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1949-06-28 第5回国会 参議院 選挙法改正に関する特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年六月二十八日(火曜日)    午後一時三十三分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○選挙法改正に関する調査の件   ―――――――――――――
  2. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 只今から開会いたします。昨日に引続きまして、選挙法改正に関する要綱案の一を続いて御審議願います。御意見のある方は。
  3. 北條秀一

    北條秀一君 選挙制度に関する事項で、参議院の全國選出制度について昨日いろいろ議論がありましたが、私は昨日の各委員の御意見に全く賛成でありますが、併しながら昨日の問題の取上げ方が如何にも民自党幹事長廣川弘禪氏声明に基いて各位が発言されたように私は受取りまして、甚だ不愉快であります。元來選挙法改正委員会は、当初委員長が言われましたように、参議院の議決に基きまして作られて委員会でありまして、全く独自の考に基いてこの選挙法全体を檢討するというところにあると考えるのであります。ただ現実の問題としては、民自党幹事長があああう声明をしたというところに、私は民自党の極めて上い上つた考があると考えまして、ああいう問題にこだわるということは、我々としてはやりたくない。從つて幹事長がどういう声明せしようとそんなものは無視してかかるべきである。そういう立場から私共はこういう制度を考えて行きたいと思うのであります。從つて私の考は全國区制度は昨日で可なり論議が盡されておりますので、私はそれ以上に附加えることを止めます。ただ昨日もちよつと触れたのでありますが、小選挙制度の問題であります。理事会において準備されまして昨日決定しました選挙法改正に関する要綱案によりますと、いろいろな要綱が中にあるのでありますけれども、小選挙区或いは大選挙区というものと議員の数というものは不可分に考えて行かなければならんじやないかというふうに考えます。そこで現在の衆議院の小選挙区制というものと、その選出さるべき議員の数、こういうものは私は十分に檢討する必要があるじやないか、こういうふうに考えるのであります。即ち衆議院の現在持つている選挙区は、昨日の吉川委員お話によりましては、可なりいいというように言われましたけれども、私は現在の衆議院選挙区並びにその選挙区から選出する議員の数というものが、果して如何なる合理的な、科学的な根拠から出ているかという点に多大の疑問を持ちますので、この点を我我としても十分に檢討して行きたいと、こういうように考えます。
  4. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それからお諮りいたします。討論形式でなく、問題の所在を明かにするという行き方にいたしたいと思いますので、立たずに坐つたまま、懇談式一つ審議をお進め願えたらどうかと思います。
  5. 北條秀一

    北條秀一君 賛成
  6. 小川友三

    小川友三君 この選挙制度形態理想選挙に持つて行きたいと、こう思つているのでありますが、選挙地盤余りに小さいと、どうしてもそこに理想通りに行かないで、つい人情がうつつて選挙形態買收饗應個々面接戸別訪問というものが深刻化して行くというのは、今までの旧憲法時代で幾度か見られております。ですから、この選挙法改正に当つては、理想選挙に近いもの、或いは理想選挙というものを中心にして、選挙法を考えて行きたいと思います。
  7. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 外に御意見は……。
  8. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 理想選挙というのはどういう意味ですか。
  9. 小川友三

    小川友三君 私共申上げる理想選挙というのは、買收饗應がない選挙であること、それから戸別訪問がないというような形態、それから選挙費用の問題も、今までの法定額以内で間に合う程度選挙、それから演説会というのは、松挙公報の……
  10. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それは後で一つ出て來る問題ですから、一遍結んでしまおうじやないですか。
  11. 小川友三

    小川友三君 いや吉川先生から、大体理想選挙形態を問われましたから……
  12. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 昨日來、一についてはもう議論が盡きておると思いますので、委員長の承つたところによりますと、全國区はそのまま置く。結局選挙区は從前の通りというふうに受取られるのですが、そう受通つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 木内四郎

    木内四郎君 ちよつと待つて下さい。委員長はまだこれは討論でも何でもない、問題の所在を明らかにしてやると言われたのだけれども、そう物を決めて行かれると、これ又……私は別に反対じやないのですよ。その運び方ですね。さつきのお話と少し違うように思います。
  14. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 皆さん委員長がお言いになつたことに御反対でなしに、御賛成であれば大変結構ですが、併し今当面の問題として、参議院員の全國選挙区をどうするかということが当面の問題になつておるのでありますから、一つ積極的に、大政党である民自党の方もおいでになつておるようでありますから、別に党を代表する立場でなくとも積極的に一つこの際御意見の御開陳を願い、尚民主党の方及び無所属懇談会方等からも同樣の御意見を伺えたら大変結構だと思いますので、そういうように一つ委員長から御指名を願えれば結構だと思います。尚更に内閣を代表する総理大臣或いは官房長官等からも、それについての意見をこの際聞くことができれば参考になるのじやないかと思いますが、如何でしようか。
  15. 木内四郎

    木内四郎君 私は別に吉川君の言われることに眞正面から反対するものではありません。私は全國区というものを参議院選挙に存置することには民主党代表して賛成しておるのです。併と今はさつき言われたように討論段階でもないし、結論を出すあれでもないしするから、それを各党から一々各問題について述べて殊に官房長官を呼んで來て、今ここをそれをどうするというような段階ではないと思うのです。そういう意味で私はその最後扱い方には余り賛成しません。
  16. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 いや、党を代表する立場でなくても、言つて頂けば大変よいのではないかと思いますが、必要がなければいいですけれども……
  17. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 今官房長官を呼んでというお話吉川さんから出てので、私はこれに多少関連するのではないかと思うことを皆さんお話して置きたいと思います。速記ちよつと……
  18. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を中止して下さい。    〔速記中止
  19. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 速記を始めて下さい。そこで一つ私今度の、これは所在を明らかにするというので目的で参りますと、それは所在が明らかになつてから一應纏めて、又この次で完成するということになりますから、私の受けた感じは全國区はそのままにして置く、又選挙区はそのままでというようなふうに感じを受けたということを申上げて、第二に移りたいと思います。
  20. 北條秀一

    北條秀一君 その点は先程申上げましたのですが、(一)の衆議院選挙については、私は現在の制度に檢討を加える必要があるということを先程申上げたのですが、それについて皆さんの御意見を聞いて頂きたいと思うのです。重ねて申しますが、昨日話がありまして、衆議院選挙法については衆議院の方で指導的にやつて参議院は單にこれに協力するという考え方でやつているのだという考え方ですから、衆議院選挙については今日議論する必要はないかも知れませんが、すでに決定した方針で(一)と(二)を不可分の関係に置いてやるということを我々が考えなければならんのですから、從つてもう一つは、問題のありかを発見するという点から言いまして、私は衆議院選挙についてはそこに問題があるということを提起したいのです。
  21. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) じや問題があるということにいたして置いて、その次に参ります。
  22. 北條秀一

    北條秀一君 よろしいです。
  23. 小川友三

    小川友三君 問題があるというなら私は……。(一)の点でこの衆議院選挙法ですが、これは今も先輩から御意見があつたのですが、衆議院選挙法というのは、選挙区域ですね、区域は今のは狭過ぎますよ、あれは縣会議員選挙区ですからね。余り狭いので、そういうものから衆議院は出ていますが、あれはもつと大きくしていいと思います。今のは余り小さくて、大体狭過ぎるという感じを持つておりますが、一つの郡に平均してしまうとそれで勝てる。非常に弊害が伴いましていけませんから、人の二倍か三倍ぐらい選挙区を拡大するという方針が私はいいと思います。
  24. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 皆さんに申上げて置きますが、全國選挙管理委員会からお見えになつておりますから、何かございましたら御答弁下さいますから、尋ねたいことは遠慮なくお尋ね下さい。
  25. 小川友三

    小川友三君 全國選挙管理委員会の方に伺いますが、この全國区制に対した全國から相当、一〇〇%の人材が議員として選ばれておる。それで全國区制は非常にいいと堅く信じられておると思いますが、これに対して所見がありましたら。全國区制の議員が一〇〇%優秀であると堅く信じております。それで管理委員会でどういう感じを持つておられるか。
  26. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それも又の機会にして、それは大いに論ずるときがあるし、先に進みましよう。
  27. 北條秀一

    北條秀一君 全國区制について全國選挙管理委員会に一般國民からいろいろな意見が出ておると思うのですが、そういうものの意見を集められたものがありますか。
  28. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今お話の全國選挙管理委員会に聞えております一般の声でありますが、一般國民からの意向というものは余り來ておりません。特に陳情とか何とかいう程度のものは來ておりません。ただ道府縣或いは市町村の選挙管通委員会に私の方で出掛けました、或いはときどき地方で会議を開きますが、そのときの話等で聞いておりますところでは、一部で全國選出議員というものは、それは選挙を執行する方の側から手続きが非常に面倒なんです。つまりこの前の選挙にいたしますれば、二百何十人の候補者があるから、一票出たら名前を探すのが大変らしいのです。手続きが執行する方の側から面倒だから止めて呉れという意見が一部出ております。その代案としてブロック制にして呉れ、或いは特に区域については言つておりませんが、もう少し細かくして呉れ、或いは一部には職域代表という形にして呉れ、そういう意見がぽつぽつ出ておるような状態でございます。
  29. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それで第一は問題の所在のところは大凡皆さんの胸に分つておると思いますので、二に移りたいと思います。職能代表制をとるかどうか。
  30. 小川友三

    小川友三君 職能代表制は要らないと思います。
  31. 北條秀一

    北條秀一君 それは全國区制をとるということと、職能代表というのは非常に関連しておる問題で、全國区制をとるということになると、今の小川君の言つたように必要ないと思います。(「同感」と呼ぶ者あり)
  32. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは第三に移ります。定員をどうするか、現行通りとするかどうか……
  33. 北條秀一

    北條秀一君 先程私は一の場合に小選挙区制の関連において話したのですが、この定員制については参議院衆議院ともに相当私は考えて行くべき必要があると思います。というのは衆議院の大体四百六十六名というのは何を基礎にして出ておるのか、参議院の百人と百五十人とは何を基礎にして出ておるのか、大体これは人口基準にしておるわけでありますけれども、純粹の人口基準にしていないで、可なり腰だめ的の考えで、まあこんなところでいいだろうというのでやつておるのではないかと私は考えるのです。これは全面的に十分に討議される必要があるというふうに考えます。
  34. 小川友三

    小川友三君 定員ですが、衆議院が四百六十六名ですから、参議院も四百六十六名にして、昔の貴族院時代と同じように同数を主張します。
  35. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 他に御意見ありませんか。
  36. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先程來北條君及び小川君等から選挙区制の問題及びそれに関連して定員の問題についていろいろ御意見が出ておるようでありますが、例えば定員の問題は北條君の言われるように選挙区制と不可分のものと考えますが、選挙区制については小選挙区、大選挙区或いは現行衆議院議員の中選挙区制がありますが、これらは政治学或いは公法学の問題として專門の学者が今日までいずれもいろいろ檢討して來た問題と思います。でありますから、今日までそれ論れの專門家が問題にして來た点を一應そうした知識基礎的に持つて考えて行く必要があると考えるのであります。現行定員の問題でありますが、定員の問題につきましては、今北條君がお話なつたように衆議院が四百何十名、参議院の二百五十名というのは、立法のときにそうした專門学者のいろいろな説或いは憲法制度立場からの見解であつて、そういうものをいろいろ考慮して、こうした立法を拵えたものと思います。北條君が問題にせられておりますように、この際それを知つて置きたいという御要求があり、又我々が議事を進めて行く上において一應そうしたことについて知つて置く必要があると考えられますならば、立法の衝に当られた人、例えば大体において選挙管理委員会諸君や、法制局諸君等はその答弁の衝に当ることができる能力を持つておいでになると思いますので、北條君の御質問等について、なぜ衆議院は四百六十六名とし、参議院はなぜ二百五十名になつたかというようなことを、この際北條君の質問に答えて頂いて、又更に各委員知識を新たにするという意味において、お答えを願うようにして頂いたらどうかと思いますが。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  37. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 他に御意見がなければ今法制局一つ……
  38. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 定員の問題でありますが、今大体この定員の問題につきましては、衆議院議員選挙法の問題に非常に多くの関連を持つておるのであります。貴族院時代におきましては選挙方法が非常に異なつておりましたので、ここで申上げます四百六十六名にどういう結果としてなつたかというような点につきまして一應御報告いたします。大体衆議院選挙法につきましては、明治二十二年に初めて制定されたものでありまして、その後幾多の改正を見まして、明治三十三年に大体の現行衆議院選挙法と同じような形式選挙全文改正でなされたのであります。この当時における衆議院定員は三百七十名でありまして、その当時の選挙区は大体大選挙区制をとつておりまして、府縣を單位といたしておりまして、例外として市区独立区制を設けまして、原則としては大選挙区、例外として市が独立選挙区というような関係になつておるのであります。それでこの当時の郡部比率につきましては、人口との比率は大体郡につきましては十三万人について議員一人、それから市部につきましては三万人に一人というように按配されまして、いわゆる農業的な代表と都市的な代表との比率を或る程度考慮されたかのように聞いております。更に明治三十五年の改正によりまして、その定員が三百八十一名に増加されたわけであります。これは独立選挙区が増加いたしました関係によるものであります。その後大正八年の選挙法改正によりまして、更に四百六十四に増加されました。この定員の殖えたのは、大選挙区を原則としておりましたのを、小選挙区制に直した結果、その定員数が殖えて参つたのであります。このときに大体比率が十二万と承わつております。その後大正十四年の選挙法改正によりまして、更に二名増加いたしまして、四百六十六名になつております。その後この数がずつと今日まで続いて参りまして、四百六十六という数が現在の衆議院選挙法定員基礎になつておるというわけであります。尚ちよつと申し落しましたが、昭和二十年の暮には二名殖えまして、四百六十八名になつたのでありますが、その後又変更になりまして、四百六十六という現在の数になつたわけであります。参議院の現在の定員の問題につきましては、現行参議院選挙法が制定されます際に、臨時法制調査会におきまして、非常にこの定員につきまして愼重に論議がされたのでありますが、大体この委員会最後決定におきましては衆議院議席の大体三分の二内外、こいううように決定を見たのでありまして、最後の法案となつた際に二百五十名、こういうふうになつたものであります。
  39. 北條秀一

    北條秀一君 ちよつと質問いたします。大正十四年に四百六十六になつた。昭和二十年に二人殖えたのはその後詳細はお分りになりませんか。それが更に減つたの沖縄縣関係でしようね。大正十四年は沖縄縣があつたわけですから、結局あれですね。前の比率沖縄だけを二名減らしたというわけなんですか結果としては……
  40. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) さようでございます。
  41. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 今の定員の問題ですが、御説明によると何か地区を標準にして決めたというように考えられるのでありますが、人口標準にしてやつたのじやないんですか。
  42. 北條秀一

    北條秀一君 元はそうなんだか変つて來たんだ。科学的な基礎はない。
  43. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 初めは人口標準にして來ておりますが、だんだん人口が殖えて参つておるので、必らずし人口十二万に一人という率で殖えて來ておるわけではないのでございます。尚法制局として議会定員におきましても初めはやはり人口を押えて比率を出したようでありますが、人口を増加したからと言つて必らずし定員を殖やしておるというわけではないようであります。
  44. 北條秀一

    北條秀一君 今の問題は一つも科学的な基礎はない。これはどちらかというと、ちよつと言い過ぎかも知れませんが、衆議院は四百六十六しか椅子がないからそれでやつておるのが実情じやないかと思うのですがね、私は……
  45. 小川友三

    小川友三君 やはり人口だよ。
  46. 北條秀一

    北條秀一君 人口なら人口とはつきりした基礎がなけりや駄目だ。基礎がないんだから……
  47. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 三分の二に限定したという基礎はどこにあるのですか、参議院は……
  48. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは臨時法制調査会におきましていろいろの参議院法制、それからそれに関連いたしました選挙法の制定の際いろいろ論議いたしまして、衆議院との関係参議院の第二院的性格というようなものをいろいろ考えた結果、参議院の数が衆議院よりは少いということの方が妥当ではないか、こういうようなことで三分の二というようになつたと承わつておるわけです。
  49. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) この問題について吉岡君に一つ……
  50. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 三分の二だというと三百十人……
  51. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今参議院定員が二百五十名に結論としてなつたことの理由は、余りはつきり御説明がなかつたのですが、これは参議院選挙法とも関係する限りにおいて、まあ一般に了解されておる点を明かにして置いた方がいいと思います。それはアメリカ上院が各州二名の上院議員があつて、全体の数がアメリカ下院に比して少いということは、普通に定説としては上院の場合には、その議員の属する党派関係よりも、議員の個人の政治的識見ということが重んぜられるということが考えられておるので、人数の少い方が上院議員の一人々々について國民がよく知ることができる。そういうことが選挙法の上でも、下院の場合には選挙がしばしば行われ、議員が盛んに交代する。人数も非常に多い。上院の場合には任期も長く、選挙もしばしば行われるということもなく、人数も少いので、下院の場合は政党によつて問題が決定されるけれども、上院の場合にも上院議員の一人々々について國民がよく知り、そうしてその上院の任務を果すことができる。そういう意味上院人数が非常に少い。こういう原則一般に非常によく理解されておる点だと思う。恐らく日本の場合にも当時の議論としては、もう少し少い数が最初考えられていたように、私も記憶しておるのですが、併し結局その他のいろいろな理由によつて、現在の二百五十名というふうになつておるだろうと想像されます。私はそういうふうに理解いたします。
  52. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 大低議論も出ましたので、お分りと思いますので、第三の定員をどうするか、現行通りとするかということ、これについてもうちよつと……
  53. 北條秀一

    北條秀一君 この一つの点を聞きたいのですが、先程の衆議院変遷分りましたが、昔の貴族院変遷がお分りになれば、それを参考にいたしたいと思います。もう一つ衆議院選挙法によつて市部郡部と大体分れておるのですけれども、特例がある。京都は市部郡部とごちやちやにしておる。こういうところを見ますと、衆議院選挙制度というやつは何も拠るべき根拠がない。それで今の貴族院変遷についてお分りなれば知らして頂きたいと思います。
  54. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 貴族院選挙法は、他の機会にいつか研究して、今日は一つ……
  55. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) その点につきましては、調査いたしまして明日御答弁いたします。
  56. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 定員をどうするかという問題では、ほぼ現行通りということのようですね。
  57. 小川友三

    小川友三君 同数々々、四百六十余名。
  58. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 一人を除いては、そういうことですね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 四、選挙方法をどうするか。
  60. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 現行法通り直接選挙確かフランス上院は地方自治体と議会とが間接選挙をやる。仮に日本でそういうことをやれば、現在の制度より非民主的になつてしまうから、現在の方がそういうフランス制度よりいいと思いますね。
  61. 小川友三

    小川友三君 直接選挙賛成だ。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 直接選挙。それでは次に移りまして、(三)の問題について御意見を御発表願います。
  63. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 これは一應内容の説明を願います。
  64. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それでは菊井君。
  65. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 選挙方法制度につきまして御説明いたします。ここの掲げてありますものは、多数代表法によるか、少数代表法によるか、比例代表法によるか、この三つの方法を大別いたして掲げております。それで大体多数代表法というものは、通常学者説明いたすところによりますと、すでに御承知のように大選挙区別をとつて速記投票制度を採用いたしますれば、少しでも政党が対立しておる場合に、党派の有力な方が必ずその選挙において票を余分に穫得する。又小選挙区制を採用いたしまして、單記投票方法を採用いたしますれば、必ず一票でも支持者が多ければ、そこの政党は一票の差によつて議席を獲得する。こういう結果になるということを学者が言われておるのであります。それで多数代表法と通常申しますと、大選挙区制を採用した場合、速記投票とつたらそうなる。小選挙区制をとつて單記投票制度を採用いたしますと、少しでも多数派を占めるものが議席を獲得するというようなことになるのでありまして、この点では多数代表法によるかという問題は、その下に書いてありまいように、大選挙速記投票、小選挙單記速票、こういう制度を併用いたしますと、こういう結果になるわけであります。その次の少数代表法によるか。この事項の中に制限速記法累積投票法逓級投票法單純單記投票法得点公示單記投票法、こういうような方法を掲げておりますが、これは学者によりましていろいろ分類方法を異にしておりますし、又独特の名称を付けておるのでありますが、これは多数代表法に比べまして、多数代表法が一票でも多ければ、結局議席を獲得するという弊害をなくするためには、少数派でも議席を獲得する機会を持たなければならない。比率が六対四の場合に、その比率のままそれに近い程度のものがやはり議席を獲得するというような方法に近いのでありまして、その方法の中に今掲げましたホまでの方法が一應あるわけであります。尚これ以外にも欧米各國で採用しておるものは沢山あるのでありまするけれども、これが大体典型的なものでありまして、そのイの制限連記法というのは、お手元の資料として配付してあります一の四十八頁の表に一應載せてあるのでありまして、これを御覽願えれば、その方法と採用している國、その利点、欠点というものが一應御了承願えるのではなかろうかと考えます。制限連記法を採用いたしますと、ここに説明しておりますように、大選挙区において選挙人をして議員定数より一人又は数人を減じた数の候補者連記投票する方法で、三人の議員選挙する場合に三人というように、或る程度制限いたしまして投票いたすという方法であります。この方法をとりますと、大選挙連記投票の場合には一票の差で大政党が必ず勝を占めるのでありますが、投票の数が少くなつておりますので必ずそういうふうに結果が出て参らない。少数派でも議席を獲得するように反映することができるということになるわけであります。その次の累積投票法は、普通の連記投票法において投挙人をして必ずしも別人に投票することを要件としないで、同一の候補者を重複して記載することができるという方法であります。この方法を採用いたしますと、当選に関して過半数主義から出発して、少数者も又場合によつては過半数の得票に達し得るということになるのであります。これも從いまして少数の政党でも進出する機会を持ち得る。こういうことになるわけであります。あとは大体この資料に掲載されてありますので、重複いたしますので省略いたさせて頂きます。現行選挙法におきましては、四の單純單記投票法に該当するわけでありまして、衆議院におきましても参議院におきましてもこれに入るわけであります。それでこの單純單記投票法というものは、各國の採用している選挙制度の中から申しますと非常に例が少いのでありまして、これは日本式とすら学者は言つておるのでありまして、日本以外に採用している國はないようであります。ただこの方法比例代表法と比較いたしますと、比例代表法は必ず数が合理的に出て参るわけでありますが、少数代表法を採用いたしますと、選挙戰術の巧拙によりまして偶然が支配した結果、少数党でも場合によつて議席を多く獲得するという例外がないとは言えないというところに欠点があるようであります。比例代表法を採用いたしますと、必ず数的に正確な合理的な議席が獲得できるという結果になるのであります。現在のところ日本選挙法につきましては單純單記投票法を採用いたしまして、世界にも例がないと言われておるのであります。
  66. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 以上の説明によりまして御意見のある方は。
  67. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 世界で多く行われております投票法は、大体どういうようなものですか。
  68. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) これを御覽になつたら分りましよう。
  69. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 いや、審議する上において一々見なくても、説明願いまして……
  70. 金丸三郎

    説明員(金丸三郎君) 投票の方法と申しましてもいろいろな点がございますが、先程菊井課長からお話のありました問題は触れて申上げますというと、比例代表を採用しております國が、各種の選挙法方法をとつて見ますというと、國としては一番多いように思います。戰前フランス、イタリーも比例代表のを一旦廃止いたしましたが、又戰後になつて復活をいたしております。それからイギリス、アメリカ、いわゆるアングロ・サクソン系の國では小選挙区制をとつております。まあ挙選区多数代表、少数代表というような点に関連をいたしまして、投票の方法として申上げますというと、大体主な世界の國を比較いたして見まして、只今のように比較代表をとつておりますものと、小選挙区で且つ單記で投表しております英米と、まあこういうふうに大別できるのではないかと思います。
  71. 北條秀一

    北條秀一君 この投票の方法はですね。衆議院参議院それから教育委員、地方公共團体の議会議員、すべての点について考えなければなりませんで、今可なり説明がありましたが、ここに與えられた資料がありますので、大体今の説明を聞く程度でここは進めて行くべきと考えますから、進めて頂きたい。
  72. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 別に御意見もないようでありますから、それでは選挙権の要件をどうするか、五に進みます。
  73. 北條秀一

    北條秀一君 これはお伺いしますが、年の数え方が來年から変つて來るのですが、その点について專門の方でどういうふうにお考えになつておるか。
  74. 菊井三郎

    法制局委員菊井三郎君) 年齢の計算につきましては、選挙法では年齢何年と、二十年とこういうふうにありますので、年齢計算で、法律によりますと満で計算して行くことになるので、その点は別に差支えないかと思います。尚この選挙権の要件をどうするかという事項の中に、年齢の問題、それから選挙権の欠格事由について、禁治産、準禁治産者、懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終るまでの者というような事項をいろいろ掲げておりますが、現行衆議院選挙法、それから参議院選挙法及び地方公共團体の選挙権というようなものは、いずれも年齢が二十年以上こういうようになつております。それで各國の選挙年齢を大体見ましても、成年で押えるか、或いは成年で押えていると思うのでありますが、二十一年とか、二十年というような例が非常に多いようであります。尚欠格事由に関しましては、現行衆議院選挙法参議院選挙法とも禁治産、準禁治産、懲役又は禁錮の刑に処せられ執行を終るまでの者、或いはそこに四、五に掲げられておるような、そのような事項を同樣に規定しておるのでありまして、欧米各國におきましても、大体こういう傾向になつております。併しその範囲につきましては、破産者で復権を得ない者とか、或いは扶助を受けている者とか、或いは住居不定の者であるとかいうような者が沢山入つておるものもありますし、そういうものを欠格事由として削つているところもあります。一應こういう点、多少問題があるのではないかと考えられます。
  75. 北條秀一

    北條秀一君 選挙権の中で住所要件ですが、これは、この出て來る議員が地域代表であるかどうかということによつて、この住居権というものが必要であるのではないかと私は考えますが、或いは別に手続上の問題であるというふうに、即ち前の年の十二月十九日現在で以て選挙人名簿を作つて、それでやるんだというふうな手続上の問題があるとするならば、昭和二十二年の第一回の國会の総選挙の際に、我々外地から帰りました引揚者は、十二月の十九日をずつと繰り下げまして、翌年の三月二十三日まで選挙権を認めるということになつたのであります。從つて手続が煩瑣だから、前の年の十二月十九日にやるということは、昭和二十一年にあの何百万人の人が帰つて來て、よくその事務を処理し得たのでありますが、これは住所の住居要件、即ち六ケ月ということは甚だ私は合理的ではないというふうに考えるのです。この住居要件というものは、うんと短縮すべきだという考えです。
  76. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の北條君の意見に私も賛成です。これは過去の日本において、やはりとかく官僚主義が人民の選挙を制限する方ばかり考えておつたので、それで或いは財産上の制限とか、或いは居住上の制限、或いは樣々な刑法上の関係から來る制限というものを、制限を設けることに專ら努力しておつた。それが新憲法によつて、そういう精神とは違う方向へ進んで來るようになつたから、できるだけ、つまりその人民が選挙権という貴重な権利を行使するチヤンスを容易に得られるように努力するのが、理論上正しいと思うのでありますが、從つてこの欠格要項、或いは即ち居住期間というものはできるだけこれは少くして、人民を、人民の善意を信じて、そうしてできるだけこの投票権を行使するチヤンスを容易に得られるようにすることが望ましいと思われますので、これは是非今度はそういう趣旨で進んで頂きたいと思います。
  77. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) では羽仁君にお尋ねしますが、二つありますね。住所と刑罰と、だからできるだけということだけでなくて、はつきりその刑罰者全部とか、何とか一つはつきり述べて頂きたい。
  78. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 ですから、先ず期間、居住期間ということであれば、居住期間は六ヶ月というふうなことは長過ぎる。
  79. 北條秀一

    北條秀一君 今羽仁委員から話がありましたがね。
  80. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) いや、今のは違うのだ。
  81. 北條秀一

    北條秀一君 第一は羽仁君の言つたのは、制限ですが、二つあるのです。一つは期間の問題ですね。住所要件の問題、これを短かくしろというのです。ところがその例は昭和二十二年の例を私は申上げたので、一ケ月前にまでその要件を、選挙権を持たしたのです。だからあの多数が帰つたときでさえも一ケ月で間に合つたわけです。だから普通のときならば、十日もあれば十分間に合うのじやないかというふうに考える。
  82. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ところが今の御両所とも違うのだ。選挙権は、衆議院参議院選挙権は期間の問題はない。二十以上の人は皆選挙権を持つておる。
  83. 北條秀一

    北條秀一君 ありますがね。制限がある。
  84. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 名簿を作るのにあるだけであつて他はない。教育委員とか、その他の者にはあつても、衆議院参議院にはない。だから世田谷区に僕が住んでおつて、澁谷区に変つて一ケ月経つた。名簿が澁谷区にはないけれども、世田谷区にはあるのだから、世田谷に行つて投票すればできるので……権利もあるから……帳簿を作る期間の問題は……、だからそれをどうするか。
  85. 北條秀一

    北條秀一君 それはもう少し私は研究しなければなりませんが、実際にはあなたが言われるように、そういうことかも知れませんが、帳簿を作るのになかなか作らないのだ。作らないのですから……
  86. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 六ケ月前に作つてあるから、世田谷区に僕が住んでおつて、澁谷区に移つたときには、ここに澁谷区にはないけれども、世田谷区にはあるのだから、だから二十以上の男女は全部投票権は持つておる。だけれども、九州から東京に移つたものは九州まで投票に行けないという事実があるから、だから帳簿を作成するのを、本人が願い出たら、十日前とかということはいいけれども、今の御両所のはこの点に違いがある。
  87. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それは今は区の問題です。地方公共團体の議会議員の問題だ。この衆議院とか、参議院議員選挙の場合は、あなたのおつしやる通り。地方公共團体の議員選挙のときには地方公共團体に住んでおる、六ケ月間住んでおつた者に必要がないが、それから超えてしまつたものは駄目だということになる。それを改正したらいいじやないかという、改正する必要があるかどうかの問題です。
  88. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) ここは非常に大事なところだ。
  89. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私の申上げたのは原則論を申上げたので、それで衆議院議員参議院議員の場合には、今委員長が言われたように、帳簿作成上の時日と関係する。それから地方公共團体、教育委員会等においては事実そういう制限がある。いずれにせよ、技術的にでき得る最短、最もその有利な方法に改むべきものだ。
  90. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それではその刑罰の人、刑の人はどういうように考える。罰人、罰に関係して止められておる人に向つては……
  91. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 議事進行上についてですが、今伺つておるのは、別に討論ではなくて、先ず大体懇談でしよう。
  92. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) そうです。
  93. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それでは、さつき刑罰の点についても申上げた原則論にこの際止めて、後に討論に入つた場合に又発言の機会を與えられたい。
  94. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 非常にこの選挙法が長くなりますので、大体において若しお考えがあれば、今軽い意味で……
  95. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それでは申上げます。欠格事項の中で、大体ここに揚げられてあるのですが、これは例えば教育委員会法の場合、或いは警察法による公安委員の場合などは、これよりも更に制限を強化している点があるのです。これはやはりそういう意味原則的に專制主義の時代には政府が國民の善意を信じていないのです。ところが新憲法によつて、現在においては國民の善意が信ぜられているわけですから、欠格要項というものもできるだけ狹めるのが当然である、現在参議院議員衆議院議員というような場合は、そういうような原則が比較的評價されておる時代にできた欠格要項であるので、それに近いものである。只今申しました教育委員、公安委員などの場合には、そういう新憲法の精神が喉元過ぎて少し熱さを忘れたようになつてからできたのじやないかと思われる点があるわけであります。そういう点について現在我々が、第一が参議院議員選挙法についてですが、それと衆議院或いは地方公共團体、教育委員その他についてもできるだけ欠格要項というものを少くして、國民が例えばいろいろのことがあるにせよ、善意を持つて選挙に参加するという方向に進んで頂きたい、こう考えるわけであります。
  96. 大野幸一

    ○大野幸一君 これに関連して……選挙権ある者は被選挙権を有するという今までの原則でありますが、成る程羽仁委員の言う通り選挙権というものは非常に寛大にすべきものである、こう考えます。少くとも選挙権を喪失せる者が、一つの苦痛という目的を以て、從來の、苦痛を與えるという目的を以て、從來選挙権というものは刑の目的と同じくしておつたのでありますが、そういう必要は國民主権になつた以上必要ないと思います。被選挙権の方は先程羽仁委員の言われたように或る程度まで制限をしなければ、そう候補者について嚴重な研究もできないし、緻密な研究もできない、身分等についてもできない、やはりこれは或る程度まで制限した方がいいと思います。こういうことを私は意見として申上げます。特に民法との関係において準禁治産者は、みずから法律行爲ができるのであつて、自分の同意しなかつた場合の法律行爲については、自分みずから取消すことができる、こういうのが準禁治産者の法律上の地位であります。選挙権に対して準禁治産者を除外したということは、どうしても禁治産者と準禁治産者をただ並べて書くのが通例であつたために、こういうことになつたのだろうと思いまして、財産のない者は選挙権なしという因習からこういうことに私はなつて來ておると思います。從つて準禁治産者に対しては、特に今度は制限を撤廃した方がいいと思います。それだけを申上げます。
  97. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この五の選挙権の要件の(一)ですが、年齢は現行通りでよい。か、私は現行通りでよかろうと思います。それから(二)ですが、これは今だんだんお話がありましたように、成るべくそこに住んでおる人は地方公共團体の議員選挙ができるようにした方がいい、從つて六ケ月を縮められるだけ縮めた方がいいということになりますが、ただこれだけのことは用心してお考えになつて置かなければならんと思います。これが仮に一ケ月ぐらいしますと、地方公共團体のことですから、選挙がまちまちになる。それで或る種の選挙におきまして便宜上一ケ月前に大挙して多くの人が住居を移してしまう。そうして選挙が済んだら元へ帰つて來るというようなことがあり得ると思います。選挙戰術としては、これはフェヤー・プレイではありませんが、そういうことがありますから、そこらを睨み合せて考えなければならんと思います。但しできるだけ正しくすることには敢えて反対ではありません。この点を睨み合せるのが必要だろうと思うのです。
  98. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 この五の選挙権の年齢もやはりさつき申しましたような意味で、殊に青年が責任を持つて行動するということを希望されているので、人間が責任を感ずる一等大きな問題はやはり選挙権を自分が持つておるかどうかということでありますので、これも多数の方の御賛同を願えれば、やはり少しでも選挙権の年齢を下げて、若い人でもできるだけ選挙ができるようにしてやる。それが青年がみずから責任を感じ、自重して、國民道徳の昂揚という点にも資するゆえんじやないかと思いますので、これは後に十分御討議を願うわけですが、私はそういう点も本当考慮して頂きたいと思います。
  99. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 その年齢に関連してでありますが、選挙権につきましては早稻田大学の佐藤講師が調べたところによりますと、アイルランドが、これは上院についてですが、二十一、フランスが四十、ベルギーが二十一、デンマークが二十五、スエーデンが二十七、ハンガリーが二十四、ルーマニアが四十、ユーゴースラヴィアが二十一、アメリカ合衆國が二十一となつておりまして、これは恐らく満でやはりやつておると思いますが、それに比較しますと、日本における二十というのは全然ないように思われます。尚、被選挙権につきましては、我が國は二十五年になつておりますけれども、この調べによりますと、アメリカが三十、ユーゴースラヴィアが四十、ルーマニアが四十、ハンガリーが三十五、スエーデンが三十五、デンマークが三十五、ベルギーが四十、フランスが四十、アイルランドが三十というふうになつてつて、これ又各國の例に比較すると五つばかり日本の方が下であるというようなことになつておるようでありますから、参議院におきましては、むしろ私は被選挙権は三十ぐらいが適当ではないかと思われるくらいであつて、羽仁君の説のもつと下げろということについては実は考慮を要するものだろう、こう考えておるわけです。今選挙権の年齢についてでありますが、便宜被選挙権についても実は申上げたのであります。
  100. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 まだ討論の時期じやないと思いますから、別に討論するわけじやないですが、外國の例必ずしも我が模範とするに足らず、殊は外國は長年の予習があつて、それでそういうふうになつておるところもあり、日本は新憲法で新らしく出発する、こういう面において國際世界をリードするという見識を一つお持ち願いたい。
  101. 北條秀一

    北條秀一君 欠格事項で、大野委員の準禁治産者は有資格としろという御意見賛成ですが、(4)の点について各委員はどういうふうにお考えになつておりますか。
  102. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 (4)のところですが、(イ)の「刑の執行猶予をうけた者」、これなんですが、刑の執行猶予期間が満了いたしますと、刑罰なかりしことに復帰する、そうすると、大抵の者は復帰すると見なければならない。ですから刑の執行猶予というのは、これは選挙権を與えるというふうにしたいと思います。    〔「同感」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) これは僕に言わせれば、僕は全部與えるという……準禁治産も懲役も仮出獄もない、みんな二十歳以上の日本人にはすべてに與える。(「それは尚いい」と呼ぶ者あり)
  104. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 人間がいいことをするチャンスを奪うということは、僕は反対ですよ。
  105. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 白痴だけはいかんと思います。これは成るべく廣めるというのがすべての意向である。
  106. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 そうは考えない。ただ二名か三名発言されたら直ぐ委員長はこのように考える、考えるで御進行にならず、もう少し態度を愼重に、結論に到達するまでお待ちになつて委員長の態度をおとりにならないと困ると思います。
  107. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それじや一つ活發に御意見をお述べ願います。
  108. 木内四郎

    木内四郎君 問題のありかだけを研究して、その次に行つたらどうですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  109. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 (4)のところですが、その(ハ)の「その他の者」というのは、法律によつて制限されたものを言うのだろうと思うのですが、現在「その他の者」として制限されているものはどういうものがありますか。
  110. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは表の作製上作つたものでありまして、刑を犯して逃亡中であるというような場合に、現に懲役、禁錮の宣告を受けていない、併しながら犯罪者であるというような場合、こういうようなものも考えられますので、刑の執行猶予を受けた者とか、仮出獄中の者という中にも入りませんし、宣告を受けて逃げているというような場合を表現する意図の下に書いたのであります。
  111. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 これは前から学者の間で非常に定説のあることであつて、法律に「その他の者」とか、どうとかいうことを入れることは非常によくない。殊に我々新憲法下の國会で、こういう悪習を続けることはよくないから、「その他の者」というのは、殊にこういう選挙権を制限するかしないかというような場合は、「その他の者」ということを使わないようにお願いしたいと思う。やつぱり列挙、はつきり明記されて……
  112. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 「懲役又は禁錮の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者」であつて、「その他の者」というのはどういう者を指しますか。(イ)と(ロ)は分るが、「その他の者」というのはどういう者か。
  113. 北條秀一

    北條秀一君 それは今説明があつたのだ。私は「欠格事由は現行通りでよいかどうか。」これに関する確定したもの、(1)と(3)が問題になるのであつて、(2)と(4)は私は問題にならないと思います。欠格者から当然除くべきだという考えです。
  114. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) これについて御意見を……
  115. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 昨日開会されて今日も大分進行しましたね。我々に與えられた時間というものは、十日間でやるということですね。段々進行は結構なんですが、今のように選択されて行くようになると、審議の期間というものが殆んど短縮されるのじやないか。最後的の決定とか何とかということについては、もう少し愼重におやり願いたいことは前に申した通りであつて、もつと進行の方針を示されながら、今日はこれからこれまでのことをやる、そういうようにやられると、私共よく分るのですが……
  116. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 佐々木さんにお答えいたしますが、一番初めに皆と協議いたしまして、第一を昨日と今日と明日で、それから第二をその明日と明後日とその次というプランを一つ立てまして、皆さんに御相談をいたしたのであります。そうして第一回の十日間で問題の所在を先ず明らかにして一應やつて、そうしてその次の十日間で、そのやつたことによつてそれを参考として皆が地方調査に行き、そうして聴くべき問題があるならば公聴会を開き、学者を呼んで聴いて、次の十日間でこれを仕上げて行く、こういうことを委員長理事会で決めまして、皆に諮つたところ、そういうことでよかろうということでありますから、この第一を三日間の予定でいるということは、大方進行がこれでも少しはまだ遅れるぐらいだと、こう思うのです。そういうプランの下にやつているのだ、その中で御注意を頂き、私非常に不慣れでありますから、御注意を頂いて結構と思いますが、方法はそういうプランの下にやつているのだということを申上げたいと思います。
  117. 木内四郎

    木内四郎君 どうですか、次の被選挙権の方に行かれたら……    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  118. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) では選挙権について御意見のある方は……。もうよろしうございますか。それでは、第六の「被選挙権の要件をどうするか。」菊井君、説明願います。
  119. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 「被選挙権の要件をどうするか。」という事項の中に、「年齢をどうするか」という一つの問題があります。この年齢につきまして、衆議院議員選挙法についてはどうか、現行衆議院議員選挙法は年齢二十五年以上、こういうふうになつておりますが、この点につきましてどうかということであります。又(2)の参議院議員選挙法につきましては年齢三十年以上となつておりますが、この点についてもどう考えて行つたらよいかという問題があると思います。又地方公共團体の議会議員選挙につきましては年齢二十五年以上となつておりますし、都道府縣知事の選挙につきましては年齢三十年以上、市町村長の選挙については二十五年以上、教育委員会委員については二十五年以上というようになつておりますが、総体的に被選挙権の年齢というものをどう考えたらよろしいか、こういうことであります。又その次の問題といたしまして、地方公共團体の議会議員及び教育委員会委員選挙につきましては、被選挙権の要件といたしまして、六ケ月住所をその地区において持つということが要件となつておるのでありますが、かような住所要件というものが必要かどうかという問題であります。三の問題といたしましては、選挙権の場合と同様に、被選挙権の欠格事由というものは、選挙権のように禁治産者、準禁治産者、その他懲役又は禁錮の刑に処せられて執行を終るまでの者、或いは懲役又は禁錮の刑の執行を受けなくなつた者というような者をもこの場合欠格事由として規定して置く必要があるかどうか、こういうことであります。
  120. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 御意見は……
  121. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 この問題もやはり選挙権の場合と同様で、只今大野委員からもおつしやられましたように、選挙権を持つ者は被選挙権を持つという原則を貫徹して行くことが望ましいと思うのです。それでこの制限を加えるという思想ですね。これはやはり國民の政治的成長というものを信じないという立場に立つておるので、制限を加えなくても賢明なる國民は大体こういうような地位に……選挙される人にはどのくらいの人が適当であるかということを國民がみずから判断することが望ましいので、これに対して法律を以て予め制限を加えて置くという必要な事実がないのです。で、そういう意味では、被選挙権の場合には、選挙権の場合よりも制限を嚴しくした方がいいのではないかというお考えもあるかと思いますが、理論上からはやはりそういう必要がないので、選挙権と同様でいい。まあ選挙権の場合の年齢の制限というのは、事実上の必要があつてつて來ていることですから、その程度に止めるべきであつて、一々二十五年以上、三十年以上とかいうようにする必要がない。國民はそういうことをしたからといつて、非常に若い二十なり、二十五歳以下の人を選挙するかどうかということは、國民自身に任せるべきであつて國民が賢明なる政治意識を持つて、且つ又そういうふうに任されれば任される程國民は責任を感じて、若い人を選ぶのがいいか、年寄を選ぶのがいいかということを考える。制限を予め法律によつて作るということはできるだけやはり最小限度に止めるべきである。その意味では被選挙権の年齢も私は選挙権の年齢と同じで差支えない。そういうふうに考えます。
  122. 大野幸一

    ○大野幸一君 ちよつと私先程の発表方法を誤まつたか知れませんが、選挙権と被選挙権は若干区別していいという私の考えであつたのであります。そのことをちよつと附加えて置きます。
  123. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私はこの被選挙権の要件についての年齢は、最低をこういうふうに二十五とか、三十というふうにばらばらに決めるということについては、私は賛成できないのです。若しこういうような決め方をするならば、当然上も決めるべきだと思う。下を決めるならば上も決める。こういうふうな決め方をするならば……。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  124. 木内四郎

    木内四郎君 どうですか。こういう下の問題ばかりでなく、上も決めるという案というか、問題が出たのだから、その次の問題に移つたら……
  125. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 年齢の問題ですね。
  126. 木内四郎

    木内四郎君 上のものにも……。下の問題があるのだから、上のものにも議論があると言うのですから、それはあとで論議したらどうですか。
  127. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) では二の問題、(二)、御意見を……
  128. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつとお尋ねしたいのだが、参議院衆議院と二十五と三十にしたのをどなたか御承知ですか、その理由を承知していたらちよつと聞かせて貰いたいのですが、現行法が……
  129. 菊井三郎

    法制議参事(菊井三郎君) 現行参議院議員選挙法制定当時におきまして、臨時法制調査会で、被選挙権の年齢というものをどこに標準を置くかというような点につきましては、非常に論議されたところでありまして、現行法では結局三十年というふうに結果としてなつておりますが、この参議院の性格というような問題に関連いたしまして、選挙区、選挙方法、被選挙年齢というような問題は最も大きな問題の一つであつたようであります。大体参議院二院的性格というものを反映するためには、衆議院とどうしても異らしめる必要があるというようなところに、非常に意を用いられたようであります。從いまして選挙区の問題にいたしましても、衆議院と異なつ方法をとり、又年齢にいたしましても熟慮愼重的な、第二院的な性格からいたしまして、衆議院と同様では工合が惡いのではないか。多少被選挙年齢というものも引上げる必要があるというように考えられたようでありまして、最後の答申案によりますと、四十以上、四十と決定されたようでありますが、法律になります際に、結局現行の三十年というようになつたように、その経過として承わつております。
  130. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 要綱としては四十以上と一時決まりそうだつたのですか。
  131. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) 要綱といたしましては四十歳以上と決まつてつたのであります。
  132. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 要綱というのは、どういうものですか。
  133. 菊井三郎

    法制局参事菊井三郎君) これは臨時法政調査会が政府に対して答申をした要綱であります。
  134. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) (二)。
  135. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 この資料として選挙法改正資料が配られておるのでありますが、(二)参議院議員選挙法に関する臨時法政調査会資料という、恐らくこれは参議院議員選挙法が立案される場合に臨時法政調査会ができて、そうしてそのときに議論されたものであると思うのでありますけれども、その七十七頁の裏を見ますと、これは昭和二十一年八月二十一日に、臨時法制調査会第三回総会における第二部会会長北玲吉氏の報告でありますが、これによりますというと、「選挙年齢につき被選挙人三十五歳以上とありましたものを四十歳以上に改めたことであります。以下これ等の諸点につきまして審議の経過を申上げます。」というようなことが書いてありまするが、これを見ますと、参議院議員選挙法関係を審議する場合についての経過がはつきりして……。これだけでありませんが、この報告書を読んで見ますと、大体その当時の情勢がはつきり分るように思われるので、参考のために申上げて置きます。
  136. 大野幸一

    ○大野幸一君 参考までに申上げて置きますが、この間両院法規委員会で一委員より、参議院議員選挙の被選挙年齢について三十五歳までに引上げようではないかという議案が提出されましたのでありまするが、いろいろ議論の結果、引上げるのはまあ妥当でないというので、遂に可決には至らなかつた事情があるのであります。それをちよつと参考までに御報告申上げます。
  137. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 やはり例えば選挙権と被選挙権とか技術的に必要な限度に制限だけを受けている場合ですね。從つて満二十歳になれば選挙権も被選挙権も得られるという場合と、それから二十歳になれば選挙権は得られたが被選挙権は得られないという場合、二十五にならなければ駄目だ、或いは三十にならなければ駄目だという場合に、二十歳から二十五歳までの人達或いは二十歳から三十歳までの人達というのは、やはり被選挙権から自分達が排除されたという感情を持つことは心理上当然であり、そういうふうになつて來ると、その人達はつまり自分達の要求というものを國会を通じて解決するという方向に進ませることが可なりむずかしくなつて來るのです。我々としてはやはり民主革命、平和革命を達成する上に、できるだけあらゆる問題が國会を通じて解決できるのだ、若い人の問題も國会を通じて解決ができるのだ、そういうふうにしてすべての問題ができるだけ國会を通じて解決されるという方向に向つて行くことが私は望ましいと思う。これはどなたも御異論のないところであろうと思います。そういう意味で制限は成るべく最小限に止め、満二十歳に選挙権、被選挙権を、そうしてそれより先のことは國民が賢明な判断を以て、それでさつき言われたような二院制度の下において、参議院の持つところの特殊の性格、ステッディなキャラクター、そういうものを考えて、自然國民参議院には比較的年長熟練の人を選ぶというふうになつて行くことが、この國の選挙に健全な慣習ができ、そうして又民主主義が健全に発達して行く、ゆえんじやないか、で二十五歳或いは三十歳、或いは三十五歳というふうに政限を加えて行くと、その間の人はつまり自分達が國会に選挙せられて問題を解決するということはできないから、外の方法を考えなければならないというふうに行くので、できるだけあらゆる問題が國会を通じて正しく平和に解決されて行くという趣旨とは逆の方向に進むのではないか、そういう意味から、どうかそういう点も十分考慮せられて後に、できるだけ正しい御決定に到達されたいと希望します。
  138. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 それに反対的な考え方を申上げて置かんと、先程のようにあと誰も言わんと、満場すべてそういう意見のように解釈されると困りますので、私はやはり二院政度におけるところの参議院の任務を遂行するに最も適当な練達堪能の士を選出するという場合、その仕組として選挙政度を考えた場合に、やはり衆議院は勿論年齢は成るたけ下にするということは必要であるけれども、参議院におきましてはやはり年齢の点におきましても差を付けるという考え方、即ち曾て参議院選挙法を作る場合において考えたところの考え方というものは、相当やはり尊重すべきものであると考えておりまして、今羽仁君の御意見には実は賛成し難いという意見を持ておる者であることを一つ申上げて置きたい。
  139. 大野幸一

    ○大野幸一君 私もやはり今までの年齢というか、社会において実生活に当るということは、これはなかなか経驗としていいことだと思いまして、理想論としては選挙民が非常に賢明なる場合でありますが、段階を挙うて行くという建前から、被選挙資格については我かに下げることばかりが妥当かどうかということについては疑問を持つておりますことを申上げて置きます。
  140. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 現行法でよろしいと言うのですか。
  141. 大野幸一

    ○大野幸一君 少くとも……
  142. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 僕のはそういう結論じやない。そういう解釈をとられると困るので、私は申上げただけの話を申上げたので、現行法でやろうということは申してないのです。
  143. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 年齢の点においては……
  144. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そういう点においては選挙権と被選挙権とは別にした方がいいのじやないか、そうして二十歳くらいでいいという考え方については私は賛成し難しいということであつて現行法においていいかどうかということにつきましてはまだ申上げてないのです。
  145. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) そうですか。
  146. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今の議事進行の上では、どういう問題があるかということはできるだけ皆さんの御意見を伺つて置くことがいいのであります。その義務を感じて私も発言しておるわけです。ですから結論は尚第二の七月末から八月にかけての本当の討議において結論が出るわけです。それで只今の問題に関してですが、参議院の性格をはつきりさせるところの主な方法は制限の方の方法にあるのではなくて、選挙区なり何なりそういう方法にあると思うのです。それから今一つ、練達の士を得ることがよろしい、順序段階を遂うて行く意味から只今三十歳という政限を付けるということがよろしいという御議論も誠に御尤もの点もあるのですが、國会が若い人達から見放されるということも恐るべきことなのです。或る意味では、これはどなたも御同感のことだと思いますが、最近若干そういう傾向がなきにしもあらず、國会を見放した者は嚴罰を以てこれに臨めばいいというふうな考えもあるかも知れないが、それは結局今の日本を平和に進歩させる方法ではない。どうか私は國会というものが若い人達に見放されないような方向に進んで頂きたい、そういう意味でさつきのことを申上げておるので、そういう点もどうか十分お考え置きを願いたい。
  147. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 私も選挙権と被選挙権は別にすることを妥当と思います。そうして又参議院の現在の三十歳ということについても、意見は別に持つておりますから、別の機会に申上げたいと思います。
  148. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それではさつきから申上げておりました(二)の問題についての御意見一つ、もう大抵出揃うたようでありますから……
  149. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私はこの(二)については選挙権の場合について述べましたのと同じ意見でございます。やはりできるだけ便宜を図るべきだと思います。(三)についても選挙権の場合について述べたのと同じ意見であります。
  150. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) (二)と(三)について御意見ございませねば七に移ります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) では一つ(二)、(三)についてもう少し御意見ございますれば、活溌にお願いいたしたいと思います。
  152. 大野幸一

    ○大野幸一君 私は先程申上げたうちに、欠格事由は選挙権の場合とはやや異にすべきだという見解を持つております。というのは、被選挙権の場合では幾らか制限しても然るべきだということを申上げたことをちよつと附加えて置きます。被選挙権と選挙権は……被選挙権の場合は「練達」にしてもよろしい。
  153. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 欠格事由は被選挙権の方を重くという意味なのですね。
  154. 大野幸一

    ○大野幸一君 そうです。
  155. 北條秀一

    北條秀一君 先程これに関連して申したのですが、選挙については選挙権、被選挙権ともいずれも國民の良識に俟つということで、それが無制限に解決すると考えるのですけれども、現在の状態においてはなかなかそう理想的に行きませんので、今大野君の言われたように、被選挙権の場合においては選挙権の場合よりは制限を強化する方が妥当であるという私も考えです。
  156. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 大抵御意見も出盡したようですが、この問題についてもう少し御意見ございませんか。
  157. 北條秀一

    北條秀一君 七の(一)、これについて選挙管理事務局の方の御説明を聞きたのですが。
  158. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) いや、これは(三)のところで……今日は一つここまでにして下さい。
  159. 北條秀一

    北條秀一君 最後までやるのじやないですか。
  160. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) いや今日はやりません。
  161. 北條秀一

    北條秀一君 約束の通り、五時まであと一時間半あるのですからやつて貰わなければいかんと思う。如何でしようか皆さん。重ねて私はここで確認して置きたいのですが、この特別委員会は一時から五時までやるという約束じやなかつたのですか。
  162. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) いや、そういう約束はありません。午後一時からやるという約束だけです。
  163. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 第七は、やはり被選挙権に関することなんです。第六は、やはりこれは國民の根本的な被選挙権に関することですけれども、第七はやはり被選挙権に関する制限なんです。だからやはり関連して研究して置いた方がいいのじやないですか。七だけなら簡單ですよ。
  164. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それじや七へ進めて参ります。これに対して北條君から何がありましたから、どうぞ……
  165. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) これはやはり選挙事務に関係しておる者が立候補のことを主として考えたわけなんですが、立候補されると、その場合不正の存在する虞れがあるということで被選挙権を制限したので、結局被選権と申しておりますが、立候補を前提においての話であります。
  166. 北條秀一

    北條秀一君 私はなぜそれを聞いたかと言いますと、選挙事務関係者が立候補した場合に、一体そういう不正の起るという余裕があるか。暇があるかと私は考えますのですが、どつちかに專念しなければこれはできるものじやない。立候補者選挙事務をやれと言つてもこれはできない。だからこういうものは必要であるかというと、私は全く必要ないと思います。
  167. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) そういうお話の点もありましようね。
  168. 北條秀一

    北條秀一君 事実できないことなんです、こんなことは。勿論悠々と遊んでおつて、一回も外へ出なくても悠々と当選し得るというような尾崎行雄さんのような人は選挙関係事務所に……
  169. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) ただお考えを頂かなくちやならんのは、國の議会ばかりの話じやないですね。地方の議会とか、或いは市町村長なんかの話もあるのです。その場合との考え方を一緒にした結果なんですね。
  170. 木内四郎

    木内四郎君 今のそれに関係して、選挙事務関係者というのはどういう範囲を……
  171. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 選挙事務関係者は結局選挙に、選挙執行と申しますか、それに從事する者、現在で申しますれば市町村長というような者は入らない。つまり選挙管理委員なんか入ります。
  172. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 この選挙事務関係者は、私は野球で言えばやはり審判官とか、そういう人であるのですね。それから選挙に立つ人は野球をやる人であるから、結局若し自分が選手になるのなら、この審判官を辞めてそうして選手になる。やはり両方やらないということの考え方であつて、併しながら外の地区内においてやるなら、それはよろしいということなのだから、私はやはりこれははつきり決めて置いた方がいいと思うのです。そうして選挙事務関係者は選挙管理委員とか、開票管理者とか、或いは投票管理者とか、或いは選挙長とか、その他の管理制限を指して法律では書いてあるわけですが、こういうような人は若し選挙に立ちたいというならそれを辞めて、そうしてやられるということをはつきりして置く上において、こういうことを書いて置いてもいいので、今北條委員が言われるように、それは実際的に書かなくてもやれるかも知れないけれども、そういうものははつきりして置いた方がいいのじやないかと私は考えております。
  173. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 あの選挙法について、全体に私は二つの考え方があり得ると思いますが、一つは、できるだけ社会の進歩に應じて選挙が行われる、この場合に二つの点が主な問題の点だと思うのです。それはできるだけフリーな選挙が行われる。でフリーな選挙が行われるということに伴つて、第二にはこれは特に日本において考慮さるべきことなんですが、長年日本の因襲によつてフリーな選挙が妨げられるような慣習がまだ残つておるというような場合は、それは排除して行つた方がいい。これはあとの方は一見制限のように見えるのですが、実は制限ではなくて、その自由な選挙が行われるために、本当につまり日本國民が完全に自由になつていればそういうような事情に妨げられることはないのですが、併しまだそういうものによつて妨げられている点があれば、それは取除いて行つた方がいいのじやないか。そういう点でそれを具体的に申上げればつまりフリーな選挙が行われる。年齢の場合であれ、或いは欠格條項の場合であれ、そういう点はできるだけ制限をしない方がいい。併しあとの方のそれに対する場合の、具体的に申上げれば、いわゆるまだ日本で相当ボスという者がおる。或いは顏をきかせるということがある。或いは権力というものを用いるという惡習がある。それに対して國民がまだ若干そういうものに顧慮するという氣の毒な事情がある。そういう場面もできるだけボスが活躍するとか、顏をきかすとか、権力を用いるというようなことによつて、フリーな選挙が行われないという事情があるならば、それはできるだけ除いて行つた方がいいのじやないか。そういう考え方と、それからそうでなく、できるだけ歴史の進歩を選挙によつて阻止しよう。從つて國会というものも、社会の進歩をできるだけ阻む者になりたい。こういう考え方、この場合ですと、できるだけフリーでない選挙をやろう、年齢も高くしよう、欠格條項も多くしよう、そうしてそれに伴つて第二にボスなり、顏なり、権力なりをきかせる、そういうチャンスをできるだけ多く保存しよう、こういう二つの考え方選挙法全体について私はあり得るだろうと思います。このいずれをとるかはその人々の自由であるのですが、私はその歴史を阻止するということは何人もできることではない。それをやろうとする結果は却つて非惨を招くことになるのだから、やはり選挙は歴史の進歩に從つて行くべきである。そういう意味で一面においてフリーに、できるだけ自由の選挙を行い、他面そのフリーな選挙を妨げるいろいろな関係は排除して行くというふうに進んだ方がいいのじやないかと思う。それで只今問題になつております第七のものは、これはそういう意味においてフリーな選挙に対する制限ではなくて、フリーな選挙が行われるのに妨げになるところの今のような権力的な関係が働くのじやないかというような意味もあると思うのです。さつき鈴木君の言われたアンパイアとそれからプレイヤーという関係もあると思います。從つてこれは必ずしも北條君が言われたような制限を理解する必要はないのじやないか、そういう意味において選挙事務関係者が一定地区内における被選挙権を持たないというような規定は、或いは存続する理由があるのじやないかとも思うのです。
  174. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 僕は羽仁君にちよつとお伺いするのですが、今のあなたの話の中にあられた國会の進歩を阻む、妨げると感じられるような方は参議院選挙法委員の中にはそういう方は僕はないと思う。委員の今までの言論、人柄にそういう者はない、世の中には、日本にはあるか知れないけれども。だから皆日本の幸福と日本民族の幸福発展と進歩とか、或いは努力を通して進歩発展に努力しているか、その方法が羽仁君と見解を異にする場合があるだろうけれども。だからそういうさつき言われたような委員はないと、こういう僕は前提の下にこの委員会を進めたい。
  175. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私はそういう委員があると言つたのじやなくして、つまり進歩主義的な立場と保守主義的な立場があるという立場を述べたのです。
  176. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) だから保守的な立場と……。進歩発展を阻止、妨げようとする者はいない。
  177. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 併し保守主義はそういう主義じやないですか。
  178. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) それは僕は違うと思うな。そういうことになつたら問題は、若しそれならばそれは見解の相違と言えばそれまでだが、私委員長として今まで接し承わつた中で、この委員の中には日本の進歩発展を妨げるような法を作ろうとしている者は僕はないと受取つていますが。
  179. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私はこの委員の中にという言葉は一回も使わなかつたと思います。
  180. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 使わないけれども、そういうことは考慮を置かなくてもいいのじやないか。ここにいる人は皆進歩と幸福にするためにやつている。
  181. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 委員長委員の言論を制限されるということは……
  182. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 制限するのじやなく、そういう見解を持つているというのだ。
  183. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 どういう問題があるかということをこの委員会でできるだけ明らかにして行くことが、この委員会に対する我々委員の義務だと思うのです。そういう私の自覚に從つて発言しているので、この委員の中にそういう人がいるという意味で言つたのじやない。委員長は誤解を挑撥せられるような態度をとられることは甚だ遺憾だと思います。
  184. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 僕は少しも誤解していないつもりだ、私の言うことを羽仁君が誤解しているのじやないか。
  185. 北條秀一

    北條秀一君 それは委員長が少し発言し過ぎるようじやないか。
  186. 木内四郎

    木内四郎君 本日はこの程度で散会することに……
  187. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 委員長委員の発言を別に批判する責任はないと思います。学校の学藝会じやないのだ。
  188. 大野幸一

    ○大野幸一君 この前の選挙法のときに問題になりましたいわゆる管理をやつていた人が、直ちに立候補するということについて期間を置こうじやないかということが大分問題になりましたが、あれも今羽仁君の言われた趣旨によつて私は賛成するものであります。一定の期間公務員でも、例えば裁判官でも弁護士にすらなれないのです。一定間というものは……。然るに直ぐその地位等の関連性においてやる危險は十分にありまするから、一定期間は立候補できないという禁止を七に関連して設けたらいいじやないかという意見を持つているということを発表して置きます。
  189. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 一つ活溌に御意見を出して頂きます。
  190. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 活溌に出せなくなるよ、委員長が一々批評するのだからね。(笑声)
  191. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 決して批評をいたしませんから、どうぞ。
  192. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 七の(一)ですが、被選挙権を認めてどういう弊害があるか、御存じの方は御発表願います。
  193. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 具体的な事件があればいいのですがね、もう少し事務局も十分に調べて頂きたいと思うのですよ。
  194. 北條秀一

    北條秀一君 その点は先程私が申したのですが、大畠君が今質問したのですが、この制限は從來そういう危險があるというふうに考えておられたわけですけれども、これは私は現状においては余計な規定じやないかということを先程申上げたのです。だからこういう被選挙権を認めないということは必要ないという考えなんです。
  195. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 特にどこに差支えがあるかということですが、プレイヤーとアンパイアのことでありますが、実は私は選挙長ということをやつたことがありますけれども、選挙長は実に重大な役割を持たなければならない。いわゆる選挙する人が公正に運動をして、そうして選挙法通りに公正な選挙が行われて、そうして一票と雖も無効とか、有効とかいうことは当落に関係しますから、選挙事務程大切なものはないのです。それから言えば、外の行政事務は間違つても又是正できますけれども、選挙事務は実に大切なものであつて、その選挙長をやつておりながら、又自分は立候補し、選挙運動をするという余裕は私は事実上ないと思うのです。事実上ないから規定は作る必要はないということになるのでありましよう。併しながら人間性は例えば選挙長をやつておりながら國会議員に自分が立候補しておつたという場合には、成るべく無効のものであつても有効にさしたいという事情なんです。これは開票所に行つて見るとよく分かるのです。一票無効にするか、有効にするかということは非常なものだ、お互いに候補者が開票管理者を出して、そうしてこれは無効か有効かということを一々吟味して、そうしてそれぞれの候補者から選出されたところの開票管理者の意見を聞いて、そうしてそれを決定して行くというような非常に愼重なものだ。そこにおいて最後においてこれは有効である、無効であるという決定をするのは選挙長が決定する。ところが若し自分が衆議院議員に立候補しておる場合には、これは人間性だから、これは有効であると決定したら、これは法律的に有効なんです。ですからなかなかそう両股を掛けて、審判とプレイヤーを両股掛けるということは、羽仁君の言う選挙の障碍となるのだが……でありますから、どの程度のものを同時にさせるということは、私は別問題だと思う。いわゆる選挙事務関係者というのは、どの程度までを選挙事務関係者と言うかということになりますけれども、これは余程愼重を期する必要があると思う。仮に入学試驗をやりましても、自分の子供の答案が調べる答案の中にあるということであれば、これは公平に行くけれども、やはり疑問がある。そこに試驗官と試驗を受ける子供が、自分が子供の試驗官であつたという場合であつても疑問を持たれるくらいのものなので、余程試驗官と競爭者を別にすることが必要だと私は思うのです。ですからこれは必要がないのかも知れないけれど、どつちがより公平に行くかというと、私は書いて置いた方がより公平になる、私はこう思うのであります。
  196. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 今のお話、実際においてそういうふうになるのだからいけないのだというだけであつて、結局憲法が規定しておる。而も保障しておるところの、そのためによつて選挙権を奪われるという理由にはならない、そういうふうに考える。
  197. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 これは決して被選挙権を奪つておるものではない。これはいわゆる選挙事務関係者になるかならんかというのはその人の自由である。(「その通り」と呼ぶ者あり)從つて自分が立候補したという場合には、いつでも選挙事務の関係者を辞退すればよい。それは自由である。自分の決めるところである。どつちを選ぶかということは國民の自由である。從つて若し立候補するということであれば選挙事務関係者を辞退すればよいわけです。その意味で両者を兼務しないということがよい。こういうことです。
  198. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 それは自由というならば、選挙事務関係者になることも自由である。関係者になることも自由であつて、なろうという氣持になつた者は、そのために選挙権を奪われるということは自由を束縛する……
  199. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 これは被選挙権を奪われるのではない。自分の選挙事務の関係の地域内においては選挙権をみずから放棄するということだ。奪われるのではなくて、自分は立候補しないという事実問題であつて選挙権を奪われる問題ではない。そう私は思います。
  200. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 こういうような各委員の熱心な発言によつて問題の所在が明らかになることを私は非常に歓迎する。殊に今の場合などは結論としては、弊害の事実がどういうものがあつたかということが、我々が正しい結論に到達する上に非常に参考になると思いますので、どうか事務局の方でそういうような弊害のあつた事実があるかどうか、それを調べて頂けると審議を進める上に非常に仕合せだと思つて、その点お願いいたします。
  201. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 議事の進行に関連しましてちよつとお尋ねいたします。この七月五日まではずつと檢討するのですか、どこか現地視察するようなお話があるよあに聞いておるが、昨日僕は遅れたから聞き漏したのじやないかと思いますが、その点は、五日まではこの要領で進められますか、その間に視察するのですか。
  202. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 一應このままで所在のありかを究明して、そこで皆さんが視察をする、そうするとこの究明したことと視察との事実を以て、それで最後に仕上げをやろう、こういう計画です。この途中でありません。十日間続けて、視察が後になります。というのは、初めの打合せで御承認を得ております。
  203. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 その場合は日を決めて派遣するという形ではなくて、各自が実際自分が調査して來るという恰好ですか。
  204. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 日を決めてその途中で相談いたします。
  205. 北條秀一

    北條秀一君 閉会される前に鈴木委員のことについて、鈴木委員質問することを許して頂きたい。鈴木委員は、一定地区内において、被選挙権を否定するわけではないと言つておるが、結果としては否定することになる。だからその点についてはどういうふうに考えておりますか。先程のお話は否定しないと言つておりますが。
  206. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 勿論被選挙権を有しないのであるから、これは被選挙権がなくなるわけでありますが、これは自由裁量の余地があるということを私は申上げたのです。最初の五と六の分は、例えば年齢が二十五と書いてあつた、或いは準禁治産者ということが書いてあつたならば、本人の意思に拘わらず、これは選挙権は剥奪されておる。この今の場合は選挙権は持つておるのであつて、ただ選挙事務関係者になるという、それを選んだためにこれをやらないのであつて、若し選挙事務関係者で立候補したいということであつたならば、選挙事務関係者を選ぶのであるから、その点は法律によつて根本的に選挙権がなくなつておる者と違つて、自由がそこにある、本人の自由がある、こういう性質のものであると私は思います。
  207. 吉岡惠一

    説明員吉岡惠一君) 今のお話でお答えしなければならないと思います。これは昔から制限しておるところであつて弊害があつたので止めたという問題ではありません。もう一つ、今鈴木委員お話通り投票管理者、或いは開票管理者ですが、こういうものが非常な不正が行われることがある。羽仁委員は御存じないかも知れませんが、田舍等では町村長の選挙或いは町村吏員の選挙は一票の差で決められることがあるから、その場合に有効、無効の決定如何によつて非常に違うので、やはり弊害というものはあると思います。
  208. 柏木庫治

    委員長柏木庫治君) 今日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     柏木 庫治君    理事            大野 幸一君            小串 清一君            木内 四郎君            鈴木 直人君    委員            大畠農夫雄君            吉川末次郎君            北村 一男君            遠山 丙市君            佐々木鹿藏君            飯田精太郎君            岡本 愛祐君            西郷吉之助君            宿谷 榮一君            北條 秀一君            兼岩 傳一君            羽仁 五郎君            小川 友三君   法制局側    参     事    (第二部第一課    長)      菊井 三郎君   説明員    全國選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君    総理府事務官    (全國選挙管理    委員会事務局選    挙課長)    金丸 三郎君