○法制局參事(
菊井三郎君) この問題は
選挙費用につきましてどう考慮するかという問題であります。
選挙費用につきましては、
現行衆議院議員選挙法の第百二條におきまして、「
選挙運動ノ費用ハ
議員候補者一人
ニ付左ノ各号ノ額ヲ超ユルコトヲ得ス」、かように
規定いたしておりまして、「
選挙区内ノ
議員ノ定数ヲ以テ
選挙人名簿確定ノ日ニ於テ之ニ記載セラレタル者ノ総数ヲ除シテ後タル数ヲ命令ヲ以テ定ムル金額ニ乘シテ得タル額」尚二号におきまして
選挙の一部無効の場合における費用の算出
方法を
規定いたしております。尚三号におきまして天災等による
投票期日の変更の
規定によ
つて、
投票を行なう場合における算出の額を
規定いたしております。かように
選挙費用につきましては
法律で法定費用額というものを決める建前を採
つておるのでありますが、この
選挙の費用につきましてはいろいろな多くの問題を含んでおりまして、実際の費用と法定費用とが果して一致しているかどうかという点につきましては、いろいろな問題があるようでありますので、この費用をどうするかということであります。
(一) の問題はこの
選挙費用を如何に
制限して行くかどうか、法定費用額の制度を設けまして
制限して行くかどうかという問題であります。
(二) の問題は仮に
制限をするとしたならば、その最高額と現在行われております
選挙の実情とを睨み合わせまして、何らかこれが守られ得るような額に定める必要があるかないかというような問題であります。これは又
取締の面とも関連を持つのでありまして、その点をどう考慮したらよいかという問題をも包含すると思います。
(三) の問題は
選挙費用の
制限をするとして場合におきまして、その
取締の面はどうなるか。
取締が可能かどうか。これは実際問題であるのでありますが、そういうような見地から
取締の点をどう考慮するかという
制限の問題に対しましては、実際問題といたしまして
選挙法の建前からいたしますと、法定費用超過によりまして
選挙の当選訴訟の問題が関連いたして参ります。それで
選挙の当選無効の訴訟において、結局費用を超過しておるということになりますれば当選が無効になるということになるのでありますが、これをいわゆる刑事事件と関連してどう考えてよいかどうかという問題であります。
(四) の問題は
選挙費用を
制限する場合におきまして、その額の算定
方法は
現行衆議院議員選挙法の百二條のような行き方でよろしいかどうか。この点につきましては
参議院議員選挙法、地方自治法の
関係につきましても同樣
趣旨の建前にな
つておるのであります。これをどう考慮すべきかどうかという問題であります。
(五) の問題は
選挙費用を
制限する場合におきまして、
選挙運動の費用とみなさない費用についてはこれをどう考慮いたしたらよいか。
現行衆議院議員選挙法の百四條は「
選挙運動ノ費用に非サルモノト看做ス」という
規定を置きまして、
一定の
事項に要した費用を
選挙運動費用から除外いたしております。この点につきましては
参議院議員の
選挙法もこれを準用いたしておりますが、こういうような法定費用とみなさない費用のものと
規定するかどうかという問題であります。
衆議院議員選挙法の百四條の
規定は「
議員候補者カ乘用スル船車馬等ノ爲ニ要シタル費用」、それから「
選挙ノ期日後ニ於テ
選挙運動ノ残務整理ノ爲ニ要シタル費用」、尚第六十七條第一項乃至第三項、これは立
候補者の
届出でありますが、その
届出をした後「
候補者又は出納責任者と意思を通じて支出した費用以外のもの」、「
立候補準備のために要した費用であ
つて候補者又は出納責任者と
なつた者の支出した費用又はその者と意思を通じて支出した費用以外のもの」尚「
選挙運動に関し支拂う國又は
地方公共團体の租税又は手数料」、こういうようなものを
選挙運動の費用とみなさないという建前を採
つておるのでありますが、こういうような点についてどう考慮するかという問題であります。尚この点につきましては
参議院議員選挙法もこの通りの
規定にな
つております。こういう点をどう考慮したらよろしいかという問題であります。