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國務大臣(
森幸太郎君) 大きい御
質問でありますので、果して御満足な答弁ができるか危ぶむ者でありますが、この漁区の問題でありまするが、これは一日も早く拡張をして貰いたいのでありまするが、國際
関係の
事情から、そうこちらの望むように
簡單に許されないような
事情もあろうと察し得るのであります。併し、先般も
連合軍から注意を受けましたようなことがあ
つたのでありまするが、許されたる漁区を忠実に稼ぐということを彼らに、あちらに認めて貰
つて、成る程
日本はこれだけの領域においては許して置くのだというこの許されたる領域に、忠実にこれを守
つておる場合においては、余程
連合軍といたしましても、これを拡張する区域に対しまして、
考えを持
つて呉れることだろうと思うのであります。併しながら許されない領域まで、ややもすれば入
つて來るということを叱言を頂戴するような
情勢でありましては、この点まで漁区の拡張を許してや
つてもいいかと向うが
考えられましても、更にそれ以上にこちらが侵して行くというようなことを向うから想像された場合において、甚だ不利な立場に陷るのではないか、こう思いますので、
農林省といたしましては、許されたる区域を嚴守いたしまして、そうして一歩も区域外には出ない、眞面目に許されたる範囲において稼ぐ、稼働するということを認められて、そうして成る程
日本の
漁業者は忠実にこちらの指令に從うのだということを
信用を受けるようにいたしましたならば、やがて漁区の拡張も承認されるのではないかと思うのであります。これは勿論一方的の
考え方でありまするが、政府といたしましては、できるだけこの漁区の拡張をその
方面に要請をいたしたいと
考えておるわけであります。
尚漁船の問題についてでありますが、御
承知の
通り制約を受けておりまして、非常に
漁業振興の上に支障を來しておるのでありますが、今回普通の船舶の建設につきましては、その型といい、或いはその速力といい、そのエンジンの種類といい、廣汎にこれを自由に解放されたのであります。もとよりこういう船舶と漁船とはその目的が違
つておりまするが、
日本の
水産業の
事情を先方も十分に了解してお
つて呉れると存じますから、この漁船の建設問題につきましても、
將來相当の
努力を拂いましたならば、やがてはその建設に対してよき結果を、
事情をもたらすのではないかと
考えるのでありまして、この面につきましても政府といたしましては、極力懇請を続けて
努力をいたしたいと
考えるのであります。
尚燃油問題についてでありますが、これは
お話のように、各府縣の
漁業組合連合会、或いは
漁業会において、過去において
相当の貯油
設備をいたしておるのでありますが、それが今回廃止されるために、一部の
業者が自由にこれを取扱
つて、そうしてこの折角の
設備を利用する機会も与えないというようなことがあ
つては残念である。何とかしてこの近くできるところの
漁業協同組合等において、その既存の
設備を利用し、そして一部商
業者の横暴をなさしめないようにいたしたいというお
氣持のように承
つたのでありますが、これにつきましては、
関係各省とも交渉いたしまして、今後できる
漁業協同組合並びに連合会において、その割当てられたところの燃油に対しましては、取扱いをなし得るように、
水産関係行政当局といたしましては、
努力をいたしたいと存ずるのであります。
尚次に
水産資源の培養でありますが、これはなかなか一年二年の問題ではないのでありまして、持続して行わなければならないと思います。又從
つて手段にもいろいろあろうかと思います。養殖放流ということもありましようし、或いは又料学的な障害を防除する、いわゆる汚水問題等というようなことも
考えなければなりません。又漁田のその性質を改善して行くということも
考えなければならんと思いまするが、これは
簡單に小さい湖沼、河水に増殖の計画を立てるようなわけに參りませんので、何分大きい海に対する
考え方でありまするから、そう短年月の間にその成果を挙げることは不可能でありますが、併し不可能であるというて、今日のような荒廃に委してお
つてはならないのでありまして、築磯をする、或いは魚礁を設ける、或いは養殖放流をする、或いは外部からの障害を防除する。あらゆる面にこれは
考えをいたさなければならんと思うのであります。併しこういう面に対しましては法的
措置が必要であります。又從
つて予算関係もこれは当然附纏うものでありますが、曾てこの汚水排除の問題が沿岸
漁業を脅かした過去においては、
相当叫ばれたのでありますが、戰爭が始まりまして以來工業が主とな
つて、こういう原始
産業というものは犠牲に供されてお
つたという事実もありますので、今後これらの面につきましては十分考慮いたしまして、天然資源の涵養のために、十分な
措置を図
つて行きたいと思います。どうか
一つ江熊
委員におかれましても、永年の御研究を傾けられまして、御指導を下さらんことをお願いして止まない次第であります。