○栗山良夫君 もう一点、まあ抽象的にそういう工合にやるのだということをおつしや
つたのでありますが、私は実際こういう事業体の内部にもお
つて、下の方の仕事をした経驗もございますし、最近の情勢も相当承知しておるつもりでおります。そういうものから見まして、私が今
政府は責任をお取りになれないのじやないかと申上げましたことは、如何に抽象的にやるとおつしや
つても、事実上不可能であろうということを私は確信するからなんであります。まあその点はその点といたしまして、次に
一つ重要なことは、最近勤労者の
賃金というものは非常に紊れて、例えば國内で一番最高
賃金にある金
融資本系統の
從業員の
賃金は驚く程高い、税込み一万八千円から二万円、五大銀行なんかはその
通りであります。手取一万円ずつと越しておる。それに対して一般産業でも業態のいいところはもう一万円どんどん越しております。然るに同じ基幹産業でありましても、石炭とか、電力とか、その他のこういう
政府の
價格政策の犠牲にな
つております産業は、それが
政府介入によ
つてなかなかなれない。更に中小
企業に行きますならば、今度の一本替爲レートに皺がある。その場合相当あるのですから、ますます
賃金は低
賃金にな
つて行くと思います。少くとも重要産業、まあ最近の新聞紙上を見ますと、連合軍側の方でもまあ今度相当思い切
つて産業が整理されても止むを得ないということをおつしや
つておりますが、中小
企業はまあ別といたしましても、少くとも基幹産業だけは労働の再
生産能力を得るという
意味から行きましても、労働
賃金にそんな大きな高低が許さるべきものではないと私は
考えるのでありますが、今現状はそういうふうにな
つております、これを仮に金
融資本の方は別といたしまして、産業体として商工大臣の御所管にな
つておる枠の中における俸給
生活者、この
賃金労働者に対しましてのこの地ならし、そういうものを実際おやりに將來なりますのか、なりませんのか、このままで勤労者に働けとおつしやるのか、経費再建の
ために復興しろとおつしやるのか、その辺を
ちよつと伺
つて見たいのであります。実情から……。