○
青山正一君 只今委員長から逐條審議も終
つたのだから、今後法文に対する質疑は至極
簡單にやれというようなお言葉があつたわけでありますが、この問題は社会党といたしましても、実は只今江熊さんの御意見などいろいろ聞いて見ますと、非常に重大な法文でありますからして、そう
簡單に片付けて行くというような、そんなわけには行かないと思いますから、
一つ十分意のあるところまで私らがいろいろ
内容的に討論のような恰好で申上げるわけでありますが、併しそれも
政府ではどういうふうに
考えているか、こちらではこういうふうに
考えているのだというふうな参考意見をやはり中に含ませての話でありますからして、その点
一つ十分にお
考えあ
つて今後審議を進めて頂きたいと思います。そういつた
意味合からして、
一つ私は重ねていろいろお聞きしたいことは、只今の江熊さんのいろいろ
質問と或いは重複している、或いは非常に諄いというふうに思われるかも知れませんが、やはり何とい
つても一番この
漁業法に関して問題にな
つているのは
漁業権を誰に與えるかという問題であろうと思うのです。
漁業権というものを、今更そういつたことを申上げるのもどうかと思いますが、
團体に與えるべきだ、或いは
個人に與えるべきだという議論はいろいろまちまちだろうと思いますが、私が休会中に、これは皆さんも同樣だろうと思いますが、あちらこちらを遍歴いたしまして、いろいろな意見も承
つている。又私自身がこの
漁業法に関しての
質問を全國の各
漁業協同組合、若しくは
漁村方面の下部組織、或いは
漁民組合に対して一万通の葉書を出したのであります。それに対して二百四十三通の返事が來ております。返事は又後程係官にお目にかけてもよろしかろうと思いますが、その二百四十三通のうち、二百四十二通までは
漁業権は飽くまで
協同組合に與えろというふうなことで進んで行
つておるようなわけでありまして、その点が非常にこの
漁業法に関してポイントになるところだろうと思うのであります。殊にこの
漁業権というものは
漁業法の精神から
考えて見ましても、例えば飯山長官なり或いは農林大臣、それから久宗さん、そういうお方たちが前議会からいろいろ御
説明にな
つておりますのですが、これは
漁業者全体の持つべきものである。できる限り多数の働く
漁業者に持
つて貰おう、そうしてその
漁業経営に当
つて貰おう、そういつた
考え方からこれは
全般的に再分配することが最も適当である、こういうふうに皆さんがお
考えのように私は
解釈しているわけであります。その
意思を通すのは、僕は何といいま島ても
協同組合を対象とするよりほかに途がない、これは先程江熊さんがおつしやつたことを私が重ねて申上げるようなふうでありますが、ところがこの法文の
内容にいろいろな合の手を使
つておられる。これは皆
漁業者は全部
考えておられるだろうし、少くとも常識のあるお方もそういうふうに
考えておられるだろうと思うのでありますが、いろいろな合の手を使
つておる、その合の手が一種のごまかしにな
つている、共同
漁業権とかいうものを恩を着せて
協同組合に與えている。
如何にも
優先順位は第一義的に掲げてありますが、それは第二義的に掲げてあるものの力を強めるための一種の騙りというふうに言われてもこれは仕方がないと思うのであります。これは殆んど
協同組合のお方はそういうふうに皆さんは
解釈なさ
つているだろうと私は
考えているのであります。例えば例を以て申上げますと、
協同組合のその力の強い丹後とか若狹の方面には、自分たち全部の
漁業権であるというふうなことで、その行き方というものは円滿そのものである。何ら問題とか或いは
間違いというものは起きていない。いわゆる御当局の
意思が非常に徹底しているように僕は思われる。ところが越中を御覽なさい。富山を御覽なさい、富山の氷見ですよ。ああいう越中のごときは
個人の商業資本的な
経営者が非常に大部分を占めているので、年がら年中
漁業権を繞
つて爭いばかり起している。その
漁業権問題が知事選挙にも絡んでいる。或いは裁判沙汰にもな
つている。年がら年中裁判沙汰にな
つている。農林省の役人もその渦中に入り込んでいる。非常な大混乱振りであります。知事の選挙にはどこそこでは百万円出す。どこそこは二百万円出した。これは眞僞の程は私は分りません。だが非常にうしろ暗い唾棄すべき問題が
相当起きている。そういつた問題はこれは
個人の
経営している
漁場に限
つて起きている。恐らく
協同組合に関してはそういつた
間違いは全然ない。
個人の
漁業権者がお互いに爭
つてそういう問題を起している。先程久宗事務官から
團体はまあ
相当古くさい、もう少し
考え直さなければならん、こういうようにおつしや
つておりますが併し
個人の方もこれは十分にそういつた点を檢討する必要があるのじやないか、私はそういうふうに
解釈しているのであります。若しそういつた
漁業権というものを
團体に與えれば、そういつた騒ぎとか
間違いとかいうものは僕は起きないと
考えております。
立案当局はこういつた安寧秩序という面から
漁業権を誰に與えるかということを
一つ檢討して見たかどうか、又そういつた点を今後考慮すべきでなかろうかと私はそういうふうに思
つております。一々問題が起きると農林省の各係官が全部その
漁業権を繞つちや
つてわんやわんやで騒ぐ。これは必らず
個人経営の
漁業権問題を繞
つての
間違いから起こる、こういうふうに私は
解釈しております。こういつた
観点から
漁業権の
運用を部落全部、村全体のすべての
漁業者の手に
運用せしめ、
間違いを起しやすいつまり
個人を相手にせぬようにこの
法案を
一つ根本的に直す氣持はないかどうかについて伺いたいと思います。
第二点としてお伺いしたいのは、先程申上げました
通り共同
漁業権という飾り道具を
漁業協同組合に與えて行くようなふうにな
つているのでありますが、そういうものが與えられたといたしましても、協同組件にこれはしよつちゆう問題にな
つているのでありますが、つまり
金融とか
資材の
裏付のない限り飾り道具が効果が現われずに
却つて個人を対象とするいわゆる合の手の実質的な飾り道具になろうと思うのであります。その結果
個人漁業権者はますます実力を発揮いたしまして、
協同組合の実力というものは反動的にますます弱められるような結果になりはしないか。先般來、一昨日ですか先おととい、十四日、十五日両日に亘りまして、
金融とか
資材補給金、或いは統制の問題につきまして御当局からいろいろ御意見を承つた、先程久宗さんのお答えにもそれがあつたわけでありますが、ところがどの面においても
漁業協同組合にと
つて受難な時に遭遇しているわけであります。こういつた最悪の時にこの
漁業権改革問題、
漁業協同組合には非常に何と御同情申上げてよいやら、例えば
資金関係から見ましても、対日援助
資金いわゆるイロア・フアンドの絶望、或いは預金部
資金の見
通り困難、日銀が國債を買
つてマーケツトオペレーシヨンで賄う方向も結局農林中金六億ぐらいでお茶を濁す程度である、
漁業手形も果してこれが、先般部長からお話があつたわけでありますが、これは福音があるものやらないものやらそれもはつきり分らない。こういう状態では今後
協同組合がいろいろこの事業をや
つて行くのに、実際的に十分
金融関係が
解決されるというようには私は
考えていない。共同
漁業権というものを飾りではなくて、実際上の
権利として第一の張先順位として與えてお
つても、
金融の面とか或いは
資材の
関係を
解決しない限り
却つて衰亡の途を迫る、
漁民全部を運営することが非常に困難だと私は
考えるのであります。これは單にこの水産に限つたことではない。
協同組合に限つたことではない。社会
全般的に或いは
経済状態から、どの面も困
つておると言えばこれはそれきりの問題であります。併し
漁業法の精神というものは先程から諄く申上げます
通り、
漁民全部を対象とするものであるという当局の
趣旨から
考えましても、
漁業者全部の生活向上とか、或いは
漁業の発展ということから
考えて見ましても、当局としてはもつとはつきりした行き方でも講じておられるかどうか、これは諄いようでありますが、部長さんにお願いしたいのであります。又こういうことから資力のある
個人業者が
漁業権を実際上思う存分に振舞いようなことになりはしないか。ここに非常にその方面をよく認識しておられる松任谷さん或いは久宗さんにもその間のよく事情を伺いたいと私自身も思
つておるのであります。その点一体今後どういうふうにや
つて行かれるか、こういつた二点について
一つお聽きしたいと思います。以上。