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説明員(
進藤武左衞門君) 当面の問題につきましては、
日発で作りました
資料をお
手許に差上げてございますから、これを御
覽願いたいと思いますが、先程
電力局長から
お話のありましたように、
昭和二十三
年度の
発電力量は、
昭和十八年が
日本の
電氣事業始ま
つて以來の
最高記録でありましたが、それと殆んど同じ
計算によりましては少し突破したという
最高記録を出しておるわけであります、これは勿論非常に水の
状況もよかつたし、又
石炭も
相当順調に入りました。尚
工作物の
改修も戰後
相当、特に
火力を
中心として傷めつけられてお
つたのでありますが、これも過去三ケ年にほぼ
予定通り改修が進捗いたしました。こういうふうないろいろの点が相俟ちまして、
昭和二十三
年度におきましては、
昭和十八
年度の
最高記録とほぼ同じ、或いは少し超過しておるのではないかというくらいにな
つておるのでございますが、併しそうして
水力発電所の
稼動率、つまり
利用率は九〇%をやや超しておるというふうな
状況にな
つておりますが、併しこれはただ
発電力の面から見ただけのことでございまして、さて
工作物の現在の
状況はどうかと申しますと、この表にもありますように、
発送電の
水力発電所を経営しておりますのは大体総数三百八十八ケ所、四百ケ所近くあります。
火力も四十数ケ所ございますが、両方ともすでに
建設以來二十年以上
経過したものがその半分ございます。
水力は四割四、五分、
火力は五割五分というふうに半分ございまして、この古い
発電所を維持して行くことが今後
相当重要な問題にな
つて來るわけでございますが、併し先程來
料金の方でたびたび
説明のありましたように、現在の
料金におきましては、この
設備の補修をやるだけの
資金の
調達が非常にむずかしいという状態にな
つておるわけであります。これは後で又
料金のところで申上げたいと思います。いずれにいたしましても、昨年はほぼ
改修工事が
予定通り進捗し、今申上げたような
状況で
発電力を非常に殖えて参
つておる、併し
発電力は殖えて参
つておりますが、これが果して有効に使われておるかどうかという点になりますと、これは
電力行政として強くお考え願いたいのでありますが、電氣の方の
発電力量は、大体
昭和五—七年の基準年に比べまして二〇〇%、約倍にな
つております。併し
日本の鉱工業生産は大体五割、或いは七割、いいので約九割
程度というふうなことでありますから、高の
発電力を主として消費方面へ使われておるというような氣が非常にいたすのであります。勿論
電力損失も戰爭前の工事用の需要を主とした時代と、今の家庭用を主とした時代と
相当違いまして、
電力損失も大分戰爭てより殖えております。これをできるだけ減らすことが今後
電力事業の合理化で進んで行く途でありますが、いずれにいたしましても、電氣と鉱工業生産との何と申しますか、上り方がマツチしておらないという点で、我々としましては、折角起した電氣はできるだけ國の生産に役立つように、
経済復興に役立つような強い
電力政策を是非採
つて頂きたい、こう考えております。一例を申しますと、一昨年以來電氣が熱源に
相当使われておりますので、できるだけこれを外の、例えば薪でありますとか、炭でありますとか、その他に切換えたいという、いわゆる総合燃料対策を我々が提唱いたしまして二、三年いろいろ政府の方でもお手配にな
つておるのでありますが、
昭和二十三
年度の
状況を見ますというと、御
承知のように、薪も全國に
相当溢れております。或いは炭團も生産の半分くらいしか賣れない、無煙炭も賣れないというふうなことで、外の燃料は
相当溢れておるのに、
電力はやはり依然として電熱その他に使われております。これは先程も熱源の
料金の比較がありましたように、電氣が安いこと、それから取扱が非常に便利であるというふうなことで、今の價格政策を以てしましては、やはり幾ら薪を生産し、或いは炭團を生産いたしましても、電熱器の方に流れ込んでしまうというような、現実的に二十三
年度は実績を示しておるのでありまして、どうか一つこういう点をお考え下さ
つて、電氣を起したらこれが生産に是非役に立つような処置を取
つて頂きたい、こう考えております。
それから
電源開発につきましては、先程
電力局長から
お話がありましたように、すでに本年は
経済復興五ケ年
計画の第一
年度でありますからして、又政府から準備命令が昨年の暮に出ておりますので、全國三十数ケ所を出願をいたしまして建設の手配をいたしております。併し
資金の面が全然見通しがつきません、これは
從來発電業の建設は、その
資金を殆んど
復金に仰いでおつたわけであります。本年は我々といたしましては
復金だけでなく、自分の
資金を
調達しようということで
料金を適正化して頂いて増收を
計画いたしてお
つたのでありますが、
料金は四月は上らないというふうなことになりましたので、増資の問題もなかなか
簡單にやるというふうな決心が実はつきかねておつたわけであります。それから
復金の方で拜借できないので、いろいろ
貿易の特別勘定等も我々も伺
つておりますので、こういうものの見返りとしまして一時金の拜借ができないだろうかというふうな点で、実は三月頃からこの
資金の問題につきまして、非常に苦心をし、各方面にお願いをしておるのでありますが、現在全然見通しがついておりません。そこでさつき栗山さんから
お話のありましたように、四月以降は新設工事を全部止めてしまいまして、そうして継続工事、すでに昨年の
渇水期を……今年の君方期に間に合うように工事をや
つて清算中のもの、つまり工事ができて支拂わなければならんもの、こういうどうしても必要な金を見ますというと、第一
四半期、即ち四月から六月までに
日本発送電で約二十七億円、それから配電会社で十三億円ばかりございます。これだけは是非一つ
繋ぎ資金として
貿易勘定がはつきりするまで拜借願いたいということをいろいろお願いしておるのでありますが、さつき新聞の
お話が出まして、若し決定すれば非常に明るい話でありますが、我々といたしましてはまだはつきり見通しがついておらないのであります。そこで
料金は上りませんが増資をして、これを見返りに是非金を貸して頂きたいということを今各金融方面にお願いをしておるのでありますが、これも実は増資の拂込金は
復金の返済金に充てるという情報が一部ありますから、この点につきましてもまだ金融筋でもはつきりした御返事が頂けないような
状況でございます。今まで長期
資金は借換え借換えでや
つてお
つたのでありますが、一方では
融資は全然止められてしまうということでもう一方では借りる途がないという状態でありまして、現在殆んどこの金融問題に対しては我々はお先眞つ暗というのが現状であります。
尚申上げたいのは
渇水期に対して
発電力を
確保いたすためには、豊水期に
発電所を停止いたしまして、十分にこれを回復修理し、手入れを加えて
渇水期に備えるのでありますが、これをやりますのに今のようなことでありますと、修繕費さえなかなか手に入りかねるということで、実は我々非常に今焦せ
つておるわけであります。どうか
貿易資金がはつきりするかせんか分りませんが、こういうものが若しはつきりすることになるという見通しがつきますれば、これを土台としてでも
繋ぎ資金を一刻でも早く拜借いたしまして、そうしてこの
改修をやり、できるならば新らしい工事に着手いたしたい。こういうふうに考えております。尚
運轉資金に対しましては、これはもう赤字
融資は絶対に相成らんということでありますからして、我々経営の合理化その他で
調達しなければならんのでありますが、併し先程から
お話のありましたように、今の
電氣料金では、なかなか
運轉資金の
調達さえむずかしいのでありますが、例えば
火力発電に使う
石炭は、先程局長から
お話のありましたように、本年は四百六十五万トン頂くことにな
つております。これを土台として、
安本では
電力の配分をおやりにな
つております。併し実際、
料金へ計上されておりますのは三千三百円であります。
石炭は三百六十万トンであります。
石炭だけ見ましても、これはとても今の
料金でやれないことははつきりしております。それから人件費は、今の
料金に織り込んでありますのは五千三百四十八円の一割引きであります。今度我々が電産協定によ
つて拂えるのは大体七千百円、これは基準代が今入りますが、こういうふうで、今の
料金ではとても間に合わない。この二つだけでも本年に
石炭費で約五十億円、人件費で約五十億円の赤字が出ております。これに償却その他を入れますと、なかなか容易ならん問題になるのであります。そこでどうしてここを凌ぐかというと、結局経営の自主を要請されますというと、我々はできるだけの
石炭しか焚けないということになるわけでありますが、これに対しましては、公共事業を我々経営いたしておるのでありますからして、需要に應じて必要だけ電氣を送るというのが、事業の建前でありますが、今
火力を焚くと会社がつぶれてしまう、焚かないと國の復興ができないという非常なジレンマに、実は陷
つておるような現状でございます。こういう点につきましては、我々としては、勿論企業の合理化は徹底的にやらなければならん。これははつきりいたしておりますが、適正なる
料金に上げることが、結局公共事業の義務を果し得る基本であるというふうに考えておりますので、この点につきましては
物價廳その他でも非常に今御檢討願
つておるのでありますが、一刻も早く適正なる
料金にして頂きたいということを痛切に感ずるわけであります。こういうふうに建設にいたしましても、運轉にいたしましても、現在の
電氣事業は
資金の面から非常な難関に陷
つておるわけであります。これが数ケ月分の状態で行きますというと、
電氣事業だけでなく、関連
産業に大きな影響が飛んで参ると思います。でありますから、どうか一つ
貿易資金の勘定額を早く決めて頂く、それまでは
繋ぎ資金を是非出して頂く。それから
電氣料金は、できるだけ早く適正化して頂く。
発電力につきましては、去年は非常なる豊水もありましたが、併し
改修工事はほぼ
予定通り進捗いたしておりますので、
石炭が入りますというと、今までの、去年の或いは一昨年のような、去年の前半、一昨年のような、
電力不足の御迷惑は決して掛けないつもりでありますが、併し今のような
状況でありまして、修繕がなかなか思うように行かない。
石炭の方でも、
石炭は割当てられても金がないからして拂えないというような苦境に陷るような心配もありますので、どうかこういう点を御檢討下さいまして、早く我々の希望を叶えさして頂きたい。かようにお願いしたいと思います。