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法制局參事(
菊井三郎君) 九、特別
投票に関する
現行の
制度は改める必要があるかどうか。
(一) 特別
投票の範囲について拡げる必要があるか。
(二)
投票方法について郵送の外提出等簡素化の
方法を認める必要があるかどうか。
(三) 診断書の交付又は郵送費用について國の
負担とする必要があるかどうか。
十 繰上
投票、天災等による
投票期日の変更、合併
選挙、
投票の祕密保持、
投票所の秩序保持等に関する
現行規定を改める必要があるかどうか。
九の問題は特別
投票に関する問題であります。この特別
投票に関しましては、
衆議院議員選挙法第三十三條に
規定しておるのでありますが、いわゆるこれは不在者
投票とも言われておる
制度でありまして、この三十三條の
規定によりますと、「
選挙人其ノ属スル
投票区所在ノ都市ノ区域外(
選挙ニ関係アル職務ニ從事スル者ニ在リテハ其ノ属スル
投票区ノ区域外)ニ於テ職務又ハ業務ニ從事中ナルヘキコト、二、前号ニ掲クルモノヲ除クノ外
選挙人巳ムコトヲ得サル用務又ハ事故ノ爲其ノ属スル
投票区所在ノ都市ノ区域外ニ於テ旅行中又ハ帶在中ナルヘキコト、三、前号ニ掲クルモノヲ除クノ外
選挙人疾病、負傷、妊娠者ハ不具ノ爲又ハ産褥ニ在ル爲歩行著シク困難ナルヘキコト」、かように
規定いたしまして、この
三つの各号に該当するものは特別
投票の
方法が認められておるわけであります。これにつきましては
参議院議員選挙法もこの
規定を準用しておりますし、又
地方自治法関係の
選挙につきましても、この
規定を準用いたしております。この特別
投票に関しましては、從來行われました
選挙におきまして、監獄に未決で收容されておる者にも特別
投票の
制度を適用すべきではないか、特にその收容されておる者の
住所地を管轄する
投票区の場合におきまして、三十三條に該当する
規定がありませんので、そういう場合にどうするかというような問題があるのであります。そういうものにつきましても、尚特別
投票の
方法を認めるかどうかという問題があります。又
投票の
方法にいたしましても、
現行のこの三十三條に基きまして出ております
衆議院議員選挙法の施行令の
規定によりますと、郵送の
方法とか、或いは直接
本人が
行つて投票するというような
方法があるのでありますが、非常に嚴重な
規定でありまして、今少しこれを簡素化する
方法があるのではないかというようなことも
考えられますのですが、そういう点、これはどうしたらいいかという問題があります。又この不在者
投票をいたします際に、この三十三條の一号、二号、三号に掲げておりますような事由があるということを
証明するために、診断書というようなものが場合によ
つて必要にな
つて來るのでありまするが、病人のような場合に、
選挙権を行使するために診察料を一々拂
つて証明して貰うということは非常に
負担が重いのじやないか。こういう場合には無料にして貰う
方法がなかろうかというような地方の声もあるやに聞いております。又郵便で送るというような場合に無料にして貰
つてもいいんじやないかというような地方の声もあるかに聞いておりますので、かような場合にどうするかという問題を一應掲げたわけであります。尚十の繰上
投票の問題につきましては、
現行衆議院議員選挙法第三十六條に、島嶼その他交通不便の地にして前條の期日に
投票函を送致することができない事情があると認めた場合におきまして、
選挙管理委員会の適宜に
投票の期日を定めるというような
規定もありますので、こういうような点、如何にこれをするかどうか、尚この
規定につきましては、
参議院議員選挙法につきましても同様趣旨の
規定を置いております。又天災等による
投票期日の変更の問題につきましても、
現行衆議院議員選挙法は第三十七條にこれを
規定しておるのでありますが、それは天災その他避くべからざる事故によりまして
投票を行うことができないとき、又は更に
投票を行う必要があるときは
投票局理者は
選挙長を経て
選挙管理委員会にその旨を届け出る。この場合においては、その委員会は期日を定めて
投票を行わしむべしというような趣旨の
規定がありまして、
参議院議員選挙法も同様の趣旨の
規定を置いております。尚合併
選挙の問題につきましては、
現行衆議院議員選挙法の第三十八條におきまして、
一つの
選挙を以て合併して
選挙を行う場合を
規定しておりますが、
参議院議員選挙法も同様趣旨の
規定を置いております。
投票の祕密保持の問題につきましては、
現行衆議院議員選挙法第三十九條におきまして、「何人ト雖
選挙人ノ
投票シタル被
選挙人の氏名ヲ陳述スルノ義務ナシ」、こういう
規定を置いておりまして、
参議院議員選挙法もこれを準用しております。
投票所の秩序保持の問題につきましては、
衆議院議員選挙法第四十條におきまして「
投票管理者ハ
投票所ノ秩序ヲ保持し必要ナル場合に於テハ当該警察官又ハ警察吏員ノ処分ヲ請求スルコトヲ得」、こういうように
規定しておりまして、
参議院議員選挙法もこの
規定を準用いたしております。これらの
規定は、現在のところこれを改めるというような声は別段聞いておらないのでありますが、一應議題といたしまして御檢討を願うという趣旨におきまして、ここに問題として挙げたわけであります。