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1949-09-21 第5回国会 参議院 水産委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年九月二十一日(水曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○漁業法案漁業法施行法案漁業統制改善案及び漁業資材に関す  る件   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  漁業法審議でありまするが、これはこの前続いて開きました委員会において、漁業法案並びに施行法案逐條審議、又これに対して委員水産当局との間に質問應答を重ねましたが、まだ質問條項も沢山あるだろうと想像しておりますし、衆議院との打合せもあるし、又改正要綱を決定する必要もありますので、できるならば十月の十三日頃から委員会を開きたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議がないようでありますからして、十月の十三日から委員会を開くことに決定いたします。  次に漁業法と関連はいたしませんが、かねて農林省において立案されておりました水産物統制改善について試案ができておるそうでありますから、この試案について水産廳からの御説明をお願いいたします。
  4. 山本豐

    説明員山本豐君) 水産物統制改善につきましては、先般当委員会でも一應の経過的の報告をいたしまして御審議願つたのであります。その際いろいろと御註文も承つたのであります。その後できればそういう御註文一つでも改めて参りたいと考えまして、安本或いは関係方面といろいろと折衝いたしまして、今日に至つたのでありますが、幸いにしまして、一二のその後に変りました要点を申しますと、当初はこの規則改正生鮮水産物配給統制規則と、加工水産物配給規則と、この二つを全部御破算にしまして、一本の規則を制定するというふうに、可なり大掛りに考えておつたのでありますが、現下の情勢をいろいろと考えまして、御注意のありました点等も考慮いたしました上、これをできるだけ一つ簡單に扱つて参りたいと存じまして、今回の確定案ではそのおのおの規則部分的改正によりまして、できる限り現状は改めなければならない点だけに止めるというふうにいたしたのであります。それから先般非常に問題になりました統制撤廃をいたしまする魚の種類でありまするが、この点につきましても、関係方面といろいろと具体的の資料に基きまして、事務当局としましては最善の努力をしたのでありますが、尚約二十二種くらいを残したのであります。この前御相談いたしましたときよりは十二、三種類減ることに相成つたのであります。爾余の点は前と大同小異でありますが、尚詳しいことは係官の方から詳しく御説明申上げたいと思います。大体の経過だけ御説明申上げます。
  5. 奧田孝

    説明員奧田孝君) この前当委員会におきまして、水産物統制改善案につきまして経過を御報告申上げました以後におきまして、変りました主なる点つきましては、只今次長から御説明申上げた通りでございますが、尚その点につきまして、私から詳しく御説明を申上げたいと思います。この前は水産物統制改善要点という資料をお配りしまして、それに基きまして御説明申上げたわけでありますが、今日は尚もう少し詳しく改善内容を現わしております資料をお配り申上げましたので、この前の要点に書いてないような事項もございますので、そういう点も併せて御説明を申上げたいと思います。方針はこの前と変りございません。措置の中の一、集荷及び出荷、これの第一は甲級生産地整理ということになつております。御承知のように生鮮水産物については甲級指定陸揚地というのがございまするが、加工水産物につきましては、甲級指定生産地域というのがございまして、共に農林大臣が指定した生産地であります。これを統制簡素化の見地からいたしまして、できるだけ数を少くしたいということで案を作つておるのでございます。で甲級指定陸揚地につきましては、現在五十七ケ所ございまするが、これを只今のところでは二十六に減らすという案で進んでおるのでございます。それから甲級指定生産地域は、これは各製品につきましてそれぞれの縣が指定してありますが、これもできるだけ減らしたいという工合考えておりますが、具体的にどの縣を乙級にするかということについてはまだ案が確定しておりません。これは併しできるだけ少い数にいたしたいと考えておるのであります。それから次は公認集出荷機関のことでありますが、  a 公認出荷機関生鮮水産物)及び公認集荷機関加工水産物)は現状のまま継続し、從來甲級陸揚地であつて新たに乙級陸揚地なつ陸揚地公認出荷機関として知事登録する(加工水産物公認集荷機関についても同樣の取扱をする。) これはこの前御説明申上げましたのと違う点でありまして、この前の案ではこの公認出荷機関集荷機関は全部一應登録御破算にいたしまして、新に登録をし直すということになつておりましたが、その点を改めまして、この集出荷機関登録につきましては、現行規定通りつて行くという工合にいたしたのであります。從つて集出荷機関登録を全面的に切替えるということも止めたのであります。ただ從來甲級であつたところが乙級なつた場合はどうなるかということにつきましては、ここに書きましたように甲級陸揚地出荷機関であつたものは、乙級なつた際にはそのまま何らの申請等手続を要せずにそのまま乙級出荷機関として存続して行く。こういうふうな経過規定を設けることにいたしたのであります。加工水産物におきましては集荷機関が、甲級集荷機関がそのまま乙級集荷機関として存続して行く、かようにいたしておるのであります。  b 公認出荷機関公認集荷機関登録及びその取消方法現行通りとして改訂を加えない。 これは別に御説明を要しないと思います。  3 出荷計画。   出荷計画現行通りとするが毎月作成し一箇月前に出荷機関に到達するようにする。又漁況による変更はその都度迅速に行う。  この点も別に変りはございませんが、ただ出荷機関出荷割当が到達するのを、確実に一箇月前に到達するように規則の上で明らかに定めたものであります。でありますから十月分の出荷割当は八月末までに出荷機関に到達するようにいたすのであります。その際出荷計画相当以前から案を立てます関係上、その漁況による実情と今日齟齬するような場合もございますので、そういう際にはその変更を迅速に行いまして、生産者に御迷惑を掛けないようにいたしたいと思つております。次に、直航船に対する出荷指示。   大消費都市漁船が直航したときは、農林大臣はその販賣の委託を受けた荷受機関に対し出荷指示をする  例えば東京に「かつを」「まぐろ」などの漁船が直航して來たというような場合におきましては、只今まではこれが東京荷受機関に入りまして、東京都知事がこの荷受機関の受けました「かつを」「まぐろ」などについて分荷の指図をしておつたのであります。それを今度は改めまして、農林大臣がその直航路の持つて参りました「かつを」「まぐろ」などにつきまして、荷主の申出によりまして、或いは農林大臣が必要と認めます場合は、荷受機関に対しましてどこそこへ送れという出荷指示をすることができるという工合にいたしたのであります。これは生産者にとりまして有利な点だと思つております。その次は、荷受  1 公認荷受機関。   公認荷受機関現状のまま継続するものとする。  2 公認荷受機関登録及び取消方法現行法通りとして改訂を加えない。  これは出荷機関について申上げた通りでございます。  三 配給機構、この配給機構以後のことはこの前も御説明申上げたところと変つた点はございませんが、ただ一、二この前の御説明のときには入つていない点もございますので、その点も併せて御説明申上げます。  1 公認小賣業者許可   都道縣知事一定の施設を有するものならば生鮮水産物小賣業者又は加工水産物小賣業者として許可するものとする。   指定消費地域においては海産性生鮮魚類統制外魚類を含む)及びその冷凍品はすべて公認生鮮水産物小賣業者以外の者は小賣を行うことができないこととする。  これはこの前御説明申上げました通りでありますが、この許可の運用といたしましては、できるだけ廣く許可して行くという方針を取りたいと思つております。そこで自由業の小賣についても許可がいるというので、非常に煩瑣なようでございますが、併しこの許可は殆んどまあ届出に近いようなものでありまして、私は小賣業者にとつてそれほどの大した重荷ではないという工合考えております。ただ経済統制法令に違反したりいたしますると、この許可を取消されまして、魚屋の営業ができなくなるということになりますので、悪いことをした人にとつてはこの制度は辛い制度だと思いますが、まじめに商賣をする人にとつてはこの規定はそれ程の迷惑する規定ではないという工合考えております。その次は小賣業者登録でございますが、これはこの前御説明申上げた通りであります。この一定数登録人口を獲得するということになつておりますが、この登録人口はできるだけ低目にするつもりでありまして、大体二十五所帶以上所帶の間におきまして知事が決定するということにいたしたいと思つております。で消費者は一ケ月ごとに任意に小賣業者に対する登録変更できるわけでありまして、現在の制度におきましては、小賣は六ケ月ごとに全面的に登録替をすることになつておりますが、そういう小賣の登録も全面的なやり替えというものはいたさないようにしたのであります。  その次の指図分荷でありますが、これもこの前御説明申上げた通りでありますので一應読んでみます。  1 都道縣知事は毎日入荷した統制水産物中品種、鮮度、品質を勘案し、割当配給をすることができると思われるものを割当配給品として登録小賣業者の獲得した登録数に比例して分荷の指図を行う。   都道縣廳は右の割当配給品を決定するに当つては責任と職務を他の者に委任してはならない。   割当配給品については分荷の指図を受けた小賣業者は正当な理由なくしてこれを拒否することはできないものとし、一ケ月間に正当な理由なく四回以上の引取拒否をした登録小賣業者に対しては都道縣知事は、その小賣業者登録を取消さなければならないものとする。   割当配給品登録小賣業者から引取を拒否されたものは他の登録小賣業者又は大口消費者割当配給として配給する外荷受機関に直賣される。  この中で都道縣廳割当配給品一般配給品に分ちますこの分荷の事務につきましては、都道縣廳職員がみずからこれを行うべきでありまして、これを例えば分荷委員会とかその他の業者團体に任せてしまうということは絶対口にしてはならないという建前にいたしておるのであります。それから拒否につきましては、正当の理由なくして四回以上拒否した場合は、登録が取消されることになつておりますが、この正当の理由につきましては、非常に狹く解釈いたす考えでありまして、例えばこれを持つて帰つて消費者が買わないであろうというようなことは、正当の理由にならないという工合にいたしておるのであります。それから割当配給品拒否した登録小賣業者にはその品物を一般配給品として渡すということは禁ぜられておるのであります。これによりまして、割当配給品としては拒否しておいて値を叩きまして、一般配給品として小賣業が持つて帰るという、そういう商略的な拒否というものをこの規定によりまして封じておる次第であります。
  6. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 最後までやつてつては忘れてしまうので、そういうような規則を作るから例えば半分腐れたのがトラツクでそれらの小賣販賣店に持込まれるのである。事実実際見たときに、そういうような場合にいわゆる商利商略のためにこれを悪用するということを防ぐ何らかの措置をすべきことは常識上当然であるけれども、併しそれらの一部の不正業者取締るために事実そういうような腐敗に近いようなものさえもそれを引受けなければならん、そして又これを一般的に措置するような。適当な何らかの息を拔くような考えはどこにも現われておりませんか。
  7. 奧田孝

    説明員奧田孝君) お答え申上げます。その点につきましては、その入荷した統制水産物のうち、鮮度のいい消費者が喜んで買うであろうというものだけを割当配給品にいたしますので、そういう腐つたような魚を割当配給品とするということはあり得ない工合考えております。これはその分荷をする職員がその点は十分に注意しておりますので、割当配給品として割当てられます魚は、鮮度の上から行きまして一番いいものという工合になつておりますので、御心配のような事態は起らないのじやないかという工合考えております。  次に、前から割当配給品は、適当でないものと認められるものは、これは一般配給品といたしましてこの一般配給品につきましては、登録小賣業者の外、公認小賣業者も好きな量だけ買い得るということになつておるのでございます。そしてその賣買の方法につきましては、知事規則を定めてその方法を決めるということになつております。それで一般配給品につきましては、原則としましては小賣業者は幾らでも買い得るわけでありまする、ただ必要なる場合には知事は小賣業者一人当りの買入れ数量を制限することができるという工合にいたしておるのであります。  3 都道府縣の知事一般配給品販賣が公正迅速に行われるよう適当な方法を定めて実施すること  これは只今申上げました知事規則を定めまして、この方法を決めるということでございます。  それから四番目の、   都道府縣の知事は分荷に当つて家庭向を他の割当に比して重点的に取扱う。  これは今回の統制改善の趣旨から行きまして当然のことだと思います。  その次、末端配給末端配給の第一はいわゆる記帳制のことでありますが、この前御説明申上げたときには、魚屋さんが販賣の都度必ず記帳するということになつておりまして、この点当委員会におきまして、そういう実情に副わないことはできないじやないかという強い御非難があつたのであります。私共としましては、誠に御尤もと思いまして、その点は改ためまして、普通の場合におきましてはそういう通帳制を取らないという工合に改ためたのであります。登録小賣業者は自己の良心に從いまして、自分登録して呉れた人にだけ賣るということにいたしまして、販賣の都度記帳するというような煩鎖手続は普通の場合には取らないという工合にいたしました。ただそれがために配給が非常に乱れたという場合におきましては、農林大臣又は知事が地区と時期を定めまして、そういうう記帳制を布くということができるという工合に改めたのでございます。割当配給品につきましては知事が一人一日あたり購入数量最高限を決めて置くということにいたしました。これは一人当り何勿目ずつ賣れということじやございませんで、一人当り最高限を決めて置けということであります。  その次一般配給品につきましては消費者公認小賣業者であればどの魚屋さんからも自由な数量だけ買い得ることになりまして、この一般配給品の賣買につきましてはマル公は勿論ございますが、それ以外には何らの制約はないということになつております。購入通帳制は從つて廃止されることになります。それからその次六番目に代金決済制度でございますが、これがこの前御説明申上げたときになかつた制度でありまして、それから統制水産物の賣買当事者間に代金不拂のために非常に困つた事態が生じておることが往々にしてございますので、そういう代金支拂の非常に悪いものに対しましては、或いは登録を取消しましたり或いは割当を消減したり、或いは割当を停止したりし得るという規定を設けたのであります。この規定が主として適用されるものは荷受機関と小賣の間におきまして、小賣業者荷受機関に対する支拂相当悪いところがありますので、そういう人につきましては、割当を停止したり削減するということが行えるわけでありまして、これによりまして代金支拂迅速化相当期待されるという工合考えております。  その次の統制品目整理でございます。この前御説明申上げましたときには確か三十何品目だつたと思います。それは非常に多いのでもつと統制水産物は減らせという御要望がございました。我々にはその御要望に應えるべく努力いたしまして、本日お配りいたしましたような品目にまで統制品を少くしたわけであります。この前御説明申上げましたときより後に削りました品目ちよつと申上げますと、「きちじ」「こち」「むつ」「にべ」「しいら」「いとより」「たら類」「はも」「かます」「あら」「めばる」「いさき」これだけのものを削りました。それで結局残存統制品目といたしましては、二十二種目になるということになります。  それから後、八に取締啓蒙宣傳ということがございますが、これは別に御説明申上げるまでもないと思いますので、省略いたします。我々といたしましては省内の手続を進めまして、できましたら本月の二十六日附でこの二つ規則改正案を公布いたしまして、十月十五日から実施に移りたいという工合考えております。ただ公認小賣業者許可登録の点につきましては、公布の日から実施に移りたいという工合考えております。以上で説明を終ります。
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問がありましたら、お願いいたします。
  9. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 「いわし」はどうなりましたか、「いわし」類は。
  10. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 「いわし」類は統制されることになつております。抜けておりますか。
  11. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 これは水産物統制品目として一、生鮮物と出ているでしよう。「ぶり」「まぐろ」「かつを」「さば」「たい」類、「めぬけ」「さんま」「かれい」……。
  12. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 「さば」類の下の方にあります。
  13. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 水産物統制問題については、先般の委員会において関係業者から非常に強い撤廃の要求の請願があつたのでありますが、それからその後私共現地において消費者側の意向も随分聽きました。尚生産地の方は勿論のことでありますが、この水産物統制撤廃ということは非常に強い声であるということは、私共承知いたしておるのでありますが、水産廳は依然としてこういつた案をお示しになつておるようでありますが、この点については一体どういうふうにその筋との折衝がなつて、事、ここに至つたのであるかということについて、今少しその内容をお洩し頂ければ、我々今後消費地側において、或いは生産地においていろいろ墾談する場合に参考になると思います。  それからこの程度統制をして大体大消費地における從來集荷していた魚獲物に対して何%くらいが確保されることになるのか、一つどういう予定数量になつているのか、この統制方式によつて一体どの程度が確保されるのかということについて一つお尋ねしたいと思います。これは一問一答式に行つた方が便宜だとは思いますが、時間の関係上連続して雜然としてお聞きしますから、間違いのないように御答弁願いたい。  それから一應この規則についてお尋ねいたします。こういう規則はどういうことを意味しておるか、そういうことをお聽きしておる。そういう意味でこの質問をいたします。漁業者女房が魚を賣る。こういうことは從來盛んにやられておるのでありますが、生鮮魚類のところに統制外魚類を含むという一括した行き方によつてこの規則が動くことによつて、こういつた從來の漁業者女房の小賣というものがどういうふうに取扱われるか。公認小賣業者というものと登録小賣業者というものと、これは大体同じものであろうと思うのでありますが、この海岸の漁業者達集荷場に集めてそれを分けて貰つて……、集荷場というのは規則によつて集荷するという意味でなく、登録外のものも自分登録販賣所集荷する。こういうことは必然的なことです。そうしてそれを賣ろうとすると、この規則引掛つて來る。これは消費地に入つて賣るということを禁止するという意味でこういうふうにされておるのか、ここらあたりが私はよく分らないのですが、御説明願いたい。
  14. 山本豐

    説明員山本豐君) 第一点の統制撤廃について水産廳はどう考えておるかという御質問でありますが、この前の委員会にも申しましたように、実はこの統制改善策といいまするものは、八月頃からいろいろとやつて參りまして、非常に時日を要した点誠に申訳ないと思うのであります。この間に社会の情勢は急テンポで変つて参りまして、今更こういうものはどうかというようなお氣持があつたことは私もよく分るのであります。ただ行掛り上と言つては甚だ雜駿なお答えになつて申訳ないと思うのでありますが、然らば現在の統制が直ちに撤廃できるかという点につきましては、これは関係方面とも折衝しておるのでありますが、直ちにということはこれはちよつと困難であろうと思われるのでおります。ただ大勢の赴くところは我々といたしましても十分承知しておるのでありまして、これを次善の策といたしまして、これを踏み台といたしまして、統制撤廃後のいろいろな措置というような点についても今日早急にいろいろと考えをめぐらしておるのであります。それらと並行いたしまして、近き將來においては必ずそういう方向に行くであろうということは申上げて差支ないと思いますが、現在のところにおきましては、こういうふうな相当に今緩和されたもので一應その準備期間だけでもやつて参りたいというふうに考えておるのであります。それから速記を止めて頂きたいと思います。
  15. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  16. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて……。
  17. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 第二点につきまして、次長の御説明を補足いたしますと、今後の統制品整理によりまして、東京へ現在入荷しております統制水産物の約六〇%が統制は存続する。それから大阪におきましては約五〇%が統制が存続する、こういう数字になつております。併し統制が外れた物につきましても、自由品としてやはり東京大阪に入荷するわけでありますので、今度の統制品目を外したことによりまして、八大消費都市への供給に事欠くということはないと我々は考えております。ただ割当配給、つまり統制品として家庭に渡る分は、これはまあ減る勘定になりますけれども、自由品として購入する数量等を考慮に入れますと、この案のために八大消費都市への供給が減るということはないという工合考えております。それで割当配給品として一ケ月にどの程度配給するかという点につきましては、八大消費都市につきましては、一人一ケ月百五十匁は必ず割当配給品として渡すように知事指示をいたしたい、かように考えております。  それから安定本部で作定されました二十四年度の水産物需給計画によりますと、八大消費都市に対しましては、一人一日十四匁を確保するという計画になつております。それで只今百五十匁と申上げましたので、一人二日にしますと五匁になります。十四匁のうち五匁は割当配給品として確保いたしまして、後の九匁になりますが、それにつきましては、一般配給品と、それから自由品、そういうもので確保ができるのではないかというように我々は考えております。  それから指定消費地域におきまして、漁業者家族の人が魚を家庭に小賣をするということは今後は禁ぜられることになります。ただ産地におきましては、統制漁出荷機関に出さねばなりませんが、自由品につきましては、そういう制限がございませんので、そういう漁業者家族は、産地におきましては、自由品の小賣りができることは勿論であります。ただ指定消費地域におきまして、自由品の小賣を勝手にやるということは今後は禁ぜられて來るということになります。
  18. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 江熊委員の第一の質問は、この前の委員会のときに討議した問題で、どうしてもそれができないので、止むお得ずこういう方程式でやろうと、併し私は本日の委員会で嬉しく思いますのは、勿論立法府が行政府の一切の行政行爲に対して干渉を與えて、それにタツチすることは、これはもう三権分立の思想をみずから破るものであつて、十分この点はお互い分を守らなければならないが、立法府の要望は正しい民意を反映しておるという点において、行政府は制度を設けるために、最も謙虚にその声を聞いて、行政上の各措置をすべきことは、これは正道であるという私は政治上の信條を持つておる。その点から考えて、この前の委員会のいわゆる統制品目が非常にまだ多過ぎるという声に対して、或程度その声を聽取されて、この二十二点ぐらいに圧縮されることはこれは欣快に堪えません。希くば、もつとこれが圧縮されないかどうか。この点を私はお聽きしたいと思います。それからもうすでに、一月は、今の客観情勢からすれば、漁網資材に対する補給金が打切られると將來推定することが常識である。であるとすれば、その際は、全面的に統制撤廃されるのが、これが当り前であると推定できる。もうそれは直ぐである。であるとすると、今又こういうような二十二品目並びに加工品の、これらの列挙されている品目統制して、そうして新たなる機構によつて配給をして行くというようなことであるとすればですね。直ぐに又変えなければならん。むしろ行政当局としては、朝に政令を作つて、夕にこれを変えるというようなことをしないで、しばらく情勢を見て、思い切つて、もう一月から全面的の撤廃に入るというような考えがないか。僅かに二ケ月やつて、又これを変えてしまうと、余りに制度そのものに対する國民の信頼の度が薄らぎはしないか。これについての行政当局としての考えはどうであるか。こういう点から考えるというと、むしろもうあと二月で補給金の打切りがあるとすれば、それを推定して、全面的の撤廃の準備をやるというようにする方が、私は賢明な行政的処分行爲だと思います。  それからこれも亦非常に欣快に堪えないのは、これは矢野委員からも淺岡委員からも、その他各委員からも、強い強いこの要望があつた。これは明かにこの会議録に大体記載されているわけでありますが、いわゆる大福張を作つて、不可能のことを可能というデスク・プランということを全面的にこれを廃止して頂きたい。一々、矢野が五十匁買つた、木下が五十匁貰つたというように、値段と金高と月日まで記入して、不都合なことを、できないことをできるというふうに考えている。錯覚だということを申上げましたが、これも思い切つて立法府の意見を受け入れて、合理的な制度を作られたということも、これも非常に立法府と行政府が相協力して良いものを作ろうとする私は態度であつて、民主政治の在り方として、かぐわしい方向だと思つております。この点をむしろ私は感謝いたします。  それからもうすでに八月十三日のこれは委員会において私は要望して、その中に三つの実は質問を試みたが、何らこれに対しては、委員長に対しても口頭の報告もなければ、又私に対する文書の回答もなければ、本委員会において水産廳長官その他関係の諸君が出て答弁をして呉れる様子もない。その一つはこの会議録に出ておる大牟田市の、いわゆる久留米市に対しては大臣指定地区によつておるが、隣りの大牟田は人口がぐつと多いのにそれをやらない、その理由如何。それから第二には五島における非常に不都合な、沖縄のまじめな漁業從事者に対するところの圧迫搾取の実例がある。これについて実地を直ちに調査をして欲しいということを要望したが、すでに四十日近くにもなるが、この回答に接しない。それから第三はこれは重大なる問題であつて、引揚者のいわゆる資材というものが今のような制度であつては既存業者要望の度が強い。又力が強いために殆んど水産業に從事しているものの諸君が平等の公理から見て非常な不公平な地位に突き落されておる現状であるので、決して一つ一定度の水準を乘り超えて特別の優遇をして配給をせよという意味ではない。平等の原則に一寸でも二寸でも近づけるという意味において水産業のために働き、又働かんとする引揚者の中の、水産業の実態を整えんとする者に対しては適当なる資材の割当を行なうべき筈であつて、すでに二度に互つてはそれが実現せられておるのにも拘わらず、どうもこの問題については某方面の声があるからというようなことで、水産当局はすでに前の國会においては引揚問題に関する特別委員会において決議をし、請願においても採択している。この正しい輿論の声に対して比較的に冷淡である。又私のこの記録にも残つておる質問に対してまだお答えに接していない。又昨日援護局長に対する石川という人の返答を見れば、電話による返答によれば、水産委員長関係当局に対して懇請をせられたものに対して某氏からそういうことは罷りならんという御返事であつたという電話を受けた。援護局長に対して石川という事務官かどなたかから電話があつたが、僕の調査したところによると、全然そういうような意味とは違つている。この以上の三つの点について今日は長官は來ておられないようでありますが、次長から責任ある御回答を、その前にいわゆる僅かに二ケ月くらいの運用の期間しかない、こういうような制度はむしろ今から一月に補給金廃止による全面的撤廃というものを総合して、むしろその手を打つようなやり方が賢明ではないかというような、これらに関する御返答を願いたいと思います。
  19. 山本豐

    説明員山本豐君) 第一点のこの統制品目を、統制魚類をもつと減らせないだろうかという御質問でありますが、実は只今矢野委員からも御称讃を頂いて甚だ恐縮であるのでありますが、この品目を減すにつきましても、関係方面にいろいろその後の事態の市場價格等のいろいろデーターを以て行つて一々説明を要するわけであります。一例を申しますると、「たら」などにつきましても、これは各消費都市の年間の價格の上り下りを取つた統計があるのであります。これなどについてみますると、この大阪におきましては大体今頃これを非常に仕入れまして、そうして十二月が、これは何か正月の関係だと思うのでありますが、これが何か冷凍でもされまして急に市場に出るというふうな事情もありまして、急に十二月頃に非常に値が上る。そういうふうな事情があると、全体的に見て非常に難色があつたわけであります。併し私はまあ八大消費都市のうちで大阪だけがそういうカーヴを持つておるなら、全体的に見てまあ大は小を呑むものでありまするから、よかろうじやないかというふうな意味で、これも統制に加えたのでありますが、そういうようないろいろな苦心がございまして、今日まで可なりの時日を要したのでありまするが、そういう意味合におきまして、それともう一つはこれ以上滅しますと、先程江熊委員からも御質問ありましたように、五〇%より下廻る。数量全体が五〇%より下廻るということになりますると、これも亦理屈に合わないことにも相成りまするので、そういう両面の意味からいたしまして、現在考えられる最大限度であるというふうに考えておるのであります。  それからもう統制の先が見えておるわけでありますから、もうこの際じつと現状のままで行つたらどうかという御意見、これも一應御尤ものようにも思うのであります。殊に先般補給金の問題も一應十二月までといろいろ委員各位始め御協力願いまして、とにもかくにも直ちに打切りはされないことになりまして、感謝しておるのでありまするが、とにかくそういうふうに事情で、補給金との関連におきましては、統制の持続ということは非常に困難性があるとは思うのであります。併しこれも理屈に走つて申訳ないのでありまするが、理論的に言いますると、補給金が撤廃になりましても、その補給金による原綿絲等の購入から、それが生産になりまして網その他漁具に相成りまするまでにはやはり二、三ケ月の期間がかかるわけであります。勿論周囲の情勢によりまして、そういうことは問題ないことにも相成るかと思いますが、それのみをとつて言いすまると、十二月に補給金が打切りになりますから、直ちにその結果が魚價に反映するというわけには行かないのじやないかというふうにも思われるのであります。そういう点も考えまして、実は我我はこの補給金は今日といたしましては、漁業者の生産助成金である。これが撤廃になりました曉には何らかこれに代る生産助成と言いまするか、というふうなことを考えなければ、統制撤廃いたしましても結局生産者が非常に辛い目に遭うのじやないかというふうに考えておるのでありまして、そういう意味で補給金の要望をいたす場合にも統制撤廃とは別にいろいろと強く希望いたしたのであります。そういうふうな事情もございまして、先は大体そう長くはないと思うのでありまするが、一應この案で実施に移した見たいと考えておるのであります。勿論そういう観点からいたしまして、先頃お話がありましたように、魚の種類の点であるとか、或いは又市場の問題でありますとかいうことも相当に苦心いたしまして、民意に副うように努力いたしました。更に又その集出荷機関登録替の問題なども、これも非常に実際問題として登録を控える側に立つて見ますると、無用な仕事にも相成りまするので、これもできるだけ現状で行く。残りましたのは要するに小賣業者登録替であります。併しこの点は或いはこの機会に、我と思う商人が相当に出て参りまして、統制撤廃後の自由競爭の時代になりましても、結局サービスのよい勉強の小賣業者が残る。こういうような意味からいたしまして、必ずしも無駄な手続ではなかろうじやないかというふうに考えまして、この点だけを、実は面倒でありますけれども、在置になるようにしたのであります。  それから、あとの三点ばかりの御質問でありますが、この久留米市と大牟田市の問題はこの前に伺つておるのでありますが、この点につきまして、今日まではつきり申上げませんでしたことは誠に申訳ないと思うのであります。ただこれも先も見えておりますし、それから陸揚地でありませんで、消費指定地の指定だと思うのでありますが、そういう意味で、実はもう見送つておるわけであります。  それから第二の五島の問題でありますが、これも関係資材課長に私あの書類を渡しまして、一つ長崎縣の水産課に渡してやつて呉れ、何か事情があれば特別に盡力してやらなければならんということを申渡したのでありますが、十分なことがまだ今日できておりませんので、この点は至急に又よく聽取いたしまして善処いたしたいと思つております。  それから第三の引揚者の問題でありますが、これは前委員会のときに淺岡委員その他からいろいろお話を承つておるのであります。昨日も参議院の岡元委員から、向うにお会いになりました結果を電話で拜聽したのでありますが、一昨日であつたと思います。昨日私も丁度外の用事がございましたので、その方面に参りまして、いろいろと又話を承つたのでありますが、多少その間に話の食い違いといつたら、大袈裟になると思うのでありますが、必ずしも話のしつくりしてない点があると思うのであります。この点は又あとで矢野委員と御相談したいと思つておるのでありますが、我々もむげに引揚者の問題を粗略に扱うという氣持はないのでありまして、誠に同情に絶えない氣持ではおるのでありますが、御承知のように、資材の全体が非常にまあ需要量の六、七割というような点がありまする点、それから又災害その他の関係で、本年度は非常にそういう方面のことも新らしく問題を投げかけておるのであります。この災害その他につきましては、新らしく進駐車方面とも更に枠を追加できまするように、今鋭意折衝中でありまするが、そういうような事情もございまして、一應又一般の漁民に及ぼす影響といいまするか、そういうこともよく考えてかかりませんと、ただ機械的に枠だけ取つても、縣の方で果して十分に捌くかどうか、問題もあろうと思うのであります。分量的に少しでも全体が殖えますれば、そういうこともこれは必ずやできると思うのでありますが、只今のところ非常な窮屈な状態にありますので、御期待に副いかねている関係であります。この点は関係方面でも的確にそのものが行けば檢討したらどうかということも言つておるのであります。これらのことについてはよく一つ御相談いたしまして、我々の方でも研究いたして見たいと思うのであります。現在のところでは甚だ申訳ないと思いますが、かような状態にあるわけであります。
  20. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 最前の質問に対する奥田課長の御答弁の中に、漁師の家族のいわゆる小賣というものはやめなければならんということを、事もなげにあつさりお答えになつておるのでありますが、この問題はまあ百姓が野菜を作つて賣りに行くことができないと、こういつたことと同じことで、そういうふうな考え方が平氣で漁村の場合に考えられることは遺憾に思うのでありますが、尚この問題につきましては、後日考えて見て、意見を申上げます。それからこれは新聞などにも随分しばしば報道せられておつたのですし、それからずつと前に委員会などにも御質疑があつたのですが、鮮魚の統制の場合の價格の措置ですね。これについては一時相当具体的なものが発表というか、一應一般に知られておつたのでありますが、本日の頂いた書類には、どれも何物も價格面については触れておらないことについて、價格補給金の資材の額、機具の面とも併せて考えなければならん点は十分承知いたしております。併し價格だけの問題で、今日までしばしば物價廳あたりにも私陳情にも参つたこともありますし、又民間側も強い要求が出されておるのでありますが、こういうような配給の調整というようなものが考えられるときにこそ、そういう面も併せて考えなければならんではないかとこういう氣がするのですが、実はこのことについては、どういうふうに今お考えにな誠ておるのですか、どういうふうに今までの御研究の結果がなつておるのでありますか。それを伺いたいと思います。
  21. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) 先ず初めに、本日は第二部長が参る筈でございましたが、この前の審議会の関係で非常に忙がしくて、どうしても出られないというので私が代つて参りました。只今の御質問の点でございますが、價格につきましては、実は相当早い時から私の方だけじやなく、実は又水産廳安定本部の方とも打合せましていろいろ檢討いたしておつたのであります。具体的なことと申しますが、これは別に外部には何も発表いたしませんでしたが、例えば今の價格の体系を扱う團体は存置するとか、或いは卸賣價格をどうするかということは、私達の手許において、内部において、研究は進めておりました。しかし今般の統制品目整理ということについて何らかの処置を直ぐ取るかということは、これは向うとの折衝の上もありますので、一應今回の問題とは切離して別途考えようということになつております。未だに外部に発表する程のはつきりした自信のある、又向うと折衝して案を通すという自信のある案はまだ持ち合せておりません。以上であります。
  22. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 この價格操作の問題は非常な重要な問題でありますから、成るべく早い機会において御研究願つて、是非実現して貰いたいということの趣旨のことは、御承知の通り是非お願いしたいと思うのであります。それからいま一つは價格操作の問題がしばしば可なり早目に何と言いますかね、漏れるというようなことが、そういうようなことがあつて、地方、つまり東京から離れた遠方の生産地においては、可なり妙な噂が立つて、甚だ統制上面白くないと思いますので、一つその点は御心配して貰いたい。これは物價廳に特にお願いする。
  23. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今江熊委員の問題と直接関係はありませんが、関連してこれも私達、私自身が行政官廳の中に居りますので、自粛もしたいと思いますが、こういう魚の方程式も、まだ実はこの前の委員会以來何ら委員長から正式に通知も受けておりませんので、どういう結論に差しつつあるか。或いは達したか、全然正式の回答を得ておらないので分らないが、新聞には立法府よりも早く御報道なさつたと見えて、こうした品目さえもすでに公表されているというようなことがありますから、この点はよくその前後等を御注意頂きたいと私共は思います。殊に價格操作の面が事前にいろいろと漏れて、一部に非常な不当利得者が出て、他に非常な損をするというのが、今まで相当各方面に見えておりますので、江熊委員の御註文は私も同感に思います。  それから最前の次長のお答えは率直に申上げますというと、まだこちらに御赴任になつてから日が浅くて無理からんことと思いますが、帝銀事件の一人の男のために計算される、表面に現われただけの金でも五百万使つたということが、昨日衆議院の委員会において、公表せられている。で若しも引揚の諸君が結局すでに六百三十万の人々が、それぞれ所を得ない人が多ければ多い程、社会的の犯罪は増加するのであつて、これに用うる人的或いは物質的の國の損失というものを考えたならば、非常に莫大なものであつて、一日も早く所を得せしめる、定職を與えるということが、これがもう根本的の一つの原則でなければならん。そういう点から考えて見て、引揚者問題については厚生省自体も非常に熱心にやつておりますが、実は國の全体から見ますというと、一昭和某会社が二十数億の借金を平氣の平座でやり抜く、或る会社も三十億の借金をやつて、その金がいろいろな好ましくない方面に使われて犯罪人をどんどん出しているというような現実があるのに、引揚者が定職に就くための國家の施策というものは非常にまだとしいものである。例えば今鹿兒島の串木野でやつている永福虎のごときは、委員長江熊委員、その他御同輩の方が御承知の通り、南方において非常な功績を挙げた水産業の功労者であると私は考えている。その他これに類する多数の水産業界の先達或いは新進氣鋭の諸君が各方面から帰つておりますので、物資の特別の枠が特別の処置によつて殖せられない限りにおいては、残念ながら引揚者の水産業に從事せんとする人にはどうも処置ができないというような只今の御返答のお氣持でありますならば、結局犯罪人を多く作らざるを得ないような環境に押し込めて置く、水産業という一点に視点を限つて見てもそう言わざるを得ないのでありますから、與えられているその資材の中から分け合つて行くという根本的態度でなければならん、物資の枠が殖えたときにおいてのみこれらの引揚者の諸君を立たしめるというようなその考え方、態度というものが、私は徹底的に御修正を願いたいと思うのであります。そうでない限りにおいては、一水産業という限定せられたる問題ばかりでなくて、あらゆる方面においてその考えで行くならば、六百三十万、その家族全部合せますと、三千万になんなんとするところの國民大衆である、それらの人々が暗い生活面を見つめながら、遂には社会秩序を乱すようなことをなさなきや生きて行かれんということになります。乏しきを分け合つて耐え難きを忍んで分け合つて行くというような精神で、私は行政府の者はこれらの引揚者の非常なハンデイキヤツプをつけられている人々を助成して行くというのでなければならん、そういう点において私はこの前の委員会における農林政務次官の態度は非常に諒とするのでありますが、水産当局の実際の行政の実務に当つておられる方々が、操作の手心さえあれば必ずできるのです。僕が特別委員長の時代に、復金の引揚者特別融資の制度を新たに時の大藏大臣等々と折衝してできた嚴然たる事実もあるし、又漁網資材において、その他の資材においても、二度に亘つて、引揚者の享受すべきその資材が絶対他に横流しができないように、一つの平等に近付けるための枠を設けられた実例もあるので、今少しくその点においてはよく一つ御賢察を願いたいと思います。若しそれ又そういうような制度を作れば、どうも横に流れる虞れがある。これは玉一玉と雖ども流すことはいけません。私は泣いて馬謖を斬つて、刑法の前にその引揚者をさらしている事実もあります。併し既存業者の諸君と引揚者の諸君のこれらの現れている、又現われざる横流しの問題等を、私はここで敢えてどちらが多いか少いかということをここに論議するだけの勇氣を持ちませんが、引揚者の諸君が横に流しているというような二、三の例はありますが、実にそれは少いものであります。その二、三の問題によつてよき制度が葬むられるというようなことになると、実に私は國のために痛ましく感ずるのであります。この点は特に田中資材課長がその任に当り、又これを監督しておられる次長、長官、又生産部長等は、十分それらの立場に同じく立つて一つ考えを願いたいと思います。すでにもう四年、刻々として生活苦からいろいろな怖るべき社会的の問題が発生しはしないかと思うような空氣さえも身近に感ずるわけでありますから、この点はまだ石係当局の御了解が得られていないとしまするならば、石の上にも三年というような覚悟を以て一つ御折衝願いたいし、又厚生当局といたしましても関係当局の方に懇請をして、この正しきこれらの要望が受け入れられるように努めたいと思いますので、この点何分の御再考を仰ぎたいと思いますし、当委員会においても委員長初め委員各位の方々は、特に優遇するという意味ではなくて、平等の線に一歩でも近付けて定職を與えてやりたいという公正なる友愛の情に立たせられて、一つ御協力を仰ぎたいと私は懇請して止まないのであります。以上。
  24. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) まだ大分質問もあると思いますが、大事なもう一つの案件が残つておりますので、これの説明を聽いてからにいたしたいと思います。これは先刻宮城、福島その他の「かつお」「まぐろ」の業者が約五、六十名参られまして、本年度の需要に対して非常に足らない、このままで行つたならば、第四・四半期は殆んど休漁の止むなきに至るであろうというような陳情があつたのであります。それでその結果は、水産廳その他においてもその善後策を十分講じて貰うが、水産委員会においてはGHQと折衝して、枠を殖やして貰いたいというような切なる陳情があつたのであります。それで私の方としてはGHQへ行くためには、一体本年度の生産計画、消費計画はどうなつているか、リストを十分見た上でやらなければ説明の材料がないというところで、水産廳にその資料を作つてつたのでありますが、その資料が來ておりますからして、これに対しての大体の御説明をお願いいたしたいと思います。
  25. 中村正路

    説明員(中村正路君) それではお手許にお配りしてあります資料につきまして、御説明いたします。全部で五枚になつておるが、総計が半ぴらになつているものに刷つてあります。この半枚のに刷つてありますのは水産用の石油の全体の枠でありますが、一番左の端に書いてあります計四十五万五千二百二十四キロリツター、單位はキロリツターになつております。これだけの数字は昭和二十三年の七月から昭和二十四年の六月までの実際に水産用として割当てられた数字であります。この期間は一應油は非常に向うの枠がやかましいのと、又全部ガリオア資金で入つて來ております関係上、枠をアメリカの会計年度に合したのであります。四十五万五千二百二十四キロリツター、今年の六月までに一年間の割当があつたのであります。
  26. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 これは石数にすると大体どのくらいになりますか、凡そどのくらいになりますか。
  27. 中村正路

    説明員(中村正路君) 大体石数にすると五倍程度になります。その次の五十四万キロリツターの場合というふうにありますが、これは私らの水産廳の方で昭和二十四年度一年間にはどれ程あつたらいいかというのを推定して計算した数字であります。これの元にしました数字は大体安定本部が作りました水産の五ケ年計画というのがありますが、それの昭和二十四年の漁獲を大体標準といたしまして、その後の実情からそのうちの不合理の部分を若干訂正しまして、年間安定本部の五ケ年計画では六億七千万貫を魚介類で取るという計画でありましたのが、大体それを基準にいたしまして、そうしてそれを各漁業種類別に油の量を計算したのでありますが、それは一枚の表で中に入つております。昭和二十四年度動力船生産計画及び重油軽油需要量というのに出ておりますのを御覧願いますと、漁業種類別の大体の生産目標と、それからそれに要する油の量が出ておるわけであります。石油の量の計算に当りましては、現在大部分の漁業がリンクでやつております関係上、大体過去の実績を基準としまして、全國的な平均のリンク率を算出しまして、それから計算した数字であります。こういうふうにして計算しました結果、重油は年間約四十三万、軽油は六万七千、こういう数字が出て参つたのであります。これはここにありますように、南氷洋の捕鯨漁業に要する重油が含んでおりません。この重油と軽油の量とこれらに必要な燒玉の吹かし用の油、或いは潤滑油を挙げますと、まん中にあるように合計で五十四万六千キロになるわけであります。実はこれを以ていろいろ折衝しておつたわけでありまして、最近までこれで各月の必要な油の量を安定本部を通じて月々要求しておつたのであります。併し常に相当量の査定を受けまして、実際に割当られる数字は遥かに下廻つてつたのであります。最近に至りまして、いろいろな点から水産業の油の割当は一年間に四十六万キロで割当される、從つてその場合を予想して今後は毎月余り大きな需要量を出す要求は、若しその通り出すとすればあとの方になつてそれだけ非常に油が減つて行くようなことになるというような警告を受けたのであります。この四十六万キロに限定された場合の各油需要量が三番目の行に書いてある数字であります。これは我々がやつておりまして、実際の感じから言いますと、重油の方が非常に逼迫しておる。軽油はそれ程でもないというような感じから、この四十六万の場合には極力軽油の量を抑え、重油は成るべく抑えないようなやり方をとつたわけであります。併し八万キロも違いますので、こういう工合に重油も落ちて來た。そうして昭和二十三年度の実績と比較しますと、重油は若干殖えております。その外潤滑油が昨年あたりヂーゼル船燒玉その他を比較して平均四%程度割当しかない。非常に昨年の冬十一月から今年の四月頃にかけて漁業者も苦しんだのであります。今年はそういう差支のないように、四十六万の枠を示された場合に、昨年の実績を殖しました。  以上が一枚目とそれから昭和二十四年度の需要量の説明でありますが、その次に三枚一緒に綴じたものを御説明いたします。これは一番上に書いてあります二つ表が出ておりますが、最初の方の表はこれは今年の四月から六月までの実際の石油の不足量を挙げております。この不足量と言いますのは、各縣の資材調整事務所がリンクで石油の割当をして、実際に必要な最小限度の割当に止めても尚且これだけの石油が要るということを漁業種類別に報告を毎月とつておりますが、それを集計したものでありまして、その次の表に漁業種類別に挙げております。実際の報告はこの漁業種類よりももう少し細かい漁業種類に分れておりますが、一應大体似たようなものをここで一括いたしまして、おのおのの漁業の生産量、実際のリンクで出した場合の生産量と、それに対して最小限度割当を必要とする量であります。割当をした量とはちよつと違います。こういうふうに出しますと、二枚目の紙を見て頂きますと、最後の計に、例えば四月は六千八百万貫ばかり生産がありまして、三万九百四十一キロ割当が必要という数字が出ております。実際のこの月の放出量は二万八千九百三十六キロでありまして、差引その月は二千キロばかり足りないという数字が出ております。これは当初の五十四万キロに比べますと、非常に不足が小さく出るわけでありますが、これは油の量も少いために、生産も少い。実際自由に今ある船を動かせば、もう少し生産も上つて、又油の量も足りない量がもう少し大きくなるのではないかと思います。こういう工合にして集計いたしましたのが、一枚目の上の方の、結論的には重油が七千八百五キロ、これが不足、合計いたしまして、八千七百五キロが不足になつております。  それからその次の表は、一應今まで十月までの割当量がすでに決まつて來ております。九月まではもうそれを使つてしまつておるわけでありますが、今後十一月以降の割当を少くともこの程度にして貰いたいというのが、下の方の表でありまして、最初の所要見込量というのは、今までの仕事と、それから今までの資料と実績を基にしまして、当初の五十四万キロを計算した場合の各漁業種類の十一月以降の生産量を基にしまして、これに最近の実績を考えて、多少の修正を加えまして、明年までの生産量を漁業種類別に見てリンク別に計算した油の量であります。今後來年の六月までの八ケ月間に重油その他を合せまして、三十四万六千キロの油が必要だという数字であります。その眞中に書いてありますのは、年間四十六万キロに抑えられた場合は、十一月以降は合計で三十万七千キロの油が割当てられる見込みであります。差引きして増加を必要とする量が三万八千百三十五キロという数字であります。これは重油を主にして考えておりますが、軽油の方は、一應私らの方に集まつて來ておる数字だけでは、不足がないということになつておるわけであります。実際はそういうことはないと思つておりますが、恐らくいろいろな集荷の成績とか、そういう部面から軽油については的確な報告が出て來ていないのじやないかと思います。一應資料のありますものにつきまして、重油の主として考えております。下の表の十一月から來年六月までの生産の見込として、これに必要な油の量は、三枚目に出ております。  以上で説明を終ります。
  28. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か質問がありましたら……。
  29. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 私はこの油問題について、ずつと前から聞いておることを総合して申上げるのですが、重油が足らないということは、これは非常に困つた問題だと思うのですが、これは速記を止めて貰つた方がいいと思います。
  30. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて下さい。それではこれで散会いたします。    午後零時十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    委員            西山 龜七君            田中 信儀君            江熊 哲翁君            矢野 酉雄君   説明員    農林事務官    (水産廳次長) 山本  豐君    農林事務官    (水産廳生産部    生産部長)   十川 正夫君    農林事務官    (水産廳生産部    統制課長)   奧田  孝君    農 林 技 官    (水産廳生産部    資材課)    中村 正路君    総理府事務官    (物價廳第二部    生鮮食品課長) 岡崎 三郎君