿論演説会場において喧騒を極める人達を私は非常に憎むのですが、併し古來そういう者によつて選挙の自由が奪われたという試しはない、我々の記憶にも新たであるように、選挙に官憲の力が加つて來るというと、選挙の自由というものは全く失われて、堂々たる國会議員が再び翼賛議員のようになつてしまうという虞れが多分にあつて、これは極く最近の我々の非常に恐るべき体験であつて、二度と繰り返してはならないことで、私は選挙の自由にとつて最も恐るべきものはその点にあるのだ、又最近どうも地方によつてはそういうふうな傾向が必ずしもなくはないので、警察官によつて引張り出せば事件が解決されるというような考え方は、実は歴史的には非常に危險である、そうではなく穏やかに解決して、殊に選挙管理委員会がそれを穏やかに解決されて行くという方法で行くことが折角民主主義を育てる第一期の國会議員としての我々が立法する選挙法の中にも、そういう趣旨を貫徹して頂きたいと思うのです。我々の立法するものの中に警察権などによつて問題を解決できるという考え方をできるだけ入れないで行くべきじやないかというふうに考えております。
  70. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 羽仁さん御意見誠に御尤もでございまして、我々も初めから立会演説会場の秩序の維持を官憲に頼むというような規定を設ける意思は亳もないのであります。で我々の選んだ、人民の選んだ選挙管理委員が組織している選挙管理委員会立会演説会を主催しまして、そしてこれは主催した以上はそれがスムースに運ばなければならない、ところが喧騒に亘つて妨害をし、制止しても聞かない、それで仕方がないから場外に退出して呉れといつても聞かないでまだやるというときには、それではこの立会演説会をそのためにゆめるかどうか、それじやあ立会演説会を設けた趣旨には反するのであります。だからそのときには止むをえず出て呉れといつても聞かないのですから、そのときは最後の手段として警察官の処分を請求して、それで出して貰うということは、この立会演説会を設けた以上は当然であると思うのです。それまでもできないということでは本当の民主主義じやあない。だから私は羽仁さんのおつしやることも良く分りますが、私の提案したことによつて民主主義が危險に瀕するというようなことは決してないと思います。
  71. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は岡本議員の意見と同感ですが、この際羽仁委員に一つお聞きしたいと思うのです。どうかその際どうするかということを一つ高見を承りたいと思うのは、場外に退出を命じても退出しなかつた、そして非常に喧騒に亘つて演説妨害されておるという事実があつて、又続いていたという現実の場合に若し羽仁さんが選挙管理委員であつたとするならば、どういうふうにしてその演説会場を纏められるか、一つ御意見を聞きたいと思うのです。(笑声)
  72. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 どうも私は……
  73. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 具体的なことについて選挙管理委員会として……
  74. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そういう御質問に対して、そういうことをいわなければならんのは甚だ残念なんですが、我々が立法して行くときに、起り得るいろいろな場合を考えて立法をして行くというのはいわゆる官僚主義というもので、これは法律としては國民の幸福を護るという上にこういう場合が非常に多いのか、それとも極く僅かに過ぎないかということは十分に考えて行かなければいかん。これは例が少し違いますが、人権蹂躪に対して最近日本の警察官なり檢察当局なりが考えておる考え方にもやはり司令部の法務局のマイア君などによつて指摘されなければならないような点があるので、新刑訴法というものが邪魔になるというような考え方が依然として日本には残つておるんです。それで或いは殺人とか、或いは非常に恐るべき犯罪人ですらこれは國民の中にそういう人が多数におるわけじやあない。極く少数にしかないのです。ところが人権を蹂躪するということになつて來ると、國民のすべての人に関係がある。だから昔の考えでは國民というものは惡いことをするものだ、だから惡いことができないような法律を作つて行くという考え方があつたのですが、現在まさか國民というものはとかく惡いことをするものだという考え方は民主主義ですからもうありやしない。その人民の主権、又その人民の善意というものを信じて立法して行くのが我々の民主主義立法の唯一の方法です。その場所その場所において、その責任を持つておる人が最も賢明な措置をすることが、これはその場合いろいろな場合がありますから、そういう判断を十分に與えておくことがいいことなんです。これは昔上海の工部局に日本の警察が入つて行つたときに、まだイギリスがやつていた時代ですが、日本の警察官というものは、一々つまらないことでも本署に持つて行く、日本の警察官というものは、常識がないのじやないか、イギリスの警察官は現場で事を処理することが名誉であつて、日本の場合には何か喧嘩みたいなつまらない事件まで持つて來るということが多いのじやないかということが國際的に指摘されて、非常に恥かしい思いをしたことがあるのです。この参議院選挙法、第一回の参議院議員のお作りになつ選挙法はいろいろ間然することもおありになるだろうが、これは選挙管理委員会に出して見て恥しくないというものを是非作つて頂きたい。そういう意味では余り小さなことにまで一々細かい規定をお作りになるという御趣旨には、私はどうも甚だ遺憾でありますが、又利害得失いろいろ考えて見ましたが、成るべく法律として簡單の方がいいというふうに考えます。
  75. 小串清一

    小串清一君 私は途中でありますけれども、選挙妨害などを取締るというようなことは当然なことであろうと思います。今の羽仁君の議論は実に立派なもので、日本國民みな善良なものだ、だから内輪揉めのようなことはやつちやいかんと言うが、私の近所で泥棒ば入つて倉の中から物を持つて行つたりいろいろなことがあるが、羽仁さんに言わせると、そういうような者は善良な國民にたまたまあるのだからやらして置いたらいいじやないか(笑声)それでは國家の秩序が保てないで他人が迷惑する。人権をそれが蹂躪するのだから……羽仁さんは学問的に考える前に現実に考えなければならん。あなたの議論通りにすれば、今の警察官は一人もまだそれが捉まらない。捉まらないがああいうのは善良なる國民のうちにそういうものがあつて、人権を蹂躪しているわけじやないから放つて置いた方がよかろうということになる、この選挙でもやはり妨害をしている者を端から調べてみると、小さな子供がやつているのだが、そういうのは惡いことであるが、子供を罰するわけに行かんけれども、演説会行つて組織的に妨害する者をそこにいる管理委員の諸君が法律によつて場外に退去させることができるのだが、場外に退出させようとして行つた者が却つて場外に退出させられるだろうと思う。(笑声)そういう議論議論として弄ぶにはいいでしよう。勿論法律の上ではそういうふうに認めなければいかんです。私はそう信じます。(「進行」と呼ぶ者あり)
  76. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは岡本君の案は多数と認めて……
  77. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつとそれをもう一遍呼んで見て下さい。
  78. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これは大畠君が指摘さたことくこの文句が拙いのですが、このあとにもう一項加えまして「前項の場合において尚場外に退去せず、演説会場秩序を乱す者があるときは、選挙管理委員会は警察官又は警察員の処分を請求することができる)。こういうことを第九の(八)の第一項の次に入れたというわけです。
  79. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 そこで一つ考えなければならんことは、この文句を入れたがために、常に警察官は選挙会場の周りに來ておらなければ警察官としての職務を達成することができないというようなことになつて、それがために会場に入らないとしてもその周囲に警察官が待機しておるというふうになつてしまうと、これ亦問題なのです。そういうことも恐らく考えられることだと思うのです。ですからその点を余程うまく考えないと、やはり元の官僚選挙みたいなことになつてしまう、私はそういうふうに考えます。
  80. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私はこの原案通りでいいと思うのです。そうして選挙管理委員会委員長なり選挙管理委員がそれくらいのことは臨機応変に十分やれることであるから、わざわざ法律の面にまでそういうことを現わして、恰かも日本國中到る所そういう乱暴者が横行しているような印象を我が國民のために與えないで頂きたい。原案でどうかやうつて貰いたい。
  81. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は選挙については警察官というものがそれに動くということは最小限度……ないことを期待する。ところが今羽仁君のお話選挙管理委員会が警察官の應援を求める必要があるという場合には、適宜に應援を求めることができるというようなことであつては私の方針とは違う。從つて警察官が選挙においては法律で規定した以外には活動できない、こういうことでなければならん、それを明らかにするためにこの規定が必要なわ けです。ところがその点についてはきつと羽仁君と意見が同じだろうと思うが、警察官が選挙についてはいろいろ関與しちやいけないというのは同じだろうと思う。それを徹底させるために警察官の関與する部面は法律にはつきり規定して、それ以外に関與してはいけないのだということをはつきり規定する必要があるということなるです。その点で先程の立会演説……これも亦混乱になつたらば、これは選挙ができません。この立会演説はこれは最も大切なものなのです。候補者が如何なる人間であるかということを選挙民が知る上において最も大切なものなのです。この演説会において仮に羽仁君が演説しているときに、喧々囂々何とかかんとか言つてちつともそれが徹底しないということが出て來て、そうしてその管理委員会がそれを制止を命じてもどうすこともできないという場合には、最小限度警察官の應援をお願いすることができるという法律の上においての規定というものが非常に大切なものだ、それ以外に警察官というものは関與すべきでないということを前提としての私は意見であります。
  82. 木内四郎

    木内四郎君 ちよつとこれは速記を止めて……
  83. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて。    〔速記中止
  84. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて下さい。それでは原案を可決いたします。そうして議事を進めます。第十。
  85. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 第十、個人演説会の開催は自由とすること。第十一、街頭演説会の開催は自由とすること。第十二、個人演説会及び街頭演説会は、立会演説会場から三町以内の地において、同日同時間内には開催することができないとすること。    〔「原案賛成」と呼ぶ者あり〕
  86. 木内四郎

    木内四郎君 自由とするというのは、誰がやつてもいいし、じやんじやんやつてもいいということですか。
  87. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) そういう趣旨であります。個人演説会につきましては、現行衆議院議員の臨時特例の場合にはそれぞれ手続きを経て行うということになつておるのでありますが、そういう手続によらないで、各候補者個人演説会を随時随処に開くという意味の自由であります。    〔「原案賛成」と呼ぶ者あた〕
  88. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 そうしますと候補者立会の下に演説会は自由だというのですか。
  89. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは候補者自身であつても、候補者の應援者であつても、個人演説会が自由にできるという意味なんであります。尚この場合に施設の公営については個人演説会の場合において、その利用ができるということをこの中に包含しておる趣旨であります。
  90. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 この十一の街頭演説会というものの意義をはつきりして貰いたいと思うのでありますが、いわゆる街頭演説会というものも演説会というものの中に入るのですか。
  91. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは街頭演説会という表現を用いておりますが、街頭演説もこの中に入るという意味であります。尚これに関連いたしまして、電車であるとか汽車の中で演説ができるかどうか、又劇場というような中で勝手にできるかどうかという問題が関連して起きて來るのでありますが、その点につきましては、電車、汽車というような場合には、それぞれ施設の管理者の許可というものが必要じやなかろうかと、こういうふうに考えておるのでありますが、選挙法としては一應この中に含めて自由にしたらどうであるかと、こういうように考えておるのですが、この点は一つの問題になるであろうとは思います。
  92. 木内四郎

    木内四郎君 今それに関連してちよつと思い出したが、個人演説会というものは届出の許可も要らないのですね。
  93. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) そういう趣旨であります。
  94. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は成るたけ選挙についてはいろいろ法律で決めて置いた方がいい、こういう考え方行つておるのですが、今の説明によりますと、汽車、電車の中の演説は、電車を経営しておる、或いは汽車を経営しておる人、経営者の了解さえ得ればよろしいのだ、街頭演説会の中に入るのだという廣い解釈にして置くということはどうかと思う。これは経営者の考え方ではあるけれども、選挙というものは非常に大きいものですから、経営者だけにそれを任して防ぎ得るものではない。でありますから、例えば汽車にしましても法律で許しておるという場合には、経営者が許さぬということを思い切つてやるということはなかなか困難であります。殊に小さい地方の電車のごときは、そういうふうな規定は私はやはりはつきりして置くべきである、こう思うのです。そこで汽車、電車の中におけるところのいわゆる街頭演説はやらない方がいい、禁止して置いた方がいい、こう考えるのですが、強い意見ではないのだけれども、一つ皆さんの御研究を願いたいと思います。
  95. 城義臣

    城義臣君 管理委員会の方にお尋ねしますが、私は卒直に文字通りに読んでおるので、汽車の中が街頭だというふうには考えない。電車も街頭じやないのですから、やはり私の考え方では飽くまでも街頭という言葉に限るべきである。こういうふうに私は狹義にこの街頭というものを解釈しておるのですが、どうなんですが、今の解釈の仕方は……
  96. 木内四郎

    木内四郎君 序でに伺いますが、街頭でなくても個人演説会というのは個人演説も入るのだから、汽車の中で個人演説をやるというのは差支ないように私は思いますが、そこはどうですか。
  97. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 從來は街頭だけに限つてつたのです。この点で個人演説会は学校なんかあつたわけですが、ああいう点をお寺とか何とかというところまで認めるか。ここでは街頭演説会、個人演説会と從來の考え方ですると、これ以外の演説会はやれないという現在は規定があるのです。從つて從來と同じような考え方で行くと、抜けるものが出て來はせんかということも考えられる。第十二の禁止の場合、この辺は多少内容をはつきりさして頂く必要があるのじやないかと思います。
  98. 木内四郎

    木内四郎君 個人演説会は重要だということになれば、汽車の中でやつても自由じやないでしようか。
  99. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それは交通機関取締規則というものが現にあります。電車の中でやつたり、汽車の中でやつたりして、交通機関の任務を妨げるという場合には当然止めさせられるし、それは大丈夫でしよう。
  100. 木内四郎

    木内四郎君 交通機関の中で妨害になるというようなことがあれば、勿論これは取締らなければならんけれども、僕らの経験から言つて演説運動中、汽車、電車の中で乗つて歩いて演説してもどうして惡いかということを非常に疑つておつた。当然私はこれは認むべきだと思うのです。
  101. 小串清一

    小串清一君 私は汽車の中というような一つの中はいけないのですけれども、現にホームで演説しておる人は幾らもある。私の方から女で当選した代議士の人は、全く駅のホームで当選したと言われておる。朝から晩までホームにいて、自分の名前を大きく書いて、皆さん自分はオリンピックへ行つて円盤投で選挙管理委員会で二番目になつたというようなことを言つて毎日やつてつたのです。皆馬鹿にしたけれども、堂々と代議士になつた。併しあの人もまさか汽車の中ではやらない。汽車の中は人に迷惑を掛けるけれども、ホームは皆ぶらぶらやつておるのですから、私はホームのようなところは演説はやつてもいいのじやないかと思うけれども、それで人に迷惑を掛ければ、ホームでも駅の構内だから駅長が秩序を維持するのですから、秩序を維持しない程のことをやれば断ればいい。だから個人の演説会というのだから、個人演説は自由とするならば、どこで喋つてもいいけれども、ホームの場合でも人に迷惑を掛けるということで駅長に断られればこれは駄目なんで、ただ本当はどこか寺とか学校を借りてやるのが本当の演説会ということで、あとのは或いは個々面接になるかも知れない。私はこれでもいいと思う。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  102. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 この街頭演説の範囲ですが、これは街頭演説と言えば、私も車中も街頭演説と認める。こういうふうに解釈します。車中においても自由だ。ただ交通取締規則なんというものがあるかも知れませんが、選挙法によつて自由だということをされた以上、交通取締法というものは吹つ飛んでしまう。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)いや、選挙法自体が自由だとしておるのに、交通取締規則で自由を束縛するわけに行かない。
  103. 小串清一

    小串清一君 それはいけないよ。それならば社会党が自由党の事務所の中に入つてもいいわけだ、併しそれはいけないですよ。
  104. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 いけないと言つても実際そういう規則なんというものは、この選挙法の前には價値はないのですよ。規則によつて法律をどうするというわけに行かないから、やるならば先にちやんと書かないといけない。
  105. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は今のような御意見があり得るものだから、実ははつきり法律にして置いた方がいい、こう考えたのですが、併し若しそういうふうで汽車の中でもよろしいとか、或いは規則よりも法律の方がよろしいということになれば、他の法令、規則はそういうものに從わなければならないというようなことをはつきりして置かないといけない。今の議論は僕は暴論だと思う。甚だ失礼ですけれども……
  106. 小串清一

    小串清一君 如何ですか、採決してはどうですか。
  107. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 汽車、電車の中におけるようなものも、或いはホームにおけるようなものも街頭演説か個人演説か、そういうものの中に入るということなんですね。それから個人演説会というのは、個人演説も小串さんは含まないと言うけれども、先程の説明では含む、こういうことでしたから、個人演説個人演説会というものの中に含むという解釈ですね。    〔「逆だ」と呼ぶ者あり〕
  108. 小川久義

    ○小川久義君 いろいろ御意見があるが、交通機関内における演説は止めたがいい。というのはこういう場合があります。仮に私鉄だと、その社長が立候補した、その社長は自由にやれて、外の者はやつちやいかんという場合も出て來て不公平になるし、交通機関内における演説はやらないということに、はつきりして置く方がいいのじやないか。
  109. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて……    〔速記中止
  110. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を止めて……。どうですか、第十、第十一は原案でどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 原案多数と認めまして……第十二……
  112. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 ちよつと……。私はこれは原案賛成ですけれども、今の交通機関内におけるところのいわゆる演説というものは自由なのかどうかを委員会として大体考え方を決めて置いて頂きたい。
  113. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記中止    〔速記中止
  114. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは速記を始めまして、第十二は……
  115. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 三町以内というのはどういうふうに決めたのかちよつと説明して下さい。
  116. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) この三丁以内というのは、大体スピーカーなどを使いまする場合には、相当遠くまでその声が聞えますので、三町も離れたならば妨害にならないであろう、こういうようなわけであります。
  117. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今度はスピーカーを使わない場合でも三町に縛られるわけですね。
  118. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) そういうわけであります。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  119. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 原案賛成と認めます。  第十三 放送は、地方選出及び全國選出ともに政見放送、経歴放送回数を増加すること。 (一)議員候補者は、選挙運動期間中、その政見を放送することができる。  前項放送に関しては、当該選挙区のすべての議員候補者に対して、同一放送設備を使用し、同一時間数を與える等同等の利便を提供しなければならない。  前二項の放送回数日時その他放送に関し必要な事項は、全國選挙管理委員会が日本放送協会と協議の上、これを定める。(臨十六、文十一) (二)日本放送協会はその定めるところにより、議員候補者の指名、年齢、党派別、主要な経歴等を関係区域選挙人に周知させるため、放送をするものとする。  前項放送回数は、選挙期日前二十日から選挙期日の前日までの間において、各議員候補者までの間において、各議員候補者について概ね十回とする。(臨、十七)    〔「これは次回だね」と呼ぶ者あり〕
  120. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 今日はこれで委員会を散会いたします。    午後三時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    委員            鈴木 直人君            岡本 愛祐君            北條 秀一君            小串 清一君            城  義臣君            木内 四郎君            伊東 隆治君            大畠農夫雄君            吉川末次郎君            兼岩 傳一君            羽仁 五郎君            小川 久義君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君   説明員    全國選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君